JP2004256564A - 耐塩素水性着色重合体組成物 - Google Patents

耐塩素水性着色重合体組成物 Download PDF

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Abstract

【目的】塩素含有水に直接に長期間接触しても、表面に水泡等が発生せず、又、色抜けも少ない成形体を得ることができる着色重合体組成物を提供する。
【構成】下記の(A)成分、及び(B)成分を含有する耐塩素水性着色重合体組成物。
(A)オレフィン系重合体;100重量部
(B)1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子からなる着色剤;0.0001〜10重量部
並びに、着色剤を含有する重合体組成物であって、重合体中に分散する着色剤の最大分散粒子径が0.1mm以下であると共に、JIS K6762JIS K6762:1997の附属書2に規定される塩素水試験方法に準拠した耐塩素水試験における試験前後間の色差(ΔE)が15以下である耐塩素水性着色重合体組成物。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐塩素水性に優れた着色重合体組成物に関し、更に詳しくは、塩素含有水に直接に長期間接触しても、表面に水泡等が発生せず、又、色抜けも少ない成形体を得ることができる着色重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエチレン、ポリブテン−1等のオレフィン系重合体の着色成形体には、各種の有機顔料や染料、及び無機顔料等の着色剤を含有させた着色重合体組成物が用いられている。
【0003】
ところが、これらの着色重合体組成物は、塩素含有水に直接に長期間接触するような用途、例えば水道用パイプに用いられた場合、パイプ内表面に水泡が発生し、それが剥離して水道水中に混入するとか、或いは、色抜け(退色)が生じる等の問題が指摘されており、それに対して古くから種々の配合上の検討がなされているが、中で、ハロゲン原子を含まないか、含んでも1分子当たり8個以下としたフタロシアニン系顔料が有効であることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−310705号公報。
【特許文献2】
特開平10−338772号公報。
【特許文献3】
特開2000−17119号公報。
【0005】
しかしながら、本発明者等の検討によると、これらの着色重合体組成物であっても、前記問題は、市場の要求に十分に応え得る程には解消されないことが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、着色重合体組成物における前述の従来技術に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、塩素含有水に直接に長期間接触しても、表面に水泡等が発生せず、又、色抜けも少ない成形体を得ることができる着色重合体組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、着色剤としてのフタロシアニン系顔料分子の結合ハロゲン原子数に着目し、その結合ハロゲン原子数の大きい顔料分子を用いることによって前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成したもので、即ち、本発明は、下記の(A)成分、及び(B)成分を含有する耐塩素水性着色重合体組成物、を要旨とする。
【0008】
(A)オレフィン系重合体;100重量部
(B)1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子からなる着色剤;0.0001〜10重量部
【0009】
又、本発明は、着色剤を含有する重合体組成物であって、重合体中に分散する着色剤の最大分散粒子径が0.1mm以下であると共に、JIS K6762JIS K6762:1997の附属書2に規定される塩素水試験方法に準拠した耐塩素水試験における試験前後間の色差(ΔE)が15以下である耐塩素水性着色重合体組成物、を要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の耐塩素水性着色重合体組成物において、該着色重合体組成物を構成する(A)成分のオレフィン系重合体としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のビニル化合物との共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等の二元或いは三元以上の直鎖状低・中密度エチレン−α−オレフィン共重合体、及び、それら共重合体に更に、例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンを共重合させた共重合体、並びに、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系重合体、及び、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系重合体等の樹脂やゴム等の重合体が挙げられ、これらのオレフィン系重合体は2種以上が併用されていてもよい。
【0011】
これらのオレフィン系重合体の中で、本発明における(A)成分としては、エチレン系樹脂が好ましく、分岐状低密度エチレン単独重合体樹脂、直鎖状高密度エチレン単独重合体樹脂、又は直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂等が特に好ましい。
【0012】
又、本発明における(A)成分のオレフィン系重合体としては、着色重合体組成物としての成形加工性、及び材料強度等の面から、密度が0.850〜0.960g/cmであるのが好ましく、0.920〜0.960g/cmであるのが特に好ましい。又、JIS K7210:1995に準拠して190℃、21.18N荷重で測定したメルトフローレートが0.01〜30g/10分であるのが好ましく、0.1〜10g/10分であるのが特に好ましい。
【0013】
又、本発明における(A)成分のオレフィン系重合体としては、不飽和カルボン酸若しくはその誘導体の存在下でグラフト反応条件に付して得られた変性オレフィン系重合体であるのが好ましく、赤外分光法により測定した不飽和カルボン酸若しくはその誘導体単位を0.01〜10重量%含有するのが好ましく、0.5〜5重量%含有するのが特に好ましい。
