JP3636873B2 - 単結晶引き上げ装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、石英ルツボの周囲に位置する黒鉛ヒーターでその石英ルツボ内のSi(シリコン)を加熱して溶融させ、その溶融Si中からSi単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上述の如き装置としては従来、例えば特開平1-160894号公報にて開示されたものが知られており、この装置は、炉本体中央部内に黒鉛サセプタを昇降および回転可能に配置してその黒鉛サセプタで石英ルツボを保持するとともに、炉本体中央部内のその黒鉛サセプタの周囲に黒鉛ヒーターを配置し、炉本体の首状にすぼまった上部から炉本体中央部内にワイヤを昇降および回転可能に吊り下げてなるものである。
【0003】
かかる単結晶引き上げ装置によれば、チョクラルスキー法に基づき、炉本体内の空気をアルゴンガスで置換するとともに、石英ルツボ内の多結晶Siを黒鉛ヒーターで加熱して溶融させ、その溶融Si中に、ワイヤの下端にて保持した種結晶を浸漬させ、その後、溶融Siの温度を単結晶成長に適した所定温度に維持するとともに溶融Si内に不純物が混入しないよう炉本体内にアルゴンガスを供給しつつ、石英ルツボとワイヤとを互いに逆方向に回転させながらワイヤを少しずつ引き上げ、それに伴って、単結晶成長による溶融Siの減少で結晶成長界面の位置が変化しないように石英ルツボも少しずつ上昇させることにより、種結晶の下端にSi単結晶を順次成長させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来の装置にあっては、Si単結晶成長に適した温度が1500℃程度と極めて高温であることから、Si単結晶の引き上げ中に石英ルツボのSiO2と溶融Siとが反応して SiO(一酸化珪素)ガスが発生する(SiO2+Si→2SiO)。
【0005】
しかしながら上記従来の装置では、発生した SiOガスが、アルゴンガスの流れに乗って黒鉛ヒーターの発熱部に接触して、そこの高温になっている黒鉛と反応し、これによりその発熱部を形成している黒鉛の一部が SiC(炭化珪素)に変質してしまう( SiO+2C→ SiC+CO↑)。そしてこの SiCは、黒鉛とは熱膨張係数が異なることから、装置の稼働時の加熱と非稼働時の冷却との繰り返しにより黒鉛ヒーターから次第に剥離し、これにより、黒鉛ヒーターの発熱部は減肉してしまう。
【0006】
しかして発熱部が減肉消耗すると、発熱部の抵抗が上がって発熱部がさらに高温になり、さらに上記反応が進行して減肉が進んでしまう。これがため上記従来の装置では、Si単結晶の引き上げ条件が次第に変化してしまい、引き上げ条件を長期間に亘って安定させるために黒鉛ヒーターを頻繁に新品と交換することとすると、黒鉛ヒーターは比較的高価なものゆえ、装置の維持費が嵩んでしまうという問題があった。
【0007】
また、上記従来の装置では通常、溶融Siの温度管理のために炉本体中央部内に黒鉛ヒーターを囲繞するように断熱材を設けるとともに、その断熱材を保護するためにその断熱材と黒鉛ヒーターとの間に黒鉛製のインナーシールドを設けてあるが、このインナーシールドも、黒鉛ヒーターで加熱されるため黒鉛ヒーターと同様に一部が SiOガスによりSiC に変質して、黒鉛ヒーター程ではないが減肉消耗してしまうという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、上記課題を有利に解決した単結晶引き上げ装置を提供することを目的とするものであり、この発明の単結晶引き上げ装置は、石英ルツボの周囲に位置する黒鉛ヒーターと、その黒鉛ヒーターを囲繞するように配設された断熱材と、前記黒鉛ヒーターと前記断熱材との間に設けられた筒状のインナーシールドとを具え、前記黒鉛ヒーターでその石英ルツボ内のSiを加熱して溶融させ、その溶融Si中からSi単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置において、前記黒鉛ヒーターと前記石英ルツボとの間にSiOガスを遮るための筒状障壁を設け、その筒状障壁の上端部と前記インナーシールドの上端部との間を上板で覆うとともに、その筒状障壁の下端部と前記筒状のインナーシールドの下端部との間を、前記黒鉛ヒーターの電極が貫通する部分を除いて底板で覆い、その筒状障壁の表面に熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜を形成したことを特徴とするものである。
