JPH1072413A - 感光性芳香族ジアミン、感光性ポリイミド及びその製造方法、並びに該感光性ポリイミドを含有する硬化性樹脂組成物 - Google Patents

感光性芳香族ジアミン、感光性ポリイミド及びその製造方法、並びに該感光性ポリイミドを含有する硬化性樹脂組成物

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JPH1072413A
JPH1072413A JP16788497A JP16788497A JPH1072413A JP H1072413 A JPH1072413 A JP H1072413A JP 16788497 A JP16788497 A JP 16788497A JP 16788497 A JP16788497 A JP 16788497A JP H1072413 A JPH1072413 A JP H1072413A
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photosensitive
dianhydride
group
reaction
polyimide
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JP16788497A
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Tatatomi Nishikubo
忠臣 西久保
Atsushi Kameyama
敦 亀山
Masaki Iyo
昌己 伊豫
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Shin Nakamura Chemical Co Ltd
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Shin Nakamura Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度、溶媒に対する溶解性に優れたカチオン
重合性の感光性ポリイミド、その合成に用いる感光性芳
香族ジアミン及び光の照射及び/又は加熱によって速や
かに硬化し、高耐熱性、高硬度、低誘電率等の優れた特
性を有する硬化膜が得られる硬化性樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 下記化1の一般式(1)で示される感光
性芳香族ジアミン及び一般式(2)で示される感光性ポ
リイミドが提供される。感光性ポリイミドは、(a)一
般式(1)で示される感光性芳香族ジアミンと(b)1
分子中に4個以上のカルボキシル基を有する多価カルボ
ン酸又はその無水物を重付加反応させて得られるポリア
ミド酸を脱水環化させることによって製造される。さら
に、(A)一般式(2)で示される感光性ポリイミド
と、(B)活性エネルギー線によりカチオン重合を開始
させるカチオン重合開始剤及び/又は熱重合開始剤を含
有する硬化性樹脂組成物も提供される。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な感光性芳香
族ジアミン、感光性ポリイミド及びその製造方法、並び
に該感光性ポリイミドを含有する硬化性樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリイミドは、その高耐熱性、低
誘電性、高強度などの優れた特性に加え、無機膜に比べ
てフィルム形成能やその強度に優れ、さらに加工性とい
った性能において優位性を示すことから、多くの産業分
野で広く利用されている高性能のスーパーエンジニアリ
ングプラスチックである。近年、ポリイミドは合成の容
易さと、その合成原料である様々なジアミンやテトラカ
ルボン酸が容易に入手できることの両方の観点から、様
々なポリイミドが開発され、耐熱性を中心とする高性能
化が進められている。特に回路作成用フォトレジスト材
料や層間絶縁膜としての利用分野においては、感光性ポ
リイミドについて、半導体素子製造におけるその加工プ
ロセス簡略化のため活発に研究が行われている。
【0003】感光性ポリイミド前駆体について実用化さ
れたものは、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)にエス
テル結合を介してメタクリロイル基を導入したものが初
めてであった。このポリイミド前駆体は、光架橋による
ネガ型感光性を示し、パターン形成後、イミド化及び膜
中に残存しているメタクリロイル残基を除去するため
に、350〜400℃での高温加熱キュアーが必要であ
る。また、皮膜の形成に当たっては、ポリイミド前駆体
を溶媒にとかした後に製膜し、約200℃の高温で加熱
脱水してイミド化を行うため、イミド化の際に体積収縮
が大きいという問題もあった。
【0004】また、これまで、エレクトロニクスの分野
において、ポリイミド前駆体を熱硬化させて作成したポ
リイミド皮膜でのプリント基板などの回路パターン形成
では、フォトレジストのパターンを形成した後、ヒドラ
ジンなどの高反応性で、かつ人体に有害なエッチング液
を使うため、かなり面倒なプロセスとなっていた。一
方、有機系のフォトレジストは、ポリイミドとのエッチ
ング速度の選択性がないため、まずポリイミドの上に無
機物を塗布して、その無機物をフットレジストでパター
ニングし、その後、その無機物をレジスト膜として利用
してポリイミドをエッチングするという複雑なプロセス
となる難点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、これらの過程
に感光性を有するポリイミドを使用すれば、高温での加
熱キュアーが不要になると共に、ポリイミドそのものを
露光、現像によってパターン形成することが可能となる
ために、これまでの工程におけるエッチングが不要とな
り、工程数も大幅に減少できることとなる。感光性ポリ
イミドの感光基としては、これまでアクリロイル基やメ
タクリロイル基などのラジカル重合性基を導入したもの
が実用化されている。しかし、ラジカル重合性基はその
重合性が酸素などにより阻害されるので、感度の点で問
題があることも報告されている。一方、カチオン重合は
酸素の影響を受けないなどの利点があることから、最近
ではカチオン重合型感光性ポリイミドが注目され、幾つ
か報告されている(鈴木功ら、高分子年次大会予稿集、
Vo1.42、No.2、484頁、1993年や、柳
漢成ら、高分子年次大会予稿集、Vo1.43、No.
