JPH0987477A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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JPH0987477A
JPH0987477A JP19037896A JP19037896A JPH0987477A JP H0987477 A JPH0987477 A JP H0987477A JP 19037896 A JP19037896 A JP 19037896A JP 19037896 A JP19037896 A JP 19037896A JP H0987477 A JPH0987477 A JP H0987477A
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JP
Japan
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polymer
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thermoplastic polymer
olefin polymer
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JP19037896A
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Kensuke Uchida
健輔 内田
Yoshiharu Fujita
義治 藤田
Naohiko Sato
尚彦 佐藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチレン性不飽和基含有カルボン酸またはそ
の誘導体を含有する変性オレフィン系重合体と非極性熱
可塑性重合体からなる塗装性等に優れた熱可塑性重合体
組成物を提供する。 【解決手段】 特定の構造を有する基幹オレフィン系重
合体に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸またはその
誘導体が特定量結合した変性オレフィン系重合体と非極
性熱可塑性重合体からなる熱可塑性重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン性不飽和
基含有カルボン酸またはその誘導体を含有する変性オレ
フィン系重合体の組成物に関するものであり、かかる変
性オレフィン系重合体は、極性の官能基を持たない非極
性熱可塑性重合体に対して、例えば、塗装性の優れた熱
可塑性重合体組成物が提供される。
【0002】
【従来の技術】従来より、高分子材料であるゴム、フィ
ルム、シート、成形品等の用途において、単一の高分子
物質を用いるだけでは、その最終製品の目的に不十分な
場合、複数の成分からなる組成物にすることにより、そ
の目的を達成しようとする試みが多くなされており、複
合化されたアロイ・ブレンド材料が数多く上市されてい
る。
【0003】しかし、異種の高分子物質を混合して組成
物とする場合において、その相構造を制御し、その目的
が達成される組み合わせの具体例は限られている。例え
ば、ポリプロピレン樹脂にエチレン−プロピレンゴム
(EPR)、エチレン−ブチレンゴム(EBR)、スチ
レン−エチレン/ブチレン−スチレンゴム(SEBS)
等のエラストマーを押出機にて適度に分散させることに
より、耐衝撃性、塗装性を付与する試みが従来からなさ
れている。
【0004】特開平5−59231号公報には、プロピ
レン系重合体と特定の変性エチレン−プロピレン共重合
体とからなる重合体組成物が開示されている。該提案に
よると、分子内に極性基を有さず化学的に不活性な高分
子材料であるポリプロピレン系重合体に、特定の極性化
合物により変性されたエチレン−プロピレン共重合体を
配合することにより、耐衝撃性を発現させることのみな
らず、例えば、ポリウレタン系塗料に対して優れた塗装
強度を発現させ、予備表面処理が不要となることが示唆
されている。
【0005】しかし、これらの提案にて用いられる変性
前のエチレン−プロピレン(−ジエン)共重合体ゴム
は、バナジウム化合物等を用いたチーグラー系触媒によ
り重合されたものである。
【0006】上記の如き従来からのチーグラー系エチレ
ン−α・オレフィン共重合エラストマーは分子量分布が
大変広く、従って超低分子量成分も相当な割合が含まれ
ている。しかるに、それ自身では柔軟性と機械的強度と
のバランスに劣り、例えば柔軟性に優れている場合でも
機械的強度は低く好ましくない。本傾向は、特にエラス
トマー量の多い組成において顕著に悪影響を与える。
【0007】また、チーグラー系エチレン−α・オレフ
ィン共重合エラストマー、特にEPRについては、ペレ
ットとなるポリマー構造が限られており、それ以外の構
造を有するEPRは、ベール状となり、取り扱い上煩雑
となり好ましくない。また、ペレット状であっても、ブ
ロッキングの問題がある等好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の変性重合体が有していた問題点をすべて克服しつつ、
非極性熱可塑性重合体の有用性を高めた、新規な変性オ
レフィン系重合体組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の点を
鑑み鋭意検討を重ねた結果、以下に示す熱可塑性重合体
組成物が前記課題を全て解決するものであることを見出
だし、本発明を完成した。
【0010】すなわち、密度が0.858〜0.885
g/cm3の範囲であり、かつゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)により算出される、重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である
