JP2006240917A - 結晶製造装置および結晶製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 結晶成長中に発生する転位を抑制し、内部透過率などの光学特性に優れた結晶を製造する。
【解決手段】 坩堝110の少なくとも一部のガス透過率を、1×10−4cm/s以下とし、該坩堝内において、該坩堝の内壁と結晶との間に形成される空間182内の圧力が、融液よりも上方の空間180内の圧力よりも高くなるようにする。例えば、坩堝110を炭素化膜117で被膜する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、結晶性物質の原料から単結晶を成長させる結晶製造装置および結晶製造方法に関し、特に露光装置等に用いられる光学素子の材料となる弗化カルシウム(CaF)の製造に好適な結晶製造装置および結晶製造方法に関する。
半導体素子の微細化の要求に伴い、露光装置の露光解像度を高める必要があるが、そのための一手法として、ArFエキシマレーザ(波長約193nm)やFレーザ(波長約157nm)といった短波長光を用い、かつこのような短波長光に対しても優れた透過率を持つ硝材として弗化カルシウム(CaF)を材料とするレンズや回折格子などの光学素子を露光光学系に使用することが提案されている。
レンズ等の光学材料の光学特性を評価するパラメータとしては、内部透過率に加え、レーザ光を継続的に受光した場合の透過率変化を表すレーザ耐久性、レンズの屈折率が場所によらず一定であることを表す屈折率均一性(ホモジニティー)、複屈折率および研磨(又は加工)精度などがあり、露光装置に用いられる弗化カルシウムには高い品質が要求される。
弗化カルシウム単結晶は、一般に、「垂直ブリッジマン法」としても知られている坩堝降下法によって製造される(例えば、特許文献1〜3参照)。かかる方法は、結晶性物質の原料を坩堝内に配置し、ヒータ等による加熱により溶融させた原料を、坩堝を降下させながら冷却することによって結晶化するものである。
米国特許第2149076号明細書 米国特許第2214976号明細書 特開2003−201195号公報(段落0002等)
従来、坩堝降下法による結晶製造装置で用いられる坩堝の材料には、特に制限がなく、一般に、溶融温度に耐えることができ、不純物の少ない高純度な炭素が用いられている。しかしながら、坩堝の材料が単に高純度であるというだけでは、これまでのところエキシマレーザ光源を用いた露光装置の仕様を満足するような高品質かつ大口径な単結晶を得ることはできていない。つまり、特許文献1〜3にて提案されているあるような従来の結晶成長装置を用いて単結晶を成長した場合、転位密度の高い結晶、つまり品質の低い結晶しか得ることができない。
これは、結晶成長中に固化した結晶部分が坩堝の内壁と接触することが原因であると考えられる。弗化カルシウムは固化する際に収縮するため、坩堝内壁から離れ、結晶と坩堝内壁との間には空間が生じる。ところが、従来の結晶製造装置では、この空間が常に維持されるほど空間内の圧力が高くないため、結晶は坩堝内壁と頻繁に接触しながら成長を続けることになる。つまり、固化して間もない高温状態で結晶が坩堝と接触することにより、結晶に熱応力や機械的な応力を加え、その結果、転位が発生し、増殖すると考えられる。
図3に、従来の結晶製造装置で製造した結晶のトポグラフ画像を示す。この画像から、互いにわずかに傾いた領域(サブグレイン)のサイズが非常に細かく、結晶性が極めて悪いことが分かる。
本発明は、結晶成長中に発生する転位を抑制し、内部透過率などの光学特性に優れた結晶を製造することができる結晶製造装置および結晶製造方法を提供することを目的の1つとしている。
1つの側面としての本発明の結晶製造装置および方法は、坩堝の少なくとも一部のガス透過率を、1×10−4cm/s以下とし、該坩堝内において、該坩堝の内壁と結晶との間に形成される空間内の圧力が、融液よりも上方の空間内の圧力よりも高くなるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、結晶成長中における結晶と坩堝内壁との接触を回避することができるため、転位が少なく、内部透過率などの光学特性に優れた結晶を製造することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例である結晶製造装置100の概略構成を示している。結晶製造装置100は、原料IDを坩堝110内で溶融し、次いでこれを冷却することで結晶(単結晶)を成長させる。
この結晶製造装置100は、坩堝110と、支持部材120と、坩堝昇降部130と、ヒータ140と、熱電対150と、断熱部材160と、筐体170とを有する。
略円筒形の坩堝110は、支持部材120によって支持されており、さらに略円筒形の断熱部材160および筐体170によって構成される成長炉CGF内に収納されている。坩堝110は、その円筒面の周囲に沿って配置されたヒータ140によって加熱される。また、結晶製造装置100は、成長炉CGFを減圧又は真空排気する排気装置EMを備えている。
