JP2002086475A - セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルム - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルム

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JP2002086475A
JP2002086475A JP2000283451A JP2000283451A JP2002086475A JP 2002086475 A JP2002086475 A JP 2002086475A JP 2000283451 A JP2000283451 A JP 2000283451A JP 2000283451 A JP2000283451 A JP 2000283451A JP 2002086475 A JP2002086475 A JP 2002086475A
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film
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ester film
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Katsusuke Nagashima
克祐 長嶋
Shoichi Kurokawa
正一 黒川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄手フィルムにおいて、紫外線吸収剤の濃度
は変えずに紫外線吸収剤としての効果を発揮できるセル
ロースエステルフィルムの製造方法を提供する 【解決手段】 溶液流延製膜方法により膜厚が20〜8
0μmの紫外線吸収剤を含有するセルロースエステルフ
ィルムを製造するにあたり、セルロースエステルの良溶
媒と貧溶媒の質量比が99.5:0.5〜90:10の
混合有機溶媒、セルロースエステル、可塑剤及び紫外線
吸収剤を含有するドープを用いて無限移行する無端の金
属支持体(流延用支持体)上に流延し、ウェブを流延用
支持体から剥離し、続いてウェブを乾燥することにより
製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置に有用
なセルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロー
スエステルフィルム、特に偏光板用保護フィルムに有用
なセルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロー
スエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来からの溶液流延製膜方法によるセル
ロースエステルフィルムの製造方法は図1に示したよう
な製造装置により行われている。図1は溶液流延製膜セ
ルロースエステルフィルム製造装置の概略図である。セ
ルロースエステルフィルムは、セルロースエステル溶液
(以下ドープとも呼ぶ)を鏡面処理された表面を有する
無限移行する無端の金属支持体(以降、流延用支持体と
呼ぶことがある)3上にダイ2からドープ膜1として流
延し、ウェブ(ドープ膜が流延された後剥離後乾燥が終
了するまでをウェブと呼ぶ)1を剥離ロール(または剥
離点)4で剥離し、ドライブロール11を通してロール
乾燥装置5に導入し、ロール群6によってウェブ1を引
き回し、その間にウェブ1は導入された乾燥風7によっ
て乾燥されセルロースエステルフィルムとして巻取り機
8で巻き取られ製造される。通常乾燥には、図1のよう
にウェブ1を多数の搬送ロールで千鳥状に通し、乾燥風
を当てるのが一般的であるが、米国特許第2,319,
053号明細書に記載のように、赤外線などで乾燥する
方法もある。このウェブを直接ロールに掛けるのではな
くエアを吹き出してその圧でウェブを浮上させることに
より掛架体と非接触状態で移動させる方式も開発されて
いる(例えば特開昭55−135046号公報など)。
一方、ポリエステル、ポリプロピレンなどのフィルムの
機械強度等を改善するために行われる延伸方法の一つに
フィルムの両側縁部をクリップ等で固定して2〜6倍延
伸するテンター方式がある。このテンター方式を利用し
てフェノキシ樹脂等のフィルムから液晶表示パネルの基
板を製造する技術も開発されており(特開昭59−21
1006号公報)、このフィルムにはセルロースアセテ
ートフィルムも使用出来ることがその中に示唆されてお
り、特開平4−284211号、特開昭62−1150
35号公報に示されているようなテンター乾燥装置によ
りセルローストリアセテートフィルムの製造方法が開示
されている。
【0003】図2は、テンター乾燥装置を有する溶液流
延製膜セルロースエステルフィルム製造装置の概略図で
ある。剥離ロール4で剥離されたウェブ1はテンター乾
燥装置9に導入されウェブの両端をクリップで把持され
て幅を保持するかまたは幅延伸を若干行って乾燥され
る。
【0004】セルロースエステルフィルム、特にセルロ
ーストリアセテートフィルムは従来ハロゲン化銀写真感
光材料にその支持体として使用されており、フィルムの
膜厚は90〜250μmであり、厚手のフィルムが使用
されていた。85μm未満の厚さのフィルム、更に60
μm以下の厚さのフィルムはその製造が難しく、その条
件設定が難しかった。
【0005】近年、液晶画像表示装置が発展し、セルロ
ースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムや有機エ
レクトロルミネッセンス用フィルムなどに使用されるよ
うになり、益々薄手のフィルムが求められるようになっ
て来た。流延用支持体からウェブを剥離した後、ロール
等による搬送過程で可塑剤や紫外線吸収剤等の低分子添
加物がウェブ内部から析出、蒸発または揮発してロール
に付着したり、乾燥装置内のパネルにコンデンスして液