分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である、エチレ
ンおよび炭素数3〜12を有する少なくとも1種以上の
α・オレフィンからなる基幹オレフィン系重合体に、エ
チレン性不飽和基含有カルボン酸またはその誘導体より
なる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物が、該基
幹オレフィン系重合体100重量部あたり0.05〜2
0重量部結合してなる変性オレフィン系重合体99〜1
重量部とポリプロピレン単独重合体、ポリ(ブテン−
1)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリスチレン
(アタクチック、もしくはシンジオタクチック)、ゴム
補強ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキ
シメチレン、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ビニ
ル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体およびそ
の水素添加物よりなる群から選ばれる少なくとも1種類
の非極性熱可塑性重合体1〜99重量部を混合してなる
ことを特徴とする熱可塑性重合体組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳しく述べ
る。
【0012】基幹オレフィン系重合体 本発明の変性オレフィン系重合体の出発原料として用い
る基幹オレフィン系重合体は、エチレンおよび炭素数3
〜12を有する少なくとも1種以上のα・オレフィンか
らなる。炭素数3〜12であるα・オレフィンとして
は、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテ
ン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ド
デセン−1等が挙げられる。α・オレフィンとしては、
炭素数6〜12であるα・オレフィンがより好ましい。
この場合、改質効果、機械的強度のより一層の向上が見
込まれる。
【0013】基幹オレフィン系重合体は、密度が0.8
58〜0.885g/cm3の範囲である。該範囲の密
度を有する基幹オレフィン系重合体は、柔軟性に富み、
低い低温モジュラスを有し、またα・オレフィンの含有
率が高く、結晶性が低いため反応性に富み、特定の官能
基にて変性すれば、熱可塑性重合体の各用途における優
れた改質材として機能する。
【0014】基幹オレフィン系重合体は、GPCにより
算出される、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が3.
0未満である。分子量分布が3.0未満であれば、低分
子量成分が極めて少なく、機械的特性、加工性に優れ、
高品質であり、好ましい。GPC装置および測定法は特
に限定はされないが、本発明者は下記の装置および測定
法を用いた。 1.装置:ウオーターズ製・150C・GPC。 2.カラム: SHODEX・AT−807S・1本 東ソー・TSK−GEL・GMH−H6・2本の計3本。 3.溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン。 4.測定温度:140℃。 5.標準物質:ポリスチレン。
【0015】また、本発明にて用いられる基幹オレフィ
ン系重合体のメルトインデックスは特に限定はされない
が、0.01〜300g/10分(190℃、2.16
kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ま
しくは0.05〜100g/10分である。
【0016】基幹オレフィン系重合体は、例えばメタロ
セン系触媒を用いることにより製造できる。メタロセン
系触媒とは、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシ
クロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒
として超高活性であるだけでなく、従来の触媒、例えば
チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量
分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜
12のα・オレフィンの分布が均一であり、触媒種が均
一であることを特徴としている。
【0017】該触媒を用いることによりコモノマーの組
成比を従来技術以上に高めることが可能となり、柔軟性
にすぐれ、低モジュラスのエラストマー状の重合体を得
ることができる。
【0018】また、チーグラー触媒によるエチレンとα
・オレフィンの共重合体であるオレフィン系重合体で
は、ASTM・D1238により規定される190℃/
10kgfにおけるメルトインデックス(I10)と、
190℃/2.16kgfにおけるメルトインデックス
(I2)との比(I10/I2)と分子量分布は、ほぼ
直線的な比例関係を示し、メルトインデックス比の増加
と伴に分子量分布も増大する傾向を示す。分子量分布は
3〜10程度である。一方、メタロセン系触媒によるオ
レフィン系重合体では、メルトインデックス比の値の如
何にかかわらず、分子量分布は3.0未満のシャープな
値となり、低分子量成分が極めて少ない。
【0019】このため、本発明の変性オレフィン系重合
体の基となる基幹オレフィン系重合体をメタロセン系触
媒を用いて重合した場合には、機械的強度、加工性は大
変優れている。
【0020】要するにメタロセン系重合触媒を用いた場
合の基幹オレフィン系重合体の特徴を列挙すると、以下
の通りである。
