JP2012012271A - 黒鉛ルツボ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CZ法によりシリコン単結晶を製造する際に用いられるシリコン融液を収容する石英ルツボを支持する黒鉛ルツボであって、少なくとも、円周方向に2つ以上に分割された黒鉛ルツボ本体と、該黒鉛ルツボ本体の底部を一体的に保持する受け皿とを有し、
更に、前記黒鉛ルツボ本体の少なくとも分割面の上端部に、分割面へのガスの流入を防止するための保護カバーを具備するものであることを特徴とする黒鉛ルツボ。
【選択図】図1
Description
(1)原料融液(シリコン融液)と石英ルツボとの反応
SiO2 + Si → 2SiO↑
(2)上記(1)の反応で発生したSiOガスによる黒鉛ルツボの珪化反応
2C + SiO → SiC + CO↑
(3)石英ルツボと黒鉛ルツボの珪化部分での消耗反応
SiC + 2SiO2 → 3SiO↑ + CO↑
更に、前記黒鉛ルツボ本体の少なくとも分割面の上端部に、分割面へのガスの流入を防止するための保護カバーを具備するものであることを特徴とする黒鉛ルツボを提供する。
更に、前記保護カバーは、前記黒鉛ルツボ本体の上端部を100%、側面部を黒鉛ルツボ本体の高さの30〜120%の範囲で覆うものであることが好ましい。
また、炭化珪素、窒化珪素、及び黒鉛の表層にSiCコート又はPCコートを施したもののいずれかからなる保護カバーであれば、SiOガスによる影響を受けにくく、保護カバーが老朽化し難いため、より経済的である。
シリコン単結晶を引き上げた後にルツボを冷却する際のルツボの破損を防止するため、2つ以上に分割された黒鉛ルツボが用いられることがあるが、このような黒鉛ルツボでは、その分割面にSiOガスの流入・流出がし易く、分割面において著しくSiC化や減肉が進行するという問題があった。
図1は本発明の黒鉛ルツボを備えたシリコン単結晶製造装置の一例を示す概略図である。
図1に示すように、シリコン単結晶製造装置14は、チャンバー1内に、原料となるシリコン融液2を収容する石英ルツボ3と、この石英ルツボ3を支持する本発明の黒鉛ルツボ4とが支持軸5で支持されており、ルツボ駆動機構(不図示)により上下動及び回転動が自在に行えるようになっている。
黒鉛ルツボ4の外側には抵抗加熱式のヒーター6が配設され、ヒーター6の外側には保温筒7が配設されており、これらはそれぞれ黒鉛ルツボ4と同心円状に配設されている。また、石英ルツボ3の中心軸上にはワイヤ8の下端部にシードチャック9を介して種結晶10が取り付けられている。
この黒鉛ルツボ4は、まず、全体の構成として、石英ルツボを囲んで支持するための黒鉛ルツボ本体41と、この黒鉛ルツボ本体41の底部を嵌合して一体的に保持する受け皿42から成る。この受け皿42は支持軸5の上端に取り付けられるようになっており、操業中は、これを回転させることによって石英ルツボ及び黒鉛ルツボを回転させることができる。
この保護カバー43により、上部よりSiOを含んだガスが分割面41cに流入し、分割面を浸食することを防止することができる。
この場合、SiOガスと反応し発生するCOガスのシリコン融液への混入防止、黒鉛ルツボ上端部のSiC化、揮発シリコンの蒸着による応力耐久性の低下を抑制するために、保護カバー43は、ガスの流入・流出し易い黒鉛ルツボの分割面のみでなく、黒鉛ルツボ本体の周囲全ての上端面を覆うものであることが好ましい。
上端から30%以上の高さで側面部を覆うものであれば、上から下に流れるガスが最も入り込み易い上端面をカバーできるとともに、上部側面からの流入も効果的に防止できる。もちろん、側面部の覆う範囲はできるだけ広い方がよいが、120%も覆えば十分で、ガスの逆流による黒鉛ルツボの浸食もほとんどないものとなる。
特には、両分割端面間の中心角をθとした場合、両分割端面間の円周の中心位置(1/2θの位置)の肉厚に比較して、分割端面から1/4θ以内(θ’)の領域の肉厚を、1倍より大きく2倍以下に厚くしたものが好ましい。
[実施例1]