3、849頁、1994年)。これらのポリイミドの合
成法は、予め合成したポリマーの側鎖に感光基を導入す
る方法、あるいは感光基を含むモノマーとジアミンと酸
無水物を共重合した後、イミド化する方法であり、感光
基の導入率が低くなり、感度の点で未だ改善すべき余地
があり、また共重合系の場合、溶媒に対する溶解性の点
でも問題がある。
【0006】従って、本発明の目的は、高い感度を有す
ると共に、溶媒に対する溶解性に優れたカチオン重合性
の感光性ポリイミドを提供することにある。さらに本発
明の目的は、上記のような感光性ポリイミドの合成に有
利に用いることが感光性芳香族ジアミンを提供すること
にある。本発明の他の目的は、上記のような感光性ポリ
イミドを含有し、光の照射及び/又は加熱によって速や
かに硬化し、高耐熱性、高硬度、低誘電率等の優れた特
性を有する硬化膜が得られ、しかもフィルム形成能やパ
ターニング等の加工性に優れた硬化性樹脂組成物を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、感光性ポリイミドの出発材料であ
る下記化6の一般式(1)で示される感光性芳香族ジア
ミンが提供される。
【化6】
【0008】さらに本発明によれば、下記化7の一般式
(2)で示される感光性ポリイミドが提供される。
【化7】
【0009】前記一般式(2)において、多価カルボン
酸残基Arとしては、入手の容易さ、コスト等の点か
ら、下記化8の式(A)〜(F)で示される基が好まし
い。また、感光性ポリイミドの分子量は、数平均分子量
として1,000〜70,000が良好であり、特に
2,000〜20,000が好ましい。
【化8】
【0010】また、本発明によれば、(a)前記一般式
(1)で示される感光性芳香族ジアミンと(b)1分子
中に4個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸
又はその無水物を重付加反応させて得られるポリアミド
酸を脱水環化させることを特徴とする、前記一般式
(2)で示される感光性ポリイミドの製造方法が提供さ
れる。さらに本発明によれば、(A)前記一般式(2)
で示される感光性ポリイミドと、(B)活性エネルギー
線によりカチオン重合を開始させるカチオン重合開始剤
及び/又は熱重合開始剤を含有することを特徴とする硬
化性樹脂組成物も提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】ネガ型の感光性高分子の分子設計
においては、繰り返し単位中の感光基の割合が多いほど
架橋密度が向上するので、感度的には繰り返し単位中の
感光基の割合が多い構造が適している。さらに、感光性
ポリマーの合成法としては、側鎖に反応性基を有するポ
リマーを合成し、その反応性基との高分子反応により感
光基を導入する方法、又は感光性モノマーを選択的に重
合させ、側鎖に感光基を有するポリマーを合成する方法
があるが、感光基の導入率という点では後者の方法が優
れており、また、感光性ポリイミドの合成においては、
感光基を有するモノマーとしてジアミン成分の合成が比
較的に容易である。本発明の感光性ポリイミドは、カチ
オン重合可能な感光基としてプロパルギル基、エポキシ
基又はビニルエーテル基を導入した芳香族ジアミンと、
1分子中に4個以上のカルボキシル基を有する多価カル
ボン酸又はその無水物を重付加反応させて得られるポリ
アミド酸を脱水環化させて合成される。従って、比較的
容易に合成できると共に、得られるポリイミドの繰り返
し単位当たりの感光基の割合が多くなり、感度が高くな
る。
【0012】また、本発明の感光性ポリイミドは、ポリ
マーの側鎖に光カチオン重合可能なプロパルギル基、エ
ポキシ基及びビニルエーテル基を導入したものであるた
め、光硬化性及び熱硬化性を示すと共に、このような感
光基がエステル結合又はエーテル結合(特に好ましくは
エステル結合)によって導入されたものであるため、極
めて高い耐熱性を示し、また各種溶媒に対する溶解性を
示す。従って、このような感光性ポリイミドを適当なカ
チオン重合開始剤及び/又は熱重合開始剤(重合開始触
媒)と共存させることにより、光の照射及び/又は加熱
によって容易に重合し、高耐熱性、高強度、低誘電率等
の優れた特性を有する架橋硬化物が得られる。また、本
発明の感光性ポリイミドは、各種溶媒に対して溶解性を
示すため、スピンコート法、ロールコート法、カーテン
コート法、スクリーンコート法等の各種塗布方法によっ
て成膜することができ、フィルム形成能に優れると共
に、ネガフィルムを通して所定のパターン通りに露光
し、未露光部を適当な溶媒で現像することにより微細な
レジストパターンを形成することができる。
【0013】次に、前記感光性ポリイミドの出発材料で
ある芳香族ジアミンモノマーの合成について説明する。
まず、プロパルギル基を有する4,4′−ジアミノ−
3,3′−ジプロピノキシカルボキシジフェニルメタン
又は4,4′−ジアミノ−3,3′−ジプロピノキシジ
フェニルメタンの合成は、4,4′−ジアミノ−3,
3′−ジカルボキシジフェニルメタン又は4,4′−ジ
アミノ−3,3′−ジヒドロキシジフェニルメタンとハ
ロゲン化プロパルギル、例えばプルパルギルブロミドの
エステル化又はエーテル化反応によって行われる。反応
は、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、
テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル(商品名:ジグライム)等の適当な有機溶媒中
で、0〜80℃、好ましくは15〜60℃で所定時間、
一般に3〜48時間行う。反応系に水が混入すると収率
が低下するので好ましくない。反応は、理論的には4,
4′−ジアミノ−3,3′−ジカルボキシジフェニルメ
タンのカルボキシル基1当量又は4,4′−ジアミノ−
3,3′−ジヒドロキシジフェニルメタンの水酸基1当
量に対してハロゲン化プロパルギル1当量の当モル反応
で進行するが、収率の点からはハロゲン化プロパルギル
を過剰に添加することが望ましく、一般に4,4′−ジ
アミノ−3,3′−ジカルボキシジフェニルメタンのカ
ルボキシル基1当量又は4,4′−ジアミノ−3,3′
−ジヒドロキシジフェニルメタンの水酸基1当量に対し
てハロゲン化プロパルギル1〜1.5当量、好ましくは
1.1〜1.3当量の割合で反応させる。また、プロパ
ルギルエステル基は反応性が高いために、エステル−ア
ミド交換などの副反応が進行する可能性があるため、特
に反応時間を短くする場合には高温よりも室温で反応を
行った場合の方が収率は高くなる。さらに脱ハロゲン化
水素試薬として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.
0]−ウンデセン−7等の強塩基試薬の存在下で反応を
行うことが好ましく、このような脱ハロゲン化水素試薬
の存在下でハロゲン化プロパルギルを過剰に加えること
により、室温でほぼ定量的に反応が進行し、例えば24
時間で約90%、48時間で約96%の収率が得られ
る。
【0014】一方、エポキシ基又はビニルエーテル基を
有する感光性ジアミンモノマーの合成は、前記したよう
な適当な溶媒中で4,4′−ジアミノ−3,3′−ジカ
ルボキシジフェニルメタン又は4,4′−ジアミノ−
3,3′−ジヒドロキシジフェニルメタンとエピクロル
ヒドリン又はクロロエチルビニルエーテルを水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒の存在下に反
応させて行うことができる。反応は室温〜80℃で容易
に進行する。反応時間は1〜24時間、好ましくは3〜
15時間が適当である。なお、この反応においても、前
記プロパルギル基の導入の場合と同様に、エピクロルヒ
ドリン又はクロロエチルビニルエーテルを過剰に用いる
ことが好ましい。また、反応の際に、テトラブチルアン
モニウムブロミドのような第四級オニウム塩を4,4′
−ジアミノ−3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン
又は4,4′−ジアミノ−3,3′−ジヒドロキシジフ
ェニルメタンに対して0.5〜10モル%程度併用して
も良い。前記したようなエステル化反応やエーテル化反
応それ自体は周知であり、従って詳細な説明は省くが、
本発明の感光性ジアミンの合成は前記したような方法に
限定されるものではなく、他の適当な方法で合成するこ
とも可能である。
【0015】次に、下記化9の反応式に示すように、前
記一般式(1)で示される感光性ジアミンモノマーと1
分子中に4個以上のカルボキシル基を有する多価カルボ
ン酸又はその無水物を適当な溶媒中で重付加反応させ、
ポリアミド酸を得た後(反応式(3))、これを脱水環
化して目的とするポリイミドを得る(反応式(4))。
これらポリアミド酸及びポリイミドの化学構造について
は、IR及び 1H−NMRスペクトルを測定し、得られ
たそれぞれの特徴あるスペクトルデータから確認した。
【化9】
【0016】前記多価カルボン酸又はその無水物として
は、例えば下記化10の式(a)で示される2,2−ビ
ス(3,4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン二無水物、式(b)の4,4′−オキシジフタル酸
二無水物、式(c)の3,3′,4,4′−ベンゾフェ
ノンテトラカンボン酸二無水物、式(d)の4,4′−
ビフタル酸二無水物、式(e)のピロメリット酸二無水
