JPH10325460A - 自動変速機のロックアップスリップ制御装置 - Google Patents
自動変速機のロックアップスリップ制御装置Info
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- JPH10325460A JPH10325460A JP9150186A JP15018697A JPH10325460A JP H10325460 A JPH10325460 A JP H10325460A JP 9150186 A JP9150186 A JP 9150186A JP 15018697 A JP15018697 A JP 15018697A JP H10325460 A JPH10325460 A JP H10325460A
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Abstract
数の変動の影響をなくし、その後のなまし制御を安定化
させる。 【解決手段】 ロックアップクラッチ11付流体伝動装
置10を備える自動変速機T/Mの制御装置TCMは、
スリップ制御開始条件が成立してから入力回転数が安定
するまでの所定期間を設定する期間設定手段と、設定さ
れた所定期間中、油圧を目標値なまし制御が開始しない
所定圧とする所定圧設定手段とを有する。ロックアップ
クラッチ11に印加される油圧が所定期間所定圧とされ
るので、目標値なまし制御が開始されるまでの実スリッ
プ回転数が安定し、目標値なまし制御時に、実スリップ
回転数が低下し過ぎることがなくなり、こもり音の発生
を防止できる。
Description
し、特に、その流体伝動装置のロックアップスリップ制
御に関する。
の流体の滑りによる伝動効率の低下を防ぐためにロック
アップクラッチを設けたものがある。こうしたもので
は、駆動源としてのエンジン回転数が低いためにトルク
振動が大きなときにロックアップを行うと、エンジンの
トルク振動が伝わり、好ましくない。こうしたエンジン
振動の遮断と燃費の向上との兼ね合いから、上記の自動
変速機では、自動変速機制御装置内に組み込まれ、車速
及びスロットル開度に対応させてロックアップオン・オ
フ領域を定めたロックアップ線図に基づいて、車両走行
の各時点での実車速及びスロットル開度情報を自動変速
機制御装置に取り入れつつ、ロックアップ線図上のオン
・オフ領域を参照してロックアップオン・オフを油圧制
御により行うようにしている。
プクラッチの作動領域を可能な限り低車速側まで拡張し
て、更なる燃費の向上を図るべく、エンジンからのトル
ク振動を吸収しつつトルク伝達を補助すべく、ロックア
ップクラッチのスリップ制御を可能とする技術が提案さ
れている。こうした技術の一つとして、特開平8−28
681号公報に開示の技術がある。これでは、スリップ
制御におけるスリップ制御開始時に、ロックアップクラ
ッチ解放状態における流体伝動装置の入力回転数(すな
わちエンジン出力回転数)と、流体伝動装置の出力回転
数(すなわちトランスミッション入力回転数)との差
(すなわちスリップ回転数)を目標とする最終的なスリ
ップ回転数(本明細書を通じて基本目標スリップ回転数
という)に徐々に近付けていくのに、目標値に合わせて
ロックアップクラッチに印加する油圧を制御するフィー
ドフォワード制御が行われるが、その際に急速な目標値
の変化による制御のオーバシュートを防ぐべく、目標値
が基本目標スリップ回転数に近づくにつれて目標スリッ
プ回転数の低減量を小さくする制御(本明細書を通じて
目標値なまし制御という)が提案されている。
制御領域への移行の際には、エンジンスロットル開度が
ほぼ一定の状態で、車速の上昇によりスリップ制御領域
に入る場合と、車速がほぼ一定の状態でスロットル開度
の急変によりスリップ制御領域に入る場合とがあり、前
者の場合にはエンジン出力回転数が安定しているため、
目標値なまし制御をすぐに開始しても制御性に問題はな
いが、後者の場合には、エンジン出力回転数が不安定に
なるため、すぐに目標値なまし制御を開始すると制御が