【0014】
尚、ここで、その変性剤としての不飽和カルボン酸若しくはその誘導体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、若しくは、その無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステル等の誘導体が挙げられ、中で、不飽和ジカルボン酸又はその無水物、特にマレイン酸又はその無水物が好ましい。
【0015】
又、そのグラフト反応条件としては、具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキシド類、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類等の有機過酸化物類等を、前記オレフィン重合体100重量部に対して0.001〜10重量部程度用いて、80〜300℃程度の温度で、溶融状態又は溶液状態等、好ましくは溶融状態、で反応させる方法が採られる。
【0016】
又、本発明の耐塩素水性着色重合体組成物において、該着色重合体組成物を構成する(B)成分の着色剤は、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子からなることを必須とする。
【0017】
本発明において、そのフタロシアニン系顔料としては、下記一般式(I)で表される基本骨格を有する錯塩であるのが好ましい。
【0018】
【化1】
Figure 2004256564
【0019】
〔式(I)中、Mはフタロシアニン錯塩を形成する中心金属を示し、X、X、X、及びXはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を示し、a、b、c、及びdはそれぞれ0〜4の整数であり、9≦a+b+c+d≦16である。〕
【0020】
ここで、式(I)におけるMとしては、例えば、周期律表のIa族、Ib族、IIa 族、IIb 族、IIIa族、IIIb族、IVa 族、IVb 族、Va族、Vb族、VIb 族、VIIb族、VIII族等の種々の金属原子が挙げられるが、Mが銅等のIb族、亜鉛等のIIb 族、アルミニウム等のIIIb族、バナジウム等のVa族の金属原子を中心金属とする錯塩であるのが好ましく、Mが銅である錯塩であるのが特に好ましい。又、Xのハロゲン原子としては、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、中で、塩素原子であるのが好ましい。
【0021】
又、Xのハロゲン原子の結合数は、例えば、J.R.CHAPMAN 著、土屋正彦ら訳「有機質量分析法」(MARUZEN & WILEY 発行)133−134 頁等に記載される、Desorption Chemical Ionization(DCI)− Mass Spectrometry(MS)法によるスペクトルの解析により分析することができる。
【0022】
尚、通常入手できるハロゲン化フタロシアニン系顔料は、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が一定ではなく、種々の結合数の分子の混合物であって分布を有するが、本発明においては、その中で、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子を、前記オレフィン系重合体100重量部に対して、0.0001〜10重量部含有することを必須とし、0.0005〜5重量部含有するのが好ましく、0.001〜1重量部含有するのが特に好ましい。
【0023】
本発明において、(B)成分の着色剤として、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子の含有量が前記範囲未満では、着色重合体組成物として、塩素含有水に直接に長期間接触したときに、表面に水泡が発生したり、色抜けが生じる等の問題を解決した成形体を得ることができず、又、前記範囲超過では、着色重合体組成物として着色剤が分散不良となって、重合体中に分散する着色剤の最大分散粒子径が0.1mm超過となり、成形体としての機械的強度が損なわれる等の問題を生じることとなる。
【0024】
又、本発明の耐塩素水性着色重合体組成物において、着色剤として前記(B)成分の他に、発色性の向上等を目的として、更に、(B)成分として、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個未満のフタロシアニン系顔料分子からなる着色剤を、前記(B )成分との合計量の95重量%以下の範囲で含有するのが好ましく、30〜90重量%の範囲で含有するのが特に好ましいこの(B)成分の含有量が前記範囲超過では、例え前記(B)成分の着色剤を前記範囲で含有していても、重合体組成物として、塩素含有水に直接に長期間接触したときに色抜けが生じる等の問題を解決した成形体を得難い傾向となる。
【0025】
尚、前述した通り、通常入手できるハロゲン化フタロシアニン系顔料は、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が一定ではなく、種々の結合数の分子の混合物であって分布を有するので、本発明の耐塩素水性着色重合体組成物を得るには、本発明における(B)成分としての、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子の含有量が前記範囲を満足するように、1種、或いは2種以上を混合して前記(A)成分のオレフィン系重合体に配合することとすればよく、その際、本発明における(B)成分としての、1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個未満のフタロシアニン系顔料分子の含有量も前記範囲を満足するように配合するのが好ましいこととなる。
【0026】
以上の本発明の耐塩素水性着色重合体組成物は、例えば、薄い青色に着色した場合、JIS Z8730:1995の参考1のハンターの色差式における明度指数Lは75程度、色座標aは−20程度、色座標bは−23程度のものとなり、濃い青色に着色した場合、明度指数Lは30程度、色座標aは−5程度、色座標bは−28程度のものとなり、塩素含有水に直接に長期間接触したときに生じる色抜けの程度は、JIS K6762:1997の附属書2に規定される塩素水試験方法に準拠した耐塩素水試験において、JIS Z8730:1995の参考1のハンターの色差式により算出した試験前後間の色差(ΔE)が15以下のものとなる。
【0027】