【0021】1.重合触媒が超高活性であるため、コモ
ノマーのα・オレフィンの組成を従来より大幅に高める
ことが可能となり、可塑剤を含まない状態でも柔軟性に
富む重合体が得られる。
【0022】2.チーグラー系触媒と比較して、メタロ
セン系触媒は活性点が均一であり(シングルサイトであ
り)、メタロセン系ポリマーはチーグラー系ポリマーと
比較してコモノマー分布が均一である。
【0023】3.チーグラー系ポリマーと比較して、メ
タロセン系ポリマーは分子量分布が極めてシャープであ
り、低分子量成分が極めて少なく、機械的特性、加工性
に優れ、高品質である。
【0024】4.分子量分布がシャープであるにもかか
わらず、長鎖分岐を導入した場合には、上記のメルトイ
ンデックス比(I10/I2)の値が大きく、加工特性
に優れる。
【0025】5.透明性に優れる。
【0026】変性オレフィン系重合体 本発明に係る変性オレフィン系重合体は、上記の基幹オ
レフィン系重合体にエチレン性不飽和基含有カルボン酸
またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1
種類の化合物が結合したものである。
【0027】このようなエチレン性不飽和基含有カルボ
ン酸またはその誘導体を例示すると、マレイン酸、ハロ
ゲン化マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シス−4−
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス
−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジ
カルボン酸等やこれらジカルボン酸の無水物、エステ
ル、アミド、イミド等が挙げられ、更にはアクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸等やこれらモノカルボン酸の
エステル、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、グリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレートやアミド等の誘導体が挙げら
れる。
【0028】更に、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、
3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシ
−2−フェノキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキ
シ−2−フェノキシプロピルメタクリレート等も例示さ
れる。
【0029】これらの中では無水マレイン酸、グリシジ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トが特に好ましく用いられる。
【0030】これらの化合物は、単独で使用することも
できるし、更に2種以上を組み合わせて使用することも
できる。なお、上記基幹オレフィン系重合体を変性する
に際しては、上記のような化合物の他に、本発明の変性
オレフィン系重合体の特性を損なわない範囲内で、スチ
レン、α・メチルスチレン等のビニル芳香族化合物を併
用することができる。
【0031】エチレン性不飽和基含有カルボン酸または
その誘導体化合物の付加量としては、基幹オレフィン系
重合体100重量部に対して0.05〜20重量部であ
り、望ましくは0.1〜10重量部、更に望ましくは
0.1〜5重量部である。付加量が0.05重量部未満
では、組成物とした場合の未変性のオレフィン系重合体
と比較しての改良が微少であるため好ましくない。ま
た、付加量が20重量部を超えても、それ以下に比較し
て改良効果の増加はほとんど見られず、かえってゲル分
の増加等が生じ、好ましくない。
【0032】本発明の変性オレフィン系重合体は、一例
として基幹オレフィン系重合体にエチレン性不飽和基含
有カルボン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる
少なくとも1種類の化合物を、溶液状態もしくは溶融状
態において、ラジカル開始剤を使用してあるいは使用せ
ずして付加せしめることによって得られる。
【0033】変性エチレン系重合体を調製するに際して
使用されるラジカル開始剤としては、通常、有機過酸化
物あるいはアゾ化合物等が好適に使用される。
【0034】上記有機過酸化物の具体的な例として、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−
トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス
(t−ブチルパーオキシ)パラレートおよび2,2−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタ
ール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパー
オキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,
α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−
2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等
のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイ
ド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオ
キサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジク
ロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパ
ーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチ
ルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブ
チレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシ
イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベン
ゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマ
レイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ートおよびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシ
エステル類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘ
キサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,
1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ
ド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができ
る。
【0035】これらの化合物の中では、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシ
クロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3が特に好ましい。
【0036】また、ラジカル開始剤として使用されるア
ゾ化合物の具体的な例としては、アゾイソブチロニトリ
ル等を挙げることができる。
【0037】このようなラジカル開始剤は単独あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】また、ラジカル開始剤は、基幹オレフィン
系重合体100重量部に対して0〜10重量部である
が、望ましくは0.05〜5重量部、更に望ましくは
0.05〜3重量部である。
【0039】これら変性オレフィン系重合体の製造方法
に関しては、本発明において特に限定はしないが、得ら
れた変性オレフィン系重合体が、不溶・不融のゲル等の
好ましくない成分を含有したり、その溶融粘度が著しく
増大して加工性が悪化したりする方法は好ましくない。
好ましく用いられる方法としては、例えば、押出機中で
ラジカル開始剤存在下で、基幹オレフィン系重合体とエ
チレン性不飽和基含有カルボン酸またはその誘導体とを
反応させる方法がある。
【0040】本発明の変性オレフィン系重合体は、非極
性熱可塑性重合体に対し、良好に混合するので、これと
の組み合わせにより得られる本発明の組成物は、表面特
性、加工性等に優れた特徴を有する。
【0041】また、本発明の変性オレフィン系重合体
に、樹脂組成物の改良結果を損なわない範囲で、未変性
の基幹オレフィン系重合体を加えても良い。
【0042】非極性熱可塑性重合体 本発明の非極性熱可塑性重合体としては、ポリプロピレ
ン単独重合体、ポリ(ブテン−1)、ポリ(4−メチル
ペンテン−1)、ポリスチレン(アタクチック、もしく
はシンジオタクチック)、ゴム補強ポリスチレン、ポリ
フェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリフェニ
レンサルファイド、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化
合物ブロック共重合体およびその水素添加物、もしくは
これらの任意の成分の組み合わせが挙げられる。
【0043】ポリスチレンとしては、通常汎用的に用い
られるアタクチックである非晶質ポリスチレンの他に、
シンジオタクチックである結晶性ポリスチレンが挙げら
れる。特に後者はエンジニアリングプラスチックとして
注目されている。
【0044】芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブ
ロック共重合体およびその水素添加物としては、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体およびその水素添加
物、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびその
水素添加物が挙げられる。
【0045】熱可塑性重合体組成物 本発明の熱可塑性重合体組成物は、オレフィン系重合体
成分として、エチレン性不飽和基含有カルボン酸または
その誘導体によって変性されたオレフィン系重合体を1
つの構成要件とする変性オレフィン系重合体を使用する
ことにより、変性されていないオレフィン系重合体を用
いた場合と比較して、上記非極性熱可塑性重合体との組
み合わせの場合に、塗装性、接着性が著しく改善された
組成物となる特徴を有している。
【0046】本発明の熱可塑性重合体組成物において、
その組成は、変性オレフィン系重合体99〜1重量部、
熱可塑性重合体1〜99重量部の範囲である。これらの
組成比の範囲外においては、各々の重合体そのものと比
較して、顕著な特徴の変化は認められない。
【0047】更に、変成オレフィン系重合体99〜約5
0重量部、熱可塑性重合体1〜約50重量部の範囲で
は、変成オレフィン系重合体の改良された組成物として
有用であり、一方変成オレフィン系重合体1〜約50重
量部、熱可塑性重合体99〜約50重量部の範囲におい
ては、熱可塑性重合体の改質、特に塗装性を改良したも
のとして有用である。
【0048】また本発明の変性オレフィン系重合体は、
