JPH10212453A - 塗料組成物およびその塗装法 - Google Patents

塗料組成物およびその塗装法

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JPH10212453A
JPH10212453A JP1902397A JP1902397A JPH10212453A JP H10212453 A JPH10212453 A JP H10212453A JP 1902397 A JP1902397 A JP 1902397A JP 1902397 A JP1902397 A JP 1902397A JP H10212453 A JPH10212453 A JP H10212453A
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coating material
coating
epoxy
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JP1902397A
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English (en)
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Satoshi Ikushima
聡 生島
Seiji Wada
誠司 和田
Yasumasa Okumura
保正 奥村
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 塗膜が硬質であり、60℃以上の高温に晒さ
れても軟化せず、そのために、耐汚染性に優れ、しか
も、付着した汚染物質を雨水などで容易に除去すること
が可能な塗膜を形成する塗料組成物およびその塗装法を
提供する。 【解決手段】 (A)1分子中に脂環式エポキシ基を2
個以上有する数平均分子量が2,000未満の化合物、
(B)数平均分子量が2,000〜50,000、水酸
基価が10〜150mgKOH/g およびエポキシ当量が22
0以下であるエポキシ基含有アクリル樹脂、(C)加水
分解性アルコキシシリル基含有化合物、および(D)熱
潜在性カチオン重合性触媒を含んでなり、(A)成分の
エポキシ基対(B)成分のエポキシ基のモル比が1:1
〜0.05であることを特徴とする熱硬化性有機溶剤系
塗料。および該熱硬化性有機溶剤系塗料を使用すること
を特徴とする塗装法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜が硬質であ
り、60℃以上の高温に晒されても軟化せず、そのため
に、耐汚染性に優れ、しかも付着した汚染物質を雨水な
どで容易に除去することが可能な塗膜を形成する塗料組
成物、およびその塗装法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車外板の上塗装料(特に
クリヤー塗料)としては、一般に、水酸基含有アクリル
樹脂とメラミン樹脂とを主成分とする有機溶剤系塗料が
使用されている。この塗料の塗膜は耐候性および仕上り
外観などは良好であるが、近年クローズアップされた
「耐酸性雨性」が十分でないという課題を有している。
この耐酸性雨性を改良した上塗装料として、メラミン樹
脂を使用せず、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含
有樹脂とを主成分とする熱硬化性有機溶剤系塗料(通
称、酸エポキシ型塗料)が提案された。この酸エポキシ
型塗料の硬化塗膜は、耐候性および仕上り外観が優れ、
しかも耐酸性も良好であるが、耐汚染性に劣り、付着し
た汚染物質を痕跡なく除去することが困難であるという
課題を有していることが判明した。
【0003】自動車外板の上塗装膜には、汚染物質(例
えば、鳥糞、花粉、虫の死骸など)、鉄粉、砂泥、排気
スス(カーボン、パラフィンなど)が付着したり、浸み
込んだり、めり込んだりして汚染しやすい。例えば、塗
膜に付着した鳥糞は乾燥固化の際に凝縮するが、それに
伴って塗膜面も縮んでその部分の光沢や鮮映性などの外
観が低下し、また、花粉や虫の死骸などは雨などで濡れ
るとたんぱく質やアミノ酸などが溶出し、これが塗膜に
浸み込んで汚染源になる可能性がある。また、鉄粉、砂
泥、排気ススなどは塗膜に付着またはめり込んだりして
汚染源になる。
【0004】一方、自動車外板部は屋外放置すると、太
陽熱により60℃以上になることがあり、かかる高温で
は上塗装膜が軟化して、これらの汚染がさらに促進され
やすくなる。
【0005】このようにして塗膜が汚染されると、単に
拭き取ったりまたは洗剤やワックスなどを使用しても除
去することができず、美観性を損ねることになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、自動車
用上塗装料として用いられている従来の有機溶剤系塗料
(例えば、水酸基含有アクリル樹脂とメラミン樹脂とを
主成分とする有機溶剤系塗料、酸エポキシ型塗料など)
と比較して、耐候性、仕上り外観、耐酸性などが同等ま
たはそれ以上であり、しかも耐汚染性が良好な塗膜を形
成することのできる新規な有機溶剤系塗料を開発するこ
とである。
【0007】本発明者らは上記の目的を達成するため鋭
意研究を行った結果、(A)1分子中に脂環式エポキシ
基を2個以上有する数平均分子量が2,000未満の化
合物、(B)数平均分子量が2,000〜50,00
0、水酸基価が10〜150mgKOH/g およびエポキシ当
量が220以下であるエポキシ基含有アクリル樹脂、
(C)加水分解性アルコキシシリル基含有化合物、およ
び(D)熱潜在性カチオン重合性触媒を含んでなり、
(A)成分のエポキシ基対(B)成分のエポキシ基のモ
ル比が1:1〜0.05である熱硬化性有機溶剤系塗料
によって形成される硬化塗膜は、60℃以上の高温に晒
されても軟化することがなく、汚染物質が浸み込んだり
めり込んだりすることがなく、汚染物質が付着しても雨
水などで容易に除去することができ、耐汚染性が極めて
優れており、しかも耐候性、仕上り外観、耐酸性などに
も優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0008】かくして、本発明は、(A)1分子中に脂
環式エポキシ基を2個以上有する数平均分子量が2,0
00未満の化合物、(B)数平均分子量が2,000〜
50,000、水酸基価が10〜150mgKOH/g および
エポキシ当量が220以下であるエポキシ基含有アクリ
ル樹脂、(C)加水分解性アルコキシシリル基含有化合
物、および(D)熱潜在性カチオン重合性触媒を含んで
なり、(A)成分のエポキシ基対(B)成分のエポキシ
基のモル比が1:1〜0.05であることを特徴とする
熱硬化性有機溶剤系塗料を提供するものである。
【0009】本発明は、また、着色塗料およびクリヤー
塗料を順次塗装するにあたり、該クリヤー塗料として上
記の熱硬化性有機溶剤系塗料を使用することを特徴とす
る塗装法を提供するものである。
【0010】本発明はさらに、着色塗料、第1クリヤー
塗料および第2クリヤー塗料を順次塗装するにあたり、
該第2クリヤー塗料として上記の熱硬化性有機溶剤系塗
料を使用することを特徴とする塗装法を提供するもので
ある。
【0011】本発明はさらにまた、第1着色塗料、第2
着色塗料およびクリヤー塗料を順次塗装するにあたり、
クリヤー塗料として上記の熱硬化性有機溶剤系塗料を使
用することを特徴とする塗装法を提供するものである。
【0012】以下、本発明の塗料および塗装法について
さらに詳細に説明する。
【0013】本発明の塗料は、(A)1分子中に脂環式
エポキシ基を2個以上有する数平均分子量が2,000
未満の化合物、(B)数平均分子量が2,000〜5
0,000、水酸基価が10〜150mgKOH/g およびエ
ポキシ当量が220以下であるエポキシ基含有アクリル
樹脂、(C)加水分解性アルコキシシリル基含有化合
物、および(D)熱潜在性カチオン重合性触媒を含んで
なり、(A)成分のエポキシ基対(B)成分のエポキシ
基のモル比が1:1〜0.05であることを特徴とする
熱硬化性有機溶剤系塗料である。
【0014】本発明の塗料において、その組成をさらに
調整することにより、ツーコン硬度(20℃)が15以
上、好ましくは17〜25であり、かつ動的弾性率E′
(周波数110Hz)の150〜200℃の範囲内での最
小値が1.0×109 dynes/cm2 以上、好ましくは3.