物、式(f)の3,3′,4,4′−ジフェニルスルホ
ンテトラカルボン酸二無水物、式(g)の1,4,5,
8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、式(h)の
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水
物、式(i)のビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エ
ン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物、式
(j)の[1,1′−ビナフタレン]−4,4′,5,
5′,8,8′−ヘキサカルボン酸二無水物、式(k)
の1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカル
ボン酸三無水物などが挙げられ、これらを単独で又は2
種以上を組み合わせて用いることができる。
【化10】
【0017】前記重付加反応の条件としては、反応温度
は−10℃〜+110℃、好ましくは室温〜50℃、反
応時間は3〜50時間、好ましくは5〜24時間が適当
である。反応時間が3時間未満の場合には収率が悪く、
一方、反応時間が10時間程度で反応収率がほぼ飽和状
態に近くなっており、反応時間をあまり長くしても収率
の大幅な向上は望めないため、生産性、経済性の点で好
ましくない。また、上記重付加反応は無触媒でも容易に
進行する反応であることから、温度依存性は小さい。一
方、ポリアミド酸の脱水環化反応は、0〜110℃で3
〜48時間、好ましくは60〜90℃で8〜24時間行
う。この脱水環化反応は、無水酢酸等の脱水剤や、好ま
しくはピリジン、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存
在下、室温で容易に進行する。但し、前記一般式(1)
においてRが−COOCH2 CH2 OCH=CH2 のジ
アミンモノマーを種々の多価カルボン酸又はその無水物
と反応させて合成したポリアミド酸を脱水環化させる場
合には、イミド化の際に副反応が進行してゲル化したポ
リマーとなり易いため、1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]−ウンデセン−7(略称DBU)や1,5−ジ
アザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(略称DB
N)などの強塩基性試薬の共存下に脱水環化反応を行う
必要がある。得られるポリイミドの分子量は、数平均分
子量として2,000〜10,000が好ましい。数平
均分子量が10,000を超えると高粘性になり、取扱
性が悪くなるので好ましくない。このようにして得られ
る本発明のポリイミドは、極性の高い有機溶媒には容易
に溶解するので、適当な塗布方法によって容易にフィル
ムを形成することができる。特に溶解性の点では、側鎖
にプロパルギル基を有するポリイミドが好ましい。
【0018】前記のようにして得られたポリイミドは、
カチオン重合性の感光基であるプロパルギル基、エポキ
シ基又はビニルエ−テル基を有するため、適当なカチオ
ン重合開始剤を添加することにより、光の照射により容
易に重合し、しかも得られる重合物は高い耐熱性を示
し、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を溶媒に溶かし
て成膜した後に加熱脱水してイミド化する場合に比べ
て、硬化の際の体積収縮が極めて少なく、種々の基材に
対する接着性が優れていると共に、電気特性、強度、硬
度等の特性においても優れている。従って、このような
感光性ポリイミドをカチオン重合開始剤と共に含有する
硬化性樹脂組成物は、塗料、印刷インキ、接着剤、表面
被覆剤等として、あるいは印刷版、プリント基板等のエ
ッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト
等の各種レジスト膜の形成や多層回路作成の際の層間絶
縁膜などの形成に有利に用いることができる。
【0019】活性エネルギー線によりカチオン重合を開
始させるカチオン重合開始剤としては、ジアリールヨー
ドニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、チオビ
ストリアリールスルホニウム塩類、セレノニウム塩類、
ホスホニウム塩類など従来公知の種々のカチオン重合開
始剤を用いることができるが、特に下記化11に示すよ
うなカチオン重合開始剤、即ち式(1)及び(2)で示
されるジアゾニウム塩、式(3)で示されるヨードニウ
ム塩、式(4)〜(6)で示される多アリールスルホニ
ウム塩、式(7)で示される金属錯体(鉄−アレン錯
体)、式(8)で示されるアリールシラノール・アルミ
ニウム錯体、式(10)及び(11)で示されるスルホ
ニウム塩、式(12)及び(13)で示されるピリジニ
ウム塩、式(14)及び(15)で示されるスルホニル
アセトフェノンなどが好ましい。
【化11】
【0020】上記式中、R1 はメチル基又はブチル基、
2 はメチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキ
ル基、R3 及びR4 は水素、t−ブチル基、オクトキシ
基又はペンタデカノキシ基、R5 は水素、メチル基又は
メトキシ基、R6 はフェニル基又はCH3 CH2 OCO
−、Rは水素又は低級アルキル基、X- はBF4 -、PF
6 -、SbF6 -、CF3 SO3 -、SbCl6 -又はClO4 -
を表わす。これらのカチオン重合開始剤は、単独で用い
てもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。光硬化
性樹脂組成物中におけるカチオン重合開始剤の配合割合
は、感光性ポリイミドの感光基に対して1〜30モル%
が適当であり、最も好ましくは5〜20モル%である。
カチオン重合開始剤の配合割合が1モル%未満であると
充分な光硬化性が得られ難いので好ましくない。
【0021】また、本発明のポリイミドは熱重合開始剤
と共存することによって加熱により容易に重合し、前記
したような特性に優れた重合物が得られる。熱重合開始
剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合
物や、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、ジ
−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物等、ラジ
カル重合触媒として公知の各種化合物を用いることがで
きる。上記のような熱重合開始剤の使用量の好適な範囲
は、前記ポリイミドの感光基に対して0.1〜30モル
%、好ましくは1〜10モル%となる割合である。熱重
合開始剤が0.1モル%未満の場合には硬化反応が遅く
なり、一方、30モル%より多い場合には硬化膜の特性
が悪くなり、また、硬化性樹脂組成物の保存安定性が悪
くなるので好ましくない。
【0022】また、本発明の硬化性樹脂組成物は、前記
したような有機溶剤のほか、その性能を損わない範囲で
必要に応じて、希釈剤として、また光硬化性向上の目的
で、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、β
−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、N,
N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエ
チルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアク
リルアミド、エチレングリコールジアクリレート、ジエ
チレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロ
ピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリ
コールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジア
クリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ
ス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフル
フリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、又
は上記各アクリレートに対応する各メタクリレート類、
多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと
のモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステル、
ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ノボラック
型エポキシアクリレート又はウレタンアクリレートな
ど、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー類、オ
リゴマー類もしくはプレポリマー類を添加することがで
き、それによって組成物の光硬化性をさらに増進させる
ことができる。上記のような希釈剤の使用量は、前記感
光性ポリイミド100重量部に対して200重量部以
下、好ましくは10〜150重量部の割合が望ましい
