JPH0537070A - 分布帰還型半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents

分布帰還型半導体レーザ素子の製造方法

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JPH0537070A
JPH0537070A JP18790391A JP18790391A JPH0537070A JP H0537070 A JPH0537070 A JP H0537070A JP 18790391 A JP18790391 A JP 18790391A JP 18790391 A JP18790391 A JP 18790391A JP H0537070 A JPH0537070 A JP H0537070A
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semiconductor laser
crystal growth
guide layer
optical guide
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JP18790391A
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Mototaka Tanetani
元隆 種谷
Kazuhiko Inoguchi
和彦 猪口
Hiroaki Kudo
裕章 工藤
Chitose Nakanishi
千登勢 中西
Satoshi Sugawara
聰 菅原
Haruhisa Takiguchi
治久 滝口
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平坦な光ガイド層の全面に回折格子を印刻
し,かつ電流注入路および光導波路を自己整合的に形成
することにより,高出力まで安定に基本横モードで発振
する分布帰還型半導体レーザ素子を歩留りよく簡便に製
造する。 【構成】 第1の結晶成長工程により,半導体基板100
上に,第1クラッド層101,活性層102,光ガイド層103
などを順次形成する。光ガイド層103の表面上に回折格
子104を印刻する。第2の結晶成長工程により,回折格
子104の印刻された光ガイド層103上に,第2クラッド層
105を形成する。第2クラッド層105を選択的にエッチン
グして,メサストライプ106を形成する。第3の結晶成
長工程により,メサストライプ106の両側における光ガ
イド層103上に電流阻止層107を形成し,次いでメサスト
ライプ106の上面を含む全面にコンタクト層108を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,半導体レーザ素子の製
造方法に関し,特に高出力まで基本横モードで安定に発
振し得る分布帰還型半導体レーザ素子の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年,小型・高出力・低価格という利点
を有する半導体レーザの実用化により,従来レーザ光源
の使用が困難であった一般産業機器や民生機器へのレー
ザの応用が進んでいる。なかでも,光ディスク装置や光
通信などの分野における進歩にはめざましいものがあ
る。今後,半導体レーザは,さらに多くの分野に応用さ
れて行くものと考えられる。このような状況下におい
て,レーザ固有の性質である光の可干渉性や単色性など
の特性およびその安定性をさらに向上させて,ガスレー
ザに近い特性を有する半導体レーザを実現することが要
望されている。
【0003】このような要望に応えて,共振器内に回折
格子を形成することにより,その回折格子のブラッグ(B
ragg)波長に一致した軸モードのみを選択的に発振させ
るようにした半導体レーザ素子が考案された。この半導
体レーザ素子は,分布帰還型半導体レーザ(DFB-LD)と呼
ばれている。現在のところ,InP/InGaAsP系の材料を使
用した波長1.3μmまたは1.55μmの半導体レーザ素子
が,すでに,光通信用として一部では実用化されてい
る。また,AlGaAs/GaAs系の材料を用いた波長830nm以下
の半導体レーザ素子についても,このDFB-LD構造を採用
することにより,ホログラムや回折格子を応用したシス
