JP2002307460A - セルロースエステルフィルムの製造装置 - Google Patents
セルロースエステルフィルムの製造装置Info
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Abstract
いて、高速搬送でのエンドレスベルトの振動を抑制し、
安定した製膜を可能とする。セルロースエステルフィル
ムの面品質及び光学特性を改善し、レターデーション値
のばらつきが少なくかつ目標とするレターデーション値
を持つ品質の優れたセルロースエステルフィルムを効率
よく、常時、高品質で生産することを可能とするフィル
ムの製造装置を提供する。 【解決手段】 セルロースエステル溶液を流延して膜を
形成する駆動エンドレスベルト2が掛け渡された一対の
ドラム1,1同士の中間に配置されかつエンドレスベル
ト2の上部移行部2a及び下部移行部2bをそれぞれ裏
側より支えている複数のサポートロール3のうち、相互
に隣り合うサポートロール3,3同士の間の距離を0よ
り大きく、5m以下の範囲内のものとする。
Description
護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムの
製造装置に関するものである。
セッサーやパーソナルコンピュータ等の表示装置として
広く使用されているが、この液晶画像表示装置の基本的
な構成は、液晶セルの両側に偏光板を設けたものであ
る。偏光板は、一定方向の偏波面の光だけを通すので、
液晶画像表示装置においては、電界による液晶表示装置
の配向の変化を可視化させる重要な役割を担っており、
偏光板の性能によって液晶画像表示装置の性能が大きく
左右される。
モニタとしての大画面・高画質化の為の開発が進んでい
る。それに伴って、液晶用偏光板の保護フィルムに対す
る要求も厳しくなっている。特に保護フィルムの表面粗
さに伴って発生する面品質及び光学特性の問題の改善が
強く望まれている。
護フィルムとしては、トリアセチルセルロースのような
セルロースエステルフィルムが、その複屈折性が小さい
ことから適しており、よく用いられている。
向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光
フィルムの片面または両面に透明な樹脂層を積層した構
成を有しているが、トリアセチルセルロースフィルムの
保護フィルムがこの透明な樹脂層として、良く使われて
いる。
する傾向にあるため、偏光板に使用せられるセルロース
エステルフィルムも、より薄手のフィルムが必要とされ
てきている。ここで、従来のハロゲン化銀写真感光材料
のフィルムベースに使用されているセルロースエステル
フィルムは、例えば図3に示すような通常の溶液流延製
膜装置を用いて製造される。
る良溶媒及び溶解しない貧溶媒の混合溶媒に溶解し、こ
れに可塑剤や紫外線吸収剤を添加してセルロースエステ
ル溶液(以下「ドープ」という)を調製し、ドープを鏡
面処理された表面を有する駆動ステンレス製エンドレス
ベルト(13)上にダイ(12)から流延してドープ膜
すなわちウェブ(11)を得、ウェブ(11)がエンド
レスベルト(13)の下面に至り、ほぼ一巡したところ
で、剥離ロール(14)により剥離し、側面から見て千
鳥配置せられた複数の移送ロール(20)で移送して乾
燥装置(15)に導入する。乾燥装置(15)内では上
下に交互に配置せられた複数の乾燥用ロール(16)に
よってウェブ(11)が蛇行せられ、その間にウェブ
(11)は乾燥装置(15)の底の前寄り部分から吹込
まれ、乾燥装置(15)の天井の後寄り部分から排出せ
られる乾燥ガス(17)によって乾燥され、セルロース
エステルフィルム(21)として巻取機(18)に巻き
取られる。上記乾燥装置(15)は乾燥ガスを用いるも
のであるが、赤外線で乾燥するようにしてもよい。また
図示は省略したが、ウェブ(11)が剥離ロール(1
4)により剥離されてから乾燥装置(15)に導入せら
れる間に、ウェブの両側縁部をクリップで把持して延伸
するとともにウェブを乾燥するテンター乾燥装置(図示
略)が介在せられることもある。
の特徴が評価されて、液晶表示装置の開発が積極的に進
められているのに伴い、これに用いる光学特性の優れた
セルロースエステルフィルムに対する需要がますます高
まっている。
特性の1つとして、レターデーションがある。レターデ
ーションとは、複屈折率とフィルム厚さの積で表わされ
るが、レターデーションは、セルロースエステルフィル
ムを組み込んだ液晶表示素子の補償に大きく関連し、セ
ルロースエステルフィルムのレターデーションのズレが
生じ、このズレが一定範囲を超えると、液晶表示素子の
