JPH10310705A - 耐塩素含有水性着色樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

耐塩素含有水性着色樹脂組成物及びその成形品

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JPH10310705A
JPH10310705A JP9120790A JP12079097A JPH10310705A JP H10310705 A JPH10310705 A JP H10310705A JP 9120790 A JP9120790 A JP 9120790A JP 12079097 A JP12079097 A JP 12079097A JP H10310705 A JPH10310705 A JP H10310705A
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昌史 小出
Susumu Miyashita
進 宮下
Izumi Nakane
泉 仲根
Akiyoshi Iguchi
昭義 井口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単層であっても耐塩素含有水性に優れた成形
品を製造することができる着色樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 実質的に酸価を有さない熱可塑性樹脂
(a)と、酸価が1〜900mgKOH/gである2種
以上の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂(b)と、顔
料(c)とを含有する着色樹脂組成物において、前記熱
可塑性樹脂(b)のうち、少なくとも1種(b1)と他
の1種(b2)との酸価の差が10mgKOH/g以上
であるように樹脂を選択して着色樹脂組成物を製造し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素含有水に直接
接触する着色樹脂成形品に用いる着色樹脂組成物に関す
る。さらに詳しくは、成型品が塩素含有水に直接接触し
ても、表面に点状突起や膨れが発生せず、また色抜けも
少ない成形品を提供することができる、耐塩素含有水性
に優れた着色樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、種々の熱可塑性樹脂を着色成
形するために、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸鉛、酸化チタ
ン、酸化モリブデン、黄鉛、弁柄、鉛丹、銀朱、群青、
紺青、呉須、酸化クロム、クロム酸塩、硫化カドミニウ
ム、珪酸塩、コバルトブルー、セルリアンブルー、アニ
リンブラック、黒色チタン、カーボンブラック等の無機
顔料、又は、アゾ系、アゾメチン系、キナクリドン系、
アンスラキノン系、ベンジジン系、ペリレン系、イソイ
ンドリノン系、フタロシアニン系、ジオキサジン系、イ
ンダスレン系、ペリノン系、キノフタロン系、ピロゾロ
ン系、アチン系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料、
あるいは、アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペ
リノン系、インジゴ系、チオインジゴ系等の染料が用い
られている。
【0003】上記のような染顔料を配合した熱可塑性樹
脂を用いて製造した成形品を、塩素含有水に直接接触す
るような用途、例えば液体漂白剤用容器や上水道用パイ
プ等に使用すると、成型品に色抜け(退色)が生じるば
かりでなく、成形品の表面に点状突起や小径膨れ(以
下、膨れという)が発生する。従来は成型品に生じた係
る点状突起や膨れにより、成形品の強度の低下したり膨
れが剥がれたりし、このような強度低下や剥離が原因
で、成形品の一部が容器内の内容物やパイプ内の上水中
に混入するという問題が生じていた。
【0004】例えば、従来の高密度ポリエチレン製の液
体漂白剤用容器や、ポリプロピレン製若しくはポリブテ
ン製の液体漂白剤用容器キャップは、内容物保護及び容
器に対するデザイン付与の目的で、一般に上記のような
染顔料で着色されている。このような従来の容器内に衣
類漂白用の過酸化水素水や塩素含有水が含まれている
と、染顔料と過酸化水素水や塩素含有水とが化学反応を
起こし、過酸化水素水や塩素含有水が分解して酸素ガス
が発生したりする。従来においては、このような染顔料
と容器内容物との反応によって、漂白剤の漂白性能が著
しく低下したり、発生したガスにより容器が変形した
り、さらに容器が破損したりするなど、問題が多かっ
た。
【0005】従来においては、内容物に直接接触する容
器やキャップの内側には染顔料を添加せず、内側は未着
色樹脂層として、多層構造の容器やキャップを用いて前
記のような内容物の劣化や容器の破損を回避していた。
しかしながら、多層構造の容器やキャップではその製造
工程が複雑となり、製造コストが高いといった問題を抱
えていた。
【0006】また、上水道用パイプには、上水が飲食に
供されるという観点から、パイプに生じる膨れなどの劣
化に対して、JISK6762に規定される厳しい性能
が求められている。
【0007】上水道パイプは、ダムや河川などから浄水
場までの導水用パイプ、浄水場から配水池や配水塔等の
貯水区域までの送水用パイプ、貯水区域から各都市や市
町村等のエリアまでの配水用パイプ、及びそこから各家
庭や工場等までの給水用パイプ、更に、屋内専用の配水
パイプに区分される。これらの上水道パイプのうち、大
口径のものには高密度ポリエチレンが、小口径のものに
は直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテンあるいは塩化ビ
ニルが通常用いられている。またパイプ同士を接続する
ために、継ぎ手等の接続部品が使用されている。
【0008】これら上水道パイプのうち、導水用パイプ
や送水用パイプ、またパイプ同士を接続する継ぎ手等の
接続部品に対しては、現在は特に色指定がなく、一般に
用いられている種々の顔料が使用されている。配水用パ
イプやその継ぎ手は、緑色に着色されているガスパイプ
やその他のパイプとの識別のため、水をイメージする青
系に着色されることが一般的となっている。この青系着
色のため、群青、紺青、呉須、コバルトブルー、セルリ
アンブルー、フタロシアニン系、インダスレン系の青系
顔料が用いられ、中でもフタロシアニン系、インダスレ
ン系、群青、コバルト系ブルーの青系顔料が好ましく用
いられている。他方、給水用パイプは、カーボンブラッ
ク、アニリンブラック、黒色チタン等を用いて、通常黒
系に着色される。屋内配水用パイプは、アゾ系、ニトロ
系、チタン黄、黄土等を用いて、通常黄系に着色され
る。
【0009】識別性を得るために種々の顔料で着色され
た上水道パイプに色抜け(退色)や膨れが生じないよう
にするため、従来においては、塩素含有水に直接接触す
るパイプの内面には顔料を含有しない層を、パイプの外
面には顔料を含有する層を設けた二層管からなる上水道
パイプが提案されてきた。
【0010】しかしながら、このような二層管は単層管
に比べて製造が困難であり、またその製造には特殊な成
形機が必要となるなど、製造上難点があった。特に、管
と管とをつなぐ継ぎ手部分を二層構造とすることはその
構造上困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の種々
の問題点を解消し、単層であっても耐塩素含有水性に優
れた成形品を製造することができる着色樹脂組成物を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的を達成
するため、本発明においては、実質的に酸価を有さない
熱可塑性樹脂(a)と、酸価が1〜900mgKOH/
gである2種以上の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂
(b)と、顔料(c)とを含有する着色樹脂組成物にお
いて、前記熱可塑性樹脂(b)のうち、少なくとも1種
(b1)と他の1種(b2)との酸価の差が10mgK
OH/g以上となるように耐塩素含有水性着色樹脂組成
物を製造する。
【0013】本発明において、前記熱可塑性樹脂(b
1)の酸価は70〜900mgKOH/gであり、か
つ、前記熱可塑性樹脂(b2)の酸価は1〜70mgK
OH/gであることが望ましい。
【0014】本発明による耐塩素含有水性着色樹脂組成
物は、熱可塑性樹脂(a)を100重量部、顔料(c)
を0.01〜60重量部、熱可塑性樹脂(b1)を0.