滴となってウェブ上に落ちたり、ウェブを汚しフィルム
の欠陥となる。このような欠陥が生じると、出来上がり
のフィルムの品質は低下し液晶表示装置に悪影響を及ぼ
す虞があるばかりでなく、歩留まりが低下しコストを押
し上げる原因となり易い。特に紫外線吸収剤のフィルム
中の濃度は、その機能から、厚手薄手にかかわらずほぼ
同じであるから、薄手フィルムにおいては、薄くなった
分だでけ高濃度の添加量が必要となる。従って析出量も
多くなり出来上がりフィルムの欠陥が増加し易い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薄手
フィルムにおいて、紫外線吸収剤の濃度は変えずに紫外
線吸収剤としての効果を発揮でき、偏光板用保護フィル
ムに有用なセルロースエステルフィルムの製造方法及び
セルロースエステルフィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成より
なる。
【0008】(1) 溶液流延製膜方法により膜厚が2
0〜80μmの紫外線吸収剤を含有するセルロースエス
テルフィルムを製造するにあたり、セルロースエステル
の良溶媒と貧溶媒の質量比が99.5:0.5〜90:
10の混合有機溶媒、セルロースエステル、可塑剤及び
紫外線吸収剤を含有するドープを用いて無限移行する無
端の金属支持体上に流延し、ウェブを流延用支持体から
剥離し、続いてウェブを乾燥して製膜することを特徴と
するセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0009】(2) 紫外線吸収剤を、セルロースエス
テルの良溶媒と貧溶媒の質量比が99.5:0.5〜9
0:10の混合有機溶媒に溶解して紫外線吸収剤溶液と
し、該紫外線吸収剤溶液を30〜50℃で、セルロース
エステルを混合有機溶媒に溶解した溶液と混合したドー
プを用いることを特徴とする(1)に記載のセルロース
エステルフィルムの製造方法。
【0010】(3) 紫外線吸収剤溶液が紫外線吸収剤
を10〜30質量%含有することを特徴とする(2)に
記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0011】(4) ドープを流延用支持体に流延後、
流延用支持体上でのウェブの乾燥速度(残留溶媒量の時
間変化)を1〜15質量%/秒とすることを特徴とする
(1)乃至(3)の何れか1項に記載のセルロースエス
テルフィルムの製造方法。
【0012】(5) 流延用支持体から剥離する時のウ
ェブの残留溶媒量を15〜100質量%とすることを特
徴とする(1)乃至(4)の何れか1項に記載のセルロ
ースエステルフィルムの製造方法。
【0013】(6) (1)乃至(5)の何れか1項に
記載の方法で製膜したことを特徴とするセルロースエス
テルフィルム。
【0014】(7) 紫外線吸収剤を1.0〜5.0質
量%含有することを特徴とする(6)に記載のセルロー
スエステルフィルム。
【0015】(8) (6)または(7)に記載のセル
ロースエステルフィルムを用いたことを特徴とする偏光
板用保護フィルム。
【0016】本発明を詳述する。始めに、本発明に係わ
る溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの
製膜方法について説明する。
【0017】先ず、セルロースエステルを有機溶媒に溶
解してドープを形成する。本発明に係るセルロースエス
テルフィルムに使用するセルロースエステルは、リンタ
ーパルプ、ウッドパルプ及びケナフパルプから選ばれる
セルロースを用い、それらに無水酢酸、無水プロピオン
酸、または無水酪酸を常法により反応して得られるもの
で、セルロースの水酸基に対する全アシル基の置換度が
2.5〜3.0のセルローストリアセテート、セルロー
スアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブ
チレート、及びセルロースアセテートプロピオネートブ
チレートである。本発明に係るセルロースエステルのア
セチル基の置換度は少なくとも1.5以上であることが
好ましい。セルロースエステルのアシル基の置換度の測
定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて
実施することが出来る。これらのセルロースエステルの
分子量は数平均分子量として、70,000〜300,
000の範囲が、フィルムに成形した場合の機械的強度
が強く好ましい。更に80,000〜200,000が
好ましい。通常、セルロースエステルは反応後の水洗等
処理後において、フレーク状となり、その形状で使用さ
れるが、粒子サイズは粒径を0.05〜2.0mmの範
囲とすることにより溶解性を早めることが出来好まし
い。
【0018】セルロースエステルに対する良溶媒を主と
する有機溶媒に溶解釜中で該フレークを攪拌しながら溶
解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で行う方法、
主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧
して行う方法、特開平9−95544号、同9−955
57号または同9−95538号公報に記載の如き冷却
溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記
載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解
後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送
る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35
質量%、好ましくは16〜33質量%がより好ましい。
【0019】セルロースエステルに対する良溶媒として
の有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ア
ミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセ
ト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジ
オキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、メチレンクロライド、ブロモプロパン等
を挙げることが出来、酢酸メチル及びメチレンクロライ
ドが好ましく用いられる。しかし最近の環境問題から非
塩素系の有機溶媒の方が好ましい傾向にある。また、こ
れらの貧溶媒としての有機溶媒に、メタノール、エタノ
ール、ブタノール等の低級脂肪族アルコールを併用する
と、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上し
たりドープ粘度を低減出来るので好ましい。特に沸点が
低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。
【0020】本発明においては、セルロースエステルの
良溶媒と貧溶媒の質量比を99.5:0.5〜90:1
0とすることにより製膜速度、乾燥速度等最適な状態で
製膜することが出来る。
【0021】ドープ中に、フタル酸エステル、リン酸エ
ステルなどの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マッ
ト剤などの添加剤を加えることにより、液晶画像表示装
置用のセルロースエステルフィルムの性能を向上させる
ことが出来る。
【0022】本発明において、セルロースエステルフィ
ルム中に可塑剤を含有させる。用いることの出来る可塑
剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系として
は、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェ
ート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフ
ェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェー
ト、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト等、フタル酸エステル系としては、ジエチルフタレー
ト、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−
2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステ
ル系としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリ
コレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチル
フタリルブチルグリコレート等を挙げることが出来る。
可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いても
よい。セルロースエステルに用いる場合、リン酸エステ
ル系の可塑剤の使用比率は50%以下が、セルロースエ
ステルフィルムの加水分解を引き起こしにくく、耐久性
に優れるため好ましい。リン酸エステル系の可塑剤比率
は少ない方が更に好ましく、フタル酸エステル系やグリ
コール酸エステル系の可塑剤だけを使用することが特に
好ましい。可塑剤のセルロースエステルに対する添加量
としては、0.5〜30質量%が好ましく、特に2〜1
5質量%が好ましい。
【0023】本発明において、セルロースエステルフィ
ルム中には偏光板用保護フィルムに有用な紫外線吸収剤
を含有させる。紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止
の点より波長380nm以下の紫外線の吸収能に優れ、
かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可
視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられ
る。特に、波長380nm以下での透過率が10%未満
である必要があり、好ましくは6%未満、より好ましく
は4%未満である。本発明において、上記透過率を満足
するものであれば制限なく使用出来るが、例えば、オキ
シベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合
物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化
合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化
合物等を、使用し得る紫外線吸収剤として挙げることが
出来る。このうち着色の少ないベンゾトリアゾール系化
合物がより好ましい。例えば、チバ・スペシャルティ・
ケミカルズ社製のチヌビン(TINUVIN)109、
171または326等ベンゾトリアゾール系の紫外線吸
収剤を好ましく使用することが出来る。紫外線吸収剤は
2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加
方法は、ドープ中で紫外線吸収剤が溶解するようなもの
であれば制限なく使用できるが、本発明においては紫外
線吸収剤をメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソ
ランなどのセルロースエステルに対する良溶媒、または
良溶媒と低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール等)のような貧溶媒との
混合有機溶媒に溶解し紫外線吸収剤溶液としてセルロー
スエステル溶液に混合してドープとする方法が好まし
い。この場合出来るだけドープ溶媒組成と紫外線吸収剤
溶液の溶媒組成とを同じか近づけるのが好ましい。セル
ロースエステルとしてセルローストリアセテートの場合
