JPH1095862A - セルロースアセテートフイルム - Google Patents
セルロースアセテートフイルムInfo
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- JPH1095862A JPH1095862A JP17772097A JP17772097A JPH1095862A JP H1095862 A JPH1095862 A JP H1095862A JP 17772097 A JP17772097 A JP 17772097A JP 17772097 A JP17772097 A JP 17772097A JP H1095862 A JPH1095862 A JP H1095862A
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Abstract
た、優れた光学的性質を有するセルロースアセテートフ
イルムを得る。 【解決手段】 セルロースアセテートを有機溶媒で膨潤
させた膨潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却して
から0至120℃に加温して得られらたセルロースアセ
テートの有機溶媒溶液を、支持体上に塗布することによ
り、58.0乃至62.5%の平均酢化度を有し、80
μmの厚さに換算したヘイズが0.6%以下であるか、
80μmの厚さに換算したフイルムの引裂強度が18g
以上であり、かつフイルム表面の動摩擦係数が0.40
以下であるセルロースアセテートフイルムが得られる。
Description
ートフイルムに関する。
至62.5%の平均酢化度を有するセルロースアセテー
ト(一般にセルローストリアセテートに分類されるも
の)は、その強靭性と難燃性から様々な分野で使用され
ている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な写
真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテー
トフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大
している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装
置における具体的な用途しては、偏光板の保護フイルム
およびカラーフィルターが代表的である。写真材料の支
持体や光学材料としての用途においては、フイルムの光
学的性質や物性に関する要求が厳しい。具体的には、光
学的等方性、透明性、機械的強度、耐久性や寸度安定性
に関して、非常に優れた値が要求されている。
ている材料であるから、従来から多くのセルロースアセ
テートフイルムの改良手段が提案されている。例えば、
ポリマーおよび金属酸化物微粒子(滑り剤粒子)をフイ
ルムに添加して、フイルムの耐傷性を改善する方法が知
られている。また、特開昭61−127740号公報に
は、N−メチルピロリドンを溶媒として使用して製造し
たセルローストリアセテートフイルムが記載されてい
る。さらに、特開平2−69532号公報には、ポリオ
ールを添加剤として含むセルローストリアセテートフイ
ルムが記載されている。これらの公報に記載のフイルム
では、光学的性質や物性についての改良が認められる。
しかし、これらの従来の改良手段を採用しても、最近の
光学的性質や物性に関する厳しい要求に不充分であっ
た。従来の方法の範疇でのセルロースアセテートフイル
ムの改良は、ほぼ限界に達しているとも言える。
ソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキャ
スト法では、セルロースアセテートを溶媒中に溶解した
溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させて
フイルムを形成する。従来のセルロースアセテートフイ
ルムの改良手段は、通常のソルベントキャスト法の範疇
での改良であった。これに対して、特表平6−5010
40号公報には、ソルベントキャスト法に代えて、メル
トキャスト法により製造したセルロースアセテートフイ
ルムが記載されている。メルトキャスト法では、セルロ
ースアセテートを加熱により溶融したもの(メルト)を
支持体上に流延し、冷却してフイルムを形成する。しか
し、ソルベントキャスト法の方が、メルトキャスト法よ
りも光学的性質や物性が優れたフイルムを製造すること
ができる。
トキャスト法により製造するセルロースアセテートフイ
ルムでは、光学的性質や物性の改良が既に限界に近づい
ている。従来の方法とは全く異なるメルトキャスト法も
提案されているが、それにより得られたフイルムは、従
来のソルベントキャスト法により製造したフイルムより
も、光学的性質や物性が劣っていた。本発明の目的は、
従来の方法では製造することができなかった、優れた光
学的性質や物性を有するセルロースアセテートフイルム
を提供することである。
(1)〜(6)のセルロースアセテートフイルムにより
達成された。 (1)平均酢化度が58.0乃至62.5%のセルロー
スアセテートフイルムであって、80μmの厚さに換算
したフイルムのヘイズが0.6%以下であり、かつフイ
ルム表面の動摩擦係数が0.40以下であるセルロース
アセテートフイルム。 (2)1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含
む(1)に記載のセルロースアセテートフイルム。 (3)平均酢化度が58.0乃至62.5%のセルロー
スアセテートフイルムであって、80μmの厚さに換算
したフイルムの引裂強度が18g以上であり、かつフイ
ルム表面の動摩擦係数が0.40以下であるセルロース
アセテートフイルム。 (4)1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含
む(3)に記載のセルロースアセテートフイルム。 (5)セルロースアセテートを有機溶媒で膨潤させた膨
潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却してから0至
120℃に加温して得られらたセルロースアセテートの