が、硬化性樹脂組成物の使用目的、あるいはスピンコー
ト法、ロールコート法、カーテンコート法、スクリーン
印刷法等の塗布方法に応じて適宜の割合で使用すればよ
い。
【0023】本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに熱硬
化特性を増進させる目的で、必要に応じてエポキシ樹脂
や、アミン化合物などのエポキシ樹脂用硬化剤を配合す
ることができる。上記エポキシ樹脂としては、代表的な
ものを挙げると、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
例えばビスフェノールAとエピクロルヒドリンとをアル
カリ存在下に反応させて得られるビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールAとホルマリンを縮合反応
した樹脂のエポキシ化物、ビスフェノールAの代わりに
ブロム化ビスフェノールAを用いたものや、ノボラック
樹脂にエピクロルヒドリンを反応させてグリシジルエー
テル化したノボラック型エポキシ樹脂、例えばフェノー
ルノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、p−
t−ブチルフェノールノボラック型等のエポキシ樹脂、
また、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロ
ルヒドリンを反応させて得られるビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等があ
る。さらに、シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロ
デセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基等を
有する環式脂肪族エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジル
エステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステ
ル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テレ
フタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オ
キシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリ
シジルエステル樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェ
ニルメタン、トリグリシジルーpーアミノフェノール、
ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テト
ラグリシジルメタキシリレンジアミン、ジグリシジルト
リブロムアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチル
シクロヘキサン等のグリシジルアミン系樹脂;ヒダント
イン環をグリシジル化したヒダントイン型エポキシ樹
脂;トリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレ
ート;ビキシレノール型又はビフェノール型のエポキシ
樹脂;側鎖にグリシジル基を有する共重合体等がある
が、これらに限定されるものではない。これらは単独で
又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その使
用量は前記感光性ポリイミド100重量部に対して10
0重量部以下の割合が適当である。
【0024】また、アミン化合物としては、ベンジルジ
メチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメ
チルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチル
ベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジ
ルアミン、4,4´,4´´−トリアミノトリフェニル
メタン、4,4´,4´´−トリアミノトリフェニルエ
タン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´
−ジアミノジフェニルスルホン、o−,m−,p−フェ
ニレンジアミン、三フッ化ホウ素−アミン・コンプレッ
クス(錯体)、ジシアンジアミド及びその誘導体、有機
酸ヒドラジッド、ジアミノマレオニトリル、メラミン及
びその誘導体、アミンイミド、ポリアミンの塩等が挙げ
られる。また、イミダゾール、2−メチルイミダゾー
ル、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチル
イミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニ
ルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミ
ダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4
−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体や、グア
ナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグア
ナミン類などを用いることもできる。これらは単独で又
は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合
量は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し一般
に0.1〜1.1モルの範囲が適当である。
【0025】さらに本発明に係る硬化性樹脂組成物は、
感光性ポリイミドのプロパルギル基や、エポキシ基、ビ
ニルエーテル基の硬化反応の触媒として、多官能アミン
のアミノ基や多官能チオールのチオール基がブロックさ
れた構造のアミン誘導体やチオールを含有することもで
きる。多官能アミンや多官能チオールは、プロパルギル
基の三重結合や、ビニルエーテル基の二重結合、エポキ
シ基に付加反応を行い、感光性ポリイミドの光硬化反応
を促進するが、常温においても徐々に反応が進行し、長
期間放置するとその組成物はゲル化してしまう。そこ
で、本発明の硬化性樹脂組成物においては、光を照射し
ない限り上記のような反応の触媒として作用せず、安定
であるが、光を照射することで始めて光反応により多官
能アミンや多官能チオールを遊離するアミン誘導体やチ
オール誘導体を用い、優れた保存安定性を有するように
構成することができる。このようなアミン誘導体として
は、例えば光の照射により分解して4,4′−メチレン
ジアニリンを遊離するビス(4−ホルミルアミノフェニ
ル)メタンやメタキシレンジアミンを遊離する2,4−
ジホルミルアミノトルエンなどが好ましく、また、チオ
ール誘導体としては光の照射により1,4−ビス(メル
カプトメチル)ベンゼンを遊離するp−キシレンビス
(2−ニトロベンジル−α−S−チオカーボネート)な
どが好ましい。
【0026】さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、
光反応性や熱硬化反応性を損わない範囲で、さらに必要
に応じて硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー、炭
酸カルシウムなどの公知慣用の充填剤、フタロシアニン
・ブルー、フタロシアニン・グリーン、酸化チタン、カ
ーボンブラックなどの公知慣用の着色用顔料、消泡剤、
密着性付与剤、レベリング剤などの各種添加剤類を加え
てもよい。
【0027】前記したような成分を配合して調製された
組成物は、これを基材上に適当な方法で塗布し、光照射
及び/又は加熱によって硬化せしめる。光照射の光源と
しては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メ
タルハライドランプなどの工業的に利用し得る光源や、
レーザー光線、電子線、X線などの公知の活性光線のい
ずれも用いることができる。また、照射時間は、光源の
光の強さ等により変わるが、一般には0.5秒〜60分
間が適当である。また、光照射後、硬化性組成物を約7
0〜200℃、好ましくは約100〜160℃にさらに
加熱することにより、短時間でスムーズに加熱硬化が行
われ、耐熱性、寸法安定性、密着性、強度、硬度、電気
絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られる。
【0028】
【実施例】以下に合成例及び実施例を示して本発明につ
いて具体的に説明するが、本発明が下記合成例及び実施
例に限定されるものでないことはもとよりである。
【0029】合成例1 4,4′−ジアミノ−3,3′−ジプロピノキシカルボ
ニルジフェニルメタンの合成:ナスフラスコに4,4′
−ジアミノ−3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン
0.716g(2.5ミリモル)を入れ、これに溶媒と
してジメチルスルホキシド(DMSO)3mlを加えて
溶解させた後、強塩基試薬である1,8−ジアザビシク
ロ−[5.4.0]−ウンデセン−7(DBU) 0.