005〜30重量部、熱可塑性樹脂(b2)を0.00
05〜30重量部含有することが望ましい。
【0015】あるいはまた、本発明による耐塩素含有水
性着色樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(a)を100重量
部、顔料(c)を0.1〜200重量部、熱可塑性樹脂
(b1)を0.005〜200重量部、熱可塑性樹脂
(b2)を0.005〜200重量部含有することが望
ましい。
【0016】熱可塑性樹脂(b1)は、カルボキシル基
を有するポリオレフィン樹脂であることが望ましい。ま
た、熱可塑性樹脂(b1)は、α,β不飽和二重結合を
有するモノマーと、不飽和二重結合を有する二塩基酸乃
至その無水物との共重合体樹脂であることも望ましい。
さらに、前記α,β不飽和二重結合を有するモノマー
は、α−オレフィン、スチレン、ビニルエーテル、ビニ
ルエステル、及びそれらの誘導体から選ばれる少なくと
も1種以上のモノマーであることがさらに望ましい。さ
らにまた、前記不飽和二重結合を有する二塩基酸乃至そ
の無水物は、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、
又はこれらの無水物であることがさらに望ましい。
【0017】また、熱可塑性樹脂(b1)は、炭素数6
〜30のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体
であることが望ましいし、熱可塑性樹脂(b2)は、カ
ルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂であることが
望ましい。さらに、熱可塑性樹脂(b2)は、エチレン
と不飽和カルボン酸との共重合体の金属塩であるアイオ
ノマー樹脂であることも望ましいし、その不飽和カルボ
ン酸はアクリル酸及び/又はメタクリル酸であることが
特に望ましい。さらに、熱可塑性樹脂(b2)は、マレ
イン化ポリオレフィンであることが望ましい。さらに、
前記マレイン化ポリオレフィンが、無水マレイン酸をポ
リオレフィン樹脂にグラフト重合せしめたものであるこ
とが特に望ましい。
【0018】なお、本明細書中において「ポリオレフィ
ン樹脂」の語は、オレフィンの単独重合体から成る樹
脂、又は、オレフィンと他のモノマーとの共重合体であ
ってオレフィンを主成分として共重合して成る樹脂、と
の意味で用いている。
【0019】前記顔料(c)が青系顔料でありしかも有
機顔料である場合、前記有機顔料は、フタロシアニン系
ブルー又はインダスレン系ブルーであることが望まし
い。前記顔料(c)が青系顔料でありしかも無機顔料で
ある場合、前記無機顔料は、群青又はコバルトブルーで
あることが望ましい。
【0020】さらに、熱可塑性樹脂(a)は、ポリオレ
フィン樹脂又は塩化ビニル樹脂であることが望ましく、
前記ポリオレフィン樹脂はさらに、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、又はポリブテンであることが望ましい。さ
らにまた、前記ポリエチレンは、高密度ポリエチレン又
は直鎖低密度ポリエチレンであることが特に望ましい。
【0021】本発明による着色樹脂組成物は、漂白剤用
容器又は該容器のキャップに用いることが特に望まし
く、また、水道用パイプに用いることも望ましく、この
とき、前記水道用パイプは、上水道用パイプや継ぎ手で
あることができる。
【0022】本発明による耐塩素含有水性着色樹脂組成
物(以下、着色樹脂組成物という)においては、実質的
に酸価を有さない熱可塑性樹脂(a)(以下、樹脂
(a)という)と、酸価が1〜900mgKOH/gで
あって、かつ、酸価の差が少なくとも10mgKOH/
g以上である、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂(b
1)及び(b2)を含有することが重要である。以下、
熱可塑性樹脂(b1)を高酸価樹脂、熱可塑性樹脂(b
2)を低酸価樹脂と呼ぶことにする。
【0023】なお、本明細書において「熱可塑性樹脂」
又は単に「樹脂」の語は、分子量が数十万でJIS K
7210に準じてMFR(溶融粘度)測定が可能であ
る、通常一般に「熱可塑性樹脂」と呼ばれているもの
と、通常一般に「ワックス」と呼ばれ、分子量が数千〜
数万でJIS K7210に準じたMFR(溶融粘度)
測定が不可能なものとの両方を含む意味で用いている。
【0024】高酸価樹脂(b1)は、極性が高いために
顔料に対する親和性に富み、顔料の表面をよく濡らす。
このため該樹脂(b1)が顔料の表面をよく被覆する。
さらに該樹脂(b1)は高い抗酸化性を有している。こ
のような高酸価樹脂(b1)の性質によって、該樹脂
(b1)を用いて製造した成形品に塩素水を直接接触せ
しめても、該成形品内に存在する顔料粒子に塩素水が直
接接触することがない。このため、成型品に膨れや、剥
離、色抜けが発生するのを抑制、又は防止することがで
きる。
【0025】しかし、極性の極めて低い熱可塑性樹脂、
すなわち実質的に酸価を有さない熱可塑性樹脂(a)と
高酸価樹脂(b1)とは、その極性差故に相溶性が悪
い。このため、顔料(c)を被覆した高酸価樹脂(b
1)を熱可塑性樹脂(a)中に直接分散しようとする
と、高酸価樹脂(b1)が相互に凝集しやすく、結果と
して樹脂に顔料が十分分散した状態が得られない。この
ため、成型品への着色が不均一であったり、成型品に亀
裂やクラックが発生したりする。
【0026】本発明は、さらに低酸価樹脂(b2)を用
いることによって、熱可塑性樹脂(a)中における高酸
価樹脂(b1)の分散性を向上し得たものである。この
結果本発明による着色樹脂組成物は、高い耐塩素含有水
性を有するとともに、樹脂中における顔料の分散性が非
常に良い。
【0027】すなわち、高酸価樹脂(b1)に対して、
少なくとも10mgKOHの酸価の差を有する低酸価樹
脂(b2)が、熱可塑性樹脂(a)と高酸価樹脂(b
1)との大きな極性差を緩和するために有効に働く。ま
た、顔料に未吸着の高酸価樹脂(b1)中の極性基を低
酸価樹脂(b2)が被覆する。このため、高酸価樹脂
(b1)及び低酸価樹脂(b2)で被覆された顔料
(c)が熱可塑性樹脂(a)中へ解膠し易くなり、分散
し易くなるものと考えられる。
【0028】なお、本発明による着色樹脂組成物を得る
にあたっては、各原料を配合する順序には特に制限はな
い。しかし、顔料(c)と高酸価樹脂(b1)を予め溶
融混練し分散した後に、低酸価樹脂(b2)や熱可塑性
樹脂(a)をこれに加え、さらに溶融混練し分散して行
くといった手順が顔料分散性の点から好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明に使用される高酸価樹脂
(b1)と低酸価樹脂(b2)は、それぞれ酸価が1〜
900mgKOHの範囲にあって、その酸価の差が少な
くとも10mgKOH以上であることを要する。酸価の
差は、20mgKOH以上であることが好ましく、50
mgKOH以上であることがさらに好ましい。酸価の差
が10mgKOH未満だと、熱可塑性樹脂(a)に対す
る顔料(c)の分散性が殆ど向上しないか、あるいは、
得られた着色樹脂組成物の耐塩素含有水性が劣る結果と
なる。
【0030】高酸価樹脂(b1)の酸価は、70〜90
0mgKOHであることが好ましく、特に100〜60
0mgKOHであることが好ましい。一方、低酸価樹脂
(b2)の酸価は、1〜70mgKOHであることが好
ましく、特に20〜60mgKOHであることが好まし
い。
【0031】高酸価樹脂(b1)の酸価が70mgKO
H未満だと、顔料(c)との親和性が小さく、顔料を被
覆し難くなり、また抗酸化性も低下するために膨れの発
生や色抜けを抑え難くなる傾向にある。一方、高酸価樹
脂(b1)の酸価が900mgKOH/gを越えると、
着色樹脂組成物が吸湿しやすく、また金属に対する密着
性も強くなることから、押出加工性に悪影響を及ぼし易
い。
【0032】低酸価樹脂(b2)の酸価が1mgKOH
未満だと、高酸価樹脂(b1)との親和性が小さく、顔
料(c)を被覆した高酸価樹脂(b1)との濡れが悪く
なり、非極性である熱可塑性樹脂(a)中への顔料
(C)等の解膠が不良となり、結果的に分散性が低下す
る傾向にある。
【0033】なお、本明細書中に示した酸価は、JIS
K0070(1996年)に基づいて求めたものであ
る。
【0034】以下、本発明において使用される高酸価樹
脂(b1)及び低酸価樹脂(b2)について説明する。
