JPH1072291A - シリコン単結晶引き上げ装置用のルツボ - Google Patents

シリコン単結晶引き上げ装置用のルツボ

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JPH1072291A
JPH1072291A JP22981196A JP22981196A JPH1072291A JP H1072291 A JPH1072291 A JP H1072291A JP 22981196 A JP22981196 A JP 22981196A JP 22981196 A JP22981196 A JP 22981196A JP H1072291 A JPH1072291 A JP H1072291A
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crucible
base material
single crystal
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silicon single
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JP22981196A
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Koji Kato
浩二 加藤
Masayuki Sato
正行 佐藤
Takashi Takagi
俊 高木
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 C/Cコンポジットという基材を採用するこ
とによって、全体の薄肉化及び軽量化、さらには一体化
を図ることができて、C/CコンポジットとSiOガス
との反応による珪化を防止して珪化層脱落が生じないよ
うにすることができて、耐久性が高いルツボを提供する
こと。 【解決手段】 保護容器12の基材12aをC/Cコン
ポジットにより形成し、かつこの基材12aの少なくと
も上部の表面に熱分解炭素からなる被膜12bを形成し
たこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン単結晶引
き上げ装置を構成するための部材に関し、特に、シリコ
ン単結晶引き上げ装置を構成するヒータの内側に配置さ
れて、このヒータからの熱を受けてシリコン材料を溶融
するルツボに関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコン単結晶引き上げ装置は、所謂チ
ョクラルスキー法と称される方法により、雰囲気ガスの
存在下で、ルツボ内のシリコン融液からシリコン単結晶
を引き上げるもので、例えば、特公昭57−15079
号公報にて示されているような「単結晶製造装置」とし
て知られている。この公報に示された装置は、「炉体容
器1内にその下方より回転軸2が導入され、その回転軸
2の端面上に載置台3を介してルツボ4が配される。又
該ルツボ4の周りに発熱体5と保温筒6が配され、而し
てルツボ4内でシリコンが溶融され融液7を得る。一方
炉体容器1の上方には上下に滑動する回転軸9が設けら
れている。該回転軸9の遊端にシリコンの種結晶8を取
付け、回転軸9を種結晶8がルツボ4内の融液7に触れ
ている状態より上方に移動させて、種結晶8の下に続く
シリコンの単結晶10を得る。単結晶を育成する際、不
必要な反応生成ガスが、単結晶10及び融液7の液面で
反応しないように、これを排除する必要がある。このた
めにアルゴン等の不活性ガスを雰囲気ガスとして、炉体
容器1の上方より単結晶及び液面に送給し、炉体容器下
部より排出する」というものである(上記公報の第2
欄)。
【0003】この種のシリコン単結晶引き上げ装置にお
いて使用されるルツボは、シリコン融液が直接接触する
部分を石英ルツボとしておいて、シリコン融液中に金属
等の不純物が混入しないようにしている。また、シリコ
ンを溶融させる場合には、ルツボは1400℃以上に加
熱されることになって、石英ルツボが軟化して変形する
から、これを防ぐために、石英ルツボの外側を耐熱性に
優れた黒鉛によって形成した保護容器により包み込むよ
うにしている。
【0004】この石英ルツボを包み込む黒鉛容器は、石
英ルツボと熱膨張係数が異なるため使用時に破損するこ
とがあり、これを解決するために割れ型のものとするこ
とが提案されているが(実公昭52−27880号公
報)、その使用中に石英ルツボと反応して当該黒鉛容器
の内面が消耗されていく。この黒鉛容器内面の消耗は、
当該ルツボを使用する時間とともに成長していくことに
なり、特にその分割部分で大きく消耗し、ヒーターから
の輻射熱が石英ルツボに直接照射されたり、石英ルツボ
が分割部分に食い入って変形が大きくなり、石英ルツボ
を傷めてしまうことになる。
【0005】このような状況の中で、シリコンウエハー