0×109 dynes/cm2 以上である硬質の塗膜を得ること
も可能である。
【0015】「ツーコン硬度(20℃)」は、塗料をガ
ラス板に硬化塗膜で30μm になるように塗装し、所定
の条件、例えば140℃で30分加熱硬化させた塗膜
を、20℃において、American Chain & Cable Company
製のTUKON microhardness testerにて測定したときの値
であり、その数値が大きいほど硬質であることを意味す
る。従来の熱硬化性塗料によって形成される硬化塗膜の
ツーコン硬度は通常5〜10であり、本発明の塗料は、
それよりもはるかに硬質の硬化塗膜を形成することがで
きる。
【0016】また、「硬化塗膜の動的弾性率E′(周波
数110Hz)」は、塗料をブリキ板に硬化膜厚が45μ
m になるように塗装し、140℃で30分加熱し硬化さ
せた後、塗膜を剥離し、該塗膜の動的弾性率E′を、自
動動的粘弾性測定器「東洋ボールドウイン社製、モデル
レオバイブロンDDV−II−EA」を用い、周波数1
10Hzにて測定したときの値であり、動的弾性E′は1
50〜200℃で測定し、この温度範囲内における最小
値を決定する。
【0017】本発明の塗料についてさらに具体的に説明
する。
【0018】(A)成分:1分子中に脂環式エポキシ基
を2個以上有する数平均分子量が2,000未満の化合
物である。ここで「脂環式エポキシ基」は、脂環式炭化
水素の環を構成する2個の隣接炭素原子と1個の酸素原
子により形成されるオキシラン環(2個の炭素原子と1
個の酸素原子とで構成される3員環)であり、上記の脂
環式炭化水素は、通常3〜12個、好ましくは5〜6個
の環炭素原子を有することができる。
【0019】(A)成分は、かかる脂環式エポキシ基を
1分子中に2個以上、好ましくは2〜3個有し、かつ数
平均分子量が2,000未満、好ましくは100〜1,
500の化合物である。また、(A)成分は、一般に5
0〜500、特に100〜300のエポキシ当量を有す
ることが好ましい。
【0020】かかる(A)成分としては、例えば、ジシ
クロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキ
シシクロペンチル)エーテル、エポキシシクロヘキセン
カルボン酸エチレングリコールジエステル、ビス(3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス
(4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、エチレングリコール−ビス(3,4−
エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、3′,
4′−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキ
シシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ
−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ
−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、1,
2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノベルヒドロイ
ンデン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−
3′,4′−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピ
ロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス
(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、ジ−2,
3−エポキシシクロペンチルエーテル、4′,5′−エ
ポキシ−2′−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−
エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート
などが挙げられる。
【0021】(B)成分:数平均分子量が2,000〜
50,000、水酸基価が10〜150mgKOH/g および
エポキシ当量が220以下であるエポキシ基含有アクリ
ル樹脂である。
【0022】(B)成分のアクリル樹脂が有する「エポ
キシ基」としては、上記脂環式エポキシ基およびグリシ
ジル(メタ)アクリレートに由来するエポキシ基が特に
好適であるが、その他に、脂環式炭化水素の環を構成す
る1個の炭素原子とオキシラン環を構成する1個の炭素
原子が共通しているスピロ型のエポキシ基なども包含さ
れる。
【0023】かかる(B)成分は、例えばエポキシ基含
有重合性モノマー(B−1)、水酸基含有重合性モノマ
ー(B−2)およびアクリル系重合性モノマー(B−
3)を必須成分とし、さらに必要に応じて他の重合性モ
ノマー(B−4)を使用し、共重合することにより得ら
れる。
【0024】エポキシ基含有重合性モノマー(B−1)
は、1分子中にエポキシ基および重合性不飽和二重結合
をそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物であり、具
体的には例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メ
チルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジ
ルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレート、2−(1,2−エポキシ−4,
7−メタノペルヒドロインデン−5(6)−イル)オキ
シエチル(メタ)アクリレート、5,6−エポキシ−
4,7−メタノペルヒドロインデン−2−イル−(メ
タ)アクリレート、1,2−エポキシ−4,7−メタノ
ペルヒドロインデン−5−イル−(メタ)アクリレー
ト、2,3−エポキシシクロペンテニル(メタ)アクリ
レート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル化ポリ
カプロラクトンの(メタ)アクリレート、アクリル酸ま
たはメタクリル酸と前記(A)成分との等当量反応生成
物、下記一般式で示される化合物などが挙げられる。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】上記式中、R1 は同一もしくは異なって水
酸原子またはメチル基を示し、R2は同一もしくは異な
ってC1-8 の炭化水素基を示し、R3 は同一もしくは異
なってC1-20の炭化水素基を示し、Wは0〜10の整数
を示す。
【0028】水酸基含有重合性モノマー(B−2)は、
1分子中に水酸基および重合性不飽和二重結合をそれぞ
れ少なくとも1個ずつ有する化合物であり、具体的には
例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメ
タクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコール(グリコ
ール)とのモノエステル化物;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコー
ルなどのポリエーテルポリオールとアクリル酸またはメ
タクリ酸とのモノエステル化物;などが挙げられる。
【0029】アクリル系重合性モノマー(B−3)に
は、アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜24の
1価脂肪族または脂環式アルコールとのエステル化物が
包含され、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘ
キシルなどが挙げられ、これらモノマーはそれぞれ単独
で使用することができまたは2種以上併用することがで
きる。
【0030】他の重合性モノマー(B−4)は、1分子
中に1個もしくはそれ以上の重合性不飽和二重結合を有
する化合物であり、具体的には下記のモノマーを例示す
ることができる。
【0031】i)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキ
シ基含有重合性モノマー、 ii)N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メト
キシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系重合性モノマ
ー、 iii)エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、
ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シク
ロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエー
テル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテ
ル、アリルグリシジルエーテルなどのビニルエーテル、 iv)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、プロ
ピレン、塩化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、
ビニルピロリドンなど。
【0032】(B)成分は、上記のモノマー(B−
1)、(B−2)および(B−3)を必須成分とし、さ
らに必要に応じて(B−4)を使用し、例えば、ラジカ
ル重合触媒の存在下に通常の方法により溶液重合するこ
とによって調製することができる。
【0033】これらの各モノマーの構成比率は、水酸基
価が10〜150mgKOH/g 、好ましくは20〜120mg
KOH/g 、エポキシ当量が220以下、好ましくは100
〜220の範囲内になるように選択することができる。
【0034】また、生成する(B)成分は数平均分子量
は2,000〜50,000、特に3,000〜20,
000の範囲内にあることが好ましい。
【0035】本発明の塗料において、(A)成分と
(B)成分とは、該両成分中のエポキシ基のモル比が
(A)成分:(B)成分=1:1〜0.05、好ましく
は1:0.8〜0.2の範囲内となるようにして配合す
ることができる。
【0036】C成分:加水分解性アルコキシシリル基含
有化合物 この(C)成分を配合することにより、本発明の塗料の
硬化塗面が親水性となり、塗面に付着した汚染物質が雨
水などによって容易に洗い流され、ワイピングすること
なしに汚染を除去でき、しかも長期にわたって汚れにく
い、いわゆる洗車フリーの塗膜を形成することができ
た。
【0037】(C)成分として、例えば、下記のものが
挙げられる。
【0038】(C−1):テトラメチルシリケートおよ
び/またはテトラエチルシリケートの縮合度が2〜10
の低縮合物。
【0039】(C−2):メルカプト基、エポキシ基、
(メタ)アクリロイル基、ビニル基から選ばれる少なく
とも1種の有機官能基を含有するアルコキシシラン化合
物(a)100重量部とテトラアルコキシシラン化合物
(b)20〜2,000重量部とのシラン混合物の部分
加水分解縮合物。
【0040】(C−3):(1)一般式 R1R2S
iZ2 (式中、R1はエポキシ基、メルカプト基、(メタ)ア
クリロイル基、ビニル基の有機官能基を示し、R2は炭
素数1〜3のアルキル基を示し、Zは加水分解性基また
はシロキサン結合により他のケイ素原子と結合している
残基を示す)で表されるケイ素構造単位としてのD単位
および/または 一般式 R1SiZ3 (式中、R1およびZは上記と同様の意味を示す)で表
されるケイ素構造単位としてのT1単位を5〜80モル
%以上含有し、 (2)一般式 R2SiZ3 (式中、R2およびZは上記と同様の意味を示す)で表
されるケイ素構造単位としてのT2単位を0.1〜30
モル%含有し、 (3)一般式 SiZ4 (式中、Zは上記と同様の意味を示す)で表されるケイ
素構造単位としてのQ単位を10〜94.9モル%含有
し、ただし、T2単位およびQ単位の合計量が、20〜
95モル%である平均重合度が3〜100の1分子中に
有機官能基および加水分解性基を有するシリコーン化合
物。
【0041】(C)成分としては、これらの(C−
1)、(C−2)および(C−3)成分から選ばれた1
種もしくは2種以上が使用できる。
【0042】本発明の塗料で用いる(C−1)成分は、
テトラメチルシリケートおよび/またはテトラエチルシ
リケートの縮合度が2〜10の低縮合物であり、テトラ
メチルシリケートおよび/またはテトラエチルシリケー
トの単独低縮合ものであってもこれらの組合わさった共
低縮合物であってもよい。ケイ素に結合するアルコキシ
ル基が炭素数3個以上になると(A)成分および(B)
成分との相溶性がよくなるためシリケート成分が塗膜表
面に分離し難くなって親水性を発揮することができなく
なる。上記低縮合物の縮合度が2未満になると耐汚れ性
が悪くなり、一方、10を超えるとシリケート成分の粘
度が高くなるので塗膜表面に分離し難くなって耐汚れ性
が悪くなる。
【0043】本発明の塗料(C−1)成分の配合割合
は、(A)および(B)成分の合計樹脂固型分100重
量部に対して、約0.1〜50重量部、特に約1〜20
重量部の範囲が好ましい。シリケート低縮合物の配合割
合が、約0.1重量部を下回ると塗膜の耐汚染性が劣る
傾向にあり、一方、約50重量部を上回るとワレ、光沢
低下等の欠陥を生じる恐れがあるので好ましくない。
【0044】該(C−1)成分を配合した本発明の塗料
により形成された硬化塗膜は屋外等に暴露された際に酸
性雨などの酸成分と接触することによってその塗膜表面
は水に対する接触角が徐々に低下し、塗膜表面に付着し
た汚染物質が洗い流し出されやすくなり、その結果、塗
膜表面の汚れを防止することができる。
【0045】また、上記塗膜を屋外等に晒す前に予め酸
で処理(例えばpH6以下の酸性水溶液に約5〜98℃)
することができる。酸で処理することにより初期の段階
から塗膜表面の汚れを防止することができる。
【0046】(C−2)成分は、メルカプト基、エポキ
シ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基から選ばれ
る、少なくとも1種の有機官能基を含有するアルコキシ
シラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物の混
合物を、部分共加水分解縮合させることにより得られ
る。
【0047】出発原料となる有機官能基含有アルコキシ
シラン化合物としては、有機官能基が、直接ケイ素原子
に結合していても、また、炭素数1〜10の2価の炭化
水素基を介してケイ素原子に結合していてもかまわな
い。また、ケイ素に結合するアルコキシル基は2個およ
び3個のものが好ましい。該化合物としては、従来から
公知のものを使用することができ、具体的には以下のも
のを例示することができる。
【0048】メルカプト基含有アルコキシシラン化合
物:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリブトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメ
チルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニル
エチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメト
キシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラ
ン、10−メルカプトデシルトリメトキシシラン等 エポキシ基含有アルコキシシラン化合物:γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイ
ソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルメチルジエトキシシラン、5,6−エポキシ
ヘキシルトリメトキシシラン、9,10−エポキシデシ
ルトリメトキシシラン等 (メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン化合物:
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルト
リメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキ
シシラン等 ビニル基含有アルコキシシラン化合物:ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ビニルトリ
ブトキシシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、5
−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメ
トキシシラン、スチリルトリメトキシシラン等 これらの有機官能基アルコキシシラン化合物は、単独で
使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよ
い。
【0049】これらの化合物の中でも、耐汚れ性、耐久
性等の塗膜性能が優れることからメルカプト基含有アル
コキシシラン、エポキシ基含有アルコキシシランを使用
することが好ましい。
【0050】上記有機官能基は、塗料中の(A)、
(B)成分との間に化学反応により化学結合を形成す
る、極性構造により水素結合を形成するあるいは親和性
に基づく相互作用などにより(C−2)成分が塗膜から
脱離するのを防止するように機能するものである。
【0051】もう一方の出発原料であるテトラアルコキ
シシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラ
ン、テトラブトキシシランのものを挙げることができ
る。これらの化合物は1種もしくは2種以上組合せて使
用することができる。これらの中でもアルコキシシラン
基が容易に加水分解してシラノール基を生成し、耐汚れ
性に優れた塗膜を形成することから、テトラメトキシシ
ランおよびテトラエトキシシランを使用することが、特