【0035】本発明に使用される高酸価樹脂(b1)、
低酸価樹脂(b2)としては、(R1)α,β不飽和二
重結合を有するモノマーと、不飽和二重結合を有する二
塩基酸乃至その無水物との共重合体樹脂、(R2)熱可
塑性樹脂にグラフト変性によってカルボキシル基乃至は
その無水物基を導入せしめたもの、又は(R3)前記
(R1)若しくは(R2)の種々の誘導体、が挙げられ
る。高酸価樹脂(b1)としては後述する顔料(C)と
の親和性の良い樹脂、低酸価樹脂(b2)としては後述
する熱可塑性樹脂(a)との相溶性の良い樹脂であれ
ば、前記(R1)、(R2)、(R3)のいずれも使用
できる。
【0036】但し、顔料粒子に対する被覆性に優れた樹
脂であるとの観点から高酸価樹脂(b1)としては特に
前記(R1)を用いるのが好ましい。また、配水用パイ
プや液体漂白剤用容器には、高密度ポリエチレン(以
下、HDPEという)、直鎖状低密度ポリエチレン(以
下、LLDPEという)、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン樹脂が一般に用いられていることを考えると、低
酸価樹脂(b2)としてはポリオレフィン系の樹脂を用
いることが好ましく、前記(R2)又は(R3)を用い
ることが好ましい。
【0037】以下、(R1)α,β不飽和二重結合を有
するモノマーと、不飽和二重結合を有する二塩基酸乃至
その無水物との共重合体樹脂について説明する。
【0038】本発明において用いることができる、α,
β不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えばα
−オレフィン,スチレン、ビニルエーテル,ジオレフィ
ン,ビニルエステル,ビニルスルフィド,アリルモノマ
ー,(メタ)アクリル酸エステルモノマー、その他の共
重合可能なビニルモノマーまたはビニリデンモノマーが
挙げられる。これらのなかでも炭素数6〜30のモノマ
ーが特に好ましく、これらの1種あるいは2種以上を用
いることができる。
【0039】具体的には、α−オレフィンとしては、エ
チレン,プロピレン,ブチレン,イソブチレン,ペンテ
ン,1−ヘキセン,1−ヘプテン,1−オクテン,1−
ノネン,1−デセン,1−ドデセン,1−テトラデセ
ン,1−ヘキサデセン,1−オクタデセン,1−エイコ
セン,1−ドコセン,1−テトラコセン,1−ヘキサコ
セン,1−オクタコセン,1−トリアコンテン,1−ド
トリアコンテン,1−テトラトアコンテン,1−ヘキサ
トリアコンテン,1−オクタトリアコンテン,1−テト
ラコンテン、ならびにその混合物が挙げられる。市販品
としては、ダイアレン10(炭素数10),ダイアレン
124(炭素数12〜14),ダイアレン208(炭素
数20〜28),ダイアレン30(炭素数30)(以
上、三菱化学社製),バイパー260(分子量260
0),バイパー103(分子量2800)(以上、ペト
ロライト社製)が挙げられる。
【0040】ビニルエーテルとしては、メチルビニルエ
ーテル,エチルビニルエーテル,プロピルビニルエーテ
ル,イソブチルビニルエーテル,ヘキシルビニルエーテ
ル,オクチルビニルエーテル,ノニルビニルエーテル、
デシルビニルエーテル,オクタデシルビニルエーテル,
2−エチルヘキシルビニルエーテル,シクロヘキサンジ
メタノールモノビニルエーテル,テトラエチレングリコ
ールモノビニルエーテル,トリメチロールプロパントリ
ビニルエーテル等の直鎖や分岐脂肪族、あるいは脂環式
のアルキルビニルエーテルやp−ジオキセン並びにその
混合物が挙げられる。
【0041】ジオレフィンとしては、共役もしくは非共
役のオレフィン系二重結合を2個以上有するポリエンモ
ノマーであり、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン、
クロロプレン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサ
ジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、
2,4,6−オクタトリエン、1,5,9−デカトリエ
ン、ジビニルベンゼン、1,3−シクロペンタジエン、
1,3−シクロヘキサジエン、5−エチル−1,3−シ
クロヘキサジエン、ジシクロヘキサジエン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、メチルヒドロインデン、2,
3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロ
ペニル−2,5−ノルボルナジエン、並びにその混合物
が挙げられる。
【0042】アリルモノマーとしては、酢酸アリル、酢
酸イソプロペニル、塩化アリル、塩化イソプロペニル、
trans-塩化プロペニル、cis-塩化プロペニルが挙げられ
る。
【0043】また、N−ビニルモノマーとして、N−ビ
ニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−
ビニルフタルイミドが挙げられる。
【0044】ビニルスルフィドとしては、エチルビニル
スルフィド、フェニルビニルスルフィドが挙げられる。
【0045】(メタ)アクリル酸エステルモノマーとし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、ア
クリル酸ドデシル,アクリル酸ラウリル,アクリル酸ス
テアリル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリ
ル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステル並びに
その混合物が挙げられる。なお、本明細書において(メ
タ)アクリル酸エステルモノマーは、アクリル酸エステ
ルモノマー及び/またはメタクリル酸エステルモノマー
を意味している。
【0046】また、その他の共重合可能なビニルモノマ
ーとしては、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル,ステア
リン酸ビニル,パルミチン酸ビニル,n−デカン酸ビニ
ル,スチレン、α−メチルスチレン,β−メチルスチレ
ン,p−オクチルスチレン,p−ノニルスチレン,アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、
並びにその誘導体が挙げられる。
【0047】本発明において、上記した種々のα,β不
飽和二重結合を有するモノマーと共重合し得る、不飽和
二重結合を有する二塩基酸乃至その無水物としては、ア
クリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタ
コン酸,テトラヒドロフタル酸,クロトン酸,シトラコ
ン酸,ハイミック酸,アリルコハク酸,メサコン酸,グ
ルタコン酸,テトラヒドロフタール酸,メチルヘキサヒ
ドロフタール酸,アコニット酸,無水マレイン酸,無水
イタコン酸,無水シトラコン酸,無水ハイミック酸,無
水アリルコハク酸,無水グルタコン酸,無水テトラヒド
ロフタール酸,無水メチルヘキサヒドロフタール酸,無
水アコニット酸が挙げられる。これらの1種又は2種以
上を用いることができるが、特に無水マレイン酸が工業
的にも有利である。
【0048】本発明の該共重合に用いることができる重
合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリ
ルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ジイソプロ
ピルパーオキシカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオ
キサイド類、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げ
られる。
【0049】(R1)α,β不飽和二重結合を有するモ
ノマーと、不飽和二重結合を有する二塩基酸乃至はその
無水物との共重合体としては、エチレン・アクリル酸共
重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・
無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル
・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・
無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル
・無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレン・ア
クリル酸共重合体、エチレン・プロピレン・無水マレイ
ン酸共重合体、エチレン・ブテン・アクリル酸共重合
体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・α
−オレフィン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・酢
酸ビニル・アクリル酸共重合体、エチレン・塩化ビニリ
デン・無水マレイン酸共重合体、プロピレン・アクリル
酸共重合体、プロピレン・メタクリル酸共重合体、プロ
ピレン・無水マレイン酸共重合体、ブテン・アクリル酸
共重合体、ブテン・無水マレイン酸共重合体、プロピレ
ン・ブテン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロ
ピレン・ブテン・無水マレイン酸共重合体、プロピレン
・α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等が挙げら
れる。特に、本発明における高酸価樹脂(b1)として
は、炭素数6〜30のα−オレフィンと無水マレイン酸
との共重合体が好ましい。
【0050】次に、(R2)熱可塑性樹脂にグラフト変
性によってカルボキシル基乃至その無水物基を導入せし
めたものについて説明する。
【0051】(R2)熱可塑性樹脂にグラフト変性によ
ってカルボキシル基乃至その無水物基を導入せしめたも
のとしては、ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリジエン系のポリブチレンテレフタレート、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹
脂、アクリロニトリル−EPDM−スチレン(AES)
樹脂、その他アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタ
ン、ビニル樹脂、アミノ樹脂、ポリエーテル、ポリアリ
レート、エポキシ樹脂、ポリサルフォン、フェノール樹
脂等に、種々の一塩基酸や(R1)として例示した種々
の不飽和二重結合を有する二塩基酸乃至その無水物をグ
ラフトせしめたものを挙げることができる。
【0052】例えば、ポリオレフィン樹脂にグラフトせ
しめたものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン
・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィ
ン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重
合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体等の未変性
のポリオレフィン樹脂に、一塩基酸や前記二塩基酸乃至
その酸無水物をグラフトせしめたポリオレフィン系の樹
脂が挙げられる。
【0053】更に(R3)について説明する。(R3)
は、上記(R1)、(R2)の共重合体又はグラフト体
中のカルボキシル基ないしはその無水物基と、分子内に
少なくとも1つ以上の水酸基を持つ化合物とを反応せし
めてエステル化したり、前記カルボキシル基等と、分子
内に少なくとも1つ以上のアミノ基を持つ化合物とを反
応せしめてアミド化あるいはイミド化したり、あるいは
前記カルボキシル基等と金属化合物とを反応せしめてキ
レート化せしめたものである。
【0054】このような変性を行うことによって、高酸
価樹脂(b1)及び低酸価樹脂(b2)の酸価や耐塩素
含有水性等の諸物性を適宜制御することが可能となる。
【0055】上記エステル化に用いられる水酸基を持つ
化合物としては、分子内に1つ以上の水酸基を持つもの
であれば特に限定されるものではなく、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノー
ル、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、
ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキシルアル
コール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコー
ル、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステア
リルアルコール、オレイルアルコール、ポリエチレング
リコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、α−オキシ酪酸、12−ヒドロ
キシステアリン酸等並びにその混合物が用いられるが、
特にこれらに限定されるものではない。
【0056】また、アミド化およびイミド化に用いられ
るアミノ化合物としては、分子内に1つ以上のアミノ基
を持つものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イ
ソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキ
シルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニル
アミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルア
ミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミ
ン、アニリン、o−トルイジン、2−エチルアニリン、
2−フルオロアニリン、o−アニシジン、m−トルイジ
ン、m−アニシジン、m−フェネチジン、p−トルイジ
ン、2,3−ジメチルアニリン、5−アミノインダン、
アスパラギン酸、グルタミン酸、γ−アミノ酪酸等並び
にその混合物が挙げられるが、特にこれらに限定される
ものではない。
【0057】更にキレート化に用いられる金属化合物と
しては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カ
ルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケ
ル、鉄、コバルト、マンガン及び銅等の酢酸塩、アセチ
ルアセトン塩、金属アルコキシドで代表される有機金属
化合物や酸化物や水酸化物で代表される無機金属化合物
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではな
い。
【0058】本発明に使用される低酸価樹脂(b2)と
しては、上記(R1)、(R2)、(R3)いずれであ
っても良い。しかし、低酸価樹脂(b2)としては特
に、(R2)のグラフト体としてマレイン化ポリオレフ
ィンがより好ましいし、(R3)としては、エチレンと
不飽和カルボン酸との共重合体の金属塩であるアイオノ
マー樹脂が好ましい。
【0059】アイオノマー樹脂を得るために用いる不飽
和カルボン酸としては、アクリル酸及び/又はメタクリ
ル酸が好ましく、係る不飽和カルボン酸3〜20wt%
(1〜8mol%)をエチレンと共重合せしめることが
好ましい。
【0060】係る共重合体中のカルボキシル基を金属イ
オンで中和せしめてアイオノマー樹脂とする。なお、前
記アイオノマー樹脂は、上記のように共重合体の金属塩
と呼ばれる他、金属イオンによる中和物、金属による中
和物、金属イオン付加物、金属付加物、あるいは金属に
よる架橋物などとも呼ばれる。
【0061】中和に供される金属イオンとしては、C
a、Li、Na、Znなどが挙げられ、係る金属イオン
源としては、金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩な
どが挙げられる。
【0062】アイオノマー樹脂は、一般には押出機を用
いて前記エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体と前
記金属イオン源とを溶融混練し、共重合体中のカルボキ
シル基を中和することによって得られる。共重合体中の
カルボキシル基の5〜90mol%を中和せしめること
が好ましい。
【0063】次に、本発明における熱可塑性樹脂(a)
について説明する。
【0064】本発明における熱可塑性樹脂(a)として
は、メルトフローレート(以下、MFRという)が0.
