JP2009127005A - 変性ポリオレフィン樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、軟質ポリオレフィン樹脂(a)に(メタ)アクリル酸の金属塩(b)をグラフト共重合してなり、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)に由来する構成単位を0.1〜30重量%含有する変性ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、高分子摺動剤(B)0.01〜10重量部が配合されてなることを特徴としている。
【選択図】なし
Description
(1)軟質ポリオレフィン樹脂(a)に(メタ)アクリル酸の金属塩(b)をグラフト共重合してなり、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)に由来する構成単位を0.1〜30重量%含有する変性ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、
高分子摺動剤(B)0.01〜10重量部が配合されてなることを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂組成物。
(5)(メタ)アクリル酸の金属塩(b)が、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウムおよび(メタ)アクリル酸亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
(10)自動車内外装部品用、土木部品用、建材部品用、または家電部品用であることを特徴とする(9)に記載の押出しシート。
(12)自動車内外装部品用、土木部品用、建材部品用、または家電部品用であることを特徴とする(11)に記載の射出成形体。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂(A)と、高分子摺動剤(B)とからなる。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(A)は、軟質ポリオレフィン樹脂(a)に(メタ)アクリル酸の金属塩(b)をグラフト共重合してなるものである。すなわち変性ポリオレフィン樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)によって金属架橋された軟質ポリオレフィン樹脂(a)である。
本発明で使用する軟質ポリオレフィン樹脂(a)は、ポリオレフィン樹脂であれば制限なく使用でき、オレフィンの単独重合体であってもよいし、他のモノマーとの共重合体であってもよいし、単独重合体と共重合体の混合物であってもよい。単独重合体の具体例として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ1−ブテン樹脂、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂などがあげられ、これらのなかではポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましく、ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。軟質ポリオレフィン樹脂(a)がポリプロピレン樹脂である場合には、ポリエチレン系樹脂などよりも高度な耐熱性が得られるため、耐熱性が要求される用途においては軟質ポリオレフィン樹脂(a)がポリプロピレン樹脂であることが望ましい。ここでポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンとその他のオレフィンなどの共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。プロピレン以外の他のモノマーとの共重合成分量は90wt%未満であればよいが、80wt%以下であるプロピレン系樹脂が望ましい。
0g荷重の条件で測定したMFRが0.5〜50g/10min、好ましくは1〜10g/10minであるのが望ましい。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸の金属塩(b)とは、(メタ)アクリル酸(アクリル酸またはメタクリル酸)のカルボン酸部を金属で中和したものである。
本発明で用いる変性ポリオレフィン樹脂(A)は、有機過酸化物(c)を用いて好適に製造することができる。有機過酸化物(c)は、変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造において、軟質ポリオレフィン樹脂(a)に、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)と、必要に応じて(b)以外の不飽和結合含有ラジカル反応性モノマー(d)とをグラフト共重合させるのに必要なラジカルを発生させるために用いられる。
も1種の物質であることが好ましい。
ーオキシカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類などを挙げることができる。
本発明では、変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造において、必要に応じて、不飽和結合含有ラジカル反応性モノマー(d)を用いることができる。不飽和結合含有ラジカル反応性モノマー(d)としては、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)と異なるものであって、ラジカル反応性を有する炭素−炭素二重結合、あるいは炭素−炭素三重結合の不飽和結合を有する化合物が制限なく使用できる。
変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造