に好ましい。
【0052】有機官能基含有アルコキシシラン化合物と
テトラアルコキシシラン化合物との配合は、前者100
重量部に対して、後者は20〜2,000重量部の範囲
内で使用するのが好ましい。20重量部未満では、この
共加水分解縮合物の親水性が低下する結果、目的の耐汚
れ性、耐酸性などが劣り好ましくない。また、2,00
0重量部を超えると、有機樹脂との親和性、反応性が乏
しくなり、塗膜中に本シリコーン化合物を固定する能力
が不足し、加水分解後塗膜から脱落しやすくなるため好
ましくない。さらに、50〜1,000重量部の範囲内
が、特に好ましい。 (C−2)成分は、平均重合度3
〜100の範囲であることが好ましい。重合度が3未満
では、揮発したり、塗膜表面に十分な親水性を付与でき
なかったり、あるいは塗膜中から溶出しやすくなるので
好ましくない。一方、重合度が100を超えると、本シ
リコーンは塗膜中で分散が悪く、均一な塗膜の形成が難
しくなるため好ましくない。さらに、重合度は5〜80
の範囲内にあることが好ましい。
【0053】(C−2)成分の製造方法は、従来から公
知の方法に基づき、例えば、加水分解触媒存在下、上記
有機官能基含有アルコキシシラン化合物およびテトラア
ルコキシシラン化合物の混合物中に、水を加え部分共加
水分解縮合反応を行うことにより得ることができる。
【0054】部分共加水分解縮合において、部分共加水
分解の程度は、例えば、全く加水分解されない場合は平
均重合度が0であり、100%加水分解された場合には
重合度が上がりすぎてゲル化するようにその重合度と密
接な関係があり、本発明で使用する(C−2)成分にお
いては平均重合度3〜100に調整される。
【0055】使用される加水分解縮合触媒としては、従
来から公知の種々のものを使用することができる。具体
例としては、例えば、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン
酸などの有機酸類;塩酸、硝酸、リン酸、硫酸などの無
機酸類;トリエチルアミンなどの塩基性化合物類;テト
ラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレートなどの有
機金属塩類;KF、NH4 Fなどの含F化合物類などを
挙げることができる。上記触媒は単独で使用してもよ
く、あるいは複数種を併用してもよい。触媒の使用量
は、0.001〜1モル%の範囲が好ましい。
【0056】これらの触媒の中でも含F化合物は、反応
活性に富むシラノール基の縮合を促進する機能に優れて
いるため、シラノール基を少量しか含有しない物を合成
するのに適しており、これにより塗料貯蔵安定性が良好
となることから特にそのものを使用することが好まし
い。
【0057】部分共加水分解縮合反応を実施するに際し
て、必要に応じて有機溶剤を使用してもよい。使用可能
な有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、
イソプロパノール、t−ブタノールなどのアルコール
類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類;ジブチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチルな
どのエステル類;トルエンなどの芳香族類などを例示す
ることができる。特にメタノール、エタノール、アセト
ンなどの有機溶剤が好ましい。
【0058】部分共加水分解縮合反応に使用する水量
は、希望する重合度により決定する。過剰に添加する
と、アルコキシ基が破壊され、最終的にゲル化に至るた
め厳密に決定する必要がある。特に、触媒に含F化合物
を使用する場合、含F化合物が完全に加水分解縮合を進
行させる能力があるため、添加する水量により重合度が
決定でき、任意の分子量の設定が可能となるので好まし
い。すなわち、平均重合度Mの目的物を調製するために
は、Mモルのアルコキシシラン化合物に対して(M−
1)モルの水を使用すればよい。その他の触媒の場合、
これより若干増量する必要がある。
【0059】部分共加水分解縮合反応は、室温あるいは
150℃以下の温度範囲で行うことができる。室温未満
では反応の進行が遅くなり実用的でなく、また150℃
を超えるとエポキシ基などの有機置換基の熱分解が起こ
るため好ましくない。
【0060】本発明の塗料において、(C−2)成分の
配合割合は、(A)成分と(B)成分との合計固形分1
00重量部あたり0.1〜50重量部、好ましくは1.
0〜20重量部の範囲が好ましい。配合割合が0.1重
量部未満であると、塗膜の耐汚れ性が十分得られず、一
方、50重量部を超えると塗膜の耐水性、耐酸性、耐ア
ルカリ性などが悪くなるので好ましくない。
【0061】本発明の塗料で使用する(C−3)成分の
一般式(1)〜(3)における加水分解性基(Z)は、
従来から公知のもの、例えばメトキシ基、エトキシ基、
プロボキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基、ブ
タノキシム基などを挙げることができる。これらの加水
分解性基は、1種もしくは2種以上組合わさって含有す
ることができる。メトキシ基およびエトキシ基は、塗料
の保存安定性がよく、また、加水分解性が優れるため早
期に耐汚れ性が発揮できるので、特に好ましい。 (C
−3)成分の一般式(1)〜(3)のR2で表されるア
ルキル基は、炭素数が1〜3であり、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基が好ましい。この中でもメチ
ル基は疎水性が最も少ないため、耐汚れ性に優れた効果
を発揮する。 (C−3)成分の一般式(1)ケイ素構
造単位における有機官能基(R1)は、(A)成分およ
び(B)成分との間に化学反応により化合結合を形成す
る、極性構造により水素結合を形成するあるいは親和性
に基づく相互作用などにより、(C−3)成分が本発明
の塗料で形成された硬化塗膜からの脱離を防止するよう
に機能するものである。該有機官能基は直接ケイ素に結
合していても、また、有機置換基を介してケイ素に結合
していてもかまわない。
【0062】該有機官能基(R1)としては、例えばγ
−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)−エチル基、5,6−エポキシヘキシル
基、9,10−エポキシデシル基などのエポキシ基;γ
−メルカプトプロピル基、β−(メルカプトメチルフェ
ニル)エチル基、6−メルカプトヘキシル基、10−メ
ルカプトデシル基、メルカプトメチル基などのメルカプ
ト基;γ−メタアクリロキシプロピル基、γ−メタアク
リロキシメチル基、γ−アクリロキシプロピル基、γ−
アクリロキシメチル基などの(メタ)アクリロイル基;
ならびにビニル基などを挙げることができる。これらの
有機官能基(R1)は、1種もしくは2種以上組合わさ
って、含有することができる。
【0063】これらの有機官能基を含有するケイ素構造
単位は、加水分解縮合反応によりシロキサン結合を形成
しうる加水分解性基を2個(D単位)、または3個(T
1単位)含有するものを使用することができる。
【0064】これらの有機官能基(R1)を含有するケ
イ素構造単位は、含有量が(C−3)成分中の全ケイ素
原子に対して5〜80モル%の範囲である。含有量が5
モル%未満では、(C−3)成分を塗膜中に固定する能
力が不足し、(C−3)成分が塗膜中から溶出しやすく
なるため好ましくない。一方、含有量が80モル%を超
えると、(C−3)成分の親水性が不足し、良好な耐汚
れ性が得られなくなるため好ましくない。特に好ましい
含有量は、10〜50モル%の範囲である。
【0065】(C−3)において、(2)の一般式R2
SiZ3で表されるケイ素構造単位(T2単位)は最終
的にはシラノール基を形成するか、または他のケイ素原
子と縮合してシロキサン結合を形成しうる加水分解性基
を3個含有するものであり、塗膜の親水性をあまり低下
させずに柔軟性、可撓性が付与できる単位である。この
単位を含有しない場合には、塗膜の部分的な架橋が高密
度となり、塗膜にクラックが発生するといった欠点があ
る。
【0066】ケイ素構造単位としてのT2は、含有量が
(C−3)中に0.1〜30モル%(対全ケイ素原子)
の範囲である。含有量が0.1モル%未満では、塗膜に
可撓性が付与されず、クラック等が発生し良好な塗膜が
得られないため好ましくない。また、含有量が30モル
%を超えると、可撓性は十分付与されるものの、疎水性
が強くなりすぎるために親水性が不足し、耐汚れ性が劣
るため好ましくない。さらに、T2単位の含有量は、1
〜25モル%の範囲が好ましい。
【0067】(C−3)において、一般式SiZ4で表
されるケイ素構造単位(Q単位)は、最終的にはシラノ
ール基を形成するかまたは他のケイ素原子と縮合してシ
ロキサン結合を形成しうる加水分解性基を4個含有する
ものであり、塗膜に親水性が付与できる単位である。
【0068】このQ単位は、含有量が(C−3)中に1
0〜94.9モル%(対全ケイ素原子)の範囲である。
含有量が10モル%未満では、親水性が不十分となるた
め良好な耐汚れ性、耐酸性および耐アルカリ性などが得
られなくなるため好ましくない。一方、含有量が94.
