JPH11114487A - 複層上塗塗膜形成法 - Google Patents

複層上塗塗膜形成法

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JPH11114487A
JPH11114487A JP30336097A JP30336097A JPH11114487A JP H11114487 A JPH11114487 A JP H11114487A JP 30336097 A JP30336097 A JP 30336097A JP 30336097 A JP30336097 A JP 30336097A JP H11114487 A JPH11114487 A JP H11114487A
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JP
Japan
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paint
acrylic resin
coating
group
epoxy group
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JP30336097A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Nagano
裕幸 永野
Hideo Sukai
英生 須貝
Yasumasa Okumura
保正 奥村
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 層間付着性、耐汚染性にすぐれ、汚染物質を
容易に除去することが可能な複層上塗塗膜の形成方法を
提供すること。 【解決手段】 第1塗料(A)および第2塗料(B)を
塗装し、加熱して該両塗膜を硬化せしめ、さらにクリヤ
塗料(C)を塗装し加熱硬化せしめる。上記第2塗料
(B)として、アクリル樹脂(B−1)と、エポキシ基
含有アクリル樹脂(B−2a)、アルコキシシラン基含
有アクリル樹脂(B−2b)およびトリス(アルコキシ
カルボニルアミノ)トリアジン(B−2c)から選ばれ
る少なくとも1種の成分とを含有する有機溶剤系塗料を
使用し、そして上記クリヤ塗料(C)として、エポキシ
基を有する化合物(C−1)、エポキシ基含有アクリル
樹脂(C−2)、カチオン重合性触媒(C−3)を含ん
でなる有機溶剤系塗料を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層間付着性、耐汚
染性にすぐれ、しかも付着した汚染物質を容易に除去す
ることが可能な複層上塗塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車外板などにカチオン電
着塗料などの下塗塗料および中塗塗料を塗装した後、第
1塗料、第2塗料およびクリヤ塗料を塗装して複層上塗
塗膜を形成することは公知である。
【0003】このクリヤ塗料として、一般に、水酸基含
有アクリル樹脂およびメラミン樹脂を含有する有機溶剤
系塗料や、カルボキシル基含有樹脂およびエポキシ基含
有樹脂を含有する有機溶剤系塗料(通称、酸エポキシ型
塗料)などが使用されている。しかしながら、これらの
クリヤ塗料の塗膜は、いずれも耐汚染性が劣り、付着し
た汚染物質を痕跡なく除去することは困難である。
【0004】自動車外板の上塗塗膜には、汚染物質(例
えば、鳥糞、花粉、虫の死骸など)、鉄粉、砂泥、排気
スス(カ−ボン、パラフィンなど)が付着したり、浸み
込んだり、めりこんだりして汚染しやすい。例えば、塗
膜に付着した鳥糞は乾燥固化の際に凝縮するが、それに
伴って塗膜面もちぢんでその部分の光沢や鮮映性などの
外観が低下し、また、花粉や虫の死骸などは雨などで濡
れるとたんぱく質やアミノ酸など溶出し、これが塗膜に
浸み込んで汚染源になる可能性がある。また、鉄粉、砂
泥、排気ススなどは塗膜に付着またはめりこんだりして
汚染源になる。
【0005】一方、自動車外板部は屋外放置すると、太
陽熱により60℃以上になることがあり、かかる高温で
は上塗塗膜が軟化して、これらの汚染がさらに促進され
やすくなる。このようにして塗膜が汚染されると、単に
拭き取ったり、または洗剤やワックスなどを使用しても
除去することができず、美観性を損ねることになる。
【0006】本出願人は、脂環式エポキシ基含有化合
物、水酸基およびエポキシ基含有アクリル樹脂および熱
潜在性カチオン重合性触媒を含有する有機溶剤塗料をク
リヤ塗料として使用してなる複層塗膜が、これらの欠陥
を解消し、耐汚染性に優れ、付着した汚染物質を痕跡な
く除去することが可能であることを見出し、すでに提案
している。(特願平 8−339091号明細書参
照)。
【0007】ところが、第1塗料および第2塗料を塗装
し、加熱して該両塗膜を硬化せしめ、さらにクリヤ塗料
を塗装し加熱硬化せしめてなる複層塗膜において、上記
のクリヤ塗料を使用すると、耐汚染性などはすぐれてい
るが、特に、第2塗料塗膜を研磨(サンディング)しな
いでクリヤ塗料を塗装すると、該第2塗料塗膜とクリヤ
塗膜との層間付着性が十分でないという欠点があること
が判明した。
【0008】しかして、本発明の主たる目的は、第1塗
料および第2塗料を塗装し、加熱して該両塗膜を硬化せ
しめ、さらにクリヤ塗料として、脂環式エポキシ基含有
化合物、水酸基およびエポキシ基含有アクリル樹脂およ
び熱潜在性カチオン重合性触媒を含んでなる有機溶剤塗
料を塗装し、加熱硬化せしめてなる3コ−ト2ベイク方
式(3B2C)による複層塗膜形成方法における耐汚染
性などを低下させずに、第2塗料塗膜とクリヤ塗膜との
層間付着性を改良することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を行なった結果、第2塗料とし
て、長鎖水酸基および短鎖水酸基を含有するアクリル樹
脂と、脂環式エポキシ基含有アクリル樹脂、アルコキシ
シラン基含有アクリル樹脂およびトリス(アルコキシカ
ルボニルアミノ)トリアジンから選ばれる少なくとも1
種の成分とを含有する有機溶剤系塗料を使用することに
より、クリヤ塗膜の優れた耐汚染性を低下させず、付着
した汚染物質を痕跡なく除去することが可能であり、し
かも第2塗料塗膜とクリヤ塗膜との層間付着性を改良す
ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】かくして、本発明は、第1塗料(A)およ
び第2塗料(B)を塗装し、加熱して該両塗膜を硬化せ
しめ、さらにクリヤ塗料(C)を塗装し加熱硬化せしめ
る複層上塗塗膜形成方法であって、上記第2塗料(B)
として、長鎖水酸基および短鎖水酸基を含有するアクリ
ル樹脂(B−1)と、脂環式エポキシ基含有アクリル樹
脂(B−2a)、アルコキシシラン基含有アクリル樹脂
(B−2b)およびトリス(アルコキシカルボニルアミ
ノ)トリアジン(B−2c)から選ばれる少なくとも1
種の成分とを含有する有機溶剤系塗料を使用し、そして
上記クリヤ塗料(C)として、1分子中に脂環式エポキ
シ基を2個以上有する数平均分子量が2000未満の化
合物(C−1)、数平均分子量が2000〜5000
0、水酸基価が10〜150mgKOH/gおよびエポ
キシ当量が220以下であるエポキシ基含有アクリル樹
脂(C−2)、および熱潜在性カチオン重合性触媒(C
−3)を含んでなり、(C−1)成分のエポキシ基対
(C−2)成分のエポキシ基のモル比が1:1〜1:
0.05である有機溶剤系塗料を使用することを特徴と
する複層上塗塗膜形成法を提供するものである。
【0011】本発明により形成される複層上塗塗膜にお
いて、クリヤ塗料(C)の組成を適宜に選択することに
より、ツ−コン硬度(20℃)が15以上、破断応力が
500Kg/cm2以上、およびヤング率20000K
g/cm2以上である硬化のクリヤ塗膜を容易に形成す
ることができ、これらの特性値を有する塗膜は、従来の
塗料に比べて硬質かつ強靭であり、しかも60℃以上の
高温に晒されても軟化することがなく、汚染物質が浸み
