JP3776479B2 - 光学薄膜およびその製造方法 - Google Patents

光学薄膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スパッタリング法を用いて形成する光学薄膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜を形成する場合、手法の容易さや成膜速度の速さなどの点から、真空蒸着法が多く用いられてきた。反射防止膜やハーフミラー、エッジフィルタなどの光学薄膜を形成する場合にもこれは同じである。一方、近年になり、光学薄膜やその他の薄膜においても、真空蒸着法に比較して自動化・省力化・大面積基板への適用性などの点で有利なスパッタリング法によるコーティングの要求が高まってきた。しかし、スパッタリング法は真空蒸着法と比較して成膜速度が遅いという点で工業的な普及がやや遅れがちであった。
【0003】
光学薄膜にスパッタリング法を適用した例としては、例えば特開平4−223401(ニコン)がある。ここでは、スパッタリングすると光吸収のでやすいMgF2 にSiを添加したものをターゲットとするなどにより、光吸収のほとんどない低屈折率膜を形成することに成功したと述べている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上述の従来技術では、2.8W/cm2 の高周波電力を投入しても成膜速度は最高で10nm/分以下であり、成膜速度が遅いというスパッタリング法の欠点を解消できていない。
【0005】
そこで発明者は上記問題点を解決すべく研究を重ね、粒径0.1〜10mmの顆粒状のMg2 をターゲットとし、少なくとも酸素を含むガスを導入しながら、2W/cm2 以上の高周波電力をターゲットに投入してターゲット上にプラズマを発生せしめ、プラズマによりターゲット表面の温度を上昇させ、ターゲットおよびターゲットからの蒸気の双方をスパッタリングすることにより基板上に膜を形成すれば、良好な光学薄膜を高速で形成できることを見いだした。
【0006】
しかしながら、このようにして形成した膜は、通常の使用ではなんら問題はないものの、過酷な使用、例えばスチールウールのような金属などで過酷に擦られたりすると、膜に傷が入ったり摩耗したりすることがあった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、特に擦傷性の高い光学薄膜をスパッタリング法により高速で形成することのできる方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明の光学薄膜の製造方法は、粒径0.1〜10mmの顆粒状のMgF2 をターゲットとし、少なくとも酸素を含むガスを導入しながら、2W/cm2 以上の高周波電力をターゲットに投入してターゲット上にプラズマを発生せしめ、プラズマによりターゲット表面の温度を上昇させ、ターゲットおよびターゲットからの蒸気の双方をスパッタリングすることにより基板上に膜を形成する工程と、膜上に、少なくともSiO2 、またはAl2 3 を含む材料からなり、光学的膜厚にして1〜70nmの表面保護層をスパッタリングにより形成する工程とを有する。
【0009】
また請求項2に記載した本発明の光学薄膜は、請求項1記載の製造方法により製造する。
【0010】
【作用】
従来のスパッタリング法では固体(板)状のMgF2 をターゲットとしてスパッタするが、イオンがターゲットに衝突した際、ターゲット内の原子・分子間結合を切ってターゲットから原子・分子を飛び出させる必要があり、加速されたイオンのエネルギーの一部は原子・分子間結合を切ることに費やされてしまうために、スパッタ収率が低くなり、その結果、成膜速度が遅くなるという欠点があった。
【0011】
一方本発明では、粒径を0.1〜10mmとした顆粒状のMgF2 をターゲットとしており、2W/cm2 以上の高周波電力をターゲットに投入してターゲット上にプラズマを発生している。ここで顆粒の場合、多量のエッジが存在しこのエッジ部に電場・磁場が集中するので加熱されやすく(エッジ作用)、さらに顆粒は熱伝導が悪いために、温度が上昇しやすい(断熱作用)。このため、金属酸化物などに比べて一般に蒸発温度の低いMgF2 は、温度上昇により蒸発する。本発明では、このようにプラズマにより加熱されて発生した原料の上部に存在する蒸気にイオンを衝突させることになるので、加速されたイオンのエネルギーは全てスパッタリングに使われるためにスパッタ収率が高くなり、その結果、従来法と比較して成膜速度を著しく速くすることができる。
