JP2009276779A - セルロースエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 写真感光材料や光学用途に用いられるフィルムにおいて、良好な平面性及びタッキング防止性を確保しつつ、透明性も十分に確保できるようにしたセルロースエステルフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 セルロースエステルフィルムは、基層1とその両面に積層された表層2とからなる三層に構成されている。表層2には、マット剤が添加されており、基層1には、マット剤は添加されていない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶液製膜方法で製膜した写真感光材料や光学用途に用いられるフィルムであって、表面の平面性および滑り性が良好なセルロースエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
セルロースエステル(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートが含まれ)フィルムは、透明性がよく、機械的強度が大きく、かつ、湿度の変化及び熱にともなう寸法変動が小さい(寸法安定性がよい)ので、写真感光材料や偏光板保護フィルムなどの光学材料の支持体として用いられており、例えば、セルロースアセテートフィルム、特にセルローストリアセテート(トリアセチルセルロース、TAC)フィルムが広く用いられている。このようなセルロースエステルフィルムは溶液製膜方法により製造されており、この溶液製膜方法は、有機溶媒に溶かしたポリマー溶液を流延ダイから流延用支持体上に流延して流延用支持体上にフィルムを形成するものである。
ところで、写真感光材料や光学材料の支持体は平面性及び滑り性が要求されるものであるので、支持体に用いることができるフィルムの平面性、滑り性等を良好にする各種技術が提案されている。例えば、特開平6−123937号公報には、ポリエステルフィルムの製膜に於ける50℃以上ガラス転移温度以下の乾燥温度でロール状で熱処理させた処理前のきしみ値を10g以上400g以下にし、平面性の良好なハロゲン化銀写真感光材料が提案されている。
特開平9−225953号公報には、TACフィルムの乾燥工程で平面性を改良する目的で、平面性改良部の上流において塗設される塗膜の最上層あるいは最上層近傍にカチオン性ポリマーもしくはアニオン性ポリマーを付与したり、平面性改良部の上流においてマット剤を塗布することを特徴とするセルロースアセテートフィルムの製造方法が提案されている。
また、特開平8−207210号公報には、酢化度(置換度)の異なるコア部分(置換度2.7以下)と表層(置換度2.8以上)とを有することにより、長期間にわたり透明性、寸法安定性、耐湿熱性を向上させたセルロースアセテート積層フィルムが提案されている。
しかしながら、特開平9−225953号公報で提案されているように、写真感光材料の支持体に用いるセルロースエステルフィルムにおいては、滑り性を確保するために、フィルムの両面に塗設される塗膜の最上層あるいは最上層近傍にカチオン性ポリマーもしくはアニオン性ポリマーを塗布することが一般的であるが、十分に満足できるものではなかった。
また、偏光板保護用フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムは、タッキングを防止するために、ドープ中にマット剤が添加されている。このマット剤の添加量は、タッキングを防止するためには多い方が好ましいが、マット剤の添加量を多くするとヘイズが大きくなり、光透過率の低下や写真性が悪化するものであった。
本発明は、以上の問題点を解決し、少量のマット剤を添加することにより、良好な平面性及びタッキング防止性を確保しつつ、透明性も十分に確保できるようにしたセルロースエステルフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によるセルロースエステルフィルムは、少なくとも基層と表層とを有する多層構造からなるセルロースエステルフィルムであって、いずれの層も同じセルロースエステルで形成され、表層にのみマット剤が5〜500mg/m添加され、かつ表層の厚みが0.0002mm〜0.02mmであるとともに、総厚みが0.02mm〜0.5mmであり、表層表面の中心線平均粗さが0.1μm〜1μmであり、写真感光材料又は光学材料用であることを特徴として構成されている。
また、前記表層表面の中心線平均粗さが0.01μm〜5μmであることが好ましく、中心線平均粗さが0.1μm〜1μmであることがより好ましい。
本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、マット剤として無機物粒子を用い、共流延法により無機物粒子を含む組成物を流延して表層を形成することを特徴として構成されている。
