JPH1098235A - 無再成長分布帰還リッジ型半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

無再成長分布帰還リッジ型半導体レーザ及びその製造方法

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JPH1098235A
JPH1098235A JP9003743A JP374397A JPH1098235A JP H1098235 A JPH1098235 A JP H1098235A JP 9003743 A JP9003743 A JP 9003743A JP 374397 A JP374397 A JP 374397A JP H1098235 A JPH1098235 A JP H1098235A
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layer
ridge stripe
semiconductor laser
forming
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農 陳
Yoshiaki Watabe
義昭 渡部
Kiyoshi Takei
清 武井
Kiyobumi Chikuma
清文 竹間
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ素子へ電流注入効率を高めるリッジ両
側領域のみに横光結合用グレーティングを設けた無再成
長分布帰還リッジ型半導体レーザ及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 活性層上にリッジストライプ材料クラッ
ド層を積層したレーザ基板を形成し、リッジストライプ
材料クラッド層をエッチングして両側平坦部とこれらか
ら突出し平坦上面部を有するリッジストライプとを形成
し、両側平坦部及び平坦上面部上にわたって保護膜及び
レジスト層を形成し、レジスト層上に、リッジストライ
プの伸長方向に周期構造を有するグレーティングの潜像
を形成し、レジスト層を現像し両側平坦部をエッチング
して両側平坦部からグレーティングを形成するととも
に、保護膜を除去し、平坦上面部上に電極を形成して、
製造され、リッジストライプ及び電極間の界面が平滑面
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【本発明の属する技術分野】本発明は、無再成長分布帰
還(Distributed Feedback:DFB)半導体レーザ及びその
製造方法に関し、特に、リッジの両側領域の回折格子作
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】DFB半導体レーザは、光CATVなど
の光通信システムや、高密度情報記録SHG短波長レー
ザ、又は小型固体レーザのポンプ光源や、光計測分野な
どに応用され得る素子として知られている。従来の分布
帰還半導体レーザはいわゆる2段階以上のエピタキシャ
ル成長によって、形成されている。2段階以上のエピタ
キシャル成長で形成するリッジ型DFB半導体レーザで
は、レーザの導波層にグレーティング(回折格子)を設
け、その後導波路上にその他の層をエピタキシャル成長
させて形成する。
【0003】近年、2段階以上のエピタキシャル成長の
煩雑性を回避するために、1段階エピタキシャル成長に
よって作製される即ち再エピタキシャル成長の無い、い
わゆる無再成長分布帰還半導体レーザも開発されてい
る。たとえば、R.D.Martin et al."CW Performance of
an InGaAs-GaAs-AlGaAs Laterally-Coupled Distribute
d Feedback (LC-DFB) Ridge Laser Diode" IEEE Photon
ics Technology Letters, Vol.7,No.3, pp244-246, Mar
ch 1995において、基板に活性層、クラッド層をエピタ
キシャル成長させ、クラッド層にリッジストライプを形
成し、リッジストライプ上面部及びその両側平坦部にグ
レーティングを設けたInGaAs-GaAs-AlGaAs分布帰還半導
体レーザが開示されている。かかる無再成長分布帰還半
導体レーザの製造方法において、グレーティングは電子
ビーム(EB)直接描画法によって、リッジ型導波路の
上面部領域を含む基板全領域にグレーティングを形成し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図1に
