JP2000015934A - 感光感熱記録材料 - Google Patents

感光感熱記録材料

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JP2000015934A
JP2000015934A JP10186472A JP18647298A JP2000015934A JP 2000015934 A JP2000015934 A JP 2000015934A JP 10186472 A JP10186472 A JP 10186472A JP 18647298 A JP18647298 A JP 18647298A JP 2000015934 A JP2000015934 A JP 2000015934A
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Yasuhiro Mitamura
康弘 三田村
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 定着阻害がなく、優れた発色性、色再現性、
画像堅牢度を有する感光感熱記録材料を提供する。 【解決手段】 支持体上にジアゾ化合物とカプラーを含
有する感光感熱記録層を設けた感光感熱記録材料におい
て、該カプラーとして、下記一般式(1)で表わされる
2−ホスホラミドチアゾール化合物を少なくとも1種含
むことを特徴とする感光感熱記録材料。 一般式(1) 【化1】 式中R1 は水素原子、アルキル基、アリール基または、
ヘテロ環残基を表わし、R2 、R3 はそれぞれアルキル
基、アリール基、ヘテロ環基、ヘテロ原子を介して連結
するアルキル基、ヘテロ原子を介して連結するアリール
基あるいはヘテロ原子を介して連結するヘテロ環残基を
表わし、R2 、R3 はリン原子とともに環を形成しても
良い。R4 は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル
原子を表わし、R5 は水素原子あるいは一般にカップリ
ング反応に用いられる脱離基を表わす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジアゾ化合物とカプ
ラーを発色成分として用いる感光感熱記録材料に関し、
特に、定着阻害がなく、優れた発色性、色再現性、画像
堅牢性を有する感光感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ジアゾ化合物は非常に化学的活性の高い
化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有
する、いわゆるカプラーと呼ばれる化合物と反応して容
易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照
射によって分解し、その活性を失う。そこで、ジアゾ化
合物は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古
くから利用されている(日本写真学会編「写真工学の基
礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)P89〜P
117、P182〜P201参照)。
【0003】更に、光によって分解し活性を失う性質を
利用して、最近では画像の定着が要求される記録材料に
も応用され、代表的なものとして、ジアゾ化合物とカプ
ラーを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成
させた後光照射して画像を定着する、光定着型感熱記録
材料が提案されている(佐藤弘次ら 画像電子学会誌第
11巻 第4号(1982)P290−296など)。
【0004】しかしながら、ジアゾ化合物を発色要素と
して用いたこれらの記録材料は、ジアゾ化合物の活性が
非常に高く、暗所であってもジアゾ化合物が徐々に熱分
解して反応性を失うので、記録材料としてのシェルフラ
イフが短いという欠点があった。このような、ジアゾ化
合物の不安定さを改善する手段としては様々な方法が提
案されているが、最も有効な手段の一つとして、ジアゾ
化合物をマイクロカプセル中に内包させる方法が挙げら
れる。
【0005】このように、ジアゾ化合物をマイクロカプ
セル化することにより、ジアゾ化合物は水、塩基といっ
た分解を促進させるものから隔離されるので、その分解
は著しく抑制され、これを用いた記録材料のシェルフラ
イフも飛躍的に向上する(宇佐美智正ら 電子写真学会
誌 第26巻 第2号(1987)P115〜12
5)。
【0006】ジアゾ化合物をマイクロカプセル中に内包
させる一般的な方法は、疎水性溶媒にジアゾ化合物を溶
解させ(油相)、これを水溶性高分子を溶解した水溶液
中(水相)に加えてホモジナイザー等で乳化分散すると
共に、マイクロカプセルの壁材となるモノマーあるいは
プレポリマーを油相側または水相側の何れかあるいは両
方に添加しておくことにより、油相と水相の界面で重合
反応を生じさせ、あるいは、ポリマーを析出させること
により高分子壁を形成させ、マイクロカプセルとする方
法である。
【0007】これらの方法は、例えば近藤朝士著、「マ
イクロカプセル」日刊工業新聞社(1970年発行)、
近藤 保ら著、「マイクロカプセル」三共出版(197
7年発行)などに詳しい。形成されるマイクロカプセル
壁としては、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース
類、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ナイロ
ン樹脂など様々なものが使用可能である。
【0008】ウレア樹脂やウレタン樹脂のようにガラス
転移温度を有し、そのガラス転移温度が室温よりやや高
い壁を有するマイクロカプセルの場合には、室温におけ
るカプセル壁は物質非透過性を示す一方、ガラス転移温
度以上では物質透過性を示すため、熱応答性マイクロカ
プセルと呼ばれ、感熱記録材料に有用である。
【0009】即ち、支持体上に、ジアゾ化合物を含有し
た熱応答性マイクロカプセルとカプラーおよび塩基を含
有する感光感熱記録層を塗布した記録材料を作製するこ
とにより、ジアゾ化合物を長期間安定に保持させること
ができると共に、加熱により容易に発色画像を形成させ
ることができる上、光照射により画像を定着することも
可能となる。上述したように、マイクロカプセル化する
ことによりジアゾ化合物の安定性を飛躍的に向上させる
ことが可能である。
【0010】このような感光感熱記録材料においては、
定着阻害の軽減や発色性、色再現性、画像堅牢性等の性
能向上が望まれている。例えば、特願平9−15241
4号にマゼンタ色画像を得るためのカプラーとして、ク
マリン誘導体やピラゾロン誘導体が提案されているが、
上記性能を十分に満足するものではなく、改良が望まれ
ていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、定着
阻害がなく、優れた発色性、色再現性、画像堅牢性を有
する感光感熱記録材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、感光支持体上にジアゾ化合物とカプラーを含有する
感光感熱記録層を設けた感光感熱記録材料において、該
カプラーとして、下記一般式(1)で表わされる2−ホ
スホラミドチアゾール化合物を少なくとも1種含むこと
を特徴とする感光感熱記録材料によって達成される。 一般式(1)
【0013】
【化3】 式中R1 は水素原子、アルキル基、アリール基または、
ヘテロ環残基を表わし、R2 、R3 はそれぞれアルキル
基、アリール基、ヘテロ環基、ヘテロ原子を介して連結
するアルキル基、ヘテロ原子を介して連結するアリール
基あるいはヘテロ原子を介して連結するヘテロ環残基を
表わし、R2 、R3 はリン原子とともに環を形成しても
良い。R4 は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル
原子を表わし、R5 は水素原子あるいは一般にカップリ
ング反応に用いられる脱離基を表わす。なお、本発明に
示される構造式は、その互変異性体を含むものとする。
【0014】また、本発明の感光感熱記録材料におい
て、ジアゾ化合物が380〜450nmの範囲に吸収極
大を有する化合物であることが望ましく、さらに好まし
くは、ジアゾ化合物が、下記の一般式(2)で表される
化合物である。 一般式(2)
【0015】
【化4】 式中R6 はアルキルスルフィニル基、アリールスルフィ
ニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カル
バモイル基、アシル基またはシアノ基を表わし、R7
8 は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環残
基を表わす。R7 、R8 は窒素原子と共に環を形成して
もよい。X- は酸アニオンを表わす。
【0016】本発明の感光感熱記録材料においては、ジ
アゾ化合物がマイクロカプセルに内包されていることが
好ましく、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルの
カプセル壁がポリウレタンおよび/又はポリウレアを構
成成分として含むカプセル壁であることがより好まし
い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の感光感熱記録材料のカプラーとして用いら
れるホスホラミドチアゾール化合物は、上記一般式
(1)で表わされるものであるが、R1 は、水素原子、
アルキル基、アリール基、ヘテロ環残基を表し、なかで
もアリール基が好ましい。
【0018】R1 で表わされるアルキル基としては、後
述する置換基を含めて総炭素数1−32の直鎖又は分岐
鎖のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、
ドデシル基、イソプロピル基、2−エチル−ヘキシル
基、等が挙げられる。R1 で表わされるアリール基とし
ては、後述する置換基を含めて総炭素数5−40のアリ
ール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−t−ブチ
ルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基、ナ
フチル基、アントラセニル基などが挙げられ、なかでも
フェニル基が好ましい。R1 で表わされるヘテロ環残基
としては、総炭素数5−40のヘテロ環残基が好まし
く、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピラゾリル
基、フリル基、テオイル基、イミダゾリル基、ピリジニ
ル基、キノリニル基、ベンゾチアゾリル基、等が挙げら
れるが、なかでもテオイル基が好ましい。
【0019】R2 およびR3 は、アルキル基、アリール
基、ヘテロ環残基、ヘテロ原子を介して連結するアルキ
ル基、ヘテロ原子を介して連結するアリール基あるいは
ヘテロ原子を介して連結するヘテロ環残基を表わし、R
2 、R3 はリン原子とともに環を形成しても良い。なか
でもR2 、R3 がともに含窒素ヘテロ環残基あるいはヘ
テロ原子を介して連結するアリール基、あるいはヘテロ
原子を介して連結するアルキル基である場合が好まし
く、更にはアニリノ基もしくはフェノキシ基が好まし
い。
【0020】R2 およびR3 で表わされるアルキル基と
しては、後述する置換基を含めて総炭素数1−32の直
鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、例えば、メチル
基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、ドデシル基、イソプロピル基、2−エチル−