坩堝110は、結晶性物質(本実施例では、弗化カルシウム)の原料IDを収納する。坩堝110は、原料IDを溶融させ、融液(液体部)IDを保持し、さらに結晶成長させるため、融液IDと反応せず、不純物含有量の少ない材質、例えば、カーボン、窒化ホウ素により構成されることが好ましい。また、坩堝110は、その熱伝導度が成長させる単結晶に所定の縦方向の温度勾配、例えば5℃/cmを形成することができる値を有するものが用いられる。
さらに、坩堝110は、種結晶SCを収納する収納室114を下部112に有する。収納室114とその上方に形成されている成長室との間には、後述する円錐部116が形成されている。坩堝110は、その下部112において支持部材120と連結され、成長炉CGFの中央部に設置される。
また、坩堝110は、結晶成長を開始する下部112に、下側に向かって径が小さくなる円錐部116を有する。なお、原料IDを収納する坩堝110の内面形状が円錐形状であることが重要であり、図1に示すように、坩堝110の下部112の外面形状が必ずしも円錐形状である必要はない。坩堝110の下部112の外面形状は、熱の輻射空間に影響しない形状、例えば円筒形状であっても構わない。
坩堝110の外表面には、40ミクロン程度の厚みを有し、熱分解炭素からなる炭素化膜117によって被膜されている。これにより、坩堝110のガス透過率は1×10−4cm/s以下となり、従来の坩堝(ガス透過率は約1×10−1cm/s)と比較して、坩堝の壁部を透過するガスの量が格段に減少する。
本実施例では、坩堝110の外表面にのみ炭素化膜117で被膜しているが、坩堝110の内面にのみ被膜を形成したり、外表面および内面の双方に被膜を形成したりしてもよい。外表面および内面の双方に被膜を形成することにより、ガス透過率を更に下げることができる。また、被膜は、坩堝110のうち融液が存在する部分の外表面および内面のうち少なくとも一方に施されていることが重要であり、融液が存在しない坩堝上部には必ずしも必要ではない。
ここで、坩堝のガス透過率と結晶性と関係について説明する。図2には、結晶成長途中の坩堝110内の様子を模式的に示している。坩堝110の形状は、説明のために簡略化している。
坩堝110内において、固化した部分の弗化カルシウムIDは、収縮して坩堝内壁から離れ、結晶IDと坩堝内壁との間には空隙182が生じている。このとき、固化した結晶IDと坩堝110とは湾曲した融液IDを介してつながることになる。次に、融液IDの上方および下方におけるガス透過率について見てみる。
まず、融液IDの上方では、坩堝110の蓋110aと坩堝本体とがねじ込み構造によって結合しているだけであるので、融液IDの上方に形成されている空間180内のガスは蓋110aと坩堝本体との隙間を通じて透過し易くなっている。
一方、融液IDの下方、すなわち結晶IDが存在している部分では、坩堝110の外表面に緻密な炭素化膜117が被膜されているため、ガスは透過しにくくなっている。この結果、結晶IDと坩堝内壁との間の空隙182内の圧力P2は、融液上方の空隙180内の圧力P1よりも高くなり、湾曲した融液IDのメニスカス形状および空隙182は安定的に維持される。空隙182が保たれることで、結晶IDと坩堝内壁とは常に非接触の状態となり、この結果、成長中の結晶における転位の発生を抑制することが可能となる。
図1において、支持部材120は、筐体170の底部を貫通し、上部が成長炉CGFに達する。支持部材120は、坩堝110と坩堝110中の融液IDおよび結晶IDの重量を支持し、坩堝昇降部130によって駆動されることによって坩堝120を上下移動させる。また、支持部材120は、図示しない回転機構によって駆動されて坩堝110を回転させることができる。坩堝110の回転は、坩堝110の温度を均一にするために行われる。
坩堝昇降部130は、支持部材120に接続されたモータ132と、該モータ132に電力を供給する電源134とを有する。モータ132への電源134からの通電を制御することにより、坩堝110をヒータ140の加熱領域から非加熱領域へ移動させ、坩堝110の温度を徐々に下げることができる。
ヒータ140は、坩堝110の円筒面に対してリング状に配置され、坩堝110ごと原料IDを加熱し、これを溶融させる。ヒータ140は、坩堝110の鉛直方向に沿って均一な加熱力で坩堝110を加熱する。ヒータ140は、本実施例では、グラファイトによって作られている。
また、ヒータ140は、図1に示すように、上ヒータ142と下ヒータ144とにより多段に構成されている。これにより、成長炉CGF内の温度を精密に制御することができる。具体的には、上ヒータ142は、融液IDの温度を保持するために原料IDの融点以上の温度に、また下ヒータ144は、成長した結晶(固体部)IDの保持に適した温度に設定される。更に、上ヒータ142と下ヒータ144との中間付近において、坩堝110内が原料IDの融点温度になるように調整されている。