有機溶媒溶液を、支持体上に塗布して得られた(1)ま
たは(3)に記載のセルロースアセテートフイルム。 (6)有機溶媒が、酢酸メチルを50重量%以上含む
(5)に記載のセルロースアセテートフイルム。
ルムでは、80μmの厚さに換算したヘイズは、0.6
%以下である。ヘイズは、0.5%以下であることが好
ましく、0.4%以下であることがさらに好ましく、
0.3%以下であることが最も好ましい。ヘイズの値は
低いほど好ましいが、0.1%程度が下限値である。ヘ
イズは、ヘイズ計(例えば、1001DP型、日本電色
工業(株)製)を用いて簡単に測定できる。その測定結
果から、フイルムの厚さが80μmの場合のヘイズの値
に換算する。また、本発明のセルロースアセテートフイ
ルムでは、80μmの厚さに換算した引裂強度は、18
g以上であることが好ましい。引裂強度は、19g以上
であることがより好ましく、20g以上であることがさ
らに好ましく、20.5g以上であることが最も好まし
い。引裂強度の値は、大きいほど好ましいが40g程度
が上限値である。引裂強度は、50mm×64mmに切
り出したサンプルを、ISO6383/2−1983の
規格に従い、引裂に要する加重を求める。フイルムの流
延方向と、それに垂直な方向とで測定し、それらの平均
値を引裂強度とする。その測定結果から、フイルムの厚
さが80μmの場合の引裂強度の値に換算する。
0.40以下である。動摩擦係数は、0.35以下であ
ることが好ましく、0.30以下であることがさらに好
ましく、0.25以下であることが最も好ましい。動摩
擦係数は、低いほど好ましいが0.10程度が下限値で
ある。動摩擦係数は、JISやASTMが規定する方法
に従い、鋼球を用いて容易に測定できる。さらにまた、
80μmの厚さに換算した光透過率は、75%以上であ
ることが好ましく、80%以上であることがより好まし
く、85%以上であることが更に好ましく、90%以上
であることが最も好ましい。光透過率は、透明度測定器
(例えば、KOTAKI製作所製)を用いて可視光線の
透過率を測定することができる。
を有するセルロースアセテートフイルムは、後述する方
法により製造することができる。後述する製造方法は、
広い意味でのソルベントキャスト法に属する。しかし、
通常の方法では、セルロースアセテートの有機溶媒溶液
(ドープ)を常温または高温での攪拌により製造するの
に対して、この方法では、低温処理を利用してドープを
製造する。具体的には、セルロースアセテートを有機溶
媒中に膨潤させた膨潤混合物を、−100乃至−10℃
に冷却してから0至120℃に加温して、セルロースア
セテートの有機溶媒溶液(ドープ)を得る。以下、この
方法を冷却溶解法と称する。冷却溶解法を使用すると、
従来の方法、すなわち通常のソルベントキャスト法やメ
ルトキャスト法では達成することが実質的に不可能であ
った、前記の光学的性質および物性を有するセルロース
アセテートフイルムを製造することができる。
ムに用いるセルロースアセテートは、平均酢化度(アセ
チル化度)が58.0から62.5%である。酢化度と
は、セルロース単位重量当りの結合酢酸量を意味する。
酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースア
セテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定お
よび計算に従う。本明細書において、「セルロースアセ
テートフイルム」とは、フイルムを構成するポリマー成
分が実質的に上記のセルロースアセテートからなること
を意味する。『実質的に』とは、ポリマー成分の90重
量%以上(好ましくは95重量%以上、さらに好ましく
は98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上)を
意味する。フイルムの製造の原料としては、セルロース
アセテート粒子を使用することが好ましい。使用する粒
子の90重量%以上は、1乃至4mmの粒子径を有する
ことが好ましい。また、使用する粒子の50重量%以上
が2乃至3mmの粒子径を有することが好ましい。セル
ロースアセテート粒子は、なるべく球形に近い形状を有
することが好ましい。
フイルムは、1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒
子を含むことが好ましい。微粒子は滑り剤として機能し
て、フイルムの動摩擦係数を改善する。微粒子として
は、無機化合物を用いることが好ましい。無機化合物の
例には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシ
ウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケ
イ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムが含まれる。
二酸化ケイ素、二酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが
好ましく、二酸化ケイ素が特に好ましい。無機化合物の
微粒子は、表面処理により粒子表面にメチル基を導入す
ることができる。例えば、酸化ケイ素の微粒子をジクロ
ロジメチルシランやビス(トリメチルシリル)アミンで
処理すればよい。
いる(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R9
74TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。ま
た、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、
アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル
(株)製)。微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であ
ることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmで
あることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであ
ることが最も好ましい。微粒子は、セルロースアセテー
トに対して、0.005乃至0.3重量%の量で使用す
ることが好ましく、0.01乃至0.1重量%の量で使
用することがさらに好ましい。微粒子は、後述するフイ
ルムの製造工程のいずれの段階で添加してもよい。好ま
しくは、セルロースアセテートの有機溶剤溶液と類似の
組成の希釈溶液を作成し、希釈溶液中に微粒子を分散さ
せる。そして、有機溶剤溶液と微粒子を含む希釈溶液を
混合して、その混合液からフイルムを形成すると、微粒
子が均一に分散しているフイルムを製造することができ
る。
には、一般に可塑剤を添加する。可塑剤としては、リン
酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リ
ン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート、
トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホス
フェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フ
タル酸エステル、クエン酸エステル、オレイン酸エステ
ルおよびリノール酸エステルが代表的である。フタル酸
エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレ
ート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフ
タレートが含まれる。クエン酸エステルの例には、クエ
ン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブ
チルが含まれる。オレイン酸エステルの例には、オレイ
ン酸ブチルが含まれる。その他のカルボン酸エステルの
例には、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、トリアセチン、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチルおよび種々のト
リメリット酸エステルが含まれる。可塑剤の添加量は、
一般にセルロースアセテートの量の0.1乃至40重量
%の範囲であり、1乃至20重量%の範囲であることが
さらに好ましい。
セテートフイルムに添加してもよい。劣化防止剤の例に
は、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤
および酸捕獲剤が含まれる。劣化防止剤については、特
開平5−197073号公報に記載がある。
イルム中に、紫外線吸収剤を練り込んでもよい。紫外線
吸収剤は、セルロースアセテートフイルムの経時安定性
を向上させる。紫外線吸収剤は、可視領域に吸収を持た
ないことが望ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフ
ェノン系化合物(例、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン)、ベントトリアゾール系化合物(例、2
−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−
t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−
ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチル−5’−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール)およびサリチル酸系化合物
(例、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル)が用い
られる。紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアセテー
トフイルムに対して0.5乃至20重量%の範囲である
ことが好ましく、1乃至10重量%の範囲であることが
さらに好ましい。
染料を添加して、ライトパイピング現象を防止してもよ
い。染色の色相はグレーが好ましい。セルロースアセテ
ートフイルムの製造温度域での耐熱性に優れ、かつセル
ロースアセテートとの相溶性に優れた化合物を、染料と
して用いることが好ましい。二種類以上の染料を混合し
て用いてもよい。
機溶媒の例には、ケトン類(例、アセトン、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例、蟻酸
メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブ
チル)、エーテル類(例、ジオキサン、ジオキソラン、
THF、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテ
ル)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、
ヘキサン)およびアルコール類(例、メタノール、エタ
ノール)が含まれる。なお、通常のソルベントキャスト
法で普通に用いられているメチレンクロライドのような
ハロゲン化炭化水素は、使用しないことが好ましい。具
体的には、セルロースアセテートフイルムには、メチレ
ンクロライドのようなハロゲン化炭化水素系溶媒の残留
物が全く検出されないことが好ましい。ハロゲン化炭化
水素は、地球環境や人体への影響の問題に加えて、本発
明の優れた光学的性質または物性を有するセルロースア
セテートフイルムを製造するためにも、使用しないこと
が好ましい。
ル系溶媒が特に好ましく用いられる。有機溶媒中の酢酸
メチルの割合は、60重量%以上であることが好まし
く、70重量%以上であることがさらに好ましい。酢酸
メチルのみ(100重量%)を溶媒として使用すること
もできる。また、他の溶媒と酢酸メチルとを併用するこ
とで、製造する溶液の性質(例えば粘度)を調整しても
よい。前述した有機溶媒は、酢酸メチルと併用できる。
併用する溶媒としては炭化水素およびアルコール類が特
