JPH09302463A - 光学薄膜の製造装置及び製造方法 - Google Patents

光学薄膜の製造装置及び製造方法

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JPH09302463A
JPH09302463A JP8117766A JP11776696A JPH09302463A JP H09302463 A JPH09302463 A JP H09302463A JP 8117766 A JP8117766 A JP 8117766A JP 11776696 A JP11776696 A JP 11776696A JP H09302463 A JPH09302463 A JP H09302463A
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high frequency
film
discharge electrode
raw material
thin film
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JP8117766A
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English (en)
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Takeshi Kawamata
健 川俣
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Tadashi Watanabe
正 渡邉
Norikazu Urata
憲和 浦田
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Toshiaki Oimizu
利明 生水
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MgF2 等の無機フッ化物薄膜をスパッタリ
ング法によって安定的に形成する。 【解決手段】 無機フッ化物からなる膜原料を載置した
放電電極に対して高周波電源から高周波を印加して放電
電極を負電位にすると共に、前記高周波の電力により前
記膜原料上方にプラズマを発生させ、このプラズマによ
り前記膜原料表面の温度を上昇させながら、膜原料を正
イオンによりスパッタリングすることにより、膜原料の
少なくとも一部を分子状態で跳びださせ、この分子状態
の膜原料が基板に到達して基板上に膜を形成する方法で
あり、放電電極に印加される高周波パラメータを測定
し、この測定された高周波パラメータが所定の値になる
ように高周波電源からの出力又は導入する放電ガスの流
量を制御する。放電電極に作用する高周波特性を一定に
保ってプラズマを一定の状態とし、成膜速度、膜質を一
定とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
を用いて光学薄膜を高速で製造する装置及び方法に関
し、特に光学薄膜の物性や成膜速度をコントロールする
ことが可能な製造装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】反射防止膜やハーフミラー、エッジフィ
ルターなどの光学薄膜を形成する場合、手法の容易さや
成膜速度の速さなどの点から、真空蒸着法が多く用いら
れてきた。一方、近年になり、真空蒸着法に比較して自
動化・省力化・大面積基板への適用性などの点で有利な
スパッタリング法によるコーティングの要求が高まって
きた。しかし、スパッタリング法は真空蒸着法と比較し
て成膜速度が遅いという欠点があり、工業的な普及が遅
れている。また、光学薄膜として代表的な低屈折率物で
あるMgF2 等のフッ化物をスパッタリングするとMg
等とFとに解離してしまい、膜中ではFが不足するた
め、可視光の吸収が生じる欠点があり、これらの点から
スパッタリング法を光学薄膜に適用する上での大きな障
害となっていた。
【0003】特開平4−223401号公報には、光学
薄膜にスパッタリング法を適用した従来技術が記載され
ている。この方法はMgF2 をスパッタリングすると可
視光の吸収が生じるため、MgF2 にSiを添加したタ
ーゲットを用い、このターゲットをスパッタリングをす
ることにより光吸収のほとんどない低屈折率膜を形成す
るものである。
【0004】しかしながら、この方法では2.8W/c
2 の高周波電力を投入しても、成膜速度は最高で10
nm/分以下であり、成膜速度が遅いというスパッタリ