十分な補償ができなくなる問題がある。特に幅方向の目
標レターデーション値からのズレが大きくなると、液晶
表示素子の大きさに合わせて切り出されるセルロースエ
ステルフィルム1枚の中でも、部分的に異なる光学特性
のため均一な画面表示ができないという問題や、切り出
されたセルロースエステルフィルム間で光学特性が異な
るという問題等が顕著になる。
流延製膜法により特にセルロースエステルフィルムを製
造する装置において、エンドレスベルトを保持する前後
一対のドラム同士の中間に配置されかつエンドレスベル
トの上部及び下部移行部の裏面にそれぞれ接触する複数
のサポートロールの配置に関して、使用するベルトの長
さと搬送速度に対して必要なサポートロールの距離を規
定することにより、高速搬送でのベルトの振動を抑制
し、安定した製膜を可能として、セルロースエステルフ
ィルムの面品質及び光学特性を改善することができ、レ
ターデーション値のばらつきが少なくかつ目標とするレ
ターデーション値を持つ品質の優れたセルロースエステ
ルフィルムを効率よく、常時、高品質で製造することを
可能とするセルロースエステルフィルムの製造装置を提
供しようとするにある。
ロースエステルフィルムの製造装置は、溶液流延製膜法
によりセルロースエステルフィルムを製造する装置にお
いて、セルロースエステル溶液を流延して膜を形成する
駆動エンドレスベルトが掛け渡された一対のドラム同士
の中間に配置されかつエンドレスベルトの上部及び下部
移行部をそれぞれ裏側より支えている複数のロールのう
ち、相互に隣り合うサポートロール同士の間の距離が0
より大きく、5m以下の範囲内であることを特徴として
いる。
ースエステルフィルムの製造装置において、相互に隣り
合うサポートロール同士の間の距離が、2m〜ロール周
長の整数倍の−5%の長さ、又はロール周長の整数倍の
+5%の長さ〜5mの範囲であることを特徴としてい
る。
ースエステルフィルムの製造装置において、エンドレス
ベルトの上部移行部を裏側より支えているサポートロー
ルのうち相互に隣り合うサポートロール同士の間の距離
が、エンドレスベルトの下部移行部を裏側より支えてい
るサポートロールのうち相互に隣り合うサポートロール
同士の間の距離よりも狭いものであることを特徴として
いる。
エステルフィルムは光学等方性に優れており、液晶表示
装置の部材とりわけ偏光板用保護フィルムに適してい
る。
エステルフィルムの膜厚は、例えば20〜200μmの
範囲のものである。
は、通常、駆動ステンレス製エンドレスベルト等の駆動
金属製エンドレスベルトを使用する。
るセルロースエステルは、リンターパルプ、ウッドパル
プ及びケナフパルプの群から選ばれたセルロースを用
い、セルロースに無水酢酸、無水プロピオン酸または無
水酪酸を常法により反応して得られるものであり、なか
でもセルロースの水酸基に対する全アシル基の置換度が
2.5〜3.0のセルローストリアセテート、セルロー
スアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブ
チレート及びセルロースアセテートプロピオネートブチ
レートが好ましい。上記セルロースエステルのアセチル
基の置換度は、少なくとも1.5であることが好まし
い。セルロースエステルのアシル基の置換度の測定方法
としては、ASTMのD−817−91に準じて実施す
ることができる。セルロースエステルの分子量は、数平
均分子量として70,000〜300,000、とくに
80,000〜200,000が、フィルムに成形した
場合の機械的強度上好ましい。通常、セルロースエステ
ルは反応後の水洗等処理後においてフレーク状となり、
その形状で使用されるが、粒径を0.05〜2.0mm
の粒状とすることにより溶解性を早めることができる。
酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤及びマット剤などを含有させることによ
り、セルロースエステルフィルムに起因するハロゲン化
銀写真感光材料や液晶画像表示装置の性能を向上させる
ことができる。また、セルロースエステルフィルム中に
は染料等を含有させてもよい。この他、上記セルロース
エステルフィルム中に帯電防止剤、難燃剤、滑剤及び油
剤等も加える場合もある。これらの添加剤は、セルロー
スエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶
媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加
してもよい。
る。セルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機