001〜400の樹脂が好ましく、MFRが0.001
以下では着色樹脂組成物の溶融粘度が高過ぎるため、着
色不良が発生したり、色ムラやフローマークが発生する
場合があり、このため耐塩素含有水性が低下する。一
方、MFRが400以上になると、成形品からのブリー
ドや耐候性、耐熱性あるいは機械物性等に悪影響を及ぼ
すことがある。
【0065】本発明の熱可塑性樹脂(a)のうち、ポリ
オレフィン系の樹脂としては、結晶性または非晶性ポリ
プロピレン、高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエ
チレン、ポリブテン、エチレン・プロピレンのランダ
ム、ブロックあるいはグラフト共重合体、1−ブテンの
エチレンやプロピレンの共重合体、α−オレフィンとエ
チレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合
体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等が挙げら
れ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。
【0066】また、ポリオレフィン系以外の熱可塑性樹
脂としては、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリ
エチレンテレフタレートやポリジエン系のポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリ
ル−EPDM−スチレン(AES)樹脂、その他アクリ
ル系樹脂、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタ
ン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの1種もしくは
2種以上が用いられるが、ポリオレフィン系の樹脂がよ
り好ましい。
【0067】中でも漂白剤用容器には高密度ポリエチレ
ン(以下、HDPEと略す)、直鎖状低密度ポリエチレ
ン(以下、LLDPEと略す)、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン樹脂が、漂白剤用容器に使用されるキャッ
プにはポリプロピレンあるいはポリブテンが好ましい。
【0068】また水道パイプのうち、大口径のものには
HDPEが、小口径のものにはLLDPEやポリブテン
あるいは塩化ビニルが用いられる。
【0069】HDPEのうち水道パイプ用にはMFR
0.005〜10、容器用にはMFR0.005〜10
0が好ましく、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、塩化ビニルの場合は、水道パイプ用、容器用いずれ
もMFR0.005〜100が好ましい。
【0070】なお、上記の熱可塑性樹脂(a)の形状
は、特に限定されるものではなく、粉体状であってもペ
レット状であっても良い。
【0071】本発明において用いられる顔料(c)とし
ては、従来から、印刷インキ、塗料あるいは熱可塑性樹
脂の着色に使用されている公知の有機顔料および無機顔
料が特に制限なく使用できる。
【0072】有機顔料としては、アゾ系、アゾメチン
系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ベンジジン
系、ペリレン系、イソインドリノン系、フタロシアニン
系、ジオキサジン系、ジオキサン系、インダスレン系、
ペリノン系、キノフタロン系、ピロゾロン系、アチン
系、ニトロ系、ニトロソ系等の顔料が挙げられる。
【0073】無機顔料としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛、
硫酸鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化モリブデン、黄鉛、
弁柄、鉛丹、銀朱、群青、紺青、呉須、酸化クロム、ク
ロム酸塩、硫化カドミニウム、セレン化カドミウム,珪
酸塩、コバルトブルー、セルリアンブルー、アニリンブ
ラック、黒色チタン、カーボンブラック等があげられ
る。これらの顔料のうち1種もしくは2種以上が用いら
れる。
【0074】既に述べたように水道パイプのうち貯水区
域から各都市や市町村等のエリアまでの配水用パイプや
その継ぎ手は、通常青系に着色されるが、このために、
群青、紺青、呉須、コバルトブルー、セルリアンブル
ー、フタロシアニン系、インダスレン系の青系顔料を用
いられ、中でもフタロシアニン系、インダスレン系、群
青、コバルト系ブルーの青系顔料が好ましく用いられ
る。
【0075】給水用パイプには同様に黒系に通常着色さ
れ、カーボンブラック、アニリンブラック、黒色チタン
が用いられるが、カーボンブラックが好ましく用いられ
る。屋内配水用パイプには同様に黄系に通常着色され、
アゾ系、ニトロ系、チタン黄、黄土が用いられるが、ア
ゾ系が好ましく用いられる。
【0076】顔料の形態は、乾燥粉末顔料、水を含有し
た乾燥前の顔料ウエットケーキ(顔料の水性湿潤ケー
キ、フィルターケーキ、プレスケーキとも呼ばれる)及
びこれらの混合物のいずれであっても良い。
【0077】本発明に用いられるフタロシアニン系ブル
ーは次式(式1)で表されるもので、1分子中の塩素数
が0〜8個であるものである。(式1)において、Mは
水素原子、Cu、Zn,Ni,Feのいずれかである
が、一般に、Cuが色材としての色相や製造コストの観
点から好ましく、また、着色力の点からもCuが好まし
い。(式1)
【化1】 X1 〜X4 は塩素原子を示し、この塩素原子数は0〜8
であるが、耐熱性及び色相の点から2〜4であることが
好ましい。
【0078】本発明に用いられるインダスレン系ブルー
は次式(式2)で表される。(式2)
【化2】 本発明に用いられる群青は下記(式3)又は(式4)、
コバルト系ブルーは下記(式5)〜(式7)で表され
る。すなわち、群青は、3NaAl・SiO4 ・Na2
2 (式3)、又は、2(Na2 O・Al2 3 ・2S
iO2 )・Na2 2 (式4)、コバルトブルーは、C
oO・nAl2 3 (式5)、セルリアンブルーは、C
oO・nSnO2 ・mMgO(式6)、呉須は、Co3
4 +SiO2 +Al2 3 +FeO3 +NiO+Mn
O(式7)である。
【0079】(式5)においてnは2〜3が好ましく、
(式6)においてnは1.5〜3.5、mは2〜6が好
ましい。また、(式7)においては、Co3 4 を主成
分としてSiO2 、Al2 3 、FeO3 、NiO、M
nOを含むが、天然物のためこれらの組成比は一定しな
い。
【0080】本発明の着色樹脂組成物は、そのまま成形
に供されるペレット状のもの(以下、着色ペレットとも
いう)であっても良いし、それを粉砕して粉末状にした
もの(以下、ドライカラーともいう)であっても良い。
あるいはまた、顔料を高濃度で含有するいわゆるマスタ
ーバッチと称されるペレット状の着色剤(以下、マスタ
ーバッチともいう)であってもよい。
【0081】本発明による着色樹脂組成物が着色ペレッ
トである場合には、着色樹脂組成物は、熱可塑性樹脂
(a)を100重量部、高酸価樹脂(b1)を0.00
5〜30重量部、低酸価樹脂(b2)を0.0005〜
30重量部、顔料(c)を0.01〜60重量部含有す
ることが好ましい。顔料(c)が0.01重量部未満で
あると極めて淡色の着色状態しか得られないし、60重
量部を越えると成形品の機械物性を損ないやすい。高酸
価樹脂(b1)が0.0005重量部未満であると着色