本発明で用いる変性ポリオレフィン樹脂(A)は、軟質ポリオレフィン樹脂(a)に(メタ)アクリル酸の金属塩(b)をグラフト共重合する方法であれば、どのような製造方法で製造してもよいが、好適には、上述した軟質ポリオレフィン樹脂(a)、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)、有機過酸化物(c)および必要に応じて不飽和結合含有ラジカル反応性モノマー(d)の各成分を用いて、これらの混合物を溶融混合することにより、成分(a)に成分(b)および必要に応じて成分(d)をグラフト共重合して製造することができる。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸の金属塩(
b)に由来する構成単位の含有量(グラフト量)が、0.1〜30重量%であり、好ましくは、0.1〜20重量%である。
本発明で使用する高分子摺動剤(D)とは、表面特性を改善するために添加されるもので、市販の高分子摺動剤を制限なく使用できる。高分子摺動剤(D)の具体例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリオリガノシロキサン樹脂等が挙げられる。これらは未変性のものでも、変性されたものでもよく(メタ)アクリル酸エステル変性ポリオリガノシロキサン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂等が市販されている。一般的に、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を配合すると表面特性を改善することができるが知られているが、このような脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等な低分子量体は、長時間、高温にさらされる部位、具体的には自動車の内装材のような部位に使用された場合、これらが低分子量体であるが故、ブリードアウトし、表面のベタツキを発生させる。そのため、フッ素系樹脂、ポリオリガノシロキサン樹脂などのような高分子タイプのものが好ましい。これらは、これらは1種単独で、あるいは二種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、上述した変性ポリオレフィン樹脂(A)に対して、高分子摺動剤(B)が配合されてなる。変性ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対する高分子摺動剤(B)の配合量は。通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。変性ポリオレフィン樹脂(A)と、高分子摺動剤(B)との配合は、上述のように変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造時に行ってもよく、変性ポリオレフィン樹脂(A)と高分子摺動剤(B)との混合物を調製し、溶融混合することにより行ってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238の方法で、230℃、2160g荷重の条件で測定した。
変性ポリオレフィン樹脂約2gを採取し、500mlの沸騰p−キシレンに完全に加熱溶解した。冷却後、1200mlのメタノール中に投入し、析出物を濾過、乾燥してポリマー精製物を得た。熱プレスにより厚さ20μmのフィルムを作成した。この作成したフィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1580cm-1付近の吸収により(メタ)アクリル酸金属塩のグラフト量を定量した。
230℃の温度に保ち、キャピラリーレオメーターに取り付けられたダイス(直径2.095mm)から組成物を押出し、プリーを介して引取る。引取る際、経時的に引取り速度を増加させ、押出ストランドが切断したときの伸び及び張力を測定した。
厚さ2.7mmの試験片を用い、東洋精機製、学振摩耗試験機を用いて、45R、SUS製の摩耗子(20×20×30mm)の先端を綿帆布10号で覆い、これを23℃、治具荷重1kg下、往復回数10回、往復速度33回/min、ストローク50mmで試料
を摩耗させ、その前後のグロス変化率を下記式により求めて耐傷付き性能を評価した。グロス変化率が少なければ、耐傷付き性が良好な材料であることを示す。
グロス変化率(%)=100×(摩耗前のグロス−摩耗後のグロス)/(摩耗前のグロス)
[製造例1]
((メタ)アクリル酸金属塩によってグラフト共重合(金属架橋)された軟質ポリオレフィン樹脂の製造例)
JIS K7203(1995)で測定された曲げ弾性率が30MPaの軟質ポリプロピレン樹脂(a−1)(商品名:R110MP、プライムポリマー製、プロピレンとエチレンとの共重合成分量80wt%の軟質ポリプロピレン系樹脂、MFR=2g/10min)100重量部、メタクリル酸亜鉛(b−1)(浅田化学(株)製、商標R−20S)1重量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート(C)(日本油脂(株)製、商標パーブチルZ)1.65重量部をヘンシェルミキサーで均一に混合した後、同方向二軸混練機(テクノベル(株)製、商標:KZW31−30HG)にて230℃で加熱混練し、変性ポリプロピレン樹脂(MA−1)を得た。得られた変性ポリプロピレン樹脂(MA−1)中におけるメタクリル酸亜鉛(b−1)由来の構成単位量(グラフト量)は0.7重量%であった。
成分(C)の配合量を0.5重量部に変更した以外は、製造例1と同様に変性ポリプロピレン樹脂(MA−2)を得た。得られた変性ポリプロピレン樹脂(MA−2)中におけるメタクリル酸亜鉛(b−1)由来の構成単位量(グラフト量)は0.5重量%であった。
製造例1で得た変性ポリプロピレン樹脂(MA−1)100重量部と、アクリル変性ポリオルガノシロキサン(B−1)(日新化学工業製、商標:シャリーヌR−170S)1重量部をタンプラーミキサーで均一に混合した後、同方向二軸混練機(テクノベル(株)製、商標:KZW31−30HG)にて210℃で加熱混練し、(B)成分を含有した変性ポリプロピレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の性状を表1に示す。
