JPH11116392A - シリコン単結晶の引上げ装置 - Google Patents

シリコン単結晶の引上げ装置

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JPH11116392A
JPH11116392A JP28672097A JP28672097A JPH11116392A JP H11116392 A JPH11116392 A JP H11116392A JP 28672097 A JP28672097 A JP 28672097A JP 28672097 A JP28672097 A JP 28672097A JP H11116392 A JPH11116392 A JP H11116392A
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斉 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不活性ガスに混入した不純物によるシリコン単
結晶棒の汚染を防止でき、高純度のシリコン単結晶棒を
得ることができる。 【解決手段】チャンバ11内に設けられた石英るつぼ1
3にシリコン融液12が貯留され、石英るつぼ13の外
周面を包囲するヒータ18がシリコン融液12を加熱す
る。シリコン融液12から引上げられるシリコン単結晶
棒25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表
面から間隔をあけて上方に位置する熱遮蔽部材26がヒ
ータ18からの輻射熱を遮り、ガス給排手段が不活性ガ
スをシリコン単結晶棒25及び熱遮蔽部材26間を流下
させかつシリコン融液12表面を通過させてチャンバ1
1外に排出する。不純ガス排出手段28がシリコン単結
晶棒25及び熱遮蔽部材26間を流下する不活性ガスの
うち熱遮蔽部材26の表面に沿って流下する不活性ガス
を吸引してチャンバ11外に排出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン単結晶棒
を引上げて育成する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置として、図7に示す
ように、チャンバ1内にシリコン融液2が貯留された石
英るつぼ3が収容され、シリコン単結晶棒5の外周面と
石英るつぼ3の内周面との間にシリコン単結晶棒5を囲
むように熱遮蔽部材6が挿入され、更に熱遮蔽部材6の
上端が外方に略水平方向に張り出されたものが知られて
いる。この装置では、熱遮蔽部材6は下方に向うに従っ
て直径が小さくなる筒状に形成され、その下端はシリコ
ン融液2表面近傍まで延びる。また熱遮蔽部材6の上端
は保温筒9の上端に載置され、この熱遮蔽部材6により
ヒータ8からシリコン単結晶棒5に照射される輻射熱が
遮断される。更にチャンバ1に接続されたガス給排手段
(図示せず)によりチャンバ1内に不活性ガスを供給す
ると、この不活性ガスは二点鎖線矢印で示すようにシリ
コン単結晶棒5の外周面を流下し、熱遮蔽部材6下端及
びシリコン融液2表面の隙間を通って石英るつぼ3外に
排出されるようになっている。
【0003】このように構成された装置では、シリコン
融液2中の酸素がSiOガス等となって蒸発するが、こ
のとき熱遮蔽部材6の存在により不活性ガスが熱遮蔽部
材6下端及びシリコン融液2表面の隙間をシリコン単結
晶棒5外周面側から石英るつぼ3内周面側に向って勢い
良く流れるため、上記蒸発したSiOガス等の蒸発物を
シリコン単結晶棒5から遠ざける。この結果、上記蒸発
物がシリコン単結晶棒5に取り込まれてシリコン単結晶
棒5に格子欠陥である転位が発生するのを防止できる。
また熱遮蔽部材6は熱を効率よく遮蔽するため、シリコ
ン単結晶棒5の生産性を向上できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のシ
リコン単結晶の引上げ装置では、シリコン融液から引上
