JPH1036962A - 光学薄膜の製造装置および製造方法 - Google Patents

光学薄膜の製造装置および製造方法

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JPH1036962A
JPH1036962A JP8191269A JP19126996A JPH1036962A JP H1036962 A JPH1036962 A JP H1036962A JP 8191269 A JP8191269 A JP 8191269A JP 19126996 A JP19126996 A JP 19126996A JP H1036962 A JPH1036962 A JP H1036962A
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film
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optical thin
thin film
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JP8191269A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Takeshi Kawamata
健 川俣
Norikazu Urata
憲和 浦田
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Tadashi Watanabe
正 渡邊
Toshiaki Oimizu
利明 生水
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリングによって光学薄膜を形成させ
る際の成膜速度を向上させると共に、膜や基板へのダメ
ージを防止する。 【解決手段】 ターゲットである膜原料3aを載置した
カソード5に高周波電源7から交流を印加して、この交
流の電力によりターゲット3A上にプラズマを発生さ
せ、このプラズマによりターゲット3aの温度を上昇さ
せながらターゲット3aをスパッタリングすることによ
り、高速で基板2a上に光学薄膜を形成すると共に、タ
ーゲットの中心から見たターゲットの面積の5分の2の
面積の垂直方向にこの面積を投影した投影部の外に基板
2aを配置することにより、荷電粒子である熱電子の入
射による膜や基板のダメージを防止し、光吸収の少ない
光学薄膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
を用いて高速で光学薄膜を製造する装置及び方法に関
し、特に光学薄膜の物性や基板のダメージをコントロー
ル可能な光学薄膜の製造装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜を形成する場合においては、
手法の容易さや成膜速度の早さなどの点から、真空蒸着
法が多く用いられてきた。この真空蒸着法は、各種部品
等に反射防止膜やハーフミラー、エッジフィルターなど
の光学薄膜を形成する場合にも使用されている。一方、
近年になり、光学薄膜やその他の薄膜においても、自動
化・省力化・大面積基板の適用性などの点で有利なスパ
ッタリング法によるコーティングの要求が高まってき
た。
【0003】しかし、スパッタリング法は真空蒸着法と
比較して成膜速度が遅いという欠点がある。金属膜の場
合はそれでも実用レベルにあるが、その他の膜の場合に
は成膜速度が著しく遅いために、工業的な普及が遅れが
ちであった。この成膜速度が遅いという原因は、イオン
がターゲットに衝突した際、ターゲット内の原子間結合
を切ってターゲットから原子を跳びださせる必要があ
り、加速されたイオンのエネルギーの一部は原子間結合
を切ることに費やされてしまうため、スパッタ収率が低
くなるからである。
【0004】また、光学薄膜として代表的な低屈折率物
であるMgF2 (フッ化マグネシウム)をスパッタリン
グ法により成膜すると、部品上に成膜される以前(プラ
ズマ中)にMgとFに解離してしまい、一度解離したF
が再結合しにくいものであるから、よって薄膜中でFが
不足するため、可視光の吸収が生じてしまうという欠点
があり、このことがスパッタリング法を光学薄膜に適用
する上での大きな障害となっていた。
【0005】光学薄膜にスパッタリング法を適用した例
としては、特開平4−223401号公報記載の例があ
る。この公報では、スパッタリング法で形成されたMg
2の薄膜が前述の如く可視光の吸収を生じてしまうこ
と、及び板状のMgF2 (6inch)上にSiウェハ
(3inch)を載置したもの或いはMgF2 にSiの
細片を添加したものをターゲットとしてスパッタリング
することにより光吸収のほとんどない低屈折のMgSi
OF膜を形成することができる等が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平4