シリコン単結晶をCZ法により製造するにあたって、図1のシリコン単結晶製造装置を用意し、通常の方法によりシリコン単結晶を製造した。尚、黒鉛ルツボは本発明のものとした。
すなわち、使用した黒鉛ルツボは、口径867mm、肉厚27mm、高さ500mmで、2つに分割された黒鉛ルツボ本体と、前記黒鉛ルツボ本体の上端部と側面部を覆う円筒部の内径が877mm、厚さ5mm、高さ250mm(黒鉛ルツボ本体の高さの50%の範囲を覆うもの)の保護カバー(SiOガスとの反応を抑制するために、黒鉛の表層にSiCコートを施したもの)、及び受け皿を具備するものである。
口径の894mm、高さ500mm、肉厚は、分割面から90°の位置を27mm、分割面から45°の位置より分割面にかけて32.4〜40.5mmと肉厚にした、2つに分割された黒鉛ルツボ本体と、前記黒鉛ルツボ本体の上端部と側面部を覆う円筒部の内径が904mm、厚さ5mm、高さ250mmの保護カバー(SiOガスとの反応を抑制するために、黒鉛の表層にSiCコートを施したもの)、及び受け皿を具備する黒鉛ルツボを用いた以外は、実施例1と同様にシリコン単結晶を製造した。
比較例として、黒鉛ルツボの口径867mm、肉厚27mm、高さ500mmで2つに分割された、保護カバーを具備しない黒鉛ルツボを用いて、その他は実施例1と同様にしてシリコン単結晶を製造した。
図5は、縦軸に黒鉛ルツボの減肉量(mm)をとったグラフである。一方、図6は、縦軸に黒鉛ルツボのSiC化量(mm)をとったグラフである。尚、図5、図6共に横軸は、黒鉛ルツボの使用指数である。使用指数とは、使用時間(hrs)/目標の使用時間(hrs)であり、例えば使用指数1.0は目標の時間まで使用出来たことを示す。
尚、測定位置は、図4に示すように、端面の減肉量及び端面から中心角30°の領域の減肉量とSiC化層とした。
保護カバーを具備する、本発明の黒鉛ルツボを用いた実施例では、減肉量とSiC化が抑制することができ、黒鉛ルツボの減肉、SiC化による黒鉛ルツボの破損は生じなかった。少なくとも使用指数を1.2まで延ばすことができた。特に、肉厚を厚くした実施例2では、使用指数を1.5以上と更に延ばすことができた。
41、41a、41b…黒鉛ルツボ本体、 41c…分割面、 42…受け皿、
43…保護カバー、5…支持軸、 6…ヒーター、 7…保温筒、 8…ワイヤ、
9…シードチャック、 10…種結晶、 11…シリコン単結晶、 12…ガス導入口、
13…ガス排出口 14…シリコン単結晶製造装置。
Claims (5)
- CZ法によりシリコン単結晶を製造する際に用いられるシリコン融液を収容する石英ルツボを支持する黒鉛ルツボであって、少なくとも、円周方向に2つ以上に分割された黒鉛ルツボ本体と、該黒鉛ルツボ本体の底部を一体的に保持する受け皿とを有し、
更に、前記黒鉛ルツボ本体の少なくとも分割面の上端部に、分割面へのガスの流入を防止するための保護カバーを具備するものであることを特徴とする黒鉛ルツボ。 - 前記保護カバーは、前記黒鉛ルツボ本体の上端部と側面部とを覆うものであることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記保護カバーは、前記黒鉛ルツボ本体の上端部を100%、側面部を黒鉛ルツボ本体の高さの30〜120%の範囲で覆うものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記保護カバーの材質が、黒鉛、炭化珪素、窒化珪素、及び黒鉛の表層にSiCコート又はPCコートを施したもののいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記黒鉛ルツボ本体の分割面における肉厚を、両分割端面間の円周の中心位置の肉厚に比較して1倍より大きく2倍以下に厚くしたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の黒鉛ルツボ。
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