示すように、リッジ1の両側平坦部にグレーティング2
を設けた形成直後、電流を注入するリッジ1の上面部の
コンタクト層領域にも不必要なグレーティング3があっ
て、コンタクト層領域に接続する電極を形成する工程に
おいてリッジ上面部のグレーティング3が邪魔になり、
接触不良を引き起こす可能性があり、素子の特性にも影
響がある。
【0005】本発明は、上記の問題に鑑み、特にInP
系レーザにおける簡素なグレーティング作製工程を有す
る無再成長DFB半導体レーザの製造方法及び接触不良
のない無再成長DFB半導体レーザを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の無再成長DFB
半導体レーザの製造方法は、活性層上にリッジストライ
プを有しリッジストライプの伸長方向に周期構造を備え
た分布帰還リッジ型半導体レーザの製造方法であって、
活性層上にリッジストライプ材料のクラッド層及び必要
なコンタクト層を順に積層したレーザ基板を形成する工
程と、前記クラッド層及び必要なコンタクト層から両側
平坦部とこれらから突出し平坦上面部を有するリッジス
トライプとを形成する工程と、前記両側平坦部及び平坦
上面部上にわたって保護膜及びレジスト層を順に形成す
る工程と、前記レジスト層上に、リッジストライプの伸
長方向に周期構造を有するグレーティングパターンの潜
像を形成し、前記レジスト層の現像によりグレーティン
グパターンを形成するパターン工程と、前記グレーティ
ングパターンをエッチングし、前記平坦上面部以外の前
記活性層上又は中に前記リッジストライプ材料のグレー
ティングを形成するグレーティング形成工程と、前記保
護膜を除去して、前記グレーティング及び前記平坦上面
部の全面に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層から前
記平坦上面部だけをエッチングにより露出せしめた後、
前記平坦上面部上に電極を形成する工程と、を含むこと
を特徴とする。
【0007】上記無再成長DFB半導体レーザの製造方
法の前記パターン工程においては、電子ビーム直接描画
法により前記潜像を形成する。上記無再成長DFB半導
体レーザの製造方法においては、前記活性層がIn1- x
GaxAs1-yy(x及びyは小数を示す)を主成分と
するバルク層又は単一量子井戸若しくは多量子井戸層で
あり、前記クラッド層がInPであり、前記コンタクト
層がInGaAsP若しくはInGaAsである。
【0008】上記無再成長DFB半導体レーザの製造方
法の前記グレーティング形成工程は、ウエットエッチン
グによる形成の場合、塩酸系エッチャントによるInP
の選択的ウエットエッチングにより行い、前記リッジス
トライプの伸長方向を
【外3】 と略一致させる。上記無再成長DFB半導体レーザの製
造方法の前記グレーティング形成工程は、ドライエッチ
ングによる形成の場合、前記マスク形成工程において前
記保護膜をリッジストライプの平坦上面部のみに残して
形成し、さらに前記レジスト層を全面にわたって形成
し、前記保護膜及び前記レジスト層並び前記レジスト層
のみの膜厚差によるエッチングレートの差によって、ド
ライエッチングする。
【0009】本発明の無再成長DFB半導体レーザは、
活性層上にリッジストライプを有しリッジストライプの
伸長方向に周期構造を備えた分布帰還リッジ型半導体レ
ーザであって、活性層上にリッジストライプ材料のクラ
ッド層及び必要なコンタクト層を順に積層したレーザ基
板を形成し、前記クラッド層及び必要なコンタクト層か
ら両側平坦部とこれらから突出し平坦上面部を有するリ
ッジストライプとを形成し、前記両側平坦部及び平坦上
面部上にわたって保護膜及びレジスト層を順に形成し、
前記レジスト層上に、リッジストライプの伸長方向に周
期構造を有するグレーティングパターンの潜像を形成
し、前記レジスト層の現像によりグレーティングパター
ンを形成し、前記グレーティングパターンをエッチング
し、前記平坦上面部以外の前記活性層上又は中に前記リ
ッジストライプ材料のグレーティングを形成し、前記保
護膜を除去して、前記グレーティング及び前記平坦上面
部の全面に絶縁層を形成し、前記絶縁層から前記平坦上
面部だけをエッチングにより露出せしめた後、前記平坦
上面部上に電極を形成して、製造される、前記リッジス
トライプ及び前記電極間の界面が平滑面であることを特
徴とする。
【0010】本発明によれば、レーザ素子へ電流注入効
率をよくさせるために、リッジ上面部のコンタクト層の
上に、グレーティングを形成せず、リッジの両側領域の
み(平坦上面部以外の領域)にグレーティングを設け、か
