JPH10505386A - 硬化性エラストマー組成物、及び硬化性エラストマー組成物の製造法 - Google Patents
硬化性エラストマー組成物、及び硬化性エラストマー組成物の製造法Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、硬化性及び/又は硬化されたエラストマー組成物の製造法、並びにそのように製造された硬化性及び/又は硬化されたエラストマー組成物に関するものである。より具体的には、好ましい実施態様では、本発明は、ブロックされたポリイソシアネートに硬化性及び/又は硬化された、ヒドロキシル又はアミン官能基を含むエラストマーに関するものである。好ましいエラストマーとしては、イソブチレンベースのエラストマーがある。
Description
【発明の詳細な説明】
硬化性エラストマー組成物、及び硬化性エラストマー組成物の製造法
技術分野
本発明は、硬化性及び/又は硬化されたエラストマー組成物の製造法、並びに
そのように製造された硬化性及び/又は硬化されたエラストマー組成物に関する
ものである。より具体的には、好ましい実施態様では、本発明は、ポリイソシア
ネートに硬化性及び/又は硬化された、ヒドロキシル又はアミン官能基を含むエ
ラストマーに関するものである。好ましいエラストマーとしては、イソブチレン
ベースのエラストマーがある。
技術背景
未硬化のエラストマーは、ホース及びケーブルコーティングからタイヤ及び絶
縁材料までの範囲の種々の望ましい用途に必要な強度を有していない。数種の硬
化システムが公知であり、実際、種々のエラストマーの架橋や、優秀な特性を有
する組成物の製造のために使用されている。より具体的には、ポリイソブチレン
ベースのエラストマーについての種々の硬化システムが記載されており、例とし
て、Rubber Technology,M.Morton,pp.294-314,Van Nostrand Reinhold ed.N
.Y.(1987)を参照されたい。ブチルゴムとして公知の、小割合の共役ジオレフィ
ンを含むポリイソブチレンベースのエラストマーは、3つの基本的タイプの硬化
システムにより、チウラム又はジチオカルバメート等の硫黄及び有機促進剤によ
り、酸化鉛及び/又は硫黄供与体を有するジオキシム及び関連ジニトロソ化合物
により、又は反応性メチレン基を含有するフェノールホルムアルデヒド樹脂によ
り、付加的活性剤を用いて又は用いずに硬化することができる。また、通常、酸
化亜鉛及びステアリン酸を付加することができる。ハロゲン化イソブチレンコポ
リマーは、酸化亜鉛(通常チウラム及びチオウレアにより促進される)により、
米国特許第5,200,469 号に記載されたようなビスマレイミド等の二官能性ジエノ
フィル及び酸化亜鉛により、ヘキサメチレンジアミンカルバメート等のジアミン
により、又は反応性フェノール系樹脂及び酸化亜鉛により、硬化することができ
る。本質的に全てのこれらの硬化システムは、また、酸掃去剤を必要とし、硬化
反応の間に生じた酸は、硫黄硬化の場合には硫化水素であり、ハロゲン化ポリマ
ーの場合には塩酸又は臭化水素酸である。
同様に、ヒドロキシル又はアミン等の低レベルの化学結合官能基(chemically
bound functionality)を含む、低分子量ポリオレフィン又はポリイソオレフィン
ベースのエラストマーは、首尾よくブレンドすることができ、かつブロックされ
ていない又はブロックされたポリイソシアネートにより硬化することができる。
例えば、米国特許第4,939,184 号は、2又は3個の末端ヒドロシキル基を有する
低分子量ポリイソブチレンとポリイソシアネートとを発泡剤の存在下で反応させ
ることによる軟質ポリウレタンフォームの製造を開示している。ポリイソブチレ
ンの分子量は、1,000〜10,000の範囲内、好ましくは1,500〜7,000 の範囲内に制
限されている。分子量が10,000を越える場合には、粘度が極度に高くなり、かつ
発泡が困難となる。また、末端ヒドロキシル基を含有する低分子量ポリイソブチ
レンポリオールをベースとし、かつ有機ポリイソシアネート化合物と反応させた
ウレタン組成物が、日本特許公開公報第2-202909号に開示されている。日本特許
公開公報第2-202909号で適切なものとして記載されているポリイソブチレンポリ
オールは、700〜8,000、及び好ましくは1,000〜5,000 の数平均分子量Mnを有す
る。しかしながら、あいにく、ポリマーのMnが8,000 より高くなると、組成物
の粘度が高くなり、流動度が低下し、キャスティング、含浸及びコーティングプ