に好ましい。二種類以上の有機溶媒を酢酸メチルと併用
してもよい。溶媒の沸点は、20乃至300℃であるこ
とが好ましく、30乃至200℃であることがより好ま
しく、40乃至100℃であることがさらに好ましく、
50乃至80℃であることが最も好ましい。
ースアセテートと有機溶媒とを混合し、セルロースアセ
テートを溶媒により膨潤させる。膨潤工程の温度は、−
10乃至55℃であることが好ましい。通常は室温で実
施する。セルロースアセテートと有機溶媒との比率は、
最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一般
に、混合物中のセルロースアセテートの量は、5乃至3
0重量%であることが好ましく、8乃至20重量%であ
ることがさらに好ましく、10乃至15重量%であるこ
とが最も好ましい。溶媒とセルロースアセテートとの混
合物は、セルロースアセテートが充分に膨潤するまで攪
拌することが好ましい。攪拌時間は、10乃至150分
であることが好ましく、20乃至120分であることが
さらに好ましい。膨潤工程において、溶媒とセルロース
アセテート以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、
染料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、
膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。冷却
速度は、1℃/分以上であることが好ましく、2℃/分
以上であることがより好ましく、4℃/分以上であるこ
とがさらに好ましく、8℃/分以上であることが最も好
ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000
℃/秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な
上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限であ
る。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終
的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷
却温度に達するまでの時間で割った値である。冷却工程
においては、冷却時の結露による水分混入を避けるた
め、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却時に
減圧すると、冷却時間を短縮することができる。減圧を
実施するためには、耐圧性容器を用いることが望まし
い。具体的な冷却手段としては、様々な方法または装置
が採用できる。
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構から
なる冷却装置が好ましく用いられる。また、−105乃
至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、よ
り迅速に冷却することもできる。
た液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0m
mの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、
さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。
冷却に使用する液体については、特に制限はない。冷却
された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより
膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加
温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分
離する工程を行なうことが好ましい。冷却工程におい
て、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合
物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例え
ば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出す
ことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の
開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液
体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板
状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造する
ことができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大
きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないよ
うに調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から
加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と
搬送を同時に実施することもできる。
た膨潤混合物を加温する。加温工程の最終温度は、通常
は室温である。加温速度は、1℃/分以上であることが
好ましく、2℃/分以上であることがより好ましく、4
℃/分以上であることがさらに好ましく、8℃/分以上
であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ま
しいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、10
00℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始し
てから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値
