JPH10310453A - ガラスペースト組成物 - Google Patents
ガラスペースト組成物Info
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- JPH10310453A JPH10310453A JP11979397A JP11979397A JPH10310453A JP H10310453 A JPH10310453 A JP H10310453A JP 11979397 A JP11979397 A JP 11979397A JP 11979397 A JP11979397 A JP 11979397A JP H10310453 A JPH10310453 A JP H10310453A
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Abstract
ガラスペースト組成物の提供。 可撓性に優れ、ガラ
ス基板との接着性に優れ、膜強度の大きい膜形成材料層
を支持フィルム上に形成することができるガラスペース
ト組成物の提供。 膜形成材料層の転写性に優れた転
写フィルムを製造することができるガラスペースト組成
物の提供。 高い光透過率を有するガラス焼結体(誘
電体層)を形成することができるガラスペースト組成物
の提供。 【解決手段】 ガラス粉末および結着樹脂を含有するガ
ラスペースト組成物であって、さらに、ポリプロピレン
グリコールが含有されている。
Description
物に関し、さらに詳しくは、誘電体層を形成するために
好適に使用することができるガラスペースト組成物に関
する。
てプラズマディスプレイが注目されている。図1は交流
型のプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と
もいう。)の断面形状を示す模式図である。同図におい
て、1及び2は、対向配置されたガラス基板、3は隔壁
であり、ガラス基板1、ガラス基板2及び隔壁3により
セルが区画形成されている。4はガラス基板1に固定さ
れたバス電極、5はガラス基板2に固定されたアドレス
電極、6はセル内に保持された蛍光物質、7はバス電極
4を被覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電
体層、8は例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜であ
る。誘電体層7はガラス焼結体より形成され、その膜厚
は例えば20〜50μmとされる。
末、結着樹脂および溶剤を含有するペースト状の組成物
(ガラスペースト組成物)を調製し、このガラスペース
ト組成物をスクリーン印刷法によってガラス基板1の表
面に塗布して乾燥することにより膜形成材料層を形成
し、次いでこの膜形成材料層を焼成することにより有機
物質を除去してガラス粉末を焼結させる方法が知られて
いる。
結着樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導
体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ウ
レタン系樹脂、メラミン系樹脂などが知られており、こ
れらのうち、ガラス粉末の分散性、組成物の塗布特性、
燃焼の容易性などの観点から、エチルセルロースが好ま
しいとされている(例えば特開平6−321619号公
報参照)。
成材料層の厚さは、焼成工程における有機物質の除去に
伴う膜厚の目減量を考慮して、形成すべき誘電体層7の
膜厚の1.3〜2.0倍程度とすることが必要であり、
例えば、誘電体層7の膜厚を20〜50μmとするため
には、30〜100μm程度の厚さの膜形成材料層を形
成する必要がある。一方、前記ガラスペースト組成物を
スクリーン印刷法により塗布する場合に、1回の塗布処
理によって形成される塗膜の厚さは15〜25μm程度
である。このため、膜形成材料層を所定の厚さとするた
めには、ガラス基板の表面に対して、当該ガラスペース
ト組成物を複数回(例えば2〜7回)にわたり繰り返し
て塗布(多重印刷)する必要がある。
る多重印刷によって膜形成材料層を形成する場合には、
当該膜形成材料層を焼成して形成される誘電体層が均一
な膜厚(例えば公差が±5%以内)を有するものとなら
ない。これは、スクリーン印刷法による多重印刷では、
ガラス基板の表面に対してガラスペースト組成物を均一
に塗布することが困難だからであり、塗布面積(パネル
サイズ)が大きいほど、また、塗布回数が多いほど誘電
体層における膜厚のバラツキの程度は大きいものとな
る。そして、多重印刷による塗布工程を経て得られるパ
ネル材料(当該誘電体層を有するガラス基板)には、そ
の面内において、膜厚のバラツキに起因する誘電特性に
バラツキが生じ、誘電特性のバラツキは、PDPにおけ
る表示欠陥(輝度ムラ)の原因となる。さらに、スクリ
ーン印刷法では、スクリーン版のメッシュ形状が膜形成
材料層の表面に転写されることがあり、このような膜形
成材料層を焼成して形成される誘電体層は、表面の平滑
性に劣るものとなる。
形成する場合における上記のような問題を解決する手段
として、本発明者らは、ガラスペースト組成物を支持フ
ィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して膜形成材料層を形成
し、支持フィルム上に形成された膜形成材料層を、電極
が固定されたガラス基板の表面に転写し、転写された膜
形成材料層を焼成することにより、前記ガラス基板の表
面に誘電体層を形成する工程(以下、「ドライフィルム
法」ともいう。)を含むPDPの製造方法を提案してい
る(特願平8−196304号明細書参照)。このよう
な製造方法によれば、膜厚の均一性および表面の均一性
に優れた誘電体層を形成することができ、また、膜形成
材料層が支持フィルム上に形成されてなる複合フィルム
(以下、「転写フィルム」ともいう。)は、これをロー
ル状に巻き取って保存することができる点でも有利であ
る。
ース誘導体などの従来公知の樹脂を含有するガラスペー
スト組成物を支持フィルム上に塗布して膜形成材料層を
形成する(転写フィルムを製造する)場合には、形成さ
れる膜形成材料層が十分な可撓性を有するものとなら
ず、転写フィルムを折り曲げると、当該膜形成材料層の
表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生するという問題が
ある。そして、可撓性の不十分な膜形成材料層を備えて
なる転写フィルムは、これをロール状に巻き取ることも
困難となる。また、セルロース誘導体を含有する膜形成
材料層は、ガラス基板に対して十分な接着性(加熱接着
性)を発揮することができないため、支持フィルムから
ガラス基板の表面に転写されにくいという問題もある。