ヘキシル基、等が挙げられるが、なかでも2−エチル−
ヘキシル基、3,5,5−トリメチル−ヘキシル基が好
ましい。R2 およびR3 で表わされるアリール基として
は、後述する置換基を含め総炭素数5−40のアリール
基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アン
トラセニル基などが挙げられ、なかでもフェニル基が好
ましく、なかでも2−オクチロキシ−5−t−オクチル
−フェニル基が好ましい。R2 およびR3 で表わされる
ヘテロ環残基としては、総炭素数5−40のヘテロ環残
基が好ましく、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、
ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリニ
ル基等が挙げられるが、好ましくは、N−ピロリジノ
基、N−ピペリジノ基が好ましい。R2 およびR3 で表
わされるヘテロ原子を介して連結するアルキル基、アリ
ール基あるいはヘテロ環残基は、上記R2 およびR3
説明中に記載されているアルキル基、アリール基、ヘテ
ロ環残基の説明に準ずるものが挙げられる。なかでもア
ニリノ基もしくはフェノキシ基が好ましい。R2 、およ
びR3 は上記説明文中記載の置換基の有無に関わらず、
独立でもよく、またリン原子を含む環を形成してもよ
い。
【0021】環を形成したときは、なかでも下記に示さ
れる環構造を有する化合物が好ましい。
【化5】
【0022】R1 、R2 、R3 はそれぞれに置換基を有
してもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ
基、アゾ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、
アルキル基、アリール基、ヘテロ環残基、シアノ基、ヒ
ドロキシカルボニル基、カルボニル基を介したアルキル
基、アリール基、あるいはヘテロ環残基、ヘテロ原子を
介したアルキル基あるいはアリール基あるいはヘテロ環
残基、カルボニル基およびヘテロ原子を連続して介した
アルキル基あるいはアリール基あるいはヘテロ環残基な
どが挙げられ、またこれらが更に置換されてもよく、ま
た環を形成してもよい。中でもハロゲン原子、または、
炭素数が6−30のアルコキシ基、あるいは炭素数が6
−30のカルボニル基およびヘテロ原子を連続して介し
たアルキル基が好ましい。置換基はこれらに限定される
ものではない。
【0023】R4 は、リン原子と安定な2重結合を形成
する酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子を表
わす。なかでも酸素原子、硫黄原子が好ましく、さらに
酸素原子が好ましい。
【0024】R5 は、水素原子あるいは、ジアゾニウム
塩化合物と一般にカップリング反応することが出来る脱
離基を表わすが、なかでも水素原子が好ましい。R5
表わす脱離基としては、ハロゲン原子、ガルバモイル基
等が挙げられるが、なかでも塩素原子が好ましい。R5
の表わすカルバモイル基等は置換基を有してもよく、置
換基としては、上記のR1 、R2 、R3 の置換基の説明
に準ずるものが挙げられる。
【0025】乳化適性およびカプセル壁透過性の点か
ら、置換基の炭素数は6以上25以下、あるいはカプラ
ーの分子量が400〜700程度であることが好まし
い。
【0026】以下に一般式(1)で表わされるホスホラ
ミドチアゾール化合物の好適な具体例を示すが、本発明
はこれに限定されるものではない。なお、以後化学式に
用いるMe、Et、Pr(i)、Bu(n)、Bu
(t)、Phが示す基をそれぞれ下記に示す。
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】本発明のカプラーは、特開平10−677
61号公報に記載の方法、又はそれらに準じた方法で合
成できる。以下に合成例を示す。 カプラー(K−2)の合成例
【0036】
【化14】
【0037】上記化合物A2.11gを無水テトラヒド
ロフラン30mlに溶解し、窒素気流下で−5℃に冷却
した。水素化ナトリウム(60%in oil)を温度
が上がらないように1.44g分割添加し、添加終了後
に0℃で15分間攪拌した。化合物Bを2.95g加え
0℃で30分間攪拌した。その後、内温を室温に上げ
て、さらに1時間終了後攪拌した。終了後、0℃にてエ
タノールを10ml分割添加し、気体放出が止まった
後、希塩酸を60ml添加して、10分間攪拌した。酢
酸エチルにて抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムにて溶
液を乾燥した。ついで溶媒を減圧留去し、得られたシロ
ップをアセトニトリル中にて攪拌すると、固体が析出し
たので、これを冷アセトニトリルにて洗浄し、目的物
(K−2)を白色固体1.99gとして得た。
【0038】本発明に関わるカプラーは、塩基性雰囲気
下および/または中性雰囲気下でジアゾ化合物とカップ
リングして、色素を形成するものである。本発明に関わ
るカプラーは、色素調整等の種々の目的に応じて、公知
のカプラーと併用することが出来る。
【0039】併用するカプラーとしては、カルボニル其
の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合
物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、
具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致
する範囲で使用される。
【0040】本発明において併用できるカプラーとして
特に好ましくは、レゾルシン、フロログルシン、2,3
−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフ
タレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロ
キシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒド
ロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒド
ロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピル
アミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−
2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロ
キシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシル
アミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒド
ロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスル
ホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミド
ナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5
−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフ
トエ軟モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3
−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナ
フトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロ
ヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−
(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シ
クロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカル
ボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5
−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロ
ヘキサンジオン、
【0041】N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール
酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−
n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール
酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチル
オキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オ
クタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、
1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−
(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−
5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニ
ル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロ
キシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキ
シル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルア
セトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルア
セトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリ
ル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、
ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリ
ド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイ
ル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、l−(2
−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−
メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジビドロピリジン−
2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセ
チル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ
ピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフ
ェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾー
ル等がある。
【0042】カプラーの詳細については、特開平4−2
01483号、特開平7−223367号、特開平7−
223368号、特開平7−323660号、特願平5
−278608号、特願平5−297024号、特願平
6−18669号、特願平6−18670号、特願平7
