JP2002028943A - セルロースエステルフィルムの製造方法、無限移行する無端の金属支持体面を清掃する方法、セルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルム - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法、無限移行する無端の金属支持体面を清掃する方法、セルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルム

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JP2002028943A
JP2002028943A JP2000214130A JP2000214130A JP2002028943A JP 2002028943 A JP2002028943 A JP 2002028943A JP 2000214130 A JP2000214130 A JP 2000214130A JP 2000214130 A JP2000214130 A JP 2000214130A JP 2002028943 A JP2002028943 A JP 2002028943A
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cellulose ester
film
ester film
producing
metal support
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Kazuyuki Shimizu
和之 清水
Shoichi Kurokawa
正一 黒川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 横段の発生がほとんどないセルロースエステ
ルフィルム、特に偏光板用保護フィルムに有用なセルロ
ースエステルフィルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 溶液流延製膜方法によりセルロースエス
テルフィルムを製造する方法において、ダイからドープ
を無限移行する無端の金属支持体上に流延した流延膜に
対して上流及び/または下流側から当たる風をその最大
風速の水平方向成分が4m/sec以下となるようにし
て、且つ流延膜の幅手全体に当たる風の風速の偏差が±
20%以内となるようにすることを特徴とするセルロー
スエステルフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置ある
いは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の各
種の表示装置に有用な光学フィルムに用いられるセルロ
ースエステルフィルムに関し、特にこれらの表示装置に
用いられる偏光板用保護フィルム及び位相差フィルムに
有用なセルロースエステルフィルム製造方法に関し、ま
たその製造に使用する無限移行する無端の金属支持体表
面の清掃方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からの溶液流延製膜方法によるセル
ロースエステルフィルムの製造方法は図1に示したよう
な製造装置により行われている。図1は溶液流延製膜セ
ルロースエステルフィルム製造装置の概略図である。セ
ルロースエステルフィルムは、セルロースエステル溶液
(以下ドープとも呼ぶ)を鏡面処理された表面を有する
無限移行する無端の金属支持体(ステンレスベルトある
いはドラム)3(以降、金属支持体または単に支持体と
いうことがある)上にダイ2から流延し、ドープ膜(ウ
ェブとも呼ぶ)1を剥離ロール(剥離点)4で剥離し、
ロール乾燥装置5に導入し、ロール群6によってウェブ
1を引き回し、その間にウェブ1は導入された乾燥ガス
風7によって乾燥されセルロースエステルフィルムとし
て巻取り機8で巻き取られ製造される。通常乾燥には、
図1のようにウェブ1を多数の搬送ロールで千鳥状に通
し、乾燥風を当てるのが一般的であるが、米国特許第
2,319,053号明細書に記載のように、赤外線な
どで乾燥する方法もある。このウェブを直接ロールに掛
けるのではなくエアを吹き出してその圧でウェブを浮上
させることにより掛架体と非接触状態で移動させる方式
も開発されている(例えば特開昭55−135046号
公報など)。一方、ポリエステル、ポリプロピレンなど
のフィルムの機械強度等を改善するために行われる延伸
方法の一つにフィルムの両側縁部をクリップ等で固定し
て2〜6倍延伸するテンター方式がある。このテンター
方式を利用してフェノキシ樹脂等のフィルムから液晶表
示パネルの基板を製造する技術も開発されており(特開
昭59−211006号公報)、このフィルムにはセル
ロースアセテートフィルムも使用出来ることがその中に
示唆されており、特開平4−284211号、特開昭6
2−115035号公報に示されているようなテンター
乾燥装置によりセルローストリアセテートフィルムの製
造方法が開示されている。
【0003】図2は、テンター乾燥装置を有する溶液流
延製膜セルロースエステルフィルム製造装置の概略図で
ある。剥離ロール4で剥離されたウェブ1はテンター乾
燥装置9に導入されウェブの両端をクリップで把持され
て幅を保持するかまたは幅延伸を若干行って乾燥され
る。
【0004】セルロースエステルフィルム、特にセルロ
ーストリアセテートフィルムは従来ハロゲン化銀写真感
光材料にその支持体として使用されており、フィルムの
膜厚は90〜250μmであり、厚手のフィルムが使用
されていた。90μm未満の厚さのフィルムは製造がか
なり難しく、その条件設定が難しかった。
【0005】近年、液晶画像表示装置が発展し、セルロ
ースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムや有機エ
レクトロルミネッセンス用フィルムなどに使用されるよ
うになり、益々薄手のフィルムが求められるようになっ
て来た。しかしながら、薄手フィルムは、ダイから無限
移行する無端の金属支持体上に流延する際、また流延後
金属支持体から剥離する際、ウェブ(流延膜が金属支持
体上で乾燥し始めた膜をいう)は非常に柔らかいため製
膜中の外力に左右され易く、筋や横段等の欠陥が発生し
易い。このような欠陥が生じると、出来上がりのフィル
ムの品質は低下し液晶表示装置に悪影響を及ぼす虞があ
るばかりでなく、歩留まりが低下しコストを押し上げる
原因となり易い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】薄手から厚手までのセ
ルロースエステルフィルムを溶液流延製膜方法により製
造するに当たり、厚手のフィルムを製造するより、薄手
のフィルムを製造する方が大きな課題が多数あることが
わかり、特に、横段の発生が大きな課題であることがわ
かった。しかし、薄手フィルムの問題は厚手のそれにお
いても大なり小なり同様な課題であることがわかった。
本発明者らが鋭意検討した結果、ダイから金属支持体上
に流延する際の、流延膜(ドープそのものが溶液状態の
ため柔らかい)は、周囲の風の強さ、金属支持体の移行
速度と流延量との関係、金属支持体の走行性の正確さ、
流延膜の金属支持体に接する角度等に横段に関係してい
ることを見出した。またウェブを金属支持体から剥離す
る際においても、剥離張力、剥離する時の残留溶媒量、
金属支持体表面の汚れ具合によっても横段が発生するこ
とがわかった。
【0007】本発明の目的は、横段の発生がほとんどな
いセルロースエステルフィルム、特に偏光板用保護フィ
ルムに有用なセルロースエステルフィルムの製造方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成より
なる。
【0009】(1) 溶液流延製膜方法によりセルロー
スエステルフィルムを製造する方法において、ダイから
ドープを無限移行する無端の金属支持体上に流延した流
延膜に対して上流及び/または下流側から当たる風をそ
の最大風速の水平方向成分が4m/sec以下となるよ
うにして、且つ流延膜の幅手全体に当たる風の風速の偏
差が±20%以内となるようにすることを特徴とするセ
ルロースエステルフィルムの製造方法。
【0010】(2) 流延膜に当たる風の最大風速の水
平方向成分を2m/sec以下とすることを特徴とする
(1)に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
法。
【0011】(3) 流延膜に当たる風の最大風速の水
平方向成分を1m/sec以下とすることを特徴とする
(2)に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
法。
【0012】(4) ダイスリットの中心線と無限移行
する無端の金属支持体の接線とのなす角度を40〜90
°とすることを特徴とする(1)乃至(3)の何れか1