【0009】
かかる装置にあっては、Si単結晶の引き上げ中に石英ルツボのSiO2と溶融Siとが反応して発生した SiOガスが、黒鉛ヒーターと石英ルツボとの間に設けた筒状障壁と、黒鉛ヒーターとそれを囲繞する断熱材との間に設けられた筒状のインナーシールドと、その筒状障壁の上端部と前記インナーシールドの上端部との間を覆う上板と、その筒状障壁の下端部と前記筒状のインナーシールドの下端部との間を前記黒鉛ヒーターの電極が貫通する部分を除いて覆う底板とで遮られて、黒鉛ヒーターには全く接触しなくなる。従ってこの装置によれば、黒鉛ヒーターの発熱部の一部が SiCに変質してその発熱部が減肉消耗するのを有効に防止し得て、黒鉛ヒーターの寿命を従来よりも大幅に延長することができ、ひいては、多額の費用を費やして黒鉛ヒーターを頻繁に新品に交換することなしにSi単結晶の引き上げ条件を長期間に亘って安定させることができる。
【0010】
またこの装置にあっては、断熱材と黒鉛ヒーターとの間に設けられた筒状のインナーシールドにも、Si単結晶の引き上げ中に石英ルツボのSiO2と溶融Siとが反応して発生した SiOガスが、黒鉛ヒーターと石英ルツボとの間に設けた筒状障壁と、筒状のインナーシールドを囲繞する断熱材と、その筒状障壁の上端部と前記インナーシールドの上端部との間を覆う上板と、その筒状障壁の下端部と前記筒状のインナーシールドの下端部との間を前記黒鉛ヒーターの電極が貫通する部分を除いて覆う底板と遮られてほとんどもしくは全く接触しなくなる。従ってこの装置によれば、そのインナーシールドの減肉消耗も有効に防止し得て、装置の維持費を安価なものとすることができる。
【0011】
しかもこの装置にあっては、前記筒状障壁の表面に熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜を形成するので、前記筒状障壁を例えば炭素材料で形成した場合に、炭素材料自体は多孔質であるのでそのままでは SiOガスが貫流する可能性があるが、共にガス不浸透性を持つ熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜を表面に形成することで、 SiOガスの貫流を確実に防止することができる。
【0012】
なお、この発明の装置においては、前記筒状障壁は、好ましくは炭素材料からなるものとする。炭素材料は耐熱性が極めて高いので、筒状障壁を炭素材料からなるものとすれば、その筒状障壁も充分に寿命の長いものとすることができる。また炭素材料は高温で焼成することからその成形物は高純度のものになるので、筒状障壁を炭素材料からなるものとすれば、炉内の雰囲気中ひいてはSi単結晶中への不純物の混入を有効に防止することができる。そしてこの発明においては、その炭素材料を黒鉛材料としても良く、そのようにすれば、黒鉛材料は特に高温で焼成するので、筒状障壁の耐熱性および純度の点で特に有利である。しかして筒状障壁を黒鉛材料からなるものとする場合には、それを等方性黒鉛材料としても良く、そのようにすれば、装置の稼働時の加熱と非稼働時の冷却との繰り返しによる膨張収縮の際にも全方向に均等に膨張収縮を生ずるので、表面に形成した被膜に剪断力を発生させることがなく、それゆえ被膜を長期間確実に保持することができる。なお、等方性黒鉛材料を高密度のものとした場合には、それ自体の開気孔率が低くなるので、表面に熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜を設けなくても SiOガスの貫流をある程度防止することができる。
【0013】
さらに、この発明の装置においては、炭素材料からなる前記筒状障壁の表面に熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜を形成する場合に、前記筒状障壁を、好ましくは平均細孔半径が 20000オングストローム以下のものとする。筒状障壁の平均細孔半径が 20000オングストロームを越えると、熱分解炭素またはガラス状炭素の通常の厚さの被膜では気孔を完全には塞ぐことができなくなり、それらの被膜を厚くかつ均一に形成するのは、安定性および経済性の点で困難であるが、筒状障壁の平均細孔半径が 20000オングストローム以下であれば、安定性および経済性の点で有利な通常の厚さの熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜で、炭素材料からなる筒状障壁の気孔を完全に塞ぐことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の単結晶引き上げ装置の一実施例を示す縦断面図であり、また図2は、その実施例の装置における筒状障壁の設置構造を示す拡大縦断面図である。