温度センサとしての熱電対150は、上ヒータ142と下ヒータ144の中央外側の側面に配置され、上ヒータ142の温度および下ヒータ144の温度を検出する。上ヒータ142および下ヒータ144は、その内部の電流分布を制御することによって均一な温度分布を有するように熱的な設計がなされているが、外部との熱の出入りにより一定の範囲で変化する。
断熱部材160は、ヒータ140を取り囲むように成長炉CGFの内側面に近接して配置される。断熱部材160は、内面がよく研磨されたカーボン製を使用し、ヒータ140の熱から筐体170を保護する。
筐体170は、結晶成長に際して成長炉CGF内の雰囲気を外気から遮断すると共に、成長炉CGF内の減圧又は真空環境を維持する。本実施例では、ステンレス製の二重円筒等を用いて、図示しない断熱材を二重円筒内に配置することにより筐体170を構成している。
なお、坩堝100の材料は、開気孔率が10%以下の炭素であればよい。また、坩堝110は、炭素化物質で開気孔が埋められていてもよい。これによって、坩堝110のガス透過率が、1×10−4cm/s以下となるのであれば、坩堝上に被膜を形成しなくてもよい。
さらに、被膜の有無にかかわらず、坩堝のガス透過率は、1×10−4cm/s以下であって1×10−13cm/s以上であることが好ましい。また、坩堝上に形成される被膜は、ガラス状炭素からなる炭素化膜であってもよい。
なお、本実施例では、弗化カルシウム単結晶を製造する場合について説明したが、本発明は、弗化カルシウム単結晶以外の結晶製造にも使用することができる。
(実験例)
以下、図1に示す結晶製造装置100を用いた弗化カルシウム結晶の製造実験例を示す。また、以下においては、本発明の実施例である結晶製造方法を、結晶製造装置100の動作と合わせて説明する。図5には、本発明の実施例である結晶製造方法1000を説明するためのフローチャートを示している。
本実験例では、直径300mmのグラファイト製の坩堝110を用意し、円錐部116の円錐角度AGを60度に設定した。なお、円錐部116の円錐角度AGは、成長させる結晶の材質や大きさによって適宜設定されるものであり、60度に限定されるものではない。また、原料IDに使用する弗化カルシウムとしては、原石(天然蛍石)ではなく、CaCOを弗酸で処理して化学合成された高純度弗化カルシウム粉末を一度溶融し、固化させたもの(すなわち、精製品)又はその粉砕品を用いた。これは、高純度弗化カルシウムでは、溶融したときの体積減少が大きく、坩堝110のサイズに対して得られる結晶のサイズが著しく小さくなってしまうためである。
図5において、まず坩堝110の収納部114に{1 1 1}面を上面に有する種結晶SCを収納する(ステップ1002)。
次に、粉砕された原料IDとスカベンジャーを坩堝110内に充填する(ステップ1004)。スカベンジャーの量は、原料IDの量に対して、0.01wt%以上0.1wt%以下が好ましく、本実験例では、スカベンジャーの量を、原料IDに対して0.01wt%とした。
なお、スカベンジャーとは、弗化カルシウムに対して水分の存在により発生した酸化カルシウム(CaO)を、弗化カルシウムに還元する機能を有するものである。スカベンジャーとしては、弗化亜鉛、弗化カドミウム、弗化マンガン、弗化ビスマス、弗化ナトリウム、弗化リチウム等、成長させる弗化物より酸素と結合し易く、かつ分解および蒸発し易いものが望ましく、弗化物原料中に混在している酸化物と反応して、気化し易い酸化物となる物質が選択され、特に、弗化亜鉛が好ましい。
次に、排気装置EMを操作することにより成長炉CGFを10−3Pa乃至10−4Pa程度の真空度に設定し、ヒータ140に通電して坩堝110内の原料IDを加熱し、坩堝110に充填した原料IDを完全に溶融させる(ステップ1006)。具体的には、種結晶SCの一部および原料IDが溶融するように成長炉CGFの温度を制御し、融解した状態で2日間保持した。
融解保持後、徐々に坩堝110を引き下げることで溶融した原料IDを冷却し、弗化カルシウム単結晶を成長させる(ステップ1008)。融点温度付近で成長した結晶の表面に、更に融液から結晶を析出させることで結晶が成長する。本実験例では、成長炉CGF全体の温度分布を固定し、坩堝110の引き下げ速度を、0.25mm/h〜1mm/hとした。成長させた弗化カルシウム単結晶の長さは、100mm乃至300mmであり、400時間乃至1500時間程度の時間をかけて成長を行った。
続いて、結晶成長した単結晶をアニール炉で熱処理する(アニール工程)(ステップ1010)。アニール工程は、成長した弗化カルシウム単結晶を熱処理し、結晶の割れを引き起こす歪みを除去する工程である。成長した単結晶はアニール炉に収納された坩堝内に入れられる。アニール工程では、坩堝を約1080℃に均熱的に加熱して、固体のまま弗化カルシウム結晶の歪を除去する。