項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0013】(5) ダイから流延する流延膜の温度を
10〜50℃とすることを特徴とする(1)乃至(4)
の何れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製
造方法。
【0014】(6) 流延膜の線流速を10〜200m
/min、且つ線流速のバラツキを±15%以内とする
ことを特徴とする(1)乃至(5)の何れか1項に記載
のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0015】(7) 無限移行する無端の金属支持体の
線速度に対する流延膜の線流速のドラフト比を0.4〜
2.0とすることを特徴とする(1)乃至(6)の何れ
か1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
法。
【0016】(8) ダイスリットの先端と無限移行す
る無端の金属支持体面との間隙を200μm〜5mmと
することを特徴とする(1)乃至(7)の何れか1項に
記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0017】(9) ダイ及び流延膜周辺の雰囲気温度
を10〜40℃とすることを特徴とする(1)乃至
(8)の何れか1項に記載のセルロースエステルフィル
ムの製造方法。
【0018】(10) 流延膜が無限移行する無端の金
属支持体に接する位置を、該金属支持体を裏側から支え
ている流延用バックロールが該金属支持体に接触してい
る位置と同位置とすることを特徴とする(1)乃至
(9)の何れか1項に記載のセルロースエステルフィル
ムの製造方法。
【0019】(11) 前記流延用バックロールが無限
移行する無端の金属支持体を抱く角度を1〜6°とする
ことを特徴とする(10)に記載のセルロースエステル
フィルムの製造方法。
【0020】(12) 溶液流延製膜方法によりセルロ
ースエステルフィルムを製造する方法において、剥離点
より100〜150cm離れたところで遮蔽物のない状
態で、125〜250Hz成分の剥離音以外の雑音を差
し引いた音量を測定したとき、ウェブを剥離する際に発
する125〜250Hz成分の剥離音を90dB以下と
することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製
造方法。
【0021】(13) 125〜250Hz成分の剥離
音が90dBを超えたとき製造条件を調節することによ
って剥離音を90dB以下とすることを特徴とする(1
2)に記載セルロースエステルフィルムの製造方法。
【0022】(14) 125〜250Hz成分の剥離
音を80dB以下とすることを特徴とする(12)また
は(13)に記載のセルロースエステルフィルムの製造
方法。
【0023】(15) 溶液流延製膜方法によりセルロ
ースエステルフィルムを製造する方法において、剥離張
力を30〜240N/m幅として剥離した後、剥離点か
ら張力遮断手段までの工程距離間をウェブ長さにして最
小2m、最大90mとして、該工程距離間のウェブの張
力を維持しながら搬送することを特徴とするセルロース
エステルフィルムの製造方法。
【0024】(16) 前記工程距離間におけるウェブ
の残留溶媒量の変化を140質量%から10質量%の間
とすることを特徴とする(15)に記載のセルロースエ
ステルフィルムの製造方法。
【0025】(17) 張力遮断手段が、ドライブロー
ルであることを特徴とする(15)または(16)に記
載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0026】(18) 溶液流延製膜方法によりセルロ
ースエステルフィルムを製造する際、無限移行する無端
の金属支持体面を、用具を用いて清掃する方法におい
て、純水を用具に含ませて拭く操作及び有機溶媒を用具
に含ませて拭く操作を行うことを特徴とする無限移行す
る無端の金属支持体面を清掃する方法。
【0027】(19) 純水で拭く操作の後に、有機溶
媒で拭く操作を行うことを特徴とする(18)に記載の
無限移行する無端の金属支持体面を清掃する方法。
【0028】(20) 純水で拭く操作の後、純水が乾
かないうちに有機溶媒で拭く操作を行うことを特徴とす
る(19)に記載の無限移行する無端の金属支持体面を
清掃する方法。
【0029】(21) 有機溶媒がセルロースエステル
に対して溶解能を有するもの、セルロースエステルに対
して溶解能を有しないもの及びこれらの混合物から選ば
れるものであることを特徴とする(18)乃至(20)
の何れか1項に記載の無限移行する無端の金属支持体面
を清掃する方法。
【0030】(22) 前記セルロースエステルに対し
て溶解能を有する有機溶媒がメチレンクロライドまたは
酢酸メチルであることを特徴とする(21)に記載の無
限移行する無端の金属支持体面を清掃する方法。
【0031】(23) 前記セルロースエステルに対し
て、溶解能を有しない有機溶媒がメタノールまたはエタ
ノールであることを特徴とする(21)に記載の無限移
行する無端の金属支持体面を清掃する方法。
【0032】(24) 用具が、純水または有機溶媒に
対して吸収能を有し、且つ脱離繊維が起こりにくい長繊
維からなる不織布であることを特徴とする(18)乃至
(23)の何れか1項に記載の無限移行する無端の金属
支持体面を清掃する方法。
【0033】(25) (18)乃至(24)の何れか
1項に記載の方法で清掃した無限移行する無端の金属支
持体を用いて製膜することを特徴とするセルロースエス
テルフィルムの製造方法。
【0034】(26) (1)〜(17)または(2
5)に記載の方法により製造したセルロースエステルフ
ィルム。
【0035】(27) 厚さが20〜85μmであるこ
とを特徴とする(26)に記載のセルロースエステルフ
ィルム。
【0036】(28) (26)または(27)に記載
のセルロースエステルフィルムを表面鹸化加工した偏光
板用保護フィルム。
【0037】本発明を詳述する。始めに、本発明に係わ
る溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの
製膜方法について説明する。
【0038】先ず、セルロースエステルを有機溶媒に溶
解してドープを形成する。本発明に係るセルロースエス
テルフィルムに使用するセルロースエステルは、リンタ
ーパルプ、ウッドパルプ及びケナフパルプから選ばれる
セルロースを用い、それらに無水酢酸、無水プロピオン
酸、または無水酪酸を常法により反応して得られるもの
で、セルロースの水酸基に対する全アシル基の置換度が
2.5〜3.0のセルローストリアセテート、セルロー
スアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブ
チレート、及びセルロースアセテートプロピオネートブ
チレートである。本発明に係るセルロースエステルのア
セチル基の置換度は少なくとも1.5以上であることが
好ましい。セルロースエステルのアシル基の置換度の測
定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて
実施することが出来る。これらのセルロースエステルの
分子量は数平均分子量として、70,000〜300,
000の範囲が、フィルムに成形した場合の機械的強度
が強く好ましい。更に80,000〜200,000が
好ましい。通常、セルロースエステルは反応後の水洗等
処理後において、フレーク状となり、その形状で使用さ
れるが、粒子サイズは粒径を0.05〜2.0mmの範
囲とすることにより溶解性を早めることが出来好まし
い。
【0039】セルロースエステルのフレークに対する良
溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該フレークを攪拌
しながら溶解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で
行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点
以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同
9−95557号または同9−95538号公報に記載
の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379
号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法が
ある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで
次工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は
10〜35質量%程度である。
【0040】セルロースエステルに対する良溶媒として
の有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ア
ミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセ
ト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジ
オキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、メチレンクロライド、ブロモプロパン等
を挙げることが出来、酢酸メチル及びメチレンクロライ
ドが好ましく用いられる。しかし最近の環境問題から非
塩素系の有機溶媒の方が好ましい傾向にある。また、こ
れらの有機溶媒に、メタノール、エタノール、ブタノー
ル等の低級アルコールを併用すると、セルロースエステ
ルの有機溶媒への溶解性が向上したりドープ粘度を低減
出来るので好ましい。特に沸点が低く、毒性の少ないエ
タノールが好ましい。
【0041】ドープ中に、フタル酸エステル、リン酸エ
ステルなどの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マッ
ト剤などの添加剤を加えることにより、セルロースエス
テルフィルムに起因するハロゲン化銀写真感光材料や液
晶画像表示装置の性能を向上させることが出来る。
【0042】本発明において、セルロースエステルフィ
ルム中に可塑剤を含有させることが好ましい。用いるこ
との出来る可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エ
ステル系としては、トリフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフ
ェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート等、フタル酸エステル系としては、
ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジ
メチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフ
タレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリ
コール酸エステル系としては、トリアセチン、トリブチ
リン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタ
リルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコ
レート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を挙げる
ことが出来る。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併
用して用いてもよい。セルロースエステルに用いる場
合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50%以下
が、セルロースエステルフィルムの加水分解を引き起こ
しにくく、耐久性に優れるため好ましい。リン酸エステ
ル系の可塑剤比率は少ない方がさらに好ましく、フタル
酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だけを
使用することが特に好ましい。可塑剤のセルロースエス
テルに対する添加量としては、0.5〜30質量%が好
ましく、特に2〜15質量%が好ましい。
【0043】また、本発明において、セルロースエステ
ルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させることが好まし
く、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波
長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な
液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収
が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に、波
長370nmでの透過率が10%以下である必要があ
り、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下であ
る。本発明において、使用し得る紫外線吸収剤として
は、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾト
リアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベ
ンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、
ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色
の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。しか
しこれらには限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用
いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、ア
ルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有
機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから添加するか、また
は直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のよう
に有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロース
エステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散して
からドープに添加する。本発明において、紫外線吸収剤
の使用量はセルロースエステルに対し0.5〜20質量
%の範囲で添加することが出来、0.6〜5.0質量%
が好ましく、特に好ましくは0.6〜2.0質量%であ
る。
【0044】更に、本発明のセルロースエステルフィル
ム中には、酸化防止剤を含有させることが好ましく、酸
化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が
好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3
−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチ
ルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブ
チルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チ
オ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ
イト等を挙げることが出来る。特に2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−
ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例え
ば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等
のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安
定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セ
ルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0
%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0045】また本発明において、セルロースエステル
フィルム中に、微粒子のマット剤を含有するのが好まし
く、微粒子のマット剤としては、例えば二酸化ケイ素、
二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシ
ウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケ
イ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や
架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも
二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好
ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜1.