溶媒に溶解釜中でフレーク状のセルロースエステルを攪
拌しながら溶解してドープを形成する。溶解方法として
は、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主
溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−955
44号、特開平9−95557号及び特開平9−955
38号の各公報に開示されているような冷却溶解法で行
う方法並びに特開平11−21379号公報開示されて
いるような高圧で行う方法等がある。溶解後ドープを濾
材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。ドープ中
のセルロースエステルの濃度は10〜35%程度であ
り、好ましくは15〜25%である。有用なポリマーを
ドープ中に含有させるには、予め有機溶媒に該ポリマー
を溶解してから添加してもよいし、ドープに直接添加し
てもよい。この場合、ポリマーがドープ中で白濁した
り、相分離したりしないように添加する。
の有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ア
ミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセ
ト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジ
オキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、塩化メチレン及びブロモプロパン等を挙
げることができる。なかでも酢酸メチル、アセトンまた
は塩化メチレンが好ましいが、最近の環境問題から非塩
素系の有機溶媒の方が好ましい。また、有機溶媒に、メ
タノール、エタノール及びブタノール等の低級アルコー
ルを併用すると、セルロースエステルの有機溶媒への溶
解性が向上したり、ドープ粘度が低減できるので好まし
く、なかでも沸点が低く、毒性の少ないエタノールがと
くに好ましい。ドープに使用する有機溶媒は、セルロー
スエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが
生産効率の点で好ましく、良溶剤と貧溶剤の混合比率の
好ましい範囲は、良溶剤が70〜98%であり、貧溶剤
が2〜30%である。良溶剤とは、使用するセルロース
エステルを単独で溶解するものをいい、貧溶剤とは、単
独では溶解しないものをいう。ドープに使用する貧溶剤
としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、
シクロヘキサン、アセトン及びシクロヘキサノン等を挙
げることができる。有用なポリマーに対する有機溶媒と
しては、セルロースエステルの良溶媒が選定される。前
記のように低分子可塑剤を使用する場合には、通常の添
加方法で行うことができるが、ドープ中に直接添加して
もよく、予め有機溶媒に溶解してからドープ中に注ぎ入
れてもよい。
により、異物、とくに液晶画像表示装置において画像と
認識しやすい異物は除去しなければならない。偏光板用
保護フィルムの品質は、この濾過によって決まるといっ
てよい。濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい
方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾材の
目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなけ
ればならないので、生産性を低下させるという問題があ
る。このため、ドープに使用する濾材は、絶対濾過精度
0.001〜0.008mmのものが好ましく、なかで
も0.003〜0.006mmがとくに好ましい。
造工程のうち、ドープを駆動エンドレスベルト上に流延
する工程、エンドレスベルト上での乾燥工程及びウェブ
をエンドレスベルトから剥離する剥離工程及びウェブを
乾燥する工程について述べる。
に、ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイ4
に送液し、流延位置において、駆動エンドレスベルト2
上に加圧ダイ4からドープを流延する工程である。
一対の駆動ドラム1及び従動ドラム1に掛け渡されされ
ており、図示しない駆動発生手段によりエンドレスベル
ト2が一定方向に回動するようになされている。エンド
レスベルト2が掛け渡された前後一対のドラム1,1同
士の中間には、エンドレスベルト2の上部移行部2a及
び下部移行部2bをそれぞれ裏側より支えている複数の
サポートロール3がその長軸とドラム1,1の長軸が平