結着樹脂としてアクリル樹脂を含有するガラスペースト
組成物を調製し、当該ガラスペースト組成物を支持フィ
ルム上に塗布して膜形成材料層を形成することにより、
当該膜形成材料層の転写性(ガラス基板に対する膜形成
材料層の接着性)に優れた転写フィルムが得られること
を見出した。しかしながら、アクリル樹脂を含有するガ
ラスペースト組成物を支持フィルム上に塗布して膜形成
材料層を形成する場合において、当該膜形成材料層の可
撓性は依然として十分なものではなかった。
撓性を付与するための手段として、フタル酸ジオクチル
(DOP)などの可塑剤を添加してガラスペースト組成
物を調製し、当該ガラスペースト組成物を支持フィルム
上に塗布することにより、形成される膜形成材料層に前
記可塑剤を含有させる方法が考えられる。しかしなが
ら、DOPなどの可塑剤が含有されてなる膜形成材料層
は、十分な膜強度を有するものとならず、そのような膜
形成材料層を備えてなる転写フィルムを使用して行う転
写工程において、ガラス基板に加熱接着された膜形成材
料層から支持フィルムを剥離するときに、当該膜形成材
料層が凝集破壊を起こすことがある。さらに、膜形成材
料層の焼成工程において、前記可塑剤が完全に分解除去
されることなく、形成される誘電体層中にその一部が残
留してしまい、当該誘電体層が着色されてその光透過性
が損なわれることもある。
たものである。本発明の第1の目的は、転写フィルムを
製造するために好適に用いることができるガラスペース
ト組成物を提供することにある。本発明の第2の目的
は、可撓性に優れた膜形成材料層を支持フィルム上に形
成することができるガラスペースト組成物を提供するこ
とにある。本発明の第3の目的は、ガラス基板との(加
熱)接着性に優れた膜形成材料層を支持フィルム上に形
成することができるガラスペースト組成物を提供するこ
とにある。本発明の第4の目的は、膜強度の大きい膜形
成材料層を支持フィルム上に形成することができるガラ
スペースト組成物を提供することにある。本発明の第5
の目的は、膜形成材料層の転写性に優れた転写フィルム
を製造することができるガラスペースト組成物を提供す
ることにある。本発明の第6の目的は、高い光透過率を
有するガラス焼結体(例えばPDPの誘電体層)を形成
することができるガラスペースト組成物を提供すること
にある。
組成物は、(A)ガラス粉末、(B)結着樹脂および
(C)ポリプロピレングリコールが含有されていること
を特徴とする。本発明のガラスペースト組成物におい
て、(C)ポリプロピレングリコールの重量平均分子量
(Mw)が200〜3,000の範囲にあること、特に
300〜2,000の範囲にあることが好ましい。
成物について詳細に説明する。本発明のガラスペースト
組成物は、ガラス粉末、結着樹脂およびポリプロピレン
グリコールを必須成分として含有する。
ガラス粉体としては、特に限定されるものではないが、
その軟化点が400〜600℃の範囲内にあるものが好
ましい。ガラス粉末の軟化点が400℃未満である場合
には、当該組成物による膜形成材料層の焼成工程におい
て、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない
段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成される誘
電体層中に有機物質の一部が残留し、この結果、誘電体
層が着色されて、その光透過率が低下する傾向がある。
一方、ガラス粉末の軟化点が600℃を超える場合に
は、600℃より高温で焼成する必要があるために、ガ
ラス基板に歪みなどが発生しやすい。好適なガラス粉末
の具体例としては、 酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ
素(PbO−B2 O3 −SiO2 系)の混合物、 酸
化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−B2 O3 −
SiO2 系)の混合物、 酸化鉛、酸化ホウ素、酸化
ケイ素、酸化アルミニウム(PbO−B2 O3 −SiO
2 −Al2 O3 系)の混合物、 酸化鉛、酸化亜鉛、
酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B 2 O3 −
SiO2 系)の混合物などを例示することができる。
がアクリル樹脂であることが好ましい。結着樹脂として
アクリル樹脂が含有されていることにより、形成される
膜形成材料層には、ガラス基板に対する優れた(加熱)
接着性が発揮される。従って、本発明の組成物を支持フ
ィルム上に塗布して転写フィルムを製造する場合におい
て、得られる転写フィルムは、膜形成材料層の転写性
(ガラス基板への加熱接着性)に優れたものとなる。本
発明の組成物を構成するアクリル樹脂としては、適度な
粘着性を有してガラス粉末を結着させることができ、膜
形成材料の焼成処理(400℃〜600℃)によって完
全に酸化除去される(共)重合体の中から選択される。
かかるアクリル樹脂には、下記一般式(1)で表される
(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、下記一般式
(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以
上の共重合体、および下記一般式(1)で表される(メ
タ)アクリレート化合物と共重合性単量体との共重合体
が含まれる。
示し、R2 は1価の有機機を示す。〕
リレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)
アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペン
チル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレー
ト、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メ
タ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オ
クチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)ア
クリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノ
ニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどの
アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピ
ル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メ