−316280号、特願平8−027095号、特願平
8−027096号、特願平8−030799号、特願
平8−12610号、特願平8−132394号、特願
平8−358755号、特願平8−358756号、特
願平9−069990号等に記載されている。
【0043】次に、本発明の感光感熱記録材料におい
て、前記カプラーと組み合わせて使用されるジアゾ化合
物について説明する。本発明に用いられるジアゾ化合物
は、下記の一般式 Ar−N2 + ・X- (式中、Arは、芳香族部分を示し、X- は酸アニオン
を示す)で表される化合物であり、前記カプラーとカッ
プリング反応を起こして発色することができるし、また
光によって分解することができる化合物である。これら
はArの置換基の位置や種類によって様々な最大吸収波
長を持つ。
【0044】塩を形成するジアゾニウムとしては(A)
ジアゾニオ基のp位がアリールチオ基、アルキルチオ基
のもの及び(B)ジアゾニオ基のo位に置換アミノ基の
ものが好ましい。(A)の例としては、4−(p−トリ
ルチオ)−2,5−ジプトキシベンゼンジアゾニウム、
4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジプトキシ
ベンゼンジアゾニウム、4−(2−エチルヘキシルチ
オ)−2,5−ジプトキシベンゼンジアゾニウムが好ま
しい。(B)としては、上記一般式(2)で示されるも
のが好ましい。
【0045】次に、一般式(2)で表されるジアゾ化合
物について詳細に述べる。一般式(2)中、R6 で表さ
れるアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基
は、更に置換基を有していてもよく、その置換基として
は例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキ
シ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ア
ルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アル
キルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキ
ルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミ
ド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸
基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
【0046】特に総炭素数1〜30のアルキルスルフェ
ニル基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチ
オ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ
基、オクタデシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2−
エチルヘキシルチオ基、2−(N,N−ジオクチルカル
バモイル)エチルチオ基)、アリルチオ基、ベンジルチ
オ基、総炭素数6〜30のアリールスルフェニル基(例
えばフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、4
−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルチオ基、2−
ブトキシカルボニルフェニルチオ基、2−クロロフェニ
ルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−メチルフェ
ニルチオ基)が好ましい。
【0047】一般式(2)中、R6 で表されるアルキル
スルフィニル基、アリールスルフィニル基は、更に置換
基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェ
ニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル
アミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフ
ェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィ
ニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルフ
ァモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、
ヘテロ環基が好ましい。特に総炭素数1〜30のアルキ
ルスルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチ
ルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルス
ルフィニル基、オクチルスルフィニル基、ドデシルスル
フィニル基、オクタデシルスルフィニル基、シクロヘキ
シルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル
基、2−(N,N−ジオクチルカルバモイル)エチルス
ルフィニル基)、アリルスルフィニル基、ベンジルスル
フィニル基、総炭素数6〜30のアリールスルフィニル
基(例えばフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェ
ニルスルフィニル基、4−(2−エチルヘキシルオキ
シ)フェニルスルフィニル基、2−ブトキシカルボニル
フェニルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィ
ニル基、4−クロロフェニルスルフィニル基、4−メチ
ルフェニルスルフィニル基)が好ましい。
【0048】一般式(2)中、R6 で表されるアルキル
スルホニル基、アリールスルホニル基は置換基を有して
いてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコ
キシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、
カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、
アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、ア
リールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル
基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環
基が好ましい。
【0049】特に総炭素数1〜30のアルキルスルホニ
ル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル
基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、オク
チルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、オクタデシ
ルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エ
チルヘキシルスルホニル基、2−(N,N−ジオクチル
カルバモイル)エチルスルホニル基)、アリルスルホニ
ル基、ベンジルスルホニル基、総炭素数6〜30のアリ
ールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−
メトキシフェニルスルホニル基、4−(2−エチルヘキ
シルオキシ)フェニルスルホニル基、2−ブトキシカル
ボニルフェニルスルホニル基、2−クロロフェニルスル
ホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、4−メチ
ルフェニルスルホニル基)が好ましい。
【0050】一般式(2)中、R6 で表されるスルファ
モイル基は無置換でも置換基を有していてもよく、総炭
素数3〜30のN,N−ジアルキル(あるいはアリー
ル)スルファモイル基が好ましく、例えばN,N−ジメ
チルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイ
ル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジ
オクチルスルファモイル基、N,N−ビス(2−エチル
ヘキシル)スルファモイル基、N−エチル−N−ベンジ
ルスルファモイル基、N−エチル−N−ブチルスルファ
モイル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホ
ニル基、モルホリノスルホニル基、4−オクタノイルピ
ペラジノスルホニル基、ヘキサメチレンイミノスルホニ
ル基が好ましい。
【0051】一般式(2)中、R6 で表されるアルコキ
シカルボニル基は無置換でも置換基を有していてもよ
く、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカル
ボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモ
イル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリール
スルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールス
ルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボ
キシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好まし
い。
【0052】特に総炭素数2〜30のアルコキシカルボ
ニル基が好ましく、例えばメトキシカルボニル基、エト
キシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオ
キシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、シク
ロヘキシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカ
ルボニル基、2−エトキシエトキシカルボニル基、2−
クロロエトキシカルボニル基、2−フェノキシエトキシ
カルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好まし
い。
【0053】一般式(2)中、R6 で表されるカルバモ
イル基は無置換でも置換基を有していてもよく、N,N
−ジアルキル(あるいはアリール)カルバモイル基が好
ましく、このアルキル基(あるいはアリール基)は無置
換でも置換基を有していてもよく、置換基としては例え
ばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、
アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキル
スルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルス
ルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスル
ホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、
スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシ
ル基、ヘテロ環基が好ましい。
【0054】特に総炭素数3〜30のN,N−ジアルキ
ル(あるいはアリール)カルバモイル基が好ましく、例