行となるように配置され、エンドレスベルト2が回動自
在にかつ緊張状態に保持している。そして、ダイ4から
エンドレスベルト2の上部移行部2a上に流延させられ
たセルロースエステル溶液は、エンドレスベルト2上で
乾燥されかつ図の矢印方向に連続的に移送され、同エン
ドレスベルト2の下部移行部2bを経て、再び流延側の
ドラム1の近くに戻ってきたところで、剥離ロール6に
よりエンドレスベルト2上から剥離され、後の乾燥工程
に送られる。
としては、流延されたウェブの膜厚をブレードで調節す
るドクターブレード法及び逆回転するロールで調節する
リバースロールコーターによる方法等があるが、口金部
分のスリット形状を調整できて膜厚を均一にし易い点で
加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダ
イやTダイがあるが、いずれも好ましく用いられる。製
膜速度を上げるためには、加圧ダイをエンドレスベルト
上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよ
い。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ
濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダ
イの押し出し圧力及びエンドレスベルトの速度等をコン
トロールするのがよい。
ブをエンドレスベルト上で加熱し、溶媒を蒸発させる工
程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側及びエンド
レスベルトの裏側から温風を送る方法、エンドレスベル
トの裏側から加熱液体により加熱する方法、輻射熱によ
りウェブ側からとエンドレスベルトの裏側から加熱する
方法、これらを組み合わせる方法等がある。当然のこと
ながら、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥がはやい。エンド
レスベルトの温度は全体が同じであってもよいし、位置
によって異なっていてもよい。
媒を蒸発させ、エンドレスベルトが一周する前にウェブ
を剥離する工程であり、この工程後ウェブは乾燥工程に
送られる。エンドレスベルトからウェブを剥離する位置
のことを剥離点といい、剥離を助けるロールを剥離ロー
ルという。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブ
の残留溶媒量があまり大き過ぎると剥離し難かったり、
逆にエンドレスベルト上で充分に乾燥させてから剥離す
ると、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある
ので、残留溶媒量が10〜150%でウェブを剥離す
る。
溶液を流延して膜を形成する駆動エンドレスベルトが掛
け渡された一対のドラム同士の中間に配置されかつエン
ドレスベルトの上部及び下部移行部をそれぞれ裏側より
支えている複数のロールのうち、相互に隣り合うサポー
トロール同士の間の距離が0より大きく、5m以下の範
囲内、好ましくは1〜5m、望ましくは2〜5mであ
る。なお、相互に隣り合うサポートロール同士の間の距
離が例えば1mの場合でも、セルロースエステルフィル
ムのレターデーション値のばらつきΔRは、ロール間の
距離が2〜5mの範囲内の場合におけるセルロースエス
テルフィルムのレターデーション値のばらつきΔRと大
きく変わらないが、例えばエンドレスベルトの上部及び
下部移行部の全長は、通常、20〜60mであるところ
から、サポートロールを1m間隔で配置した場合には、
ロール本数が増えることによるコスト負担が大きくなる
ため、サポートロール同士間の距離は2m以上が好まし
い。また、相互に隣り合うサポートロール同士の間の距
離が5mを超えると、レターデーション値のばらつきΔ
Rが増大するため、好ましくない。
ートロール同士の間の距離が、2m〜ロール周長の整数
倍の−5%の長さ、又はロール周長の整数倍の+5%の
長さ〜5mの範囲であることが限定されている。その理
由は、相互に隣り合うサポートロール同士の間の距離
が、ロール周長S×整数nであると、ロール移送による
振動の波が増幅され、その結果、得られるセルロースエ
ステルフィルムのレターデーション値のばらつきΔRが
増大するため、好ましくないからであり、また、相互に
隣り合うサポートロール同士の間の距離が、ロール周長
S×整数nの±5%の範囲であっても、同様に得られる
セルロースエステルフィルムのレターデーション値のば
らつきΔRが増大するため、好ましくないからである。
〜250mm、好ましくは100〜200mmである。