不安定になる。そこで上記従来の技術では、この場合
に、スリップ制御の条件が成立してから所定時間は、目
標スリップ回転数の設定を実スリップ回転数と同一と
し、それに応じたフィードフォワード値(リニアソレノ
イド出力値)を出力することで実質的な目標値なまし制
御が生じないようにして、制御性の問題点を解消してい
る。
来技術のように実スリップ回転数を目標スリップ回転数
として油圧制御のためのリニアソレノイド出力値を出力
する制御を行っても、エンジン回転数が不安定となる可
能性のある期間(スリップ領域移行直後)においては、
次のような問題点が生じる可能性がある。 (1)エンジン回転数が不安定であるため、実スリップ
回転数も不安定になってしまい、それに基づくリニアソ
レノイド出力値の制御も不安定になってしまう。 (2)車両の高地走行やエンジンの劣化等によりエンジ
ンの出力が低下している場合、スロットル開度に対して
入力トルクが小さくなっているにもかかわらず、この低
下分を見込まずにマップデータ上のスロットル開度に合
わせたリニアソレノイド出力値が設定されるため、該出
力値が適正値に対して大きくなり過ぎる。その結果、ク
ラッチは係合側に変位して、実スリップ回転数が小さく
なり、それに基づいて定められる目標スリップ回転数も
小さくなる。そして、その小さくなった目標スリップ回
転数に基づいて、適性でない更に大きなリニアソレノイ
ド出力値が出力されるようになる。こうした状態の繰り
返しで、目標値なまし制御が開始される前に実スリップ
回転数が大きく落ち込んでしまい、この現象がはなはだ
しい場合、クラッチが係合してしまう。その結果、こも
り音やショックが発生して、運転者に不快感を与えるこ
とになる。
流体伝動装置の入力回転数が不安定となる可能性のある
期間中は、スリップ回転数が変化しないようにリニアソ
レノイドの出力値を所定値に維持することで、その後の
スリップ制御への移行を、当初の入力回転数変動に影響
されない安定したものとする自動変速機のロックアップ
スリップ制御装置を提供することを第1の目的とする。
た場合でも、スリップ制御に円滑に移行できるロックア
ップクラッチの解放状態を維持させることを第2の目的
とする。
が不安定となる可能性のある期間中だけスリップ制御の
開始を遅らせることに伴うロックアップクラッチの解放
状態からスリップ状態への移行の遅れを可及的に小さく
することを第3の目的とする。
下がスリップ制御に与える影響をなくすべく、スリップ
制御に用いるリニアソレノイド出力値を、実スリップ回
転数を達成するに必要なリニアソレノイド出力値に基づ
き補正し、基本目標スリップ回転数をも含めた目標スリ
ップ回転数達成のためのリニアソレノイド出力値のズレ
を防止することを第4の目的とする。
がら、スリップ制御におけるロックアップクラッチの解
放状態から基本目標スリップ回転数達成までの制御を円
滑にすることを第5の目的とする。
るため、本発明は、ロックアップクラッチを有する流体
伝動装置を備える自動変速機であって、前記流体伝動装
置の入力回転数と出力回転数との回転数差によりロック
アップクラッチに生じるスリップ量を、ロックアップク
ラッチに印加する油圧を制御して、基本目標スリップ回
転数に合わせる制御を行う自動変速機のロックアップス
リップ制御装置において、前記制御装置は、スリップ制
御開始条件が成立してから入力回転数が安定するまでの
所定期間を設定する期間設定手段と、該期間設定手段に
より設定された所定期間中、前記油圧を解放状態のスリ
ップ回転数から変化しない所定圧とする所定圧設定手段
とを有することを特徴とする。
御装置は、前記所定期間中に変速判断が成立した場合
に、変速終了後入力回転数が安定するまでの第2の所定
期間を設定する第2の期間設定手段を有し、前記所定圧
設定手段は、第2の期間設定手段により設定された所定
期間中も、前記油圧を解放状態のスリップ回転数から変
化しない所定圧とする構成が採られる。
御装置は、ロックアップクラッチに印加する油圧の切換
手段を有し、前記所定圧は、切換手段がロックアップス