の高品位化及び大口径化にともなう引き上げ条件の変
更、コストダウンを目的とした引き上げ条件に伴い、石
英ルツボの長寿命化や、石英ルツボを外側から包み込む
保護容器の薄肉・軽量化が必要となってきている。これ
らを満足する保護容器としては、炭素繊維を炭素結合さ
せたもの(以下、単にC/Cコンポジットという)によ
って一体成形したものがある。
【0006】また、ルツボの特に上部では、ここが非常
に高温となるものであることから、この部分に存在して
いる炭素と、石英ルツボと溶融シリコンから発生したS
iOガスとによって、次のような化学反応が生ずると考
えられる。 (1) SiO+2C→SiC+CO
【0007】このようにして形成された珪化層は、ルツ
ボを構成している保護容器の材料とは、物性が全く異な
ったものであるから、シリコン単結晶引き上げ装置を停
止して冷却したときに、保護容器に亀裂を生じさせる原
因となる。保護容器に亀裂が生じれば、珪化層等が細片
となって剥離して脱落し、これが炉体容器内を浮遊し
て、シリコン融液内に落下することがあった。
【0008】そのために、引き上げられるシリコン単結
晶中の炭素濃度が高くなったり、結晶欠陥の原因となっ
ていたのである。それだけでなく、ルツボを構成してい
る保護容器に亀裂が生じれば、ルツボの耐久性が低下す
ることは言うまでもない。
【0009】何故なら、このC/Cコンポジットは、炭
素繊維をおわん状に多層積層したものやワインディンン
グしたものに樹脂や石炭ピッチ等を塗布・含浸して、こ
れらの樹脂や石炭ピッチ等を炭素化して炭素結合させる
ことにより形成するものであるから、多層積層した炭素
繊維間に、石英ルツボ等から発生したSiOガスが浸透
し易くなりがちだからである。それだけでなく、このS
iOガスによってもともとの炭素繊維層そのものが層状
に珪化され易く、この珪化された層が膨潤状態で膨らん
でくることもある。
【0010】以上のような珪化層やその細片は、シリコ
ン単結晶引き上げ装置内を汚すだけでなく、高純度を維
持しなければならない引き上げられたシリコン単結晶の
不純物かつ結晶欠陥の原因ともなり、絶対に発生を防止
しなければならないものである。
【0011】そこで、本発明者は、この種のシリコン単
結晶引き上げ装置用のルツボについて、その保護容器の
基材をC/Cコンポジットによって形成することの長所
を生かしながら、前述した問題を解決するにはどうした
らよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を
完成したのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとす
る課題は、この種のシリコン単結晶引き上げ装置におけ
るルツボをより長寿命なものとすることにある。
【0013】すなわち、本発明の目的とするところは、
C/Cコンポジットという基材を採用することによっ
て、全体の薄肉化及び軽量化、さらには一体化を図るこ
とができて、C/CコンポジットとSiOガスとの反応
による珪化を防止して珪化層脱落が生じないようにする
ことができて、耐久性が高いルツボを提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、以下
の実施形態の説明中において使用する符号を付して説明
すると、「シリコン単結晶引き上げ装置100を構成す
るヒータ20の内側に配置されて、このヒータ20から
の熱を受けてシリコン材料を溶融するために、シリコン
材料を直接収納する石英ルツボ11と、この石英ルツボ
11を外側から包み込む保護容器12とにより構成した
ルツボ10であって、この保護容器12の基材12aを
C/Cコンポジットにより形成し、かつこの基材12a
の少なくとも上部の表面に熱分解炭素からなる被膜12
bを形成したことを特徴とするシリコン単結晶引き上げ
装置100用のルツボ10」である。
【0015】すなわち、本発明に係るルツボ10は、図
2に示すように、シリコン単結晶引き上げ装置100の
密閉本体50内に収納したヒータ20の内側に収納配置
されるものであり、シリコン材料を直接収納する石英ル
ツボ11と、この石英ルツボ11を外側から包み込む保
護容器12とにより構成したものである。そして、この
保護容器12の基材12a全体をC/Cコンポジットに
よって形成したのである。なお、密閉本体50内であっ
てヒータ20の外側には、密閉本体50からの熱の外方
への移動を規制する保温筒30が、断熱材40を介して
配置してある。
【0016】従って、このルツボ10を構成する保護容
器12によれば、これをC/Cコンポジットによって形
成したから、C/Cコンポジット自体の優れた物性によ
って薄肉化でき、しかもより一層軽量化できるといった
大きな長所を有したものとなっている。それだけでな
く、この保護容器12は、従来のそれのように割り型の
ものとする必要がなくて全く隙間のないものとなってい