【0012】
尚、このとき顆粒の大きさは、あまり小さすぎるとチャンバ内で舞い上がりパーティクルとなるため、粒径0.1mm以上の方がよく、望ましくは0.5mm以上が良い。また、顆粒が大きすぎるとエッジ部が少なくなり電場・磁場の集中による効果が小さくなるため、粒径10mm以下、望ましくは5mm以下が良い。顆粒の大きさ、形状は均一である必要はない。
【0013】
また、高周波の投入電力とターゲットの温度とは相関があり、2W/cm2 以上の高周波電力を投入したとき、MgF2 顆粒の温度は700℃以上になり蒸気圧が十分に高まるので、この状態でスパッタリングを行うようにすると良い。尚、このとき、蒸気だけでなく、ターゲットである顆粒状のMgF2 も同時にスパッタリングされることになるが、成膜速度という点では特に問題はない。
【0014】
また、光学的な用途には光吸収が小さいことが望ましいが、固体状のMgF2 をスパッタリングした場合にその大部分はMgとFとに解離し、基板上にはFが不足した状態の膜が形成され、光吸収が生じてしまう。一方、加熱されて発生した蒸気はMgF2 分子の状態となっており、分子に加速されたイオンが衝突した場合にその分子の大部分は解離することなく分子状のまま基板上に到達するので、形成された薄膜に光吸収が生じにくい。本発明のように、蒸気だけでなく顆粒状のMgF2 も同時にスパッタリングされる場合、多少光吸収が生じるので、実用上問題ないレベルまで光吸収を減らすために、酸素を含むガスを導入しながらスパッタリングすると良い。このとき、酸素は解離したMgと結びつき、光吸収を減らす作用を有する。
【0015】
さらに本発明では、膜上にSiO2 又はAl2 3 を含む材料からなり、光学的膜厚にして1〜70nmの表面保護層をスパッタリングにより形成する。ここで、スパッタリングで形成したSiO2 又はAl2 3 は、透明で光吸収がない上、特に膜が緻密で硬度が高いために、MgF2 膜表面を保護する働きがある。ここで、SiO2 又はAl2 3 に他の酸化物やフッ化物などを少量混ぜたりしても、透明性、膜の緻密さや硬度を損なわない範囲ならば特に問題はない。
【0016】
尚、このときSiO2 又はAl2 3 を含む材料の光学的膜厚は、あまり薄すぎると表面保護の働きが不十分となるため、少なくとも1nm以上、望ましくは10nm以上が良い。また、逆に光学的膜厚があまり厚すぎると光学特性への影響が無視できなくなるため、少なくとも70nm以下、望ましくは30nm以下が良い。また、SiO2 膜やAl2 3 膜は、SiO2 やAl2 3 をターゲットとしてスパッタリングして形成しても良いし、SiやAlをターゲットとして酸素との反応性スパッタリングを行って形成しても良い。
【0017】
請求項2における本発明の光学薄膜は、光吸収が少なく、SiO2 又はAl2 3 を含む材料の表面保護の働きにより、特に耐擦傷性が高い。
【0018】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明に係る光学薄膜およびその製造方法の実施例を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(実施例1)
【0020】
まず図1を参照して本実施例で用いる成膜装置について説明する。真空槽1内の上方には屈折率1.70のガラスからなる基板2が設置されており、自転可能になっている。膜原料である粒径0.1〜10mmのMgF2 顆粒3は、直径4インチ(約100mm)の石英製の皿4に入れてマグネトロンカソード5上に載置されている。カソード5はスパッタリング用RF電源6と接続されている。カソード5の近くにはガス導入口7がある。もう一方のマグネトロンカソード10上には、Al2 3 からなる直径4インチの板状ターゲット9が載置されている。カソード10はスパッタリング用RF電源11と接続されている。カソード10の近くにはガス導入口12,13がある。