リップ制御が可能な油路連結状態に切り換えられ、か
つ、ロックアップクラッチの解放状態が維持され得る最
高油圧とされる。
御装置は、ロックアップクラッチの実際のスリップ量を
検出する実スリップ回転数検出手段と、実スリップ回転
数を達成するために必要な油圧を算出する算出手段と、
前記所定圧と算出手段により算出された油圧とを比較す
る比較手段と、該比較手段による比較結果に基づき、所
定期間終了後の油圧出力を補正する補正手段とを有する
構成とされる。
御装置は、実スリップ回転数に基づき目標スリップ回転
数を設定する目標スリップ回転数設定手段を有し、該目
標スリップ回転数設定手段は、所定期間終了後に、解放
状態のスリップ回転数から基本目標スリップ回転数ま
で、順次低減割合を減少させながら目標スリップ回転数
を設定してなまし制御する構成とされる。
に係る自動変速機では、スリップ制御が開始されるまで
は、ロックアップクラッチに印加される油圧が目標スリ
ップ回転数の設定値と関係なく所定圧とされるので、ス
リップ制御が開始されるまでの実スリップ回転数が安定
する。したがって、スリップ制御時に、実スリップ回転
数が低下し過ぎることがなく、こもり音が発生せず、運
転者に不快感を与えることを防止できる。
変速中は実スリップ回転数の変動が激しいことに対応し
て、スリップ制御開始条件成立後の所定期間中に変速判
断があった場合には、その所定期間を、第2の期間設定
手段により変速終了後所定期間経過するまで延長するこ
とで、安定した制御を行うことができる。したがって、
この場合もスリップ制御時に、実スリップ回転数が低下
し過ぎることがなく、こもり音が発生せず、運転者に不
快感を与えることを防止できる。
リップ制御が開始されるまでロックアップクラッチがス
リップ制御開始寸前の解放状態に維持されるので、所定
期間経過後のスリップ制御の開始の遅れを防ぐことがで
きる。
適性な場合には、所定圧と、現在の実スリップ回転数を
達成するために必要な油圧は等しくなる。しかしなが
ら、流体伝動装置への入力トルクが、何らかの原因、例
えば車両の高地走行によるエンジン出力の低下やエンジ
ンそのものの劣化による出力低下等で適正値からずれる
ことがある。そこで、請求項4に記載の構成によると、
所定圧と、現在の実スリップ回転数を達成するために必
要な油圧との比較結果に基づいて、スリップ制御開始以
降のリニアソレノイドの油圧出力が補正されることで、
常に実際の入力トルクにあった油圧出力を設定でき、そ
れによりスリップ制御を適正に行うことができる。
定期間経過後のスリップ制御時に、目標値なまし制御に
より、実スリップ回転数を基本目標スリップ回転数達成
まで円滑に制御することができる。
形態について説明する。図1は実施形態に係る自動変速
機のロックアップスリップ制御装置を示すもので、図に
概念的にブロック化してシステム構成を示すように、こ
の自動変速機(T/M)は、車両のエンジン(E/G)
に連結されるトルクコンバータ10の形態を採るロック
アップクラッチ11付の流体伝動装置と、それに連結さ
れたギヤトレイン20と、ギヤトレイン20中の各クラ
ッチ及びブレーキを制御する各種制御バルブ等が組み込
まれたバルブボディ(V/B)の形態を採る油圧制御回
路とから構成されている。
エンジン制御装置(ECM)と連携して油圧制御回路を
作動させ、変速及びロックアップ制御を行う電子制御装
置としてのマイクロコンピュータからなる自動変速機制
御装置(TCM)で構成されている。更に、このシステ
ムは、制御のための情報の検出手段として、ギヤトレイ
ン20中の入力クラッチドラム21の回転からトルクコ
ンバータ10のタービンランナ13の回転数を検出する
トランスミッション入力回転センサ51と、ギヤトレイ
ン20中の出力系のギヤ22の回転から車速を検出する
車速センサ52を備えている。また、このシステムで
は、自動変速機制御装置(TCM)は、エンジン回転数
からトルクコンバータ10のポンプインペラ12の回転
数を検出し、かつ、エンジン(E/G)のスロットル開