樹脂組成物の耐塩素含有水性が悪くなる。低酸価樹脂
(b2)が0.0005重量部未満であると顔料分散性
が悪くなる。一方、高酸価樹脂(b1)又は低酸価樹脂
(b2)が30重量部を越えると、熱可塑性樹脂との相
溶性が悪くなって、成形品の機械物性を損ないやすい。
また、高酸価樹脂(b1)と低酸価樹脂(b2)とによ
って顔料(c)を十分被覆するためには、高酸価樹脂
(b1)及び低酸価樹脂(b2)は、それぞれ顔料の少
なくとも2分の1重量であることが望ましい。
【0082】本発明による着色樹脂組成物がマスターバ
ッチの場合には、着色樹脂組成物は、熱可塑性樹脂
(a)を100重量部、高酸価樹脂(b1)を0.00
5〜200重量部、低酸価樹脂(b2)を0.005〜
200重量部、顔料(c)を0.1〜200重量部含有
することが好ましい。顔料(c)が0.1重量部未満で
あると極めて淡色の着色状態しか得られないし、200
重量部を越えるとマスターバッチ中での顔料の分散性が
不十分となりやすい。高酸価樹脂(b1)又は低酸価樹
脂(b2)が0.005重量部未満であると、耐塩素含
有水性が悪くなり、顔料分散性も悪くなる。一方、20
0重量部を越えるとマスターバッチの造粒が困難とな
る。また、高酸価樹脂(b1)と低酸価樹脂(b2)と
によって顔料(c)を十分被覆するためには、高酸価樹
脂(b1)及び低酸価樹脂(b2)は、それぞれ顔料
(c)の少なくとも2分の1重量であることが望まし
い。
【0083】本発明の成形品は、上記のように着色ペレ
ットをそのまま成形して製造するか、あるいはマスター
バッチを熱可塑性樹脂で希釈して成形、製造するもので
ある。希釈に用いられる熱可塑性樹脂としては、マスタ
ーバッチを得る際に用いられた熱可塑性樹脂(a)と同
様の樹脂を用いることができ、上水道用パイプ、液体漂
白剤用容器を製造するためにはポリオレフィン樹脂がよ
り好ましい。
【0084】なお、マスターバッチ希釈して成形、製造
した最終成形品も、着色ぺレットをそのまま成形して製
造した成型品と同様に、熱可塑性樹脂(a)を100重
量部、高酸価樹脂(b1)を0.005〜30重量部、
低酸価樹脂(b2)を0.0005〜30重量部、顔料
(c)を0.01〜60重量部含有することが望まし
い。
【0085】マスターバッチと着色ペレットとを比較す
ると、これらを得る加工工程に大差はない。しかし、マ
スターバッチの方が顔料を高濃度に含有する分、着色ペ
レットよりややコスト高である。しかしながらマスター
バッチの場合は、マスターバッチ1重量部を安価な熱可
塑性樹脂0.5〜800重量部で希釈して成形品を得る
ことができる。このため、着色ペレットから製造した成
型品よりもマスターバッチから製造した成型品の方が安
価であり好ましい。
【0086】本発明による着色樹脂組成物は、フィル
ム、シート、プレート、種々の容器、パイプ、繊維等、
様々な形態に成形加工され得る。しかし、耐塩素含有水
性に優れるという機能の点から、水道用パイプ、特に上
水道用パイプ、漂白剤用容器やキャップ等に成形加工さ
れることが望ましい。本明細書においてパイプとは、パ
イプ本体である管及びその接合に用いる部品(例えば継
ぎ手等)をも指している。
【0087】本発明による着色樹脂組成物には、本発明
の効果を阻害しないか、あるいは衛生の点で問題ない範
囲で、他の熱可塑性樹脂乃至はワックス、又その誘導体
や、金属石鹸,酸化防止剤,紫外線吸収剤,滑剤 帯電
防止剤等の安定剤や界面活性剤等公知のポリマー用の各
種添加剤を添加することもできる。
【0088】
【実施例】次に、本発明の実施例を示す。なお、以下に
おいては、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」
を意味するものとする。
【0089】〔製造例1〕炭素数12〜14のα−オレ
フィン650g、重合開始剤としてジt−ブチルパーオ
キサイド4.4gをフラスコに仕込み、窒素置換した
後、150℃で加熱、撹拌しながら、無水マレイン酸合
計350gを2分毎に11.7gずつ、またジt−ブチ
ルパーオキサイド合計4.4gを20分毎に1.1gず
つ添加した。添加終了後、さらにジt−ブチルパーオキ
サイドを1.1g加え、系の温度を180℃に保ち、さ
らに反応を進めた。更に1時間後及び3時間後にそれぞ
れt−ブチルパーオキサイド1.2gを添加し、3時間
反応させた。その後、系の温度を200℃に保ち、減圧
下にて未反応モノマーの除去を4時間行い、反応を終了
させた。内容物を熱時に取り出して冷却、固化させて、
酸価420mgKOH/gの共重合体樹脂を得た。
【0090】〔製造例2〕製造例1で得た共重合体樹脂
788g、変性剤としてエチレングリコールモノメチル
エーテル(分子量:750)212g、パラトルエンス
ルフォン酸ソーダ0.79gをフラスコに仕込み、攪拌
しながら窒素気流中で溶融し、反応温度180℃で6時
間脱水反応させた。反応終了後、内容物を熱時に取り出
して冷却、固化させて、酸価240mgKOH/gの樹
脂を得た。
【0091】〔製造例3〕製造例1で得た共重合体樹脂
787g、変性剤としてステアリルアミン213gをフ
ラスコに仕込み、撹拌しながら窒素気流中で溶融し、反
応温度180℃で6時間反応を行った。反応終了後、内
容物を熱時に取り出して冷却、固化させて、酸価290
mgKOH/gの樹脂を得た。
【0092】〔製造例4〕製造例1で得た共重合体樹脂
300g、変性剤として酢酸カリウム22.1gをフラ
スコに仕込み、撹拌しながら窒素気流中で溶融し、反応
温度180℃で6時間脱酢酸反応を行った。その後、系
の温度を200℃に保ち、減圧下で未反応モノマーの除
去を4時間行い、反応を終了させた。内容物を熱時に取
り出して冷却、固化させて、酸価350mgKOH/g
の樹脂を得た。
【0093】〔製造例5〕スチレン208g、炭素数1
0のα−オレフィン144g、ジt−ブチルパーオキサ
イド2.7gをフラスコに仕込み、窒素置換した後、1
50℃で加熱、撹拌しながら、無水マレイン酸計29
4.2gを2分毎に9.8gずつ、またジt−ブチルパ
ーオキサイド計2.1gを20分毎に0.7gずつ添加
した。添加終了後、系の温度を160℃に保ち、3時間
反応させた。その後、系の温度を200℃に保ち、減圧
下にて未反応モノマーの除去を4時間行い、反応を終了
させた。内容物を熱時に取り出して冷却、固化させて、
酸価520mgKOH/gの共重合体樹脂を得た。
【0094】〔製造例6〕炭素数20〜28のα−オレ
フィン638g、ステアリルメタクリレート650g、
無水マレイン酸120g、ジt−ブチルパーオキサイド
3.6g、酢酸エチル400gをオートクレーブに仕込
み、窒素置換した後、3kg/m2 に加圧し、撹拌しな
がら、系の温度を160℃に保ち、さらに6時間反応さ
せた。その後、系の温度を200℃に保ち、減圧下で未
反応モノマーの除去を行い、反応を終了させた。内容物
を熱時に取り出して冷却、固化させて、酸価230mg
KOH/gの共重合体樹脂を得た。
【0095】〔製造例7〕2−エチルヘキシルビニルエ
ーテル624g、ジt−ブチルパーオキサイド0.6g
をフラスコに仕込み、窒素置換した後、150℃で加
熱、撹拌しながら、無水マレイン酸計412gを2分毎
に13.7gずつ、またジt−ブチルパーオキサイド計
1.2gを20分毎に0.6gずつ添加した。添加終了
後、さらにジt−ブチルパーオキサイド0.6gを加
え、系の温度を180℃に保ち、さらに反応を進めた。
更に1時間後及び3時間後にそれぞれt−ブチルパーオ
キサイド1.2gを添加し、3時間反応させた。その