【0021】
次に本実施例の光学薄膜およびその製造方法を説明する。まず、不図示のヒータにより、基板2を100℃に加熱しながら、1×10-4Paまで真空槽1内を排気する。その後、O2 ガスをガス導入口7から1×10-1Paまで導入する。RF電源6から157W(約2W/cm2 に相当)の電力をマグネトロンカソード5に供給し、プラズマを発生させる。このプラズマにより、MgF2 顆粒3は加熱され、約700℃になり、顆粒3の上方近傍にMgF2 蒸気が発生する。このMgF2 の蒸気がプラズマ中の加速されたイオンによって叩かれ、分子の状態のまま上方に飛び出している。この状態で、基板2を回転させ、シャッタ8を開閉することにより、基板2上に光学的膜厚にして130nmのMgF2 膜(屈折率1.39)を形成する。この条件ではMgF2 の成膜速度は約30nm/分であり、成膜に要する時間は約4分であった。
【0022】
次に、ガス導入口7からガス導入を止め、ガス導入口13からArガスを0.07Paの圧力で導入する。次にRF電源11から600Wの電力をマグネトロンカソード10に供給し、Al2 3 をスパッタリングする。ここでシャッタ14を開閉して、MgF2 膜上に光学的膜厚1nmのAl2 3 膜(屈折率1.62)を形成する。この条件ではAl2 3 の成膜速度は約10nm/分で、成膜に要する時間は約6秒であった。
【0023】
以上の工程により本実施例の光学薄膜が製造される。得られた光学薄膜の分光反射特性を図2に示すが、可視域(400〜700nm)で2%以下と反射が低く、反射防止膜として良好な特性であった。また、光学薄膜の光吸収も1%以下であり、実用上の問題はなかった。
【0024】
また、得られた光学薄膜について、#0000のスチールウールを加重100gf/cm2 で100往復擦り付ける方法で擦傷性を評価したところ、傷や摩耗の発生はまったくなく、耐擦傷性が高かった。
【0025】
(実施例2)
【0026】
本実施例も前記実施例1と同様の装置、および基板を用いた。但し、本実施例ではカソード5と同形状のカソード10上にSiO2 からなる同形状のターゲットが載置されている点が前記実施例1と異なっている。
【0027】
以下、本実施例の光学薄膜およびその製造方法を説明する。まず、実施例1と同様に、基板2を設置した後、基板を加熱しながら、真空槽1を排気する。その後、ガス導入口7からCO2 ガスを1×10-1Paまで導入する。RF電源6から400W(約5.1W/cm2 に相当)の電力をマグネトロンカソード5に供給し、プラズマを発生させる。このプラズマにより、MgF2 顆粒3は加熱され、約800℃になり、顆粒3の上方近傍にMgF2 蒸気が発生する。ここで、実施例1と同様にMgF2 の蒸気がプラズマ中の加速されたイオンによって叩かれ、分子の状態のまま上方に飛び出しており、この状態で、基板2を回転させ、シャッタ8を開閉することにより、基板2上に光学的膜厚にして120nmのMgF2 膜(屈折率1.39)を形成する。この条件ではMgF2 の成膜速度は約240nm/分と速く、膜に要する時間は約30秒であった。
【0028】
次に、ガス導入口7からガス導入を止め、ガス導入口13からArガスを0.07Paの圧力で導入する。次にRF電源11から500Wの電力をマグネトロンカソード10に供給し、SiO2 をスパッタリングする。ここでシャッタ14を開閉して、MgF2 膜上に光学的膜厚10nmのSiO2 膜(屈折率1.46)を形成する。この条件ではSiO2 の成膜速度は約20nm/分で、成膜に要する時間は約30秒であった。
【0029】
以上の工程により本実施例の光学薄膜が製造される。得られた光学薄膜の分光反射特性を図3に示すが、可視域(400〜700nm)で反射が2%以下と低く、反射防止膜として良好な特性であった。また、光学薄膜の光吸収も0.7%以下であり、実用上の問題はなかった。
【0030】
また、得られた光学薄膜について、#0000のスチールウールを加重300gf/cm2 で100往復擦り付ける方法で擦傷性を評価したところ、傷や摩耗の発生はまったくなく、耐擦傷性が非常に高かった。
【0031】
(実施例3)
【0032】