9モル%を超えると親水性は十分付与されるものの、親
水性が大きくなり塗膜中からシリコーン化合物が脱落し
やすくなり、経時で特性が低下するので好ましくない。
さらに、Q単位の含有量は、25〜90モル%の範囲が
好ましい。
【0069】また(C−3)において、T2単位、およ
びQ単位の合計含有量は、有機官能基含有ケイ素構造単
位の含有量を除いた量であり、20〜95モル%の範囲
である。
【0070】(C−3)の重合度は、3〜100の範囲
である。重合度が3未満では、塗膜の硬化過程中に該
(C−3)が塗膜から揮発したり、塗膜表面に十分な親
水性が付与できなかったり、および塗膜中から溶出しや
すくなったりして耐汚れ性、耐久性に優れた塗膜が形成
できない。また、重合度が100を超えると、(C−
3)は塗膜中で分散が悪く、均一な塗膜の形成が難しく
なるため仕上り性、耐汚れ性、耐久性などが劣る。さら
に、重合度は5〜80の範囲が好ましい。
【0071】(C−3)は、上記条件を満たすものなら
ば、従来から公知の種々の方法によって製造することが
できる。具体的には以下の例を挙げることができるが、
以下に記載の方法に限定されるものではない。
【0072】(イ)シランカップリング剤〔(1)単位
を有する成分、以下、同じ意味を示す〕、アルキル3官
能性シラン〔(2)単位を有する成分、(T2単位)以
下、同じ意味を示す〕、及び4官能性シラン〔(3)単
位を有する成分、(Q単位)以下、同じ意味を示す〕を
加水分解縮合触媒の存在下に、部分共加水分解縮合す
る。
【0073】(ロ)アルキル3官能性シランと4官能性
シランとを部分共加水分解して得たオリゴマーあるいは
レジンに、シランカップリング剤あるいは予備加水分解
物を反応させる。
【0074】(ハ)シランカップリング剤とアルキル3
官能性シランとの共加水分解物に、4官能性シランまた
はこれを予備部分加水分解したものを反応させる。
【0075】これらの方法の中で、(イ)の原料シラン
化合物を部分共加水分解縮合する方法が、有機官能基、
T単位およびQ単位を(C−3)中に均一に導入するこ
とが可能で、耐汚れ性、耐酸性、耐アルカリ性などの塗
膜性能およびその耐久性能面での向上および塗膜のクラ
ック防止が容易に両立できるようになるため、特に好ま
しい。
【0076】部分共加水分解縮合において、部分共加水
分解の程度は、例えば、全く加水分解させない場合は平
均重合度が0であり、また、100%加水分解させた場
合には重合度が上がりすぎてゲル化するようにその重合
度と密接な関係があり、本発明で使用する(C−3)に
おいては平均重合度3〜100に調整される。
【0077】出発原料となるシランカップリング剤、ア
ルキル3官能性シラン、および4官能性シランは、置環
基および加水分解性基が上記条件を満たせば、従来から
公知のものを使用することができる。また、シランカッ
プリング剤は、3官能性(T1単位)のもの、2官能性
(D単位)のものいずれも使用できる。
【0078】(C−3)の製造には、前記した(C−
2)と同様の方法(必要に応じて前記溶媒で希釈した
後、前記加水分解触媒および水を前記の範囲で配合し、
室温あるいは150℃以下の温度範囲で部分共加水分解
縮合反応を行う)で行うことができる。
【0079】(C−3)の配合割合は、(A)成分と
(B)成分との合計固形分100重量部あたり0.1〜
50重量部、好ましくは1.0〜20重量部の範囲が望
ましい。配合割合が0.1重量部未満であると、塗膜の
耐汚れ性、耐酸性、耐アルカリ性、および耐水性などの
性能が低下し、一方、50重量部を超えると塗膜の耐水
性、耐酸性、耐アルカリ性などが悪くなるので好ましく
ない。
【0080】(D)成分:熱潜在性カチオン重合性触媒 本発明の塗料は、上記(A)成分、(B)成分および
(C)成分に加え、さらに(D)カチオン重合性触媒を
含有する。カチオン重合性触媒(D)は、常温では不活
性であるが、加熱して臨界温度に達すると開裂してカチ
オンを発生し、カチオン重合を開始させる化合物であっ
て、例えば、SbF6 −、SbF4 −、AsF6 −、P
6 −などを陰イオン成分とする窒素、イオウ、リンま
たはヨードのオニウム塩を包含する。具体的には、以下
に例示する化合物が好適である。
【0081】i)4級アンモニウム塩型化合物: 例えば、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム
六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジル
アニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−
ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジ
エチル−N−ベンジルピリジニウムトリフルオロメタン
スルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベ
ンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジ
エチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六
フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メト
キシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、
N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トル
イジニウム六フッ化アンチモンなど、 ii)スルホニウム塩型化合物: 例えば、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、ト
リフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェ
ニルスルホニウム六フッ化ヒ素、アデカCP−66(旭
電化工業製)、アデカCP−77(旭電化工業製)、ト
リ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ
素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニ
ウム六フッ化ヒ素など、 iii)ホスホニウム塩型化合物: 例えば、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アン
チモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモン
など、 iv)ヨードニウム塩型化合物: 例えば、ジフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4
−クロロフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−
ブロムフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−p−ト
リルヨードニウム六フッ化ヒ素、フェニル(4−メトキ
シフェニル)ヨードニウム六フッ化ヒ素など。
【0082】これらのカチオン重合性触媒(D)は、臨
界温度(例えば、約100〜180℃、好ましくは約1
20〜160℃)で10〜40分程度加熱すると開裂し
てカチオンを発生し、(A)成分の脂環式エポキシ基お
よび(B)成分の水酸基、エポキシ基の相互間でのカチ
オン重合を開始させ、該両成分が架橋反応し三次元的に
硬化するのを促進する機能を有する。
【0083】カチオン重合性触媒(D)の配合量は特に
制限されないが、一般には、上記(A)成分と(B)成
分との合計固形分100重量部あたり、0.05〜10
重量部、特に0.5〜5重量部が適している。
【0084】本発明の熱硬化性有機溶剤系塗料は、以上
に述べた(A)成分、(B)成分、(C)成分および
(D)成分を有機溶剤に溶解または分散することにより
調製することができる。有機溶剤として、例えば、トル
エン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、イソホロン、メタノール、エタノール、ブタノー