テム(例えば,ホログラムレーザビームスキャナや光デ
ィスク用の集積型ピックアップ)の波長安定化光源とし
て利用する試みが検討されている。
【0004】図7に,従来の代表的なAlGaAs/GaAs系の
分布帰還型半導体レーザ素子を示す。この半導体レーザ
素子は,例えば,有機金属気相成長法(MOCVD法)を用い
た2回の結晶成長工程によって製造される。レーザ発振
に必要な光導波路と,DFB-LD構造にとって重要な回折格
子とは,この2回の結晶成長工程の間に形成される。そ
の製造方法について以下に詳しく説明する。
【0005】まず,図8に示すように,MOCVD法を用い
て,n-GaAs基板400の(100)成長面上に,n-AlGaAs第1ク
ラッド層401(厚さ1.3μm),AlGaAs活性層402(厚さ
0.12μm),およびp-AlGaAs光ガイド層403(厚さ0.3μ
m)を順次成長させる。次いで,このウエハを気相成長
装置から取り出した後,適当なエッチング法により,光
ガイド層403の表面をエッチングし,メサストライプ404
を形成する。メサの幅は,例えば,約3μmおよび高さ
は約0.15μmである。このメサストライプ404が光導波路
を形成することになる。そして,図9に示すように,メ
サストライプ404を設けた光ガイド層403の全面に,二光
束干渉露光法を用いて,回折格子405を形成する。
【0006】続いて,再度,MOCVD法を用いて,回折格
子405上に,p-AlGaAs第2クラッド層406(厚さ1.0μm)
およびp-GaAsコンタクト層407(厚さ0.3μm)を成長さ
せる。さらに,プラズマ化学析出法(P-CVD法)を用い
て,コンタクト層407上に,SiO2膜408(厚さ0.2μm)を
形成した後,メサストライプ404の直上方に位置するSiO
2膜408の部分をエッチングにより除去して,ストライプ
状窓部409(幅3μm)を形成する。このストライプ状窓
部409により,電流注入路が規定される。
【0007】最後に,ストライプ窓部409内のコンタク
ト層407上にp側オーミック電極(図示せず)を形成し,
基板400の裏面にn側オーミック電極(図示せず)を形成
した後,ウエハを所望の共振器長に劈開させてチップに
分割することにより,図7に示すような分布帰還型半導
体レーザ素子が得られる。
【0008】上記の方法は,2回の結晶成長工程しか必
要としないので,製造工程を簡略化することができる。
しかし,このような方法には,次のような問題点があ
る。
【0009】まず,メサストライプ404とストライプ状
窓部409との位置合わせは,光導波路と,電流注入によ
る光利得の形状とを一致させるために行われるので,非
常に高い精度(一般に,0.1μm以下)が要求される。と
ころが,実際には,メサストライプ404が第2クラッド
層406およびコンタクト層407によって埋め込まれている
ので,このような高精度で位置合わせを行うのは非常に
困難である。電流注入路と光導波路との位置が微妙にず
れると,横モードが不安定になる。例えば,上記の従来
例では,導波機構として実屈折率導波を利用しているの
で,高次モードや非対称モードに対する導波損失が比較
的少なく,特に高出力領域においては,発振レーザ光の
ピークが光導波路の中心からずれやすい。
【0010】また,回折格子405を形成する際には,メ
サストライプ404の段差を有する光ガイド層403の表面に
レジスト膜を形成した後,格子パターン状に露光する必
要がある。ところが,レジスト膜の厚さが段差の近傍に
おいて不均一になるので,露光条件の設定が困難であ
り,回折格子を均一に形成することができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このような問題点を解
決するために,平坦なウエハ全面に回折格子を形成する
工程を採用したDFB-LDの製造方法が提案されている(特
開平2-206191号公報)。このDFB-LDの素子構造を図10に
示す。以下に,その製造方法について簡単に説明する。
【0012】まず,n-GaAs基板500上に,n-InGaAlP第1
クラッド層501,InGaAl活性層502,およびp-InGaAlP光
ガイド層503を順次成長させる。次に,光ガイド層503の
表面全体に回折格子504を形成した後,その上にp-InGaA