ロセスの間の完全注入が不可能となり、かつ絶縁の欠損が生じる。高分子量ポリ
マーでのこれらの困難性は、部分的には、硬化剤として遊離イソシアネート基を
含有するポリイソシアネートの使用により生じる。典型的には、高Mnポリマー
は加熱されて、ブレンドプロセスに受入れ可能なものとなる。ポリイソシアネー
トは、ポリマーがブレンドに受入れ可能となるようにポリマーを軟化するのに必
要な温度(高温)で、ポリマーを硬化させるであろう。従って、遊離イソシアネ
ート基を含有するポリイソシアネートは、高Mnポリマーを硬化するために使用
されていない。日本特許公開公報第2-202909号では、それらの組成物は90〜170
℃までの加熱により硬化するが、低温でブレンドするとしていることに注意され
たい。一般には、高Mnポリマーを、これらの高い温度(90〜170℃)に
まで加熱して、ブレンドを完全なものとする。従って、90〜170℃にまで加熱さ
れたポリマー/ポリイソシアネート混合物は、ブレンド間に素早く架橋結合し、
所望の型への加工が不可能であり、ブレンドが実際的な使用には不適当なものと
なる。従って、ポリイソシアネートは、一般に、高Mnポリマーを硬化するのに
適切なものであるとは考えられていない。
また、EPA 325 997 号では、遊離イソシアネート基を含有するジイソシアネー
トを使用して、第三アミノアルコール基を含有する改質スチレン及びイソブチレ
ンのコポリマーを硬化している。EPA 325997は、分子量700〜200,000 のポリマ
ーのジイソシアネート硬化を開示しているが、重量平均分子量Mw約30,000及び
Mn約8,600 まで(ゲル透過クロマトグラフィーにより測定)のブレンドのみを
実例として挙げている。更に、その例では、溶液中において室温でブレンドを行
っている。溶液は、数分でゲル化する。従来のブロックされていないポリイソシ
アネートと、ヒドロキシル又はアミン官能基を含有する高分子との混合は、実用
的なものでなく、また、中温での混合でさえ早期の架橋が導かれることとなる。
対照的に、本発明では、望ましくない副作用を生じることなく、高分子量エラス
トマー組成物を、安全に混合し、成形し、かつ、ポリイソシアネートにより硬化
する方法が提供される。具体的に、本発明では、混合の間の望ましくない架橋な
しに、ブロックされたポリイソシアネートの120〜150℃といった高い温度での安
全な混合及び導入が可能となる該化合物の使用について記載する。
発明の概要
本発明は、硬化性及び/又は硬化されたエラストマー組成物の製造法、並びに
そのように製造された硬化性及び/又は硬化されたエラストマー組成物に関する
ものである。具体的には、本発明は、60,000以上のMwを有しかつヒドロキシル
及び/又はアミン官能基を含有するエラストマーポリマーと、ブロックされたポ
リイソシアネートとを、イソシアネートを脱ブロックさせるであろう温度未満の
温度で組み合わせることを含む硬化性エラストマー組成物の製造法に関するもの
である。更に、本発明は、また、ポリイソシアネートを脱ブロックするであろう
温度より高い温度まで組成物を加熱することにより、該組成物を硬化する方法に
関するものである。
詳細な説明
好ましい実施態様では、本発明は、60,000以上、好ましくは80,000以上、より
好ましくは100,000 以上、更により好ましくは120,000 以上のMwを有しかつヒ
ドロキシル及び/又はアミン官能基を含有するエラストマーと、ブロックされた
ポリイソシアネートとを、イソシアネート官能基を脱ブロックするであろう温度
未満の温度で組み合わせることを含む硬化性エラストマー組成物の製造法に関す
るものである。好ましい実施態様では、エラストマーは、約1,000,000 まで、よ
り好ましくは約2,000,000 までのMwを有する。好ましい実施態様では、混合温
度は、約90℃、好ましくは約100℃、より好ましくは約110℃、更により好ましく
は120℃であるが、イソシアネートを脱ブロックするであろう温度より低く、好
ましくは150℃未満である。
好ましいエラストマーとしては、それらへのヒドロキシル又はアミン官能基結
合を有する任意のエラストマーがある。好ましいエラストマーとして、エチレン
プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、ポリイソブチレ
ン、ブチルゴム、又は共役ジエン(イソプレン等)及びスチレン系(styrenics)
等(スチレン及び/又はアルキル置換スチレン)と任意に共重合されたイソオレ
フィンの任意の他のポリマーがあるが、これらに限定されない。特に好ましいエ
ラストマーとしては、イソブチレン−イソプレンコポリマー及びイソブチレン−