907g(6ミリモル)を少量ずつ滴下し、攪拌した。
次に、DMSO 1mlで希釈したプルパルギルブロミ
ド0.449ml(6ミリモル)を滴下ロートで10分
かけて滴下し、DMSO 1mlで滴下ロートを洗浄し
た後、室温で24時間反応を行った。反応終了後、反応
溶液を水中へ注ぎ、析出物を酢酸エチルで溶解させ、5
%NaHCO3 水溶液で3回、蒸留水で3回それぞれ洗
浄した後、酢酸エチルを減圧留去した。次に、残った溶
液をジエチルエーテルで希釈し、可溶部を濃縮後、n−
ヘキサンで洗浄した。そして、濃縮部を1晩減圧乾燥機
で乾燥後、褐色固体の4,4′−ジアミノ−3,3′−
ジプロピノキシカルボニルジフェニルメタン(以下、A
PCPと略称する)0.866g(収率89%)を得
た。得られたAPCPの融点は58.7〜61.0℃で
あり、IRスペクトル及び1H−NMRスペクトルのデ
ータからAPCPと同定できた。各スペクトルデータを
以下に示す。 IR(KBr):3480cm-1、3376cm-1(ν
N−H)、3290cm-1(νC−H)、2940cm
-1(νC−H)、2124cm-1(νC≡C)、169
3cm-1(νC=0)、1624cm-1(νC=C ar
omatic)、1587cm-1(σN−H)、1195cm
-1(νC−O−C) 1H−NMR(60MHz,溶媒DMSO−d6 ,内部標準TMS): δ(ppm)=3.40(s,2.OH,C≡CH) 3.61(s,2H,−CH2 −) 4.85(s,4.OH,−O−CH2 ) 6.51(s,3.9H,Ar−NH2 ) 6.82(d,2.OH,Ar−H) 7.10(d,2.OH,Ar−H) 7.59(s,2.2H,Ar−H)
【0030】合成例2 2,2−ビス(3,4−カルボキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン二無水物(以下、6FDAと略称する)
とAPCPの重付加反応:湿度10%以下の窒素雰囲気
下において、二口フラスコにAPCP0.1812g
(0.5ミリモル)を入れ、溶媒としてDMSO 0.
3mlで溶解させた後、6FDA0.2221g(0.
5ミリモル)を少量づつ攪拌しながら加えた。次に、
N,N−ジメチルアセトアミド0.2mlで容器内を洗
浄し、N2 バルーン及びバブラーを取り付け、窒素雰囲
気下、室温で8時間攪拌しながら反応を行った。反応終
了後、反応溶液をテトラヒドロフラン/エーテルで2
回、テトラヒドロフラン/メタノールで1回再沈精製を
行い、減圧デシケーター内で1日乾燥後、黄褐色固体の
ポリアミド酸(6FDAタイプ)0.3960g(収率
98%)を得た。得られたポリアミド酸(6FDAタイ
プ)の数平均分子量は5260であった。そのIRスペ
クトル及び 1H−NMRスペクトルのデータを以下に示
す。 IR(フィルム):3374cm-1(νN−H)、32
90cm-1(νC−H)、2128cm-1(νC≡
C)、1700cm-1(νC=Oアミド,エステル,カ
ルボキシ)、1520cm-1(σN−H)、1416c
-1(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.65(s,1.8H,−CH2 −) 4.06(s,1.8H,C≡CH) 4.96(s,4.OH,−O−CH2 ) 7.55〜8.18(m,12H,Ar−H) 10.91(s,1.8H,Ar−NH) 13.69(br,2.0H,−COOH)
【0031】合成例3〜6 種々のテトラカルボン酸二無水物とAPCPとの重付加
反応:湿度10%以下の窒素雰囲気下において、二口フ
ラスコにAPCP0.5436g(1.5ミリモル)を
入れ、DMSO 1.0mlで溶解させた後、種々のテ
トラカルボン酸二無水物1.5ミリモル(4,4′−オ
キシジフタル酸二無水物(以下、ODPAと略称する)
0.4653g、3,3′,4,4′−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと略称す
る)0.4833g、4,4′−ビフタル酸二無水物
(以下、BPAと略称する)0.4413g、又はピロ
メリット酸二無水物(以下、PMDAと略称する)0.
3272g)を少量づつ攪拌しながら加えた。次に、D
MSO 0.5mlで容器内を洗浄し、N2 バルーン及
びバブラーを取り付け、窒素雰囲気下、室温で8時間攪
拌しながら反応を行い、それぞれ合成例2と同じ方法で
単離精製を行った。各生成物の収量及び数平均分子量を
以下に示す。 合成例3(ODPAタイプ):収量0.9491g(9
4%)、数平均分子量3700 合成例4(BTDAタイプ):収量0.8213g(8
0%)、数平均分子量4250 合成例5(BPAタイプ):収量0.9124g(93
%)、数平均分子量5780 合成例6(PMDAタイプ):収量0.7259g(8
3%)、数平均分子量3840
【0032】また、前記合成例3〜6で得られた各生成
物のスペクトルデータを以下に示す。 合成例3(ODPAタイプ): IR(フィルム):3374cm-1(νN−H)、32
84cm-1(νC−H)、2128cm-1(νC≡
C)、1696cm-1(νC=Oアミド,エステル,カ
ルボキシ)、1520cm-1(σN−H)、1417c
-1(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.60(s,2.0H,−CH2 −) 4.16(s,2.0H,C≡CH) 4.96(s,4.OH,−O−CH2 ) 7.09〜8.11(m,12H,Ar−H) 10.90(s,1.8H,Ar−NH) 13.39(br,2.0H,−COOH)
【0033】合成例4(BTDAタイプ): IR(フィルム):3374cm-1(νN−H)、32
86cm-1(νC−H)、2128cm-1(νC≡
C)、1696cm-1(νC=Oアミド,エステル,カ
ルボキシ)、1526cm-1(σN−H)、1416c
-1(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.62(s,2.0H,−CH2 −) 4.15(s,2.0H,C≡CH) 4.98(s,4.OH,−O−CH2 ) 7.59〜8.19(m,12H,Ar−H) 10.95(s,1.8H,Ar−NH) 13.58(br,2.0H,−COOH)
【0034】合成例5(BPAタイプ): IR(フィルム):3374cm-1(νN−H)、32
86cm-1(νC−H)、2128cm-1(νC≡
C)、1688cm-1(νC=Oアミド,エステル,カ
ルボキシ)、1520cm-1(σN−H)、1416c
-1(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.60(s,2.0H,−CH2 −) 4.10(s,1.8H,C≡CH) 4.95(s,4.1H,−O−CH2 ) 7.50〜8.18(m,12H,Ar−H) 10.98(s,1.8H,Ar−NH) 13.42(br,2.0H,−COOH)
【0035】合成例6(PMDAタイプ): IR(フィルム):3374cm-1(νN−H)、32
86cm-1(νC−H)、2128cm-1(νC≡
C)、1696cm-1(νC=Oアミド,エステル,カ
ルボキシ)、1519cm-1(σN−H)、1416c
-1(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.60(s,2.0H,−CH2 −) 4.14(s,2.0H,C≡CH) 4.95(s,4.OH,−O−CH2 ) 7.10〜8.20(m,8H,Ar−H) 10.94(s,1.6H,Ar−NH) 13.70(br,2.0H,−COOH)
【0036】以下に、前記のようにして合成された各ポ
リアミド酸の脱水環化によるポリイミドの合成について
示す。 合成例7 ポリアミド酸(6FDAタイプ)の脱水環化:ポリアミ
ド酸(6FDAタイプ)0.300gを二口フラスコに
取り、ポリマー1ユニットに対し10当量の無水酢酸
0.388mlを加え、続いてピリジンを同じく10当
量0.271ml加えた。次に、N2 バルーン及びバブ
ラーを取り付け、窒素雰囲気下、室温で24時間攪拌し
ながら反応を行った。反応終了後、反応溶液をテトラヒ
ドロフラン/メタノールで2回再沈精製を行い、得られ
た粉末固体をグラスフィルターでろ別し、減圧デシケー
ター内で1日乾燥後、乳白色固体のポリイミド0.20
1g(収率70%)を得た。得られたポリイミド(6F
DAタイプ)の数平均分子量は7480であった。その
IRスペクトル及び 1H−NMRスペクトルのデータを
以下に示す。 IR(フィルム):3284cm-1(ν≡C−H)、2
128cm-1(νC≡C)、1786cm-1,1730
cm-1(νC=Oイミド,エステル)、1381cm-1
(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.40(s,2.0H,−CH2 −) 4.39(s,2.0H,C≡CH) 4.85(s,3.9H,−O−CH2 ) 7.59〜8.40(m,12H,Ar−H)
【0037】合成例8〜11 種々のポリアミド酸の脱水環化:種々のポリアミド酸
0.300gを二口フラスコに取り、ポリマー1ユニッ
トに対し10当量の無水酢酸を加え、続いてピリジンを
同じく10当量加えた(無水酢酸/ピリジン:ODPA
タイプ0.466ml/0.325ml、BTDAタイ
プ0.457ml/0.319ml、BPAタイプ0.