には良溶媒のメチレンクロライドまたはメチレンクロラ
イドと貧溶媒の低級脂肪族アルコール(メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール等)の混合有機溶
媒を、またセルロースアセテートプロピオネートの場合
には良溶媒の酢酸メチルまたは酢酸メチルと貧溶媒の上
記低級脂肪族アルコールの混合溶液が好ましい。セルロ
ースエステルをセルロースエステルに対して良溶媒と貧
溶媒の質量比を99.5:0.5〜90:10とした混
合有機溶媒に溶解したセルロースエステル溶液に、別に
紫外線吸収剤を同様な有機溶媒に溶解した紫外線吸収剤
溶液を混合してドープを調製することが、ドープ中で紫
外線吸収剤が安定に溶解されている。有機溶媒の上記質
量比の貧溶媒比が大きくなると紫外線吸収剤がドープ中
で溶解性が低下し、析出する虞がある。紫外線吸収剤溶
液を30〜50℃の範囲の温度とすることによって、紫
外線吸収剤が安定に溶解状態でドープ中に混合される。
30℃未満の場合には、紫外線吸収剤溶液が不安定とな
り、紫外線吸収剤が析出し易くなり、安定なドープを得
にくくなる。本発明においては、ドープに添加する前に
有機溶媒に溶解した紫外線吸収剤溶液を調製した後、バ
ッチ添加しても、インラインミキサーを使用して混合し
てもよいが、混合状態をより均一にするためにはインラ
インミキサーを使用するのが好ましい。インラインミキ
サーとしては、例えば東レエンジニアリング(株)製の
Hi−Mixer(静止型管内混合器)があり、好まし
く用いられる。紫外線吸収剤の紫外線吸収剤溶液中での
濃度は10〜30質量%含有するのが好ましく、製膜後
のセルロースエステルフィルム中の濃度を薄手フィルム
としても、有効に紫外線をカットすることが出来る。本
発明において、仕上がりのセルロースエステルフィルム
に対して紫外線吸収剤の含有量は0.5〜7.0質量%
の範囲で添加することが出来、0.6〜6.0質量%が
好ましく、特に好ましくは1.0〜5.0質量%であ
る。
【0024】更に、本発明のセルロースエステルフィル
ム中には、酸化防止剤を含有させることが好ましく、酸
化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が
好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3
−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチ
ルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブ
チルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チ
オ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ
イト等を挙げることが出来る。特に2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−
ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例え
ば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等
のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安
定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セ
ルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0
%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0025】また本発明において、セルロースエステル
フィルム中に、無機微粒子を含有するのが好ましく、無
機微粒子としては、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和
ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネ
シウム、リン酸カルシウム等の無機無機微粒子や架橋高
分子無機微粒子を含有させることが好ましい。中でも二
酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好ま
しい。無機微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜
1.0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステル
に対して0.005〜0.3質量%が好ましい。二酸化
ケイ素のような無機微粒子には有機物により表面処理さ
れている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘ
イズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有
機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シ
ラザン、シロキサンなどがあげられる。無機微粒子の平
均粒径が大きい方がマット効果は大きく、反対に平均粒
径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい無機微粒
子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好まし
くは7〜14nmである。これらの無機微粒子はセルロ
ースエステルフィルム中では、通常、凝集体として存在
しセルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0
μmの凹凸を生成させることが好ましい。二酸化ケイ素
の無機微粒子としてはアエロジル(株)製のアエロジル