【0015】
図1に示す単結晶引き上げ装置では、炉本体1の中央部内に黒鉛サセプタ2を昇降および回転可能に配置してその黒鉛サセプタ2で石英ルツボ3を保持するとともに、炉本体1の中央部内のその黒鉛サセプタ2の周囲に筒状の黒鉛ヒーター4を配置し、また、炉本体1の首状に窄まった上部から炉本体1の中央部内に、前述した従来装置のワイヤに代えてシャフト5を昇降および回転可能に吊り下げてあり、さらに、石英ルツボ3内の溶融Siの温度管理のために炉本体1の中央部内に黒鉛ヒーター4を囲繞するように断熱材6を配設するとともに、その断熱材6を黒鉛ヒーターの熱から保護するためにその断熱材6と黒鉛ヒーター4との間に黒鉛製の筒状インナーシールド7を設けてある。
【0016】
加えてこの実施例の装置では、黒鉛ヒーター4と石英ルツボ3との間に等方性黒鉛材料からなる筒状障壁8を設けてあり、ここにおけるインナーシールド7と筒状障壁8との設置構造は、図2にその詳細に示すように、これも炭素材料製の円盤状の底板9の上面にその底板9の中心軸線Cを中心として二重に形成した環状溝9a, 9b内にそれらインナーシールド7と筒状障壁8との下端部をそれぞれ嵌め合わせることでそれらインナーシールド7と筒状障壁8とを底板9により位置決めして支持し、またそれらインナーシールド7と筒状障壁8との上端部を、これも炭素材料製の環状の上板10の下面にその上板10の中心軸線Cを中心として二重に形成した環状溝10a および環状段部10b 内にそれぞれ嵌め合わせることでそれらインナーシールド7と筒状障壁8とを互いに結合した、簡易かつ堅牢なものとなっており、これにより黒鉛ヒーター4は、その半径方向内外方を筒状障壁8およびインナーシールド7により囲繞されるとともに、その上方を上板10により覆われ、さらにその下方も、電極が貫通する部分を除いて底板9により囲繞されている。なお、上記中心軸線Cは、黒鉛サセプタ2の中心軸線と一致するものである。
【0017】
さらにこの実施例の装置では、筒状障壁8の内周側表面に、熱分解炭素またはガラス状炭素からなる被膜11を形成してある。熱分解炭素からなる被膜11を黒鉛材料からなる筒状障壁8の表面に形成する方法としては、通常使用される各種化学蒸着法(CVD) を用いることができ、例えば、筒状障壁8の表面を 800〜2600℃に加熱しておき、炭化水素ガスもしくはハロゲン化炭化水素ガスを水素ガス共存下で筒状障壁8の表面に接触させて、多数の気孔を有するその筒状障壁8の表面上に熱分解炭素の緻密な層を形成する。これらの反応は、常圧もしくは減圧下で行われるが、熱分解炭素被膜の均一性および平滑性のためには減圧下、特に 300Torr以下で行うことが望ましい。また、熱分解炭素の被膜の厚さは10μm 〜 500μm が望ましい。その理由は、10μm 未満では十分なガス不浸透性が得られない一方、 500μm を越えると筒状障壁8の黒鉛材料との熱膨張率の差により被膜にクラックが生ずる可能性が大きくなるからである。
【0018】
またガラス状炭素は、フラン樹脂や、塩化ビニール樹脂、ポリビニルアルコール、油溶性フェノール樹脂等の有機重合体を不活性雰囲気中で焼成することで得られ、耐熱性や、強度、耐蝕性、ガスの非吸着性および不浸透性等に優れたものであり、ガラス状炭素からなる被膜11を黒鉛材料からなる筒状障壁8の表面に形成する方法としては、例えば、塩化ビニール樹脂をアルゴン雰囲気下にて、 380℃で40分間処理して不完全熱分解生成物を得、これをトリクレン中にトリクレン1リットルに対し 200グラムの割合で溶解させて溶液とし、その溶液を黒鉛材料からなる筒状障壁8の内周表面に塗布し、あるいはその溶液中に筒状障壁8を浸すことで、その筒状障壁8の少なくとも内周表面に上記不完全熱分解生成物の被膜を形成し、これを真空中にて1400℃で1時間焼成する。これにより、10μm の厚さを持つガラス状炭素からなる被膜11を、筒状障壁8の少なくとも内周表面に形成することができる。
【0019】
