JP2003071863A - セルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法

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JP2003071863A JP2001268196A JP2001268196A JP2003071863A JP 2003071863 A JP2003071863 A JP 2003071863A JP 2001268196 A JP2001268196 A JP 2001268196A JP 2001268196 A JP2001268196 A JP 2001268196A JP 2003071863 A JP2003071863 A JP 2003071863A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚が20〜200μmのセルロースエ
ステルフィルムを製造するに際して、曇りの発生を抑え
る。 【解決手段】 ベルト及び冷却ドラムを有する製膜装置
の前記ベルト上にセルロースエステルを含むドープ組成
物が流延され、この流延されたドープ組成物によるフィ
ルムが前記冷却ドラム上の位置において前記ベルトから
剥離されることにより、膜厚が20〜200μmのセル
ロースエステルフィルムが製造される方法において、前
記ベルト上のフィルムが前記冷却ドラムから離間する位
置での前記冷却ドラムの表面温度を6℃以上とし、か
つ、前記フィルムが前記冷却ドラムに接してから剥離さ
れるまでの時間を0.5〜20秒とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば液晶表示
装置等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィ
ルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用
いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルム、ある
いは有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィ
ルム等にも利用することができるセルロースエステルフ
ィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】液晶表示装置(LC
D)は、低電圧・低消費電力で、IC回路への直結が可
能であり、そして特に薄型化が可能であることから、ワ
ードプロセッサやパーソナルコンピュータ等の表示装置
として広く採用されている。そして、このLCDの基本
的な構成は、たとえば液晶セルの両側に偏光板を設けた
ものである。
【0003】この偏光板は、一定方向の偏波面の光だけ
を通す。したがってLCDにおいては、電界による液晶
の配向の変化を可視化させるという重要な役割を担って
いる。すなわち、偏光板の性能によってLCDの性能が
大きく左右される。偏光板は、一般に、偏光子の両側に
偏光板保護フィルムを積層した構造となっている。この
ような構造の偏光板を液晶セルに対して積層すること
で、LCDが構成されている。
【0004】なお上記偏光子は、たとえばヨウ素などを
高分子フィルムに吸着・延伸したものである。すなわ
ち、二色性物質(ヨウ素)を含むHインキと呼ばれる溶
液を、ポリビニルアルコールのフィルムに湿式吸着させ
た後、このフィルムを一軸延伸することにより、二色性
物質を一方向に配向させたものである。偏光板保護フィ
ルムとしては、セルロース樹脂、特にセルローストリア
セテートが用いられている。
【0005】偏光板保護フィルムは、図2に示すベルト
流延方式の装置を用いて製造されている。なお同図にお
いて、1はフィルム、2は冷却ドラム、3は流延ベル
ト、4は流延ダイ、5は剥取りロール、6はロール乾燥
部、7は巻取りロールである。こうした装置を用いた場
合には、流延ダイ4からドープを流延ベルト3に流延し
た後、冷却ドラム2に対向して設けられた剥取りロール
5でフィルム1を剥ぎ取り、更にロール乾燥部6で完全
に乾燥させた後、フィルム1を巻取りロール7で巻き取
ることになる。
【0006】さて、このようにして光学フィルムとして
用いられる、膜厚が20〜200μmのセルロースエス
テルフィルムが製造されているのであるが、でき上がっ
たフィルムには曇りが認められる場合があった。
【0007】したがって本発明が解決しようとする課題
は、膜厚が20〜200μmのセルロースエステルフィ
ルムを製造するに際して、曇りの発生を抑える技術を提
供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の検討が鋭意推し進められていった結果、曇りの発生
は、冷却ドラム部における冷却状態、特にフィルムが冷
却ドラムから離間する位置での冷却ドラムの表面温度
と、フィルムが冷却ドラムに接してから剥離されるまで
の時間とによって大きく左右されることが判ってきた。
【0009】すなわち、フィルムが冷却ドラムから離間
する位置での冷却ドラムの表面温度を特定の温度に制御
すると共に、フィルムが冷却ドラムに接してから剥離さ
れるまでの時間を特定の時間に制御することによって、
曇りの発生を抑制できることが判った。
【0010】このような知見を基にして本発明が達成さ
れたものであり、上記の課題は、ベルト及び冷却ドラム
を有する製膜装置の前記ベルト上にセルロースエステル