−223401号公報記載の技術においては、例えば、
工業的に使用される500W(ワット)を6inchの
MgF2 に対して供給する場合のように、2.8W/c
2 の高周波電力を投入しても、成膜速度は最高で10
nm/分以下であり、成膜速度が遅いというスパッタリ
ング法の欠点を解消できていないものであった。したが
ってこの成膜速度では、例えば可視域に適用される単層
の反射防止膜を形成するのに10分以上を要してしま
い、工業的な普及は困難であると言わざるを得ない。
【0007】本発明者の追実験によれば、上記従来例に
従い板状のMgF2 上にSiウエハーを載置したものを
ターゲットとしてスパッタリングしてみても、可視域で
光吸収が0.5%以上であり、また屈折率が1.4以下
となるような膜を形成することができなかった。本発明
はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、光吸
収が少なく且つ屈折率が1.4以下の光学薄膜をスパッ
タリング法により高速で形成できる装置及び方法を提供
することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1項記載の発明の
製造装置は、交流を印加することで負電位とされるカソ
ードと、膜原料として粒径10mm以下の顆粒状のMg
2 の多数個を用い、前記カソード上に載置されたとき
のターゲット表面がほぼ円形である前記膜原料により構
成されるターゲットと、前記ターゲットに対向する位置
で且つ前記ターゲットの直径の5分の2の直径をもち、
中心軸が前記ターゲットと一致するような円形の平面
の、垂直方向にこの平面を投影した投影部の外に配置さ
れる基板と、前記ターゲット上にプラズマを発生せし
め、前記プラズマにより前記膜原料表面の温度を上昇さ
せながら、前記ターゲットを正イオンによりスパッタリ
ングすることにより前記膜原料の少なくとも一部を分子
状態で跳びださせ、この分子状態の膜原料を前記基板に
到達せしめて前記基板上に光学薄膜を形成するため前記
交流を供給する交流電源手段と、を有することを特徴と
する。
【0009】請求項2項記載の発明の製造装置は、交流
を印加することで負電位とされるカソードと、膜原料と
して粒径10mm以下の顆粒状のMgF2 の多数個を用
い、前記カソード上に載置されたときのターゲット表面
がほぼ長方形である前記膜原料により構成されるターゲ
ットと、前記ターゲットに対向する位置で且つ前記ター
ゲットの短手方向の5分の2の幅と長手方向の幅の大き
さを持ち、短手方向の中心が前記ターゲットの短手方向
の中心を通り、かつ長手方向の端部が前記ターゲットの
長手方向の端部と一致するような長方形の平面の、垂直
方向にこの平面を投影した投影部の外に配置される基板
と、前記ターゲット上にプラズマを発生せしめ、前記プ
ラズマにより前記膜原料表面の温度を上昇させながら、
前記ターゲットを正イオンによりスパッタリングするこ
とにより前記膜原料の少なくとも一部を分子状態で跳び
ださせ、この分子状態の膜原料を前記基板に到達せしめ
て前記基板上に光学薄膜を形成するため前記交流を供給
する交流電源手段と、を有することを特徴とする。
【0010】請求項3項記載の発明の方法は請求項1項
もしくは請求項2項記載の光学薄膜の製造装置を用い
て、MgF2 薄膜を製造することを特徴とする。以下に
本発明の作用を説明する。本発明では粒径10mm以下
の顆粒状のMgF2 を膜原料として用い、この膜原料で
ターゲットを構成する。
【0011】ターゲットとなる膜原料を顆粒状としたの
は、顆粒状であるため熱伝導が悪いことや、多量に存在
するエッジ部に電場・磁場が集中するため容易に加熱す
ることができるからである。粒径を10mm以下とした
のは、粒径が大きすぎると断熱効果が減り、またエッジ
部が少なくなり前記電場・磁場の集中による効果が小さ
くなるからである。また、あまり小さすぎると、顆粒は
スパッタリングの行われる真空槽内で舞い上がりパーテ
ィクルとなるため、0.1mm以上がよく、望ましくは
は0.5mm以上がよい。この範囲であれば、顆粒の大
きさ、形状は必ずしも均一でなくてもよい。
【0012】従って、ターゲットを容易に加熱できるの
で、ターゲットである膜原料の温度を上昇させておくこ
とができ、そして予め原子間の結合力を弱めておいてイ
オンをターゲットに衝突させるので、加速されたイオン
のエネルギーの大部分がスパッタリングに使われるため
にスパッタ収率が高くなり、その結果、従来法と比較し
て成膜速度が著しく速くなる。
【0013】ターゲットを加熱する方法として、ターゲ
ットを構成する膜原料を載置したカソードに交流電源よ
り交流を印加することでカソード上にプラズマが発生し
て負電位となり、このプラズマによりターゲットを加熱
する方法を採用している。ここでいう交流とは、13.