上部移行部を裏側より支えているサポートロールのうち
相互に隣り合うサポートロール同士の間の距離が、エン
ドレスベルトの下部移行部を裏側より支えているサポー
トロールのうち相互に隣り合うサポートロール同士の間
の距離よりも狭いものであることが限定されている。そ
の理由は、このようにエンドレスベルトの上部移行部側
のサポートロールの距離を、同エンドレスベルトの下部
移行部側のサポートロールの距離よりも狭くすることに
より、得られるセルロースエステルフィルムのレターデ
ーション値のばらつきΔRを小さくすることができるか
らである。
ことができる。1例を挙げると、セルロースエステルフ
ィルムを40℃の2.5mol/lの水酸化ナトリウム
水溶液で60秒間表面鹸化処理を行い、3分間水洗して
乾燥させて表面鹸化した偏光板用保護フィルムを得る。
別に120μmの厚さのポリビニルアルコールをヨウ素
1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に
浸漬し、50℃で4倍に縦方向に延伸して偏光膜を得
る。この偏光膜の片面または両面に上記表面鹸化処理し
たセルロースエステルフィルムを完全鹸化型のポリビニ
ルアルコール5%水溶液よりなる粘着剤により貼り合わ
せて偏光板となすのである。
エステルフィルムは、特に偏光板保護フィルムに用いら
れるセルロースエステルフィルムである。そして、本発
明の装置によれば、高速搬送でのベルトの振動を抑制
し、安定した製膜を可能として、セルロースエステルフ
ィルムの面品質及び光学特性を改善することができ、レ
ターデーション値のばらつきが少なくかつ目標とするレ
ターデーション値を持つ品質の優れたセルロースエステ
ルフィルムを効率よく、常時、高品質で製造することを
可能である。
エステルフィルムは、光学等方性に優れており、液晶表
示装置の部材、例えば、偏光板用保護フィルム、位相差
板、反射板、光学補償フィルム、視野角向上フィルム、
防眩フィルム、無反射フィルム及び帯電防止フィルムに
使用せられる。なかでも偏光板用保護フィルムに適して
いる。
造するにあたり、まずドープを調製した。すなわち、溶
媒にトリアセチルセルロースを溶解した下記配合組成物
を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調
製し、調製後のドープを濾紙により濾過した。
本発明の装置により、セルロースエステルフィルムを以
下のようにして製造した。
ム1,1に掛け渡されされており、図示しない駆動発生
手段によりエンドレスベルト2が一定方向に例えば50
m/minの移行速度で回動している。エンドレスベル
ト2が掛け渡された一対のドラム1,1同士の中間に
は、エンドレスベルト2の上部移行部2a及び下部移行
部2bをそれぞれ裏側より支えている複数のサポートロ
ール3がその長軸とドラム1,1の長軸が平行となるよ
うに配置され、エンドレスベルト2が回動自在にかつ緊
張状態に保持されている。
部2a上に流延されたセルロースエステル溶液は、エン
ドレスベルト2上で乾燥されながら図の矢印方向に連続
的に移送され、同エンドレスベルト2の下部移行部2b
を経て、再び流延側のドラム1の近くに戻ってきたとこ
ろで、剥離ロール6によりエンドレスベルト2上から剥
離され、乾燥室にて残りの溶媒が乾燥され、セルロース
エステルフィルムが製造される。
たサポートロール3の周長をS、エンドレスベルト2の
上部移行部2aを裏側より支えているサポートロール3
のうち相互に隣り合うサポートロール3,3同士の間の
距離をL1 、エンドレスベルト2の下部移行部2bを裏
側より支えているサポートロール3のうち相互に隣り合
うサポートロール3,3同士の間の距離をL2 とした
時、S、L1 、L2 の条件を変えて製膜し、膜厚約80
μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたセ
ルロースエステルフィルムのレターデーション値のばら
つきΔRを測定し、得られた結果を表1に示した。
測機器製の自動複屈折計COBRA−21ADHにて製
膜されたサンプルの任意30ポイントを測定し、その標
準偏差をレターデーション値のばらつき(ΔR)とし
た。
〜5及び比較例1の結果からわかるように、エンドレス
ベルト2の上部移行部2aの裏面に接触するサポートロ
ール3,3の距離L1 、及び同エンドレスベルト2の下
部移行部2bの裏面に接触するサポートロール3,3の
距離L2 が1000〜5000mmの範囲内の場合(実
施例1〜5)では、セルロースエステルフィルムのレタ
ーデーション値のばらつきΔRは小さいものであるが、
L1 及びL2 が5000mmを越えると、レターデーシ