度を検出すべく、エンジン制御装置(ECM)に接続さ
れている。かくして、自動変速機制御装置(TCM)
は、車速、スロットル開度及びエンジン回転数とトラン
スミッション入力回転から得られる実スリップ回転数に
基づき、油圧制御回路を制御してトルクコンバータ10
のロックアップクラッチ11を制御するものとされてい
る。
アップ制御に係る油圧回路は、自動変速機制御装置(T
CM)からの信号で作動するリニアソレノイドバルブ3
1、リニアソレノイドバルブ31から出力されるソレノ
イド圧(PS O L )で調圧作動するロックアップコント
ロールバルブ32及び同じくソレノイド圧(PS O L)
で切り換え作動してセカンダリ圧(PS E C )をトルク
コンバータ10に係合圧(PO N )又は解放圧(P
O F F )として一方から供給するとともに他方から排出
するロックアップリレーバルブ33を備えている。
は、目標値なまし制御のための出力値設定手段(S1
2)の他に、本発明に従い、期間設定手段(S8)と、
所定圧設定手段(S10)とを処理プロセスとして備え
ている。この場合の期間設定手段(S8)は、スリップ
制御開始条件が成立してから入力回転数が安定するまで
の所定期間を設定するものとされ、所定圧設定手段(S
10)は、該期間設定手段により設定された所定期間
中、ロックアップクラッチ11に印加する油圧を目標値
なまし制御が開始しない所定圧とするものとされてい
る。
明する。自動変速機制御装置(TCM)は、図2に示す
ような車速とスロットル開度との関係により領域を定め
られたロックアップ線図をマップデータとして備えてい
る。図に示すように、スリップ制御領域は、ロックアッ
プオン(L−up ON)領域の低車速側で、スロット
ル開度が小さい側の所定の車速とスロットル開度の範囲
に設定されている。こうしたロックアップ線図を参照し
ながら自動変速機制御装置(TCM)は、車速の増加あ
るいはスロットル開度の減少により、ロックアップオフ
(L−up OFF)領域からスリップ制御領域に移行
する際に、トルクコンバータ10の入力回転数と出力回
転数との回転数差によりロックアップクラッチ11に生
じるスリップ量を、それに印加する油圧を制御して、解
放状態のスリップ回転数から、逐次更新して設定される
目標スリップ回転数に基づき、基本目標スリップ回転数
まで目標値なまし制御する。
に示すように、目標値なまし制御の際のスリップ回転数
の減少量は、基本目標スリップ回転数と目標スリップ回
転数との差に応じて、該差が小さくなるほど小さな値と
し、該減少量の加算により逐次更新して低減される目標
スリップ回転数に基づくリニアソレノイドバルブ31
(図1参照)へのソレノイド信号出力より、油圧制御回
路のフィードフォワード制御による実スリップ回転数の
オーバシュートを防ぐ設定とされている。
油圧制御回路は、図4に詳細に回路図で示すように、油
圧制御回路のライン圧をセカンダリレギュレータバルブ
により調圧したセカンダリ圧のトルクコンバータ10へ
の供給及び排出を行うべく設けられている。トルクコン
バータ10は、コンバータケースと一体化されたポンプ
インペラ12と、それに対向するタービンランナ13
と、それらの間に介装されたステータ14とを備え、ロ
ックアップクラッチ11は、コンバータケースとタービ
ンランナ13とを直結する配置とされている。このよう
に構成されたトルクコンバータ10に対して、コンバー
タケースとロックアップクラッチ11との間に油圧を供
給し、ポンプインペラ12が設けられた側から油圧を排
出することでロックアップオフとなり、その反対の油圧
の供給及び排出でロックアップオンとなる。
る油圧の切換手段としてロックアップリレーバルブ33
が設けられている。ロックアップリレーバルブ33は、
図の左半分に示すロックアップオフ位置において、セカ
ンダリ圧がロックアップクラッチ11を解放する側の油
室(以下、オフ室という)Rから入り、ロックアップク
ラッチ11を係合する側の油室(以下、オン室という)
Aからの油をクーラを経てドレンする状態と、図の右半