0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対
して0.005〜0.3質量%が好ましい。二酸化ケイ
素のような微粒子には有機物により表面処理されている
場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低
下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有機物とし
ては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、
シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均粒径が大き
い方がマット効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方
は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平
均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜14nm
である。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム
中では、通常、凝集体として存在しセルロースエステル
フィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させ
ることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としてはアエ
ロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、
300、R972、R972V、R974、R202、
R812,OX50、TT600等を挙げることが出
来、好ましくはAEROSIL200V、R972、R
972V、R974、R202、R812である。これ
らのマット剤は2種以上併用してもよい。2種以上併用
する場合、任意の割合で混合して使用することが出来
る。この場合、平均粒径や材質の異なるマット剤、例え
ばAEROSIL 200VとR972Vを質量比で
0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用出来
る。
【0046】これらの添加剤は、セルロースエステル溶
液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加
してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0047】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造方法は、膜厚が20〜250μmのセルロースエステ
ルフィルムに適用出来、特に薄手の20〜85μmのも
のには好ましく適用出来る。
【0048】次に、ドープを金属支持体上に流延する工
程、金属支持体上での乾燥工程及びウェブを金属支持体
から剥離する剥離工程について述べる。
【0049】金属支持体の表面は鏡面となっている。流
延工程は、上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプを
通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移
行する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの
金属支持体上に加圧ダイからドープを流延する工程であ
る。ダイスリットのドープの出るところを口金と呼ぶ
が、口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一に
し易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハン
ガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられ
る。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に
2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。膜
厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、
ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押
し出し圧力、金属支持体の速度等をコントロールするの
がよい。本発明において、口金部分から流延されるドー
プ膜を流延膜という。
【0050】金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(以
下、流延膜が金属支持体上で乾燥されている以降の膜を
ウェブと呼ぶ)を支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工
程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側及び支持体
裏側から加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱
液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱
する方法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好
ましい。また、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早い。金
属支持体の温度は全体が同じでも、位置によって異なっ
ていてもよい。
【0051】剥離工程は、無限移行する無端の金属支持
体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前
にウェブを剥離する工程で、その後ウェブは乾燥工程に
送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のこと
を剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロール
という。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの
残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難か
ったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離する
と、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。
通常、残留溶媒量が20〜150質量%でウェブの剥離
が行われる。製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来
るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが
出来る)として、残留溶媒量が多くとも剥離出来るゲル
流延法(ゲルキャスティング)がある。その方法として
は、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加
えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を
低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属
塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強く
することによって、剥離を早め製膜速度を上げることが
出来る。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウ
ェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離
張力による横段、ツレや縦スジが発生し易く、経済速度
と品質との兼ね合いで残留溶媒量を決められる。
【0052】本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表
せる。 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMの状態
のものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0053】更に本発明を詳述する。本発明の構成
(1)〜(11)は上記溶液流延製膜方法を用いてセル
ロースエステルフィルムを製造する方法において、流延
する際の流延膜に対する風の影響に関するものである。
上記のように通常の溶液流延製膜方法の金属支持体上で
の乾燥を行う際、ウェブ風による場合が多いが、セルロ
ースエステルフィルムの横段の発生の大きな原因の一つ
が、流延膜に当たる風によることが大きいことを本発明
者らは見出した。本発明において、流延膜への風を極力
小さくすること、すなわち最大風速の水平方向成分が
4.0m/sec以下となるようにすることが重要であ
り、好ましくは2.0m/sec以下、より好ましくは
1.0m/sec以下となるようにすることである。更
に最も望ましいのは風速を零にすることである。流延後
の乾燥には、ウェブ表面側から加熱風を当てることは不
可欠である。しかし、流延中の流延膜に風を当てている
わけでなくとも、若干の風が流延膜のところに廻り込
み、しかもこの風が不規則なため、流延膜をゆらし横段
の発生を助長する。この風を遮断する手段は、可能な手
段であれば制限なく用いることが出来るが、例えば、流
延から流延までの流延工程内での風の出入りのバランス
をとること、風の逃げ口を設けること、遮蔽板を流延膜
の付近に設けること等を行うことによって最大風速を抑
制することが出来る。また、横段の幅方向のバラツキ
は、流延膜に当たる風の幅手方向の偏差を±20%以内
に抑えるえることである。この偏差を小さくするのも上
記の手段によって可能である。
【0054】上記流延膜に風を極力当てないようにして
横段を減少させる方法に加えて、更なる横段を減少させ
る手段について述べる。
【0055】図3は流延部の拡大図である。図3につい
て説明する。ダイスリット(またはダイのスリット)1
1の中心線12と金属支持体3面とが交差するところの
接線13(接線が金属支持体面の場合もあり、この図で
は金属支持体面になっている)とのなす角をθとする。
また、10はダイ2中のドープ溜まりのマニホールド、
14は流延膜、15はスリットの先端の口金部分であ
る。本発明において、ダイスリット11の中心線12と
金属支持体3の接線13とのなす角度θを40〜90°
とすることによって、風による影響を少なくすることが
出来る。より好ましくは角度を60〜75°とするのが
よい。また、ダイスリット11から吐出する流延膜14
の温度を10〜50℃、好ましくは15〜35℃、より
好ましくは20〜30℃として流延するのがよい。そし
て、ドープの粘度としては1〜200Pa・secが好
ましく、より好ましくは10〜100Pa・sec、更
に好ましくは15〜80Pa・secで、流延膜14の
温度に応じて、変化させればよい。線流速(流延ドープ
膜の線速度)については、セルロースエステルフィルム
の製膜速度にもよるが、10〜200m/min、好ま
しくは15〜150m/min、且つ線流速のバラツキ
を±15%以下とすることにより、また上記の要件と組
み合わせることによって、流延膜の風による影響を少な
くすることが出来、横段を減少することが出来る。ま
た、金属支持体3の線速度(製膜速度)に対する流延膜
14の線速度の比をドラフト比というが、このドラフト
比を0.4〜2.0にするのが好ましく、より好ましく
は0.7〜1.5で、この範囲において、流延膜14を
安定させることが出来、風の影響を受け難くすることが
出来る。ドラフト比は大きすぎるとネックイン(ダイス
リットからの流延膜14が幅方向に縮小されて幅が狭く
なる現象)して求めるフィルム幅を得ることが出来ない
ばかりか、分子配向も起こり易く偏光板用保護フィルム
として好ましくない。流延膜14を安定させるもう一つ
のファクターとして、口金部分15と金属支持体3面と
の間隙dを変化させる方法がある。間隙dを広げ過ぎる
と流延膜14は風や金属支持体3の線速度等の外的な影
響を受け易くなる。もちろん狭すぎればダイスリット1
1と金属支持体3とが接触し易くなり危険である。好ま
しい間隙は200μm〜5mmであり、更に400μm
〜3mmが好ましい。ダイ2や流延膜14の周辺の雰囲
気温度は10〜40℃が好ましい。
【0056】通常、金属支持体がステンレスベルトの場
合、ステンレスベルトは二つのドラム(一つはステンレ
スベルトを移送させるドライブ用ドラム、もう一つはス
テンレスベルトの移送方向を微妙にコントロールし、張
力を掛けているテンションドラム)に支えられ張られて
いる。またステンレスベルトの裏側には該ステンレスベ
ルトを弛まない程度に支えている数本のバックロールが
ある。また、ドープを流延する位置(流延膜がステンレ
スベルトに接触する位置)はステンレスベルトのどの位
置で流延するかは通常決められていないが、ドライブ用
ドラムの上または該ドラムから若干下流に離れた位置の
場合が多い。図4はステンレスベルト、流延用バックロ
ール及びサポートロールを示す見取り図である。本発明
においては、図4の如く、ドライブ用ドラム20とテン
ション用ドラム21の2個のドラムによって張られてい
るステンレスベルト(金属支持体)3の、ドライブ用ド
ラム20の下流側の流延位置のステンレスベルトの裏側
に流延用バックロール22を設けるのが好ましく、詳し
くは流延膜がステンレスベルト3に着地する位置に該流
延用バックロール22を設けるのがよい。流延膜の着地
点を流延用バックロール22の位置にすることによって
ステンレスベルト3の振動の影響を防ぐことが出来る。
図5はステンレスベルトと流延用バックロールの抱き角
を示す図である。流延用バックロール22がステンレス
ベルト3の裏側から持ち上げてその位置でのステンレス
ベルト3をテンションをかけることによって、流延用バ
ックロール22の位置においてステンレスベルト3は若
干彎曲し、抱き角を有するようになる。この抱き角αを
1〜6°、より好ましくは1.5〜5°、更に好ましく
は2〜4°とすることによって特に薄手の流延膜14を
安定化し、流延時に発生し易い横段を抑制することが出
来る。なお、23は他のステンレスベルトを支えるバッ
クロールである。抱き角が6°を越えるとステンレスベ
ルトが弾性限界を超え変形する虞がある。
【0057】次に本発明の構成(12)〜(14)につ
いて説明する。本発明者らは、ウェブが剥離点で音を発
しながら剥離することに注目し、剥離する際の剥離音を
測定し、流延時に発生する横段、剥離時に発生する横
段、または剥離の困難性などを判断しようと考えた。製
膜機械からは製膜中かなりの雑音が発生しているから、
この雑音を除いた剥離音を測定しなければならない。雑
音が大き過ぎる場合は剥離音の測定値が取りにくいの
で、雑音が大きい場合には製膜機械の調整が必要とな
る。なお、剥離点付近での測定は、種々の危険が伴うの
で、100〜150cm離れたところで測定するのがよ
い。剥離音の測定には音量測定器、例えばリオン社製の
NA27のようなものを用いればよい。剥離音には特定
の周波数があり、125〜250Hz成分の剥離音を測
定するのが好ましい。本発明においては、剥離点から1
00〜150cm離れたところでの125〜250Hz
成分の雑音を50dB以下にするのが好ましい。その上
で、125〜250Hz成分の剥離音を90dB以下、
好ましくは80dB、更に好ましくは70dB以下にな
るようにすることにより剥離横段を抑制することが出来
るのである。125〜250Hz成分の剥離音が90d
Bを越えた時には、下記の種々の製造条件の少なくとも
一つを変更調整することによって剥離音を下げることが
出来る。本発明でいう種々の製造条件には、例えば、前
記構成(1)〜(11)で述べたような種々の条件や、
その他、製膜速度、剥離張力、剥離前での乾燥温度と温
度をかける時間、剥離時のウェブの温度、金属支持体面
の清掃等、製膜に関する全てのパラメータがある。
【0058】本発明の構成(15)〜(17)について
説明する。図6は剥離点から張力遮断までの工程を示す
見取り図である。本発明において、薄手のウェブ1を剥
離する際、剥離張力を30〜240N/m幅の範囲と
し、剥離張力の変動を±15%以内として剥離後、ま
た、ウェブ1を複数のサポートロール31によって搬送
し、剥離点4から張力遮断手段30までの工程距離間を
ウェブ1の長さとして最小2m、最大90mとして、こ
の工程距離間のウェブ1の張力を維持しながら搬送する
ことによって、剥離時または剥離後の搬送工程において
ウェブに発生する横段を抑制することが出来る。本発明