である。加圧しながら加温すると、加温時間を短縮する
ことができる。加圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、溶解が不充分である場合
は、冷却工程から加温工程までを繰り返して実施しても
よい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の
外観を観察するだけで判断することができる。具体的な
加温手段としては、様々な方法または装置が採用でき
る。
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を加温
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を加温することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
加温するため容器の周囲に設けられている加温機構から
なる加温装置が好ましく用いられる。
へ、直径が0.1乃至20.0mmの糸状の膨潤混合物
を入れることにより膨潤混合物を加温することで、さら
に迅速に膨潤混合物を加温することも可能である。冷却
工程において、膨潤混合物を糸状に押し出す方法を採用
した場合は、その糸状の膨潤混合物を加温用の液体に投
入すればよい。冷却工程を糸状押し出し以外の方法で実
施した場合は、加温工程において冷却した膨潤混合物を
加温用液体中へ糸状に押し出す。なお、糸状押し出しを
連続して実施する場合は、製造したセルロースアセテー
ト溶液を次の膨潤混合物の加温用の液体として順次利用
することができる。すなわち、製造し加温された状態の
セルロースアセテート溶液中に、糸状の膨潤混合物を投
入し、混合物を迅速に加温してセルロースアセテート溶
液を得る。
内に導入し、容器内で膨潤混合物の流れを複数に分割
し、分割された混合物の流れの向きを容器内で回転さ
せ、この分割と回転とを繰り返しながら、容器の周囲か
ら膨潤混合物を加温することもできる。上記のように、
物質の流れを分割および回転させる仕切りが設けられた
容器は、一般に静止型の混合器として知られている。代
表的な静止型混合器であるスタチックミキサーTM(ケニ
ックス社)では、物質の流れを二つに分割して右回りに
180度回転させる右回りエレメントと、物質の流れを
二つに分割して左回りに180度回転させる左回りエレ
メントとが、容器内で交互に90度ずらして配列されて
いる。さらにまた、溶媒が沸騰しないように調整された
圧力下で、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温
してもよい。温度は、溶媒の種類に応じて決定するが一
般に60乃至200℃である。圧力は、温度と溶媒の沸
点との関係で決定するが、一般に1.2乃至20kgw
/cm2 である。
要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度
調整、成分添加などの処理を実施することができる。添
加する成分は、セルロースアセテートフイルムの用途に
応じて決定する。代表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止
剤(例、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性
化剤、酸捕獲剤)、染料および紫外線吸収剤である。さ
らに、この段階で前述した微粒子(好ましくは、微粒子
を分散したセルロースアセテートの希釈溶液)を添加す
ることが好ましい。
セルロースアセテートの有機溶媒溶液(ドープ)の調製
は、通常のソルベントキャスト法における溶液調製(常
温または高温での攪拌)と全く異なるが、得られた溶液
からフイルムを製膜する工程は、通常のソルベントキャ
クト法と同様に実施できる。セルロースアセテート溶液
は、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形
成する。流延前の溶液は、固形分量が18乃至35%と
なるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面
は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体と
しては、ドラムまたはバンドが用いられる。通常のソル
ベントキャスト法における流延および乾燥方法について
は、米国特許2336310号、同2367603号、
同2492078号、同2492977号、同2492
978号、同2607704号、同2739069号、
同2739070号、英国特許640731号、同73
6892号の各明細書、特公昭45−4554号、同4
9−5614号、特開昭60−176834号、同60
−203430号、同62−115035号の各公報に
記載がある。
10℃以下の支持体上に流延することが好ましい。流延
した後2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得
られたフイルムを支持体から剥ぎ取り、さらに100か
ら160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留
溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平
5−17844号公報に記載がある。この方法による
と、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能
である。以上のように製造した本発明のセルロースアセ
テートフイルムは、その優れた光学的性質および物性を
利用して、様々な用途に使用できる。前述したような光
学的な用途において、特に本発明のフイルムが有効であ
る。
ィゾルバー溶解機で2000rpmにて20分間攪拌し
た。混合物を−75℃まで冷却した(冷却速度:2℃/
分)後、45℃まで昇温して透明なドープを得た。
処理して、同様に透明なドープを得た。得られた希釈ド
ープ中に、二酸化ケイ素微粒子(アエロジルR972D
TM)を投入、混合し、分散機に移して、平均粒径が0.