分に示すロックアップオン位置において、セカンダリ圧
がオン室Aから入り、オフ室Rからの油がロックアップ
コントロールバルブ32を経て絞られながらドレンされ
る状態とを実現するスプール弁で構成されている。リニ
アソレノイドバルブ31は、自動変速機制御装置から出
力されるソレノイド信号に基づき、回路のライン圧をモ
ジュレータバルブにより減圧したソレノイドモジュレー
タ圧を基圧とし、それを適宜ドレンしながらソレノイド
圧を出力するソレノイド作動の調圧弁とされている。ま
た、ロックアップコントロールバルブ32は、上記のよ
うに、印加されるソレノイド圧に応じて、オン室A側の
油圧を調圧ドレンする油圧作動のスプール弁で構成され
ている。
装置により実行されるスリップ制御のフローチャートを
図5に示す。この制御では、先ず、ステップS1でスリ
ップ制御中か否かの判断を行う。この判断は、当初は不
成立となるので、次のステップS2でスリップ開始条件
の成立判断を行う。この判断が不成立の場合は、以下の
処理を行わずに次回のルーチンに入る。一方、この判断
が成立の場合、ステップS3に進み、エンジン回転数が
安定するのを待つためのタイマ1のカウントを開始す
る。そして、ステップS4でロックアップリレーバルブ
をオン(ON)側へ切り換える処理を行う。具体的に
は、図4に示すリニアソレノイドバルブ31の負荷電圧
を極短時間だけ高い値とし、該バルブ31からパルス状
の高いソレノイド圧を出力させる。この処理により、油
圧制御回路は、スリップ制御が可能な油路接続状態、す
なわちオン室A側にセカンダリ圧を供給し、オフ室R側
から排出される油をロックアップコントロールバルブ3
2に導く状態に切り換わる。
ンジン制御装置(ECM)から伝送されるエンジン回転
数(すなわち入力回転数)と実測されるトランスミッシ
ョン入力クラッチ回転数(すなわち出力回転数)から実
スリップ回転数の算出を行う。そして、ステップS6
で、なまし制御終了後の最終的目標回転数としての基本
目標スリップ回転数を設定する。この基本目標スリップ
回転数の設定は、自動変速機制御装置のメモリ内に予め
組み込まれた図6に示すようなマップに基づいて、ター
ビン回転数とスロットル開度との関係で決定される。更
に、ステップS7で目標値なまし制御が終了したか否か
を示すフラグF1の判定を行う。この判定は、当初は不
成立となるので、ステップS8のタイマ1判定(例えば
タイマ経過時間はt1 =800msecとされる)に進
む。この判定も当初は不成立となるので、ステップS9
に進み、実スリップ回転数を目標スリップ回転数として
設定する。そして、ステップS10でリニアソレノイド
出力値を目標スリップ回転数、基本目標スリップ回転数
及び実スリップ回転数に関係なく、ある所定圧(例えば
リニアソレノイド出力値を1.2kgf/cm2 )に設
定し、出力する。以上のステップS1〜S10をステッ
プS8のタイマ1判定が成立するまで繰り返す。
タイマ1判定が成立すると、なまし制御に入る。すなわ
ち、ステップS11で、ステップS9で設定された目標
スリップ回転数から減少量(基本目標スリップ回転数と
目標スリップ回転数(この場合実スリップ回転数と等し
い)との差に基づいて設定される値)を減算し、新たな
目標スリップ回転数を算出する。そして、ステップS1
2で、算出された目標スリップ回転数、エンジン制御装
置から伝送されるスロットル開度及び実測されるトラン
スミッション(T/M)入力回転数に基づきリニアソレ
ノイド出力値を設定し、出力する。このリニアソレノイ
ドから出力される油圧は、図7にマップデータとして示
されている。なお、図示のマップは、基本目標スリップ
回転数(この場合、目標スリップ回転数を含む。)を1
00rpmとする場合の例で、基本目標スリップ回転数
を200rpm、300rpmとする場合についても、
異なるリニアソレノイド出力値のマップデータが同様に
組み込まれている。また、基本目標スリップ回転数の設
定が、更に細かく設定可能なマップ(例えば、基本目標
スリップ回転数300rpmと200rpmとの間に、