基幹オレフィン系重合体の耐候性が良好であり、変性後
もその高い耐候性は保持されている。
【0049】本発明の熱可塑性重合体組成物は、その各
成分の組成比に応じて通常の高分子物質の混練に供され
る装置によって調製できる。ここで用いられる混練装置
としては、例えば、単軸押出機、2軸押出機、ミキシン
グロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げら
れ、特に本発明では押出機による溶融混練法が好まし
い。
【0050】本発明の熱可塑性重合体組成物を得る方法
として、具体的に例示すると、 1.基幹オレフィン系重合体と変性剤と有機過酸化物を
用いて、2軸押出機にて変性オレフィン系重合体を得、
ペレット化した後、所望の熱可塑性重合体のペレットと
配合・ブレンドし、再度2軸押出機にて混練し、組成物
を得る方法。
【0051】2.基幹オレフィン系重合体と変性剤と有
機過酸化物を用いて、2軸押出機の前段部にて混練を実
施し、次いで、該押出機の中後段部にて所望の熱可塑性
重合体を投入し、組成物を得る方法。
【0052】3.基幹オレフィン系重合体と変性剤と有
機過酸化物と所望の熱可塑性重合体とを、一括投入して
2軸押出機にて混練し、組成物を得る方法。
【0053】上記の組成物のいずれの製造法も、各々製
造方法としては異なるものであるが、変性剤を用いて組
成物の性能を制御する目的は同じであり、概念的には同
一のものとみなす。
【0054】また、本発明の熱可塑性重合体組成物に
は、その特徴を損ねない程度に無機フィラーおよび可塑
剤を添加することが可能である。ここで用いる無機フィ
ラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チ
タン、クレー等が挙げられる。また、可塑剤としては、
例えば、パラフィンオイル、ポリエチレングリコール、
ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル
等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、熱安
定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、帯電
防止剤、滑剤等の適量を添加しても良く、更に発泡剤を
添加して発泡体とすることも可能である。
【0055】以上述べてきた種々の特徴を生かして本発
明の熱可塑性重合体組成物は、自動車部品、機械部品、
電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日
用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に広
く使用可能である。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお、これら実施例および比較例において、変性オ
レフィン系重合体の調製および各種の評価方法に用いた
試験法は以下の通りである。
【0057】(1)メルトインデックス[g/10分] ASTM・D1238に準じ、荷重2.16kg、温度
190℃にて測定した。
【0058】(2)グラフト量[重量%] 反応後のポリマーを140℃の1,2,4−トリクロロ
ベンゼンに溶解させて放冷した後、このポリマーをアセ
トンで析出させ、未反応物を除去して精製した。精製後
のポリマーを酸素分析によりグラフト量を算出した。
【0059】(3)グラフト率[%] 仕込みに対する未反応物が0の場合を100%として、
(2)で求めたグラフト量の割合を算出した。
【0060】(4)ゲル量[重量%] 5gの変性重合体を500mlの140℃の1,2,4
−トリクロロベンゼンと共に4時間振とうし、未溶解重
合体をガラスウールで濾過し、その濾液を溶媒と重合体
成分とに分離し、重合体成分重量から差を求めて、ゲル
含量として算出した。
【0061】(5)塗装剥離強度[g/cm] 射出成形して得られた7.5cm平方の角板に、次の塗
料を塗布した。 ・1液性ウレタン系塗料フレキセン#105(日本ビー
ケミカル製) ・塗装後の塗膜厚:60μm ・焼き付け条件:120℃、30分 塗膜を調整後、1cm幅にカッター刃で樹脂の基材に刃
が到達するまで切れ目を入れて、塗膜の端部を剥離させ
た後、その剥離させた塗膜の端部を50mm/分の速度
で180度の方向に塗膜が剥離するまで引っ張って、剥
離強度を測定した。
【0062】(6)曲げ弾性率[MPa] 厚み1/8インチの試験片を用い、ASTM・D790
に準じて23℃にて測定した。
【0063】また、変性オレフィン系重合体を調製する
にあたり、基幹オレフィン系重合体(a)は下記のもの
を入手した。
【0064】基幹オレフィン系重合体(a−1) ダウケミカルカンパニーより入手可能な、ENGAGE
・SM8400。 コモノマー:オクテン−1。 密度:0.870g/cm3。 Mw/Mn=2.6。 ASTM・D1238:MI=30。 ASTM・D2240:硬度タイプA・72。
【0065】基幹オレフィン系重合体(a−2) ダウケミカルカンパニーより入手可能な、ENGAGE
・EG8200。 コモノマー:オクテン−1。 密度:0.870g/cm3。 Mw/Mn=2.4。 ASTM・D1238:MI=5。 ASTM・D2240:硬度タイプA・75。
【0066】(1)変性オレフィン系重合体の調製 (製造例1〜4)上記の各重合体(a−1)〜(a−
2)を各々100重量部に対して2.5重量部の無水マ
レイン酸、0.1重量部のラジカル開始剤であるパーヘ
キサ25B(日本油脂社製)を均一にブレンドした後、
2軸押出機に供給し、グラフト反応を行った。使用した
2軸押出機および押出条件は、同方向回転タイプ、スク
リュウ径30mm、L/D=30、シリンダー設定温度
230℃、スクリュウ回転数200rpmとし、平均滞