パラメチルスチレンコポリマー等がある。
本発明で使用するエラストマーは、典型的には、該エラストマーに結合したヒ
ドロキシル又はアミン官能基を2以上有する。ヒドロキシル及びアミン基が好ま
しい官能基であるが、イソシアネート基と反応するであろう任意の官能基も、本
発明に用いられるであろう。そのようなヒドロキシル又はアミン官能化ポリマー
は当該技術分野において公知の方法により製造することができる。例えば、アミ
ン官能化エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)は米国特許第4,987,200
号に記載の方法により製造される。同様に、ヒドロキシル基で官能化した高分子
量イソブチレンコポリマーは、EPA 325 997 号に記載の方法を用いて製造するこ
とができる。更に、典型的には0.5〜2.0モル%の低レベルのハロゲンを含有する
、任意に商業的に入手可能なハロゲン化イソブチレンベースのポリマーを、ア
ルキルアミン又はアミノアルコールと組み合わせて、アミン又はヒドロキシル官
能基をそれぞれ製造することができる。好ましい実施態様では、エラストマーは
少なくとも0.02mmol/gの官能基を含む。
本発明のプラクチスにおいて使用可能なブロックされたイソシアネートは、有
機脂肪族、脂環式又は芳香族イソシアネートと一官能価ブロック剤との反応生成
物である。本発明及びその請求項について、ブロックされたイソシアネートは、
理論計算当量割合でのイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤とのア
ダクトである。好ましい実施態様では、ポリイソシアネート化合物は、一分子あ
たり少なくとも2つのイソシアネート基を含有する有機イソシアネートである。
好ましい有機ポリイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる:トリメチ
レン−、テトラメチレン−、ペンタメチレン−、ヘキサメチレン−、ドデカメチ
レン−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-ジイソシアネートク
ロロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシ
アネート(イソホロンジイソシアネートとも呼ばれる)、4,4'-ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;又はトリレンジイソシ
アネート、キシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイ
ソシアネート。イソシアネートのダイマー又はトリマーを含むようなポリマー性
ポリイソシアネートを使用してもよい。より具体的には、トリレンジイソシアネ
ート又は3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネー
トのダイマー又はトリマーを含有するようなポリマー性ポリイソシアネートを使
用してもよい。そのような二量体化合物はウレチジンジオン基を含み、かつ三量
体化合物はトリイソシアヌレート基を含み、それらは、イソシアネートの二量体
化及び三量体化によりそれぞれ得られる。上記有機ポリイソシアネートのうち、
脂肪族及び脂環式有機ポリイソシアネートが好ましい。トリレンジイソシアネー
ト又はイソホロンジイソシアネートのダイマー、トリマー、ペンタマー等のポリ
マー性ポリイソシアネートが、本発明に適切なイソシアネートである。
典型的なブロック剤は、フェノール、ラクタム、アルコール、メルカプタン、
イミド、イミダゾール、アミン、尿素、カルバミド酸塩、オキシム、スルフィッ
ト等をベースとするような活性水素原子、及びジエチルマロネート、エチルアセ
トアセテート、アセチルアセトン等の活性メチレンを含む化合物である。更に、
適切なイソシアネート−ブロック剤は、典型的には、イソシアネート基に対して
反応性であり、かつ100〜200℃の温度でイソシアネート官能基から脱ブロックす
るであろう一官能価の酸性の水素含有化合物又は活性メチレン含有化合物である
。適切なブロック剤としては、アセトキシム、メチルエチルテトキシム、シクロ
ヘキサノキシム等のオキシムベースのもの、ε−カプロラクタム、δ−バレロラ
クタム、γ−ブチロラクタム等のラクタムベースのもの、フェノール、クレゾー
ル、tert-ブチルフェノール等のフェノールベースのもの、スクシンイミド、フ
タルイミド、マレイミド等のイミドベースのもの、フェニルN−フェニルカルバ