込んだり、めりこんだりすることがなく、汚染物質が付
着しても容易に除去することができ、塗膜の耐汚染性を
顕著に改善することができ、しかも耐候性、仕上り外
観、耐酸性などもすぐれている。
【0012】本明細書において「ツーコン硬度(20
℃)」は、塗料ガラス板に硬化塗膜で30μmになるよ
うに塗装し、所定の条件、例えば140℃で30分間加
熱硬化した塗膜を、20℃において、American Chain &
Cable Company 製の TUKON microhardness tester に
て測定した時の値であり、その数値が大きいほど硬質で
あることを意味する。既知の熱硬化性を塗料によって形
成される硬化塗膜のツーコン硬度は通常5〜10程度で
あるから、本発明のクリヤ塗料(C)によって形成する
ことができるツーコン硬度(20℃)が15以上の硬化
塗膜がいかに硬質であるかが理解されよう。
【0013】また「破断応力」は、塗料をガラス板に硬
化塗膜で30μmになるように塗装し、所定の条件、例
えば140℃で30分間加熱硬化しガラス板から剥離し
た塗膜を、20℃において、オリエンテックコーポレー
ション製のテンシロンメーターを用いて測定したときの
値であり、その数値が大きいほど塗膜強度が高いことを
示す。既知の熱硬化性塗料によって形成される塗膜の破
断応力は通常300〜500Kg/cm2程度であるか
ら、本発明のクリヤ塗料(C)を用いて形成されうる破
断応力が500Kg/cm2以上の塗膜は、既知の熱硬
化性塗料を用いて形成される塗膜よりも破断応力が高
く、強靭である。
【0014】さらに、「ヤング率」は上記の破断応力と
同様にして測定される値であり、その数値が大きいほど
塗膜硬度が高いことを示す。既知の熱硬化性塗料のヤン
グ率は通常10000〜20000Kg/cm2程度あ
るから、本発明のクリヤ塗料(C)を用いて形成されう
るヤング率が20000Kg/cm2以上の塗膜は、既
知の熱硬化性塗料を用いて形成される塗膜に比べて硬質
である。
【0015】さらに、上記の第2塗料(B)を使用する
ことにより、その硬化塗面を研磨することなしにクリヤ
塗料(C)を塗装しても、該両塗膜の層間付着性は著る
しく向上する。しかも、本発明の方法により形成される
複層上塗塗膜は深み感があり、意匠性にすぐれ、それが
長期にわたって持続しうるという利点も有している。
【0016】以下、本発明の複層上塗塗膜形成法につい
てさらに詳細に説明する。
【0017】第1塗料(A):本発明の方法に従い、被
塗面に塗装される第1塗料(A)としては、樹脂成分、
着色顔料および溶剤を含有する既知の熱硬化性塗料を使
用することができ、ソリッドカラー塗料、メタリック塗
料、光干渉模様塗料などが包含される。
【0018】具体的には、樹脂成分は、架橋性官能基
(例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アル
コキシシラン基礎など)を有するアクリル樹脂、ビニル
樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂
などから選ばれる1種またはそれ以上の基体樹脂と、こ
れらを架橋硬化させるためのアルキルエ−テル化したメ
ラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ブロックされ
ていてもよいポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合
物、カルボキシル基含有化合物などから選ばれた1種も
しくはそれ以上の架橋剤成分とからなり、該両成分の合
計重量を基準にして、基体樹脂は50〜90%、架橋剤
成分は50〜10%の比率で併用することが好ましい。
【0019】また、着色顔料としては、ソリッドカラ−
用、メタリック用、光干渉模様用の顔料が包含され、例
えば、酸化チタン、亜鉛華、カ−ボンブラック、カドミ
ウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロ−、酸化ク
ロム、プルシアンブル−、コバルトブル−などの無機顔
料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔
料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料
などの有機顔料;りん片状のアルミニウム、雲母、金属
酸化物で表面被覆した雲母、雲母状酸化鉄などのメタリ
ック顔料などがあげられ、これらは単独でもしくは2種
以上を組合わせて使用することができる。
【0020】さらに、溶剤としては有機溶剤および/ま
たは水を使用することができる。このうち、有機溶剤と
しては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トル
エン、シクロヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸エチレングリコ−ルモノメチルエ−テ
ル、酢酸ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テルなど
のエステル系;イソプロピルエ−テル、エチレングリコ
−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブ
チルエ−テルなどのエ−テル系;エチルアルコ−ル、ブ
チルアルコ−ル、ヘキシルアルコ−ルなどのアルコ−ル
系;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イ
ソホロン、アセトフェノンなどのケトン系などの通常の
塗料用溶剤を使用することができる。
【0021】第1塗料(A)には、必要に応じてさら
に、体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、流動調整剤、
はじき防止剤などの通常の塗料用添加剤を配合すること
ができる。
【0022】本発明において、第1塗料(A)は、自動
車用の金属製もしくはプラスチック製の材料に直接、ま
たは該材料にカチオン電着塗料などの下塗塗料および場
合によりさらに中塗塗料を塗装し、硬化させてなる塗面
に塗装することができる。この第1塗料(A)の単独塗
膜は下地隠蔽性にすぐれており、該塗膜を透して下層の
被塗面の色調を見ることはできず、その白黒隠蔽膜厚は
50μm以下、特に35μm以下であることが好まし
い。
【0023】ここで、隠蔽膜厚は、JIS K 540
0 7,2(2)(f)に規定される白黒の市松模様の
隠蔽力試験紙に、膜厚が連続的に変わるように試料を傾
斜塗りし、乾燥後、拡散昼光のもとで塗面を目視で観察
し、隠蔽力紙の白黒の市松模様が見えなくなる膜厚のこ
とである。
【0024】第1塗料(A)は、エアレススプレ−、エ
アスプレ−、静電塗装などにより、硬化塗膜で約10〜
約50μmになるような膜厚に塗装することができ、必
要により室温〜約100℃で数分間放置してから、この
未硬化塗面に、下記の第2塗料(B)を塗装する。
【0025】第2塗料(B):本発明に従い上記第1塗
料の未硬化塗面に塗装される第2塗料(B)は、無色透
明塗膜または第1塗料塗膜の色調を透視できる程度に着
色されているソリッドカラ−調、メタリック調または光
干渉模様調の有色透明塗膜を形成するものである。
【0026】第2塗料(B)は、長鎖水酸基および短鎖
水酸基を含有するアクリル樹脂(B−1)と、脂環式エ
ポキシ基含有アクリル樹脂(B−2a)、アルコキシシ
ラン基含有アクリル樹脂(B−2b)およびトリス(ア
ルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(B−2c)か
ら選ばれる少なくとも1種の成分とを含有する有機溶剤
系塗料であり、さらに必要に応じて、着色顔料、体質顔
料、紫外線吸収剤、光安定剤、流動調整剤、はじき防止
剤などの通常の塗料用添加剤を含有することができる。
【0027】アクリル樹脂(B−1)はその主骨格はア
クリル系重合性単量体を必須構成成分とする重合体鎖か
らなり、そして2個以上の水酸基が該重合体鎖にペンダ