なお、等方性黒鉛材料からなる上記筒状障壁8は、上記熱分解炭素またはガラス状炭素からなる被膜11を長期間確実に保持するためには、熱膨張係数の異方比が1.25以下で、20〜 400℃の平均熱膨張係数が 1.5×10-6-1〜 6.5×10-6-1のものとすることが好ましい。また上記筒状障壁8は、被膜11で気孔を完全に塞ぐために、平均細孔半径が20000 オングストローム以下のものとする。ここに、「平均細孔半径」とは、水銀圧入法により細孔半径75オングストローム〜 75000オングストロームの範囲で細孔容積を累積測定し、その最終累積容積の1/2 の容積に対応する細孔半径を求めたものをいう。
【0020】
かかる等方性黒鉛材料からなる筒状障壁8は、例えば、平均粒径15ミクロンの骨材コークス 100部に対しコールタールピッチ56部をニーダーで加熱捏混した後それを粉砕し、得られた炭素前駆体をラバーバックに充填してラバープレスで面圧1.3ton/cm2にて加圧することにより円筒状成形体を形成し、それを1200℃まで一次焼成した後、得られた一次焼成品を誘導加熱炉のコイル内に断熱材とともに置いて、3KHz、300KW のサイリスタ−インバーター電源により 300℃/hr の昇温速度で2800℃まで直接加熱し、黒鉛化した後放冷するという方法によって製造することができる。なお、この実施例の装置では、その筒状障壁8の寸法を、外径 450mm、厚さ 5mm、高さ 850mmとした。
【0021】
この実施例の単結晶引き上げ装置によれば、チョクラルスキー法に基づき、炉本体1内の空気を不活性ガス、例えばアルゴンガスArで置換するとともに、石英ルツボ3内の多結晶Siを黒鉛ヒーター4で加熱して溶融させ、その溶融Si中にアンチモンを所定量加えてから、シャフト5の下端にて保持した種結晶をその溶融Si中に浸漬させ、その後、溶融Siの温度を単結晶成長に適した所定温度に維持するとともに溶融Si内に不純物が混入しないよう炉本体1内に上方からアルゴンガスArを供給し、同時に炉本体1内のアルゴンガスArや前述した SiOガス、COガスを下方へ排気しつつ、石英ルツボ3とシャフト5とを互いに逆方向に回転させながらシャフト5を少しずつ引き上げ、それに伴って、単結晶成長による溶融Siの減少で結晶成長界面の位置が変化しないように石英ルツボ3も少しずつ上昇させることにより、図1に示すように種結晶の下端にSi単結晶12を順次成長させることができる。
【0022】
しかもこの実施例の装置にあっては、Si単結晶の引き上げ中に石英ルツボ3のSiO2と溶融Siとが反応して発生した SiOガスが、黒鉛ヒーター4と石英ルツボ3との間に設けた筒状障壁8と上板10とで遮られて、黒鉛ヒーター4には全く接触しなくなる。従って、この実施例の装置によれば、黒鉛ヒーター4の発熱部の一部が SiCに変質してその発熱部が減肉消耗するのを確実に防止し得て、黒鉛ヒーター4の寿命を従来よりも大幅に延長することができ、ひいては、多額の費用を費やして黒鉛ヒーターを頻繁に新品に交換することなしにSi単結晶の引き上げ条件を長期間に亘って安定させることができる。なお、この筒状障壁8は、黒鉛ヒーター4の減肉に伴うパーティクルの発生を防止するとともに炉内の石英ルツボ3の周辺の気流の流れを整える機能も果たすので、従来の装置ではSi単結晶内に微量の炭素が混入する場合があった処、この実施例の装置によれば、石英ルツボ3の周辺のパーティクル量を減らし得て、Si単結晶内への炭素の混入を確実に防止することができる。
【0023】
またこの実施例の装置にあっては、断熱材6と黒鉛ヒーター4との間に黒鉛製のインナーシールド7を設けてある処、Si単結晶の引き上げ中に石英ルツボ3のSiO2と溶融Siとが反応して発生した SiOガスが、黒鉛ヒーター4と石英ルツボ3との間に設けた筒状障壁8と上板10とで遮られて、そのインナーシールド7にも全く接触しなくなる。従って、この実施例の装置によれば、そのインナーシールド7の減肉消耗も有効に防止し得て、装置の維持費を安価なものとすることができる。
【0024】
さらにこの実施例の装置によれば、筒状障壁8を、耐熱性および純度が高い炭素材料、なかでも特に耐熱性および純度の点で優れた黒鉛材料からなるものとしてあるので、筒状障壁8を充分に寿命の長いものとすることができるとともに、炉内の雰囲気中ひいてはSi単結晶中への不純物の混入を有効に防止することができる。
【0025】