つ段差のところまでグレーティングを均一に揃えること
ができる。特に、InGaAsP/InPレーザ用のエピタキシャ
ルウエハの特徴を利用し、簡便かつ確実な選択的ウエッ
トエッチング方法で上記リッジの両側領域のみに横光結
合用グレーティング構造を形成でき、無再成長DFBリ
ッジ型半導体レーザを、高歩留り、低コスト、高品質で
製造できる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の発明者は、インジウム−
リンInP基板上に、気相成長法、特に原料として有機金
属化合物ガスを用いた有機金属化合物気相成長法(MOCV
D)により、In1-xGaxAs1-yy/InP系の無再成
長DFBリッジ型半導体レーザを作製し、リッジストラ
イプ及び電極間の界面が平滑面であり、発光特性が良好
な素子を得るべく表面処理方法を種々検討した結果、本
発明を完成した。
【0012】以下に、本発明によるInP基板上へのIn
1-xGaxAs1-yy(0≦x<1,0≦y≦1)の半導
体レーザを作製する方法の実施例を図2から図10に基
づいて説明する。
【0013】まず、図2に示すように、所定面方位(10
0)面のInP結晶基板のウエハを用意し、化学エッチン
グで表面を清浄し、所定のエピタキシャル成長方法、液
相成長法、有機金属気相成長法、分子線成長法などでS
CH(Separate ConfinementHeterostracture)構造活性
層領域、リッジストライプ材料クラッド層、コンタクト
層などを形成する。例えば、n+−InP(substrate)の
基板9の(100)面上にn−InP(clad)10、In1-x
xAs1-yy(SCH active)の活性層11、活性層上に
p−InPのリッジストライプ材料クラッド層12、リ
ッジストライプ材料クラッド層上にp−InGaAsP
又はp+−InGaAsからなるコンタクト層13を積
層する。このように、レーザ構造を有するレーザ基板を
形成する。
【0014】次に、図3に示すように、リッジストライ
プが
【外4】 に伸長するようにSiO2,TiO2等からなる所定のス
トライプマスクを、コンタクト層13上に形成して、例
えばフォトリソグラフィー技術等を用いて、コンタクト
層13及びリッジストライプ材料クラッド層12をエッ
チングして、両側平坦部14とこれらから突出する所定
高さで平坦上面部15aを有するリッジストライプ15
とを形成する。
【0015】次に、図4に示すように、両側平坦部14
及びリッジストライプ平坦上面部15a上にわたって、
SiO2等の保護膜16を形成する。保護膜16はP脱
離防止及びエッチングマスク用である。また、保護膜1
6は次工程の高温ベークが必要な高解像度EBレジスト
の均一な膜を得るために有用である。次に、図5に示す
ように、保護膜16上両側平坦部及び平坦上面部にわた
って、EB描画用レジストをコーティングして、その後
ベークしてレジスト層17を形成する。
【0016】次に、図6に示すように、リッジストライ
プ上面部をも含め、所望のレーザ発振波長に合わせた周
期で、ラインを結晶方位の[011]方向に沿ってEB描画
し、レジスト層17上に、リッジストライプの伸長方向
に周期Λで変化する周期構造を有するグレーティングの
潜像を形成する。DFB半導体レーザでは、一般にレー
ザ光が伝搬する方向に周期Λで変化する周期構造が形成
され、そのため屈折率も周期的に変化し、周期的に反射
されてくる光の位相が一致する波長で反射率が高くなり
(ブラッグ反射)、レーザ発振が起こる。よって分布帰
還半導体レーザの発振波長は周期構造の周期Λによって
決まり、一般にΛ=mλ/2nを満たす条件にて単一縦
モードが得られる。なおmは整数、λは発振波長(真空
中)、及びnはレーザ媒体の屈折率を示す。一般にブラ
ッグ反射波長近傍で発振するが、In1-xGaxAs1-y
P活性層、InPリッジストライプ材料クラッド層の屈
折率、膜厚、アスペクト比を、更には共振器(劈開面)
の反射率を、また更には横方向の光結合率をも勘案し
て、周期Λは決定される。
【0017】次に、図7に示すように、グレーティング
形成工程として、CF4ドライエッチングでSiO2保護
膜16にレジスト層17のグレーティングを転写し、塩
酸系エッチャント例えば、HCl:H2Oで、両側平坦
部のInPを選択的にウエットエッチングして両側平坦
部からグレーティング20を形成するとともに、保護膜
16を除去する。
【0018】上記グレーティング形成工程の結果は、S
EM写真によって観察したところ、幅がリッジストライ
プの両側基板領域に渡り、周期サブマイクロメータオー
ダのグレーティング構造が段差のところまで均一に形成