るから、隙間による問題を全く考慮する必要のないもの
となっているのである。
【0017】保護容器12の基材12aを形成している
C/Cコンポジットは、次のようにして形成される。す
なわち、炭素繊維を1軸配向あるいは複数軸配向させて
「おわん」状素材としておいて、これに樹脂を含浸させ
て炭化する方法である。含浸に用いる樹脂としては、フ
ェノール、フラン等の樹脂の他、タール・ピッチ等があ
る。
【0018】そして、本発明に係るルツボ10は、その
保護容器12の少なくとも内側上部に位置する基材12
aの表面に、CVD法による熱分解炭素被膜12bを形
成する必要がある。その理由は、この熱分解炭素被膜1
2bによって、基材12aとSiOガスとの接触を阻止
して、上記式(1)に示した反応が生じないようにする
必要があるからである。特に、この熱分解炭素被膜12
bは、これを保護容器12の少なくとも内側上部に形成
しなければならない。その理由は、このルツボ10を構
成している保護容器12の内側上部は、ヒータ20によ
って最も加熱されている部分であり、また高温のSiO
ガスが最初に接触する部分でもあって、前述した(1)
の反応が最も起き易い部分だからである。
【0019】以上のように構成した本発明に係るルツボ
10によれば、次のような作用を発揮することになる。
すなわち、このルツボ10を収納したシリコン単結晶引
き上げ装置100を起動させると、ヒータ20によって
ルツボ10内のシリコンが溶融され、このシリコンが単
結晶化されて引き上げられることになる。これと同時
に、ルツボ10を構成している石英ルツボ11等からの
SiOガスや、ルツボ10内のシリコン自体が気化した
蒸気が、図1及び図2に示すように、ルツボ10の近傍
を飛散することになる。
【0020】ところが、本発明に係るルツボ10では、
図1に示したように、少なくともその保護容器12の内
側上面に、パイレックスガラス並のガス不浸透性をもっ
たCVD法による緻密質の熱分解炭素被膜12bが形成
してあるため、ここに飛散してきたSiOガスやSiガ
スはこの熱分解炭素被膜12bによって基材12aに接
触することがなく、従って基材12a中のC(炭素)と
反応することはない。
【0021】そして、このルツボ10の保護容器12を
形成している基材12aは、あくまでもC/Cコンポジ
ットをその基本材料とするものであり、しかもこの基材
12aの上部表面にだけ熱分解炭素被膜12bを形成す
ればよいから、全体としてみれば、非常にコストの低い
ものとなっているのである。従って、このルツボ10
は、安価でしかも耐久性の非常に高いものとなっている
のである。
【0022】そして、上記課題を解決するために、請求
項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に係るル
ツボ10の保護容器12について、「熱分解炭素からな
る被膜12bを、基材12aの上部表面及び内側表面に
形成したこと」である。
【0023】すなわち、この請求項2に係るルツボ10
では、その保護容器12の内側表面にも熱分解炭素被膜
12bを形成したものである。この内側表面の熱分解炭
素被膜12bは、当該保護容器12内に収納される石英
ルツボ11との融着を防止するためのものである。
【0024】つまり、保護容器12をC/Cコンポジッ
トによって形成すれば、石英ルツボ11が載置される面
に、炭素繊維の表面形状が残存することによる凹凸が存
在することになるのであるが、この凹凸内に軟化した石
英ルツボ11の一部が入り込むことになる。このため、
当該シリコン単結晶引き上げ装置100の稼働を停止し
て、全体を冷却してから石英ルツボ11を保護容器12
から取り出そうとしても、石英ルツボ11の底面が保護
容器12の内面に接着してしまい、両者の分離が行えな
い。
【0025】この点、当該請求項2に係るルツボ10で
は、その保護容器12の内側表面にも熱分解炭素被膜1
2bを形成したのであるから、この熱分解炭素被膜12
bによって保護容器12の内側表面が平滑化されて、石
英ルツボ11の底面が保護容器12の内面に融着するこ
とがなくなり、両者の分離を容易に行なうことができる
のである。
【0026】ちなみに、CVD法による熱分解炭素被膜
のガス透過率は、10-10〜10-12cm2/secであ
り、従来のルツボに用いられてきた等方性黒鉛材料の
0.5〜1.0cm2/secに比べて、格段に不浸透
性で緻密である。また、熱分解炭素の引張強度は、等方
性黒鉛材料の10〜20倍になる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に本発明を、図面に示した実施
の形態について説明すると、図2には、本発明に係るル
ツボ10が適用されるシリコン単結晶引き上げ装置10
0の縦断面図が示してある。
【0028】このシリコン単結晶引き上げ装置100
は、その密閉本体50内にシリコンを溶融させるための