lP第2クラッド層505を成長させる。次に,誘電体薄膜
からなるマスクを用いて,p-InGaAlP第2クラッド層505
をエッチングし,メサストライプ506を形成する。引続
き,この誘電体マスクを利用して,メサストライプ506
の両側の光ガイド層503上に,電流阻止層507を成長させ
る。この後,誘電体マスクを除去し,メサストライプ50
6および電流阻止層507の上面に,p-GaAsコンタクト層50
8を成長させる。最後に,コンタクト層508の上面にはp
側オーミック電極509を形成し,基板500の裏面にはn側
オーミック電極510を形成することにより,図10に示す
ような半導体レーザ素子が得られる。なお,この従来例
においても,すべての結晶成長は,MOCVD法を用いて行
われる。
【0013】このような製造方法は,回折格子504が光
ガイド層503の表面全体に形成されるので,先に述べた
従来例に比較して,製造工程の制御精度には優れてい
る。しかし,4回の結晶成長工程を必要とするので,歩
留まりが低下するという問題点を有する。
【0014】本発明は,上記従来の問題点を解決するも
のであり,その目的とするところは,3回の結晶成長工
程により,高出力まで基本横モードで安定に発振し得る
分布帰還型半導体レーザ素子を歩留りよく簡便に製造し
得る方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は,基
本横モードで発振する構造を備えた分布帰還型半導体レ
ーザ素子の製造方法であって,第1導電型の半導体基板
上に,第1導電型の第1クラッド層と,活性層と,第2
導電型の光ガイド層とを含む積層構造を形成する第1の
結晶成長工程と;光ガイド層の表面上に回折格子を印刻
する工程と;回折格子の印刻された光ガイド層上に第2
導電型の第2クラッド層を形成する第2の結晶成長工程
と;第2クラッド層を光ガイド層まで選択的にエッチン
グして,メサストライプを形成する工程と;メサストラ
イプの両側における光ガイド層上に第1導電型の電流阻
止層を選択的に成長させる第3の結晶成長工程とを包含
し,そのことにより上記目的が達成される。
【0016】本発明の製造方法は3回の結晶成長工程を
必要とする。各結晶成長工程で用いられる成長法として
は,気相成長法(CVD法),有機金属気相成長法(MOCVD
法),分子線エピタキシャル成長法(MBE法),ガスソース
MBE法,液相エピタキシャル成長法(LPE法)などの従来公
知の結晶成長技術の中から適宜選択すればよい。ただ
し,第2および第3の結晶成長工程では,LPE法を用い
ることが好ましい。特に,第3の結晶成長工程では,メ
サストライプの上部または側面の一部において実質的に
結晶成長が起こらないような制御条件を用いることによ
り,メサストライプの両側における回折格子の印刻され
た光ガイド層上に,電流阻止層を選択的に成長させ得る
からである。このとき,引き続いて,全面で結晶成長が
起こるような条件を用いて結晶成長を行えば,メサスト
ライプの上面を含む全面にコンタクト層を形成すること
ができる。
【0017】本発明の製造方法により作製される半導体
レーザ素子において,半導体基板および各半導体層は,
好ましくはAlGaAs/GaAs系の半導体材料からなる。特
に,第1クラッド層および光ガイド層は,活性層よりも
禁制帯幅が大きく屈折率が小さい半導体材料からなる。
また,第2クラッド層は,活性層よりも禁制帯幅が大き
く,かつ適当にエッチング溶液を選択することにより,
光ガイド層に対するよりも充分にエッチング速度を大き
くし得る半導体材料からなる。
【0018】回折格子を形成する際には,光ガイド層表
面の少なくとも光導波路となるべき部分の幅よりも充分
に広い範囲に,導波方向と直交する方向に周期的な凹凸
を形成すればよく,光ガイド層の表面全体に形成する必
要はない。なお,回折格子の周期は光導波路内を伝播す
る光の波長の半分のほぼ整数倍に設定される。
【0019】活性層の構造は特に限定されるものではな
く,例えば1組のクラッド層やさらに1組のGRIN層に挟
まれたダブルヘテロ構造が用いられる。あるいは,多重
量子井戸構造やGRIN単一量子井戸構造を適用してもよ
い。また,活性層と光ガイド層との間に,キャリアバリ
ア層を挿入してもよく,この場合,半導体レーザ素子の
温度特性(閾値電流の特性温度)を改善することができ
る。
【0020】