されていることが確認された。次に、図8に示すよう
に、リッジストライプ15及びグレーティング20のあ
る全面に水ガラスなどの珪素化合物を塗布し、これを硬
化させて無機保護層(絶縁層)21を形成する。この電
流ブロック用保護膜である無機保護層21は、リッジス
トライプ15の平面上部ではグレーティング20の上部
よりも薄い膜厚で形成される。
【0019】その後、図9に示すように、リッジストラ
イプ上面部15aが露出するまで無機保護層21を除去
する。リッジストライプ15の平面上部とグレーティン
グ20の上部との無機保護層21の膜厚差が生じた状態
で、ドライエッチングすることによって、リッジストラ
イプ15の平面上部15aだけを露出させることができ
る。これはいわゆるセルフアライン法による電極窓形成
である。次に、図10に示すように、露出したリッジス
トライプ上面部15aのコンタクト層上に電極30を形
成する。この際、リッジストライプ上面部15aにはグ
レーティングがなく平坦になっているので接触不良のな
い電極を形成することができる。そして、n−InPの
基板9の対向面にも対向電極31を形成する。電極には
整流性を有しないオーミック接触の金属が選択される。
一般にn側にはAuGeNi、p側にはCrAuが真空
蒸着により形成される。その後、所定工程により、素子
が完成される。なお、このレーザにおいて、活性層はバ
ルクで、端面は劈開面である。リッジストライプ幅は5
μmであり、強い結合を求める場合は2μm以下とする
こともできる。グレーティングは3次であるが、1次で
あってもよい。グレーティングの深さは周期の1/4〜
1/3であるが、1/3以上であってもよい。
【0020】得られた無再成長DFB半導体レーザの特
性について発振波長対相対強度のスペクトラム分布並び
に注入電流密度対光出力を調べた。その結果、得られた
無再成長DFB半導体レーザでは、素子へ電流注入効率
が高く、単一モードの発光が得られることが確認され
た。このように、本実施例によれば、リッジストライプ
上部を含むリッジストライプのある全面に、保護膜を設
け、描画法で所定ピッチでパターンを露光し、リソグラ
フィー技術によって所定周期のグレーティングを形成す
る。上記のInPの選択エッチングによってリッジスト
ライプ上部にはグレーティングが形成されず、平滑面と
なり、リッジストライプの両側平坦部にのみグレーティ
ングが形成される。
【0021】他の実施例としては、一般的なレーザ材料
の場合には、図11〜図15に示すグレーティング作製
工程で行う。まず、活性層111、リッジストライプ材
料クラッド層112及びコンタクト層113を有する所
定方位面のエピタキシャル基板110を用意する。次
に、図11に示すように、エッチングで両側平坦部11
4とこれらから突出する所定高さで平坦上面部115a
を有するリッジストライプ115とを形成する。リッジ
ストライプを形成するときに、上記の選択ウエットエッ
チング法を使えない場合に、コンタクト層113上にエ
ッチングマスク40を残す。
【0022】次に、図12に示すように、両側平坦部1
14及びマスク40上にわたって、EB描画用レジスト
をコーティングして、その後ベークしてレジスト層11
7を形成する。次に、図13に示すように、リッジスト
ライプ上面部をも含め、所望のレーザ発振波長に合わせ
た周期で、リッジストライプと交差する方向に沿ってE
B描画し、レジスト層117上に、リッジストライプの
伸長方向に周期構造を有するグレーティングの潜像を形
成する。
【0023】次に、図14に示すように、グレーティン
グ形成工程として、エッチングで両側領域からグレーテ
ィング120のパターンを形成する。現像後、ドライエ
ッチングする。マスク40の上部と両側平坦部114の
上部とのレジスト層117の膜厚差があるために、リッ
ジストライプ115の平坦上面部だけがドライエッチン
グから免れ、それ以外の両側平坦部114及び活性層1
11がグレーティングパターンにより食刻される。次
に、図15に示すように、マスク40を除去し平坦上面
部115aを露出せしめる。このようにして得られたグ
レーティング構造は、SEM写真によって観察したとこ
ろ、幅がリッジストライプの両側基板領域に渡り、周期
がサブマイクロメータのグレーティング構造であって、
リッジストライプの段差側面まで均一に形成されている
ことが確認された。
【0024】以下上記実施例と同様に工程を進め、無再
成長DFBレーザを作製する。この第2の実施例におい
て、一例として、上記実施例と同様のSCH構造活性層
領域を有するInGaAsP/InPレーザを作製した。得られた