尚、本発明の耐塩素水性着色重合体組成物には、前記(A)成分のオレフィン系重合体、及び、前記(B)成分、又は、更に前記(B)成分からなる(B)成分の着色剤の外に、必要に応じて、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック等の無機顔料が含有されていてもよく、又、他の樹脂やゴム、及び、通常用いられる各種の添加剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、低分子量ポリエチレン等の着色剤分散剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤等が添加されていてもよい。
【0028】
又、本発明の耐塩素水性着色重合体組成物は、前記(A)成分のオレフィン系重合体、及び前記(B)成分の着色剤、並びに、必要に応じて用いられる樹脂やゴム、添加剤等を、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合した後、一軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練することにより、或いは、それらの混合、溶融混練により着色剤を高濃度に含有させたマスターバッチを作製し、そのマスターバッチを希釈することにより、調製することができる。
【0029】
本発明の耐塩素水性着色重合体組成物は、熱可塑性樹脂に通常用いられる圧縮成形、押出成形、射出成形、中空成形等により、例えば、フィルム、シート、ボトル、パイプ、或いはパイプ継手等の成形体として、塩素含有水に直接に長期間接触する用途に用いられる。これらの中で、水道用パイプ、及びその継手、金属配管への内面コーティング材として特に有用である。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、各実施例及び比較例において用いた(A)成分のオレフィン系重合体、及び(B)成分の着色剤、並びにその他成分を以下に示す。
【0031】
<(A)成分>
A−1;密度が0.922g/cm、190℃でのメルトフローレートが0.7g/10分の直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を、無水マレイン酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンの存在下で溶融グラフト反応条件に付して変性し、無水マレイン酸単位の含有量を1.0重量%とした変性エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂。
A−2;密度が0.953g/cm、190℃でのメルトフローレートが0.35g/10分の高密度エチレン単独重合体樹脂。
【0032】
<(B)成分>
B−1;1分子当たりの塩素原子の結合数が9個以上の分子の重量割合が0.625であり、平均結合数が10.3個である銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue76)
B−2;1分子当たりの塩素原子の結合数が9個以上の分子の重量割合が0であり、平均結合数が4.1個である銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue15:1)
B−3;1分子当たりの塩素原子の結合数が9個以上の分子の重量割合が0であり、平均結合数が0個である銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue15:3)
【0033】
尚、これらのフタロシアニン系顔料分子における塩素原子の結合数は、日本電子社製「JMS−700/MS Station」を用い、DCI−MS法により得られたスペクトルの解析により求めたものである。
【0034】
<その他成分>
無機着色剤;酸化チタン
分散剤;ステアリン酸マグネシウム
【0035】
実施例1〜6、比較例1〜6
(A)成分のオレフィン系重合体、(B)成分の着色剤、及びその他成分として、各々表1に示すものを用い、予めヘンシェルミキサーで均一に混合した後、径40mmの単軸押出機で溶融混練してペレット化することにより、ペレット状の耐塩素水性着色重合体組成物となし、得られた各着色重合体組成物ペレットから、厚み1mmのシートをプレス成形した。
【0036】
得られた各プレスシートについて、以下に示す方法で、着色剤の分散性を評価し、又、耐塩素水性試験を実施して、水泡の発生状況、及び色抜けの状況を評価し、更に、色差(ΔE)を測定し、結果を表1に示した。
【0037】
<着色剤の分散性>
シートから0.5gを切り取り、200℃で2分間予熱し、更に、4.9MPaの加圧下で2分間加熱した後、9.8MPaの加圧下で2分間冷却することにより、厚み40〜60μmのフィルムを作製し、このフィルムについて、着色剤の分散状況を10倍の拡大鏡で観察し、以下の基準で評価した。
○;最大分散粒子径が0.1mm以下である。
×;最大分散粒子径が0.1mm超過である。
【0038】
<耐塩素水試験>
JIS K6762:1997の附属書2に規定される塩素水試験方法に準拠した耐塩素水試験を、塩素濃度2000±100ppm、pH6.5±0.5、温度60±1℃、浸漬時間168時間の条件で実施し、水泡の発生状況、及び、色抜けの状況を以下の基準で評価し、更に、試験前後間の色差(ΔE)を以下の方法で測定した。
【0039】
<水泡の発生状況>
シート表面における水泡の発生状況を目視観察し、以下の基準で評価した。
○;シート表面に水泡が全く認められない。
×;シート表面に水泡の発生が認められる。
【0040】
<色抜けの状況>
シートの色抜けの程度を目視観察し、以下の基準で評価した。
○;脱色は殆ど認められない。
△;僅かながらの脱色が認められる。
×;明らかな脱色が認められる。
【0041】
<色差>
塩素水浸漬前後のシートについて、分光光度計(マクベス社製「Color−Eye 7000A」)を用いて、JIS Z8730:1995の参考1のハンターの色差式における明度指数L、L’、色座標a、a’、及び色座標b、b’を測定し、色差ΔE=〔(L−L’)+(a−a’)+(b−b’)1/2 の式から算出した。
【0042】
【表1】
Figure 2004256564
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、塩素含有水に直接に長期間接触しても、表面に水泡等が発生せず、又、色抜けも少ない成形体を得ることができる着色重合体組成物を提供することができる。