ング法の欠点を解消できない。すなわち、このような成
膜速度では、たとえば可視域に適用される単層の反射防
止膜を形成するのに10分以上を要してしまい、工業的
な利用は困難となっている。また、本発明者の追実験に
よれば、上記公報の方法に従って、板状のMgF2 にS
iウエハーを載置したものをターゲットとしスパッタリ
ングしても、可視域で光吸収が実用上問題ない程度であ
って、かつ屈折率が1.4以下となるような膜を形成す
ることはできなかった。
【0005】これに対し我々は、無機フッ化物からなる
膜原料を載置した放電電極に高周波を印加することで放
電電極を負電位にすると共に、前記高周波電力により膜
原料上にプラズマを発生させ、このプラズマにより膜原
料表面の温度を上昇させながら、膜原料を正イオンによ
りスパッタリングすることにより、膜原料の少なくとも
一部を分子状態で跳びださせ、この分子状態の膜原料が
基板に到達して基板上に膜を形成することで、光吸収が
ないフッ化物膜を高速で形成することができることを見
いだしている。なお、このようなスパッタリング法は基
板を加熱する必要がないため、光学薄膜の連続的な製造
においての加熱及び冷却に要する時間をなくすことがで
き、これにより短いサイクルで連続的な製造ができるメ
リットを有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】高周波を利用したスパ
ッタリング法の場合、従来は高周波電源からの出力を制
御することで放電電極に印加される電力を調整してい
る。しかし、電源と放電電極との間にある整合回路によ
りかなりの電力ロスがあり、実際に放電電極に印加され
る電力は放電電源からの出力よりも小さくなっている。
【0007】また、膜原料を載置した電極に高周波を印
加することで電極を負電位にすると共に、高周波の電力
により膜原料上にプラズマを発生させ、このプラズマに
より膜原料表面の温度を上昇させながら、膜原料を正イ
オンによりスパッタリングすることにより、膜原料の少
なくとも一部を分子状態で跳びださせ、この分子状態の
膜原料が基板に到達して基板上に膜を形成する場合、何
らかの要因、例えばチャンバー内壁の温度や汚れ具合、
カソード冷却水流量の変動や、微小アークの発生等の要
因によって、整合回路の整合状態が変化し易く、この整
合回路の整合状態は僅かでも変化すると電力ロス量が変
化する。このため実際に放電電極に印加される電力等が
変化し、膜原料表面の温度が変化する。この手法におい
ては、わずかな温度変化でもプラズマの状態が大きく変
化するために、放電インピーダンスが変化して整合回路
の整合状態が変化し、……という循環により、放電電極
の状態が安定しにくい。従って実際に放電電極に作用す
る高周波電力等が安定せず、結果として成膜速度や得ら
れる膜質にバラツキが発生し易い欠点があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであり、所望の特性を有する無機フッ化物の薄膜
をスパッタリング法により安定して形成することが可能
な光学薄膜の製造装置及び製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明の製造装置は、無機フッ化物からな
る膜原料を載置した放電電極と、この放電電極に高周波
を印加する高周波電源と、前記放電電極と高周波電源と
の間に設置される整合回路とを有する光学薄膜の製造装
置において、前記放電電極と整合回路との間に設置さ
れ、放電電極に印加される高周波パラメータを測定する
測定手段と、この測定手段により測定された高周波パラ
メータが所定の値になるように前期高周波電源からの出
力を制御する手段と、を有することを特徴とする。
【0010】請求項2の発明の製造方法は、無機フッ化
物からなる膜原料を載置した放電電極に対して高周波電
源から高周波を印加して放電電極を負電位にすると共
に、前記高周波の電力により前記膜原料上方にプラズマ
を発生させ、このプラズマにより前記膜原料表面の温度
を上昇させながら、膜原料を正イオンによりスパッタリ
ングすることにより、膜原料の少なくとも一部を分子状
態で跳びださせ、この分子状態の膜原料が基板に到達し
て基板上に膜を形成する薄膜の製造方法において、前記
放電電極に近接して配置された測定手段によって放電電
極に印加される高周波パラメータを測定し、この測定さ
れた高周波パラメータが所定の値になるように高周波電
源からの出力を制御することを特徴とする。
【0011】従来のスパッタリング法では、イオンがタ