ル、酢酸カルビノール、酢酸メトキシブチル、セロソル
ブ、酢酸セロソルブなどが挙げられるが、これらのみ制
限されるものではない。
【0085】本発明の塗料には、使用目的に応じて、上
記成分に加え、さらに着色顔料、干渉顔料、メタリック
顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、流動調整
剤、はじき防止剤などの通常の塗料用添加剤を必要に応
じて配合することができる。
【0086】本発明の塗料によって形成された硬化塗膜
は、屋外に暴露した場合、雨などの作用により水接触角
は徐々に低下するが、暴露前の塗膜の表面を酸性処理
(2.5重量%硫酸水に20℃で24時間浸漬し、次い
で付着した硫酸水を水洗し乾燥を行った)後の水接触角
を測定することにより、暴露塗膜の最終到達水接触角を
予測することができる。
【0087】本発明の塗料は、形成させた塗膜の表面を
酸処理(2.5重量%硫酸水に20℃で24時間浸漬
し、次いで付着した硫酸水を水洗し乾燥を行った)し、
その塗膜表面が水に対する接触角で、好ましくは10〜
70の範囲に入ることが好ましい。接触角が70度を上
回ると耐汚れ性が低下するので好ましくなく、接触角が
10度を下回ると塗膜の耐水性、耐酸性、耐アルカリ性
等が低下するので好ましくない。
【0088】本発明の塗料は、通常、ソリッドカラー塗
料、メタリック塗料または光干渉模様塗料として使用す
ることができるが、耐汚染性に優れた塗膜を形成するの
で、最上層部の透明塗膜を形成するクリヤー塗料として
使用することが最も好ましい。
【0089】具体的には例えば、着色塗料およびクリヤ
ー塗料を順次塗装する上塗り2コート仕上げにおいて、
該クリヤー塗料として本発明の塗料を使用することがで
き(以下、塗装法Aという)また、着色塗料、第1クリ
ヤー塗料および第2クリヤー塗料を順次塗装する上塗り
3コート仕上げにおいて、該第2クリヤー塗料として本
発明の塗料を使用することができる(以下、塗装法Bと
いう)。
【0090】さらに、第1着色塗料、第2着色塗料およ
びクリヤー塗料を順次塗装するにあたり、クリヤー塗料
として、本発明の塗料を使用する塗装法も挙げられる
(塗装法C)。
【0091】塗装法Aで使用される着色塗料としては、
ソリッドカラー塗料、メタリック塗料および光干渉模様
塗料が包含され、樹脂成分、着色顔料および溶剤を主成
分とする既知の熱硬化性塗料が適している。
【0092】具体的には、該樹脂成分は、架橋性官能基
(例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アル
コキシシラン基など)を有するアクリル樹脂、ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂な
どから選ばれる1種もしくはそれ以上の基体樹脂と、こ
れらを架橋硬化させるためのアルキルエーテル化したメ
ラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ブロックされ
ていてもよいポリイソシアネート化合物、エポキシ化合
物、カルボキシル基含有化合物などから選ばれる1種も
しくはそれ以上の架橋剤成分とからなり、該両成分の合
計重量を基準に基体樹脂は50〜90%、架橋剤成分は
50〜10%の比率で併用することが好ましい。
【0093】該着色顔料には、ソリッドカラー顔料、メ
タリック顔料および光干渉模様顔料が包含され、これら
はそれぞれ単独もしくは2種以上組合わせて使用するこ
とができる。また、溶剤としては有機溶剤系が適してい
るが、水系であっても差し支えない。
【0094】塗装法Aは、例えば、自動車用の金属製も
しくはプラスチック製材料のような被塗物に直接または
カチオン電着塗料などの下塗塗料や中塗塗料(省略可
能)を塗装し、硬化させた後、上記着色塗料をエアレス
スプレー、エアスプレー、静電塗装などで膜厚が硬化塗
膜で約10〜約50μm になるように塗装し、約100
〜約180℃、好ましくは約120〜約160℃で約1
0〜約40分間加熱して架橋硬化させてから、または硬
化させずに室温で数分間放置してから、本発明の塗料か
らなるクリヤー塗料を同様の方法で膜厚が硬化塗膜で約
20〜約70μmになるように塗装し、約100〜約1
80℃、好ましくは約120〜約160℃で約10〜約
40分間加熱して架橋硬化させることによって行う、2
コート1ベイク方式(2C1B)または2コート2ベイ
ク方式(2C2B)が適している。塗装法Bで用いる着
色塗料としては、上記塗装法Aで説明した着色塗料から
選ばれる塗料を使用することができる。また、第1クリ
ヤー塗料は透明塗膜形成用塗料であり、上記着色塗料か
ら着色顔料のほとんどもしくはすべてを除去してなる塗
料、本発明の塗装法などを使用することができる。そし
て、第2クリヤー塗料として本発明の塗料を使用する。
塗装法Bは、具体的には、例えば、自動車用の金属製も
しくはプラスチック製材料のような被塗物に直接または
カチオン電着塗料などの下塗塗料や中塗塗料(省略可
能)を塗装し、硬化させてから、上記着色塗料をエアレ
ススプレー、エアスプレー、静電塗装などで膜厚が硬化
塗膜で約10〜約50μm になるように塗装し、約10
0〜約180℃、好ましくは約120〜約160℃で約
10〜約40分間加熱して架橋硬化させてから、または
硬化させずに室温で数分間放置してから、該塗面に第1
クリヤー塗料を同様の方法で膜厚が硬化塗膜で約10〜
約50μm になるように塗装し、約100〜約180
℃、好ましくは約120〜約160℃で約10〜約40
分間加熱して架橋硬化させてから、または硬化させずに
室温で数分間放置した後、第2クリヤー塗料として本発
明の塗料を同様の方法で膜厚が硬化塗膜で約10〜約5
0μm になるように塗装し、約100〜約180℃、好
ましくは約120〜約160℃で約10〜約40分間加
熱して架橋硬化させることによって行う、3コート1ベ
イク方式(3C1B)または3コート2ベイク方式(3
C2B)または3コート3ベイク方式(3C3B)が適
している。
【0095】塗装法Cで使用する第1着色塗料として
は、上記塗装法Aで説明した着色塗料から選ばれるソリ
ッドカラー塗料やメタリック塗料が使用することがで
き、特にこのなかで、素地を隠蔽できる塗料が好まし
い。また、第2着色塗料としては、上記塗装法Aの着色
塗料として例示したソリッドカラー塗料、メタリック塗
料および光干渉模様塗料のうち、素地(つまり第1着色
塗料塗面)を透視できる程度の隠蔽性を有する着色透明
塗膜を形成する塗料を使用することができ、そして、第
2クリヤー塗料として本発明塗料を使用する。塗装法C
は、具体的には、例えば、自動車用の金属製もしくはプ
ラスチック製材料のような被塗物に直接またはカチオン
電着塗料などの下塗塗料や中塗塗料(省略可能)を塗装
し、硬化させてから、上記第1着色塗料をエアレススプ
レー、エアスプレー、静電塗装などで膜厚が硬化塗膜で
約10〜約50μm になるように塗装し、約100〜約
180℃、好ましくは約120〜約160℃で約10〜
約40分間加熱して架橋硬化させてから、または硬化さ
せずに室温で数分間放置してから、該塗面に第2着色塗
料を同様な方法で膜厚が硬化塗膜で約10〜約50μm
になるように塗装し、約100〜約180℃、好ましく
は約120〜約160℃で約10〜約40分間加熱して
架橋硬化させてから、または硬化させずに室温で数分間
放置させてから、クリヤー塗料である本発明の塗料を同
様な方法で膜厚が硬化塗膜で約10〜約50μm になる
ように塗装し、約100〜約180℃、好ましくは約1
20〜約160℃で約10〜約40分間加熱して架橋硬
化させることによって行う、3コート1ベイク方式(3
C1B)、3コート2ベイク方式(3C2B)または3
コート3ベイク方式(3C3B)が適している。
【0096】
【発明の効果】
(1)本発明の塗料により形成される硬化塗膜は、水酸
基含有アクリル樹脂とメラミン樹脂とを主成分とする有
機溶剤系塗料に比べ、耐候性および仕上り外観などは同
等もしくはそれ以上で、しかも耐酸性が顕著に優れてい
る。
【0097】(2)本発明の塗料により形成される硬化
塗膜の耐酸性、耐候性および仕上り外観は、カルボキシ
ル基含有樹脂とエポキシ基含有樹脂とを主成分とする酸