後、系の温度を200℃に保ち、減圧下にて未反応モノ
マーの除去を4時間行い、反応を終了させた。内容物を
熱時に取り出して冷却、固化させて、酸価432mgK
OH/gの共重合体樹脂を得た。
【0096】〔製造例8〕ステアリン酸ビニル620
g、ジt−ブチルパーオキサイド2.7gをフラスコに
仕込み、窒素置換した後、150℃で加熱、撹拌しなが
ら、無水マレイン酸計206gを2分毎に6.9gず
つ、またジt−ブチルパーオキサイド計2.1gを20
分毎に0.7gずつ添加した。添加終了後、系の温度を
160℃に保ち、さらに3時間反応させた。その後、系
の温度を200℃に保ち、減圧下にて未反応モノマーの
除去を4時間行い、反応を終了させた。内容物を熱時に
取り出して冷却、固化させて、酸価275mgKOH/
gの共重合体樹脂を得た。
【0097】〔製造例9〕炭素数12〜14のα−オレ
フィン362g、シクロヘキサンジメタノールモノビニ
ルエーテル328g,ラウリン酸ビニル452g,ジt
−ブチルパーオキサイド0.6gをフラスコに仕込み、
窒素置換した後、150℃で加熱、撹拌しながら、無水
マレイン酸計206gを2分毎に6.9gずつ、またジ
t−ブチルパーオキサイド1.2gを20分毎に0.6
gずつ添加した。添加終了後、さらにジt−ブチルパー
オキサイドを0.6g加え、系の温度を180℃に保
ち、さらに反応を進めた。更に1時間後及び3時間後に
それぞれt−ブチルパーオキサイド1.2gを添加し、
3時間反応させた。その後、系の温度を200℃に保
ち、減圧下にて未反応モノマーの除去を4時間行い、反
応を終了させた。内容物を熱時に取り出して、冷却、固
化させて、酸価390mgKOH/gの共重合体樹脂を
得た。
【0098】〔製造例10〕エチレン・メタクリル酸共
重合体樹脂「ニュクレルN2060」(三井・デュポン
・ポリケミカル社製,MFR:60,酸価:132)4
00部,変性剤としてユニリンアルコール700(ペト
ロライト社製,平均分子量700)330部を反応釜に
仕込み、窒素気流下で180℃に加熱し、さらにパラト
ルエンスルフォン酸ナトリウム0.4部を添加した。そ
して、真空ポンプによる減圧下、5時間反応せしめ、カ
ルボキシル基の50%が変性された酸価34mgKOH
/gの高級アルコール変性樹脂を得た。
【0099】〔実施例1〕製造例1で得た高酸価樹脂
(b1)50部とフタロシアニンブルー(C.I. Pigment
Blue 15:1) 50部との混合物を溶融混練して分散し、
マスターバッチ中間体を得た。
【0100】次いで、熱可塑性樹脂(a)として用いる
高密度ポリエチレン「ショウレックス2002E」(昭
和電工社製,MFR:0.2)100部に対して、上記
マスターバッチ中間体3.5部、及び低酸価樹脂(b
2)として用いるアイオノマーワックス「アクリン20
1A」(アライドシグナル社製、酸価:42)5部をヘ
ンシェルミキサーで混合後、単軸押出機で220℃にて
押出し、ストランド化、冷却、ペレット化してマスター
バッチを得た。
【0101】〔実施例2〜18〕表1に示す種々の高酸
価樹脂(b1)50部を用いた以外は、実施例1と同一
の方法によってマスターバッチを得た。
【0102】〔実施例19〜24〕表2に示す種々の顔
料(c)と、製造例1の高酸価樹脂(b1)を表2に記
載の量で用いた以外は、実施例1と同一の方法によって
マスターバッチを得た。
【0103】〔実施例25〜28〕実施例1で用いた高
密度ポリエチレン(a)100部の代わりに、表3に示
す種々の熱可塑性樹脂(a)100部を用いた以外は、
実施例1と同一の方法によってマスターバッチを得た。
【0104】〔実施例29〕実施例1で用いた高密度ポ
リエチレン(a)100部の代わりにポリブテン「M0
200」(三井石油化学工業(株)製)(a)100
部、実施例1で用いた製造例1の高酸価樹脂(b1)5
0部の代わりにブタジエン・無水マレイン酸共重合体
「BN−1010」(日本曹達(株)製)(b1)50
部を用いた以外は、実施例1と同一の方法によってマス
ターバッチを得た。
【0105】〔実施例30〕実施例1で用いた高密度ポ
リエチレン(a)100部の代わりにポリ塩化ビニル
「ZEST 1000Z」(日本ゼオン(株)製)
(a)100部、実施例1で用いた製造例1の高酸価樹
脂(b1)50部の代わりにスチレン・無水マレイン酸
共重合体「GSM1001」(岐阜セラツク製作所
(株)製)(b1)50部を用いた以外は、実施例1と
同一の方法によってマスターバッチを得た。
【0106】〔実施例31〕製造例1で得た高酸価樹脂
(b1)15部、キナクリドンレッド(C.I. Pigment R
ed 122)30部、酸化チタン(C.I. Pigment White 6)
5部、及びポリプロピレン「三井ハイポールJ900
P」(三井石油化学工業社製,MFR:40)50部を
ヘンシェルミキサーでプレミックスした。その後、この
混合物をスクリュー径30mm、L/D値42のスクリ
ュー押出機に供給し、回転数350rpm、設定温度1
63℃の条件で練肉して押出して、ペレタイザーでカッ
トし、マスターバッチ中間体を得た。
【0107】次いで、ポリプロピレン「三井ハイポール
J400」(三井石油化学工業社製,MFR:3)10
0部と、低酸価樹脂(b2)としてマレイン化PPワッ
クス「NP0555A」(三井石油化学工業社製,酸
価:45)5部と、上記マスターバッチ中間体5部とを
ヘンシェルミキサーで混合した。その後、この混合物を
単軸押出機で220℃にて押出し、ストランド化し、冷
却し、ペレット化してマスターバッチを得た。
【0108】〔実施例32〕製造例1で得た高酸価樹脂
(b1)5部、酸化チタン(C.I. Pigment White 6)5
5部、弁柄(C.I. Pigment Red 101)5部、ポリプロピ
レン「三井ハイポールJ900P」(三井石油化学工業
社製,MFR:40)30部、及び低酸価樹脂(b2)
としてマレイン化PP「ポリタックH1000P」(出
光石油化学社製,MFR:200,酸価:54)5部を
用い、実施例31と同一の方法によってマスターバッチ
中間体を得た。
【0109】次いで、ポリプロピレン「三井ハイポール
J800」(三井石油化学工業社製,MFR:22)1
00部と、上記マスターバッチ中間体3.5部とをヘン
シェルミキサーで混合した。その後、この混合物を単軸
押出機で220℃にて押出し、ストランド化し、冷却
し、ペレット化してマスターバッチを得た。
【0110】〔実施例33〜46〕表4に示す種々の低
酸価樹脂(b2)5部を用いた以外は、実施例1と同一
の方法によってマスターバッチを得た。
【0111】〔比較例1〜7〕高酸価樹脂(b1)の代
わりに表5に示す種々の樹脂(b1’)50部を用い、
低酸価樹脂(b2)の代わりに表5に示す種々の樹脂
(b2’)5部を用いた以外は、実施例1と同一の方法
によってマスターバッチを得た。
【0112】〔分散性評価〕本発明による着色樹脂組成
物の分散性評価のために、まず、各実施例にて得られた
マスターバッチ10部を以下に示す各熱可塑性樹脂10
0部と混合した。
【0113】すなわち、実施例1〜24、実施例33〜
46、及び比較例1〜3の場合は、高密度ポリエチレン
「ハイゼックス6300M」(三井石油化学工業社製,
MFR:0.11)100部と混合した。実施例25,
31,32及び比較例4の場合は、ポリプロピレン「U
BEポリプロZS633」(宇部興産社製,MFR:
0.35)100部と混合した。実施例26及び比較例
5の場合は、直鎖状低密度ポリエチレン「ネオゼックス
2015M」(三井石油化学工業社製,MFR:1.