290rpm、280rpm、・・・220rpm、2
10rpmという領域を設定したマップ)を用いた場
合、その基本目標スリップ回転数と同数のリニアソレノ
イド出力値のマップを、データとして記憶しておくこと
は、メモリの増大を招き、コストも不利となってしまう
ので、その場合は、300rpm及び200rpmのリ
ニアソレノイド出力値のマップデータを用い、線形補完
により基本目標スリップ回転数に対応するリニアソレノ
イド出力値を設定してもよい。この状態で、ステップS
13により、実スリップ回転数が基本目標スリップ回転
数未満か否かの判断を行う。この判断は、基本目標スリ
ップ回転数に達するまでは不成立となるので、この判断
が成立するまで、このループによるなまし制御を継続す
る。やがて、実スリップ回転数が基本目標スリップ回転
数に達すると、ステップS13の判断が成立となるの
で、ステップS14により、目標値なまし制御が終了し
たことを示すフラグF1をセットし次回のループに入
る。
1判断が成立となるので、ステップS15以降の定常時
のスリップ制御に入る。この場合、ステップS15でタ
イマ1をリセットし、次に、ステップS16で、基本目
標スリップ回転数、スロットル開度及びトランスミッシ
ョン(T/M)入力回転数に基づきリニアソレノイド出
力値を設定し、出力する。この状態に入ると、ステップ
S1のスリップ制御中判断が成立するので、ステップS
17のスリップ終了条件成立まで、ステップS5〜S7
及びステップS15,S16を繰り返す。このスリップ
制御のループは、ステップS17の判断が成立すること
で終了する。すなわち、ステップS18によりスリップ
制御終了処理を行い、ステップS19でフラグF1をク
リアする。
リニアソレノイド出力値の変化のタイムチャートを図8
に、また、それによるスリップ回転数の変化のタイムチ
ャートを図9に示す。図8に示すように、スリップ制御
開始条件成立(ステップS2判断成立)によりタイマ1
のカウントの開始と同時にステップS4の切り換え処理
のために、当初、パルス状のリニアソレノイド出力がな
され、その後にタイマ1の経過時間t1にわたって所定
圧が出力されている。この状態では、図4に示す油圧回
路上では、ロックアップリレーバルブ33は図の右半分
に示す位置にスプールが切り換わり、定圧のセカンダリ
圧がトルクコンバータ10のオン室A側から供給され、
オフ室R側からの油がロックアップリレーバルブ33経
由でロックアップコントロールバルブ32に導出され、
該バルブ32のスプールにより絞られながらドレンされ
る。かくしてロックアップクラッチ11は、オン室A側
のセカンダリ圧とオフ室R側の背圧とのバランスで、ス
リップ寸前の解放状態に維持される。
目標値なまし制御に移行すべく、前記ステップS11及
びステップS12の処理で、リニアソレノイド出力値が
所定の特性で上昇させられる。これによりスリップ回転
数は、実スリップ回転数(図9に破線で示す)が順次所
定の減少量ずつ減算して更新設定される目標スリップ回
転数(図9に実線で示す)に追随する状態で変化する。
かくして目標スリップ回転数が基本目標スリップ回転数
に達したところで、ロックアップクラッチの係合方向へ
のスリップ状態で進んでトルク伝達の増加に伴い実スリ
ップ回転数が基本目標スリップ回転数を下回るようにな
ったところでステップS14によるフラグF1設定で目
標値なまし制御を終了し、以後は定常状態のスリップ制
御状態となる。
スリップ開始条件成立後の所定期間t1の間は、実スリ
ップ回転数は本来の変動を生じるだけで、目標スリップ
回転数により影響されることがないので、実スリップ回
転数により設定される目標スリップ回転数は、目標値な
まし制御開始時に本来の実スリップ回転数に合わせて適
切に設定されるようになる。
フローチャートを示す。この形態はタイマ1計測中に変
速判断が成された場合に対応するものである。この形態
の場合の制御は、基本的には前記制御形態と同様となる
ので、同様のステップについては同じステップ番号を付
して説明に代え、以下相違点のみ説明する。