えばN,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチ
ルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、
N,N−ジオクチルカルバモイル基、N,N−ビス(2
−エチルヘキシル)カルバモイル基、N−エチル−N−
ベンジルカルバモイル基、N−エチル−N−ブチルカル
バモイル基、ピペリジノカルボニル基、ピロリジノカル
ボニル基、モルホリノカルボニル基、4−オクタノイル
ピペラジノカルボニル基、ヘキサメチレンイミノカルボ
ニル基が好ましい。
【0055】式中R6 で表されるアシル基は脂肪族アシ
ル基、芳香族アシル基、ヘテロ環アシル基が好ましく、
これらは無置換でも置換基を有していてもよく、その置
換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、
アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シ
アノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニ
ル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ス
ルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、ス
ルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。特に総
炭素数2〜30のアシル基が好ましく、例えばアセチル
基、ブタノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、4
−メトキシベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基が好
ましい。
【0056】一般式(2)中、R7 、R8 で表されるア
ルキル基は無置換でも置換基を有していてもよく、その
置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル
基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスル
フェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフ
ィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ
基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
【0057】特に総炭素数1〜30のアルキル基が好ま
しく、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル
基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オ
クタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイ
ルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エ
チル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基が好まし
い。
【0058】一般式(2)中、R7 、R8 で表わされる
アリール基は無置換でも置換基を有していてもよく、そ
の置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル
基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスル
フェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフ
ィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ
基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば
フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェ
ニル基が好ましい。
【0059】R7 とR8 は互いに結合して環を形成する
場合、5ないし7員環を形成することが好ましい。R7
とR8 が結合し含窒素複素環を形成する場合、5ないし
7員環を形成することが好ましく、例えばピロリジノ
基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−アシルピペラジ
ノ基、4−スルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイ
ミノ基が好ましい。
【0060】さらに、R7 、R8 が置換基としてジアゾ
ニオフェニル基を有した置換基であり、ビス体あるいは
それ以上の多量体を形成してもよい。
【0061】一般式(2)中、X- で表わされる陰イオ
ンは無機陰イオンとしてはヘキサフルオロリン酸イオ
ン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオ
ンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ
化水素酸イオンが特に好ましい。有機陰イオンとしては
ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロ
アルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオ
ン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン
が好ましい。
【0062】以下に、本発明の一般式(2)で表される
ジアゾ化合物の具体例を示すが、詳細は特願平9−15
2414号に記載されている。なお、本発明のジアゾ化
合物は、それらに限定されるものではない。
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
【化22】
【0071】一般式(2)で表されるジアゾ化合物は既
知の方法や特願平9−152414号に記載の方法又は
それらに準じた方法で製造することが可能である。すな
わち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウ
ム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジア
ゾ化することにより得られる。
【0072】一般式(2)で表わされる化合物は油状
物、結晶状態のいずれであってもよいが、取扱い性の点
で結晶状態のものが好ましい。これらの一般式(2)の
化合物は単独で用いてもよいし、2種以上併用すること
もできる。また一般式(2)の化合物を感光感熱記録材
料に用いる場合、感光感熱記録層中において0.02〜
5g/m2の範囲で用いることが好ましいが、発色濃度の
点から0.1〜4g/m2の範囲で用いることが特に好ま
しい。
【0073】上記ジアゾ化合物の安定化のために、塩化
亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を
形成させ、ジアゾ化合物の安定化を行なうこともでき
る。これらのジアゾ化合物は、単独で用いてもよいし、
2種以上を併用してもよい。更に色相調整等の諸目的に
応じて、一般式(2)で表されるジアゾ化合物と既存の
ジアゾ化合物を併用してもよい。既存のジアゾ化合物に
ついては特公平5−33676号、特開平4−5928
7号、特開平8−156417号、特開平1−8058
8号、特開平4−59288号、特開平6−32885
3号等公報、特願平8−224252号、特願平7−1
21208号等に記載されている。
【0074】本発明の感光感熱記録材料は、その使用前
の生保存性を良好とするために、ジアゾ化合物をマイク
ロカプセルに内包させることが好ましい。その形成方法
は既に公知の方法を用いることができる。カプセル壁を
形成する高分子物質は常温では不透過性であり、加熱時
に透過性となることが必要で有り、特にガラス転移温度
が60〜200℃のものが好ましい。これらの例とし
て、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエス
テル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポ
リスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチ
レン・アクリレート共重合体およびこれらの混合系をあ
げることができる。
【0075】マイクロカプセル形成法としては、界面重
合法および内部重合法が適している。カプセル形成方法
の詳細およびリアクタントの具体例については、米国特
許第3,726,804号、同第3,796,669号
等の明細書に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウ
レタンをカプセル壁材として用いる場合は、ポリイソシ
アネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第
2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体ま
たはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれ
らを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分
子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。な
お上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアが生
成する。
【0076】本発明においては、マイクロカプセル壁を
形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中
から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。以
下に、本発明におけるジアゾ化合物内包マイクロカプセ
ル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について
述べる。
【0077】まず、ジアゾ化合物はカプセルの芯となる
疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合の
有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が
好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネートが
壁材として添加される(油相)。
【0078】一方、水相としては、ポリビニルアルコー
ル、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用
意し、次いで前記油相を投入し、ホモジナイザー等の手
段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化
分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に
行うために、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面
活性剤を添加してもよい。
【0079】多価イソシアネートの使用量は、マイクロ
カプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが
0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒
子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散
液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネー
トの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0080】水相中にポリオールを添加しておけば、多
価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン
壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反
応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加する
ことが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反
応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリ
アミン等については成書に詳しい(岩田敬治 編 ポリ
ウレタンハンドブック日刊工業新聞社 (198
7))。
【0081】マイクロカプセル壁の原料として用いる多
価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシア
ネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシ
アネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレン
ジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその
水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシア
ネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体
(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメ
チロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソ
シアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体と
して多官能としたもの、トリメチロールプロパンなどの
ポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イ
ソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等
の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を
導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン
縮合物などが挙げられる。特開昭62−212190号
公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317
694号公報、特願平8−268721号公報等に記載
の化合物が好ましい。
【0082】更に、ポリオール又はポリアミンを、芯と
なる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中
に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとし
て用いることもできる。これらのポリオール又はポリア
ミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセ
リン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミ
ン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げ
られる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン
壁が形成される。
【0083】前記のジアゾ化合物を溶解し、マイクロカ
プセルの芯を形成するときの疎水性有機溶媒としては、
沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、具体的に
はアルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、ア
ルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキ
ルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル
類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フ
タル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル
類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル
類などが挙げられる。これらは2種以上混合して用いて
もよい。
【0084】カプセル化しようとするジアゾ化合物のこ
れらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いようと
するジアゾ化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に
併用することもできる。具体的には、酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンク
ロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセ
トンなどが挙げられる。このため、ジアゾ化合物はこれ
ら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対する適当
な溶解度を有していることが好ましく、具体的には該溶
剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水
に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0085】このようにして調製されたカプセルの油相
を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子
は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が
5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例として
は、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアク
リル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−ア
クリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼ
イン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン
酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0086】これらの水溶性高分子は、イソシアネート
化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、たと
えばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有
するものは、予め変成するなどして反応性をなくしてお
くことが好ましい。また、界面活性剤を添加する場合に
は、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1
%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0087】乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリ
ー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミルなど、
公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプ
セル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70
℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同
士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝
突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0088】また、反応中に改めて凝集防止用の分散物
を添加しても良い。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの
発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁
形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反
応させることにより、目的のジアゾ化合物内包マイクロ
カプセルを得ることができる。
【0089】本発明に用いられるカプラーは、塩基性物
質、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により
水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできる
が、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、こ
れを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイド
として有する水相と混合し、乳化分散物として用いても
良い。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用
いることが好ましい。
【0090】この場合に使用される有機溶剤は、例え
ば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点
オイルの中から適宜選択することができる。これらの中
でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安
定性の観点から好ましく、中でも、リン酸トリクレジル
が特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルと
の併用も可能である。
【0091】上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤
として補助溶剤を加えることもできる。このような補助
溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいもの
として挙げることができる。場合により、高沸点オイル
を含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0092】これらの成分を含有する油相と混合する水
相に、保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、
公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分