(AEROSIL)200、200V、300、R97
2、R972V、R974、R202、R812,OX
50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはア
エロジル200V、R972、R972V、R974、
R202、R812である。これらのマット剤は2種以
上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合
で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径
や材質の異なるマット剤、例えばアエロジル200Vと
R972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜
0.1の範囲で使用出来る。またマット剤と紫外線吸収
剤を混合した液とするのも好ましい。
【0026】全ての添加剤を含有するドープの調製の際
に、これらの添加剤をセルロースエステルや溶媒と共に
添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよ
いが、インラインミキサーで混合するのが好ましい。
【0027】次に、ドープを流延用支持体上に流延する
工程、流延用支持体上での乾燥工程及びウェブを流延用
支持体から剥離する剥離工程について述べる。
【0028】流延用支持体の表面は鏡面となっている。
流延工程は、上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプ
を通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に
移行する無端の金属ベルト(通常、表面研磨されたステ
ンレスベルト)あるいは回転する金属ドラム(通常、表
面クロムメッキ鉄鋳物ドラム)の流延用支持体上に加圧
ダイからドープを流延する工程である。ダイスリットの
ドープの出るところを口金と呼ぶが、口金部分のスリッ
ト形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ま
しい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等が
あるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げる
ために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドー
プ量を分割して重層してもよい。膜厚の調節には、所望
の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダ
イの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用
支持体の速度等をコントロールするのがよい。本発明の
セルロースエステルフィルムの製造方法は、出来上がり
の膜厚が薄手の20〜80μmのフィルム、特に20〜
60μmのフィルムに好適である。
【0029】流延用支持体上での乾燥工程は、ウェブを
支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を
蒸発させるには、ウェブ側及び流延用支持体裏側から加
熱風を吹かせる方法、流延用支持体の裏面から加熱液体
により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する
方法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好まし
い。また、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早く、ウェブ
の表面側から乾燥風を当てる乾燥方法が好ましい。1周
する流延用支持体の温度は全体が同じでも、位置によっ
て異なっていてもよい。流延用支持体上でのウェブの乾
燥速度(ウェブの残留溶媒量の時間変化)は1〜15質
量%/secが好ましい。あまり早く乾燥させると紫外
線吸収剤等の添加剤濃度がウェブの内部から表面に偏
り、析出し易くなり、汚れの原因になり易い。
【0030】剥離工程は、流延用支持体上で有機溶媒を
蒸発させて、流延用支持体が一周する前にウェブを剥離
する工程である。その後にウェブを乾燥工程に送る。流
延用支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点と
いい、また剥離を助けるロールを剥離ロールという。ウ
ェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの残留溶媒量
(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆
に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中で
ウェブの一部が剥がれたりすることがある。本発明にお
いては、残留溶媒量を15〜100質量%で剥離するこ
とが好ましい。金属支持体上でのウェブの乾燥速度を上
げて残留溶媒量をあまりに小さくして剥離するとやはり
添加剤の析出が多くなり易い。また、乾燥速度によらず
に、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多
いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)
として、残留溶媒量が多くても剥離出来るゲル流延法
(ゲルキャスティング)がある。その方法としては、ド
ープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を多めに加
えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を
低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属
塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強く
することによって、剥離を早め製膜速度を上げることが
出来る。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウ
ェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離
張力による横段、ツレや縦スジが発生し易く、経済速度
と品質との兼ね合いで残留溶媒量を決められる。本発明
においては、薄手フィルムであるため、ゲル化する方法
の製膜方法をとらなくとも製膜速度を早くすることが出
来る。
【0031】本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表
せる。 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMの状態
のものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0032】剥離後、ウェブが、直接または若干のサポ
ートロールを経て、乾燥装置に導入する。本発明におい
ては、乾燥装置が図1で示したようなロール乾燥装置で
も、図2で示したようなテンター乾燥装置に導入してウ
ェブを乾燥してもよい。またテンター乾燥装置の後にロ
ール乾燥装置を設置してもよい。乾燥装置の温度は50
〜150℃の範囲とするのが好ましい。乾燥後は25℃
程度まで除冷して巻き取り、セルロースエステルフィル
ムを得る。巻き取り時点での残留溶媒量は2質量%以下
で、好ましくは1質量%、より好ましくは0.5質量
%、更に好ましくは0.2質量%以下である。
【0033】本発明のセルロースエステルフィルムを偏
光板用保護フィルムとして偏光膜と貼り合わせることに
よって液晶表示装置に有用な偏光板を得ることが出来
る。本発明において、偏光板用保護フィルムは偏光膜と
貼り合わせることが出来るようにセルロースエステルフ
ィルムの少なくとも片面を処理加工したフィルムをい
い、処理加工としてはアルカリ液で表面を鹸化する加
工、接着層を塗設する加工等を挙げることが出来る。本
発明においてはアルカリ液での表面鹸化加工したものが
好ましい。
【0034】本発明の偏光板用保護フィルムとしての表
面鹸化加工について説明する。先ず、本発明のセルロー
スエステルフィルム表面を鹸化処理する。セルロースエ
ステルフィルムの鹸化処理条件の1例を示すと、40〜
60℃の2mol/lのNaOH水溶液に、約30〜1
50秒浸漬後、常温水で約30〜60秒水洗し、更に1
〜5質量%のHClで約30〜60秒中和し、その後常
温水で約30〜60秒水洗して、約80℃で乾燥する条
件であるが、これらに限定されない。本発明の偏光板用
保護フィルムとしての鹸化したセルロースエステルフィ
ルムの紫外線透過率は未鹸化のセルロースエステルフィ
ルムとほとんど同じで変わらない。
【0035】本発明に係る偏光膜は、例えばポリビニル
アルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の
ポリビニルアルコール系ポリマーの水溶液を製膜し、こ
れを一軸延伸させてヨウ素や二色性色素で染色したもの
を更に一軸延伸してから、ホウ素化合物のような架橋剤
で耐水性処理を行ったものである。
【0036】本発明に係る偏光板は上記偏光膜の少なく
とも片面に、アルカリ鹸化処理した本発明の偏光板用保
護フィルムを、接着剤液を塗布して、貼り合わせて形成
した。接着剤液としては、ポリビニルアルコール水溶
液、ポリビニルブチラール溶液等のポリビニルアルコー
ル系の接着剤液やブチルアクリレートなどのビニル重合
系ラテックス等を挙げることが出来るが、好ましくは完
全鹸化ポリビニルアルコール水溶液である。
【0037】
【実施例】本発明を以下の実施例に示すが、これらに限
定されない。
【0038】〔評価方法〕 〈紫外線透過率の測定〉Spectrophotome
ter U−3200(日立製作所製)を用いて偏光板
用保護フィルム試料の分光スペクトルを測定し、380
nmにおける透過率を測定し、以下のようにランク分け
して評価した。
【0039】 A:透過率4%未満 B:透過率4%以上6%未満 C:透過率6%以上10%未満 D:透過率10%以上15%未満 E:透過率15%以上。
【0040】〈製膜後のフィルムの汚れ〉製膜後のセル
ロースエステルフィルムを幅はそのままで、長さ1mに
切り出し、試料を蛍光灯を3本並べ、他は光のない部屋
で、蛍光灯に反射させたり、透過させて汚れの個数を全
面積中に何個あるか数え、下記のようにグレード分けし
て評価する。この際、汚れの大きさについてもルーペで
測定する。
【0041】 A:全く汚れがない B:1〜3個10μm以下の汚れがある C:10μm以下の汚れが3個以内、11〜20μmの
汚れが1〜3個ある D:大小含め、7〜20個ある E:大小含め、21個以上ある。
【0042】 実施例1 アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150, 000) 100質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部 トリフェニルホスフェイト 10質量部 メチレンクロライド 368質量部 エタノール 32質量部 上記材料を溶解タンクに投入し、60℃に加温してタン
ク内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルローストリア
セテート溶液とし、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙
No.244を使用して濾過し、更に日本精線(株)製
のファインメットNM(絶対精度10μm)を使用して
濾過してセルローストリアセテート溶液を得た。
【0043】別の工程で下記の処方で紫外線吸収剤溶液