留時間40秒であった。
【0067】続いて、上記の各重合体(a−1)〜(a
−2)を各々100重量部に対して2.5重量部のグリ
シジルメタクリレート、0.1重量部のパーヘキサ25
Bを用いて先と同様にグラフト反応を行った。
【0068】反応後の重合体を精製し、メルトインデッ
クス、グラフト率およびゲル量を算出した。結果を表1
に示す。
【0069】
【表1】
【0070】いずれの製造例も、各々低ゲル量の、目的
とする無水マレイン酸変性、あるいはグリシジルメタク
リレート変性オレフィン系重合体が得られた。
【0071】(実施例1〜2、比較例1〜3)熱可塑性
重合体として、ポリプロピレン単独重合体(三菱ポリプ
ロ、MA4;MFR=5.0)70重量部と製造例1〜
2で得られた変性オレフィン系重合体30重量部と配合
した。使用した単軸押出機は、スクリュウ径40mm、
L/D=24、シリンダー設定温度230℃、スクリュ
ウ回転数100rpmとし、平均滞留時間60秒であっ
た。
【0072】本発明の効果を明確にするため、比較例と
して変性オレフィン系重合体を用いない系においても、
同様な方法で組成物を得た。
【0073】得られた組成物を230℃にて射出成形
し、成形品の機械的物性および塗装後の塗装剥離強度を
評価した。比較例として、ポリプロピレン単体の物性を
も併せて評価した。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】結果が示す通り、本発明の組成物は、機械
的強度と塗装剥離強度のバランスに優れているのは明ら
かである。
【0076】(実施例3〜4、比較例4〜6)熱可塑性
重合体としてポリスチレン(旭化成スタイロン666
R)を用い、これを97重量部に対し、製造例3〜4で
得られた変性オレフィン系重合体3重量部を、2軸押出
機に供給し、組成物を得た。使用した2軸押出機は、製
造例1〜4と同一であり、シリンダー設定温度を200
℃とした以外は同一条件で実施した。
【0077】本発明の効果を明確にするため、比較例と
して変性オレフィン系重合体を用いない系においても、
同様な方法で組成物を得た。
【0078】得られた組成物を射出成形し、成形品の機
械的物性および塗装後の塗装剥離強度を評価した。比較
例として、ポリスチレン単体の物性をも併せて評価し
た。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】結果が示す通り、本発明の組成物は、機械
的強度と塗装剥離強度のバランスに優れているのは明ら
かである。
【0081】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物は、特定
の構造を有するエチレン−α・オレフィン共重合体に、
エチレン性不飽和基含有カルボン酸またはその誘導体が
結合している変性オレフィン系重合体と非極性熱可塑性
重合体とが良好に混合しており、樹脂成形品およびエラ
ストマー用途等各種分野において塗装性、接着性等の優
れた表面特性等を有しており、その利用価値は極めて大
きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/04 LKY C08L 51/04 LKY 53/02 LLY 53/02 LLY 59/04 LMP 59/04 LMP 71/12 LQP 71/12 LQP 81/02 LRG 81/02 LRG 101/00 LSZ 101/00 LSZ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.858〜0.885g/cm
    3の範囲であり、かつゲルパーミエーションクロマトグ
    ラフィー(GPC)により算出される、重量平均分子量
    (Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分
    布(Mw/Mn)が3.0未満である、エチレンおよび
    炭素数3〜12を有する少なくとも1種以上のα・オレ
    フィンからなる基幹オレフィン系重合体に、エチレン性
    不飽和基含有カルボン酸またはその誘導体よりなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種類の化合物が、該基幹オレフ
    ィン系重合体100重量部あたり0.05〜20重量部
    結合してなる変性オレフィン系重合体99〜1重量部と
    ポリプロピレン単独重合体、ポリ(ブテン−1)、ポリ
    (4−メチルペンテン−1)、ポリスチレン(アタクチ
    ック、もしくはシンジオタクチック)、ゴム補強ポリス
    チレン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレ
    ン、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ビニル化合物
    −共役ジエン化合物ブロック共重合体およびその水素添
    加物よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の非極性
    熱可塑性重合体1〜99重量部を混合してなることを特
    徴とする熱可塑性重合体組成物。
  2. 【請求項2】 基幹オレフィン系重合体がエチレンおよ
    び炭素数6〜12を有する少なくとも1種以上のα・オ
    レフィンからなることを特徴とする請求項1に記載の熱
    可塑性重合体組成物。
  3. 【請求項3】 基幹オレフィン系重合体がメタロセン系
    触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする請
    求項1または2に記載の熱可塑性重合体組成物。
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