子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性
高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチ
ン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
【0093】又水相に含有させる界面活性剤は、アニオ
ン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コ
ロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選
択して使用することができる。好ましい界面活性剤とし
ては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫
酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム
塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができ
る。
【0094】本発明においては、ジアゾ化合物とカプラ
ーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を加
えることもできる。これらの有機塩基は、単独で用いて
も2種以上併用して用いることもできる。塩基性物質と
しては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン
類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グア
ニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられ
る。特公昭52−46806号公報、特開昭62−70
082号公報、特開昭57−169745号公報、特開
昭60−94381号公報、特開昭57−123086
号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−2
4916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭
60−165288号公報、特開昭57−185430
号公報に記載のものを使用できる。
【0095】これらの中でも、特に、N,N′−ビス
(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジ
ン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−
2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス
〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプ
ロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチ
オ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−
ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピ
ル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒ
ドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−
ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキ
シ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N
−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピ
ルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒ
ドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)
ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−
2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピ
ペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジ
ン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシル
フェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0096】本発明においては、ジアゾ化合物1重量部
に対するカプラー及び塩基性物質の使用量は、それぞれ
0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0097】本発明においては、上記した有機塩基の他
にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えるこ
とができる。発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高
くする、もしくは最低発色温度を低くする物質であり、
カプラー、塩基性物質、もしくはジアゾ化合物等の融解
点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用
により、ジアゾ化合物、塩基性物質、カプラー等が反応
しやすい状況を作るためのものである。
【0098】本発明に用いられる発色助剤として、例え
ば低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が行われるよう
に、発色層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、
アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン
類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミ
ド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒド
ロキシ化合物、等を加えることができる。
【0099】本発明の感光感熱記録材料においては、熱
発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、また
は、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的
で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ま
しい。上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ
公開特許第223739号公報、同第309401号公
報、同第309402号公報、同第310551号公
報、同第310552号公報、同第459416号公
報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭5
4−48535号公報、同62−262047号公報、
同63−113536号公報、同63−163351号
公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71
262号公報、特開平3−121449号公報、特開平
5−61166号公報、特開平5−119449号公
報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第
4980275号等に記載されている。
【0100】更に、本発明においては感熱記録材料や感
圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加
剤を用いることも有効である。これらの各種添加剤の具
体例としては、特開昭60−107384号公報、同6
0−107383号公報、同60−125470号公
報、同60−125471号公報、同60−12547
2号公報、同60−287485号公報、同60−28
7486号公報、同60−287487号公報、同60
−287488号公報、同61−160287号公報、
同61−185483号公報、同61−211079号
公報、同62−146678号公報、同62−1466
80号公報、同62−146679号公報、同62−2
82885号公報、同63−051174号公報、同6
3−89877号公報、同63−88380号公報、同
63−088381号公報、同63−203372号公
報、同63−224989号公報、同63−25128
2号公報、同63−267594号公報、同63−18
2484号公報、特開平1−239282号公報、同4
−291685号公報、同4−291684号公報、同
5−188687号公報、同5−188686号公報、
同5−110490号公報、同5−170361号公
報、特公昭48−043294号公報、同48−033
212号公報等に記載されてる化合物を挙げることがで
きる。
【0101】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒド
ロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0102】これらの酸化防止剤および各種添加剤の添
加量は、ジアゾ化合物1重量部に対して0.05〜10
0重量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜3
0重量部であることが好ましい。このような公知の酸化
防止剤および各種添加剤はジアゾ化合物と共にマイクロ
カプセル中に含有させて用いることも、あるいはカプラ
ーや塩基性物質、その他の発色助剤と共に、固体分散物
として、もしくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用
いることも、あるいはその両方の形態で用いることもで
きる。また酸化防止剤および各種添加剤を単独または複
数併用することができるのは勿論である。また、保護層
に添加または存在させることもできる。
【0103】これらの酸化防止剤および各種添加剤は同
一層に添加しなくてもよい。更にこれらの酸化防止剤お
よび各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、ア
ニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノー
ル類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、り
ん化合物、硫黄化合物の様に構造的に分類し、互いに異
なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを
複数組み合わせることもできる。
【0104】本発明の感光感熱記録材料には、記録後の
地肌部の黄着色を軽減する目的で光重合性組成物等に用
いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する
化合物)を加えることができる。遊離基発生剤として
は、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾイ
ンエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシ
ルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量
は、ジアゾ化合物1重量部に対して、遊離基発生剤0.