でいう張力遮断手段30について説明する。ウェブ1を
剥離張力により金属支持体3から剥離するが、その後の
工程においては剥離張力を最大とする張力で搬送され
る。ウェブ1は、残留溶媒量にもよるが柔らかくその張
力では強すぎて流延方向に伸ばされる虞があり、この張
力をある時点で遮断して、張力を変更したい時に、張力
を遮断して前と異なった張力にすることを張力遮断手段
をいう。本発明においては、剥離後においてウェブ1を
剥離張力以下で搬送したいので、上記の如く剥離後、ウ
ェブの長さとして、最小2m、最大で90mの間で張力
遮断手段を用いるのである。張力遮断する手段はドライ
ブロールのような動力によって一旦張力を遮断して次の
張力に変える手段である。ドライブロールとしては、ニ
ップロール、サクションロールであり、図6に示した張
力遮断手段30のような形の大きな駆動ロールとその前
後にニップする二つの小さなロールからなっているドラ
イブロールが通常用いられる。張力遮断手段30は張力
を遮断出来る手段であれば制限なく使用出来るが、本発
明においては特にドライブロールが好ましい。張力遮断
手段30が剥離点の付近にあると作業上危険であり、ウ
ェブ長さとして2m以上ある必要がある。また、剥離
後、90mを越えるような長い距離のところに張力遮断
手段30があったのでは、ウェブが変形を受け易くなる
ので好ましくない。該工程距離間をウェブの残留溶媒量
を、膜厚によるが、140質量%から10質量%の範囲
に保つように搬送することが好ましい。
【0059】本発明の構成(18)〜(24)は、剥離
横段を発生する原因となる金属支持体の汚れを清掃する
方法に関するものである。不用意に汚れた金属支持体を
使用したり、製膜を続けている間にウェブの剥離残りや
微細なカスなどによる汚れが蓄積して、汚れのところの
剥離が悪くなり不規則な横段を生じ易い。このような場
合、生産を中止して清掃し直す必要がある。また清掃が
的確に行われなかった場合には、再び横段が発生し易
く、清掃をやり直さなければならない。このようなトラ
ブルをなくすために開発された清掃方法は、基本的に純
水を含む用具を用いて拭く操作及び有機溶媒を含む用具
を用いて拭く操作を行うことによって解決することが出
来る。純水で拭く操作と有機溶媒で拭く操作は何れを先
に行ってもよいが、好ましくは、純水で拭く操作の後
に、水で濡れている間に有機溶媒で拭く操作をすること
により汚れを落とすことが出来る。有機溶媒としては、
セルロースエステルに対して溶解能を有するものでも、
溶解能を有しないものでもよく、またそれらを混合して
用いてもよい。その順序は、純水で拭いた後、何れの有
機溶媒で拭いてもよく、溶解能を有する有機溶媒で拭い
た後に、溶解能を有しないもので拭いても、その逆でも
よい。純水を使用するのは、水垢など水に含まれる不純
物がステンレスベルトに残らないようにするためであ
る。本発明において使用する用具は、長繊維を用いた不
織布が好ましく用いられる。長繊維としては、セルロー
スが好ましい。半導体関連機器等精密機械に使用する清
掃用のもので、水や有機溶媒を十分吸収し、有機溶媒に
溶解せず、且つ繊維が脱離しないようなものであれば制
限なく使用出来る。そのような市販品としては、旭化成
(株)製のベンコット・シリーズがあり、ベンコットM
−3やM−1を好ましく使用することが出来る。本発明
に使用するセルロースエステルに対して溶解能を有する
有機溶媒としては、前記ドープ組成のところで述べたセ
ルロースエステルを溶解する有機溶媒を挙げることが出
来、メチレンクロライド、酢酸メチルが好ましい。ま
た、セルロースエステルに対して溶解能を有しない有機
溶媒としては、低級脂肪族アルコール、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等が好まし
く、より好ましくはメタノールまたはエタノールであ
る。この他、アセトンやシクロヘキサンなども使用出来
る。本発明で使用する有機溶媒は工業用1級以上のグレ
ードのものであればよい。
【0060】本発明において、上記の方法により清掃し
た金属支持体を用いて製膜するセルロースエステルフィ
ルムの製造方法は横段を発生を極力抑制することが出来
る(構成25)。
【0061】以上の製造方法により製膜されたセルロー
スエステルフィルムは横段がなく優れた偏光板用保護フ
ィルムとして、液晶表示装置等の画像表示装置に好まし
く使用出来る(構成26〜28)。
【0062】本発明のセルロースエステルフィルムを偏
光板用保護フィルムとして偏光膜と貼り合わせることに
よって液晶表示装置に有用な偏光板を得ることが出来
る。本発明において、偏光板用保護フィルムは偏光膜と
貼り合わせることが出来るようにセルロースエステルフ
ィルムの少なくとも片面を処理加工したフィルムをい
い、処理加工としてはアルカリ液で表面を鹸化する加
工、接着層の塗設加工等が挙げられる。本発明において
はアルカリ液での表面鹸化加工したものが好ましい。
【0063】本発明の偏光板用保護フィルムとしての表
面鹸化加工について説明する。先ず、本発明のセルロー
スエステルフィルム表面を鹸化処理する。セルロースエ
ステルフィルムの鹸化処理条件の1例を示すと、40〜
60℃の2mol/lのNaOH水溶液に、約30〜1
50秒浸漬後、常温水で約30〜60秒水洗し、更に1
〜5質量%HClで約30〜60秒中和し、その後常温
水で約30〜60秒水洗して、約80℃で乾燥する条件
であるが、これらに限定されない。
【0064】本発明に係る偏光膜は、例えばポリビニル
アルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の
ポリビニルアルコール系ポリマーの水溶液を製膜し、こ
れを一軸延伸させてヨウ素や二色性色素で染色したもの
を更に一軸延伸してから、ホウ素化合物のような架橋剤
で耐水性処理を行ったものである。
【0065】本発明に係る偏光板は上記偏光膜の少なく
とも片面に、アルカリ鹸化処理した本発明の偏光板用保
護フィルムを、接着剤液を塗布して、貼り合わせて形成
した。接着剤液としては、ポリビニルアルコール水溶
液、ポリビニルブチラール溶液等のポリビニルアルコー
ル系の接着剤液やブチルアクリレートなどのビニル重合
系ラテックス等を挙げることが出来るが、好ましくは完
全鹸化ポリビニルアルコール水溶液である。
【0066】
【実施例】本発明を下記実施例により詳細に説明する
が、これらに限定されない。
【0067】実施例1 本実施例1は請求項1〜11の発明に係るものである。
【0068】アセチル置換度2.88のセルローストリ
アセテート(数平均分子量150,000)100質量
部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ社製)0.5質量部、チヌビン171(チバ・スペシ
ャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量部、アエロジル
200V(日本アエロジル(株)製)0.1質量部、エ
チルフタリルエチルグリコレート2質量部、トリメチル
フォスフェイト10質量部をメチレンクロライド450
質量部とエタノール50質量部を加圧密閉容器に投入
し、60℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌し
ながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得
た。このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.2
44を使用して濾過し、更に日本精線(株)製のファイ
ンメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポ
アNF(絶対濾過精度50μm、15μm、5μmの順
に順次濾過精度を上げて使用)を使用して濾過し製膜に
供した。なお、30℃におけるドープ粘度は20Pa・
secであった。乾燥後の膜厚が40μmになるよう
に、下記表1に示すような条件で流延製膜した。ステン
レスベルト上での乾燥は、ウェブの移送方向に向けて4
5℃の乾燥風を当てて行った。剥離時の残留溶媒量を7
5質量%以上として剥離し、剥離後サポートロールで搬
送し、特開昭62−115035号公報に記載してある
ようなテンター乾燥装置に導入し、70〜100℃で幅
保持をしながら乾燥し、続いてロール群乾燥装置で11
0〜130℃で乾燥し、25℃に冷却して巻き取り、セ
ルローストリアセテートフィルムを得た。これらのセル
ロースエステルフィルムの横段を評価し、その結果を表