56MHzの高周波や10KHz程度の中周波をも含む
ものである。
【0014】また、本発明では膜原料として顆粒状のM
gF2 を使用しているため、スパッタリング中の膜原料
の温度を、例えば、およそ500〜1000℃程度に上
昇させておくことができ、これによって熱振動により結
合力の強い箇所と弱い箇所ができてスパッタリングによ
って跳びだす粒子の形態が分子となる場合が生じる。こ
こでいう分子とは、単分子のみでなくクラスター状に集
合体をなす多分子をも含む。膜材料から構成されるター
ゲットから跳びだす粒子の形態は、熱による蒸発分子と
ほぼ同じになると考えてよい。
【0015】このように、膜原料が分子の形態で跳びだ
すので、MgF2 のFが解離することが少なく、従って
形成されるMgF2 の薄膜は光吸収が小さい屈折率が
1.4以下の光学薄膜に適したものとなる。特に請求項
1及び請求項3では、表面がほぼ円形をなすターゲット
に対向する基板の配置位置を、ターゲットの直径の5分
の2の直径を持ち、中心軸が該ターゲットのと一致する
ような円形の平面の、垂直方向にこの平面を投影した投
影部の外にしているので、ターゲットの直径の5分の2
未満の限定された領域で発生してターゲットの垂直方向
に沿って流れ、基板やあるいは既に成膜された薄膜に入
射してこの薄膜に可視光での光吸収を生じさせるような
荷電粒子である熱電子の入射を阻止でき、よって、熱電
子による基板や薄膜のダメージが防止され、その結果、
可視光での光吸収が0.5%未満と少なくなる良好な光
学特性を持つMgF2 光学薄膜が製造される。
【0016】また、請求項2及び請求項3でのターゲッ
トと基板との関係は、表面がほぼ長方形をなすターゲッ
トに対向する基板の配置位置を、ターゲットの短手方向
の5分の2の幅と長手方向の幅の大きさをもち、短手方
向の中心が前記ターゲットの短手方向の中心を通り、か
つ長手方向の端部が前記ターゲットの長手方向の端部と
一致するような長方形の平面の、垂直方向にこの平面を
投影した投影部の外にしているので、ターゲットの短手
方向の5分の2未満の限定された領域で発生してターゲ
ットの垂直方向に沿って流れ、基板やあるいは既に成膜
された薄膜に入射してこの薄膜に可視光での光吸収を生
じさせるような荷電粒子である熱電子の入射を阻止で
き、よって、熱電子による基板や薄膜のダメージが防止
され、その結果、可視光での光吸収が0.5%未満と少
なくなる良好な光学特性を持つMgF2 光学薄膜が製造
される。
【0017】このように、請求項1または請求項2に係
る装置を使用して製造されたMgF 2 光学薄膜は、化学
量論比に近く、従って可視域で光吸収がほとんどなく常
に0.5%未満であり、その屈折率は常に1.4以下と
十分に低くて単層でも十分な反射防止効果を有する。こ
のためレンズやプリズム、光ファイバー、眼鏡、サング
ラス、ゴーグル等の光学部品やその機器類、ブラウン管
や液晶等の表示素子、各種窓材、スクリーン等への反射
防止膜として使用できる。
【0018】また、高屈折率膜と組み合わせた多層構造
とすることにより、より高性能な反射防止膜やその他ハ
ーフミラーやエッジフィルター等の光学薄膜を形成する
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)図1は実施の形態1で用いる製造装置
を示す。1は真空槽であり、この真空槽1内の上方には
円盤形状の基板2aが回転可能に設置されている。ター
ゲット3aは膜原料である粒径0.5mm〜2mmのM
gF2 顆粒で構成され、直径が100mmの円形となる
よう石英製の皿4aに入れてマグネトロンカソード5上
に載置されている。カソード5はマッチングボックス6
を介して13.56MHzの高周波電源7と接続されて
いる。高周波電源7はカソード5に交流を供給する交流
電源となるものであり、カソード5は負電位とされて、
ターゲット3aが正イオンによるスパッタリングを可能
な状態とされる。また、カソード5の温度を一定に保つ
ためにカソード5の下面には水温を25±0.5℃に制
御した冷却水8(冷却用管路は不図示)を流している。
真空槽1の側面にはガス導入口9が設けられ、カソード