ョン値のばらつきΔRが増大することがわかった(比較
例1)。なお、L1 及びL2 が1000mm(実施例
1)でのレターデーション値のばらつきΔRは、L1 及
びL2 が2000〜5000mmの範囲内の実施例2〜
5の場合とと大きく変わらないが、このように1000
mm間隔でサポートロール3を配置した場合は、ロール
本数が増えることによるコスト負担が大きくなるため、
サポートロール3,3の距離L1 及びL2 は、2000
mm〜5000mmの範囲内が好ましい。
実施例6〜8及び比較例2と3の結果からわかるよう
に、相互に隣り合うサポートロール3,3間の距離L1
及びL2 を、0より大きく、5m以下の範囲内でかつロ
ール周長S×整数n、及びその±5%以内であると、レ
ターデーション値のばらつきΔRが大きくなり(比較例
2と3)、サポートロール3,3間の距離L1 及びL2
が、2m〜ロール周長の整数倍の−5%の長さ、又はロ
ール周長の整数倍の+5%の長さ〜5mの範囲であれ
ば、得られるセルロースエステルフィルムのレターデー
ション値のばらつきΔRを小さくすることができる(実
施例6〜8)ことがわかった。
施例9と10及び比較例4と5の結果より、エンドレス
ベルト2の上部移行部2aの裏面に接触するサポートロ
ール3,3の距離L1 を、同エンドレスベルト2の下部
移行部2bの裏面に接触するサポートロール3,3の距
離L2 よりも狭くすることにより、得られるセルロース
エステルフィルムのレターデーション値のばらつきΔR
を小さくすることができ(実施例9と10)、逆に、エ
ンドレスベルト2の上部移行部2aの裏面に接触するサ
ポートロール3,3の距離L1 が、同エンドレスベルト
2の下部移行部2bの裏面に接触するサポートロール
3,3の距離L2 よりも大きいと、セルロースエステル
フィルムのレターデーション値のばらつきΔRが大きく
なることが分かった(比較例4と5)。
セルロースエステルフィルムを製造する装置において、
セルロースエステル溶液を流延して膜を形成する駆動エ
ンドレスベルトが掛け渡された一対のドラム同士の中間
に配置されかつエンドレスベルトの上部及び下部移行部
をそれぞれ裏側より支えている複数のサポートロールの
配置に関して、使用するベルトの長さと搬送速度に対し
て必要なサポートロールの距離を規定することにより、
高速搬送でのベルトの振動を抑制し、安定した製膜を可
能として、セルロースエステルフィルムの面品質及び光
学特性を改善することができ、レターデーション値のば
らつきが少なくかつ目標とするレターデーション値を持
つ品質の優れたセルロースエステルフィルムを効率よ
く、常時、高品質で製造することを可能であるという効
果を奏する。
フィルムの製造装置の平面略図である。
断面略図である。
の縦断面略図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 溶液流延製膜法によりセルロースエステ
ルフィルムを製造する装置において、セルロースエステ
ル溶液を流延して膜を形成する駆動エンドレスベルトが
掛け渡された一対のドラム同士の中間に配置されかつエ
ンドレスベルトの上部及び下部移行部をそれぞれ裏側よ
り支えている複数のロール(以下、「サポートロール」
という)のうち、相互に隣り合うサポートロール同士の
間の距離が0より大きく、5m以下の範囲内であること
を特徴とするセルロースエステルフィルムの製造装置。 - 【請求項2】 相互に隣り合うサポートロール同士の間
の距離が、2m〜ロール周長の整数倍の−5%の長さ、
又はロール周長の整数倍の+5%の長さ〜5mの範囲で
あることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステ
ルフィルムの製造装置。 - 【請求項3】 エンドレスベルトの上部移行部を裏側よ
り支えているサポートロールのうち相互に隣り合うサポ
ートロール同士の間の距離が、エンドレスベルトの下部
移行部を裏側より支えているサポートロールのうち相互
に隣り合うサポートロール同士の間の距離よりも狭いも
のであることを特徴とする請求項1記載のセルロースエ
ステルフィルムの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001113368A JP4710160B2 (ja) | 2001-04-12 | 2001-04-12 | 液晶表示装置用光学補償セルロースエステルフィルムの製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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