ーゲットに衝突した際、ターゲット内の原子間結合を切
ってターゲットから原子を飛び出させる必要があり、加
速されたイオンのエネルギーの一部は原子間結合を切る
ことに費やされる。このためスパッタ収率が低くなり、
その結果成膜速度が遅くなっている。これに対して、本
発明では、膜原料の温度を上昇させておくことであらか
じめ結合力を弱めておいて、イオンをターゲットに衝突
させるので、加速されたイオンのエネルギーの大部分は
スパッタリングに使われるためにスパッタ収率が高くな
り、その結果、従来法と比較して成膜速度を著しく速く
することができる。膜原料を加熱する手段は特に限定さ
れるものではなく、スパッタリングを行うために膜原料
を載置した電極に13.56MHzの高周波を印加する
ことで電極上にプラズマが発生して負電位になり、この
プラズマにより膜原料を加熱することができるので、こ
の加熱手段を用いることが効率的である。
【0012】従来のスパッタリング法では、原子間結合
が切れてターゲットから原子が飛び出すのに対し、本発
明では膜原料の温度を上昇させておくことで熱振動によ
り結合力の強い箇所と、弱い箇所ができ、これにより飛
び出す粒子の形態が分子となる場合が生じる。ここの分
子とは、単分子のみではなくクラスター状に集合体をな
す多分子を含むものである。この場合、ターゲットから
飛び出す分子の形態は、熱による蒸発分子とほぼ同じに
なると考えることができる。
【0013】以上に加えて、本発明では実際に放電電極
に印加される高周波のパラメータ(特性)を測定し、そ
の測定結果をフィードバックして高周波電源からの出力
を制御する。この制御により、従来のように整合回路の
整合状態が変化した場合でも放電電極に作用する高周波
特性を一定に保つことができるため、プラズマの状態が
常に一定に保たれる。その結果、成膜速度や得られる膜
質にバラツキが発生しにくくなり、所望の特性を有する
無機フッ化物膜を安定して形成できる。
【0014】請求項3の発明の製造装置は、無機フッ化
物からなる膜原料を載置した放電電極と、この放電電極
に高周波を印加する高周波電源と、前記放電電極と高周
波電源との間に設置される整合回路と、放電ガスを導入
する手段とを有する光学薄膜の製造装置において、前記
放電電極と整合回路との間に設置され、前記放電電極に
印加される高周波パラメータを測定する測定手段と、こ
の測定手段により測定された高周波パラメータが所定の
値になるように導入するガスの流量を制御する手段と、
を有することを特徴とする。請求項4の発明の製造方法
は、無機フッ化物からなる膜原料を載置した放電電極に
対して高周波電源から高周波を印加して放電電極を負電
位にすると共に、前記高周波の電力により膜原料上方に
プラズマを発生させ、このプラズマにより前記膜原料表
面の温度を上昇させながら、膜原料を正イオンによりス
パッタリングすることにより、膜原料の少なくとも一部
を分子状態で跳びださせ、この分子状態の膜原料が基板
に到達して基板上に膜を形成する薄膜の製造方法におい
て、前記放電電極に近接して配置された測定手段によっ
て放電電極に印加される高周波パラメータを測定し、こ
の測定された高周波パラメータが所定値となるように導
入する放電ガスの流量を制御することを特徴とする。
【0015】以上の構成では、放電電極に加わる高周波
の特性を測定し、その測定結果をフィードバックし、チ
ャンバーの導入する放電ガスの流量を制御する。このよ
うにガス流量を変化させることで、整合回路の整合状態
が変化し、その結果として高周波の特性を変えることが
できる。なお、ガス流量を変えることはガス分圧を変え
ることであり、このため放電電極に加わる高周波の特性
をフィードバックしてガス分圧を制御しても、全く同じ
ことである。
【0016】測定する高周波特性(パラメータ)として
は、実効電圧、実効電流、進行波電力と反射波電力との
差、反射係数、規格化インピーダンス、電圧定在波比、
位相角等を適宜、用いることが出来る。この内、進行波
電力と反射波電力との差、実効電圧、実効電流を用いた
場合、膜質や成膜速度との相関が明らかであるところか
ら、特に好ましい。これは、膜原料上に形成されるプラ
ズマの密度や温度が、整合回路の整合状態よりも、放電
電極に実際に印加される高周波電力、すなわち進行波電
力と反射波電力との差によるためである。そして、ほぼ
同様の条件で成膜している場合には、進行波電力と反射
波電力との差と、実効電圧及び実効電流とは、1:1に
対応しているからである。
【0017】本発明は特にこれまでスパッタリングによ
り膜を形成することが難しいとされてきたMgF2 等の