01〜5重量部が好ましい。
【0105】また同様に黄着色を軽減する目的で、エチ
レン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビ
ニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモ
ノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレ
ン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する
化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を
持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸
及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化
合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジア
ゾ化合物1重量部に対して0.2〜20重量部の割合で
用いる。前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾ
化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いること
もできる。
【0106】本発明では以上の素材の他に酸安定剤とし
てクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロ
リン酸等を添加することができる。
【0107】本発明の感光感熱記録材料は、ジアゾ化合
物を含有したマイクロカプセル、カプラー、及び有機塩
基、その他の添加物を含有した塗布液を調製し、紙や合
成樹脂フィルム等の支持体の上にバー塗布、ブレード塗
布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティン
グ塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等
の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5〜30g
/m2の感熱層を設けることが好ましい。
【0108】本発明の感光感熱記録材料においては、マ
イクロカプセル、カップリング成分、塩基などが同一層
に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型
の構成をとることもできる。また、支持体の上に特願昭
59−177669号等に記載されているような中間層
を設けた後、感熱層を塗布することもできる。
【0109】本発明の感光感熱記録材料において使用さ
れるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物や
ラテックス類などを使用することができる。水溶性高分
子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、ア
ラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニル
アルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カ
ルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリ
ン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチ
ル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド
等及びこれらの変成物等が挙げられ、ラテックス類とし
ては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル
酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマ
ルジョン等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチ
ルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニル
アルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が挙
げられる。
【0110】本発明の感光感熱記録材料に使用できる顔
料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用する
ことができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、
タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポ
ン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シ
リカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸
バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、
尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティク
ル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0111】本発明の感光感熱記録材料においてはその
必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、
導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその
前駆体など各種添加剤を使用することができる。
【0112】本発明の感光感熱記録材料には必要に応じ
て記録層の表面に保護層を設けてもよい。保護層は必要
に応じて二層以上積層してもよい。保護層に用いる材料
としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリ
ビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合
体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、
カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、
スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解
物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解
物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリド
ン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ
などの水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエン
ゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラ
テックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテック
ス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いら
れる。保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より一
層保存安定性を向上させることもでき、その架橋剤とし
ては公知の架橋剤を使用することができる。具体的には
N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−
ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グ
ルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼
砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンな
どが挙げられる。保護層には、さらに公知の顔料、金属
石鹸、ワックス、界面活性剤などを使用することもでき
る。保護層の塗布量は0.2〜5g/m2が好ましく、さ
らには0.5〜2g/m2が好ましい。またその膜厚は
0.2〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好ま
しい。
【0113】本発明の感光感熱記録材料に保護層を使用
する場合、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体
を含有してもよい。本発明の支持体としては、通常の感
圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いら
れる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性
紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネー
ト紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用するこ
とができる。
【0114】支持体のカールバランスを補正するため或
いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バック
コート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して
剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。この