477ml/0.333ml、PMDAタイプ0.53
9ml/0.377ml)。次に、N2 バルーン及びバ
ブラーを取り付け、窒素雰囲気下、合成例8〜10は室
温で24時間、合成例11は90℃で24時間攪拌しな
がら反応を行い、合成例7と同様の単離精製法により、
黄〜乳白色の固体をそれぞれ得た。各ポリイミドの収量
及び数平均分子量を以下に示す。 合成例8(ODPAタイプ):収量0.269g(95
%)、数平均分子量5480 合成例9(BTDAタイプ):収量0.248g(10
0%)、数平均分子量4890 合成例10(BPAタイプ):収量0.219g(77
%)、数平均分子量4690 合成例11(PMDAタイプ):収量0.207g(7
4%)、数平均分子量5030
【0038】また、前記合成例8〜11で得られた各ポ
リイミドのスペクトルデータを以下に示す。 合成例8(ODPAタイプ): IR(フィルム):3280cm-1(ν≡C−H)、2
128cm-1(νC≡C)、1780cm-1,1726
cm-1(νC=Oイミド,エステル)、1380cm-1
(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.50(s,1.9H,−CH2 −) 4.31(s,1.9H,C≡CH) 4.86(s,3.9H,−O−CH2 ) 7.20〜8.40(m,12H,Ar−H)
【0039】合成例9(BTDAタイプ): IR(フィルム):3282cm-1(ν≡C−H)、2
128cm-1(νC≡C)、1781cm-1,1726
cm-1(νC=Oイミド,エステル)、1379cm-1
(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.43(s,2.0H,−CH2 −) 4.38(s,2.0H,C≡CH) 4.82(s,4.0H,−O−CH2 ) 7.60〜8.63(m,12H,Ar−H)
【0040】合成例10(BPAタイプ): IR(フィルム):3284cm-1(ν≡C−H)、2
126cm-1(νC≡C)、1778cm-1,1721
cm-1(νC=Oイミド,エステル)、1378cm-1
(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.42(s,1.9H,−CH2 −) 4.38(s,2.0H,C≡CH) 4.81(s,3.9H,−O−CH2 ) 7.52〜8.58(m,12H,Ar−H)
【0041】合成例11(PMDAタイプ): IR(フィルム):3284cm-1(ν≡C−H)、2
128cm-1(νC≡C)、1780cm-1,1728
cm-1(νC=Oイミド,エステル)、1377cm-1
(νC−N) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.40(s,2.1H,−CH2 −) 4.38(s,2.0H,C≡CH) 4.80(s,3.9H,−O−CH2 ) 7.04〜8.40(m,8H,Ar−H)
【0042】前記合成例7〜11において合成した種々
のポリイミドを約2mgずつ試験管に取り、表1に示す
種々の溶媒1mlを加え、ポリイミドの溶解特性を観察
した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0043】合成例12 4,4′−ジアミノ−3,3′−ジカルボキシジフェニ
ルメタンのエチルビニルエーテルエステルの合成:ナス
フラスコに4,4′−ジアミノ−3,3′−ジカルボキ
シジフェニルメタン0.429g(1.5ミリモル)を
入れ、これに溶媒としてジメチルスルホキシド(DMS
O)3mlを加えて溶解させた後、強塩基試薬である
1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン
−7(DBU) 0.454g(3ミリモル)を少量ず
つ滴下し、攪拌した。次に、DMSO 1mlで希釈し
た2−クロロエチルビニルエーテル0.305ml(3
ミリモル)を滴下ロートで10分かけて滴下し、DMS
O 1mlで滴下ロートを洗浄した後、70℃で24時
間反応を行った。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルで
希釈し、蒸留水で3回洗浄した後、酢酸エチルを減圧留
去し、クロロホルム/n−ヘキサン混合溶媒で再結晶を
行い、白色固体の4,4′−ジアミノ−3,3′−ジカ
ルボキシジフェニルメタンのエチルビニルエーテルエス
テル(以下、AEVEと略称する)0.540g(収率
85%)を得た。得られたAEVEの融点は74.6〜
75.4℃であり、IRスペクトル及び1H−NMRス
ペクトルのデータからAEVEと同定できた。各スペク
トルデータを以下に示す。 IR(KBr):3484cm-1、3376cm-1(ν
N−H)、3028cm-1(νC−Hビニル)、295
4cm-1(νC−H)、1692cm-1(νC=0)、
1621cm-1(νC=C)、1587cm-1(σN−
H)、1502cm-1(νC=Caromatic)、1247
cm-1(νC−O−Cエーテル)、1194cm-1(ν
C−O−Cエステル) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.64(s,2H,−CH2 −) 3.98(t,2.OH,−O−CH2 ) 4.01(dd,4.OH,C=CH2 ) 4.24(dd,2.OH,C=CH2 ) 4.40(t,4.OH,−CH2 −O) 6.51(m,6.0H,Ar−NH2 ,O−CH=) 6.71(d,2.OH,Ar−H) 7.09(d,2.OH,Ar−H) 7.56(s,2.0H,Ar−H) なお、反応時間を48時間としたときの収率は88%で
あった。
【0044】合成例13 6FDAとAEVEの重付加反応:湿度10%以下の窒
素雰囲気下において、二口フラスコにAEVE0.5ミ
リモルを入れ、溶媒としてDMSO 0.5mlで溶解
させた後、6FDA0.5ミリモル及びトリエチルアミ
ン1.0ミリモルを少量づつ攪拌しながら加えた。室温
で8時間攪拌しながら反応を行った。反応終了後、反応
溶液をテトラヒドロフラン/エーテルで2回再沈精製を
行い、減圧デシケーター内で1日乾燥後、ポリアミド酸
(6FDAタイプ)のトリエチルアミン塩を得た(収率
80%)。得られたポリアミド酸塩(6FDAタイプ)
のIRスペクトル及び 1H−NMRスペクトルのデータ
を以下に示す。 IR(フィルム):1684cm-1(νC=Oエステ
ル、カルボキシ)、1620cm-1(νC=Cビニ
ル)、1591cm-1(νC=Oアミド)、1519c
-1(σN−Hアミド)、1255cm-1(νC−O−
Cエーテル)、1192cm-1(νC−O−Cエステ
ル) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=1.03(t,15.5H,CH3 アミン) 2.09(q,10.1H,CH2 アミン) 3.95(br,7.5H,C=CH2 、−O−CH2 、− CH2 −) 4.21(dd,2.0H,C=CH2 ) 4.40(br,4.OH,CH2 −O−) 6.47(dd,2.OH,−O−CH=) 7.35〜8.40(m,12H,Ar−H) 11.10,11.64(s,s,2.0H,Ar−NH)