【作用】本発明の製造方法では,平坦な光ガイド層の表
面に回折格子を印刻した後で,横モード制御のためのメ
サストライプを形成し,電流注入路および光導波路を自
己整合的に形成するので,均一な回折格子が得られると
共に,電流注入路および光導波路の位置が高い精度で一
致する。しかも,3回の結晶成長工程を必要とするだけ
である。それゆえ,発振横モードの安定性に優れた分布
帰還型半導体レーザ素子を非常に歩留りよく簡便に製造
することができる。
【0021】
【実施例】以下に,本発明の実施例について説明する。
【0022】(実施例1)本実施例の分布帰還型半導体
レーザ素子の概略構造を図1に示す。この半導体レーザ
素子は,以下のようにして作製された。
【0023】まず,図2に示すように,有機金属気相成
長法(MOCVD法)を用いて,n-GaAs基板100の(100)面上
に,n-GaAsバッファ層111(厚さ0.5μm),n-AlxGa1-xA
s第1クラッド層101(厚さ1.2μm),AlyGa1-yAs活性層
102(厚さ0.07μm),およびp-AlzGa1-zAs光ガイド層10
3(厚さ0.15μm)を順次成長させた。ただし,各AlGaAs
層のAl組成比については,0<y<z<x<1かつz<0.4という関
係式を満足するように設定した。このような条件によ
り,第1クラッド層101,光ガイド層103,そして活性層
102の順に,禁制帯幅が小さくなり,かつ屈折率が大き
くなる。
【0024】次いで,図2に示すように,光ガイド層10
3の全面に,Arイオンレーザ二光束干渉露光装置を用い
たホトリソグラフィー技術と,通常のウェットエッチン
グ技術とを適用して,回折格子104を基板100の[01-1]方
向に印刻した。回折格子104のピッチΛについては,次
のような関係式をほぼ満足するように設定する必要があ
る。
【0025】 Λ=mλ/2neff (m=1,2,3,…) ただし,λは半導体レーザ素子の発振波長,neffは半
導体レーザ導波路の等価屈折率である。本実施例では,
m=2,λ=780nm,neff=3.5とし,上記の関係式か
ら得られる値を参考にして,回折格子104のピッチΛは2
23nmとした。
【0026】続いて,図3に示すように,液相成長法(L
PE法)を用いて,回折格子104を印刻した光ガイド層103
上に,p-AluGa1-uAs第2クラッド層105(厚さ1.2μm)
を成長させた。ただし,第2クラッド層105のAl組成比
については,z<0.4<uという関係式を満足するように設
定した。この場合,LPE法に代えて,MOCVD法を用いても
よいが,第2クラッド層105を構成する再成長結晶中に
応力が発生する可能性があるので,LPE法の使用が好ま
しい。
【0027】さらに,図4に示すように,通常のホトリ
ソグラフィー技術とエッチング技術とを用いて,第2ク
ラッド層105をエッチングすることにより,基板100の[0
11]方向にメサストライプ106を形成した。なお,エッチ
ング溶液としては,フッ酸溶液を用いた。このようなエ
ッチング溶液を用いると,p-AluGa1-uAs(0.4<u)第2ク
ラッド層105は約20nm/sの速度でエッチングされるが,
その下側に位置するp-AlzGa1-zAs(Z<0.4)光ガイド層103
はほとんどエッチングされないので,選択的なエッチン
グを行うことができる。それゆえ,メサストライプ106
以外の領域では,前工程で形成した回折格子104が光ガ
イド層103の表面に再び現れる。光導波路を規定するメ
サストライプ106は逆メサ状であり,その寸法について
は上部の幅が5μm,下部の幅が4μm,そして高さは層
厚と同じく1.2μmに設定した。
【0028】次いで,LPE法により,メサストライプ106
の両側に位置する光ガイド層103上に,n-GaAs電流阻止
層107(厚さ0.9μm)およびp-GaAsコンタクト層108(厚
さ1.5μm)を順次成長させた。メサストライプ106がAlu
Ga1-uAs(0.4<u)結晶から構成されており,また極めて薄
いAl酸化膜がその表面上に形成されているので,LPE法
を用いた場合には,メサストライプ106上に半導体結晶
が成長しにくい。本発明者らによる実験では,層厚がメ
サストライプ106より低い段階では,メサストライプ106
上への結晶成長は観測されず,メサストライプ106より