ント状に結合した構造のものである。該水酸基はアクリ
ル樹脂の重合体鎖(主骨格)に、炭素、酸素、窒素など
の原子側鎖を介して結合しており、該アクリル樹脂(B
−1)は、該側鎖の長さ(原子数)が異なるものを2個
以上有していることが必要である。
【0028】アクリル樹脂(B−1)において、水酸基
とアクリル樹脂主骨格とを結ぶ側鎖が長いものを「長鎖
水酸基」、少ないものを「短鎖水酸基」といい、これら
両者の間の側鎖の長さの差は該側鎖を構成する原子の数
の差で表わして、1個以上、好ましくは2以上、さらに
好ましくは3〜20である。
【0029】アクリル樹脂(B−1)は、例えば、水酸
基含有重合性単量体およびアクリル系重合性単量体を必
須成分とし、必要に応じてその他の重合性単量体を用い
て共重合することにより得ることができる。
【0030】水酸基含有重合性単量体は、1分子中に水
酸基および重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する
化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)
アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステ
ル;ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−
ル、ポリブチレングリコ−ルなどのポリ−テルグリコ−
ルと(メタ)アクリル酸とのモノエステル;ポリエチレ
ングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリブチレ
ングリコ−ルなどのポリ−テルグリコ−ルと上記のヒド
ロキシアルキルエステルとのモノエ−テル;α,β−不
飽和カルボン酸とカ−ジュラE−10(シェル化学社
製、商品名)やα−オレフィンエポキシドのようなモノ
エポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリ
レ−トと酢酸、プロピオン酸、p−t−ブチル安息香酸
のような一塩基酸との付加物;上記のヒドロキシアルキ
ルエステルにε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バ
レロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクト
ン、δ−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、β−プ
ロピオラクトン、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類
を1〜5モル反応させてなるラクトン変性アクリルモノ
マ−などがあげられる。
【0031】上記のラクトン変性アクリルモノマ−の市
販品として、例えば、ダイセル化学工業(株)製商品名
で、プラクセルFA−1、プラクセルFA−2、プラク
セルFA−3(ヒドロキシエチルアクリレ−トにε−カ
プロラクトンを付加したモノマ−)、プラクセルFM−
1、プラクセルFM−3、プラクセルFM−5(ヒドロ
キシエチルメタクリレ−ト1モルにε−カプロラクトン
をそれぞれ1モル、3モル、5モルを付加したモノマ
−)、ユニオンカ−バイド社(アメリカ)製商品名で、
TONEm−100(ヒドロキシエチルアクリレ−ト1
モルにε−カプロラクトン2モルを付加したモノマ−)
などがあげられる。さらに、水酸基を含有するアクリル
樹脂にこれらのラクトン類を反応させても同様に水酸基
を導入することができる。
【0032】これらの水酸基含有重合性単量体として、
水酸基と重合性不飽和結合の間に介在する原子鎖の長さ
の異なる少なくとも2種の単量体を併用することによ
り、長鎖水酸基と短鎖水酸基を含有するアクリル樹脂を
得ることができる。
【0033】アクリル系重合性単量体は、アクリル酸ま
たはメタクリル酸と炭素数1〜24の1価脂肪族または
脂環式アルコ−ルとのモノエステル化物が包含され、例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オク
チル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸
ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどがあ
げられる。
【0034】その他の重合性単量体は、上記の水酸基含
有重合性単量体およびアクリル系重合性単量体以外の重
合性不飽和基含有化合物であり、具体的には下記のモノ
マ−を例示することができる。
【0035】i)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキ
シ基含有重合性モノマ−。
【0036】ii)N−メチロ−ル(メタ)アクリルア
ミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N
−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド
系重合性モノマ−。
【0037】iii)エチルビニルエ−テル、プロピル
ビニルエ−テル、ブチルビニルエ−テル、ヘキシルビニ
ルエ−テル、シクロペンチルビニルエ−テル、シクロヘ
キシルビニルエ−テル、フェニルビニルエ−テル、ベン
ジルビニルエ−テル、アリルグリシジルエ−テルなどの
ビニルエ−テル。
【0038】iv)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
エチレン、プロピレン、塩化ビニル、スチレン、α−メ
チルスチレン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレ−ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレ−ト、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アク
リロニトリル、ビニルピドリドンなど。
【0039】v)グリシジル(メタ)アクリレ−ト、メ
チルグリシジル(メタ)アクリレ−ト、アリルグリシジ
ルエ−テル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレ−トなどのエポキシ基含有重合性単量
体。
【0040】アクリル樹脂(B−1)は、上記の水酸基
含有重合性単量体およびアクリル系重合性単量体を必須
成分とし、必要に応じてその他の重合性単量体を用い
て、例えば、ラジカル重合触媒を使って通常の方法によ
り溶液重合することによって調製することができる。
【0041】これらの各モノマ−の構成比率は、生成す
るアクリル樹脂の水酸基価が50〜200mgKOH/
g、好ましくは70〜150mgKOH/gの範囲内と
なるように選択することができ、また、得られるアクリ
ル樹脂の数平均分子量は3000〜50000、特に5
000〜20000の範囲内にあることが好ましい。な
お、上記の水酸基価は、長鎖水酸基と短鎖水酸基との合
計であり、その比率は、前者が10〜90%、特に30
〜50%、後者が90〜10%、特に70〜50%の範
囲内にあることが好ましい。
【0042】脂環式エポキシ基含有アクリル樹脂(B−
2a)において、「脂環式エポキシ基」とは脂環式炭化
水素の環を構成する2個の隣接炭素原子と1個の酸素原
子により形成されるオキシラン環(2個の炭素原子と1
個の酸素原子とで構成される3員環)であり、上記の脂
環式炭化水素環は、通常3〜12個、好ましくは5〜6
個の炭素原子を有することができる。
【0043】脂環式エポキシ基含有アクリル樹脂(B−
2a)は、例えば、脂環式エポキシ基含有重合性単量体
およびアクリル系重合性単量体を必須成分とし、さらに
必要に応じて水酸基含有重合性単量体および/またはそ
の他の重合性単量体を使用し、それらを共重合すること
により得ることができる。
【0044】脂環式エポキシ基含有重合性単量体は、1
分子中に脂環式エポキシ基および重合性不飽和二重結合