本実施例も実施例1と同様の装置、および基板を用いた。但し、本実施例ではカソード10上にSiからなる同形状のターゲットが載置されている。
【0033】
以下、本実施例の光学薄膜およびその製造方法を説明する。まず、実施例1と同様に、基板2を設置した後、真空槽1を排気する。本実施例では基板の加熱は行わなかった。その後、ガス導入口7からO2 ガスを1Paまで導入する。RF電源6から600W(約7.6W/cm2 に相当)の電力をマグネトロンカソード5に供給し、プラズマを発生させる。このプラズマにより、MgF2 顆粒3は加熱され、約950℃になり、顆粒3の上方近傍にMgF2 蒸気が発生する。ここで、実施例1と同様にMgF2 の蒸気がプラズマ中の加速されたイオンによって叩かれ、分子の状態のまま上方に飛び出しており、この状態で、基板2を回転させ、シャッタ8を開閉することにより、基板2上に光学的膜厚にして50nmのMgF2 膜(屈折率1.39)を形成する。この条件ではMgF2 の成膜速度は約1000nm/分と非常に速く、成膜に要する時間は約3秒であった。
【0034】
次に、ガス導入口7からガス導入を止め、ガス導入口13からArガスを3.9Paの圧力で導入し、さらにガス導入口12からO2 ガスを0.1Paの圧力で導入する。次にRF電源11から700Wの電力をマグネトロンカソード10に供給し、Siをスパッタリングする。ここで、スパッタリングされたSiは上方に向かう途中で酸素と結合し、酸化されてSiO2 となる(酸素反応性スパッタリング)。ここでシャッタ14を開閉して、MgF2 膜上に光学的膜厚70nmのSiO2 膜(屈折率1.46)を形成する。この条件ではSiO2 の成膜速度は約120nm/分で、成膜に要する時間は約35秒であった。
【0035】
以上のような工程により本実施例の光学薄膜が製造される。得られた光学薄膜の分光反射特性を図4に示すが、可視域(400〜700nm)で2.2%以下と反射が低く、反射防止膜として実用的に十分な特性であった。また、光学薄膜の光吸収も0.3%以下であり、実用上なんら問題はなかった。
【0036】
また、得られた光学薄膜について、#0000のスチールウールを加重300gf/cm2 で100往復擦り付ける方法で擦傷性を評価したところ、傷や摩耗の発生はまったくなく、耐擦傷性が非常に高かった。
【0037】
(比較例1)
【0038】
本発明の効果を確認するため、実施例1〜3と同様の装置および基板を用いた比較実験を行った。本比較例ではカソード10上にMgF2 からなる直径4インチの板状のターゲット9が載置されている。
【0039】
以下、本比較例の光学薄膜およびその製造方法を説明する。まず、実施例3と同様に、基板2を設置した後、真空槽1を排気する。本比較例では基板の加熱は行わなかった。その後、ガス導入口12からO2 ガスを1Paまで導入し、RF電源6から600W(約7.6W/cm2 に相当)の電力をマグネトロンカソード5に供給し、プラズマを発生させる。しかし、板状のMgF2 ターゲット9の温度は、約500℃以下であり、上方近傍にMgF2 蒸気はほとんど発生していない。ここで、固体状のMgF2 はプラズマ中の加速されたイオンによって叩かれ、MgとFとに解離した状態で上方に飛び出しており、この状態で、基板2を回転させ、シャッタ8を開閉することにより、基板2上に光学的膜厚にして130nmのMgF2 膜(屈折率1.39)を形成する。この条件では通常の固体のスパッタリングが起こるだけなのでMgF2 の成膜速度は約5nm/分と非常に遅く、成膜に要する時間は約26分を要した。
【0040】
以上の工程により本比較例の光学薄膜が製造されるが、スパッタリングされる際、多くのHgF2 がHgとFに解離してしまうので、O2 を導入していても、光学薄膜の光吸収が10%以上あり、実用的ではなかった。
【0041】
(比較例2)
【0042】
本比較例も実施例1と同様の装置および基板を用いた。また、実施例1と同様に、膜原料である粒径0.1〜10mmのMgF2 顆粒3が直径4インチ(約100mm)の石英製の皿4に入れられてマグネトロンカソード5上に載置されている。
【0043】