高く成長した段階で,ようやくメサストライプ106上へ
の結晶成長が始まることが観測された。このような特性
により,電流阻止層107を成長させる際には,メサスト
ライプ106は完全には埋め込まれず,メサストライプ106
の上面には電流阻止層107が成長しないようにすること
ができた。メサストライプ106は引き続いて行われたコ
ンタクト層108の成長により完全に埋め込まれた。
【0029】最後に,基板100の裏面にはn側オーミック
電極(図示せず)を形成し,コンタクト層108の表面に
はp側オーミック電極(図示せず)を形成した後,ウエ
ハを劈開してチップに分割することにより,図1に示す
ような半導体レーザ素子(共振器長約300μm)を得た。
なお,得られた半導体レーザ素子の後側端面には反射率
80%の多層コーティング膜を形成し,前側端面には反射
率5%の低反射コーティング膜を形成することにより,
高出力のレーザ光を取り出せるようにした。
【0030】このようにして得られた分布帰還型半導体
レーザ素子の電流−光出力特性を調べたところ,閾値電
流が約45mAであり,微分量子効率が0.5W/Aであった。さ
らに,電流阻止層107の光吸収効果により,導波光の横
モードが安定化され,最大発振出力70mWまで基本横モー
ドで発振させることが可能であった。
【0031】また,本実施例の製造方法は3回の結晶成
長工程および2回の微細加工工程を必要とするが,得ら
れた半導体レーザ素子の発振特性のばらつきは,ウエハ
間およびウエハ内のいずれにおいても非常に小さかっ
た。例えば,良好なウエハの歩留りは90%以上であり,
ウエハ内における半導体レーザ素子の歩留りは75%以上
であり,非常に高い再現性および制御性を実現すること
ができた。
【0032】(実施例2)本実施例の分布帰還型半導体
レーザ素子の概略構造を図5に示す。この半導体レーザ
素子は,主として,AlyGa1-yAs活性層202とp-AlzGa1-zA
s光ガイド層203との間に,p-AlvGa1-vAs(z<v<0.7)キャ
リアバリア層209が挿入されていること以外は実施例1
の半導体レーザ素子と同様の構造を有する(図5の参照
番号200,201,…は図1の参照番号100,101,…に対応
している)。この半導体レーザ素子は実施例1と同様に
して作製されたが,その概要を以下に説明する。
【0033】まず,第1の成長工程では,実施例1と同
様にして,n-GaAs基板200の(100)面上に,n-GaAsバッフ
ァ層211,n-AlxGa1-xAs第1クラッド層201,AlyGa1-yAs
活性層202,p-AlvGa1-vAsキャリアバリア層209,および
p-AlzGa1-zAs光ガイド層203を順次成長させた。キャリ
アバリア層209は,光ガイド層203の禁制帯幅がキャリア
オーバーフローを完全に防止するほど大きくすることが
できないために挿入されるものであり,得られた半導体
レーザ素子の温度特性の改善(閾値電流の特性温度T0
向上)に寄与する。キャリアバリア層209の厚さは0.05
〜0.3μmの範囲内であることが望ましく,また5×1017
cm-3以上の正孔濃度を有する必要がある。実際,本実施
例の半導体レーザ素子では,このようなキャリアバリア
層209を挿入することにより,160K以上のT0値が得られ
た。
【0034】次いで,回折格子204を実施例1と同様に
して形成した。そして,第2の結晶成長工程では,回折
格子204を印刻した光ガイド層203上に,p-AluGa1-uAs第
2クラッド層205(厚さ1.5μm)を成長させた。その
後,フッ酸系のエッチング溶液を用いてメサストライプ
206を形成した。
【0035】さらに,第3の結晶成長工程では,実施例
1と同様に,メサストライプ206の上面の一部を残してn
-GaAs電流阻止層207(厚さ1.7μm)を成長させ,引き続
いてp-GaAsコンタクト層208(厚さ2.0μm)を成長させ
ることにより,メサストライプ206を完全に埋め込ん
だ。最後に,基板200の裏面にはn側オーミック電極(図
示せず)を形成し,コンタクト層208の表面にはp側オー
ミック電極(図示せず)を形成した後,ウエハを劈開し
てチップに分割することにより,図5に示すような半導
体レーザ素子(共振器長約300μm)を得た。
【0036】このようにして得られた分布帰還型半導体