また、本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、マット剤として無機物粒子を用い、逐次流延法により無機物粒子を含む組成物を流延して表層を形成することを特徴として構成されている。
本発明によれば、多層構造のセルロースエステルフィルムの表面に少量のマット剤を添加した表層を積層することにより、セルロースエステルフィルム全体としての透過度を低下させることなく、タッキングを防止でき、かつ平面性の良好なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、少なくとも基層と表層とを有する多層構造からなっており、その表層のみにマット剤が添加されている。この表層は、基層の片側にのみ積層されていても、基層の両側に積層されていてもよい。すなわち、図1に示すように、基層1とその両面に積層された表層2とからなる三層の態様と、図2に示すように、基層1とその一方の面に積層された表層2とからなる二層の態様とがある。また、表層は、表面に位置する個所に積層されるもので、基層と表層との間に他の層を積層することもできる。
このようなセルロースエステルフィルムにおいて、表層のみにマット剤が添加されており、基層にはマット剤が添加されていない。すなわち、表層にのみマット剤を添加することにより、セルロースエステルフィルムの表面の平面性及びタッキング防止性を確保するとともに、基層(中間に他の層を積層した場合は、その中間層も含む)にマット剤を添加しないことにより、セルロースエステルフィルム全体の透明性を確保している。
本発明のセルロースエステルフィルムの表層に添加できるマット剤としては、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルク、カオリン等が例示される。また、無機化合物には、例えば、硫酸バリウム、マンガンコロイド、二酸化チタン、硫酸ストロンチウムバリウム、二酸化ケイ素などの無機物の微粉末があるが、さらに例えば湿式法やケイ酸のゲル化より得られる合成シリカ等の二酸化ケイ素やチタンスラッグと硫酸により生成する二酸化チタン(ルチル型やアナタース型)等が挙げられる。また、粒径の比較的大きい、例えば20μm以上の無機物から粉砕した後、分級(振動濾過、風力分級など)することによっても得られる。好ましい無機化合物のマット剤として、導電性を有する微粒子が挙げられる。具体的には、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoOの中から選ばれた少なくとも1種の結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子がある。
また、高分子化合物からなるマット剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、澱粉等があり、これらの粉砕分級物もあげられる。また、懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球形にした高分子化合物、または無機化合物を用いることができる。また以下に述べるような単量体化合物の1種又は2種以上の重合体である高分子化合物を種々の手段によって粒子としたものであってもよい。
例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレフィン類が好ましく用いられる。また、特開昭62−14647号公報、同62−17744号公報、同62−17743号公報に記載されているようなフッ素原子あるいはシリコン原子を有する粒子を用いてもよい。これらの中で好ましく用いられる粒子組成としてポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=95/5)(モル比)、ポリ(スチレン/スチレンスルホン酸=95/5)(モル比)、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=50/40/10)、シリカなどを挙げることができる。
マット剤としては、以上のように種々の無機化合物及び高分子化合物を用いることができるが、メチレンクロライドを用いた分散薬では無機化合物が好ましく、特にシリカ(SiO)は安価で入手し易いので好ましい。
マット剤の添加量は、5〜500mg/mが好ましく、10〜100mg/mがより好ましい。マット剤の添加量が5mg/m未満であると、セルロースエステルフィルム表面の滑り性・タッキング防止性を確保することが困難になり、500mg/mを越えると、透明性が悪くなる。
セルロースエステルフィルムの表層の厚みは、0.0002mm〜0.02mmが好ましく、0.0005mm〜0.01mmがより好ましい。表層の厚みが0.