無再成長DFB半導体レーザの特性について上記実施例
と同様に調べた。その結果を図16及び図17に示す。
図16は発振波長(Wavelength)対相対強度(Relative In
tensity)のスペクトラム分布グラフを示す。図17は注
入電流密度(Injection current Density)対光出力(Ligh
t Output)の特性グラフを示す。このレーザにおいて
も、活性層はバルクで、端面は劈開面である。リッジス
トライプ幅は5μmである。グレーティングは3次であ
る。グレーティングの深さは周期の1/4〜1/3であ
る。グラフから、得られた無再成長DFB半導体レーザ
では、素子へ電流注入効率が高く、単一モードの発光が
得られることが分かる。
【0025】このように、本実施例によれば、上記の選
択ウエットエッチング法を使えない場合においても、リ
ッジストライプを形成するときに、その上にエッチング
マスクを残して保護膜とし、描画法で所定ピッチでパタ
ーンを露光し、リソグラフィー技術によって所定周期の
グレーティングを形成する。保護膜によりマスクされた
リッジストライプ上部にはグレーティングが形成され
ず、平滑面となり、リッジストライプ上面部を除いてグ
レーティングが形成される。
【0026】以上の如く、本発明により、低コストかつ
高信頼性の無再成長DFBレーザ単体及び波長多重通信
用アレー素子における、リッジの両側の領域のみに横光
結合グレーティングが形成できる。すなわち、本方法に
おいては、ドライエッチングでグレーティングを転写す
る時は、リッジストライプ上面部のみSiO2等のマス
クを残し、一方、HCl系等の選択ウェットエッチング
でグレーティングを転写する時は、InP基板の(100)
面を利用し、[011]方向にEBを走査して描画し形成
する。
【0027】以上に説明した実施例は、本発明を例示す
るに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0028】さらなる実施例の横光結合分布帰還型リッ
ジ型InGaAsP/InP半導体レーザとして、典型的な上記S
CH構造のInP系半導体レーザを計算モデルにし、結合
係数κに関する、グレーティング深さ依存性、リッジ幅
依存性、リッジ深さ依存性(深さ方向のグレーティング
位置依存性)について計算を行ない、結合係数をより大
きくするためこれらの三つのパラメータの最適条件を導
いた。
【0029】横光結合分布帰還型リッジレーザの結合係
数κは、グレーティングの深さ、リッジの幅、リッジの
深さに大きく依存する。リッジ深さは、いいかえれば、
深さ方向のどの位置にグレーティングの底を形成するか
ということである。リッジ深さは、デバイス作製におい
てメサストライプ形成のエッチングで決定され、その最
適深さ、エッチング許容誤差等を設計上見積っておくこ
とは、デバイス作製上非常に有効である。
【0030】具体的に、結合係数が最大となるリッジス
トライプ幅、グレーティングの深さ、グレーティング形
成位置をシミュレーションにより求めた。
【0031】結合係数κの計算には結合モード理論が用
いられ、これによると、1次矩形断面グレーティングの
結合係数κは次式で与えられる。
【0032】
【数1】│κ│=1/(neffλ)×(n2 2−n1 2)×
sin(πγ)×Γ ここで、n2及びn1はそれぞれグレーティングを構成す
る半導体層及び絶縁層の屈折率を、neffは導波路の実
効屈折率を、λは導波する光の波長を、γはグレーティ
ングのデューティサイクルを、Γはグレーティング領域
との電界の重なり積分を示す。
【0033】図18にSCH構造の横光結合分布帰還型
InP系半導体レーザの寸法等のパラメータを示す。波長
は1.3μmとし、n-InPクラッド110(屈折率=3.2
001)の上にInGaAsP導波層111(屈折率=3.325
8,厚さ=0.45μm)、p−InGaAsPのリッ
ジ両側平坦部114(屈折率=3.2001)すなわちグレー
ティング120の底とInGaAsP導波層との間の部分、p
−InGaAsP本体及びp+−InGaAsコンタク
ト層からなるリッジストライプ115並びに誘電体の保
護層21(屈折率=1.53)を形成したものを想定
し、InGaAsP導波層111の厚さをtact、リッジストラ
イプ115の厚さをtclad、リッジ幅をw、リッジ両側
平坦部114の厚さをt0、グレーティングの深さを
g、グレーティングのデューティサイクルをγとす
る。
【0034】ここで、グレーティングの形成位置は、図
18に示すようにInGaAsP導波層の上部表面(InGaAsP導
波層111と両側平坦部114との界面)を原点(y=