なまし制御が終了したか否かを示すフラグF1の判定
と、ステップS8のタイマ1の判定との間に、ステップ
S7−1による変速判断フラグF2の判定が追加されて
いる。この制御形態において、ステップS8のタイマ1
の判定の不成立の間に、ステップS20の変速判断あり
の判定が不成立の場合は、前記制御形態の場合と同様の
ルーチンとなる。
が成立すると、ステップS21により変速判断ありのフ
ラグF2を設定する。そしてステップS22で変速終了
判断ありのフラグF3判定を行う。当初はこの判定は成
立しないので、次のステップS23で変速終了判断あり
の判定の不成立を経て、ステップS9に進み、実スリッ
プ回転数を目標スリップ回転数として設定し、ステップ
S10でリニアソレノイド出力値を目標スリップ回転数
に応じた所定圧に設定し、出力する。次のルーチンで
は、ステップS7−1のフラグF2判断が成立するの
で、ステップS22の変速終了判断ありのフラグF3判
定を行う。以下同様のループをステップS22のフラグ
F3判定の成立まで繰り返す。
成立すると、ステップS26の第2のタイマ2判定に進
む。そして当初はこの判定が不成立となるので、ステッ
プS9以後のステップに進む。このループはステップS
26の第2のタイマ2判定の成立まで繰り返される。や
がてステップS26の第2のタイマ2判定が成立する
と、ステップS27によりフラグF2及びフラグF3を
共にクリアしてステップS11以後のなまし制御に移行
する。これ以降の制御形態は、前記制御形態と実質的に
同様である。ただし、この場合は、ステップS15’で
は両タイマを共にリセットする。
ニアソレノイド出力値の変化のタイムチャートを図11
に、また、それによるスリップ回転数の変化のタイムチ
ャートを図12に示す。この場合の所定圧を出力するに
足るリニアソレノイド出力値は、変速判断成立から変速
終了判断成立までの期間後更にタイマt2期間だけ延長
される。この期間中は、図12に示すように、実スリッ
プ回転数(図に破線で示す)は、変速終了の前後で大き
く変動するが、図11に示すように、リニアソレノイド
出力値は、所定圧を維持する値に保たれ、実スリップ回
転数が目標スリップ回転数の影響を受けることなく変動
するだけなので、目標値なまし制御開始時には実スリッ
プ回転数が本来の値に戻り、それに合わせる目標スリッ
プ回転数の設定も適切に行われることになる。
ップ制御のフローチャートを示す。この形態は、なまし
制御開始以降のリニアソレノイド出力値の補正を行うも
のである。この形態の場合の制御も基本的には、当初の
制御形態と同様となるので、同様のステップについては
同じステップ番号を付して説明に代え、以下相違点のみ
説明する。
1の判定の後に、ステップS8−1による補正値設定フ
ラグF2の判定が追加されている。この制御形態におい
ては、このようにステップS8のタイマ1の判定の成立
の後に、ステップS8−1による補正値設定フラグF2
の判定が追加されているため、タイマ1経過後の当初の
ループで、ステップS30以降の30番代のステップが
ステップS9に先立って実行される。
を考慮して実行されるもので、それにより目標スリップ
回転数より実スリップ回転数が小さくなってしまい、そ
の現象が著しい場合にはロックアップクラッチが係合し
てのを防ぐものである。この場合、先ずステップS30
で、実スリップ回転数に基づきリニアソレノイド出力値
を算出し、次いでステップS31で、算出したリニアソ
レノイド出力値から所定圧を減算した値を補正値とし、
更に次のステップS32で補正値の正負の判定を行う。
そして、この判定による補正値が負の値、すなわちリニ
アソレノイド出力値を高める値となったときは、ステッ
プS33で補正値を0に修正したうえで、一方、補正値
が正の値、すなわちリニアソレノイド出力値を低める値
となったときは、そのままステップS34で補正値設定
フラグF2をセットし、以後のステップS9に進む。こ
れにより次回のルーチンではステップS8−1による補
正値設定フラグF2の判定が成立することになるので、