メート、2-オキサゾリドン等のカルバメートベースのものである。また、適切な
ブロック剤としては、ジエチルマロネート、エチルアセトアセテート、メチルア
セトアセテート、アセチルアセトン等の活性メチレンベースの化合物がある。ブ
ロックされたイソシアネートは、文献(例として、Z.W.Wicks JrのProgress i
n Organic Coatings,3,pp.73-99(1975年)及び9,pp.3-28(1981 年)を参
照されたい)では再検討する課題とされている。
低揮発性の、高沸点のブロック剤が好ましい。なぜなら、硬化温度での加熱の
間の硬化成形物からのそれらの揮発量が低くなるからである。また、使用するブ
ロック剤のタイプは、所定の硬化温度でのそれらの脱ブロック速度に関連する。
例えば、オキシムベースのブロック剤は、フェノールベースのものより低い温度
で脱ブロックすることが知られている。ε−カプロラクタムは、本発明での使用
に特に適切なブロック剤である。
特に適切なブロックされたポリイソシアネートは、ドイツのChemische Werke
Huls A.G.MarlによりIPDI B 1530 として販売されている製品である。それは、
3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソ
ホロンジイソシアネートとも呼ばれかつIPDIと略される)をベースとしており、
また、イソシアネート15重量%を含み、全イソシアネート官能基はε−カプロラ
クタムによりブロックされる。そのような化合物は、米国特許第4,302,351 号に
記載されている。
その後、60,000以上のMwを有しかつヒドロキシル及び/又はアミン官能基を
含有するエラストマーと、ブロックされたポリイソシアネートとを、ブレンドを
可能にするがイソシアネートを任意の有意な程度までは脱ブロックしない温度で
ブレンドする。脱ブロック反応の程度は、都合良くは、ASTM D 2084 によるオシ
レートディスクレオメーターを用いて時間の関数としてトルク増加を測定するこ
とにより決定することができる。更に、また、所定温度での1又は2のトルクユ
ニットによる最小トルク以上に上昇させるための時間として表されたスコーチ時
間(硬化開始)は、ASTM D 2084 によるオシレートディスクレオメーターを用い
て測定することができ、かつゴム工業界においては、硬化反応がどの程度早く開
始するかの典型的な目安である。ブレンドのために選択した特定の温度は、選択
されたブロックされたポリイソシアネート及び該ブロックされたポリイソシアネ
ートがブレンドされるエラストマーにより変動するであろう。典型的な脱ブロッ
ク温度は、文献(p.120,in Polyurethanes,Chemistry and Technology,Part I
,Chemistry(J.H.Saunders and K.C.Frischら)in High Polymers,Vol.X
VI,Interscience Publishers(1962年)において与えられる。脱ブロック温度
は、示差走査熱分析(例として、T.AnagnostouとE.Jaul のJ.Coat.Tech.,53
,35(1981年)を参照されたい)により決定することができ、この方法では、脱
ブロック反応の温度の関数としての発熱を測定する。これらの文献は、本件明細
書中に含まれるものとする。一般に、脂肪族イソシアネートは、それらの芳香族
のものより高い温度で脱ブロックするであろう。
一般に、ブロックされたポリイソシアネートは、エラストマー及びカーボンブ
ラック等の他成分と、ヒドロキシルのイソシアネートに対するモル比(OH/NCO)
又はアミンのイソシアネートに対するモル比(NH/NCO)が0.9:1.0〜20:1、好
ましくは約1:1〜約10:1となるモル比で、150℃未満、好ましくは130℃未満
の温度で混合する。
また、触媒を添加して、硬化速度を高め、又は低温で硬化させることが可能で
ある。この目的に有用な触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、
N,N'-ジアルキルピペラジン、N,N'-ジアルキルピペリジン等の第三アミン、ジブ
チル錫ジラウレート(DBTDL)、オクタン酸第一錫、ジオクチル錫チオカルボキ
シレート等の錫含有化合物がある。
使用する硬化剤の適切な量としては、未硬化の初期ポリマー(initial polymer
)中の結合ヒドロキシル(OH)又はアミン(NH)の、硬化剤に含まれるイソシア
ネート(NCO)に対するモル比0.9:1.0〜20.0:1.0、好ましくは約1.0:1.0〜約20