無機フッ化物に適用した場合、その製造条件の安定化に
多大なる効果を有する。このようにして製造された無機
フッ化物薄膜は、化学量論比に近いと共に、可視域で吸
収がほとんどなく、その屈折率は十分に低く、単層でも
十分な反射防止効果を有し、レンズやプリズム、光ファ
イバー、眼鏡、サングラス、ゴーグル等の光学部品・機
器類、ブラウン管や液晶等の表示素子、各種窓材、スク
リーン等への反射防止膜として使用できる。また、高屈
折率と組み合わせた多層構成とすることにより、より高
性能な反射防止膜やその他ハーフミラーやエッジフィル
ター等の光学薄膜を安定に形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)図1はこの実施の形態の光学薄膜の成
膜装置を示す。真空槽1の上方には基板2が設置され自
転可能になっている。無機フッ化物膜原料である粒径2
〜5mmのMgF2 顆粒3は、Al2 3 製の皿4に入
れられ、この皿4が放電電極である直径5インチ(約1
26mm)のマグネトロンカソード5上に載置されてい
る。
【0019】マグネトロンカソード5は整合回路として
のマッチングボックス6を介して13.56MHzの高
周波電源7と接続されている。また、カソード5と整合
回路であるマッチングボックス6との間には、高周波パ
ラメータを測定する測定手段としての高周波センサ8が
配置されている。高周波センサ8は電流、進行波の電圧
及び反射波の電圧を計測するものである。この高周波セ
ンサ8が計測する高周波パラメータとしては、は実効電
圧、実効電流、進行波電力と反射波電力との差、反射係
数、規格化インピーダンス、電圧定在波比、位相角等を
使用することができる。
【0020】カソード5の下面には不図示の冷却水を流
している。真空槽1の側面には放電ガスを導入するガス
導入口9が連結されている。このガス導入口9からの放
電ガスの流量は、ガス流量制御手段であるマスフローコ
ントローラ11により制御される。
【0021】制御装置12は高周波センサ8によって測
定された高周波パラメータが入力され、この値を高周波
電源7及びマスフローコントローラ11にフィードバッ
クする。なお、MgF2 顆粒3と基板2との間にはシャ
ッター10が開閉自在に設けられている。
【0022】次に、この装置を使用した光学薄膜の製造
手順を説明する。光学ガラスからなる基板2をセット
し、7×10-5Paの真空度まで真空槽1内を排気す
る。その後、O2 ガスをガス導入口9から0.6Paま
で導入する。高周波電源7から電力をマグネトロンカソ
ード5に供給し、プラズマを発生させる。高周波センサ
8で測定された進行波電力と反射波電力との差が420
Wとなるように、高周波電源7からの出力を調整するよ
うに設定した。MgF2 顆粒3は発生したプラズマによ
り加熱され、カソード下面の冷却水による冷却能とつり
あった温度(本実施の形態の場合、690℃)に保持さ
れるとともに、スパッタリングされる。ここで、基板2
を回転させ、シャッター10を開放すると、基板2上に
MgF2 膜が形成される。この成膜時間を47秒に設定
し、シャッター10を閉じた。同様のプロセスを100
回繰り返した。
【0023】成膜中のプラズマ発光スペクトルの波長を
調べると、Mg原子の他にMgF分子からの発光が認め
られ、膜原料の少なくとも一部は分子状態で跳んでいる
ことが確認された。
【0024】基板上に形成された膜の光学膜厚は130
±5nmであり、成膜速度がほぼ一定であることが確認
できた。また、波長400nmでの光吸収率はいずれも
0.2%以下で問題ないレベルであり、光学特性上のバ
ラツキもなかった。
【0025】図2は高周波電源7からの投入電力の各バ
ッチ毎の平均値を示す。高周波センサ8で測定された進
行波電力と反射波電力との差が常に一定であるにも関わ
らず、高周波電源7からの投入電力は590〜620W
とばらついている。これは、何らかの要因により各バッ
チ毎の整合回路での電力ロス量が変化しているためであ
ると考えられる。従って従来のように高周波電源7から
マッチングボックス6、すなわち整合回路への投入電力
を一定に保つような制御を行った場合には、マグネトロ
ンカソード5への投入電力が大きくばらつくことにな
る。
【0026】この形態で形成したMgF2 膜はそのまま
単層の反射防止膜として形成できるほか、高屈折率層と
して組み合わせて多層反射防止膜やハーフミラー、エッ
ジフィルター等を形成することができる。
【0027】なお、この形態では無機フッ化物膜原料で
ある顆粒の材質をMgF2 に代えてLiF、CaF2