を含むドープ組成物が流延され、この流延されたドープ
組成物によるフィルムが前記冷却ドラム上の位置または
前記冷却ドラム通過後の位置において前記ベルトから剥
離されることにより、膜厚が20〜200μmのセルロ
ースエステルフィルムが製造される方法であって、前記
ベルト上のフィルムが前記冷却ドラムから離間する位置
での前記冷却ドラムの表面温度は6℃以上であり、か
つ、前記フィルムが前記冷却ドラムに接してから剥離さ
れるまでの時間が0.5〜20秒であることを特徴とす
るセルロースエステルフィルムの製造方法によって解決
される。
【0011】更に、フィルムをベルトから剥離する時の
雰囲気の露点が7℃以下であるようにコントロールする
ことによって、上記課題は一層効果的に解決される。
【0012】また、フィルムの剥離されたベルト(正確
にはその一部)がドープ組成物の流延個所に到達するま
での時間が0.5〜30秒であるようにコントロールす
ることによっても、上記課題は一層効果的に解決され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明になるセルロースエステル
フィルムの製造方法は、ベルト及び冷却ドラムを有する
製膜装置の前記ベルト上にセルロースエステルを含むド
ープ組成物が流延され、この流延されたドープ組成物に
よるフィルムが前記冷却ドラム上の位置において前記ベ
ルトから剥離されることにより、膜厚が20〜200μ
m(特に40μm以上、100μm以下)のセルロース
エステルフィルムが製造される方法であって、前記ベル
ト上のフィルムが前記冷却ドラムから離間する位置での
前記冷却ドラムの表面温度は6℃以上(特に7℃以上、
15℃以下)であり、かつ、前記フィルムが前記冷却ド
ラムに接してから剥離されるまでの時間が0.5〜20
秒(特に1.5秒以上、12秒以下)である。そして、
フィルムをベルトから剥離する時の雰囲気の露点が7℃
以下(特に5℃以下。下限値は規定されない)である。
また、フィルムの剥離されたベルト(の一部)がドープ
組成物の流延個所に到達するまでの時間は0.5〜30
秒(特に1秒以上、10秒以下)である。以下、更に詳
しく説明する。
【0014】本発明になるセルロースエステルフィルム
の製造方法は、図2に示す従来のベルト流延方式の装置
を用いても実施できる。したがって、装置自体について
の詳細な説明は省略する。なお、「ベルト上のフィルム
が冷却ドラムから離間する位置での前記冷却ドラムの表
面温度」、「フィルムが冷却ドラムに接してから剥離さ
れるまでの時間」、「フィルムの剥離されたベルトがド
ープ組成物の流延個所に到達するまでの時間」につい
て、それらが意味するものは、次のとおりである(図1
参照)。
【0015】まずフィルム1は、ベルト3が冷却ドラム
2に接した時点において、冷却ドラム2に接することに
なるから、フィルム1が冷却ドラム2に接する時点(位
置)は、図1中、A点である。そして、フィルム1は冷
却ドラム2上の位置においてベルト3から剥離されるこ
とから、ベルト3上のフィルム1が冷却ドラム2から離
間する時点(位置)は、図1中、B点である。更に、流
延個所はC点である。
【0016】したがって、上記「ベルト上のフィルムが
冷却ドラムから離間する位置での前記冷却ドラムの表面
温度」とは、前記B点における冷却ドラム2の表面温度
である。また、上記「フィルムが冷却ドラムに接してか
ら剥離されるまでの時間」とは、A点からB点までの移
動に要する時間である。更に、上記「フィルムの剥離さ
れたベルトがドープ組成物の流延個所に到達するまでの
時間」とは、B点からC点までの移動に要する時間であ
る。なおC点は、冷却ドラム2の上にあってもよく、あ
るいは、フィルム(ウェブ)1がこの冷却ドラム2を通
過した後にたどる経路上にあってもよい。
【0017】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造方法に採用される製膜工程は、以下に詳述する溶解工
程、流延工程、溶媒蒸発工程、剥離工程、乾燥工程、そ
して巻き取り工程を有する。
【0018】[溶解工程]本明細書においては、セルロ
ースエステル溶液を、セルロースエステルドープまたは
単にドープという。本工程は、セルロースエステルのフ
レークに、後述の良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中
で該フレークを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する
工程である。本発明では、ドープ中の固形分濃度を15
質量%以上に調整することが好ましく、18〜35質量
%がその特に好ましい範囲である。
【0019】但し、ドープ中の固形分濃度が高すぎると
ドープの粘度が高くなりすぎ、流延時にシャークスキン
等が生じてフィルム平面性が劣化する場合があるので、
これは35質量%以下であることが望ましい。また、ド
ープ粘度は10〜50Pa・sの範囲に調整されること
が好ましい。
【0020】溶解には、常圧で行う方法、好ましい有機
溶媒(すなわち良溶媒)の沸点以下で行う方法、この良
溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う
方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法等がある。良溶
媒の沸点以上の温度で、かつ沸騰しない圧力をかけて溶
解する方法を用いる場合、40.4〜120℃で、0.