以下、本実施例の光学薄膜およびその製造方法を説明する。まず、実施例3と同様に、基板2を設置した後、真空槽1を排気する。本比較例では基板の加熱は行わなかった。その後、ガス導入口7からO2 ガスを1Paまで導入する。RF電源6から600W(約7.6W/cm2 に相当)の電力をマグネトロンカソード5に供給し、プラズマを発生させる。このプラズマにより、MgF2 顆粒3は加熱され、約950℃になり、顆粒3の上方近傍にMgF2 蒸気が発生する。ここで、実施例1と同様にMgF2 の蒸気がプラズマ中の加速されたイオンによって叩かれ、分子の状態のまま上方に飛び出しており、この状態で、基板2を回転させ、シャッタ8を開閉することにより、基板2上に光学的膜厚にして130nmのMgF2 膜(屈折率1.39)を形成する。この条件ではMgF2 の成膜速度は約1000nm/分と非常に速く、成膜に要する時間は約8秒であった。
【0044】
尚、本比較例ではMgF2 膜上には何も形成しなかった。
【0045】
以上の工程により本実施例の光学薄膜が製造される。得られた光学薄膜の分光反射特性を図5に示すが、可視域(400〜700nm)で2%以下と反射が低く、反射防止膜として良好な特性であった。また、光学薄膜の光吸収も0.3%以下であり、実用上なんら問題はなかった。
【0046】
しかし、得られた光学薄膜について、#0000のスチールウールを加重100f/cm2 で100往復擦り付ける方法で擦傷性を評価したところ、表面に保護層がないために傷や摩耗が発生しており、耐擦傷性が低かった。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学薄膜の製造方法によれば、粒径0.1〜10mmの顆粒状のMgF2 をターゲットとし、少なくとも酸素を含むガスを導入しながら、2W/cm2 以上の高周波電力をターゲットに投入してターゲット上にプラズマを発生せしめ、プラズマによりターゲット表面の温度を上昇させ、ターゲットおよびターゲットからの蒸気の双方をスパッタリングすることにより基板上に膜を形成する工程と、膜上に、少なくともSiO2 、またはAl2 3 を含む材料からなり、物理的膜厚にして1〜70nmの表面保護層をスパッタリングにより形成する工程とを有しているので、特に耐擦傷性の高い光学薄膜を、スパッタリング法により高速で形成することができる。
【0048】
また、本発明の光学薄膜によれば、請求項1記載の製造方法により製造しているので、特に耐擦傷性が高い薄膜を、スパッタリング法により高速で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いる成膜装置の断面を模式的に示す正面図である。
【図2】実施例1により得られた光学薄膜の分光反射特性を示すグラフである。
【図3】実施例2により得られた光学薄膜の分光反射特性を示すグラフである。
【図4】実施例3により得られた光学薄膜の分光反射特性を示すグラフである。
【図5】比較例2により得られた光学薄膜の分光反射特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 真空槽
2 基板
3 MgF2 顆粒
4 皿
5 マグネトロンカソード
6 スパッタリング用RF電源
7 ガス導入口
8 シャッタ
9 板状ターゲット
10 マグネトロンカソード
11 スパッタリング用RF電源
12 ガス導入口
13 ガス導入口
14 シャッタ

Claims (2)

  1. 粒径0.1〜10mmの顆粒状のMgF2 をターゲットとし、
    少なくとも酸素を含むガスを導入しながら、2W/cm2 以上の高周波電力をターゲットに投入してターゲット上にプラズマを発生せしめ、前記プラズマにより前記ターゲット表面の温度を上昇させ、前記ターゲットおよび前記ターゲットからの蒸気の双方をスパッタリングすることにより基板上に膜を形成する工程と、前記膜上に、少なくともSiO2 又はAl2 3 のいずれかを含む材料からなり、光学的膜厚にして1〜70nmの表面保護層をスパッタリングにより形成する工程とを有することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により製造された光学薄膜。
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