ルツボ10を回転軸55にて回転可能に収納したもので
あり、このルツボ10の周囲にはこれを加熱するための
ヒータ20が配置してある。このヒータ20の外側には
保温筒30が配置してあり、この保温筒30と密閉本体
50との間には断熱材40が収納してある。ルツボ10
は、溶融したシリコンと直接接触する部分を石英ルツボ
11とするとともに、この石英ルツボ11を、その外側
に配置した保護容器12によって包み込むようにした二
重構造のものである。
【0029】なお、ヒータ20は、一般的には、所謂黒
鉛ヒータが採用されるものであり、その発熱中心60
は、図2中に示したような最高温度を示す位置にある。
換言すれば、ルツボ10内の溶融シリコンの表面は、そ
の温度を高くして、シリコンの溶融を完全かつ十分なも
のとし、その発熱中心60とルツボ10内の溶融シリコ
ン表面との関係は略一定のもの、つまり発熱中心60が
常にシリコン表面より僅かに下方となるものであり、図
2に示したような位置関係で略一定となるものである。
【0030】ルツボ10の保護容器12は、その基材1
2aをC/Cコンポジットを材料として形成したもので
あり、この基材12aの少なくとも内側上面には、図1
に示したように、熱分解炭素被膜12bが形成してあ
る。これらの熱分解炭素被膜12b及び基材12aは、
以下の実施例にて示すように製造または形成されるもの
である。
【0031】なお、前述したヒータ20や保温筒30
は、回転することになるルツボ10に対して一定の位置
に配置しなければならないし、ルツボ10の周囲にはア
ルゴンガス等の不活性ガスを流さなければならないか
ら、図2に示したような各種部材が採用される。すなわ
ち、まず、ヒータ20は、密閉本体50の底面に設けた
電極54上に固定した電導軸58、及びその上の端子5
7によって、外部からの電力提供を可能にしながら支持
されている。そして、このヒータ20の上端とルツボ1
0との間に、図2の矢印にて示したような不活性ガス通
路を形成しなければならないため、ルツボ10の上端に
上部リング51が取付けてある。勿論、密閉本体50内
の熱は外部へ逃がしてしまうと、効率の悪いシリコン単
結晶引き上げ装置100となってしまうから、保温筒3
0と密閉本体50との間は当然のこととして、他の部分
の密閉本体50の内側にもできるだけ多くの断熱材40
が配置してある。
【0032】また、この密閉本体50の底部上には、断
熱材40を介して底部遮熱板53が載置してあり、これ
らの底部遮熱板53及び断熱材40に形成した排気口を
介して、当該シリコン単結晶引き上げ装置100の作動
中において、その内部のガスの排出がなされているので
ある。この密閉本体50内への不活性ガスの供給は、密
閉本体50の上部に取付けたガス整流部材56を介して
行われている。なお、保温筒30そのものは、ヒータ2
0の周囲を覆えば十分であるから、図2に示したよう
に、下部リング52によって区画してあり、この下部リ
ング52の下方は別部材としてある。
【0033】以上のシリコン単結晶引き上げ装置100
を構成している各部材の内、Si蒸気やSiOガスに直
接さらされるものについては、本発明に係るルツボ10
の保護容器12のように構成して実施するとよい。例え
ば、上部リング51について言えば、これもヒータ20
の近傍に配置されて加熱されるものであるし、高温のS
iOガスにもさらされるものであり、従来の技術の項で
説明したのと略同じ問題を抱えているものである。従っ
て、この上部リング51の基材を、ルツボ10の基材1
2aと同様なC/Cコンポジットによって形成するとと
もに、この基材の、例えば内側下面に熱分解炭素被膜1
2bを形成するとよいのである。以上のことは、下部リ
ング52や底部遮熱板53、あるいは端子57や電導軸
58についても同様である。
【0034】さて、本発明に係るルツボ10を構成する
ための保護容器12について、その製造方法を含んだ実
施例とともにさらに詳述すると、次の通りである。
【0035】(実施例1)まず、フェルトタイプの炭素
繊維を複数回巻回することにより、「おわん」状の炭素
繊維素材を形成し、この炭素繊維素材にフェノール、あ
るいはフラン系樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはコール
タールピッチ類等を含浸させた。これらの樹脂等を硬化
させてから、これを不活性雰囲気中で炭素化した。以上
の樹脂含浸・炭素化を複数回繰り返すことにより、炭素
繊維が炭素結合した、おわん状体の素材を得た。これに
機械加工を施して、16インチ・サイズ(約400m
m)の基材12aを得た。
【0036】得られた基材12aをCVD炉に入れて1
400℃に加熱するとともに、水素ガスをキャリアとし
てメタンガスを炉内に連続的に供給した。これにより、
基材12aの表面全体に厚さ50μmの熱分解炭素被膜
12bが生成されたので、図1に示した熱分解炭素被膜