実施例1において、(B−1)成分の配合量を2.5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして(B)成分を含有した変性ポリプロピレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の性状を表1に示す。
実施例1において、(B−1)に代えて、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(B−2)(三菱レイヨン製、商標:メタブレンA3000)1重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして(B)成分を含有した変性ポリプロピレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の性状を表1に示す。
実施例1において、(B−1)に代えて、アクリル・シリコン複合ゴム(B−3)(三菱レイヨン製、商標:メタブレンSX−005)5重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして(B)成分を含有した変性ポリプロピレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の性状を表1に示す。
製造例1で用いた軟質プロピレン樹脂(a−1)(商品名:R110MP、プライムポリマー製、MFR=2g/10min)をそのまま使用した。性状を表1に示す。
製造例1で得た変性ポリプロピレン樹脂(MA−1)をそのまま使用した。性状を表1に示す。
製造例2で得た変性ポリプロピレン樹脂(MA−2)をそのまま使用した。性状を表1に示す。
実施例1において、変性ポリプロピレン樹脂(MA−1)に代えて、軟質プロピレン樹脂(a−1)100重量部を用い、(B−1)成分使用量を2.5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の性状を表1に示す。
比較例4において、(B−1)成分に代えて、アクリル・シリコン複合ゴム(B−3)(三菱レイヨン製、商標:メタブレンSX−005)1重量部を用いたこと以外比較例4
と同様に樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の性状を表1に示す。
Claims (12)
- 軟質ポリオレフィン樹脂(a)に(メタ)アクリル酸の金属塩(b)をグラフト共重合してなり、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)に由来する構成単位を0.1〜30重量%含有する変性ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、
高分子摺動剤(B)0.01〜10重量部が配合されてなることを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂組成物。 - 変性ポリオレフィン樹脂(A)が、軟質ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に対して、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)0.1〜50重量部と、有機過酸化物(c)0.01〜10重量部とを含む混合物を溶融混合してグラフト共重合することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 軟質ポリオレフィン樹脂(a)の、JIS K7203(1995)で測定された曲げ弾性率が、20〜150MPaの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 軟質ポリオレフィン樹脂(a)が、軟質ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項項1〜3のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- (メタ)アクリル酸の金属塩(b)が、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウムおよび(メタ)アクリル酸亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 高分子摺動剤(B)が、フッ素系樹脂および/またはポリオリガノシロキサン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 有機過酸化物(c)が、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドおよびパーオキシジカーボネート構造を有する有機過酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 変性ポリオレフィン樹脂(A)が、軟質ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に対し、(メタ)アクリル酸の金属塩(b)0.1〜50重量部、有機過酸化物(c)0.01〜10重量部、(b)成分と異なる不飽和結合含有ラジカル反応性モノマー(d)0.1〜10重量部を含む混合物を、溶融混合してグラフト共重合することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物からなることを特徴とする押出シート。
- 自動車内外装部品用、土木部品用、建材部品用、または家電部品用であることを特徴とする請求項9に記載の押出しシート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物からなることを特徴とする射出成形体。
- 自動車内外装部品用、土木部品用、建材部品用、または家電部品用であることを特徴と
する請求項11に記載の射出成形体。
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