1に示す。更にセルロースエステルフィルムを偏光板用
保護フィルムを作製した。各セルローストリアセテート
フィルムを40℃の2.5mol/lの水酸化ナトリウ
ム水溶液で60秒間アルカリ処理し、更に水洗乾燥し
て、表面を鹸化処理した偏光板用保護フィルムを作製し
た。なお、偏光板用保護フィルムに対する評価はセルロ
ースエステルフィルムのもので代用される。
【0069】(横段の評価)製膜した各セルローストリ
アセテートから長手方向から3m(全幅)の試料を取り
出し試料1〜12を準備した。一方40Wの蛍光灯を8
本10cm間隔に並べた照明板を準備した。一枚の試料
を点灯した該照明板の下1.5mのところに置き、フィ
ルムの平面性を観察した。横段は規則的な場合もある
が、不規則のものもあるので、あらゆる角度から全面積
を観察し、下記のようなランクで評価した。
【0070】 A:全く横段がない B:1個だけ弱い横段らしきものがある C:弱い横段らしきものが2〜3個ある D:弱い横段らしきものが4〜8個ある E:規則性のある弱い横段らしきものが多数ある F:はっきりとした横段が1〜3個ある G:はっきりした横段が4〜8個ある H:規則性のあるはっきりした横段が多数ある。
【0071】
【表1】
【0072】(結果)表1からセルロースエステルフィ
ルムの横段に対して、ダイの上流側及び下流側の風速の
大小及びその偏差の影響が大きく、更にダイスリット角
度、流延膜温度、線流速、ドラフト比等の工程条件によ
って改善することがわかる。
【0073】実施例2 本実施例2は請求項12〜14の発明に係るものであ
る。
【0074】実施例1の試料No.1、4及び11の剥
離時の250Hzの音をリオンNA27を用いて測定
し、250Hzの雑音を差し引いた剥離音を測定した。
その後は実施例1と同様に乾燥してセルローストリアセ
テートフィルムを得た。試料11について、流延膜への
最大風速を調整し、上流側の風速を2.5m/sec、
幅手方向の偏差を±10、また下流側の風速を2.3m
/sec、幅手方向の偏差を±10と変更して試料N
o.13とし同様に剥離音を測定した。剥離後の乾燥に
ついては、実施例1と同様に横段の観察及び評価を行
い、結果を表2に示した。
【0075】
【表2】
【0076】(結果)表2から、剥離音の大きさにより
横段が変化することがわかり、大きい剥離音のNo.1
1の条件を変更することによって、剥離音を低下させる
ことが出来、更に横段が改善されたことがわかる。ウェ
ブの剥離音の250Hz成分を調べることにより、セル
ロースエステルフィルムの横段を事前に察知することが
出来るようになった。
【0077】実施例3 本実施例3は請求項16〜18の発明に係るものであ
る。
【0078】実施例1と同様な濾過済みのドープを、表
3に示すような仕上がり膜厚になるようにステンレスベ
ルト上に流延し、45℃の乾燥風で乾燥し、ウェブをス
テンレスベルトから剥離する際、表3に示す残留溶媒量
及び剥離張力で剥離し、ドライブロールを剥離点からウ
ェブの長さとして、表3に示す工程間距離の位置に設置
して張力遮断し、その後に特開昭62−115035号
公報に記載してあるようなテンター乾燥装置に導入し、
70〜100℃で幅保持をしながら乾燥し、続いてロー
ル群乾燥装置で110〜130℃で乾燥し、25℃に冷
却して巻き取り、セルローストリアセテートフィルムを
得た。これらのセルロースエステルフィルムの実施例1
と同様に横段を評価し、その結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】(結果)表3から、剥離張力と工程間距離
の最適条件を選択することにより、フィルムの横段のな
い条件を得ることが出来た。
【0081】実施例4 本実施例4は請求項19〜26の発明に係るものであ
る。
【0082】アセチル基の置換度2.00、プロピオニ
ル基の置換度0.80、数平均分子量100,000の
セルロースアセテートプロピオネート100質量部、ト
リメチルフォスフェート10質量部、チヌビン326
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量
部、チヌビン171(チバスペシャルティ・ケミカルズ
社製)0.5質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−ク
レゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕0.5質量部、アエロジル200V
(日本アエロジル(株)製)0.1質量部、酢酸メチル
350質量部、エタノール50質量部を加圧密閉容器に
投入し、75℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹
拌しながらセルロースアセテートプロピオネート(以
降、CAPと略すことがある)を完全に溶解させCAP
ドープを得た。実施例1と同様に濾過したセルロースト
リアセテートドープと、別に作製した上記のCAPドー
プを実施例1と同様な濾過を行ったCAPドープを使用
し、実施例1の試料No.12の条件で流延を48時間
連続して行った。連続製膜した後の汚れたステンレスベ
ルトを表4に示すように清掃した。次に、その都度(試
料No.19乃至28の何れかごと)、実施例1の試料
No.7の条件で流延した。ステンレスベルト上での乾
燥は、ウェブの移送方向に向けて45℃の乾燥風を当て
て行った。剥離時の残留溶媒量を75質量%以上として
剥離し、剥離後サポートロールで搬送し、特開昭62−
115035号公報に記載してあるようなテンター乾燥
装置に導入し、70〜100℃で幅保持をしながら乾燥
し、続いてロール群乾燥装置で110〜130℃で乾燥
し、25℃に冷却して巻き取り、セルローストリアセテ
ートフィルムを得た。これらのセルロースエステルフィ
ルムの横段を実施例1と同様に評価し、その結果を表4
に示す。なお、表4中略号について説明する。TAC:
セルローストリアセテートフィルム、CAP:セルロー
スアセテートプロピオネートフィルム、MC:メチレン
クロライド、EA:酢酸メチル、EtOH:エタノー
ル、MeOH:メタノール、丸数字:番号順に操作を行
ったことを示す、×:操作を行わなかったことを示す、
→:は次の操作へを示す。
【0083】
【表4】
【0084】(結果)表4から、汚れを純水及び有機溶
媒により拭いて清掃する方法を選択することにより、そ
の金属支持体を使用して再度製膜したセルロースエステ
ルフィルムの横段の発生のない条件を得ることが出来
た。
【0085】
【発明の効果】横段のない平面性に優れた液晶表示装置
や有機エレクトロルミネッセンス等画像表示装置に有用
なセルロースエステルフィルムを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液流延製膜セルロースエステルフィルム製造
装置の概略図。
【図2】テンター乾燥装置を有する溶液流延製膜セルロ
ースエステルフィルム製造装置の概略図。
【図3】流延部の拡大図。
【図4】ステンレスベルト、流延用バックロール及びサ
ポートロールを示す見取り図。
【図5】ステンレスベルトとバックロールの抱き角を示
す図。
【図6】剥離点から張力遮断までの工程を示す見取り
図。
【符号の説明】
1 ウェブ 2 ダイ 3 金属支持体(ステンレスベルト) 4 剥離ロール(剥離点) 5 ロール乾燥装置 9 テンター乾燥装置 11 ダイスリット 12 ダイスリットの中心線 13 金属支持体の接線 14 流延膜 20 ドライブ用ドラム 22 流延用バックロール 30 張力遮断手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 2H049 BB33 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 FC01 FC22 GA16 LA11 4F205 AA01 AC05 AG01 AH73 AM10 AM32 AR06 AR07 AR08 AR12 AR20 GA07 GB02 GC07 GE02 GE03 GE10 GF24 GF46 GN13 GN24 GN29

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液流延製膜方法によりセルロースエス
    テルフィルムを製造する方法において、ダイからドープ
    を無限移行する無端の金属支持体上に流延した流延膜に
    対して上流及び/または下流側から当たる風をその最大
    風速の水平方向成分が4m/sec以下となるようにし