5と基板2aの間にはシャッター10が設けられてい
る。
【0020】上記の如くターゲット形状は直径100m
mの円形であり、基板の形状は直径100mmの円盤状
である。また基板面とターゲット面との距離は75mm
であり、基板2aの中心軸とターゲット3aの中心軸と
の距離は75mmとなるよう配置されている。ここで、
ターゲットの直径の5分の2の直径を持ち、中心軸が該
ターゲットと一致するような円形の平面の、垂直方向に
この平面を投影した投影部の外に基板2aを配置するた
めには、{(基板2aとターゲット3aの中心軸間距離
1 )−(基板半径Y1 +ターゲットの半径Y2 の5分
の2)}>0となる必要がある。上記数字を代入して計
算すると、{75−(50+50×2/5}=5とな
り、上記条件を満たし、熱電子の影響を受けない領域に
基板2aが設置されていることが判る。
【0021】次に、上記装置を用いて光学薄膜を製造す
る方法を説明する。材質がBK7からなる光学ガラスで
ある基板2aをセットし、7×10-5Paまで真空槽1
内を排気する。その後、N2 ガスをガス導入口9から1
Paまで導入する。高周波電源7からマッチングボック
ス6を介して500Wの電力をマグネトロンカソード5
に供給し、ターゲット3a上にプラズマを発生させる。
ターゲット3aであるMgF2 顆粒はこのプラズマによ
り加熱され、カソード5下面の冷却水8による冷却能と
つりあった温度に保持されるとともに、スパッタリング
される。ここで基板2aを回転させ、シャッター11を
開けると、基板2a上にMgF2 膜が形成される。光学
的膜厚が130nmとなるタイミングでシャッター11
を閉じた。 次いで、本発明の実施の形態の製造装置に
より製造された光学薄膜の評価を行った。成膜された膜
に粘着性テープ(商品名「セロハンテープ」)を貼り付
けた後、90°方向に強く引き剥す密着性試験を実施し
たが、剥離は生じなかった。 また、アルコールにより
湿らせたレンズクリーニング用ペーパーで20往復強く
こすった後、膜表面を肉眼で観察するいわゆる耐擦傷性
試験を実施したところ、膜の損傷は確認されなかった。
続いて、光学的膜厚が130nmの場合の波長400n
mでの光吸収率を測定したところ、0.1%と十分小さ
く光吸収に関する問題はなかった。また、可視域での屈
折率を測定したところ、1.38であって十分低い屈折
率であり、反射防止膜等の用途に適切に対応できる値と
なっている。 なお、本実施の形態1では、MgF2
粒からなるターゲット3aは、直径100mmの皿4a
に入れて円形にしているが、これに限定されるものでは
なく、例えば、直径が200mm程度の大きな皿の中に
内径が100mmとなるように薄片で作ったリングを配
設し、このリング内に前記NgF2 顆粒を入れても良
く、この際にリングの作成上の変形が少なからずあって
もよいものである。
【0022】(実施の形態2〜5)実施の形態1の光学
薄膜製造装置と同様な構成を持ち、表1に示すように、
ターゲット形状、基板形状、基板面とターゲット面の距
離、そして基板中心軸とターゲット中心軸の距離がそれ
ぞれ異なる成膜装置を用い、表2に示す基板材質及び成
膜条件で成膜を行った。いずれもターゲットの面積を垂
直方向に投影したその投影部の中心から見た5分の2の
面積の外に基板を配置した場合である。
【0023】次いで、実施の形態1と同様に膜の評価を
行ったところ、表2に示すように波長400nmでの光
吸収率は0.0%から0.4%の範囲の値であり、多少
差があるものの、いずれも0.5%未満であって光吸収
による実用上の問題はなく、密着性試験や耐擦傷試験に
おいても問題がなかった。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】(比較例1〜3)実施の形態1の光学薄膜
製造装置と同様な構成を持ち、表1に示すように、ター
ゲト形状、基板形状、基板面とターゲット面の距離、そ
して基板中心軸とターゲット中心軸の距離がそれぞれ異
なる成膜装置を用い、表2に示す基板材質及び成膜条件
で成膜を行った。但し、実施の形態1〜5と異なり、い
ずれもターゲットの面積を垂直方向に投影したその投影
部の中心から見た5分の2の面積の内側に基板を配置し