その後、成長させた弗化カルシウム結晶から単結晶を切り出す(ステップ1012)。
図4には、本実験例で製造した弗化カルシウム単結晶のトポグラフ画像を示す。従来の製造方法によって製造した図3の弗化カルシウム単結晶と比較して、サブグレインのサイズが大きく、結晶性が非常に良くなっていることが分かる。
このように、結晶製造装置100および結晶製造方法1000では、坩堝110の外表面を緻密な炭素化膜117で被膜し、坩堝110と結晶IDとの非接触状態を維持しながら結晶成長を行うことで、転位の発生を抑制することができ、内部透過率などの光学特性に優れた結晶を製造することができる。
図6には、図1に示した結晶製造装置100の変形例としての結晶製造装置100Aの概略構成を示す。結晶製造装置100Aは、結晶製造装置100と基本構成において同じであり、共通する構成要素には、図1と同符号を付して説明に代える。本変形例は、坩堝110Aの材料を、嵩密度1.99g/cc、開気孔率1%の超高嵩密度炭素とした点で図1の結晶製造装置100と異なる。また、該結晶製造装置100Aを用いた結晶製造方法は、先に説明した方法1000と同様である。
以上説明したように、本実施例の結晶製造装置100,100Aおよび結晶製造方法1000によれば、成長中の結晶における転位の発生および増殖を抑えることができ、内部透過率やレーザ耐久性などの品質に優れた結晶を再現性よく製造することができる。
そして、結晶製造装置100,100Aおよび結晶製造方法1000によって得られた弗化カルシウム単結晶を、必要とされる光学素子形状に加工する。光学素子としては、レンズ、回折素子、光学膜体およびそれらの複合体、例えば、レンズ、マルチレンズ、レンズアレイ、レンチキュラーレンズ、ハエの目レンズ、非球面レンズ、回折格子、バイナリーオプティックス素子およびそれらの複合体を含む。
また、光学素子としては、単体のレンズ等に加えて、光センサ(例えば、フォーカス制御用の光センサ)などを含む。また、必要に応じて、反射防止膜を弗化カルシウム単結晶から製造されたの光学素子の表面に設けるとよい。反射防止膜としては、弗化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化タンタルが好適であり、これらは抵抗加熱による蒸着や電子ビーム蒸着やスパッタリングなどで形成できる。
このようにして製造された光学素子は、その材料が内部透過率やレーザ耐久性などの品質に優れているため、従来の光学素子よりも光学性能が向上している。
このような光学素子を用いれば、ArFエキシマレーザ、Fレーザに適した投影光学系や照明光学系を構成することができる。そして、各種レーザ光源と、上記光学素子を有する光学系と、ウェハを移動させ得るステージとを組み合わせてフォトリソグラフィ用の露光装置を構成することができる。
図7には、結晶製造装置100,100Aおよび結晶製造方法1000から得られた弗化カルシウム単結晶から製造された光学素子を用いて構成された露光装置500を示している。
露光装置500は、回路パターンが形成されたレチクル520を照明する照明装置510と、照明されたレチクルパターンから生じる回折光をプレート540に投影する投影光学系530と、プレート540を支持するステージ545とを有する。
露光装置500は、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式やステップ・アンド・リピート方式でレチクル520に形成された回路パターンをプレート540に露光する投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適であり、以下、本実施例ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる)を例に説明する。
ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」とは、レチクルに対してウェハを連続的にスキャン(走査)してレチクルパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後ウェハをステップ移動して、次の露光領域に移動する露光方法である。「ステップ・アンド・リピート方式」とは、ウェハの一括露光ごとにウェハをステップ移動して次のショットの露光領域に移動する露光方法である。
照明装置510は、転写用の回路パターンが形成されたレチクル520を照明し、光源部512と、照明光学系514とを有する。