0)として、原点からグレーティングの底部までの距離
で示す。yが正の値のときはInGaAsP導波層よりも上に
グレーティングの底が形成され、yが負の値のときはIn
GaAsP導波層を掘り下げてグレーティングの底を形成す
ることを意味する。また、InGaAsP導波層は1対のガイ
ド層にサンドイッチされた活性層を有するSCH構造で
形成されるが、計算の簡素化のために一様の屈折率n
actとし、絶縁保護層は無限遠の厚さを有するものとし
ている。
【0035】(1)まず、結合係数κのグレーティング
深さ依存性を調べた。計算条件λ=1.3μm、nact=3.3
258、ndie=1.53、t0=0.0μm、γ=0.5とした場合に
おけるリッジ幅Wを1.0μm、1.5μm、2.0μm、3.0μm、
4.0μm、及び5.0μmとしたときの、1次グレーティング
深さtg(50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、
400nm、500nm)と結合定数κとを計算した。図19は1
次グレーティング深さtgと結合定数κの関係を示した
グラフである。
【0036】図19のグラフから、リッジ幅Wにより若
干のバラツキはでるもののグレーティングの深さが約1
50nm以上で結合定数は飽和していく傾向にある。
【0037】よって、結合定数κを最大にするグレーテ
ィングの深さtgは150nm以上という条件が導き出せ
る。
【0038】(2)次に、結合係数κのリッジ幅依存性
を調べた。(1)の計算結果に基づくリッジ幅Wと結合
定数κとの関係を図20に示す。
【0039】良好なDFB半導体レーザは、そのデバイ
ス長(リッジストライプ長)をLと、結合定数をκとす
ると、κL≒1を満たせば十分なDFBモードで発光す
ることが傾向として知られている。ここでL=500μmと
するとκ=20cm-1程度が必要である。
【0040】図20のグラフからグレーティングの深さ
gが150nm以上では結合定数κが20cm-1以上とな
るのは、リッジ幅Wが2.5μm以下である。よって、
リッジ幅が2.5μm以下であれば150nm以上のグレ
ーティングの深さで発光させるのに必要な結合定数が確
保できる。
【0041】(3)また、結合係数κのグレーティング
形成位置の依存性を調べた。リッジ幅1.5μm、グレ
ーティングの深さ200nmとした以外(1)の計算条件
と同様な条件で、1次グレーティングの底の位置yと結
合定数κとを計算した。図21は1次グレーティング位
置yと結合定数κの関係を示すグラフである。これから
y=−0.1μm付近で結合定数が最大となっているこ
とがわかる。yの最適範囲はデバイス作成マージン(In
GaAsP導波層の深くにまで掘り下げることは困難)を考
慮すると、y=−0.2〜+0.1μmの範囲の位置に
グレーティングの底を形成すれば、結合係数も大きくな
る。tclad=1μmとして計算しているので、リッジス
トライプ115の厚さtcladに対する深さ方向のグレー
ティングの底の位置t(リッジストライプ115の上部
表面からグレーティングの底部までの距離)はtclad
t=10:9〜10:12の範囲に形成することが好ま
しい。
【0042】InGaAsP導波層の上部界面を原点(y=
0)とした深さ方向のグレーティング位置座標yが界面
下までの位置で示しているので、yが正の場合はInP両
側平坦部が残り、yが負の場合はInGaAsP導波層までエ
ッチングされる。
【0043】よって、(1)〜(3)の各条件を満たす
ように設計すれば結合定数を大きくとることができ、レ
ーザ素子の小形化が可能となる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、リッジ型導波路構造の
ある基板上に微細グレーティングをリッジの両側領域の
みに均一性良く形成することができ、リッジ型レーザ導
波路の上面部は平滑であるために、電極層とのコンタク
トがさらによくとれる。均一性の良いグレーティング構
造をリッジの両側平坦部だけでなくリッジの側壁面まで
形成することも可能なため、横方向の光結合率も充分あ
り、高歩留りや、低コストなどの特徴を有する無再成長
屈折率横光結合リッジ型 InGaAsP/InP (DFB)レーザの実
現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の無再成長DFB半導体レーザの製造工程
中におけるレーザ基板の概略斜視図である。