3)100部と混合した。実施例27,29及び比較例
6の場合は、ポリブテン「ポリブテンM−801」(三
井石油化学工業社製,MFR:0.03)100部と混
合した。実施例28,30及び比較例7の場合は、ポリ
塩化ビニル「ZEST1000Z」(日本ゼオン社製,
MFR:0.1)100部と混合した。
【0114】前記の各混合物を、先端に500メッシュ
の金網を装着したスクリュー径30mmの単軸押出機に
よって、3Kgだけ押し出し、この時の先端部における
各混合物の圧力上昇値(押し出し初期の圧力と、3Kg
押し出した終期の圧力との差)を測定した。係る値を目
詰値(Kg/cm2 )と呼び、この目詰値の大小によっ
て顔料分散性を評価した。目詰値が小さいほど樹脂中の
顔料分散性が良好であることを示している。結果を表6
に示す。
【0115】〔耐塩素水性評価〕本発明による着色樹脂
組成物の耐塩素水性評価のために、各実施例にて得られ
た各マスターバッチ5部を、顔料分散性評価のために行
ったと同様に前記各熱可塑性樹脂100部とそれぞれ混
合した。各混合物を射出成形機に導入してプレート状に
成形し、JIS K6762に準じて下記の条件下で耐
塩素水性試験を行った。耐塩素水性の評価は、プレート
状の成形品を塩素含有水中に一定温度で一定時間浸漬
し、浸漬後、プレート表面に膨れ又は色抜けが発生した
か否かを目視にて確認することにより行った。結果を表
6に示す。
【0116】・試験条件 塩素濃度:2000±100ppm 温度 :60℃ pH :6.5±0.5 浸漬時間:168時間 ・評価基準 膨れの発生 1:プレート表面の全面に渡って、直径0.4mm以上の
突起又は小径の膨れが存在する。
【0117】2:プレート表面の1cm2 中に、直径0.
4mm以上の突起又は小径膨れが10個以上存在する。
【0118】3:プレート表面の1cm2 中に、直径0.
4mm以上の突起又は小径膨れが4〜9個存在する。
【0119】4:プレート表面の1cm2 中に、直径0.
4mm以上の突起又は小径膨れが2〜3個存在する。
【0120】5:プレート表面の1cm2 中に、直径0.
4mm以上の突起又は小径膨れが1個以下存在する。
【0121】色抜けの発生 A:ほとんど色抜けが生じない。
【0122】 B:若干色が残っている。
【0123】 C:ほとんど色が抜ける。
【0124】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0125】
【発明の効果】本発明による着色樹脂組成物を用いれ
ば、耐塩素含有水性に優れ、なおかつ、顔料の分散性も
非常に良い成形品を製造することができる。従って、成
型品に対する均一な着色が実現できることはもちろんの
こと、製造した成型品が塩素含有水に直接接触しても、
成型品に色抜けや膨れ、亀裂やクラックが発生したりす
ることなく、長期間劣化無く、安全に使用することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 31/04 C08L 31/04 C 33/02 33/02 35/00 35/00 (72)発明者 井口 昭義 東京都中央区京橋二丁目三番十三号 東洋 インキ製造株式会社内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に酸価を有さない熱可塑性樹脂
    (a)と、酸価が1〜900mgKOH/gである2種
    以上の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂(b)と、顔
    料(c)とを含有する着色樹脂組成物において、前記熱
    可塑性樹脂(b)のうち、少なくとも1種(b1)と他
    の1種(b2)との酸価の差が10mgKOH/g以上
    であることを特徴とする耐塩素含有水性着色樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂(b1)の酸価が70
    〜900mgKOH/gであり、かつ、前記熱可塑性樹
    脂(b2)の酸価が1〜70mgKOH/gである、請
    求項1記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(a)を100重量部、顔
    料(c)を0.01〜60重量部、熱可塑性樹脂(b
    1)を0.005〜30重量部、熱可塑性樹脂(b2)
    を0.0005〜30重量部含有する、請求項2記載の
    耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂(a)を100重量部、顔
    料(c)を0.1〜200重量部、熱可塑性樹脂(b
    1)を0.005〜200重量部、熱可塑性樹脂(b
    2)を0.005〜200重量部含有する、請求項2記
    載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂(b1)が、カルボキシル
    基を有するポリオレフィン樹脂である、請求項2乃至4
    いずれか記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂(b1)が、α,β不飽和
    二重結合を有するモノマーと、不飽和二重結合を有する
    二塩基酸乃至その無水物との共重合体樹脂である、請求
    項2乃至5いずれか記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記α,β不飽和二重結合を有するモノ
    マーが、α−オレフィン、スチレン、ビニルエーテル、
    ビニルエステル、及びそれらの誘導体から選ばれる少な
    くとも1種以上のモノマーである、請求項6記載の耐塩
    素含有水性着色樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記不飽和二重結合を有する二塩基酸乃
    至その無水物が、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル
    酸、又はこれらの無水物である、請求項6又は7いずれ
    か記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂(b1)が、炭素数6〜3
    0のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体であ
    る、請求項8記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂(b2)が、カルボキシ
    ル基を有するポリオレフィン樹脂である、請求項2乃至
    9いずれか記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂(b2)が、エチレンと
    不飽和カルボン酸との共重合体の金属塩であるアイオノ
    マー樹脂である、請求項2乃至9いずれか記載の耐塩素
    含有水性着色樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記不飽和カルボン酸が、アクリル酸
    及び/又はメタクリル酸である、請求項11記載の耐塩
    素含有水性着色樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂(b2)が、マレイン化
    ポリオレフィンである、請求項2乃至10いずれか記載
    の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 前記マレイン化ポリオレフィンが、無
    水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト重合せし
    めたものである、請求項13記載の耐塩素含有水性着色
    樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 前記顔料(c)が青系顔料である、請
    求項1乃至14いずれか記載の耐塩素含有水性着色樹脂
    組成物。
  16. 【請求項16】 前記青系顔料が有機顔料である、請求
    項15記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 前記有機顔料が、フタロシアニン系ブ
    ルー又はインダスレン系ブルーである、請求項16記載
    の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 前記青系顔料が無機顔料である、請求
    項15記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  19. 【請求項19】 前記無機顔料が、群青又はコバルトブ
    ルーである、請求項18記載の耐塩素含有水性着色樹脂
    組成物。
  20. 【請求項20】 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリオレ
    フィン樹脂又は塩化ビニル樹脂である、請求項1乃至1
    9いずれか記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  21. 【請求項21】 前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチ
    レン、ポリプロピレン、又はポリブテンである、請求項
    20記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  22. 【請求項22】 前記ポリエチレンが、高密度ポリエチ
    レン又は直鎖低密度ポリエチレンである、請求項21記
    載の耐塩素含有水性着色樹脂組成物。
  23. 【請求項23】 漂白剤用容器又は該容器のキャップに
    用いられる、請求項1乃至22いずれか記載の耐塩素含
    有水性着色樹脂組成物。
  24. 【請求項24】 水道用パイプに用いられる、請求項1
    乃至22いずれか記載の耐塩素含有水性着色樹脂組成
    物。
  25. 【請求項25】 前記水道用パイプが上水道用パイプ又
    は継ぎ手である、請求項24記載の耐塩素含有水性着色
    樹脂組成物。
  26. 【請求項26】 請求項23記載の耐塩素含有水性着色
    樹脂組成物を成形してなる漂白剤用容器又は該容器のキ
    ャップ。
  27. 【請求項27】 請求項24又は25記載の耐塩素含有
    水性着色樹脂組成物を成形して得られた水道用パイプ。
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