SrF2 、AlF3 、GaF3 、InF3 等を使用して
も、同様の結果が得られた。また、導入するガスをO2
に代えてN2 を混合したガスとしても同様の結果を得る
ことができた。
【0028】(比較例)実施の形態1と同じ装置で基板
上にMgF2 膜を形成した。ただし、電源からの投入電
力を600Wの一定とし、制御回路12によるフィード
バック制御を行わずに100バッチ成膜した。
【0029】基板上に形成された膜の光学的膜厚は13
0±20nmであり、実施の形態1の膜厚130±5m
mと比較して成膜速度が大きくばらついていた。また、
波長400nmでの光吸収率も0〜0.9%とばらつい
ており、実施の形態1の光吸収率0.2%以下と比較し
て光学特性上のバラツキが大きい。これは、各バッチ毎
の整合回路での電力ロス量が変化しているため、放電電
極であるカソードに印加される高周波の特性が変化し
て、実施の形態1のようなフィードバック系を構成しな
い場合は、安定した成膜を行うことができないことを示
す。
【0030】(実施の形態2)この形態では実施の形態
1と同じ装置を用いた。高周波センサ8で測定された高
周波パラメータの一つである実効電圧が590Vとなる
ように、高周波電源7からの出力を調整するように設定
し、ガラス基板上にMgF2 膜を繰り返し100回形成
した。
【0031】その結果、基板上に形成された膜の光学的
膜厚は130±6nmであり、成膜速度がほぼ一定であ
ることが確認できた。また、波長400nmでの光吸収
率はいずれも0.2%以下で問題ないレベルであり、光
学特性上のバラツキは実施の形態1と同様少なかった。
【0032】なお、実効電圧に代えて、他の高周波パラ
メータである反射係数、規格化インピーダンス、電圧安
定波比、位相角等を一定値になるように制御してもほぼ
同様の効果が得られた。
【0033】(実施の形態3)実施の形態1と同じ装置
を用い、ポリカーボネート樹脂基板上にCaF2 膜を形
成した。O2 とArの4:1混合ガスをガス導入口9か
ら0.3Paまで導入した。高周波センサ8で測定され
た高周波パラメータの一つである実効電流が40.3A
となるように、高周波電源7からの出力を調整して、基
板上にCaF2膜を繰り返し100回形成した。
【0034】その結果、基板上に形成された膜の光学的
膜厚は130±5nmであり、成膜速度がほぼ一定であ
ることが確認できた。また、波長400nmでの光吸収
率はいずれも0.5〜0.7%と安定しており、光学特
性上のバラツキは実施の形態1と同様少なかった。
【0035】(実施の形態4)実施の形態1と同じ装置
を用い、まずO2 ガスをガス導入口9から1.0Paま
で導入し、高周波電源7から550Wの電力を投入し
た。続いて高周波センサ8で測定された進行波電力と反
射波電力との差が390Wとなるように、マスフローコ
ントローラ11によってH2 ガスを導入した。この方法
で基板上にCaF 2 膜を繰り返し100回形成した。
【0036】その結果、基板上に形成された膜の光学的
膜厚は130±8nmであり、成膜速度がほぼ一定であ
ることが確認できた。また、波長400nmでの光吸収
率はいずれも0.1%以下で安定しており、光学特性上
のバラツキは実施の形態1と同様少なかった。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、固
体状の膜原料をあらかじめ加熱しておいてスパッタリン
グするので、加速されたイオンのエネルギーの大部分を
スパッタリングに使うことが出来る。このためスパッタ
吸収が高くなり、その結果従来法と比較して成膜速度を
著しく速くすることができる。また無機フッ化物を分子
状でスパッタすることができるので光吸収の少ない膜を
得ることが可能である。さらに放電電極に加わる高周波
の特性を測定し、その測定結果をフィードバックして高
周波電源からの出力を制御するか、或いは導入するガス
量を制御するので、放電電極にかかる高周波特性を一定
に保ってプラズマの状態を一定に保つことができる。こ
の結果、成膜速度や得られる膜質にバラツキが発生しに
くくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学薄膜製造装置の断面図である。
【図2】実施の形態1における投入電力の各バッチ毎の
平均値である。