タ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル
(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メ
タ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプ
ロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポ
リプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニル
フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレ
ートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレ
ート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチ
ルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペン
タニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)ア
クリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボル
ニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メ
タ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリ
レート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ
フルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることがで
きる。これらのうち、上記一般式(1)中、R2 で示さ
れる基が、アルキル基またはオキシアルキレン基を含有
する基であることが好ましく、特に好ましい(メタ)ア
クリレート化合物として、ブチル(メタ)アクリレー
ト、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレー
トおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙
げることができる。ここに、好ましいアクリル樹脂とし
ては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリ
レート、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート
共重合体などを例示することができる。他の共重合性単
量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重
合可能な化合物ならば特に制限はないが、例えば、(メ
タ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マイレン酸、ビニル
フタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメ
チルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、
α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビ
ニル基含有ラジカル重合性化合物が挙げられる。本発明
の組成物を構成するアクリル樹脂における、上記一般式
(1)で表される(メタ)アクリレート化合物由来の共
重合成分は、通常70重量%以上、好ましくは90重量
%以上、さらに好ましくは100重量%である。
分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量
平均分子量として4,000〜300,000であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは10,000〜20
0,000とされる。本発明の組成物における結着樹脂
の含有割合としては、ガラス粉末100重量部に対し
て、5〜40重量部であることが好ましく、さらに好ま
しくは10〜30重量部とされる。結着樹脂の割合が過
小である場合には、ガラス粉末を確実に結着保持するこ
とができず、一方、この割合が過大である場合には、焼
成工程に長い時間を要したり、形成されるガラス焼結体
(誘電体層)が十分な強度や膜厚を有するものとならな
かったりする。
成物においては、ポリプロピレングリコールが含有され
ている点に特徴を有している。ポリプロピレングリコー
ルを組成物中に含有させることにより、形成される膜形
成材料層に良好な可撓性を発現させることができる。し
かも、ポリプロピレングリコールは、DOPなどの一般
的な可塑剤とは異なり、形成される膜形成材料層の膜強
度を低下させたり、当該膜形成材料層を焼成して得られ
る誘電体層の光透過率を低下させたりすることはない。
均分子量(Mw)は、200〜3,000の範囲にある
ことが好ましく、300〜2,000の範囲にあること
が特に好ましい。ここに、重量平均分子量(Mw)はゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によ
り測定されたポリスチレン換算重量平均分子量をいうも
のとする。(以下、同じ。) ポリプロピレングリコールの重量平均分子量(Mw)が
200未満である場合には、膜強度の大きい膜形成材料
層を支持フィルム上に形成することができず、当該膜形
成材料層を備えてなる転写フィルムを使用して行う転写
工程において、ガラス基板に加熱接着された膜形成材料
層から支持フィルムを剥離しようとすると、当該膜形成
材料層が凝集破壊を起こすことがある。一方、ポリプロ
ピレングリコールの重量平均分子量(Mw)が3,00
0を超える場合には、ガラス基板との加熱接着性の良好
な膜形成材料層を形成することが困難となる。
リコールの含有割合としては、ガラス粉末100重量部
に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、
さらに好ましくは0.5〜10重量部とされる。この割
合が過小である場合には、膜形成材料層における可撓性
の向上効果を十分に発揮させることができない。一方、
この割合が過大である場合には、得られるガラスペース
ト組成物から転写フィルムを作成したとき、ロール状に
巻き取った転写フィルム同士が固着してしまう現象(ブ
ロッキング現象)が起き、ロールから転写フィルムを引
き出すことができなくなる場合がある。
が含有される。上記溶剤としては、ガラス粉末との親和