げられるシリコン単結晶棒よりも上方に位置する部材か
ら不純物が発生する場合があり、この不純物が不活性ガ
スに混入してシリコン単結晶棒の外周面まで搬送され、
この不純物によりシリコン単結晶棒が汚染される恐れが
あった。本発明の目的は、不活性ガスに混入した不純物
によるシリコン単結晶棒の汚染を防止でき、高純度のシ
リコン単結晶棒を得ることができるシリコン単結晶の引
上げ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1及び図3に示すように、チャンバ11内に設けられ
シリコン融液12が貯留された石英るつぼ13と、石英
るつぼ13の外周面を包囲しシリコン融液12を加熱す
るヒータ18と、シリコン融液12から引上げられるシ
リコン単結晶棒25の外周面を包囲しかつ下端がシリコ
ン融液12表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ1
8からの輻射熱を遮る熱遮蔽部材26と、不活性ガスを
シリコン単結晶棒25及び熱遮蔽部材26間を流下させ
かつシリコン融液12表面を通過させてチャンバ11外
に排出するガス給排手段27とを備えたシリコン単結晶
の引上げ装置の改良である。その特徴ある構成は、シリ
コン単結晶棒25及び熱遮蔽部材26間を流下する不活
性ガスのうち熱遮蔽部材26の表面に沿って流下する不
活性ガスを吸引してチャンバ11外に排出する不純ガス
排出手段28を備えたところにある。この請求項1に記
載されたシリコン単結晶の引上げ装置では、ガス給排手
段27によりチャンバ11内に供給された不活性ガスに
はチャンバ11内上部の部材から発生した不純物が混入
する場合があり、この不純物はチャンバ11内上部の部
材表面に沿う不活性ガスの流れに乗って流下し、更に熱
遮蔽部材26内周面に沿って流下する。この不純物を含
む不活性ガスはシリコン単結晶棒25に接近する前に不
純ガス排出手段28によりチャンバ11外に排出される
ので、シリコン単結晶棒25が不純物により汚染される
ことは殆どない。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、更に図1に示すように、不純ガス排出手段
28が熱遮蔽部材26内に形成された空洞部26cと、
熱遮蔽部材26の内周壁26dに空洞部26cに連通し
て形成された複数の不純ガス吸引孔26eと、熱遮蔽部
材26の上部に空洞部26cに連通して形成された不純
ガス排出孔26fと、チャンバ11外に設けられ不純ガ
ス排出孔26fに不純ガス排出パイプ28aを介して接
続された吸引装置とを有することを特徴とする。この請
求項2に記載されたシリコン単結晶の引上げ装置では、
熱遮蔽部材26内周面に沿って流下する不純物を含む不
活性ガスは熱遮蔽部材26の内周壁26dに形成された
不純ガス吸引孔26eから吸引され、熱遮蔽部材26の
空洞部26c、不純ガス排出孔26f及び不純ガス排出
パイプ28aを通ってチャンバ11外に排出される。
【0007】請求項3に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、更に図4に示すように、不純ガス排出手段
58が熱遮蔽部材56の内周面に配設され複数の不純ガ
ス吸引孔58bを有する不純ガス吸引パイプ58aと、
チャンバ11外に設けられ不純ガス吸引パイプ58aに
接続された吸引装置とを有することを特徴とする。この
請求項3に記載されたシリコン単結晶の引上げ装置で
は、熱遮蔽部材56内周面に沿って流下する不純物を含
む不活性ガスは不純ガス吸引孔58bから吸引され、不
純ガス吸引パイプ58aを通ってチャンバ11外に排出
される。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を
図面に基づいて説明する。図1〜図3に示すように、シ
リコン単結晶の引上げ装置10のチャンバ11内には、
シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けら