ステップS11’により目標スリップ回転数から減少量
を減算して目標スリップ回転数を設定するなまし制御に
移行する。これ以降の制御形態は、前記第1制御形態と
実質的に同様である。ただし、この場合は、ステップS
12−1のリニアソレノイド出力値は補正値となる。こ
の補正は、ステップS16−1のリニアソレノイド出力
値についても同様である。
実スリップ回転数を達成するために必要な油圧との比較
結果に基づいて、なまし制御開始以降の油圧出力が補正
されることで、常に実際の入力トルクにあった目標スリ
ップ回転数の設定に基づき油圧出力を設定できるため、
それにより目標値なまし制御を適正に行うことができ
る。
た3つの実施形態に基づき詳説したが、本発明は上記実
施形態の開示内容のみに限定されることなく、特許請求
の範囲に記載の事項の範囲内で種々に細部の具体的構成
を変更して実施可能なものであることはいうまでもな
い。
的に示すシステム構成図である。
アップ線図である。
リップ回転数の減少量を示す特性図である。
図である。
されるスリップ制御フローのフローチャートである。
込まれた基本目標回転数のマップ図である。
ら出力されるソレノイド圧のマップデータを示す図表で
ある。
ド出力値の変化を示すタイムチャートである。
の変化を示すタイムチャートである
形態のフローチャートである。
ノイド出力値の変化のタイムチャートである。
転数の変化を示すタイムチャートである。
他の制御形態のスリップ制御のフローチャートである。
Claims (5)
- 【請求項1】 ロックアップクラッチを有する流体伝動
装置を備える自動変速機であって、前記流体伝動装置の
入力回転数と出力回転数との回転数差によりロックアッ
プクラッチに生じるスリップ量を、ロックアップクラッ
チに印加する油圧を制御して、基本目標スリップ回転数
に合わせる制御を行う自動変速機のロックアップスリッ
プ制御装置において、 前記制御装置は、 スリップ制御開始条件が成立してから入力回転数が安定
するまでの所定期間を設定する期間設定手段と、 該期間設定手段により設定された所定期間中、前記油圧
を解放状態のスリップ回転数から変化しない所定圧とす
る所定圧設定手段とを有することを特徴とする、自動変
速機のロックアップスリップ制御装置。 - 【請求項2】 前記制御装置は、前記所定期間中に変速
判断が成立した場合に、変速終了後入力回転数が安定す
るまでの第2の所定期間を設定する第2の期間設定手段
を有し、 前記所定圧設定手段は、第2の期間設定手段により設定
された所定期間中も、前記油圧を解放状態のスリップ回
転数から変化しない所定圧とする、請求項1記載の自動
変速機のロックアップスリップ制御装置。 - 【請求項3】 前記制御装置は、ロックアップクラッチ
に印加する油圧の切換手段を有し、 前記所定圧は、切換手段がロックアップスリップ制御が
可能な油路連結状態に切り換えられ、かつ、ロックアッ
プクラッチの解放状態が維持され得る最高油圧とされ
る、請求項1又は2記載の自動変速機のロックアップス
リップ制御装置。 - 【請求項4】 前記制御装置は、ロックアップクラッチ
の実際のスリップ量を検出する実スリップ回転数検出手
段と、 実スリップ回転数を達成するために必要な油圧を算出す
る算出手段と、 前記所定圧と算出手段により算出された油圧とを比較す
る比較手段と、 該比較手段による比較結果に基づき、所定期間終了後の
油圧出力を補正する補正手段とを有する、請求項1、2
又は3記載の自動変速機のロックアップスリップ制御装
置。 - 【請求項5】 前記制御装置は、実スリップ回転数に基
づき目標スリップ回転数を設定する目標スリップ回転数
設定手段を有し、 該目標スリップ回転数設定手段は、所定期間終了後に、
解放状態のスリップ回転数から基本目標スリップ回転数
まで、順次低減割合を減少させながら目標スリップ回転
数を設定してなまし制御する、請求項1〜4のいずれか
1項記載の自動変速機のロックアップスリップ制御装
置。
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