11〜1.50MPaに加圧することで、発泡を抑え、
かつ短時間に溶解させることができる。
【0021】本発明に用いられるセルロースエステルと
しては、セルロースの低級脂肪酸エステルが好ましく用
いられる。セルロースエステルの低級脂肪酸エステルに
おける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を
意味し、たとえばセルロースアセテート、セルロースプ
ロピオネート、セルロースブチレート等、また、特開平
10−45804号、同8−231761号、米国特許
第2,319,052号等に記載されているセルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチ
レート等の混合脂肪酸エステルなどが、上記セルロース
の低級脂肪酸エステルの具体例として挙げられる。ちな
みに、セルロースエステルのアシル基の置換度測定は、
ASTM−D−817−96に準じて実施することがで
きる。
【0022】ところで上記脂肪酸のなかでも、セルロー
スアセテート、セルロースアセテートプロピオネートが
好ましいものとしてよく用いられるが、本発明にて得ら
れるセルロースエステルフィルムの場合には、フィルム
強度の観点から、特に重合度250〜400のものが好
ましい。
【0023】本発明にて得られるセルロースエステルフ
ィルムは総置換度が2.5〜3.0のセルロースエステ
ルが好ましいものとして用いられるが、特に総置換度が
2.55〜2.85のセルロースエステルが好ましい。
総置換度が2.55以上になるとフィルムの機械強度が
増加し、一方、2.85以下になるとセルロースエステ
ルの溶解性が向上したり、異物の発生が低減されるため
一層好ましい。
【0024】セルロースアセテートプロピオネートとし
ては、アセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度を
Yとすると、 2.55≦X+Y≦2.85 1.5≦X≦2.4 の範囲にあるものが好ましく用いられる。
【0025】セルロースエステルは、綿花リンターから
合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成さ
れたセルロースエステル、あるいはそれ以外の原料から
合成されたセルロースエステルを単独あるいは混合して
用いることができる。
【0026】ドープを作製する際に使用される溶媒は、
セルロースエステルを溶解できる溶媒であればよく、特
に限定されないが、単独でそれを溶解できない溶媒であ
っても、他の溶媒と混合することにより溶解できるもの
であれば使用することができる。一般には、良溶媒であ
るメチレンクロライドとセルロースエステルの貧溶媒か
らなる混合溶媒を用い、かつ、混合溶媒中には貧溶媒を
4〜30質量%含有するものが好ましく用いられる。
【0027】この他に使用できる良溶媒としては、たと
えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジ
オキサン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ
酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ
る。だが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合
物、ジオキサン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセ
トン等も好ましい有機溶媒(すなわち良溶媒)として挙
げられる。酢酸メチルを用いると、得られるフィルムの
カールが少なくなるため特に好ましい。
【0028】セルロースエステルの貧溶媒としては、た
とえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i
so−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノ
ール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のア
ルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、酢酸エチル、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、
ベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチ
ルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル
等を挙げることができ、これらの貧溶媒は単独もしくは
二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0029】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造方法においては、セルロースエステルを溶解する際に
冷却溶解法を用いることも好ましい。この冷却溶解方法
としては、たとえば特開平9−95538号、同9−9
5544号、同9−95557号公報に記載の技術を使
用することができる。また、特開平11−21379号
公報に記載の高圧溶解方法も好ましく使用できる。
【0030】なお溶解後は、セルロースエステル溶液
(ドープ)を濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に
送ることが好ましく、また、その際、ドープ中には、可
塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、微粒子等が好
ましく添加される。これら添加物は、セルロースエステ
ル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に
添加しても良く、溶液調製中や調製後に添加しても良
い。
【0031】本発明の技術にて製造されるセルロースエ
ステルフィルム中には、可塑剤を添加することができ
る。これに用いることができる可塑剤としては、たとえ
ばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑
剤、クエン酸エステル系可塑剤などが挙げられるが、む
ろんこれらに限定されるものではない。このうちリン酸
エステル系は、トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オ
クチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニル
ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチル
ホスフェート等があり、またフタル酸エステル系は、ジ
エチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメ
チルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベ
ンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタ
リルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコ
レート、メチルフタリルエチルグリコレート等があり、
更にクエン酸エステル系可塑剤としては、トリエチルシ
トレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ
エチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレー
ト、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレ
ート等を好ましく用いることができる。
【0032】これらは単独あるいは併用して用いるのが
好ましく、これら可塑剤は必要に応じて二種類以上を併
用して用いても良い。また可塑剤の使用量は、セルロー
スエステルに対して1〜30質量%含有されるようにす
ることが好ましく、2〜25質量%が更に好ましく、な
かでも2〜15質量%が特に好ましく、最も好ましいの
は3〜12質量%である。
【0033】本発明の技術を用いて製造されるセルロー
スエステルフィルムは、上記可塑剤の他にも、可塑剤と
同様の作用を示す添加剤が含有させられることがある。
こうした添加剤は、セルロースエステルフィルムを可塑
化することのできる低分子有機化合物であれば良い。
【0034】本発明の技術を用いて製造されるセルロー
スエステルフィルムには、紫外線吸収剤が添加されるこ
とが好ましい。たとえば、液晶の劣化防止の観点から、
波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、良
好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視
光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。上記セル
ロースエステルフィルムは、波長380nmでの透過率
が10%以下であることが特に好ましく、より好ましく
は5%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0035】また、本発明を実施するにあたっては、フ
ィルムの色味を調整するため、たとえば青色染料等を添
加剤として用いても良い。好ましい染料としては、アン
トラキノン系染料が挙げられる。このアントラキノン系
染料は、アントラキノンの1位から8位までの位置に任
意の置換基を有することができる。好ましい置換基とし
ては、置換されても良いアニリノ基、ヒドロキシル基、
アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。こ
れら染料のフィルムへの添加量は、フィルムの透明性を
維持するため、0.1〜1000μg/m、好ましく
は10〜100μg/mである。
【0036】また、セルロースエステルフィルムには、
滑り性を付与するため、マット剤として微粒子を加える
ことが好ましい。これら微粒子は有機物で表面処理され
ていることが、フィルムのヘイズを低下できるために好
ましい。表面処理に好ましい有機物としては、ハロシラ
ン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等が
挙げられる。なお、微粒子の平均径が大きい方がマット
効果は大きく、一方、平均径の小さい方が透明性に優れ
る。このため微粒子の1次粒子の平均径は5〜50nm
が好ましく、更に好ましくは7〜20nmである。
【0037】微粒子の種類は特に限定されないが、たと
えば日本アエロジル社製のAEROSIL200、20
0V、300、R972、R972V、R974、R2
02、R812、OX50、TT600などが挙げら
れ、特に好ましいものは、AEROSIL200V、R
972Vなどである。これら微粒子は、通常、平均粒径
が0.01〜1.0μmの2次粒子を形成し、そしてフ
ィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィル
ム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させる。そ
こで、これら微粒子の含有量は、セルロースエステルに
対して0.005〜0.3質量%が好ましい。特にセル
ロースエステルフィルムは、二酸化珪素の微粒子を含む
ことが好ましく、二酸化珪素の微粒子を含むセルロース
エステル溶液を用いてセルロースエステルフィルムを流
延製膜することによって、セルロースエステル溶液中の
微粒子の凝集に起因した異物故障が著しく低減される。
【0038】微粒子の分散液を調製する方法としては、
たとえば以下に示すような3種類の方法が挙げられる。
【0039】[調製方法A]溶剤と微粒子を撹拌混合し
た後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とす
る。そしてこの微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌す
る。
【0040】[調製方法B]溶剤と微粒子を撹拌混合し