エポキシ型塗料に比べて同様以上であり、しかも耐汚染
性が顕著に優れている。
【0098】(3)本発明の塗料により形成される硬化
塗膜は、ツーコン硬度(20℃)が15以上であり、か
つ動的弾性率E′(周波数110Hz)の150〜200
℃の範囲内での最小値が1.0×109 dynes/cm2 以上
にすることは可能であり、該塗膜は60℃以上の高温に
晒されても軟化することはほとんどない。
【0099】(4)本発明の塗料により形成される硬化
塗膜は超硬質であるため、鳥糞、花粉、虫の死骸、排気
ススなどの汚染性物質が付着しても、塗膜内部に浸み込
むことがほとんどなく容易に拭き取ることができ、その
部分の光沢や鮮映性などが低下することがない。
【0100】(5)本発明の塗料による硬化塗膜は超硬
質であるため、鉄粉、砂泥などが塗膜に付着またはめり
込んだりすることがない。
【0101】(6)(C)成分を配合することにより、
本発明の塗料の硬化塗面が親水性となり、塗面に付着し
た汚染物質が雨水などによって容易に洗い流され、ワイ
ピングすることなしに汚染を除去でき、しかも長期にわ
たって汚れにくい、いわゆる洗車フリーの塗膜を形成す
ることができた。
【0102】したがって、本発明の塗料は、特に自動車
車体最外層の仕上げ用塗料として極めて有用である。
【0103】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに具体的に説明する。部および%は重量に基づく。
【0104】試料の調製 (A)成分 A−1:実施例用 「CEL−2021P」(ダイセル化学工業(株)製、
商品名) エポキシ当量130、理論分子量252 構造式
【0105】
【化3】
【0106】A−2:実施例用 「エポリードGT302」(ダイセル化学工業(株)
製、商品名) エポキシ当量240、理論分子量634 構造式
【0107】
【化4】
【0108】(B)成分 B−1:実施例用 グリシジルメタクリレート650部、ヒドロキシエチル
アクリレート116部、n−ブチルアクリレート100
部およびn−ブチルメタクリレート134部を常法によ
り溶液重合してなる、エポキシ当量218、水酸基価5
6および数平均分子量10,000のアクリル樹脂。
【0109】B−2:実施例用 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート6
50部、ヒドロキシエチルメタクリレート65部および
n−ブチルアクリレート85部を常法により溶液重合し
てなる、エポキシ当量216、水酸基価28および数平
均分子量3,000のアクリル樹脂。
【0110】(C)成分 C−1:エポキシ官能基およびアルコキシ基含有シリコ
ーン化合物の調製:温度計、窒素導入管、滴下ロートを
備えた2,000mlの反応容器に、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン(b)236g(1.00mo
l)、テトラメトキシシラン152g(1.00mol)、メ
タノール320g(10mol)とKF0.06g(0.0
01mol)仕込み攪拌下室温で水28.8g(1.60mo
l)ゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した
後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低
沸分を減圧留去、濾過することにより無色透明液体を2
66g得た。
【0111】このようにして得た物質をGPC測定した
結果、平均重合度は5.3(設定重合度=5.0)であ
り、ほぼ設定どおりであった。
【0112】また、塩酸によるエポキシ開環法でエポキ
シ当量を測定したところ、319g/mol (設定値314
g/mol)であり、エポキシ基は所定量導入されているのが
確認された。アルコキシ基量をアルカリクラッキング法
で定量下ところ、36.8重量%(設定値37.4重量
%)であり、アルコキシ基も設定どおりに残存している
ことが確認された。
【0113】また、1H−NMRの測定結果から、得ら
れた物質の構造は、設定どおり以下の構造であった。
【0114】平均組成式:
【0115】
【化5】
【0116】このようにして得たシリコーン化合物を化
合物A2−1とする。
【0117】C−2:エチルシリケート40 C−2:エチルシリケート48 エチルシリケート40およびエチルシリケート48はそ
れぞれコルコート(株)社製の商品名でテトラエトキシ
シリケートの縮合度2〜10の低縮合物を示す。(D)
成分 D−1:「サンエイドS1−100」(三新化学(株)
製、商品名) ベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロア
ンチモネート D−2:N−α,α−ジメチルベンジルピリジニウムヘ
キサフルオロアンチモネート実施例1〜4 上記成分を混合して塗料組成物を調製した。これらの配
合比率を後記表1に示す。
【0118】表1において、 1)各成分の配合量は固形分量である。
【0119】2)平均EP当量は(A)成分と(B)成
分との合計平均エポキシ当量である。
【0120】3)B/Aモル比は(A)成分のエポキシ
基と(B)成分のエポキシ基のモル比である。
【0121】4)モダフローはモンサント社製、商品
名、表面調整剤 5)塗装工程の項の3C2Bは3コート2ベイクの略で
ある。具体的には、カチオン電着塗料および中塗塗料を
塗装し加熱硬化した被塗物に、アクリル樹脂−メラミン
樹脂系有機溶剤型メタリック塗料(硬化膜厚20μ)お
よびアクリル樹脂−メラミン樹脂系有機溶剤型第1クリ
ヤー塗料(硬化膜厚25μ)を塗装し、140℃で30
分加熱して該両塗膜を硬化させた後、第2クリヤー塗料
として本発明の実施例で得た塗料を硬化膜厚25μにな
るように塗装し、140℃で30分加熱して、試験用塗
板を得る。
【0122】試験項目のうち、「最小弾性率」以外はす
べてこの3C2Bで得た塗板を用いて塗膜試験を行い、
最小弾性率は実施例で得た塗料組成物の単独塗膜(硬化
膜厚40μになるように塗装し、140℃で30分加熱
硬化したもの)について測定した。
【0123】6)仕上り外観は目視評価の結果であり、
○はツヤおよび平滑性などが良好、△はツヤおよび平滑
性がかなり劣る、×はツヤおよび平滑性など著しく劣る
ことを示す。
【0124】7)硬度は塗板を20℃または60℃に加
熱し、その塗膜温度でツーコン硬度を測定した結果であ
る。
【0125】8)耐酸性は、塗面に40%硫酸水溶液を
0.4cc滴下し、熱風乾燥機で60℃で15分加熱して
から水洗したのち、目視評価した結果である。○は全く
異常を認めない、△はスポット跡が少し残る、×はシ
ミ、白化またはフクレが著しいことを示す。
【0126】9)汚染除去性は、カーボンブラック(日
本粉体工業技術協会製、試験用ダスト12種)0.25
部と脱イオン水99.75部との混合液に硫酸を加えて
pH3.0に調整した試験液を塗板に噴霧し、温度20
℃、湿度70%の雰囲気で17時間静置したのち、80
℃の温風乾燥機内で6時間加熱する。これを4サイクル
繰り返してからスポンジで塗面を水洗した塗面を目視評
価した結果である。○は汚染を全く認めない、△は汚染
が少し認められる、×は汚染が著しく認められることを
示す。
【0127】10)耐鳥フン性は、野外で採取したハト
糞を脱イオン水に混合して濃度30%とし、ディスパー
で30分攪拌してからガーゼで濾過した濾液を試験液と
し、この試験液0.4ccを塗面に滴下し、グラジエント
オーブンで70℃30分加熱したのち、水洗した塗面を
目視評価した結果である。○は汚染を全く認めない、△
はシミ、くもり、フクレが少し認められる、×はシミ、
くもり、フクレが著しく認められることを示す。
【0128】11)耐花粉性は、野外で採取したスギ花
粉を脱イオン水で0.5%液とし、この0.4ccを塗面
に滴下し、グラジエントオーブンで65℃30分加熱し
たのち、水洗した塗面を目視評価した結果である。○は
汚染を全く認めない、△はシミ、フクレ、チジミが少し
認められる、×はシミ、フクレ、チジミが著しく認めら
れることを示す。
【0129】12)最小弾性率は150〜200℃での
動的弾性率の最小率(dynes/cm2)である。
【0130】13)酸処理後の水接触角は試験板を2.