レーザ素子の発振特性を調べたところ,実施例1の半導
体レーザ素子と同様に,高出力まで基本横モードで発振
可能であった。また,ウエハ内における半導体レーザ素
子の歩留りは約75%であり,良好な値を示した。
【0037】(実施例3)本実施例の分布帰還型半導体
レーザ素子の概略構造を図6に示す。この半導体レーザ
素子は以下のようにして作製された。
【0038】まず,第1の結晶成長工程として,MOCVD
法により,p-GaAs基板300の(100)面上に,p-AlGaAs第1
クラッド層301(厚さ1.2μm)と,GaAs活性層302の上下
に各々p型およびn型のGRIN領域を含むGRIN(graded inde
x)層303(合計の厚さ0.28μm)とを順次成長させた。こ
の場合,活性層302の上側に位置するn型GRIN領域が光ガ
イド層として機能する。次いで,電子ビーム露光法を用
いて,GRIN層303の表面領域(幅10μm)に,波長780nm
に対する1次(m=1)の回折格子304を形成した。その後,
第2の結晶成長工程として,n-AlGaAs第2クラッド層30
5(厚さ1.2μm)およびn-AlGaAs表面制御層310(厚さ0.
1μm)を成長させた。この表面制御層310は,第3の結
晶成長工程において,メサストライプ306の上面に電流
阻止層311および307が成長せず,かつコンタクト層308
がメサストライプ306の上方を歩留りよく覆うように付
加されたものである。表面制御層310のAl組成比は0.2〜
0.8の範囲内であることが望ましい。
【0039】次いで,実施例1と同様にして,メサスト
ライプ306(幅4μm)を形成した。このとき,メサ
ストライプ306の位置が,回折格子304の形成されたGRIN
層303の表面領域(幅10μm)のほぼ中央になるように制
御した。
【0040】引続き,第3の結晶成長工程として,LPE
法により,p-AlGaAs第1電流阻止層311(厚さ0.2μ
m),p-GaAs第2電流阻止層307(厚さ1.0μm),および
n-GaAsコンタクト層308(厚さ3.0μm)を成長させた。
上述したように,第2クラッド層305の上面には表面制
御層310が形成されているので,その上には電流阻止層3
11および307が成長せず,メサストライプ306はコンタク
ト層308により完全に埋め込まれている。
【0041】ここで,p-AlGaAs第1電流阻止層311は,
光導波路内の光が感じる吸収損失を,ある程度低減させ
る目的で挿入されている。なお,p-GaAs層をp-AlGaAs層
で挟んだ3層構造の電流阻止領域を採用すれば,電流阻
止機構をより完全なものとすることができ,半導体レー
ザ素子の歩留りが向上する。
【0042】以下,実施例1と同様にして,基板300の
裏面にはn側オーミック電極(図示せず)を形成し,コ
ンタクト層308の表面にはp側オーミック電極(図示せ
ず)を形成した後,ウエハを劈開してチップに分割する
ことにより,図6に示すような半導体レーザ素子(共振
器長約300μm)を得た。
【0043】このようにして得られた分布帰還型半導体
レーザ素子の電流−光出力特性を調べたところ,閾値電
流が約35mAであり,微分量子効率が0.7W/Aであった。さ
らに,電流阻止層311および307の光吸収効果により,導
波光の横モードが安定化され,最大発振出力50mWまで基
本横モードで発振させることが可能であった。
【0044】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば,平坦な光ガ
イド層上に回折格子を印刻するので,均一な形状の回折
格子が得られる。しかも,本発明の製造方法は3回の結
晶成長工程しか必要としない。それゆえ,発振特性に優
れた分布帰還型半導体レーザ素子を歩留りよく簡便に製
造することができる。また,電流注入路および光導波路
が自己整合的に形成されるので,両者の位置は高い精度
で一致する。それゆえ,例えば20mW以上の高出力まで安
定に基本横モードで発振する分布帰還型半導体レーザ素
子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である分布帰還型半導体レー
ザ素子の概略構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す半導体レーザ素子の製造工程のうち