【0045】合成例14〜17 種々のテトラカルボン酸二無水物とAEVEとの重付加
反応:湿度10%以下の窒素雰囲気下において、二口フ
ラスコにAEVE0.5ミリモルを入れ、DMSO
0.5mlで溶解させた後、種々のテトラカルボン酸二
無水物(3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテト
ラカルボン酸二無水物(以下、DSDAと略称する)、
BPA、BTDA及びODPA)0.5ミリモル及びト
リエチルアミン1.0ミリモルを少量づつ攪拌しながら
加え、合成例13と同様に窒素雰囲気下、室温で8時間
攪拌しながら反応を行い、それぞれ合成例13と同じ方
法で単離精製を行った。各生成物の収量を以下に示す。 合成例14(DSDAタイプ):99% 合成例15(BPAタイプ):98% 合成例16(BTDAタイプ):97% 合成例17(ODPAタイプ):95%
【0046】以下に、前記のようにして合成された各ポ
リアミド酸塩の脱水環化によるポリイミドの合成につい
て示す。 合成例18 ポリアミド酸塩(6FDAタイプ)の脱水環化:ポリア
ミド酸塩(6FDAタイプ)0.2gを二口フラスコに
取り、ポリマー1ユニットに対し10当量の無水酢酸及
び表1に示す当量のDBUを加えた。室温で表2に示す
時間攪拌しながら反応を行った。反応終了後、反応溶液
をテトラヒドロフラン/メタノールで2回再沈精製を行
い、得られた粉末固体をグラスフィルターでろ別し、減
圧デシケーター内で1日乾燥後、ポリイミドを得た。得
られた結果を下記表2に示す。
【表2】 上記表2に示されるように、DBUの割合を増加させた
ところ、 1H−NMRにより決定したイミド化率はいず
れも92%以上で大きな変化はなかったが、収率の減少
がみられた。また、得られたポリイミドはテトラヒドロ
フラン(略称THF)、ジメチルスルホキシド(略称D
MSO)、N−メチルピロリドン(略称NMP)、ジメ
チルホルムアミド(略称DMF)、N,N−ジメチルア
セトアミド(略称DMAc)等に可溶であった。
【0047】得られたポリイミド(6FDAタイプ)の
IRスペクトル及び 1H−NMRスペクトルのデータを
以下に示す。 IR(フィルム):1785cm-1,1728cm
-1(νC=Oイミド)、1620cm-1(νC=Cビニ
ル)、1381cm-1(νC−N)、1256cm
-1(νC−O−Cエーテル)、1191cm-1(νC−
O−Cエステル) 1H−NMR(200MHz,DMSO−d6 ,TMS): δ(ppm)=3.24〜3.67(br,5.9H,−CH2 −、−O− CH2 ) 3.87(d,2.0H,C=CH2 ) 4.05(d,2.0H,C=CH2 ) 4.27(br,4.1H,CH2 −O−) 6.12(dd,1.8H,−CH=C) 7.55〜8.23(m,12H,Ar−H)
【0048】前記合成例18において、反応温度を表3
に示すように変えた以外は同様にしてイミド化を行っ
た。その結果を下記表3に示す。
【表3】 上記表3に示されるように、反応温度が高温になる程収
率は増大した。
【0049】また、表4に示す種々の溶媒を用いる以
外、合成例18と同様にして室温でイミド化を行った。
その結果を下記表4に示す。
【表4】 表4に示されるように、用いる溶媒の極性による差はほ
とんど見られなかった。また、得られたポリイミドは、
溶媒にトルエンを用いた場合(ゲル化)を除いて可溶性
であった。
【0050】合成例19〜22 種々のポリアミド酸塩の脱水環化:表5に示す種々のポ
リアミド酸塩0.2gを二口フラスコに取り、ポリマー
1ユニットに対し10当量の無水酢酸及び1.2当量の
DBUを加え、N2 バルーン及びバブラーを取り付け、
窒素雰囲気下、室温で24時間攪拌しながら反応を行
い、合成例18と同様の単離精製法により、各ポリイミ
ドをそれぞれ得た。いずれのポリイミドもIR及び 1
−NMRにより構造確認を行った。各合成例におけるポ
リイミドの収率を下記表5に示す。
【表5】 なお、前記合成例7〜11及び18〜22で得られたポ
リイミドのDSC(示差走査熱量測定)における熱分解
開始温度はいずれも490℃以上であった。
【0051】実施例1 前記合成例8において合成したODPAタイプのポリイ
ミド0.0600gとポリマー1ユニットに対し光カチ
オン重合開始剤である4−モルホリノ−2,5−ジブト
キシベンゼンジアゾニウム塩類(MDBZ−PF6 )を
それぞれ10モル%(0.0051g)、15モル%
(0.0067g)又は20モル%(0.0089g)
混合し、テトラヒドロフラン0.6mlに溶解させ、K
Br板へ塗布した後、暗所で自然乾燥してフィルムを作
成した。そのフィルムに250W超高圧水銀灯により、
照度2.03mW/cm2 (400nm)、全光照射の
条件で光照射を行い、IRによりC≡C結合伸縮に基づ
く2128cm-1付近の吸収減少を時間毎に測定した。
その結果、開始剤濃度10モル%では約66%まで、2
0モル%では約83%までC≡C結合吸収の減少が観測
された。このことから、開始剤濃度が高濃度であればそ
れだけ、C≡C結合吸収の減少割合(架橋率)を向上さ
せることができると考えられる。なお、光照射開始後約
20〜80秒で光照射による架橋反応はほぼ飽和状態に
達していた。また、どのポリマーフィルムにおいても、
光照射後には不溶化が起こっていた。これらの結果か
ら、側鎖にプロパルギル基を持つポリイミドは、光カチ
オン重合開始剤を添加し光照射することにより、容易に
カチオン重合による架橋が進行し、有機溶媒に不溶の皮
膜が得られることが確認された。
【0052】実施例2 前記合成例7、9〜11において合成した種々のポリイ
ミド0.0600gとポリマー1ユニットに対し光カチ
オン重合開始剤である4−モルホリノ−2,5−ジブト
キシベンゼンジアゾニウム塩類(MDBZ−PF6 )1
0モル%(6FDAタイプに対し0.0037g、BT
DAタイプに対し0.0044g、BPAタイプに対し
0.0045g、PMDAタイプに対し0.0052
g)をテトラヒドロフラン0.6mlに溶解させ、KB
r板へ塗布した後、実施例1と同様な方法で光照射を行
い、ポリイミドの主鎖骨格の違いによる架橋反応の進行
割合を、IRによりC≡C結合伸縮に基づく2128c
-1付近の吸収減少を時間毎に測定することで追跡し
た。その結果、約70〜75%の転化率が得られ、また
光照射開始後約30〜60秒で架橋反応はほぼ飽和状態
に達した。なお、ポリイミドの主鎖構造を変えたことに
よる架橋反応への影響はあまり大きくなかった。しかし
ながら、6FDAタイプやBTDAタイプのように主鎖
に屈曲を持たせたポリマーの方が、PMDAタイプのよ
うなポリマーよりも、反応初期の転化率が若干大きく、
また最終的な転化率も数パーセント〜10%程度大きか
った。
【0053】実施例3 前記合成例8において合成したODPAタイプのポリイ
ミド0.0600gとポリマー1ユニットに対し10モ