0002mm未満であると、均一な層を形成することが困難である。また、表層
の厚みが0.02mmを越えると、積層化の利点が損なわれる恐れがある。
また、セルロースエステルフィルムの総厚みは、写真感光材料、光学材料等の用途によって適宜決定されるが、一般的に、0.02mm〜0.5mmの範囲に設定されている。
本発明によるセルロースエステルフィルムの表層の中心線平均粗さは、0.01μm〜5μmであることが好ましく、中心線平均粗さが0.1μm〜1μmであることがより好ましい。表層の中心線平均粗さが0.01μm未満であると、フィルムにきしみが発生し、細かい傷が生じる。また、中心線平均粗さが5μmを越えると、平面性が悪くなる。
セルロースエステルフィルムの製造は、一般に、セルロースエステル、可塑剤及び溶剤(表層の場合は、マット剤を含む)を使用する。このセルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステル(例:セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネート)が代表的である。低級脂肪酸は、炭素原子数6以下の脂肪酸を意味する。セルロースアセテートには、セルローストリアセテート(TAC)やセルロースジアセテート(DAC)が含まれる。
代表的なリン酸エステル系可塑剤を下記式(Ia)および(Ib)で示す。
Figure 2009276779
式(Ia)および(Ib)において、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アリール基またはアラルキル基である。各基は置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜12であることが好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、ブチル、シクロヘキシルおよびオクチルを挙げることができる。アリール基の例としてはフェニルを挙げることができる。アラルキル基の例としてはベンジルを挙げることができる。上記置換基の例としては、アルキル基(例:メチル)、アリール基(例:フェニル)、アルコキシ基(例:メトキシ、ブトキシ)およびアリールオキシ基(例:フェノキシ)を挙げることができる。式(Ib)においては、Rは、 アルキレン基、アリーレン基、スルホニル基およびそれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基である。nは1以上の整数であり、1〜10であることが好ましい。
可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤が好ましく、このリン酸エステル系可塑剤の例には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホスフェートが含まれる。また、カルボン酸エステル系可塑剤が利用される場合もある。カルボン酸エステル系可塑剤の例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、グリセロールトリアセテート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレートおよびトリアセチンが含まれる。またクエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)、クエン酸トリブチル(OACTB)等が、その他のカルボン酸エステルの例としては、オレイン酸ブチル(BO)、リノール酸メチルアセチル(MAL)、セバチン酸ジブチル(DBS)、種々のトリメリット酸エステル等がある。その他の低分子可塑剤の例としては、o−またはp−トルエンエチルスルフォンアミドを挙げることができる。
可塑剤は一般に、セルロースエステルに対して5〜40重量%の範囲で使用する。セルロースエステルに対して10〜20重量%の量で使用することが好ましい。トリメリット酸やピロメリット酸のエステルを、リン酸エステル系可塑剤と併用してもよい。トリメリット酸やピロメリット酸のエステルは、リン酸エステル系可塑剤のブリードアウトを防止する作用がある。これらの酸のエステルについては、特開平5−5047号公報に記載されている。
溶剤としては、低級脂肪族炭化水素の塩化物や低級脂肪族アルコールが一般に使用される。低級脂肪族炭化水素の塩化物の例としては、メチレンクロライドを挙げることができる。低級脂肪族アルコールの例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびn−ブタノールが含まれる。その他の溶剤の例としては、ハロゲン化炭化水素を実質的に含まない、アセトン、炭素原子数4から12までのケトンとしては例えばメチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれ、炭素原子数3から12までのエステルとしては例えばギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及び2−エトキシ−エチルアセテート等が含まれ、炭素原子数1から6までのアルコールとしては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が含まれ、炭素原子数が3から12までのエーテルとしては例えばジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が含まれ、また炭素原子数が5から8までの環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタン等が含まれる。