た場合である。
【0027】次いで、実施の形態1と同様に膜の評価を
行ったところ、表2に示すように波長400nmでの光
吸収率はいずれも0.5%以上となり、光学薄膜の特性
としては不十分な結果になった。 (実施の形態6)図2は本実施の形態で用いる成膜装置
を示す。同図はほぼ長方形の形状を持つターゲットを短
辺方向から見た断面図であり、図1と同一の要素は同一
の符号を付して対応させてある。1は真空槽であり、こ
の真空槽1内の上方には材質がBK7よりなる500m
m×500mmの基板2bがターゲット3bの上方を横
切るように等速移動可能に設置されている。ターゲット
3bは膜原料である粒径0.5〜2mmのMgF2 顆粒
で構成され、面積が600×200mmの長方形となる
ように石英製の皿4bに入れてマグネトロンカソード5
上に載置されている。カソード5はマッチングボックス
6を介して13.56MHzの高周波電源7と接続され
ている。また、カソード5の温度を一定に保つためにカ
ソード5の下面には水温を25±0.5℃に制御した冷
却水8(冷却用管路は不図示)を流している。真空槽1
の側面にはガス導入口9が設けられている。
【0028】基板面とターゲット面の距離は100mm
であり、また、ターゲット3bの中心軸面(ターゲット
の短手方向の中心を通り、かつターゲットに垂直な面を
いう)に対しての距離が50mm以下及び150mm以
上となる領域では基板がプラズマにさらされず、成膜さ
れないようにシールド11aが設けられている。ここ
で、熱電子により基板や薄膜がダメージを受けることな
く、かつ膜厚分布が良好となる条件として、ターゲット
3bの短手方向の5分の2の幅と、ターゲット3bの長
手方向と同じ幅を持ち、短手方向の中心がターゲット3
bの短手方向の中心を通り、かつ長手方向の端部がター
ゲット3bの端部と一致するような長方形の、垂直方向
にこの平面を投影した投影部の外に基板2bが配置され
ていることが必要となる。即ち、短手方向については、
ターゲット3bの中心軸面と基板2bの水平方向の距離
がターゲット3bの短手方向の幅の5分の2の半分以上
の寸法になる必要がある。ターゲット3bの短手方向の
幅は上記の如く200mmであるので、その幅の5分の
2の半分は40mmとなる。本実施の形態においては上
記の如くターゲット3bの中心軸面から50mm以下の
領域はシールド11aによってシールドされているの
で、上記条件を満たしている。
【0029】また、シールド11aの長手方向について
は、図示されていないが、前記ターゲット3bの投影部
の端部より外側がシールドされるように、シールド11
aの寸法が決められている。従って、長手方向について
も上記条件を満たしている。次いで、上記装置を用いて
MgF2 膜を成膜する方法を説明する。実施の形態1と
同様に真空槽1を排気した後、O2 ガスをガス導入口9
から2Paの圧力になるように導入する。高周波電源7
からマッチングボックス6を介して500Wの電力を供
給することにより、ターゲット3bがスパッタリングさ
れる。続いて図2に示すように、基板2bをターゲット
3b上を横切るように等速移動させることにより、Mg
2 膜を成膜する。前記移動速度は基板2bがターゲッ
ト3b上を1回横切ると光学的膜厚で130nmの膜が
成膜されるように、その速度が調整されている。このよ
うな条件で膜厚が130nmとなるようにMgF2 膜の
成膜をおこなった。
【0030】実施の形態1と同様な方法で膜の評価を行
ったところ、波長400nmにおける光吸収率が0.0
%と良好であり、またそれ以外の評価についても実施の
形態1と同様な結果が得られた。なお、本実施の形態6
では、MgF2 顆粒からなるターゲット3bは、面積6
00×200mmの皿4bに入れて長方形にしている
が、これに限定されるものではなく、例えば、更に面積
の大きな皿の中に内側寸法が600mm×200mmの
長方形となるように薄片で作ったリングを配設し、この
リング内に前記NgF2 顆粒を入れても良く、この際に
リングの作成上の変形が少なからずあってもよいもので
あって、ほぼ長方形という範疇に含まれる。
【0031】なお、ターゲットの表面がほぼ長方形であ