光源部512は、例えば、光源として、波長約193nmのArFエキシマレーザ、波長約248nmのKrFエキシマレーザなどを使用することができるが、光源の種類はエキシマレーザに限定されず、例えば、波長約157nmのFレーザやYAGレーザを使用してもよい。また、光源の個数は任意である。例えば、独立に動作する2個の固体レーザを使用すれば、固体レーザ間相互のコヒーレンスはなく、コヒーレンスに起因するスペックルがかなり低減する。さらにスペックルを低減するために、光学系を直線的又は回動的に揺動させてもよい。また、光源部512にレーザが使用される場合、レーザ光源からの平行光束を所望のビーム形状に整形する光束整形光学系、コヒーレントなレーザ光束をインコヒーレント化するインコヒーレント化光学系を使用することが好ましい。また、光源部512に使用可能な光源は、レーザに限定されるものではなく、一又は複数の水銀ランプやキセノンランプなどのランプも使用可能である。
照明光学系514は、レチクル520を照明する光学系であり、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレーター、絞り等を含む。例えば、コンデンサーレンズ、ハエの目レンズ、開口絞り、コンデンサーレンズ、スリット、結像光学系が、この順で配置されて構成されている。
照明光学系514は、軸上光、軸外光を問わずに使用することができる。オプティカルインテグレーターは、ハエの目レンズや2組のシリンドリカルレンズアレイ(又はレンチキュラーレンズ)板を重ねることによって構成されるインテグレーター等を含むが、光学ロッドや回折素子に置換される場合もある。かかる照明光学系514のレンズなどの光学素子に本発明の弗化カルシウム結晶から製造される光学素子を使用することができる。
レチクル520は、例えば、石英製で、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、図示しないレチクルステージに支持及び駆動される。レチクル520から発せられた回折光は、投影光学系530を通りプレート540上に投影される。レチクル520とプレート540は、光学的に共役の関係にある。本実施形態の露光装置500はスキャナーであるため、レチクル520とプレート540を縮小倍率比の速度比でスキャンすることによりレチクル520のパターンをプレート540上に転写する。なお、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(「ステッパー」とも呼ばれる)の場合は、レチクル520とプレート540を静止させた状態で露光が行われる。
投影光学系530は、物体面であるレチクル520上のパターンを反映する光を像面であるプレート540上に投影する光学系である。投影光学系530は、複数のレンズ素子のみからなる光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の凹面鏡とを有する光学系(カタディオプトリック光学系)、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のキノフォームなどの回折光学素子とを有する光学系、全ミラー型の光学系等を使用することができる。色収差の補正が必要な場合には、互いに分散値(アッベ値)の異なるガラス材からなる複数のレンズ素子を使用したり、回折光学素子をレンズ素子と逆方向の分散が生じるように構成したりする。かかる投影光学系530のレンズなどの光学素子に、上記実施例1の結晶製造装置100,100Aおよび結晶製造方法1000によって製造された弗化カルシウム単結晶を材料とする光学素子を使用することができる。
プレート540は、本実施例ではウェハであるが、液晶基板やその他の被処理体を広く含む。プレート540には、フォトレジストが塗布されている。フォトレジスト塗布工程は、前処理と、密着性向上剤塗布処理と、フォトレジスト塗布処理と、プリベーク処理とを含む。前処理は、洗浄、乾燥などを含む。密着性向上剤塗布処理は、フォトレジストと下地との密着性を高めるための表面改質(即ち、界面活性剤塗布による疎水性化)処理であり、HMDS(Hexamethyl-disilazane)などの有機膜をコート又は蒸気処理する。プリベークは、ベーキング(焼成)工程であるが現像後のそれよりもソフトであり、溶剤を除去する。
ステージ545は、プレート540を支持する。ステージ545は、当業界で周知のいかなる構成をも適用することができるので、ここでは詳しい構造及び動作の説明は省略する。例えば、ステージ545は、リニアモーターを利用してXY方向にプレート540を移動することができる。レチクル520とプレート540は、例えば同期走査され、ステージ545と図示しないレチクルステージの位置は、例えばレーザ干渉計により監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
ステージ545は、例えば、ダンパを介して床等の上に支持されるステージ定盤上に設けられ、レチクルステージ及び投影光学系530は、例えば、床等に載置されたベースフレーム上にダンパを介して支持される図示しない鏡筒定盤上に設けられる。