5%硫酸水に20℃で24時間浸漬し、次いで付着した
硫酸水を水洗し、乾燥を行った後、協和化学(株)製コ
ンタクタングルメーターDCAA型を用い、塗膜表面に
脱イオン水0.03ccの水滴を滴下し、20℃で3分後
に測定した数値。
【0131】14)屋外暴露試験は関西ペイント(株)
東京工場・南面30度の角度に試験板を設置した。それ
ぞれ、6ケ月暴露された試験板を、水洗いなどの試料調
整をすることなしに、塗膜特性を評価した。
【0132】15)初期水接触角は屋外暴露を行う前の
試験板を協和化学(株)製コンタクタングルメーターD
CAA型を用い、塗膜表面に脱イオン水0.03ccの水
滴を滴下し、20℃で3分後に測定した数値。
【0133】外観(汚れ)は塗面の汚れ度合いを評価し
た。
【0134】 ○=試験前の塗板に対して、汚れ変化のないもの △=試験前の塗板に対して、汚れ変化が認められるもの ×=試験前の塗板に対して、著しく汚れ変化が認められ
るもの。
【0135】比較例1〜2 上記比較例用成分などを用いて塗料組成物を調製した。
これらの配合比率を表1に示す。表1の各成分の配合
量、平均EP当量、B/Aモル比、3C2B、「最小弾
性率」などは上記実施例と同じ意味である。また、試験
方法および評価基準も判定も上記実施例と同じである。
【0136】比較例3 実施例1における3C2Bの第2クリヤー塗料として使
用した「本発明の実施例で得た塗料」を下記酸エポキシ
系クリヤー塗料に変更した以外は、すべて実施例1と同
様にして行った。その性能試験結果を表1に示す。
【0137】クリヤー塗料:(酸エポキシ系) マレイン酸のエタノール単エステル化物200部、アク
リル酸50部、n−ブチルアクリレート200部、n−
ブチルメタリレート350部およびスチレン200部か
らなる重合体(数平均分子量6,000の酸基含有アク
リル樹脂)の50%キシレン溶液と、グリシジルメタク
リレート350部、ヒドロキシエチルメタクリレート1
30部、n−ブチルアクリレート300部、n−ブチル
メタリレート120部およびシチレン100部からなる
重合体(数平均分子量10,000のエポキシ基含有ア
クリル樹脂)の50%キシレン溶液とを固形分比で酸基
含有アクリル樹脂/エポキシ基含有アクリル樹脂=60
/40になるように混合し、さらにテトラエチルアンモ
ニウムブロミドを樹脂固形分100重量部あたり0.5
重量部添加する。
【0138】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 133/14 C09D 133/14 183/04 183/04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)1分子中に脂環式エポキシ基を2
    個以上有する数平均分子量が2,000未満の化合物、
    (B)数平均分子量が2,000〜50,000、水酸
    基価が10〜150mgKOH/g およびエポキシ当量が22
    0以下であるエポキシ基含有アクリル樹脂、(C)加水
    分解性アルコキシシリル基含有化合物、および(D)熱
    潜在性カチオン重合性触媒を含んでなり、(A)成分の
    エポキシ基対(B)成分のエポキシ基のモル比が1:1
    〜0.05であることを特徴とする熱硬化性有機溶剤系
    塗料。
  2. 【請求項2】 (A)成分と(B)成分の平均エポキシ
    当量が300以下である請求項1記載の熱硬化性有機溶
    剤系塗料。
  3. 【請求項3】 (B)成分のエポキシ基が脂環式エポキ
    シ基またはグリシジル(メタ)アクリレート由来のエポ
    キシ基である請求項1記載の熱硬化性有機溶剤系塗料。
  4. 【請求項4】 (C)成分が、テトラメチルシリケート
    および/またはテトラエチルシリケートの縮合度が2〜
    10の低縮合物である請求項1記載の熱硬化性有機溶剤
    系塗料。
  5. 【請求項5】 (C)成分が、メルカプト基、エポキシ
    基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基から選ばれる少
    なくとも1種の有機官能基を含有するアルコキシシラン
    化合物(a)100重量部とテトラアルコキシシラン化
    合物(b)20〜2,000重量部とのシラン混合物の
    部分加水分解縮合物である請求項1記載の熱硬化性有機
    溶剤系塗料。
  6. 【請求項6】 (C)成分が、一般式 R1R2Si
    Z2(式中、R1はエポキシ基、メルカプト基、(メ
    タ)アクリロイル基、ビニル基の有機官能基を示し、R
    2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Zは加水分解性
    基またはシロキサン結合により他のケイ素原子と結合し
    ている残基を示す)で表されるケイ素構造谷としてのD
    単位および/または 一般式 R1SiZ3 (式中、R1およびZは上記と同様の意味を示す)で表
    されるケイ素構造単位としてのT1単位を5〜80モル
    %以上含有し、 一般式 R2SiZ3 (式中、R2およびZは上記と同様の意味を示す)で表
    されるケイ素構造単位としてのT2単位を0.1〜30
    モル%含有し、 一般式 SiZ4 (式中、Zは上記と同様の意味を示す)で表されるケイ
    素構造単位としてのQ単位を10〜94.9モル%含有
    し、 ただし、T2単位およびQ単位の合計量が、20〜95
    モル%である平均重合度が3〜100の1分子中に有機
    官能基および加水分解性基を有するシリコーン化合物で
    ある請求項1記載の熱硬化性有機溶剤系塗料。
  7. 【請求項7】 上記一般式R1R2SiZ2で表される
    R1の有機官能基がメルカプト基である請求項6記載の
    熱硬化性有機溶剤系塗料。
  8. 【請求項8】 着色塗料およびクリヤー塗料を順次塗装
    するにあたり、該クリヤー塗料として上記請求項1記載
    の熱硬化性有機溶剤系塗料を使用することを特徴とする
    塗装法。
  9. 【請求項9】 着色塗料、第1クリヤー塗料および第2
    クリヤー塗料を順次塗装するにあたり、該第2クリヤー
    塗料として上記請求項1記載の熱硬化性有機溶剤系塗料
    を使用することを特徴とする塗装法。
  10. 【請求項10】 第1着色塗料、第2着色塗料およびク
    リヤー塗料を順次塗装するにあたり、クリヤー塗料とし
    て上記請求項1記載の熱硬化性有機溶剤系塗料を使用す
    ることを特徴とする塗装法。
  11. 【請求項11】 塗装物が自動車車体である請求項5ま
    たは6記載の塗装法。
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