.0:1.0、より好ましくは1.0:1.0〜10.0:1.0が挙げられる。通常、所望の架橋
結合密度を達成するのに必要とされる最小量の硬化剤を使用することが好ましい
。任意に使用する触媒の適切な量としては、触媒の、硬化剤に含まれるイソシア
ネートに対するモル比0.01〜0.3、好ましくは0.05〜0.2が挙げられる。使用する
場合には、触媒は、最初に、又は添加成分の最後としてポリマーと混合すること
ができるが、十分な混合時間により良好な分散を確立すべきである。
種々のゴム配合添加剤及び充填剤はポリマーに添加することができ、例えば、
充填剤としては、カーボンブラック、タルク、クレー、シリカ、顔料、不反応性
プロセス油があり、適切な任意の添加剤としては、ゴム配合技術分野において従
来から使用されている酸化防止剤、帯電防止剤、加工助剤、可塑剤等がある。行
う混合の順序及び条件はゴム配合者には周知であり、混合は、ポリマー中の組成
の全成分が、十分に均一に分散するように、過度に発熱させることなく行う。
その後、組成物の硬化を、イソシアネート官能基が脱ブロックする温度より高
い温度、典型的には、約150〜約200℃で行うことができる。硬化温度及び時間は
、Monsantoオシレートディスクレオメーター(American Society for Testing an
d Materials,Standard ASTM D 2084 に詳細に記載されている)を用いる数種の
実験により容易に決定することができる。
そのような組成物は、硬化後、非常に良好なスコーチ安全性及び機械的特性を
示す。硬化された化合物の熱安定性は、また、熟成後の良好な引張強さの残率に
より明示されるように非常に良好なものである。部分的に架橋結合したポリマー
は、都合良くは、ヒドロキシル又はアミンをイソシアネート含量に合わせること
により得ることができる。硬化温度及び時間は、適切な触媒の添加により低減さ
せることができる。更に、触媒の添加により、また、機械的特性がいくらか強化
される。
更に、本発明の利点の1つは、ブレンドプロセスを溶剤の不在下で、全体的に
又は実質的に溶剤を用いることなく行うことができることである。実質的な不存
在とは、溶剤が、存在するエラストマーの少なくとも50重量%、好ましくは少な
くとも30重量%、更に好ましくは少なくとも10重量%を懸濁又は混合するのに十
分な濃度で存在しないことを意味する。溶剤の存在しない組成物は、本明細書に
記載の方法により製造することができる。溶剤の不存在とは、溶剤が組成物中に
存在せず、好ましくは該組成物の全量5重量%未満であることを意味する。
好ましい実施態様では、上記組成物を使用して、押出し、圧縮成形、吹込成形
及び/又は射出成形物を製造する。上記組成物を使用して、タイヤ成分、硬化膜
、絶縁材料又は容器のクロージャー用栓及びライニングを製造することができる
。実施例
本発明の実施例において使用するポリマー合成用の初期イソブチレン含有ポリ
マーは、イソブチレン、パラメチルスチレン(PMS)、ブロモパラメチルスチレン(
BrPMS)及び任意に少量のジブロモパラメチルスチレン(Exxon Chemical Europe,
Inc.and Exxon Chemical Company,a Division of Exxon Corporationにより商
標EXXPROTMとして販売)のコポリマーとした。2種のグレードを、本発明の実施
例におけるポリマーの合成のために使用した。それらは、EMDX 89-1とEMDX 93-4
であり、それらの重量%での組成は、表1に記載の通りであった。
ポリマーAの合成
ポリマーAは、求核試薬として、2−(メチルアミノ)エタノールを使用した
EXXPROTMEMDX 89-1 についての求核性置換(nucleophilic substitution)により
得られた、ペンダントヒドロキシル官能基を含有するイソブチレン−パラメチル
スチレンコポリマーである。100gのEXXPROTMEMDX 89-1 を、1lのテトラヒドロ
フランに溶解し、かつ50〜55℃に加熱した。その後、8.275 gの2-(メチルアミ
ノ)エタノール(8モル/モルBr)をポリマー溶液に攪拌下で添加した。溶液を、
その後、60〜63℃で4時間加熱した。ポリマーを、その後、メタノール又はアセ
トン、又はその両者の混合物中における沈殿により回収した。ポリマーを、更に
、メタノール又はアセトンにおける洗浄及び混練により精製して、未反応2-(メ
チルアミノ)エタノールの除去を完全なものとし、かつ60℃で減圧下において乾
燥させた。ポリマーは、モノベンジル酸臭素(monobenzylic bromide)を含んでお