Claims (7)

  1. 着色剤を含有する重合体組成物であって、重合体中に分散する着色剤の最大分散粒子径が0.1mm以下であると共に、JIS K6762:1997の附属書2に規定される塩素水試験方法に準拠した耐塩素水試験における試験前後間の色差(ΔE)が15以下であることを特徴とする耐塩素水性着色重合体組成物。
  2. 下記の(A)成分、及び(B)成分を含有することを特徴とする耐塩素水性着色重合体組成物。
    (A)オレフィン系重合体;100重量部
    (B)1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個以上のフタロシアニン系顔料分子からなる着色剤;0.0001〜10重量部
  3. 更に、下記の(B)成分を含有する請求項2に記載の耐塩素水性着色重合体組成物。
    (B)1分子当たりのハロゲン原子の結合数が9個未満のフタロシアニン系顔料分子からなる着色剤;(B )成分との合計量の95重量%以下。
  4. (B)成分又は/及び(B)成分の着色剤のフタロシアニン系顔料の中心金属が銅である請求項2又は3に記載の耐塩素水性着色重合体組成物。
  5. (B)成分又は/及び(B)成分の着色剤のフタロシアニン系顔料の結合ハロゲン原子が塩素原子である請求項2乃至4のいずれかに記載の耐塩素水性着色重合体組成物。
  6. (A)成分のオレフィン系重合体がエチレン系樹脂である請求項2乃至5のいずれかに記載の耐塩素水性着色重合体組成物。
  7. (A)成分のオレフィン系重合体が、不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変性されたものであり、その不飽和カルボン酸若しくはその誘導体単位を0.01〜10重量%含有する変性オレフィン系重合体である請求項2乃至6のいずれかに記載の耐塩素水性着色重合体組成物。
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JP2015078258A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 大日精化工業株式会社 配水管用青色着色樹脂組成物および配水管

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JP2015078258A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 大日精化工業株式会社 配水管用青色着色樹脂組成物および配水管

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