をそれぞれ少なくとも1個づつ有する化合物であり、例
えば、下記一般式で示される化合物などがあげられる。
【0045】
【化1】
【0046】
【化2】
【0047】上記式中、R1は同一もしくは異なり水素
原子又はメチル基を示し、R2は同一もしくは異なりC
1〜8の炭化水素基を示し、R3は同一もしくは異なりC
1〜20の炭化水素基を示し、wは0〜10の整数を示
す。
【0048】アクリル系重合性単量体は、アクリル酸ま
たはメタクリル酸と炭素数1〜24の1価脂肪族または
脂環式アルコ−ルとのモノエステル化物が包含され、例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オク
チル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸
ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどがあ
げられる。
【0049】水酸基含有重合性単量体は、1分子中に水
酸基および重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する
化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)
アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステ
ル;ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−
ル、ポリブチレングリコ−ルなどのポリ−テルグリコ−
ルと(メタ)アクリル酸とのモノエステルなどがあげら
れる。
【0050】その他の重合性単量体は、上記の脂環式エ
ポキシ基含有重合性単量体、アクリル系重合性単量体お
よび水酸基含有重合性単量体以外の重合性単量体であ
り、前記のアクリル樹脂(B−1)を構成する単量体と
して例示した前記の「その他の重合性単量体」の中から
選ばれるものが好適である。
【0051】アクリル樹脂(B−2a)は、以上に述べ
た脂環式エポキシ基含有重合性単量体およびアクリル系
重合性単量体、そして場合によりさらに水酸基含有重合
性単量体および/またはその他の重合性単量体を使用
し、例えば、ラジカル重合触媒を使って通常の方法によ
り溶液重合することによって調製することができる。
【0052】これらの各重合性単量体の構成比率は、生
成するアクリル樹脂のエポキシ基当量が100〜50
0、特に150〜300、水酸基価が100mgKOH
/g以下、好ましくは30〜70mgKOH/gの範囲
内となるように選択することができ、また、得られるア
クリル樹脂の数平均分子量は200〜50000、特に
500〜20000の範囲内にあることが好ましい。
【0053】アルコキシシラン基含有アクリル樹脂(B
−2b)は、アルコキシシラン基含有重合性単量体およ
びアクリル系重合性単量体を必須成分とし、そして必要
に応じてさらに水酸基含有重合性単量体および/または
その他の重合性単量体を使用し、それらを共重合するこ
とにより得られる。
【0054】アルコキシシラン基含有重合性単量体は、
1分子中にアルコキシシラン基および重合性不飽和結合
をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキ
シシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
メイルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラ
ン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキ
シシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルメチルジエトキシシランなどをあげることができ
る。
【0055】アクリル系重合性単量体および水酸基含有
重合性単量体としては、アクリル樹脂(B−2a)を構
成する単量体として前記で例示したものを同様に使用す
ることができる。また、その他の重合性単量体も前記の
アクリル樹脂(B−1)を構成する単量体として例示し
た前記の「その他の重合性単量体」の中から選ばれるも
のが好適である。
【0056】アクリル樹脂(B−2b)において、アル
コキシシラン基の含有量は、通常、0.3〜5ミリモル
/g、特に0.5〜3ミリモル/gの範囲内にあり、ま
た、数平均分子量は200〜30000、特に500〜
20000の範囲内にあることが好ましい。
【0057】トリス(アルコキシカルボニルアミノ)ト
リアジン(B−2c)は、一般式
【0058】
【化3】
【0059】式中、R4、R5、およびR6は同一または
異なり、各々炭素数1〜20の炭化水素基を示す、で表
される化合物である。
【0060】上記R4〜R6によって示される炭化水素基
としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、is
o−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−
ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチ
ル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−
デカニル、n−ドデカニル、n−ウンデカニルなどのア
ルキル基;シクロペンチル、シクリヘキシルなどのシク
ロアルキル基;シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル
エチルなどのシクロアルキルアルキル基;フェニル、ビ
フェニル、アルキル置換フェニル、ナフチルなどのアリ
−ル基;ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基など
があげられる。
【0061】上記のトリス(アルコキシカルボニルアミ
ノ)トリアジンは、それ自体既知のものであり(例えば
特開平5−239038号公報参照)、例えば、「TA
CT」(サイテック(株)製品)の商品名で市販されて
いるものを使用することができる。
【0062】第2塗料(B)は、以上に述べたアクリル
樹脂(B−1)と、アクリル樹脂(B−2a)、アクリ
ル樹脂(B−2b)およびトリス(アルコキシカルボニ
ルアミノ)トリアジン(B−2c)から選ばれる少なく
とも1種の成分とを含有する有機溶剤系塗料であり、こ
れらの成分の構成比率は、厳密に制限されるものではな
く、該成分の種類等に応じて変えることができるが、一
般には、アクリル樹脂(B−1)100重量部あたり、
アクリル樹脂(B−2a)は5〜40重量部、特に10
〜30重量部、アクリル樹脂(B−2b)は5〜40重
量部、特に10〜30重量部、トリス(アルコキシカル
ボニルアミノ)トリアジン(B−2c)は5〜30重量
部、特に10〜20重量部の範囲内が適している。
【0063】第2塗料(B)には、さらに必要に応じ、
架橋剤、硬化触媒、着色顔料、体質顔料、紫外線吸収
剤、光安定剤、流動調整剤、はじき防止剤などの通常の
塗料用添加剤を配合することができ、それによって、着
色顔料を全く含有していない無色透明塗膜または第1塗
料塗膜の色調を透視できる程度に着色してなる着色透明
塗膜(ソリッドカラ−調、メタリック調または光干渉模
様調)を形成する塗料とすることができる。
【0064】上記の架橋剤としては、例えば、アルキル
エ−テル化メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、
ブロックされていてもよいポリソシアネ−ト化合物など
があげられ、また、硬化触媒としては、例えば、アルミ
ニウムキレ−ト化合物、チタニウムキレ−ト化合物、ジ
ルコニウムキレ−ト化合物、アルミニウムエステル、テ
トラメチルチタネート、テトラペンチルチタネートなど
のチタネート、テトラメチルジルコネート、テトラペン
チルジルコネートなどのジルコネートなどがあげられ