第1の結晶成長工程と回折格子を形成する工程とを示す
斜視図である。
【図3】図1に示す半導体レーザ素子の製造工程のうち
第2の結晶成長工程を示す斜視図である。
【図4】図1に示す半導体レーザ素子の製造工程のうち
メサストライプを形成する工程を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例である分布帰還型半導体レ
ーザ素子の概略構造を示す斜視図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例である分布帰還型半
導体レーザ素子の概略構造を示す斜視図である。
【図7】従来例である分布帰還型半導体レーザ素子の概
略構造を示す斜視図である。
【図8】図7に示す半導体レーザ素子の製造工程のうち
第1の結晶成長工程を示す斜視図である。
【図9】図7に示す半導体レーザ素子の製造工程のうち
回折格子を形成する工程を示す斜視図である。
【図10】他の従来例である分布帰還型半導体レーザ素
子の概略構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
100,200,400 n-GaAs基板 101,201 n-AlxGa1-xAs第1クラッド層 102,202 AlyGa1-yAs活性層 103,203 p-AlzGa1-zAs光ガイド層 104,204,304,405,504 回折格子 105,205 p-AluGa1-uAs第2クラッド層 106,206,306,404,506 メサストライプ 107,207 n-GaAs電流阻止層 108,208 p-GaAsコンタクト層 111,211 n-GaAsバッファ層 209 n-GaAsキャリアバリア層 300 p-GaAs基板 301 p-AlGaAs第1クラッド層 302 GaAs活性層 303 AlGaAs GRIN層 305 n-AlGaAs第2クラッド層 307 p-GaAs第2電流阻止層 308 n-GaAsコンタクト層 310 n-AlGaAs表面制御層 311 p-AlGaAs第1電流阻止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 千登勢 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シヤープ 株式会社内 (72)発明者 菅原 聰 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シヤープ 株式会社内 (72)発明者 滝口 治久 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シヤープ 株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 基本横モードで発振する構造を備えた分
    布帰還型半導体レーザ素子を製造する方法であって,第
    1導電型の半導体基板上に,第1導電型の第1クラッド
    層と,活性層と,第2導電型の光ガイド層とを含む積層
    構造を形成する第1の結晶成長工程と;光ガイド層の表
    面上に回折格子を印刻する工程と;回折格子の印刻され
    た光ガイド層上に第2導電型の第2クラッド層を形成す
    る第2の結晶成長工程と;第2クラッド層を光ガイド層
    まで選択的にエッチングして,メサストライプを形成す
    る工程と;メサストライプの両側における光ガイド層上
    に第1導電型の電流阻止層を選択的に成長させる第3の
    結晶成長工程とを包含する,分布帰還型半導体レーザ素
    子の製造方法。
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DE69220303T DE69220303T2 (de) 1991-07-24 1992-07-24 Verfahren zur Herstellung eines Halbleiterlasers mit verteilter Rückkoppelung
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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