る場合、ターゲットの短手方向の中心と基板の中心とが
一致するようにターゲットの直上に基板が配置されてい
ると、基板上における短手方向の端部すなわち短辺側の
外周部では、成膜速度の位置による依存性すなわち膜厚
分布が大きくなって均一な膜質が得難いことを知見し
た。しかしながら本実施の形態のように、ターゲットと
基板との位置をズラしている即ちターゲットの中心での
短手方向の5分の2の幅の領域の外に基板を配設した結
果、基板上における膜厚分布を良くする事ができる。
【0032】(実施の形態7)図3は本実施の形態で用
いる成膜装置を示す。同図はほぼ長方形の形状を持つタ
ーゲットを短辺方向から見た断面図であり、図1と同一
の要素は同一の符号を付して対応させてある。1は真空
槽であり、この真空槽1内の上方には材質がジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート樹脂(商品名「CP
39」)よりなる円盤形状で直径70mmの基板2cが
2個設置され、それぞれの中心軸を中心に回転可能とな
っている。
【0033】ターゲット3bは膜原料である粒径0.5
mm〜2mmのMgF2 顆粒で構成され、面積が600
×200mmの長方形となるよう石英製の皿4cに入れ
てマグネトロンカソード5上に載置されている。カソー
ド5はマッチングボックス6を介して13.56MHz
の高周波電源7と接続されている。高周波電源7はカソ
ード5に交流を供給する交流電源となるものである。ま
た、カソード5の温度を一定に保つためにカソード5の
下面には水温を25±0.5℃に制御した冷却水8(冷
却用管路は不図示)を流している。真空槽1の側面には
ガス導入口9が設けられている。
【0034】各基板面とターゲット面との垂直方向の距
離は100mmであり、また、ターゲット3cの中心軸
面と各基板2cのそれぞれの基板中心軸との水平方向の
距離はいずれも85mmである。ここで、熱電子により
基板や薄膜がダメージを受けることなく、かつ膜厚分布
が良好となる条件として、ターゲット3cの短手方向の
5分の2の幅と、ターゲット3cの長手方向と同じ幅を
持ち、短手方向の中心がターゲット3cの短手方向の中
心を通り、かつ長手方向の端部がターゲット3cの端部
と一致するような長方形の、垂直方向にこの平面を投影
した投影部の外に基板2cが配置されていることが必要
となる。即ち、短手方向については、ターゲット3cの
中心軸面と基板2cの水平方向の距離がターゲット3c
の短手方向の幅の5分の2の半分以上の寸法になる必要
がある。ターゲット3cの短手方向の幅は上記の如く2
00mmであるので、その幅の5分の2の半分は40m
mとなる。上記中心軸間距離85mmから基板2cの半
径35mmを差し引くと50mmとなり、上記条件を満
たしている。
【0035】次いで、上記装置を用いてMgF2 膜を成
膜する方法を説明する。実施の形態1と同様に真空槽1
を排気した後、O2 ガスをガス導入口9から2Paの圧
力になるように導入する。高周波電源7からマッチング
ボックス6を介して500Wの電力を投入することによ
り、ターゲット3cがスパッタリングされ、各基板2c
上に成膜を行う。各基板2c上の膜厚が光学的膜厚で1
30nmとなった時点で電力を切り、MgF2 膜を成膜
した。
【0036】実施の形態1と同様な方法で膜の評価を行
ったところ、波長400nmにおける光吸収率が0.0
%と良好であり、またそれ以外の評価についても実施の
形態1と同様な結果が得られた。 (比較例4)本比較例で用いる成膜装置を図4に示す。
図4はほぼ長方形の形状を持つターゲットを短辺方向か
ら見た断面図である。
【0037】本比較例では、実施の形態6において図2
に示すシールド11aのうち、ターゲット3bの中心軸
面に対しての距離が50mm以下の部分のみを取り除い
たシールド11bに代えた。それ以外は実施の形態6と
同じ装置で、同じ方法によりMgF2 膜を基板2b上に
成膜した。実施の形態1と同様の方法で膜の評価を行っ
たところ、光吸収率が0.6%となり、0.5%を超え