【符号の説明】 1 真空槽 2 基板 3 膜原料 5 カソード 6 マッチングボックス 7 高周波電源 8 高周波センサ 11 マスフローコントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/10 G02B 1/10 Z (72)発明者 渡邉 正 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 浦田 憲和 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 池田 浩 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機フッ化物からなる膜原料を載置した
    放電電極と、この放電電極に高周波を印加する高周波電
    源と、前記放電電極と高周波電源との間に設置される整
    合回路とを有する光学薄膜の製造装置において、 前記放電電極と整合回路との間に設置され、放電電極に
    印加される高周波パラメータを測定する測定手段と、こ
    の測定手段により測定された高周波パラメータが所定の
    値になるように前期高周波電源からの出力を制御する手
    段と、を有することを特徴とする光学薄膜の製造装置。
  2. 【請求項2】 無機フッ化物からなる膜原料を載置した
    放電電極に対して高周波電源から高周波を印加して放電
    電極を負電位にすると共に、前記高周波の電力により前
    記膜原料上方にプラズマを発生させ、このプラズマによ
    り前記膜原料表面の温度を上昇させながら、膜原料を正
    イオンによりスパッタリングすることにより、膜原料の
    少なくとも一部を分子状態で跳びださせ、この分子状態
    の膜原料が基板に到達して基板上に膜を形成する薄膜の
    製造方法において、 前記放電電極に近接して配置された測定手段によって放
    電電極に印加される高周波パラメータを測定し、この測
    定された高周波パラメータが所定の値になるように高周
    波電源からの出力を制御することを特徴とする光学薄膜
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機フッ化物からなる膜原料を載置した
    放電電極と、この放電電極に高周波を印加する高周波電
    源と、前記放電電極と高周波電源との間に設置される整
    合回路と、放電ガスを導入する手段とを有する光学薄膜
    の製造装置において、 前記放電電極と整合回路との間に設置され、前記放電電
    極に印加される高周波パラメータを測定する測定手段
    と、この測定手段により測定された高周波パラメータが
    所定の値になるように導入するガスの流量を制御する手
    段と、を有することを特徴とする光学薄膜の製造装置。
  4. 【請求項4】 無機フッ化物からなる膜原料を載置した
    放電電極に対して高周波電源から高周波を印加して放電
    電極を負電位にすると共に、前記高周波の電力により膜
    原料上方にプラズマを発生させ、このプラズマにより前
    記膜原料表面の温度を上昇させながら、膜原料を正イオ
    ンによりスパッタリングすることにより、膜原料の少な
    くとも一部を分子状態で跳びださせ、この分子状態の膜
    原料が基板に到達して基板上に膜を形成する薄膜の製造
    方法において、 前記放電電極に近接して配置された測定手段によって放
    電電極に印加される高周波パラメータを測定し、この測
    定された高周波パラメータが所定値となるように導入す
    る放電ガスの流量を制御することを特徴とする光学薄膜
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前期高周波パラメータが、進行波電力と
    反射波電力との差であることを特徴とする請求項2又は
    4記載の光学薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 高周波パラメータが、実効電圧であるこ
    とを特徴とする請求項2又は4記載の光学薄膜の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 高周波パラメータが、実効電流であるこ
    とを特徴とする請求項2又は4記載の光学薄膜の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014504679A (ja) * 2011-02-04 2014-02-24 ピヴォット アー.エス. マグネトロンスパッタリングプロセス

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