12b以外、つまり基材12aの上部内側と上端面の熱
分解炭素被膜12b以外の被膜を除去した。なお、基材
12aの熱分解炭素被膜12bを形成しなくてよい表面
に、熱分解炭素被膜12bの生成を阻止する遮幣物を配
置しておいて、基材12aの所定箇所にのみ熱分解炭素
被膜12bを形成するように実施してもよい。
【0037】(実施例2)この実施例における基材12
aの形成は次の2通りの方法によって行った。第1の方
法は、炭素繊維フィラメントを用いておわん状体を作成
し、これにフェノール樹脂含浸、硬化、焼成を2回繰り
返して全体を炭素化し、C/Cコンポジットからなる、
16インチ・サイズのおわん状体、すなわち基材12a
を得た。
【0038】第2の方法は、炭素繊維で編んだ布を用い
てルツボ10となるべき形状に形成し、これにフェノー
ル樹脂を含浸して、硬化後に900℃で焼成した。さら
に、フェノール樹脂含浸、硬化、焼成を2回繰り返し、
これを黒鉛化して、C/Cコンポジットからなる基材1
2aを得た。この基材12aに実施例1と同様な方法に
よって熱分解炭素被膜12bを形成した。
【0039】(比較例1)実施例1と同形状の基材12
aを得て、ルツボ10の保護容器とした。
【0040】(比較例2)実施例2と同形状の基材12
aを得て、ルツボ10の保護容器とした。
【0041】このようにして得られたルツボ10をシリ
コン単結晶引き上げ装置100に設置し、ライフの比較
を実施したところ、次の表に示す結果が得られた。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明においては、
上記実施形態において例示した如く、「シリコン単結晶
引き上げ装置100を構成するヒータ20の内側に配置
されて、このヒータ20からの熱を受けてシリコン材料
を溶融するために、シリコン材料を直接収納する石英ル
ツボ11と、この石英ルツボ11を外側から包み込む保
護容器12とにより構成したルツボ10であって、この
保護容器12の基材12aをC/Cコンポジットにより
形成し、かつこの基材12aの少なくとも上部の表面に
熱分解炭素からなる被膜12bを形成したこと」にその
構成上の特徴があり、これにより、薄肉化と軽量化、さ
らには一体化を図ることができ、SiOガスとの反応に
よる珪化を防止して珪化層脱落が生じないようにするこ
とができて、耐久性が高いシリコン単結晶引き上げ装置
100用のルツボ10を提供することができる。
【0043】また、請求項2に係るルツボ10において
は、上記請求項1に係るルツボ10の保護容器12につ
いて、「熱分解炭素からなる被膜12bを、基材12a
の上部表面及び内側表面に形成したこと」にその構成上
の特徴があり、これにより、上記請求項1の発明と同様
な効果を発揮することができる他、保護容器12の内側
表面にも形成した熱分解炭素被膜12bによって保護容
器12の内側表面を平滑化することができ、石英ルツボ
11の底面が保護容器12の内面に融着することを防止
することができ、両者の分離を容易に行なうことができ
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るルツボの拡大断面図である。
【図2】同ルツボが採用されているシリコン単結晶引き
上げ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
100 シリコン単結晶引き上げ装置 10 ルツボ 11 石英ルツボ 12 保護容器 12a 基材 12b 熱分解炭素被膜 20 ヒータ 30 保温筒 31 基材 40 断熱材 50 密閉本体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン単結晶引き上げ装置を構成する
    ヒータの内側に配置されて、このヒータからの熱を受け
    てシリコン材料を溶融するために、このシリコン材料を
    直接収納する石英ルツボと、この石英ルツボを外側から
    包み込む保護容器とにより構成したルツボであって、 この保護容器の基材をC/Cコンポジットにより形成
    し、かつ、この基材の少なくとも上部表面に熱分解炭素
    からなる被膜を形成したことを特徴とするシリコン単結
    晶引き上げ装置用のルツボ。
  2. 【請求項2】 前記熱分解炭素からなる被膜を、前記基
    材の上部表面及び内側表面に形成したことを特徴とする
    請求項1に記載のシリコン単結晶引き上げ装置用のルツ
    ボ。
JP22981196A 1996-08-30 1996-08-30 シリコン単結晶引き上げ装置用のルツボ Pending JPH1072291A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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