を調製した。 メチレンクロライド 30質量部 エタノール 2.4質量部 チヌビン326 1.8質量部 チヌビン171 1.8質量部 アエロジル200V 0.06質量部 この紫外線吸収剤溶液をファインポアNF濾過器(絶対
精度10μm)で濾過し、30℃で一旦貯蔵した。30
℃のセルローストリアセテート溶液と30℃紫外線吸収
剤溶液を合流管で合流させ、続いて2連の東レエンジニ
アリング(株)製のHi−Mixerインラインミキサ
ーで均一に混合してドープを得た。ドープをダイから流
延部のステンレスベルトの上に流延し、ステンレスベル
トのウェブ側の空気面側から風速15m/秒のウェブの
移行方向に45°の角度で50℃の風を当てて1分間乾
燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、25℃の冷
水を接触させて冷却した後、残留溶媒量30質量%で剥
離した。このステンレスベルト上での乾燥速度は5.8
質量%/secであった。剥離後、6本のサポートロー
ルを通した後、テンターに導入して90〜120℃で幅
方向に0.5%延伸しながら乾燥し、続いてロール乾燥
機で110〜130℃で乾燥し、最後に25℃に冷却し
て巻き取り、乾燥膜厚40μmのセルローストリアセテ
ートフィルムを得た。連続48時間製膜し、フィルムの
汚れを観察した。
【0044】実施例2 セルローストリアセテート溶液のメチレンクロライドを
368質量部及びエタノールを32質量部とし、別の工
程で下記の処方で紫外線吸収剤溶液を調製した以外は実
施例1と同様に、乾燥膜厚40μmのセルローストリア
セテートフィルムを連続48時間製膜し、フィルムの汚
れを観察した。 紫外線吸収剤溶液 メチレンクロライド 60質量部 エタノール 4.8質量部 チヌビン326 3.6質量部 チヌビン171 3.6質量部 アエロジル200V 0.12質量部 実施例3 実施例1と同様なドープを使用し、ダイからステンレス
ベルトの上に乾燥膜厚が40μmになるように、流延
し、ステンレスベルトの上のウェブの空気側の面に温度
60℃で、風速15m/秒の風を移送方向に45°の角
度で当て、1分間乾燥させた後、残留溶媒量12質量%
で剥離した。この時の乾燥速度は12質量%/秒であっ
た。以後、実施例1と同様に乾燥し連続48時間製膜
し、フィルムの汚れを観察した。
【0045】実施例4 実施例1と同様なドープを使用し、ダイからステンレス
ベルトの上に乾燥膜厚が40μmになるように、流延
し、ステンレスベルトの上のウェブの空気側の面に温度
65℃で、風速15m/秒の風を移送方向に45°の角
度で当て、30秒間乾燥させた後、残留溶媒量30質量
%で剥離した。この時の乾燥速度は18質量%/秒であ
った。以後、実施例1と同様に乾燥し連続48時間製膜
し、フィルムの汚れを観察した。
【0046】実施例5 セルローストリアセテートの代わりにセルロースアセテ
ートプロピオネート(以降CAPと略すことがある)を
使用し、下記の処方とした以外は実施例1と同様にドー
プを調製し、このドープを用いてCAPフィルムを得
た。
【0047】 アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度0.80、数平均分子 量100,000のセルロースアセテートプロピオネート 100質量部 トリフェニルホスフェート 10質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部 酢酸メチル 368質量部 エタノール 32質量部 上記材料を溶解タンクに投入し、60℃に加温してタン
ク内圧力を2気圧とし、撹拌しながらCAP溶液とし、
この溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を
使用して濾過し、更に日本精線(株)製のファインメッ
トNM(絶対濾過精度10μm)を使用して濾過してC
AP溶液を得た。
【0048】また、別の工程で、下記の処方で紫外線吸
収剤溶液を調製した。 酢酸メチル 7.05質量部 エタノール 0.6質量部 チヌビン326 1.8質量部 チヌビン171 1.8質量部 アエロジル200V 0.06質量部 この紫外線吸収剤溶液をファインポアNF濾過器(絶対
精度10μm)で濾過し、30℃で一旦貯蔵した。30
℃のCAP溶液と30℃の紫外線吸収剤溶液を合流管で
合流させ、続いて2連の東レエンジニアリング(株)製
のHi−Mixerインラインミキサーで均一に混合し
てドープを得た。ドープをダイからステンレスベルトの
上に乾燥膜厚が40μmになるように、流延し、ステン
レスベルトの上のウェブの空気側の面に温度65℃で、
風速15m/秒の風を移送方向に45°の角度で当て、
30秒間乾燥させた後、残留溶媒量30質量%で剥離し
た。この時の乾燥速度は18質量%/秒であった。以
後、実施例1と同様に乾燥し連続48時間製膜し、フィ
ルムの汚れを観察した。
【0049】実施例6 紫外線吸収剤溶液の処方を、 酢酸メチル 30質量部 エタノール 2.4質量部 チヌビン326 1.8質量部 チヌビン171 1.8質量部 アエロジル200V 0.06質量部 とし、剥離時の残留溶媒量を30質量%及びステンレス
ベルト上での乾燥速度を2.0質量%/secに変更し
た以外は実施例5と同様に厚さ40μmのCAPフィル
ムを得た。連続48時間製膜し、フィルムの汚れを観察
した。
【0050】比較例1 メチレンクロライドを352質量部、エタノールを48
質量部として良溶媒と貧溶媒の質量比を88:12と変
更した以外は実施例1と同様に行い、厚さ40μmのセ
ルローストリアセテートフィルムを得た。連続48時間
製膜し、フィルムの汚れを観察した。
【0051】比較例2 紫外線吸収剤溶液を、 メチレンクロライド 10質量部 エタノール 0.8質量部 チヌビン326 0.6質量部 チヌビン171 0.6質量部 アエロジル200V 0.02質量部 とした以外は比較例1と同様に乾燥膜厚40μmのセル
ローストリアセテートフィルムを連続48時間製膜し、
フィルムの汚れを観察した。
【0052】なお、以上の実施例及び比較例の製膜後