【図2】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図3】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図4】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図5】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図6】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図7】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図8】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図9】本発明による実施例の無再成長DFB半導体レ
ーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図であ
る。
【図10】本発明による実施例の無再成長DFB半導体
レーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視図で
ある。
【図11】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視
図である。
【図12】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視
図である。
【図13】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視
図である。
【図14】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視
図である。
【図15】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの製造工程中におけるレーザ基板の概略斜視
図である。
【図16】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの発光スペクトル特性を示すグラフである。
【図17】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの印加電流−発光強度特性を示すグラフであ
る。
【図18】本発明による他の実施例のSCH構造の横結
合InP系半導体DFBレーザの概略断面図である。
【図19】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの1次グレーティング深さtgと結合定数κ
との関係を示したグラフである。
【図20】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザのリッジ幅Wと結合定数κとの関係を示した
グラフである。
【図21】本発明による他の実施例の無再成長DFB半
導体レーザの1次グレーティング位置yと結合定数κと
の関係を示したグラフである。
【主要部分の符号の説明】
9,110 基板 10 n−InPクラッド層 11,111 活性層 12,112 リッジストライプ材料クラッド層 13,113 コンタクト層 14,114 両側平坦部 15,115 リッジストライプ 15a,115a 平坦上面部 16,40 保護膜 17,117 レジスト層 20,120 グレーティング 21 無機保護層 30 電極 31 対向電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹間 清文 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層上にリッジストライプを有しリッ
    ジストライプの伸長方向に周期構造を備えた分布帰還リ
    ッジ型半導体レーザの製造方法であって、 活性層上にリッジストライプ材料のクラッド層及び必要
    なコンタクト層を順に積層したレーザ基板を形成する工
    程と、 前記クラッド層及び必要なコンタクト層から両側平坦部
    とこれらから突出し平坦上面部を有するリッジストライ
    プとを形成する工程と、 前記両側平坦部及び平坦上面部上にわたって保護膜及び
    レジスト層を順に形成する工程と、 前記レジスト層上に、リッジストライプの伸長方向に周
    期構造を有するグレーティングパターンの潜像を形成
    し、前記レジスト層の現像によりグレーティングパター
    ンを形成するパターン工程と、 前記グレーティングパターンをエッチングし、前記平坦
    上面部以外の前記活性層上又は中に前記リッジストライ
    プ材料のグレーティングを形成するグレーティング形成