る。架橋剤の配合量は、アクリル樹脂(B−1)と、ア
クリル樹脂(B−2a)、アクリル樹脂(B−2b)お
よびトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン
(B−2c)から選ばれる少なくとも1種の成分と該架
橋剤との合計量を基準にして、5〜60重量%、特に1
5〜50重量%の範囲内が適している。また、硬化触媒
の配合量は、アクリル樹脂(B−1)と、アクリル樹脂
(B−2a)、アクリル樹脂(B−2b)およびトリス
(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(B−2
c)から選ばれる少なくとも1種の成分と該架橋剤との
合計量100重量部あたり、0.1〜10重量部、特に
1〜5重量部の範囲内が適している。
【0065】第2塗料(B)は、エアレススプレ−、エ
アスプレ−、静電塗装などにより、第1塗料(A)の未
硬化塗面に、硬化塗膜で約10〜約50μmになるよう
な膜厚に塗装した後、約100〜約180℃、好ましく
は約120〜約160℃で約10〜約40分加熱して架
橋硬化させることができ、しかる後、該塗面に後記のク
リヤ塗料(C)を塗装する。
【0066】第1塗料(A)の着色塗面に着色透明塗膜
を形成する第2塗料(B)を塗装すると、該両塗膜のソ
リッドカラ−調、メタリック調、光干渉調がそれぞれ相
俟って、第1着色塗料の単独塗膜に比べて意匠性、審美
性が向上する。
【0067】クリヤ塗料(C):第2塗料(B)の硬化
塗面に塗装される透明塗膜形成用塗料であり、1分子中
に脂環式エポキシ基を2個以上有する数平均分子量が2
000未満の化合物(C−1)、数平均分子量が200
0〜50000、水酸基価が10〜150mgKOH/
gおよびエポキシ当量が220以下であるエポキシ基含
有アクリル樹脂(C−2)、および熱潜在性カチオン重
合性触媒(C−3)を含んでなり、(C−1)成分のエ
ポキシ基対(C−2)成分のエポキシ基のモル比が1:
1〜1:0.05である熱硬化性有機溶剤系塗料を使用
する。
【0068】(C−1)成分は、1分子中に脂環式エポ
キシ基を2個以上有する数平均分子量2000未満の化
合物である。ここで、「脂環式エポキシ基」は、脂環式
炭化水素の環を構成する2個の隣接炭素原子と1個の酸
素原子により形成されるオキシラン環(2個の炭素原子
と1個の酸素原子とで構成される3員環)であり、上記
の脂環式炭化水素環は、通常3〜12個、好ましくは5
〜6個の炭素原子を有することができる。
【0069】(C−1)成分は、かかる脂環式エポキシ
基を1分子中に2個以上、好ましくは2〜3個有し、か
つ数平均分子量が2000未満、好ましくは100〜1
500の化合物である。また、(C−1)成分は、一般
に50〜500、特に100〜300のエポキシ当量を
有することが好ましい。
【0070】かかる(C−1)成分としては、例えば、
ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エ
ポキシシクロペンチル)エ−テル、エポキシシクロヘキ
センカルボン酸エチレングリコ−ルジエステル、ビス
(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペ−
ト、ビス(4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキシ
ルメチル)アジペ−ト、エチレングリコ−ル−ビス
(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト)
3′,4′−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−
エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3,4−エ
ポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エ
ポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、
1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒド
ロインデン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
−3′,4′−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−ス
ピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス
(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、ジ−2,
3−エポキシシクロペンチルエ−テル、4′,5′−エ
ポキシ−2′−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−
エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト
などがあげられる。
【0071】(C−2)成分は数平均分子量が2000
〜50000、水酸基価が10〜150mgKOH/g
およびエポキシ当量が220以下であるエポキシ基含有
アクリル樹脂である。
【0072】(C−2)成分のアクリル樹脂が有する
「エポキシ基」としては、上記脂環式エポキシ基やグリ
シジル(メタ)アクリレ−トに由来するエポキシ基が特
に好適であるが、その他に、脂環式炭化水素の環を構成
する1個の炭素原子とオキシラン環を構成する1個の炭
素原子が共通しているスピロ型のエポキシ基なども包含
される。
【0073】かかる(C−2)成分は、例えば、エポキ
シ基含有重合性モノマ−(C−2a)、水酸基含有重合
性モノマ−(C−2b)およびアクリル系重合性モノマ
−(C−2c)を必須成分とし、さらに必要に応じて他
の重合性モノマ−(C−2d)を使用し、それらを共重
合することにより得られる。
【0074】エポキシ基含有重合性モノマ−(C−2
a)は、1分子中にエポキシ基および重合性不飽和二重
結合をそれぞれ少なくとも1個づつ有する化合物であ
る。具体的には例えば、グリシジル(メタ)アクリレ−
ト、メチルグリシジル(メタ)アクリレ−ト、アリルグ
リシジルエ−テル、3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル(メタ)アクリレ−ト、2−(1,2−エポキシ−
4,7−メタノペルヒドロインデン−5(6)−イル)
オキシエチル(メタ)アクリレ−ト、5,6−エポキシ
−4,7−メタノペルヒドロインデン−2−イル−(メ
タ)アクリレ−ト、1,2−エポキシ−4,7−メタノ
ペルヒドロインデン−5−イル−(メタ)アクリレ−
ト、2,3−エポキシシクロペンテニル(メタ)アクリ
レ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル化ポリ
カプロラクトンの(メタ)アクリレ−ト、アクリル酸ま
たはメタクリル酸と前記(C−1)成分との等当量反応
生成物などがあげられる。さらに、前記のアクリル樹脂
(B−2a)を構成する単量体として例示した前記の
「脂環式エポキシ基含有重合性単量体」もまたエポキシ
基含有重合性モノマ−(C−2a)として使用すること
ができる。
【0075】水酸基含有重合性モノマ−(C−2b)
は、1分子中に水酸基および重合性不飽和二重結合をそ
れぞれ少なくとも1個づつ有する化合物であり、具体的
には例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレ−トなどのアクリル酸またはメ
タクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコ−ル(グリコ
−ル)とのモノエステル化物;ポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−
ルなどのポリエ−テルポリオ−ルとアクリル酸またはメ