れ、この石英るつぼ13の外面は黒鉛サセプタ14によ
り被覆される。石英るつぼ13の下面は上記黒鉛サセプ
タ14を介して支軸16の上端に固定され、この支軸1
6の下部はるつぼ駆動手段17に接続される(図3)。
るつぼ駆動手段17は図示しないが石英るつぼ13を回
転させる第1回転用モータと、石英るつぼ13を昇降さ
せる昇降用モータとを有し、これらのモータにより石英
るつぼ13が所定の方向に回転し得るとともに、上下方
向に移動可能となっている。石英るつぼ13の外方には
この石英るつぼ13の外周面を所定の間隔をあけて包囲
するヒータ18が設けられ、ヒータ18の外方にはこの
ヒータ18の外周面を所定の間隔をあけて包囲する保温
筒19が設けられる。ヒータ18により石英るつぼ13
に投入された高純度のシリコン多結晶が溶融してシリコ
ン融液12になる。
【0009】またチャンバ11の上面にはチャンバ11
より小径の円筒状のケーシング21が設けられる(図
3)。このケーシング21には引上げ手段22が設けら
れる。引上げ手段22はケーシング21の上端部に水平
状態で旋回可能に設けられた引上げヘッド(図示せず)
と、このヘッドを回転させる第2回転用モータ(図示せ
ず)と、ヘッドから石英るつぼ13の回転中心に向って
垂下されたワイヤケーブル23と、上記ヘッド内に設け
られワイヤケーブル23を巻取り又は繰出す引上げ用モ
ータ(図示せず)とを有する。ワイヤケーブル23の下
端にはシリコン融液12に浸してシリコン単結晶棒25
を引上げるための種結晶24が取付けられる。
【0010】シリコン単結晶棒25の外周面と石英るつ
ぼ13の内周面との間にはシリコン単結晶棒25の外周
面を包囲するように熱遮蔽部材26が挿入される(図1
及び図3)。熱遮蔽部材26は黒鉛により形成され、下
方に向うに従って直径が小さくなる筒状の筒状部26a
と、この筒状部26aの上端から外方に略水平方向に張
り出す円板状のフランジ部26bとを有する(図1〜図
3)。筒状部26aの下端はシリコン融液12表面近傍
まで延び、上端は保温筒19の上端と略同一高さとなる
まで延びる。上記熱遮蔽部材26のフランジ部26bの
下面を保温筒19の上面に設置すると、熱遮蔽部材26
の筒状部26aがチャンバ11内をシリコン単結晶側と
るつぼ内周面側とに区画しかつヒータ18からシリコン
単結晶棒25に照射される輻射熱を遮断するようになっ
ている(図1及び図3)。
【0011】チャンバ11にはアルゴンガスや窒素ガス
等の不活性ガスをシリコン単結晶棒25及び熱遮蔽部材
26間を流下させかつシリコン融液12表面を通過させ
てチャンバ11外に排出するガス給排手段27が接続さ
れる(図3)。ガス給排手段27は一端がケーシング2
1の上部周壁に接続され他端がエアタンク(図示せず)
に接続されたガス供給パイプ27aと、一端がチャンバ
11の下壁に接続され他端が真空ポンプ(図示せず)に
接続されたガス排出パイプ27bとを有する。ガス供給
パイプ27a及びガス排出パイプ27bにはこれらのパ
イプ27a,27bを流れる不活性ガスの流量を調整す
る第1及び第2流量調整弁27c,27dがそれぞれ設
けられる。
【0012】この実施の形態の特徴ある構成は、シリコ
ン単結晶棒25及び熱遮蔽部材26間を流下する不活性
ガスのうち熱遮蔽部材26の表面に沿って流下する不活
性ガスを吸引してチャンバ11外に排出する不純ガス排
出手段28を備えたところにある(図1〜図3)。不純
ガス排出手段28は熱遮蔽部材26内に形成された空洞
部26cと、熱遮蔽部材26の内周壁26dに空洞部2
6cに連通して形成された複数の不純ガス吸引孔26e
と、熱遮蔽部材26の上部に空洞部26cに連通して形
成された不純ガス排出孔26fと、チャンバ11外に設
けられ不純ガス排出孔26fに不純ガス排出パイプ28
aを介して接続された吸引装置(図示せず)とを有す
る。空洞部26cは熱遮蔽部材26の筒状部26a及び
フランジ部26bの全体にわたって形成され、複数の不
純ガス吸引孔26eは筒状部26aの内周壁26dに形