た後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とす
る。また、これとは別に溶剤に少量のセルロースエステ
ルを加え、撹拌溶解する。これにあらかじめ得ておいた
微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液と
する。そしてこの微粒子添加液をインラインミキサーで
ドープ液と十分混合する。
【0041】[調製方法C]溶剤に少量のセルロースエ
ステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分
散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。そして
この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十
分混合する。
【0042】このうち調製方法Aは二酸化珪素微粒子の
分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集
しにくい点で優れている。なかでも、上記調製方法Bは
二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が更に
再凝集し難い点の両方に優れている好ましい調製方法で
ある。
【0043】[分散方法]二酸化珪素微粒子を溶剤など
と混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は、5〜3
0質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好まし
く、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い
方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘ
イズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0044】使用される溶剤は、低級アルコール類とし
ては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の
溶媒は特に限定されないが、セルロースエステルの製膜
時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0045】このようにして得られたドープを用い、以
下に説明する流延工程を経て、セルロースエステルフィ
ルムを得ることができる。
【0046】[流延工程]本工程は、ドープを加圧型定
量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置にお
いて、無限に移送する無端の金属ベルト上に加圧ダイか
らドープを流延する工程である。ちなみに、流延用ベル
トの表面は鏡面となっている。
【0047】その他の流延方法としては、流延されたド
ープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード
法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロー
ルコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット
形状を調製でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好まし
い。この加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等
があるが、いずれも好ましく用いられる。
【0048】製膜速度を上げるため、加圧ダイを流延用
ベルト上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層して
も良い。あるいは、ダイの内部をスリットで分割し、組
成の異なる複数のドープ液を同時に流延(共流延とも言
う)して、積層構造のセルロースエステルフィルムを得
ることもできる。
【0049】このようにして得られたドープがベルト上
に流延され、製膜される。
【0050】[溶媒蒸発工程]本工程は、ウェブ(本明
細書においては、流延用ベルト上にドープを流延して形
成されたドープ膜をウェブと言う)を流延用ベルト上で
加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させる
方法には、ウェブ側から風を吹き付ける方法及び/また
はベルトの裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱
により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱
方法が乾燥効率の点から好ましい。またそれらを組み合
わせる方法も好ましい。更には、流延後のベルト上のウ
ェブを40〜100℃の雰囲気において、ベルト上で乾
燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気を維
持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか、
赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
【0051】本発明の技術にてセルロースエステルフィ
ルムを製造する場合、流延から30〜900秒以内にウ
ェブをベルトから剥離することが望ましい。もし30秒
未満で剥離すると、フィルムの面品質が低下するだけで
なく、透湿性の点でも好ましくない。また900秒を越
えて乾燥させると、剥離性が悪化することなどによる面
品質の低下や、フィルムに強いカールが発生するため好
ましくない。
【0052】[剥離工程]本工程は、ベルト上で溶媒が
蒸発したウェブを、剥離位置でベルトから剥離する工程
である。剥離されたフィルム(ウェブ)は次工程に送ら
れる。但し、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量があ
まり大きすぎると、剥離し難かったり、逆に、ベルト上