以上のような溶剤の中で、メチレンクロライドが特に好ましい。メチレンクロライドに他の溶剤を混合して用いてもよい。ただし、メチレンクロライドの混合率は70重量%以上であることが好ましい。特に好ましい混合率は、メチレンクロライドが75〜93重量%、そして他の溶剤が7〜25重量%である。溶剤はセルロースエステルフィルムの形成において除去する。溶剤の残留量は一般に5重量%未満である。残留量は、1重量%未満であることが好ましく、0.5重量%未満であることがさらに好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムには紫外線吸収剤を添加することができ、この紫外線吸収剤には、ベンゾフェノン系、サリチレート系およびベンゾトリアゾール系の化合物がある。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例には、2,2'−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノンが含まれる。サリチレート系紫外線吸収剤の例としては、4−t−ブチルフェニルサリチレートが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例には、2−(ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2'−ヒドロキシ−3,5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが含まれる。その他の紫外線吸収剤の例としては、[2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]n−ブチルアミンニッケルIIを挙げることができる。紫外線吸収剤の使用量は、一般にセルロースエステルに対して0.1〜3.0重量%の範囲で使用される。
マット剤、可塑剤、紫外線吸収剤等の添加方法は、あらかじめ溶解タンク内にてドープ中に混合しても、またドープ送液配管途中にて、オンラインで添加混合してもよい。
本発明のセルロースエステルフィルムを製造するには、共流延法(重層同時流延)、逐次流延法、塗布法等の積層流延する方法を用いることができる。共流延法および逐次流延法により製造する場合には、先ず、各層用のドープを調製する。共流延法は、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、各層(3層あるいはそれ以上でも良い)各々の流延用ドープを別のスリットなどから同時に押出す流延用ギーサからドープを押出して各層を同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを成形する流延法である。
逐次流延法は、流延用支持体の上に先ず第1層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延し、乾燥あるいは乾燥させることなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延し、以後、同様に第3層以降のドープを逐次流延・積層し、適当な時期に支持体から剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを成形する流延法である。
塗布法は、一般的には、基層のフィルムを溶液製膜法により成形し、表層を形成するために塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつまたは両面同時にフィルムに塗布液を塗布・乾燥して積層構造のフィルムを成形する方法である。
以上のように、本発明のセルロースエステルフィルムを製造するには、共流延法、逐次流延法及び塗布法のどの方法を用いてもよい。しかし、一般的に、塗布法では塗布後の乾燥負荷が増大し、逐次流延法では工程が複雑になり、フィルムの平面性を維持することが困難であるが、共流延法では工程が単純で、生産性が高く、フィルムの平面性が比較的容易に得ることができるので、共流延法で製造することが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムを製造する装置としては、表面が鏡面処理された流延バンドを用いた溶液製膜装置であっても、流延ドラムを用いた溶液製膜装置であってもよい。流延バンドを用いた溶液製膜装置を図3に、流延ドラムを用いた溶液製膜装置を図4に示す。
図3に示すバンド式の溶液製膜装置において、11は攪拌機で、綿、可塑剤及び溶剤が投入されているものであり、この攪拌機11は、移送ポンプ12、濾過器13、ストックタンク14、流延送液ポンプ15、及びマット剤、染料、紫外線吸収剤(UV剤)等を添加するための添加剤注入ポンプ16を介して流延ダイ17に連結されている。流延ダイ7の下方には、流延バンド18が設けられるとともに、減圧チャンバー19が設けられている。
図4に示すドラム式の溶液製膜装置において、20は流延ドラムで、バンド式の溶液製膜装置における流延バンド18の代わりに設けられている。なお、攪拌機11、移送ポンプ12、濾過器13、ストックタンク14、流延送液ポンプ15、添加剤注入ポンプ16及び流延ダイ17は同一に構成されている。
上記流延ダイとしては、図5、図6及び図7に示すようなものを用いることができる。
図5は、単層のフィルムを製膜する際に用いる流延ダイで、逐次流延法に用いるものであり、この流延ダイ30は、1つのマニホールド31が形成されている。図6は、マルチマニホールド型の共流延ダイで、この共流延ダイ30は、3つのマニホールド32が形成され3層構成のフィルムを製膜できるものである。図7は、フィードブロック型の共流延ダイで、この共流延ダイ30は、マニホールド33が形成されるとともに、フィードブロック34が設けられ、フィードブロック34で合流させられて複数層(図7においては3層)になったドープを流延するものである。
なお、以上の流延ダイにおいては、コートハンガーダイを使用しているが、これに限定されるものでなく、Tダイ等他の形状のダイであってもよい。