1μmとなるように分散した。
ドープ8重量部をスタチックミキサーを用いて充分に混
合した後、表面温度が20℃のステンレス支持体上に流
延した。流延量は、乾燥の厚さが80μmになるように
調整した。60℃の乾燥風で乾燥し、揮発分量が30重
量%の段階で、支持体からフイルムを剥離した。剥離し
たフイルムを100℃で60分乾燥し、フイルムサンプ
ルを得た。フイルムの乾燥では、自由収縮させた。フイ
ルムサンプルのヘイズ、引裂強度、動摩擦係数および光
透過率を測定した。具体的な測定条件は、前述した通り
である。以上の結果は、後述する第1表にまとめて示
す。
℃においてディゾルバー溶解機で2000rpmにて3
時間攪拌して透明なドープを得た。得られたドープ10
0重量部と、実施例1で調製した微粒子を含む希釈ドー
プ8重量部をスタチックミキサーを用いて充分に混合し
た後、表面温度が20℃のステンレス支持体上に流延し
ドープを濾過した後、表面温度が20℃のステンレス
支持体上に流延した。流延量は、乾燥後の厚さが80μ
mになるように調整した。60℃の乾燥風で乾燥し、揮
発分量が30重量%の段階で、支持体からフイルムを剥
離した。剥離したフイルムを100℃で60分乾燥し、
フイルムを得た。フイルムの乾燥では、自由収縮させ
た。フイルムサンプルのヘイズ、引裂強度、動摩擦係数
および光透過率を実施例1と同様に評価した。結果は、
後述する第1表にまとめて示す。
いた以外は、実施例1と同様に処理してフイルムサンプ
ルを得た。フイルムサンプルのヘイズ、引裂強度、動摩
擦係数および光透過率を実施例1と同様に評価した。結
果は、後述する第1表にまとめて示す。
いた以外は、比較例1と同様に処理してフイルムサンプ
ルを得た。フイルムサンプルのヘイズ、引裂強度、動摩
擦係数および光透過率を実施例1と同様に評価した。結
果は、後述する第1表にまとめて示す。
いた以外は、実施例1と同様に処理してフイルムサンプ
ルを得た。フイルムサンプルのヘイズ、引裂強度、動摩
擦係数および光透過率を実施例1と同様に評価した。結
果は、後述する第1表にまとめて示す。
いた以外は、比較例1と同様に処理してフイルムサンプ
ルを得た。フイルムサンプルのヘイズ、引裂強度、動摩
擦係数および光透過率を実施例1と同様に評価した。結
果は、後述する第1表にまとめて示す。
いて、ステンレス支持体の温度を−10℃とし、揮発分
が55重量%でフイルムを支持体から剥離し、100℃
で60分乾燥した以外は、実施例1と同様に処理してフ
イルムサンプルを得た。フイルムサンプルのヘイズ、引
裂強度、動摩擦係数および光透過率を実施例1と同様に
評価した。結果は、下記第1表にまとめて示す。
ことができなかった、優れた光学的性質や物性を有する
セルロースアセテートフイルムが得られた。
Claims (6)
- 【請求項1】 平均酢化度が58.0乃至62.5%の
セルロースアセテートフイルムであって、80μmの厚
さに換算したフイルムのヘイズが0.6%以下であり、
かつフイルム表面の動摩擦係数が0.40以下であるセ
ルロースアセテートフイルム。 - 【請求項2】 1.0μm以下の平均粒子径を有する微
粒子を含む請求項1に記載のセルロースアセテートフイ
ルム。 - 【請求項3】 平均酢化度が58.0乃至62.5%の
セルロースアセテートフイルムであって、80μmの厚
さに換算したフイルムの引裂強度が18g以上であり、
かつフイルム表面の動摩擦係数が0.40以下であるセ
ルロースアセテートフイルム。 - 【請求項4】 1.0μm以下の平均粒子径を有する微
粒子を含む請求項3に記載のセルロースアセテートフイ
ルム。 - 【請求項5】 セルロースアセテートを有機溶媒で膨潤
させた膨潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却して
から0至120℃に加温して得られらたセルロースアセ
テートの有機溶媒溶液を、支持体上に塗布して得られた
請求項1または3に記載のセルロースアセテートフイル
ム。 - 【請求項6】 有機溶媒が、酢酸メチルを50重量%以
上含む請求項5に記載のセルロースアセテートフイル
ム。
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