で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一
部が剥がれたりする。
【0053】剥離位置における雰囲気の温度について、
好ましくは15〜50℃であり、更に好ましくは18〜
35℃である。そして、フィルムが冷却ドラムから離間
する位置での、この冷却ドラムの表面温度は6℃以上で
あることが大事である。好ましくは、7℃以上、15℃
以下である。
【0054】また、フィルムが冷却ドラムに接してから
剥離されるまでの時間は、0.5〜20秒であるのが大
事である。好ましくは、12秒以上、15秒以下であ
る。加えて、フィルムをベルトから剥離する時の雰囲気
の露点は、7℃以下であることが好ましい。更に好まし
くは、5℃以下である(下限値は特に規定されない)。
【0055】上記剥離位置におけるウェブの残留溶媒量
は、25〜120質量%であることが好ましく、更に好
ましくは40〜100質量%である。この残留溶媒量は
次の式で定義される。
【0056】残留溶媒量(%)=〔(ウェブの加熱処理
前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処
理後質量)〕×100 なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115
℃で、1時間加熱処理を行うことを意味する。
【0057】上記のように剥離時の残留溶媒量を調整す
るには、流延後のベルトの表面温度を制御し、ウェブか
らの有機溶媒の蒸発を効率的に行えるように、ベルト上
の剥離位置における温度を上記範囲に設定することが好
ましい。ベルト温度を制御するには、伝熱効率のよい方
法を使用するのが良く、たとえば液体による裏面伝熱方
法が好ましい。
【0058】輻射熱や熱風等による伝熱方法は、ベルト
温度のコントロールが難しく、好ましい方法とは言えな
いが、ベルトマシンにおいて、移送するベルトが下側に
来た所の温度制御には、緩やかな風でベルト温度を調節
することができる。ベルト温度は、加熱手段を分割する
ことによって部分的に変えることができ、流延用ベルト
の流延位置、乾燥部、剥離位置等をそれぞれ異なる温度
とすることができる。
【0059】製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができ
るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが
できる)としては、残留溶媒が多くとも剥離できるゲル
流延法(ゲルキャスティング)がある。そして、これに
は、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加
えて、ドープ流延後、ゲル化する方法や、ベルトの温度
を低めてゲル化する方法等を用いることができる。更に
は、ドープ中に金属塩を加える方法もある。
【0060】本発明を実施する際、ベルト上でゲル化さ
せ、膜を強くすることによって剥離を早め、製膜速度を
上げることもできる。
【0061】残留溶媒量がより多い時点で剥離する場
合、ウェブが柔らかすぎると、剥離時に平面性を損なっ
たり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、この
ため経済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶媒量が決
められる。ベルトとフィルムを剥離する際の剥離張力
は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に
シワが入り易い場合、190N/m以下で剥離すること
が好ましく、更には、剥離できる最低張力〜166.6
N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離す
ることが好ましいが、最も好ましいのは、最低張力〜1
00N/mで剥離することである。殊に、剥離張力が低
いほど面内リターデーションRoが低く保てるため良
い。面内リターデーションRoは20nm未満であるこ
とが好ましく、更には10nm未満、次いで5nm未満
であることが好ましいが、最も好ましくは0〜1nmで
ある。
【0062】本発明において、面内リターデーションR
oは自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測
機器社製)を用いて、590nmの波長において、三次
元屈折率測定を行い、得られた屈折率Nx、Ny、Nz
から算出することができる。また、膜厚方向のリターデ
ーション値Rtは0〜300nmのものが得られ、更に
好ましくは0〜150nm、より好ましくは0〜70n
mのものが用途に応じて好ましく得られる。ここで、 Ro=(Nx−Ny)・d Rt=〔(Nx−Ny)/2−Nz〕・d である。
【0063】セルロースエステルフィルムは、遅相軸方
向と製膜方向とのなす角度θと、面内方向のレターデー
ションRoが次式の関係にあり、特に偏光板用保護フィ
ルム等の光学フィルムとして好ましく用いられる。
【0064】 P≦1−sin(2θ)・sin(πRo/λ) P=0.9999 ここで、Nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、N
yはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、Nzはフィル
ムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの膜厚(nm)で
ある。θはフィルム面内の遅相軸方向と製膜方向(フィ
ルムの直尺方向)とのなす角度(ラジアン)、λは上記
Nx、Ny、Nz、θを求める三次元屈折率測定の際の
光の波長すなわち590nm、πは円周率である。
【0065】[乾燥工程]本工程は、フィルムを千鳥状
に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び
/またはクリップまたはピンでフィルムの両端を保持し
て搬送するテンター装置を用いて巾保持しながら、フィ
ルムを乾燥する工程である。この乾燥工程における搬送