タクリル酸とのモノエステル化物などがあげられる。
【0076】アクリル系重合性モノマ−(C−2c)と
して、アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜24
の1価脂肪族または脂環式アルコ−ルとのモノエステル
化物が包含され、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシルなどがあげられる。これらは単独で使用する
ことができまたは2種以上併用することもできる。
【0077】他の重合性モノマ−(C−2d)は、上記
の(C−2a)、(C−2b)および(C−2c)以外
の、1分子中に1個以上の重合性不飽和二重結合を有す
る化合物であり、具体的には、前記第2塗料(B)のア
クリル樹脂(B−1)を構成する単量体として説明した
前記の「その他の重合性単量体」などがあげられる。
【0078】(C−2)成分は、上記のモノマー(C−
2a)、(C−2b)および(C−2c)を必須成分と
し、さらに必要に応じてモノマー(C−2d)を使用
し、これらのモノマーを例えば、ラジカル重合触媒を使
って通常の方法により溶液重合することによって調製す
ることができる。
【0079】これらの各モノマ−の構成比率は、生成す
るアクリル樹脂の水酸基価が10〜150mgKOH/
g、好ましくは20〜120mgKOH/g、エポキシ
当量が1〜220、好ましくは100〜200の範囲内
になるように選択することができる。
【0080】また、生成する(C−2)成分の数平均分
子量は2000〜50000、特に3000〜2000
0の範囲内にあることが好ましい。
【0081】クリヤ塗料(C)において、(C−1)成
分と(C−2)成分は、該両成分中のエポキシ基のモル
比が(C−1)成分:(C−2)成分=1:1〜0.0
5、好ましくは1:0.8〜1:0.2の範囲内となる
ように配合することができる。
【0082】また、(C−1)成分と(C−2)成分
は、これら両成分の合計の平均エポキシ当量が300以
下、特に250〜50の範囲内となるように配合するこ
とが好ましい。
【0083】クリヤ塗料(C)は、上記(C−1)成分
と(C−2)成分に加え、さらに(C−3)カチオン重
合性触媒を含有する。
【0084】カチオン重合性触媒(C−3)は、常温で
は不活性であるが加熱して臨界温度に達すると開裂して
カチオンを発生し、カチオン重合を開始させる化合物で
あって、例えば、SbF6−、SbF4−、AsF6−、
PF6−などを陰イオン成分とする窒素、イオウ、リン
またはヨ−ドのオニウム塩が包含される。具体的には以
下に例示する化合物が好適である。
【0085】i)4級アンモニウム塩型化合物:N,N
−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチ
モン、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウム四
フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジ
ニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベ
ンジルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、
N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリ
ジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−
(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチ
モン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジ
ル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメ
チル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六
フッ化アンチモンなど、 ii)スルホニウム塩型化合物:トリフェニルスルホニ
ウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ
化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ
素、アデカCP−66(旭電化工業製)、アデカCP−
77(旭電化工業製)、トリ(4−メトキシフェニル)
スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニル
チオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素など、 iii)ホスホニウム塩型化合物:エチルトリフェニル
ホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホ
ニウム六フッ化アンチモンなど、 iv)ヨ−ドニウム塩型化合物:ジフェニルヨ−ドニウ
ム六フッ化ヒ素、ジ−4−クロロフェニルヨ−ドニウム
六フッ化ヒ素、ジ−4−ブロムフェニルヨ−ドニウム六
フッ化ヒ素、ジ−p−トリルヨ−ドニウム六フッ化ヒ
素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨ−ドニウム六
フッ化ヒ素など。
【0086】これらのカチオン重合性触媒(C−3)
は、臨界温度(例えば、約100〜約180℃、好まし
くは約120〜約160℃)で約10〜約40分程度加
熱すると開裂してカチオンを発生し、(C−1)成分の
脂環式エポキシ基および(C−2)成分の水酸基、エポ
キシ基の相互間でのカチオン重合を開始させ、該両成分
が架橋反応し三次元的に硬化するのを促進する機能を有
する。
【0087】カチオン重合性触媒(C−3)の配合量は
特に制限されないが、一般には、上記(C−1)成分と
(C−2)成分との合計固形分100重量部あたり、
0.05〜10重量部、特に0.5〜5重量部の範囲内
が適している。
【0088】本発明で使用するクリヤ塗料(C)は、以
上に述べた(C−1)成分と(C−2)成分ならびにカ
チオン重合性触媒(C−3)を有機溶剤に溶解または分
散することにより調製することができる。有機溶剤とし
ては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸
ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、イソホロン、メタノ−ル、エタ
ノ−ル、ブタノ−ル、酢酸カルビノ−ル、酢酸メトキシ
ブチル、セロソルブ、酢酸セロソルブなどがあげられる
が、これらのみに制限されるものではない。
【0089】クリヤ塗料(C)には、さらに必要に応じ
て、上記成分に加えて、紫外線吸収剤、光安定剤、流動
調整剤、はじき防止剤などの通常の塗料用添加剤を配合
することもできる。
【0090】本発明の複層上塗塗膜形成方法は、被塗物
に、以上に述べた第1塗料(A)および第2塗料(B)
を塗装し、加熱して該両塗膜を硬化せしめた後、さらに
クリヤ塗料(C)を塗装し加熱硬化せしめる、いわゆる
3C2B方式によって行なわれる。
【0091】具体的には、自動車用の金属製もしくはプ
ラスチック製の材料に直接、または該材料にカチオン電
着塗料などの下塗塗料および場合によりさらに中塗塗料
を塗装し、硬化させてなる塗面(被塗物)に、ソリッド
カラ−調、メタリック調または光干渉模様調の第1塗料
(A)を、エアレススプレ−、エアスプレ−、静電塗装
などにより、硬化塗膜で約10〜約50μmになる膜厚
に塗装し、必要により室温で数分間放置してから第2塗
料(B)を塗装する。
【0092】第2塗料(B)は、着色顔料を全く含有し
ていないか、または第1塗料塗膜の色調を透視できる程
度に着色してなる着色透明塗膜(ソリッドカラ−調、メ
タリック調または光干渉模様調)を形成する塗料であっ
て、エアレススプレ−、エアスプレ−、静電塗装などに