またこの実施例の装置によれば、筒状障壁8の表面に熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜11を形成してあるので、筒状障壁8に対する SiOガスの貫流を確実に防止することができる。なお、本願発明者が実験した結果では、筒状障壁8を持たない従来の装置での黒鉛ヒーターの寿命は概ね3000時間であったのに対し、上記実施例の装置において、なにも被膜を設けていない黒鉛性筒状障壁8を用いた場合には、黒鉛ヒーター4の寿命は概ね8500時間に延び、またガラス状炭素の被膜11を設けた黒鉛性筒状障壁8を用いた場合には、黒鉛ヒーター4の寿命は概ね 17000時間に延び、そして熱分解炭素の被膜11を設けた黒鉛性筒状障壁8を用いた場合には、黒鉛ヒーター4の寿命は概ね 20000時間にまで延びた。従って、黒鉛性筒状障壁8そのものによる優れた黒鉛ヒーター寿命延長効果と、そこに被膜11を設けた場合のさらに優れた黒鉛ヒーター寿命延長効果とが確認された。
【0026】
さらにこの実施例の装置によれば、筒状障壁8を等方性黒鉛材料からなるものとして、装置の稼働時の加熱と非稼働時の冷却との繰り返しによる膨張収縮の際に全方向に均等に膨張収縮を生ずるようにしたので、表面に形成した被膜11に剪断力を発生させることがなく、それゆえ被膜11を長期間確実に保持することができる。
【0027】
さらにこの実施例の装置によれば、筒状障壁8を、平均細孔半径が 20000オングストローム以下のものとしたので、安定性および経済性の点で有利な通常の厚さの熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜11で筒状障壁8の気孔を完全に塞ぎ得て、黒鉛ヒーター4の寿命を確実かつ安価に延ばすことができる。
【0028】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、前記筒状障壁を形成するための炭素材料として、上記実施例の等方性黒鉛材料に代えて、押し出し成形黒鉛材料や、炭素結合炭素繊維複合材料、発泡性炭素黒鉛材料等を用いることもできる。また、前記筒状障壁を形成するための等方性黒鉛材料を、高密度等方性黒鉛材料としても良い。そして、前記筒状障壁の設置構造も、上記実施例に限定されず所要に応じて適宜に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の単結晶引き上げ装置の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】上記実施例の装置における筒状障壁の設置構造を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 黒鉛サセプタ
3 石英ルツボ
4 黒鉛ヒーター
5 シャフト
6 断熱材
7 インナーシールド
8 筒状障壁
9 底板
10 上板
11 被膜
12 Si単結晶

Claims (5)

  1. 石英ルツボの周囲に位置する黒鉛ヒーターと、
    その黒鉛ヒーターを囲繞するように配設された断熱材と、
    前記黒鉛ヒーターと前記断熱材との間に設けられた筒状のインナーシールドとを具え、
    前記黒鉛ヒーターでその石英ルツボ内のSiを加熱して溶融させ、その溶融Si中からSi単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置において、
    前記黒鉛ヒーターと前記石英ルツボとの間にSiOガスを遮るための筒状障壁を設け、
    その筒状障壁の上端部と前記インナーシールドの上端部との間を上板で覆うとともに、
    その筒状障壁の下端部と前記筒状のインナーシールドの下端部との間を、前記黒鉛ヒーターの電極が貫通する部分を除いて底板で覆い、
    その筒状障壁の表面に熱分解炭素またはガラス状炭素の被膜を形成したことを特徴とする、単結晶引き上げ装置。
  2. 前記筒状障壁は、炭素材料からなることを特徴とする、請求項1記載の単結晶引き上げ装置。
  3. 前記炭素材料を、黒鉛材料としたことを特徴とする、請求項2記載の単結晶引き上げ装置。
  4. 前記黒鉛材料を、等方性のものとしたことを特徴とする、請求項3記載の単結晶引き上げ装置。
  5. 前記筒状障壁を、平均細孔半径が 20000オングストローム以下のものとしたことを特徴とする、請求項3または請求項4記載の単結晶引き上げ装置。
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