露光において、光源部514から発せられた光束は、照明光学系514によりレチクル520を、例えばケーラー照明する。レチクル520を通過してレチクルパターンを反映する光は、投影光学系530によりプレート540上に結像される。露光装置500が使用する照明光学系514及び投影光学系530は、本発明による弗化カルシウムから製造される光学素子を含んで、紫外光、遠紫外光及び真空紫外光を高い透過率で透過するので、高いスループットで経済性よくデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
次に、図8および図9を用いて、上述した露光装置500を利用したデバイスの製造方法の実施例を説明する。図8には、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートを示している。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。
ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いて本発明のリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図9は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。
ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、上述の露光装置500によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置500を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、溶融した原料を冷却する方法は、ブリッジマン法以外でも、坩堝を固定してヒータを引き上げていく方法、ヒータ出力を徐々に落としていく方法、その他のいかなる方法であってもよい。
本発明の実施例1である結晶製造装置の概略構成を示す断面図。 実施例1の結晶製造装置における結晶成長中の坩堝内の様子を示す概略図。 従来の結晶製造装置で製造した結晶の結晶性を示す図。 実施例1の結晶製造装置で製造した結晶の結晶性を示す図。 実施例1の結晶製造方法を説明するためのフローチャート。 実施例1の変形例である結晶製造装置を示す概略構成図。 本発明の実施例2である露光装置の概略構成を示すブロック図。 実施例2の露光装置を用いたデバイス製造方法を説明するためのフローチャート。 図8に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャート。
符号の説明
100,100A 結晶製造装置
110,110A 坩堝
117 炭素化膜
120 支持部材
130 坩堝昇降部
140 ヒータ
160 断熱部材
170 筐体
180 融液上方空間
182 坩堝・結晶間の空隙
ID 原料
SC 種結晶
CGF 成長炉
EM 排気装置
500 露光装置
510 照明装置
514 照明光学系
530 投影光学系

Claims (9)

  1. 坩堝内に配置した結晶性物質の原料を溶融し、その後冷却して結晶を成長させる結晶製造装置であって、
    前記坩堝の少なくとも一部のガス透過率が、1×10−4cm/s以下であり、
    前記坩堝内において、該坩堝の内壁と結晶との間に形成される空間内の圧力が、融液よりも上方の空間内の圧力よりも高くなることを特徴とする結晶製造装置。
  2. 前記坩堝の材料は、開気孔率が10%以下の炭素であることを特徴とする請求項1に記載の結晶製造装置。
  3. 前記坩堝は、炭素化物質で開気孔が埋められていることを特徴とする請求項2に記載の結晶製造装置。
  4. 前記坩堝のうち少なくとも一部が、熱分解炭素又はガラス状炭素からなる炭素化膜により被膜されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の結晶製造装置。
  5. 前記原料は、弗化カルシウムであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の結晶製造装置。
  6. 坩堝内に配置した結晶性物質の原料を溶融するステップと
    該溶融原料を冷却して結晶を成長させるステップとを有し、
    前記坩堝の少なくとも一部のガス透過率を、1×10−4cm/s以下とし、
    前記坩堝内において、該坩堝の内壁と結晶との間に形成される空間内の圧力を、融液よりも上方の空間内の圧力よりも高くすることを特徴とする結晶製造方法。
  7. 請求項1に記載の結晶製造装置又は請求項6に記載の結晶製造方法を用いて製造された単結晶を用いて製造されたことを特徴とする光学素子。
  8. 請求項7に記載の光学素子を含む光学系を介して被露光物の露光処理を行うことを特徴とする露光装置。
  9. 請求項8に記載の露光装置を用いて被露光体を露光する工程と、
    該露光された前記被露光体を現像する工程とを有することを特徴とするデバイスの製造方法。
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