張力も可能な範囲で低めに維持することが、Roを低く
維持できるため好ましく、190N/m以下であること
が好ましい。更に言えば、これは170N/m以下であ
ることが、特に140N/m以下であることが好まし
い。最も好ましいのは、100〜130N/mである。
また、フィルム中の残留溶媒量が、少なくとも5質量%
以下となるまで、上記搬送張力以下に維持することが効
果的である。
【0066】乾燥の手段としては、フィルムの両面に熱
風を吹き付けるのが一般的であるが、空気流の代わりに
マイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。だが、
あまり急激な乾燥はフィルムの平面性を損ね易い。ちな
みに、高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらい
から行うのがよい。全体を通して、乾燥は概ね40〜2
50℃で行われるが、特に40〜160℃で乾燥させる
ことが好ましい。
【0067】ベルト面から剥離した後の乾燥工程では、
溶媒の蒸発によってフィルムは巾方向に収縮しようとす
る。むろん、高温度で急激に乾燥するほど収縮が大きく
なる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥すること
が、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好
ましい。
【0068】この観点から、例えば特開昭62−466
25号公報に示されるような、乾燥全工程あるいは一部
の工程で、巾方向にクリップまたはピンでフィルムの巾
両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼
ばれる)、なかでも、クリップを用いるテンター方式、
ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
【0069】このとき、巾手方向の延伸倍率は0〜10
0%であることが好ましく、偏光板保護フィルムとして
用いる場合は、5〜20%が更に好ましく、8〜15%
が最も好ましい。一方、位相差フィルムとして用いる場
合は、10〜40%が更に好ましく、20〜30%が最
も好ましい。延伸倍率によってRoをコントロールする
ことが可能で、延伸倍率が高い方が、でき上がったフィ
ルムの平面性に優れるため好ましい。
【0070】テンターを行う場合のフィルムの残留溶媒
量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが
好ましく、かつ、フィルムの残留溶媒量が10質量%以
下になるまでテンターをかけながら乾燥を行うことが好
ましく、更に好ましくは5質量%以下である。テンター
を行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、
50〜120℃が更に好ましく、70〜100℃が最も
好ましい。乾燥温度の低い方が紫外線吸収剤や可塑剤な
どの蒸散が少なく、工程汚染を低減できる。一方、乾燥
温度の高い方がフィルムの平面性に優れる。
【0071】また、フィルムの乾燥工程においては、ベ
ルトより剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を
0.5質量%以下にすることが好ましく、更に好ましく
は0.1質量%以下であり、最も好ましいのは0〜0.
01質量%以下である。
【0072】フィルム乾燥工程では、一般にロール懸垂
方式か、上記のようなピンテンター方式でフィルムを搬
送しながら乾燥する方式が採られる。フィルムを乾燥さ
せる手段は特に制限がなく、通常、熱風、赤外線、加熱
ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点からは熱風で
行うのが好ましい。乾燥温度は、40〜150℃の範囲
で3〜5段階に分け、段階的に高くしていくことが好ま
しく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を
良くするため更に好ましい。
【0073】溶液流延製膜法を通しての流延直後から乾
燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を空気とす
るのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス、アルゴン等の不活
性ガス雰囲気で行っても良い。ただし、乾燥雰囲気中の
蒸発溶媒の爆発限界に関する危険性は常に考慮されなけ
ればならない。
【0074】[巻き取り工程]本工程は、残留溶媒量が
2質量%以下となってからセルロースエステルフィルム
として巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%
以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得
ることができる。巻き取り方法は、一般に使用されてい
るものを用いればよく、具体的には、定トルク法、定テ
ンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプ
ログラムテンションコントロール法等があるので、それ
らを適宜使い分ければよい。
【0075】説明の順序が前後するが、更に言えば、本
発明を実施するにあたっては、フィルムの膜厚が所望の
大きさとなるよう、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイ
の口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用ベ
ルトの速度等をコントロールするのがよい。また、膜厚
を均一にする手段としては、膜厚検出手段を用いて、プ
ログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィ
ードバックさせて調節する方法を用いるのが好ましい。
【0076】セルロースエステルフィルムの膜厚は使途
によって異なるが、仕上がりフィルムのそれは、通常、
20〜200μmの範囲にあり、更に40〜120μm
の範囲が好ましく、特に液晶画像表示装置用フィルムと