より、第1塗料の未硬化塗面に、硬化塗膜で約10〜約
50μmになるような膜厚に塗装し、必要により室温で
数分間放置してから、約100〜約180℃、好ましく
は約120〜約160℃で約10〜約40分加熱して、
第1塗料(A)の塗膜および第2塗料(B)の塗膜を同
時に架橋硬化させる。
【0093】しかる後、クリヤ−塗料(C)を、第2塗
料の硬化塗面に、エアレススプレ−、エアスプレ−、静
電塗装などにより、膜厚が硬化塗膜で約20〜約100
μmになるように塗装し、約100〜約180℃、好ま
しくは約120〜約160℃で約10〜約40分加熱し
て架橋硬化させる。これにより、複層上塗塗膜が形成さ
れる。
【0094】
【発明の効果】以上に述べた本発明の方法により達成さ
れる効果を要約すれば次のとおりである。
【0095】(1)本発明の方法により形成される複層
塗膜は、水酸基含有アクリル樹脂とメラミン樹脂とを主
成分とする従来の有機溶剤系塗料に比べ、耐候性および
仕上り外観などは同等もしくはそれ以上で、しかも耐酸
性や耐汚染性が顕著にすぐれている。
【0096】(2)本発明により形成される硬化塗膜の
耐酸性、耐候性および仕上り外観は、カルボキシル基含
有樹脂とエポキシ基含有樹脂とを主成分とする従来の酸
エポキシ型塗料と同等もしくはそれ以上で、しかも耐汚
染性は顕著にすぐれている。
【0097】(3)本発明によれば、ツ−コン硬度(2
0℃)が15以上、好ましくは17〜25、破断応力が
500Kg/cm2以上、好ましくは600〜800K
g/cm2、およびヤング率が20000Kg/cm2
上、好ましくは23000〜28000Kg/cm2
ある硬質のクリヤ塗膜を容易に形成することができ、か
かる特性を有するクリヤ塗膜は60℃以上の高温に晒さ
れても軟化することはほとんどない。
【0098】(4)本発明により形成される硬化塗膜は
超硬質であるため、鳥糞、花粉、虫の死骸、排気ススな
どの汚染性物質が付着しても塗膜内部に浸み込むことが
殆どなく容易に拭き取ることができ、その部分の光沢や
鮮映性などが低下することがない。
【0099】(5)本発明による硬化塗膜は超硬質であ
るため、鉄粉、砂泥などが塗膜に付着またはめりこんだ
りすることがない。
【0100】(6)第2塗料塗膜をサンディングしなく
てもクリヤ−塗膜との層間付着性にすぐれている。
【0101】したがって、本発明の方法により形成され
る複層塗膜は、特に自動車車体の最外層の仕上げにおい
て極めて有用である。
【0102】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに具体的に説明する。なお、部および%は重量に基づ
く。
【0103】1.試料の調製 1)第1塗料(A) (A−1):ポリエステル樹脂(水酸基価150mgK
OH/g、酸価5mgKOH/g、数平均分子量300
0)65部(固形分、以下同様)、メラミン樹脂(「ユ
−バン28−60」、三井東圧社製、商品名)35部お
よびカ−ボンブラック10部を混合し、キシレンで希釈
して、粘度14秒(フォ−ドカップ#4/20℃)に調
整した。
【0104】2)第2塗料(B) (B−1a):プラクセルFA−2(ヒドロキシエチル
アクリレ−トとε−カプロラクトンとを付加したモノマ
−)、ヒドロキシブチルアクリレ−ト、アクリル酸、n
−ブチルアクリレ−トおよびスチレンからなる重合性単
量体の共重合体(アクリル樹脂)であり、水酸基価は1
50mgKOH/g、酸価は15mgKOH/g、数平
均分子量は10000であった。また、この水酸基価の
うち40%はプラクセルFA−2、残りの60%はヒド
ロキシブチルアクリレ−トに基づくものである。
【0105】(B−1b):ヒドロキシブチルアクリレ
−ト、アクリル酸、n−ブチルアクリレ−トおよびスチ
レンからなる重合性単量体の共重合体(アクリル樹脂)
であり、水酸基価は150mgKOH/g、酸価は15
mgKOH/g、数平均分子量は10000であった。
【0106】(B−1c):ヒドロキシエチルアクリレ
−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、アクリル酸、
n−ブチルアクリレ−トおよびスチレンからなる重合性
単量体の共重合体(アクリル樹脂)であり、水酸基価は
150mgKOH/g、酸価は15mgKOH/g、数
平均分子量は10000であった。また、この水酸基価
のうち40%はヒドロキシエチルアクリレ−ト、残りの
60%はヒドロキシエチルメタクリレ−トに基づくもの
である。
【0107】(B−2a):シクロヘキシルメタクリレ
−ト、脂環式エポキシ基含有重合性単量体(「GK−2
00」、ダイセル化学工業製、商品名)、ヒドロキシエ
チルアクリレ−トおよびn−ブチルアクリレ−トからな
る重合性単量体の共重合体(アクリル樹脂)であり、エ
ポキシ基当量は150、水酸基価は100mgKOH/
g、数平均分子量は10000である。
【0108】(B−2b):エチルアクリレ−トおよび
アルコキシシラン基含有重合性単量体(「A−17
1」、OSI社(米国)製、商品名)からなる重合性単
量体の共重合体(アクリル樹脂)であり、アルコキシシ
ラン基含有量は3ミリモル/g、数平均分子量は300
0である。
【0109】(B−2c):トリス(アルコキシカルボ
ニルアミノ)トリアジン(「TACT」、サイテック
(株)製、商品名)。
【0110】第2塗料(B)の調製:上記の成分を用い
て、表1に示す比率で混合し、「スワゾ−ル1000」
(コスモ石油社製、商品名、炭化水素系溶剤)で、粘度
20秒(フォ−ドカップ#4/20℃)に調整して、第
2塗料(B)を得た。このうち、、およびは実施
例用、、およびは比較例用である。
【0111】3)クリヤ塗料(C) (C−1) (a)「CEL−2021P」(ダイセル化学工業
(株)製、商品名) エポキシ当量130、理論分子量252 構造式
【0112】
【化4】
【0113】(b)「エポリ−ド」(ダイセル化学工業
(株)製、商品名) エポキシ当量240、理論分子量634 構造式
【0114】
【化5】
【0115】(C−2) (a):グリシジルメタクリレ−ト650部、ヒドロキ
シエチルアクリレ−ト116部、nブチルアクリレ−ト
100部およびnブチルメタクリレ−ト134部を常法
により溶液重合してなる、エポキシ当量218、水酸基
価56、数平均分子量10000のアクリル樹脂。
【0116】(b):3,4−エポキシシクロヘキシル
メチルアクリレ−ト850部、ヒドロキシエチルメタク
リレ−ト65部およびnブチルアクリレ−ト85部を常
法により溶液重合してなる、エポキシ当量216、水酸
基価28、数平均分子量3000のアクリル樹脂。
【0117】(C−3) 「サンエイドSI−100」(三新化学(株)製、商品
名) ベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロア
ンチモネ−ト クリヤ塗料(C)の調製:上記の成分を用いて、表2に
示す比率で混合し、「スワゾ−ル1000」(コスモ石
油社製、商品名、炭化水素系溶剤)で、粘度20秒(フ
ォ−ドカップ#4/20℃)に調整して、クリヤ塗料
(C)を得た。
【0118】表2において、 1)各成分の配合量は固形分量である。
【0119】2)平均EP当量は(A)成分と(B)成
分との合計平均エポキシ当量である。
【0120】3)A/Bモル比は(A)成分のエポキシ
基と(B)成分エポキシ基のモル比である。
【0121】4)モダフロ−はモンサント社製、商品
名、表面調整剤である。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】2.実施例および比較例 金属板(大きさ150×100×0.8mm)にカチオ
ン電着塗料および中塗塗料を塗装し加熱硬化した被塗物
に、第1塗料(A)を硬化塗膜に基づく膜厚で20μに
なるようにエアスプレ−塗装し、室温で3分放置した
後、この未硬化塗面に第2塗料(B)を硬化塗膜に基づ
く膜厚で20μになるようにエアスプレ−塗装し、室温
で3分放置してから、140℃で30分加熱して該両塗