ル%の光カチオン重合開始剤(4−モルホリノ−2,5
−ジブトキシベンゼンジアゾニウム塩類MDBZ−BF
4 0.0039g又はMDBZ−SbF6 0.0053
g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニ
ウム塩類DMAZ−PF6 0.0028g)を混合し、
テトラヒドロフラン0.6mlに溶解させ、KBr板へ
塗布した後、実施例1と同様な方法で光照射を行い、開
始剤の種類による架橋反応の進行割合を、IRによりC
≡C結合伸縮に基づく2128cm-1付近の吸収減少を
時間毎に測定することで追跡した。その結果、MDBZ
塩類を添加した場合、対イオンの種類による活性の大き
さはSbF6 - >PF6 - >BF4 - であることが知ら
れているが、光照射初期から見かけ上吸収減少が停止す
るまでに要する時間は、SbF6 - の場合がもっとも短
く、続いてPF6 - ,BF4 - となり、対イオンの活性
の差が明確に示された。また、最終的な転化率は65〜
70%程度であり、対イオンの種類による差が若干認め
られた。これらの結果から、MDBZ塩類を開始剤に用
いた場合には、反応の初期段階での進行が速く、容易に
プロパルギル基を高い転化率で架橋できることが確認さ
れた。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明の感光性ポリイミ
ドは、カチオン重合可能な感光基としてプロパルギル
基、エポキシ基及びビニルエーテル基を導入した芳香族
ジアミンと、1分子中に4個以上のカルボキシル基を有
する多価カルボン酸又はその無水物を重付加反応させて
得られるポリアミド酸を脱水環化させて合成されるもの
であるため、比較的容易に合成できると共に、得られる
ポリイミドの繰り返し単位当たりの感光基の割合が多く
なり、また酸素の影響を受けないカチオン重合によって
硬化するため感度が高くなる。
【0055】また、本発明の感光性ポリイミドは、光硬
化性及び熱硬化性を示すと共に、このような感光基がエ
ステル結合又はエーテル結合(特に好ましくはエステル
結合)によって導入されたものであるため、極めて高い
耐熱性を示し、また各種溶媒に対する溶解性を示す。従
って、このような感光性ポリイミドを適当なカチオン重
合開始剤及び/又は熱重合開始剤(重合開始触媒)と共
存させることにより、光の照射及び/又は加熱によって
容易に重合し、従来のようにポリイミド前駆体(ポリア
ミド酸)を溶媒に溶かして成膜した後に加熱脱水してイ
ミド化する場合に比べて、硬化の際の体積収縮が極めて
少なく、種々の基材に対する接着性が優れていると共
に、高耐熱性、高強度、低誘電率等の優れた特性を有す
る架橋硬化物が得られる。また、本発明の感光性ポリイ
ミドは、各種溶媒に対して溶解性を示すため、スピンコ
ート法、スクリーンコート法等の各種塗布方法によって
成膜することができ、フィルム形成能に優れると共に、
ネガフィルムを通して所定のパターン通りに露光し、未
露光部を適当な溶媒で現像することにより微細なレジス
トパターンを形成することができる。従って、このよう
な感光性ポリイミドをカチオン光重合開始剤と共に含有
する硬化性樹脂組成物は、塗料、印刷インキ、接着剤、
表面被覆剤等として、あるいは印刷版、プリント基板等
のエッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジ
スト等の各種レジスト膜の形成や多層回路作成の際の層
間絶縁膜などの形成に有利に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 73/12 C08G 73/12 C08L 79/08 C08L 79/08 Z G03F 7/038 504 G03F 7/038 504

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1の一般式(1)で示される感光
    性芳香族ジアミン。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記化2の一般式(2)で示される感光
    性ポリイミド。 【化2】
  3. 【請求項3】 (a)下記化3の一般式(1)で示され
    る感光性芳香族ジアミンと(b)1分子中に4個以上の
    カルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその無水物
    を重付加反応させて得られるポリアミド酸を脱水環化さ
    せることを特徴とする、下記化4の一般式(2)で示さ
    れる感光性ポリイミドの製造方法。 【化3】 【化4】
  4. 【請求項4】 前記多価カルボン酸又はその無水物
    (b)が、2,2−ビス(3,4−カルボキシフェニ
    ル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4′−オキ
    シジフタル酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフ
    ェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ビフタル
    酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,
    4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
    1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
    物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無
    水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,
    3,5,6−テトラカルボン酸無水物、[1,1′−ビ
    ナフタレン]−4,4′,5,5′,8,8′−ヘキサ
    カルボン酸二無水物及び1,2,3,4,5,6−シク
    ロヘキサンヘキサカルボン酸三無水物よりなる群から選
    ばれた少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水
    物である請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 (A)下記化5の一般式(2)で示され
    る感光性ポリイミドと、(B)活性エネルギー線により
    カチオン重合を開始させるカチオン重合開始剤及び/又
    は熱重合開始剤を含有することを特徴とする硬化性樹脂
    組成物。 【化5】
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100361588B1 (ko) * 1999-12-31 2002-11-22 한국화학연구원 폴리아미드 감광성 내열절연체 조성물
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