しては40〜80μmの範囲が用いられる。
【0077】また偏光板は、一般的な方法で製造するこ
とができる。これには、例えば、セルロースエステルフ
ィルムをアルカリケン化処理し、ポリビニルアルコール
フィルムをヨウ素溶液中に浸漬、延伸して作製した偏光
膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液
を用いて貼り合わせる方法がある。なお、アルカリケン
化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上
させるため、セルロースエステルフィルムを高温の強ア
ルカリ液中に漬ける処理のことを言う。
【0078】また、セルロースエステルフィルムには、
ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防
止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、
接着層、下引き層等の各種機能層を付与することができ
る。そして、これら機能層は、塗布あるいは蒸着、スパ
ッタ、プラズマCVD、大気圧プラズマ処理等の方法で
設けることができる。このようにして得られた偏光板
が、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用い
て液晶表示装置が得られる。
【0079】本発明の技術にて得たセルロースエステル
フィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることに
より、薄膜化と共に、耐久性及び寸法安定性、光学的等
方性に優れた偏光板を提供することができる。更に、こ
うした偏光板あるいは位相差フィルムを用いた液晶表示
装置は、長期間にわたって安定した表示性能を維持でき
る。また、本発明の技術にて得たセルロースエステルフ
ィルムは、反射防止用フィルムあるいは光学補償フィル
ムの基材としても使用できる。
【0080】
【実施例】以下の条件で、本発明に係る技術を用いて実
際にセルロースエステルフィルムの試料を製造した(実
施例1〜3)。また、比較のために、温度条件や時間条
件を本発明で規定する範囲外の数値に設定して、同じく
セルロースエステルフィルムの試料を製造した(比較
例)。
【0081】 フィルムの搬送張力:100〜120N/m ドープの成分:セルローストリアセテート:100質量
部 メチレンクロライド:350質量部 エタノール:12質量部 トリフェニルフォスフェート:12質量部 チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社
製):0.5質量部 アロエジル200V(日本アロエジル社製):0.1質
量部 乾燥膜厚:40μm ※以上は実施例1〜3および比較例ともに共通
【0082】 温度条件および時間条件: 試料 T 実施例1 8℃ 2sec 4℃ 1.6sec 実施例2 8℃ 2sec 7.5℃ 1.6sec 実施例3 8℃ 0.5sec 4℃ 0.4sec 比較例 5℃ 2sec 7.5℃ 1.6sec ここで、Tは冷却ドラムの表面温度、Kはフィルム
剥離前にベルトが冷却ドラムに接する時間、Tはフィ
ルム剥離時の雰囲気露点、Kはフィルム剥離後にベル
トが流延位置に達するまでの時間である。
【0083】さて、上記条件にて製造した試料全てにつ
いて表面を子細に観察し、そのコンデンス状態すなわち
曇り具合を評価した。結果は次のとおりである。 試料 コンデンス状態の評価 実施例1 〇 実施例2 △ 実施例3 △ 比較例 × ここで、〇は曇りがなく極めて良好な状態、△は極めて
僅かながら曇りが認められるが許容できる状態、×は全
面が曇っており許容できない状態であることをそれぞれ
意味する。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、膜厚が20〜200μ
mのセルロースエステルフィルムを製造するに際して、
曇りの発生が効果的に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための参考図
【図2】ベルト流延方式の装置の概略図
【符号の説明】 1 フィルム 2 冷却ドラム 3 ベルト 4 流延ダイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 正一 兵庫県神戸市西区高塚台1−5−3 コニ カ株式会社内 Fターム(参考) 4F205 AA01 AG01 AH73 AM25 AR06 AR11 GA07 GB02 GC07 GN18 GN19 GN28 GN29

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト及び冷却ドラムを有する製膜装置
    の前記ベルト上にセルロースエステルを含むドープ組成
    物が流延され、この流延されたドープ組成物によるフィ
    ルムが前記冷却ドラム上の位置において前記ベルトから
    剥離されることにより、膜厚が20〜200μmのセル
    ロースエステルフィルムが製造される方法であって、 前記ベルト上のフィルムが前記冷却ドラムから離間する
    位置での前記冷却ドラムの表面温度は6℃以上であり、 かつ、前記フィルムが前記冷却ドラムに接してから剥離
    されるまでの時間が0.5〜20秒であることを特徴と
    するセルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 フィルムをベルトから剥離する時の雰囲
    気の露点が7℃以下であることを特徴とする請求項1に
    記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 フィルムの剥離されたベルトがドープ組
    成物の流延個所に到達するまでの時間は0.5〜30秒
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    のセルロースエステルフィルムの製造方法。
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