成される。
【0013】また複数の不純ガス吸引孔26eは図2に
詳しく示すように、筒状部26aの内周壁26dの円周
方向に延びるスリット状にそれぞれ形成される。これら
スリット状の不純ガス吸引孔26eは筒状部26aの内
周壁26dの同一円周上に所定の間隔をあけかつシリコ
ン単結晶棒25の引上げ方向に所定の間隔をあけてそれ
ぞれ形成される。複数の不純ガス吸引孔のうち上下に隣
接する不純ガス吸引孔26e同士は内周壁26dの円周
方向に互いにずらして形成することが好ましい。また不
純ガス排出孔26fはフランジ部26bの上壁26gに
形成され、不純ガス排出パイプ28aにはこのパイプ2
8a内の不活性ガスの流量を調整する不純ガス流量調整
弁28bが設けられる。更に吸引装置としては真空ポン
プが用いられ、この真空ポンプは上記ガス給排手段28
のガス排出パイプ27bに接続された真空ポンプでもよ
い。なお、不純ガス吸入孔はスリット状の孔ではなく、
円形孔又はその他の形状の孔でもよい。
【0014】なお、ガス供給パイプ27aからチャンバ
11内に供給される不活性ガスの流量は20〜60リッ
トル/分、更に30〜40リットル/分であることが好
ましい。またガス排出パイプ27bから吸引される不活
性ガスの吸引流量は10〜50リットル/分、更に20
〜30リットル/分であることが好ましく、不純ガス吸
引孔26eから吸引される不活性ガスの吸引流量は2〜
20リットル/分、更に5〜10リットル/分であるこ
とが好ましい。チャンバ11内の不活性ガスの圧力はこ
の不活性ガスの供給口付近で0.014〜0.041k
g/cm2、更に0.016〜0.027kg/cm2
あることが好ましい。
【0015】引上げ用モータの出力軸(図示せず)には
ロータリエンコーダ(図示せず)が接続され、るつぼ駆
動手段17には石英るつぼ13内のシリコン融液12の
重量を検出する重量センサ(図示せず)と、支軸16の
昇降位置を検出するリニヤエンコーダ(図示せず)とが
設けられる。ロータリエンコーダ、重量センサ及びリニ
ヤエンコーダの各検出出力はコントローラ(図示せず)
の制御入力に接続され、コントローラの制御出力は引上
げ手段22の引上げ用モータ、るつぼ駆動手段17の昇
降用モータにそれぞれ接続される。またコントローラに
はメモリ(図示せず)が設けられ、このメモリにはロー
タリエンコーダの検出出力に対するワイヤケーブル23
の巻取り長さ、即ちシリコン単結晶棒25の引上げ長さ
がマップとして記憶され、重量センサの検出出力に対す
る石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面レベルが
マップとして記憶される。コントローラは重量センサの
検出出力に基づいて石英るつぼ13内のシリコン融液1
2の液面が常に一定のレベルに保つように、るつぼ駆動
手段17の昇降用モータを制御する。
【0016】このように構成されたシリコン単結晶の引
上げ装置の動作を説明する。シリコン単結晶棒25を引
上げるときには、第1及び第2流量調整弁27c,7d
と不純ガス流量調整弁28bとを調整することにより、
シリコン融液12表面と熱遮蔽部材26下端との間を通
過する不活性ガスの流量と不純ガス吸引孔26eから吸
引される不活性ガスの流量をそれぞれ調整する。
【0017】またガス供給パイプ27aからチャンバ1
1内に供給された不活性ガスにはチャンバ11内上部の
部材から発生した鉄や銅等の重金属の不純物が混入する
場合がある。この不純物はチャンバ11内上部の部材表
面に沿う不活性ガスの流れに乗って流下し、更に熱遮蔽
部材26の筒状部26a内周面に沿って流下する。この
とき熱遮蔽部材26の内周壁26dに形成された不純ガ
ス吸引孔26eから上記不純物を含む不活性ガス、即ち
不純ガスが吸引され、熱遮蔽部材26の空洞部26a、
不純ガス排出孔26f及び不純ガス排出パイプ28aを
通ってチャンバ11外に排出される、即ち不純ガスがシ
リコン単結晶棒25に接近する前にチャンバ11外に排