て、光学薄膜としては不十分な特性となった。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱電子の影響による基板や薄膜のダメージを防ぐことが
できるので、光吸収の少ない良好な光学特性を持つMg
2 光学薄膜を製造することが可能となる。また、顆粒
状の膜原料を予め加熱しておいてスパッタリングするの
で、加速されたイオンのエネルギーの大部分はスパッタ
リングに使われるためにスパッタ収率が高くなり、その
結果従来法と比較して成膜速度を著しく速くすることが
できる。
【0039】更に、基板をターゲットに対して適正な位
置に配置しているので、膜質が均質なMgF2 膜を製造
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の成膜装置の断面図である。
【図2】実施の形態6の成膜装置の断面図である。
【図3】実施の形態7の成膜装置の断面図である。
【図4】比較例4の成膜装置の断面図である。
【符号の説明】
2a 基板 2b 基板 2c 基板 3a ターゲット 3b ターゲット 3c ターゲット 5 マグネトロンカソード 7 高周波電源 11a シールド 11b シールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦田 憲和 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 豊原 延好 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 渡邊 正 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流を印加することで負電位とされるカ
    ソードと、 膜原料として粒径10mm以下の顆粒状のMgF2 の多
    数個を用い、前記カソード上に載置されたときのターゲ
    ット表面がほぼ円形である前記膜原料により構成される
    ターゲットと、 前記ターゲットに対向する位置で、且つ前記ターゲット
    の直径の5分の2の直径をもち、中心軸が前記ターゲッ
    トと一致するような円形の平面の、垂直方向にこの平面
    を投影した投影部の外に配置される基板と、 前記ターゲット上にプラズマを発生せしめ、前記プラズ
    マにより前記膜原料表面の温度を上昇させながら、前記
    ターゲットを正イオンによりスパッタリングすることに
    より前記膜原料の少なくとも一部を分子状態で跳びださ
    せ、この分子状態の膜原料を前記基板に到達せしめて前
    記基板上に光学薄膜を形成するため前記交流を供給する
    交流電源手段と、 を有することを特徴とする光学薄膜の製造装置。
  2. 【請求項2】 交流を印加することで負電位とされるカ
    ソードと、 膜原料として粒径10mm以下の顆粒状のMgF2 の多
    数個を用い、前記カソード上に載置されたときのターゲ
    ット表面がほぼ長方形である前記膜原料により構成され
    るターゲットと、 前記ターゲットに対向する位置で、且つ前記ターゲット
    の短手方向の5分の2の幅と長手方向の幅の大きさを持
    ち、短手方向の中心が前記ターゲットの短手方向の中心
    を通り、かつ長手方向の端部が前記ターゲットの長手方
    向の端部と一致するような長方形の平面の、垂直方向に
    この平面を投影した投影部の外に配置される基板と、 前記ターゲット上にプラズマを発生せしめ、前記プラズ
    マにより前記膜原料表面の温度を上昇させながら、前記
    ターゲットを正イオンによりスパッタリングすることに
    より前記膜原料の少なくとも一部を分子状態で跳びださ
    せ、この分子状態の膜原料を前記基板に到達せしめて前
    記基板上に光学薄膜を形成するため前記交流を供給する
    交流電源手段と、 を有することを特徴とする光学薄膜の製造装置。
  3. 【請求項3】 請求項1項もしくは請求項2項に記載の
    光学薄膜製造装置により、MgF2 薄膜を製造すること
    を特徴とする光学薄膜の製造方法。
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