は、連続製膜後汚れの発生したサポートロール等を清掃
し、次の試験を行った。
【0053】実施例1〜6及び比較例1〜2のセルロー
スエステルフィルムを、60℃、2mol/lの濃度の
水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し水洗した後、
100℃で10分間乾燥しアルカリ鹸化処理したセルロ
ースエステルフィルムを得た。これを偏光板用保護フィ
ルムとし、紫外線透過率を測定し評価した。
【0054】以上の評価の結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】(結果)表1の結果から、本発明の有機溶
媒組成のセルロースエステル溶液と紫外線吸収剤溶液を
混合したドープからのセルロースエステルフィルムは汚
れもほとんどなく、紫外線透過率も小さく優れているこ
とがわかった。更に紫外線吸収剤溶液の温度または濃
度、支持体上での乾燥速度、剥離時残留溶媒量等を好ま
しい範囲にすることによって、汚れもなく、紫外線透過
率も非常に小さいセルロースエステルフィルム及び偏光
板用フィルムを得ることが出来た。これに対して、貧溶
媒の比率が10質量%を超したドープからのセルロース
エステルフィルム及び偏光板用保護フィルムは汚れが多
く、または紫外線透過率が大きかった。
【0057】
【発明の効果】液晶表示装置に有用な薄手の紫外線吸収
剤を含有する偏光板用保護フィルムとしてのセルロース
エステルフィルムを高品質且つ高生産性で得ることが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液流延製膜セルロースエステルフィルム製造
装置の概略図である。
【図2】テンター乾燥装置を有する溶液流延製膜セルロ
ースエステルフィルム製造装置の概略図である。
【符号の説明】
1 ドープ膜(ウェブ) 2 ダイ 3 金属支持体(流延用支持体) 4 剥離ロール(剥離点)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1:10 C08L 1:10 Fターム(参考) 2H049 BA02 BB13 BB33 BB63 BC01 BC09 BC22 4F071 AA09 AE04 AE05 AE19 AH19 BA02 BB02 BC01 BC12 4F205 AA01 AB14 AC05 AG01 AH42 GA07 GB02 GC07 GE22 GE24 GF24 GN22 GN29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液流延製膜方法により膜厚が20〜8
    0μmの紫外線吸収剤を含有するセルロースエステルフ
    ィルムを製造するにあたり、セルロースエステルの良溶
    媒と貧溶媒の質量比が99.5:0.5〜90:10の
    混合有機溶媒、セルロースエステル、可塑剤及び紫外線
    吸収剤を含有するドープを用いて無限移行する無端の金
    属支持体上に流延し、ウェブを流延用支持体から剥離
    し、続いてウェブを乾燥して製膜することを特徴とする
    セルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 紫外線吸収剤を、セルロースエステルの
    良溶媒と貧溶媒の質量比が99.5:0.5〜90:1
    0の混合有機溶媒に溶解して紫外線吸収剤溶液とし、該
    紫外線吸収剤溶液を30〜50℃で、セルロースエステ
    ルを混合有機溶媒に溶解した溶液と混合したドープを用
    いることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエス
    テルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 紫外線吸収剤溶液が紫外線吸収剤を10
    〜30質量%含有することを特徴とする請求項2に記載
    のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 ドープを流延用支持体に流延後、流延用
    支持体上でのウェブの乾燥速度(残留溶媒量の時間変
    化)を1〜15質量%/秒とすることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れか1項に記載のセルロースエステルフ
    ィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 流延用支持体から剥離する時のウェブの
    残留溶媒量を15〜100質量%とすることを特徴とす
    る請求項1乃至4の何れか1項に記載のセルロースエス
    テルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか1項に記載の方
    法で製膜したことを特徴とするセルロースエステルフィ
    ルム。
  7. 【請求項7】 紫外線吸収剤を1.0〜5.0質量%含
    有することを特徴とする請求項6に記載のセルロースエ
    ステルフィルム。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載のセルロースエ
    ステルフィルムを用いたことを特徴とする偏光板用保護
    フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2008129726A1 (ja) * 2007-03-31 2010-07-22 コニカミノルタオプト株式会社 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び表示装置
JP2018122565A (ja) * 2017-02-03 2018-08-09 コニカミノルタ株式会社 光学フィルムの製造方法

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