出される。この結果、シリコン融液12から引上げられ
るシリコン単結晶棒25周囲の不活性ガスは不純物を殆
ど含まず、上記シリコン単結晶棒25が不純物により汚
染されることは殆どないので、高純度のシリコン単結晶
棒25を製造することができる。
【0018】図4〜図6は本発明の第2の実施の形態を
示す。図4及び図6において図1及び図3と同一符号は
同一部品を示す。この装置では、不純ガス排出手段58
が熱遮蔽部材56の内周面に配設された不純ガス吸引パ
イプ58aと、不純ガス吸引パイプ58aに接続された
吸引装置(図示せず)とを有する。熱遮蔽部材56は黒
鉛により形成され、下方に向うに従って直径が小さくな
る筒状の筒状部56aと、この筒状部56aの上端から
外方に略水平方向に張り出す円板状のフランジ部56b
とを有する(図4〜図6)。筒状部56a及びフランジ
部56bは上記第1の実施の形態の筒状部及びフランジ
部のような空洞部を有しないことを除いて、第1の実施
の形態の筒状部及びフランジ部と略同一形状に形成され
る。
【0019】不純ガス吸引パイプ58aは黒鉛によりリ
ング状に形成された単一のパイプであり、筒状部56a
の内周面に沿って水平に配設される。また不純ガス吸引
パイプ58aには所定の間隔をあけて複数の不純ガス吸
引孔58bが形成される。吸引装置は第1の実施の形態
の吸引装置と同じ装置が用いられ、チャンバ11外に設
けられる。不純ガス吸引パイプ58aは不純ガス排出パ
イプ58cを介して吸引装置に接続され、不純ガス排出
パイプ58cは不純ガス吸引パイプ58aを保持する役
割も果たす。また不純ガス排出パイプ58cには不純ガ
ス流量調整弁28bが設けられる。上記以外は第1の実
施の形態と同一に構成される。
【0020】このように構成されたシリコン単結晶の引
上げ装置では、熱遮蔽部材56の筒状部56a内周面に
沿って流下する不純ガス(不純物を含む不活性ガス)が
不純ガス吸引孔58bから吸引され、不純ガス吸引パイ
プ58a及び不純ガス排出パイプ58cを通ってチャン
バ11外に排出されることを除いて、動作は上記第1の
実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略す
る。また第1の実施の形態と異なって、この実施の形態
の不純ガス排出手段58は既製の熱遮蔽部材56に付加
して設けることができる。なお、この実施の形態では、
単一の不純ガス吸引パイプを熱遮蔽部材の筒状部内周面
に沿って配設したが、2本以上の不純ガス吸引パイプを
熱遮蔽部材の筒状部内周面に沿って配設してもよい。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明する。 <実施例1>図1〜図3に示すように、チャンバ11内
に空洞部26cを有する黒鉛製の熱遮蔽部材26を挿入
してこの熱遮蔽部材26の上壁を保温筒19の上面に設
置し、第1流量調整弁27cを調整することによりガス
供給パイプ27aからチャンバ内11にアルゴンガスを
30リットル/分の流量で供給した。また第2流量調整
弁27dを調整することによりチャンバ11内のアルゴ
ンガスをガス排出パイプ27bから25リットル/分の
流量で吸引し、不純ガス流量調整弁28bを調整するこ
とにより筒状部26a内周面を流下するアルゴンガスを
不純ガス吸引孔26eから5リットル/分で吸引した。
チャンバ11内の不活性ガスの圧力はこの不活性ガスの
供給口付近で0.020kg/cm2であった。上記石
英るつぼ13の内径は400mmであり、この石英るつ
ぼ13に貯留されたシリコン融液12の重量は40kg
であった。熱遮蔽部材26の筒状部26aの上端及び下
端の内径はそれぞれ350mm及び200mmであり、
筒状部26aの高さは300mmであった。また各不純
ガス吸引孔26eの幅及び長さはそれぞれ10mm及び
50mmであり、これらの個数は24個であった。更に
筒状部26a下端及びシリコン融液12表面間の距離は
25mmであった。
【0022】<実施例2>図4〜図6に示すように、シ