[実施例1〜4]
表1に示したドープ処方にて、基層ドープと表層ドープを共流延し、乾燥後のそれぞれの厚みを0.06mm(基層)および0.01(表層)mmとした。100℃の熱風にて残留溶剤量が10wt%になるまで乾燥し、その後140℃の熱風にて10分間乾燥させた。
[実施例5〜8]
表1に示したドープ処方にて、基層ドープと表層ドープを逐次流延し、乾燥後のそれぞれの厚みを0.06mm(基層)および0.01mm(表層)とした。100℃の熱風にて残留溶剤量が10wt%になるまで乾燥し、その後140℃の熱風にて10分間乾燥させた。
[実施例9〜11]
表1に示したドープ処方にて、基層ドープと表層ドープを実施例1〜4と同様に共流延し、乾燥後のそれぞれの厚みを0.07mm(基層)および0.005mm(表層)とした。100℃の熱風にて残留溶剤量が10wt%になるまで乾燥し、その後140℃の熱風にて10分間乾燥させた。
[比較例1〜4]
表1の処方にて、表層ドープのみを単層流延し、乾燥後の厚みを0.08mmとした。100℃の熱風にて残留溶剤量が10wt%になるまで乾燥し、その後140℃の熱風にて10分乾燥した。
Figure 2009276779
得られたフィルムサンプルの静摩擦係数、キシミ、動摩擦係数、シワ発生、中心線平均粗さ及び透明度を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2009276779
評価方法:
<静摩擦係数>
試料サンプルを25℃60%RH中で2時間保存したのち、一方を35mm×35mmにカットしたものを測定用の針とし、他方のサンプルの上を荷重100g、60cm/minの速度で相対的に滑らせ、新東化学製,HEIDON−14型動摩擦係数測定機により静摩擦係数を測定した。
<きしみ>
きしみとは、フィルム支持体製造時フィルムを巻き付けた時のロールの内面と外面の平滑性が高く、または内面と外面の間の動摩擦係数が高いと、巻き取り時に発生する現象である。この状態の評価には定温、定湿下で一定時間保存した試料サンプルを新東化学製,HEIDON−14型動摩擦係数測定機により静摩擦係数を測定する。
表中の静摩擦係数の評価は以下の通りである。
○:0.7以下
×:0.7以上
表中の動摩擦係数の評価は以下の通りである。
○:0.6以下
×:0.6以上
<シワ>
シワとは、フィルム支持体製造時フィルムの熱処理を行う時に、フィルムの伸張または収縮が滑り性が悪いため不均一に生じ、フィルムに巻きシワが発生し平面性が悪くなる現象である。この現象の評価には、小幅ハンドリング装置により、定テンションでハンドリングしロールおよび巻き取りでのシワ発生状況を評価する。
<中心線平均粗さ(Ra)>
中心線平均粗さの算出原理は、JIS−B0601「表面粗さ」に規定されている中心線平均粗さに準じている。測定は、小坂研究所製,万能表面形状測定器,SE−3Fを用いて行った。
<透明度>
透明度は、透明度測定器(例えば、KOTAKI製作所製)を用いて可視光線の透過率を測定した。
表中の透明度の評価は以下の通りである。
◎ :透過率が92%以上
○ :透過率が90%以上
△ :透過率が85%以上
× :透過率が82%以上
××:透過率が80%以下
表2に示す結果より、本発明によるセルロースエステルフィルムは、単層からなるセルロースエステルフィルムに比べ、キシミ及びシワの発生を防止しつつ、透明度が非常に優れていることがわかった。
また、静摩擦係数と中心線平均粗さは、図8の関係があることがわかった。図8に示す関係より、中心線平均粗さが0.01μm未満であると静摩擦係数が大きくなり、きしみが使用できない程大きくなることがわかった。
本発明によるセルロースエステルフィルムの層構成を示す部分断面図である。 本発明によるセルロースエステルフィルムの層構成を示す部分断面図である。 本発明によるセルロースエステルフィルムを製造する装置の模式図である。 本発明によるセルロースエステルフィルムを製造する装置の模式図である。 本発明によるセルロースエステルフィルムを製造する装置に用いる流延ダイの断面図である。 本発明によるセルロースエステルフィルムを製造する装置に用いる流延ダイの断面図である。 本発明によるセルロースエステルフィルムを製造する装置に用いる流延ダイの断面図である。 「中心線平均表面粗さ」と「静摩擦係数」との関係を示すグラフである。
1 基層
2 表層
11 攪拌機
12 移液ポンプ
13 濾過器
14 ストックタンク
15 流延送液ポンプ
16 添加剤注入ポンプ
17 流延ダイ
18 流延バンド
19 減圧チャンバー
20 流延ドラム
30 流延ダイ

Claims (3)

  1. 少なくとも基層と表層とを有する多層構造からなるセルロースエステルフィルムであって、いずれの層も同じセルロースエステルで形成され、表層にのみマット剤が5〜500mg/m添加され、かつ表層の厚みが0.0002mm〜0.02mmであるとともに、総厚みが0.02mm〜0.5mmであり、表層表面の中心線平均粗さが0.1μm〜1μmであることを特徴とする写真感光材料又は光学材料用セルロースエステルフィルム。
  2. マット剤として無機物粒子を用い、共流延法により無機物粒子を含む組成物を流延して表層を形成する請求項1記載のセルロースエステルフィルムを製造することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
  3. マット剤として無機物粒子を用い、逐次流延法により無機物粒子を含む組成物を流延して表層を形成する請求項1記載のセルロースエステルフィルムを製造することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
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