らず、以下の表2に摘要した分析により、モノベンジル酸臭素からN−メチルア
ミノエタノール官能基への本質的に完全な転化が示されている。
得られたポリマーAは、0.117 mmole/g のヒドロキシル官能基を含んでいた。ポリマーBの合成
ポリマーAの合成と同一の手順を使用したが、出発ポリマーをEXXPROTMEMDX 9
3-4とし、19.74gの2-(メチルアミノ)エタノール(10モル/モルBr)を添加した
。60〜63℃で4時間の反応後、回収した及び洗浄したポリマーは、以下の表3の
組成を有していた。
得られたポリマーBは、0.213 mmole/g のヒドロキシル官能基を含んでいた。ポリマーCの合成
ポリマーCは、アルキルアミンによる、EXXPROTMエラストマーのベンジル酸臭
素の置換により得られた、ペンダント第二アミン官能基を含有するイソブチレン
−パラメチルスチレンコポリマーである。100gのEXXPROTMEMDX 89-1 エラストマ
ーを、1lのテトラヒドロフランに溶解した。16.7g のn-ヘキシルアミン(12モ
ル/モルBr)を攪拌下に添加し、溶液を60〜63℃に加熱した。その温度を5時間
維持し、その後、前述のようにポリマーを回収し、洗浄しかつ乾燥させた。ポリ
マーCの分析は、以下の表4のものとした。
得られたポリマーCは、0.1167 mmole/gの第二アミン官能基を含んでいた。
以下の実施例は、本発明を説明するためのものである。混合を、表5に記載の
手順に従ってBrabender(登録商標)混合器中において行った。
化合物を、その後、4〜5倍、ゴム用ロール機に通して、厚さ2mmのシートを
得た。
実施例において使用した種々の配合を、ポリマーAについては表6(配合D〜
H)に、ポリマーBについては表7(配合J〜P)に、ポリマーCについては表
8(配合Q〜T)に記載した。全ての部は、100 部のポリマーをベースとする重
量によるものである。凡用炉(GPF)カーボンブラックN 660 を使用した。ドイツ
のChemische Werke Huls A.G.Marl により販売されているIPDI B 1530 は、15
重量%のイソシアネートを含有する3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシ
クロヘキシルイソシアネートをベースとするブロックされたポリイソシアネート
であり、全イソシアネート官能基はε−カプロラクタムによりブロックされてい
る。
配合D、E及びRを試験して、種々の時間でのそのスコーチ時間を測定した。
これらの試験結果を表9に示す。
スコーチ時間 ts2(2 dN.m がML以上に上昇する時間)は、3°アーク振幅
で測定した。流動学的特性の結果が極めて良好であることが分かり、これらの化
合物は130〜160°の温度で、早期架橋結合することなく、安全に加工することが
できる。表6、7及び8に示した配合を試験して、ASTM D 2084 に従ったMonsan
toオシレートディスクレオメーターを用いて1又は2種の温度での硬化時間等の
それらの硬化特性を測定した。これらの配合を、その後、レオメーター硬化曲線
t'90により測定した90%硬化のためのそれらの時間に接近するような温度及び時
間でプレス加硫した。硬化した試験片について、その後、試験して、空気循環炉
における125℃での72時間の熟成前又はその後のそれらの物理的特性を測定し
た。これらの試験の結果を、配合D〜Hについては表10に、配合J〜Lについて
は表11に、配合M〜Pについては表12に、及び配合Q〜Tについては表13に示す
。
モジュラス及び硬度は、OH/NCO又はNH/NCOモル比を調節することにより、従っ
て、架橋結合密度を調節することにより変動し得る。高引張強さは、また、配合
D及びE、F、G及びH、I及びN、K及びPを比較することにより示した触媒
触媒の添加により達成又は更に増加させることができる。
熟成特性(aged properties)は、また、引張強さの保持、具体的には、ヒドロ
キシル基を有するイソブチレンベースのポリマーを含む配合D、E及びH、並び
にアミン基を有するイソブチレンベースのポリマーを含む配合Q〜Tにより示さ
れているように極めて良好なものである。そのような熟成抵抗は、配合物が酸化
防止剤や付加的安定剤を含まないことを考慮すると、格別に良好なものである。
本発明の組成物は、タイヤ成分(例えば、インナーライナー)、硬化膜、容器
のクロージャー用ストッパー及びライニング等の工業的用途に有用なものである
。
分子量(Mw及び<n)を、異なる屈折率(DRI)検出器を備えた水150Cゲル透過