    て、且つ流延膜の幅手全体に当たる風の風速の偏差が±
    20%以内となるようにすることを特徴とするセルロー
    スエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 流延膜に当たる風の最大風速の水平方向
    成分を2m/sec以下とすることを特徴とする請求項
    1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 流延膜に当たる風の最大風速の水平方向
    成分を1m/sec以下とすることを特徴とする請求項
    2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 ダイスリットの中心線と無限移行する無
    端の金属支持体の接線とのなす角度を40〜90°とす
    ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載
    のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 ダイから流延する流延膜の温度を10〜
    50℃とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか
    1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 流延膜の線流速を10〜200m/mi
    n、且つ線流速のバラツキを±15%以内とすることを
    特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のセルロ
    ースエステルフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 無限移行する無端の金属支持体の線速度
    に対する流延膜の線流速のドラフト比を0.4〜2.0
    とすることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に
    記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 ダイスリットの先端と無限移行する無端
    の金属支持体面との間隙を200μm〜5mmとするこ
    とを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のセ
    ルロースエステルフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 ダイ及び流延膜周辺の雰囲気温度を10
    〜40℃とすることを特徴とする請求項1乃至8の何れ
    か1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 流延膜が無限移行する無端の金属支持
    体に接する位置を、該金属支持体を裏側から支えている
    流延用バックロールが該金属支持体に接触している位置
    と同位置とすることを特徴とする請求項1乃至9の何れ
    か1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記流延用バックロールが無限移行す
    る無端の金属支持体を抱く角度を1〜6°とすることを
    特徴とする請求項10に記載のセルロースエステルフィ
    ルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 溶液流延製膜方法によりセルロースエ
    ステルフィルムを製造する方法において、剥離点より1
    00〜150cm離れたところで遮蔽物のない状態で、
    125〜250Hz成分の剥離音以外の雑音を差し引い
    た音量を測定したとき、ウェブを剥離する際に発する1
    25〜250Hz成分の剥離音を90dB以下とするこ
    とを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 125〜250Hz成分の剥離音が9
    0dBを超えたとき製造条件を調節することによって剥
    離音を90dB以下とすることを特徴とする請求項12
    に記載セルロースエステルフィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 125〜250Hz成分の剥離音を8
    0dB以下とすることを特徴とする請求項12または1
    3に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  15. 【請求項15】 溶液流延製膜方法によりセルロースエ
    ステルフィルムを製造する方法において、剥離張力を3
    0〜240N/m幅として剥離した後、剥離点から張力
    遮断手段までの工程距離間をウェブ長さにして最小2
    m、最大90mとして、該工程距離間のウェブの張力を
    維持しながら搬送することを特徴とするセルロースエス
    テルフィルムの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記工程距離間におけるウェブの残留
    溶媒量の変化を140質量%から10質量%の間とする
    ことを特徴とする請求項15に記載のセルロースエステ
    ルフィルムの製造方法。
  17. 【請求項17】 張力遮断手段が、ドライブロールであ
    ることを特徴とする請求項15または16に記載のセル
    ロースエステルフィルムの製造方法。
  18. 【請求項18】 溶液流延製膜方法によりセルロースエ
    ステルフィルムを製造する際、無限移行する無端の金属
    支持体面を、用具を用いて清掃する方法において、純水
    を用具に含ませて拭く操作及び有機溶媒を用具に含ませ
    て拭く操作を行うことを特徴とする無限移行する無端の
    金属支持体面を清掃する方法。
  19. 【請求項19】 純水で拭く操作の後に、有機溶媒で拭
    く操作を行うことを特徴とする請求項18に記載の無限
    移行する無端の金属支持体面を清掃する方法。
  20. 【請求項20】 純水で拭く操作の後、純水が乾かない
    うちに有機溶媒で拭く操作を行うことを特徴とする請求
    項19に記載の無限移行する無端の金属支持体面を清掃
    する方法。
  21. 【請求項21】 有機溶媒がセルロースエステルに対し
    て溶解能を有するもの、セルロースエステルに対して溶
    解能を有しないもの及びこれらの混合物から選ばれるも
    のであることを特徴とする請求項18乃至20の何れか
    1項に記載の無限移行する無端の金属支持体面を清掃す
    る方法。
  22. 【請求項22】 前記セルロースエステルに対して溶解
    能を有する有機溶媒がメチレンクロライドまたは酢酸メ
    チルであることを特徴とする請求項21に記載の無限移
    行する無端の金属支持体面を清掃する方法。
  23. 【請求項23】 前記セルロースエステルに対して、溶
    解能を有しない有機溶媒がメタノールまたはエタノール
    であることを特徴とする請求項21に記載の無限移行す
    る無端の金属支持体面を清掃する方法。
  24. 【請求項24】 用具が、純水または有機溶媒に対して
    吸収能を有し、且つ脱離繊維が起こりにくい長繊維から
    なる不織布であることを特徴とする請求項18乃至23
    の何れか1項に記載の無限移行する無端の金属支持体面
    を清掃する方法。
  25. 【請求項25】 請求項18乃至24の何れか1項に記
    載の方法で清掃した無限移行する無端の金属支持体を用
    いて製膜することを特徴とするセルロースエステルフィ
    ルムの製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜17または25に記載の方
    法により製造したセルロースエステルフィルム。
  27. 【請求項27】 厚さが20〜85μmであることを特
    徴とする請求項26に記載のセルロースエステルフィル
    ム。
  28. 【請求項28】 請求項26または27に記載のセルロ
    ースエステルフィルムを表面鹸化加工した偏光板用保護
    フィルム。
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