リコン単結晶棒25外周面と石英るつぼ13内周面との
間にシリコン単結晶棒25の外周面を包囲するように空
洞部のない黒鉛製の熱遮蔽部材56を挿入し、この熱遮
蔽部材56の筒状部56a内周面に沿って単一の不純ガ
ス吸引パイプ58aを配設した。第1流量調整弁27c
を調整することによりガス供給パイプ27aからチャン
バ内11にアルゴンガスを30リットル/分の流量で供
給した。また第2流量調整弁27dを調整することによ
りチャンバ11内のアルゴンガスをガス排出パイプ27
bから25リットル/分の流量で吸引し、不純ガス流量
調整弁28bを調整することにより筒状部56a内周面
を流下するアルゴンガスを不純ガス吸引孔58bから5
リットル/分で吸引した。チャンバ11内の不活性ガス
の圧力はこの不活性ガスの供給口付近で0.020kg
/cm2であった。熱遮蔽部材56の寸法は実施例1の
熱遮蔽部材の寸法と略同一であり、不純ガス吸引パイプ
58aのリング内径及びパイプ58a自体の内径はそれ
ぞれ200mm及び15mmであった。また不純ガス吸
引パイプ58aには直径5mmの不純ガス吸引孔58b
を12個形成した。更に不純ガス吸引パイプ58aは筒
状部56aの下端から60mm上方に配設した。上記以
外は実施例1と同一に構成した。
【0023】<比較例1>図7に示すように、シリコン
単結晶棒5の外周面と石英るつぼ3の内周面との間にシ
リコン単結晶棒5を囲むように実施例2と同一形状の熱
遮蔽部材6を挿入し、ガス供給パイプ(図示せず)から
チャンバ1内にアルゴンガスを30リットル/分の流量
で供給し、チャンバ1内のアルゴンガスをガス排出パイ
プ(図示せず)から30リットル/分の流量で吸引し
た。チャンバ1内の不活性ガスの圧力はこの不活性ガス
の供給口付近で0.020kg/cm2であった。また
実施例2の不純ガス吸引パイプは用いなかった。上記以
外は実施例2と同一に構成した。
【0024】<比較試験と評価>実施例1、実施例2並
びに比較例1の装置にて直径が150mmのシリコン単
結晶棒を製造した後、これらのシリコン単結晶棒を厚さ
2mmにスライスし、結晶の外周付近に相当する部分を
選んで切断して板状試料をそれぞれ作成した。これらの
試料の表面を混酸でミラーエッチングし、酸素ドナーの
消去のため熱処理を行った後、DLTS(Deep level t
ransient spectroscopy)法によって各試験片内部のF
e、Mo、Cuの濃度をそれぞれ測定した。この測定結
果を表1に示す。なお、上記濃度の測定位置は結晶外周
から約5mm内側に相当する部分とした。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかなように、実施例1及び実
施例2では金属不純物濃度がDLTS法の検出下限以下
であり、比較例1と比較して殆ど汚染のない高純度の結
晶を得ることができた。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、シ
リコン単結晶棒及び熱遮蔽部材間を流下する不活性ガス
のうち熱遮蔽部材の表面に沿って流下する不純物を含む
不活性ガスをシリコン単結晶棒に接近する前に不純ガス
排出手段が吸引してチャンバ外に排出するように構成し
たので、シリコン単結晶棒周囲の不活性ガスは不純物を
殆ど含まず、上記シリコン単結晶棒が不純物により汚染
されることは殆どない。この結果、高純度のシリコン単
結晶棒を製造することができる。また熱遮蔽部材内に空
洞部を形成し、熱遮蔽部材の内周壁に空洞部に連通して
複数の不純ガス吸引孔を形成し、熱遮蔽部材の上部に空
洞部に連通して不純ガス排出孔を形成し、更にチャンバ
外に設けられた吸引装置を不純ガス排出パイプを介して
不純ガス排出孔に接続すれば、熱遮蔽部材内周面に沿っ
て流下する不純物を含む不活性ガスは不純ガス吸引孔か
ら吸引され、空洞部、不純ガス排出孔及び不純ガス排出
パイプを通ってチャンバ外に排出されるので、上記と同
様の効果が得られる。更に複数の不純ガス吸引孔を有す