クロマトグラフィーを用いて測定した。システムは、溶剤としてテトラヒドロフ
ランを用いて40℃で使用した。ポリイソブチレン標準を使用した。ポリスチレン
ゲルカラムは、英国のShropshireのPolymer Laboratories,Ltd.から購入した。
本明細書において記載した全ての文献は、優先権の基礎のものを含む本件明細
書中に組み込まれるものとする。前述の一般的記載及び特定の実施態様から明ら
かなように、本発明を説明及び記載してきたが、種々の変更が、本発明の精神及
び範囲から逸脱することなく可能である。従って、本発明は、それらにより制限
されることはない。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.60,000以上のMwを有しかつヒドロキシル及び/又はアミン官能基を含有す るエラストマーポリマーと、ブロックされたポリイソシアネートとを、ブロック されたポリイソシアネートを脱ブロックさせる温度未満の温度で組合せることを 含む硬化性エラストマー組成物の製造法。 2.更に、ブレンド組成物を、ポリイソシアネートを脱ブロックさせかつ硬化反 応を起こさせるのに十分な温度に加熱することを含む請求項1に記載の方法。 3.ブレンドを150〜200℃に加熱して、ポリイソシアネートを脱ブロック させる請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。 4.エラストマーが、C4-7のイソオレフィンを含むポリマーである請求項1〜 3のいずれか1項に記載の方法。 5.エラストマーが、イソブチレンとパラアルキルスチレン及び/又は共役ジオ レフィンとのコポリマーである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 6.エラストマーが、イソブチレンとパラメチルスチレンとのコポリマーである 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 7.ブロックされたポリイソシアネートが、ブロックされた芳香族ポリイソシア ネート、ブロックされた脂肪族ポリイソシアネート又はブロックされた脂環式ポ リイソシアネートである請求項1に記載の方法。 8.ブロックされたポリイソシアネートが、ヒドロキシル基のイソシアネートに 対するモル比、又はアミンのイソシアネートに対するモル比が、0.9:1.0〜20.0 :1.0となる量で存在する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 9.ブロックされたポリイソシアネートが、ブロックされた脂肪族ポリイソシア ネート又はブロックされた脂環式ポリイソシアネートである請求項1〜8のいず れか1項に記載の方法。 10.官能基が、主に、アミンである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 11.官能基の全てがアミンである請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 12.溶剤の存在下で行われる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 13.請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物。 14.60,000以上のMwを有しかつヒドロキシル及び/又はアミン官能基を含有す るエラストマーポリマー;ブロックされたポリイソシアネートを含み、かつ触媒 を含んでいてもよい硬化性組成物。 15.溶剤を含まない請求項14に記載の組成物。 16.請求項13〜15のいずれか1項に記載の組成物の、圧縮成形工程における使用 。 17.請求項13〜15のいずれか1項に記載の組成物を含む造形品。 18.60,000以上のMwを有しかつヒドロキシル及び/又はアミン官能基を含有す るエラストマーポリマーと、ブロックされたポリイソシアネートとを組合せ、そ の組合せを、イソシアネートを脱ブロックさせるのに必要な温度より高い温度に 加熱することにより製造された硬化性組成物。 19.60,000以上のMwを有しかつヒドロキシル及び/又はアミン官能基を含有す るエラストマーポリマーとブロックされたポリイソシアネートとを組合わせるこ と、及びその後その組合せを、イソシアネートを脱ブロックさせるのに必要な温 度より高い温度に加熱すること により製造された硬化された組成物を含む造形品。
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