膜を硬化させた。ついで、この硬化塗面にクリヤ塗料
(C)を硬化塗膜に基づく膜厚で40μになるようにそ
れぞれスプレ−塗装し、室温で3分放置してから、14
0℃で30分加熱して硬化させた。
【0125】これらの塗装工程および得られた塗板によ
る塗膜性能試験結果を表3に示す。
【0126】仕上り外観:目視評価の結果であり、○は
ツヤおよび平滑性など良好、△はツヤおよび平滑性など
かなり劣る、×はツヤおよび平滑性など著しく劣ること
を示す。
【0127】硬度:クリヤ塗料をガラス板に硬化塗膜で
30μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱
硬化した塗膜を、20℃および60℃において、Americ
an Chain & Cable Company 製の TUKON microhardness
tester にて測定した時の値である。
【0128】層間付着性:塗板の作成直後(A)、80
℃温水に24時間浸漬した後(B)、40℃温水に10
日間浸漬した後(C)のそれぞれの塗板の複層塗膜面に
カッターナイフで素地に達するようして2mm間隔で1
1本カットし、これと直交するように同様に2mm間隔
で11本カットして、2mm×2mmのゴバン目を10
0個作り、20℃において、その塗面に粘着セロハンテ
−プを貼着し、それを急激に剥離したのちの、残存ゴバ
ン目数を調べる。○はゴバン目塗膜の剥離全くなし、△
はゴバン目塗膜が1〜10個剥離した、×はゴバン目塗
膜が11個以上剥離したことを示す。
【0129】耐酸性:塗面に40%硫酸水溶液を0.4
cc滴下し、熱風乾燥機で60℃で15分加熱したから
水洗したのち、目視評価する。○は全く異常を認めな
い、△はスポット跡が少し残る、×はシミ、白化または
フクレが著しいことを示す。
【0130】汚染除去性:カ−ボンブラック(日本粉体
工業技術協会製、試験用ダスト12種)0.25部と脱
イオン水99.75部との混合液に硫酸を加えてpH
3.0に調整した試験液を塗板に噴霧し、温度20℃、
湿度70%の雰囲気で17時間静置したのち、80℃の
熱風乾燥機内で6時間加熱する。これを4サイクル繰り
返してからスポンジで塗面を水洗した塗面を目視評価す
る。○は汚染を全く認めない、△は汚染が少し認められ
る、×は汚染が著しく認められることを示す。
【0131】耐鳥フン性:野外で採取したハト糞を脱イ
オン水に混合して濃度30%とし、ディスパ−で30分
撹拌してからガ−ゼで濾過した濾液を試験液とし、この
試験液0.4ccを塗面に滴下し、グラジエントオ−ブ
ンで70℃30分加熱したのち水洗した塗面を目視評価
する。○は汚染を全く認めない、△はシミ、くもり、フ
クレが少し認められる、×はシミ、くもり、フクレが著
しく認められることを示す。
【0132】破断応力:クリヤ塗料をガラス板に硬化塗
膜で30μmになるように塗装し、140℃で30分間
加熱硬化しガラス板から剥離した塗膜を、20℃におい
て、オリエンテックコーポレーション製のテンシロンメ
ーターを用いて測定したときの値である。
【0133】ヤング率:上記の破断応力と同様にして測
定した結果である。
【0134】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B05D 7/24 302 B05D 7/24 302U // C09D 133/00 C09D 133/00 163/00 163/00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗物に第1塗料(A)および第2塗料
    (B)を塗装し、加熱して該両塗膜を硬化せしめ、さら
    にクリヤ塗料(C)を塗装し加熱硬化せしめることから
    なる複層上塗塗膜形成方法であって、上記第2塗料
    (B)として、長鎖水酸基および短鎖水酸基を含有する
    アクリル樹脂(B−1)と、脂環式エポキシ基含有アク
    リル樹脂(B−2a)、アルコキシシラン基含有アクリ
    ル樹脂(B−2b)およびトリス(アルコキシカルボニ
    ルアミノ)トリアジン(B−2c)から選ばれる少なく
    とも1種の成分とを含有する有機溶剤系塗料を使用し、
    そして上記クリヤ塗料(C)として、1分子中に脂環式
    エポキシ基を2個以上有する数平均分子量が2000未
    満の化合物(C−1)、数平均分子量が2000〜50
    000、水酸基価が10〜150mgKOH/gおよび
    エポキシ当量が220以下であるエポキシ基含有アクリ
    ル樹脂(C−2)、および熱潜在性カチオン重合性触媒
    (C−3)を含んでなり、(C−1)成分のエポキシ基
    対(C−2)成分のエポキシ基のモル比が1:1〜1:
    0.05である有機溶剤系塗料を使用することを特徴と
    する複層上塗塗膜形成法。
  2. 【請求項2】 第1塗料(A)がソリッドカラー塗料、
    メタリック塗料または光干渉模様塗料である請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 第1塗料(A)の単独塗膜の白黒隠蔽膜
    厚が50μm以下である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 第2塗料(B)が無色透明塗膜または第
    1塗料塗膜の色調を透視できる程度に着色されているソ
    リッドカラー調、メタリック調もしくは光干渉模様調の
    有色透明塗膜を形成するものである請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 アクリル樹脂(B−1)の長鎖水酸基と
    短鎖水酸基の側鎖の長さの差が該側鎖を構成する原子の
    数の差で表わして1個以上、好ましくは2以上である請
    求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 アクリル樹脂(B−1)が50〜200
    mgKOH/gの水酸基価および3000〜50000
    の数平均分子量を有する請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 第2塗料(B)が、アクリル樹脂(B−
    1)100重量部あたり、アクリル樹脂(B−2a)を
    5〜40重量部、アクリル樹脂(B−2b)を5〜40
    重量部および/またはトリス(アルコキシカルボニルア
    ミノ)トリアジン(B−2c)を5〜30重量部含有す
    る請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 クリヤ塗料(C)の(C−1)成分と
    (C−2)成分の合計の平均エポキシ当量が300以下
    である請求項1記載の複層上塗塗膜形成法。
  9. 【請求項9】 クリヤ塗料(C)の(C−2)成分のエ
    ポキシ基が脂環式エポキシ基またはグリシジル(メタ)
    アクリレート由来のエポキシ基である請求項1記載の複
    層上塗塗膜形成法。
  10. 【請求項10】 クリヤ塗料(C)が、ツーコン硬度
    (20℃)が15以上、破断応力が500Kg/cm2
    以上、およびヤング率が20000Kg/cm2以上で
    ある硬化塗膜を形成するものである請求項1記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 披塗物が自動車車体である請求項1記
    載の複層上塗塗膜形成法。
  12. 【請求項12】 長鎖水酸基および短鎖水酸基を含有す
    るアクリル樹脂(B−1)と、脂環式エポキシ基含有ア
    クリル樹脂(B−2a)、アルコキシシラン基含有アク
    リル樹脂(B−2b)およびトリス(アルコキシカルボ
    ニルアミノ)トリアジン(B−2c)から選ばれる少な
    くとも1種の成分とを含有する有機溶剤系塗料。
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