る不純ガス吸引パイプを熱遮蔽部材の内周面に配設し、
チャンバ外に設けられた吸引装置を不純ガス吸引パイプ
に接続すれば、熱遮蔽部材内周面に沿って流下する不純
物を含む不活性ガスは不純ガス吸引孔から吸引され、不
純ガス吸引パイプを通ってチャンバ外に排出されるの
で、上記と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態のシリコン単結晶の引上げ
装置を示す図3のA部拡大断面図。
【図2】その引上げ装置の不純ガス排出手段を含む熱遮
蔽部材の要部破断斜視図。
【図3】その引上げ装置の縦断面図。
【図4】本発明の第2実施形態を示す図6のB部拡大断
面図。
【図5】その引上げ装置の不純ガス排出手段を含む熱遮
蔽部材の要部破断斜視図。
【図6】その引上げ装置の縦断面図。
【図7】従来例を示す図1に対応する断面図。
【符号の説明】
10 シリコン単結晶の引上げ装置 11 チャンバ 12 シリコン融液 13 石英るつぼ 18 ヒータ 25 シリコン単結晶棒 26,56 熱遮蔽部材 26c 空洞部 26d 内周壁 26e,58b 不純ガス吸引孔 26f 不純ガス排出孔 27 ガス給排手段 28,58 不純ガス排出手段 28a 不純ガス排出パイプ 58a 不純ガス吸引パイプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバ(11)内に設けられシリコン融液
    (12)が貯留された石英るつぼ(13)と、前記石英るつぼ(1
    3)の外周面を包囲し前記シリコン融液(12)を加熱するヒ
    ータ(18)と、前記シリコン融液(12)から引上げられるシ
    リコン単結晶棒(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シ
    リコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置し前記
    ヒータ(18)からの輻射熱を遮る熱遮蔽部材(26,56)と、
    不活性ガスを前記シリコン単結晶棒(25)及び前記熱遮蔽
    部材(26,56)間を流下させかつ前記シリコン融液(12)表
    面を通過させて前記チャンバ(11)外に排出するガス給排
    手段(27)とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置におい
    て、 前記シリコン単結晶棒(25)及び前記熱遮蔽部材(26,56)
    間を流下する不活性ガスのうち前記熱遮蔽部材(26,56)
    の表面に沿って流下する前記不活性ガスを吸引して前記
    チャンバ(11)外に排出する不純ガス排出手段(28,58)を
    備えたことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置。
  2. 【請求項2】 不純ガス排出手段(28)が熱遮蔽部材(26)
    内に形成された空洞部(26c)と、前記熱遮蔽部材(26)の
    内周壁(26d)に前記空洞部(26c)に連通して形成された複
    数の不純ガス吸引孔(26e)と、前記熱遮蔽部材(26)の上
    部に前記空洞部(26c)に連通して形成された不純ガス排
    出孔(26f)と、チャンバ(11)外に設けられ前記不純ガス
    排出孔(26f)に不純ガス排出パイプ(28a)を介して接続さ
    れた吸引装置とを有する請求項1記載のシリコン単結晶
    の引上げ装置。
  3. 【請求項3】 不純ガス排出手段(58)が熱遮蔽部材(56)
    の内周面に配設され複数の不純ガス吸引孔(58b)を有す
    る不純ガス吸引パイプ(58a)と、チャンバ(11)外に設け
    られ前記不純ガス吸引パイプ(58a)に接続された吸引装
    置とを有する請求項1記載のシリコン単結晶の引上げ装
    置。
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