    工程と、 前記保護膜を除去して、前記グレーティング及び前記平
    坦上面部の全面に絶縁層を形成する工程と、 前記絶縁層から前記平坦上面部だけをエッチングにより
    露出せしめた後、前記平坦上面部上に電極を形成する工
    程と、を含むことを特徴とする半導体レーザ製造方法。
  2. 【請求項2】 前記パターン工程においては、電子ビー
    ム直接描画法により前記潜像を形成することを特徴とす
    る請求項1記載の半導体レーザ製造方法。
  3. 【請求項3】 前記活性層がIn1-xGaxAs1-y
    y(x及びyは小数を示す)を主成分とするバルク層又
    は単一量子井戸若しくは多量子井戸層であり、前記クラ
    ッド層がInPであり、前記コンタクト層がInGaA
    sP若しくはInGaAsであることを特徴とする請求
    項1記載の半導体レーザ製造方法。
  4. 【請求項4】 前記グレーティング形成工程は、ウエッ
    トエッチングによる形成の場合、塩酸系エッチャントに
    よるInPの選択的ウエットエッチングにより行い、前
    記リッジストライプの伸長方向を 【外1】 と略一致させることを特徴とする請求項3記載の半導体
    レーザ製造方法。
  5. 【請求項5】 前記リッジストライプを形成する工程で
    は、所定のストライプマスクを用いエッチングすること
    により前記リッジストライプを形成し、 前記グレーティング形成工程は、ドライエッチングによ
    る形成の場合、前記保護膜及びレジスト層を順に形成す
    る工程において、前記ストライプマスクを前記平坦上面
    部に残したまま前記保護膜を形成することを特徴とする
    請求項1記載の半導体レーザ製造方法。
  6. 【請求項6】 活性層上にリッジストライプを有しリッ
    ジストライプの伸長方向に周期構造を備えた分布帰還リ
    ッジ型半導体レーザであって、 活性層上にリッジストライプ材料のクラッド層及び必要
    なコンタクト層を順に積層したレーザ基板を形成し、 前記クラッド層及び必要なコンタクト層から両側平坦部
    とこれらから突出し平坦上面部を有するリッジストライ
    プとを形成し、 前記両側平坦部及び平坦上面部上にわたって保護膜及び
    レジスト層を順に形成し、 前記レジスト層上に、リッジストライプの伸長方向に周
    期構造を有するグレーティングパターンの潜像を形成
    し、前記レジスト層の現像によりグレーティングパター
    ンを形成し、 前記グレーティングパターンをエッチングし、前記平坦
    上面部以外の前記活性層上又は中に前記リッジストライ
    プ材料のグレーティングを形成し、 前記保護膜を除去して、前記グレーティング及び前記平
    坦上面部の全面に絶縁層を形成し、 前記絶縁層から前記平坦上面部だけをエッチングにより
    露出せしめた後、前記平坦上面部上に電極を形成して、
    製造される、前記リッジストライプ及び前記電極間の界
    面が平滑面であることを特徴とする半導体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記活性層がIn1-xGaxAs1-y
    y(x及びyは小数を示す)を主成分とするバルク層又
    は単一量子井戸若しくは多量子井戸層であり、前記クラ
    ッド層がInPであり、前記コンタクト層がInGaA
    sP若しくはInGaAsであることを特徴とする請求
    項6記載の半導体レーザ。
  8. 【請求項8】 前記グレーティングは、ウエットエッチ
    ングによる形成の場合、塩酸系エッチャントによるIn
    Pの選択的ウエットエッチングにより形成され、前記リ
    ッジストライプの伸長方向を 【外2】 と略一致させたことを特徴とする請求項7記載の半導体
    レーザ。
  9. 【請求項9】 前記リッジストライプ幅は5μm以下で
    あることを特徴とする請求項6記載の半導体レーザ。
  10. 【請求項10】 前記リッジストライプ幅は2.5μm
    以下であることを特徴とする請求項7記載の半導体レー
    ザ。
  11. 【請求項11】 前記グレーティングの深さは周期の1
    /3以上であることを特徴とする請求項6記載の半導体
    レーザ。
  12. 【請求項12】 前記グレーティングの深さは150n
    m以上であることを特徴とする請求項6又は10記載の
    半導体レーザ。
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