バックコート層についても上記保護層と同様にして設け
ることができる。
【0115】本発明の感光感熱記録材料の記録面にサー
マルヘッド等で加熱すると、ポリウレアおよび/または
ポリウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外のカプ
ラーと塩基化合物がカプセル内に進入して発色する。発
色後はジアゾ化合物の吸収波長の光を照射する事によ
り、ジアゾ化合物が分解しカプラーとの反応性を失うた
め画像の定着が行なわれる。
【0116】定着光源としては、種々の蛍光灯、キセノ
ンランプ、水銀灯などが用いられ、この発光スペクトル
が感光感熱記録材料で用いたジアゾ化合物の吸収スペク
トルにほぼ一致していることが効率よく定着でき好まし
い。本発明においては、発光中心波長が360〜440
nmの定着光源が特に好ましい。
【0117】本発明では、光分解波長が異なる光分解性
ジアゾ化合物を別層に用いることにより多色記録材料と
することもできる。多色感熱記録材料については、特開
平3−288688号、特開平4−135787号、特
開平5−194842号、特開平5−34860号等公
報に記載されている。
【0118】本発明の感光感熱記録材料を多層多色感熱
記録材料とした場合には感光感熱記録層相互の混色を防
ぐため、中間層を設けることもできる。この中間層はゼ
ラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物からな
り、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0119】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれらによって制限されるものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」は『重量部』を意味
する。
【0120】〔実施例1〕 (ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)酢
酸エチル19部にジアゾ化合物(A−38)2.8部、
トリクレジルホスフェート10部を添加して均一に混合
した。次いでこの混合液に壁材としてタケネートD11
0N(武田薬品工業製)7.6部を加え混合しI液を得
た。次にフタル化ゼラチンの8%水溶液46部、水1
7.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%
水溶液2部の混合液に上記I液を添加しホモジナイザー
を使用して40℃、10000rpmで10分間乳分散
した。得られた乳化物に水20部を加えて均一化した
後、攪拌しながら40℃で3時間カプセル化反応をおこ
なわせてカプセル液Aを得た。カプセルの粒径は0.7
〜0.8マイクロメートルであった。
【0121】(カプラー乳化液Bの調製)酢酸エチル1
0.5部にカプラー(K−2)3部、トリフェニルグア
ニジン3部、トリクレジルホスフェート0.5部、マレ
イン酸ジエチル0.24部を溶解しII液を得た。次に
石灰処理ゼラチンの15%水溶液49部、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液9.5部、水35
部を40℃で均一に混合した中にII液を添加しホモジ
ナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分
間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で2時間攪拌
して酢酸エチルを除去後、蒸発した酢酸エチルと水の量
を加水によりおぎない、カプラー乳化液Bを得た。
【0122】(感光感熱記録層塗布液Cの調製)カプセ
ル液A3.6部、水3.3部、カプラー乳化液B9.5
部を混合し、感光感熱記録層塗布液Cを得た。
【0123】(保護層塗布液Dの調製)イタコン酸変性
ポリビニルアルコール(KL−318;商品名、クラレ
株式会社製)6%水溶液100部とエポキシ変性ポリア
ミド(FL−71;商品名、東邦化学株式会社製)30
%の分散液10部とを混合した液に、ステアリン酸亜鉛
40%の分散液(ハイドリンZ;商品名、中京油脂株式
会社製)15部を均一に混合し保護層塗布液Dを得た。
【0124】(塗布)上質紙にポリエチレンをラミネー
トした印画紙用支持体上にワイヤーバーで感熱記録層塗
布液C、保護層塗布液Dの順に順次塗布と50℃での乾
燥を行ない、目的の感熱記録材料を得た。固形分として
の塗布量は各々8.0グラム/m2 、1.2グラム/m
2 であった。
【0125】(発色試験)京セラ株式会社製サーマルヘ
ッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネル
ギーが50mj/mm2 となるようにサーマルヘッドに
対する印画電力およびパルス幅を決め、感熱記録材料に
熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長420n
m、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝した。得
られた発色画像から、可視域における吸収極大波長と半
値幅(吸収極大の吸収度を1.0と規格化した時の吸光
度0.5での吸収波長域の値)を測定した。
【0126】〔実施例2〕カプラーとしてK−27を用
いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作
製、評価した。
【0127】〔実施例3〕ジアゾ化合物としてA−1を
用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を
作製、評価した。
【0128】〔実施例4〕カプラーとしてK−37を用
いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作
製、評価した。
【0129】〔実施例5〕カプラーとしてK−11を用
いた以外は実施例3と同様にして感光感熱記録材料を作
製、評価した。
【0130】〔比較例1〕カプラーとしてH−1を用い
た以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作
製、評価した。
【0131】
【化23】
【0132】以下に実施例1〜5及び比較例1の結果、
およびここで用いたジアゾニウム塩のそれぞれの酢酸エ
チル溶液(2×10-5mol/リットル)を作製し、そ
の溶液の吸収スペクトルから測定した極大波長の結果を
表1に示す。
【表1】
【0133】表1の結果より、本発明の感光感熱記録材
料においては、極めてシャープな吸収特性を有する発色
画像が得られることがわかる。
【0134】
【発明の効果】従って、本発明は、極めてシャープな吸
収特性を有する発色画像を持ち、色再現性に優れる感光
感熱記録材料を提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にジアゾ化合物とカプラーを含
    有する感光感熱記録層を設けた感光感熱記録材料におい
    て、該カプラーとして、下記一般式(1)で表わされる
    2−ホスホラミドチアゾール化合物を少なくとも1種含
    むことを特徴とする感光感熱記録材料。 一般式(1) 【化1】 式中R1 は水素原子、アルキル基、アリール基または、
    ヘテロ環残基を表わし、R2 、R3 はそれぞれアルキル
    基、アリール基、ヘテロ環基、ヘテロ原子を介して連結
    するアルキル基、ヘテロ原子を介して連結するアリール
    基あるいはヘテロ原子を介して連結するヘテロ環残基を
    表わし、R2 、R3 はリン原子とともに環を形成しても
    良い。R4 は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル
    原子を表わし、R5 は水素原子あるいは一般にカップリ
    ング反応に用いられる脱離基を表わす。
  2. 【請求項2】 前記ジアゾ化合物が380〜450nm
    の範囲に吸収極大を有する化合物であることを特徴とす
    る請求項1に記載の感光感熱記録材料。
  3. 【請求項3】 前記ジアゾ化合物は下記一般式(2)で
    表わされる化合物であり、前記カプラーが上記一般式
    (1)で表わされるホスホラミドチアゾール化合物を少
    なくとも1種含むことを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の感光感熱記録材料。 一般式(2) 【化2】 式中R6 はアルキルスルフィニル基、アリールスルフィ
    ニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
    基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カル
    バモイル基、アシル基またはシアノ基を表わし、R7
    8 は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環残
    基を表わす。R7 、R8 は窒素原子と共に環を形成して
    もよい。X- は酸アニオンを表わす。
  4. 【請求項4】 前記ジアゾ化合物がマイクロカプセルに
    内包されていることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
  5. 【請求項5】 ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセ
    ルのカプセル壁がポリウレタンおよび/又はポリウレア
    を構成成分として含むカプセル壁であることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感光感熱
    記録材料。
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