性、結着樹脂の溶解性が良好で、ガラスペースト組成物
に適度な粘性を付与することができ、乾燥されることに
よって容易に蒸発除去できるものであることが好まし
い。かかる溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メ
チルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノ
ンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2
−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアル
コールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;
酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカ
ルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−
ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテ
ート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エト
キシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを
例示することができ、これらは、単独でまたは2種以上
を組み合わせて使用することができる。本発明の組成物
における溶剤の含有割合としては、組成物の粘度を好適
な範囲に維持する観点から、ガラス粉末100重量部に
対して、40重量部以下であることが好ましく、さらに
好ましくは5〜30重量部とされる。
の必須成分のほかに、可塑剤、分散剤、粘着性付与剤、
表面張力調整剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤が任
意成分として含有されていてもよい。好ましいガラスペ
ースト組成物の一例を示せば、ガラス粉末として、酸化
鉛50〜80重量%、酸化ホウ素5〜20重量%、酸化
ケイ素10〜30重量%からなる混合物100重量部
と、ポリブチルメタクリレート(アクリル樹脂)10〜
30重量部と、ポリプロピレングリコール0.1〜10
重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(溶剤)10〜50重量部とを必須成分として含有する
組成物を挙げることができる。
リル樹脂、ポリプロピレングリコールおよび溶剤並びに
任意成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサーな
どの混練機を用いて混練することにより調製することが
できる。上記のようにして調製される本発明の組成物
は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物で
あり、その粘度は、通常1,000〜30,000cp
とされ、好ましくは3000〜10000cpとされ
る。
るために特に好適に使用することができる。この転写フ
ィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成
された膜形成材料層とにより構成され、ドライフィルム
法による誘電体層の形成工程に使用される複合材料であ
る。
耐熱性及び耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹
脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓
性を有することにより、ロールコーター、ブレードコー
ターなどによって本発明の組成物を塗布することがで
き、膜形成材料層をロール状に巻回した状態で保存し、
供給することができる。支持フィルムを形成する樹脂と
しては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、
ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、
ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セ
ルロースなどを挙げることができる。支持フィルムの厚
さとしては、例えば20〜100μmとされる。
本発明の組成物を前記支持フィルム上に塗布し、塗膜を
乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成
することができる。本発明の組成物を支持フィルム上に
塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れた膜厚の大
きい(例えば20μm以上)塗膜を効率よく形成するこ
とができるものであることが好ましく、具体的には、ロ
ールコーターによる塗布方法、ブレードコーターによる
塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤー
コーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げ
ることができる。なお、本発明の組成物が塗布される支
持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好
ましい。これにより、ガラス基板への転写工程におい
て、支持フィルムの剥離操作をさらに容易に行うことが
できる。また、転写フィルムには、膜形成材料層の表面
に保護フィルム層が設けられてもよい。このような保護
フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系
フィルムなどを挙げることができる。
ィルム上に膜形成材料層を形成して転写フィルムを製造
する際に特に好適に使用することができるが、これらの
用途に限定されるものではなく、従来において公知の膜
形成材料層の形成方法、すなわち、スクリーン印刷法な
どによって当該組成物をガラス基板の表面に直接塗布
し、塗膜を乾燥することにより膜形成材料層を形成する
方法にも好適に使用することができる。
本発明はこれらによって限定されるものではない。な
お、以下において「部」は「重量部」を示す。 <実施例1> (1)ガラスペースト組成物の調製:ガラス粉末とし
て、酸化鉛70重量%、酸化ホウ素10重量%、酸化ケ
イ素20重量%の組成を有するPbO−B2 O3 −Si
O2 系の混合物(軟化点500℃)100部、結着樹脂
としてポリブチルメタクリレート(重量平均分子量:5
0,000)20部、添加剤としてポリプロピレングリ
コール(重量平均分子量:400)1部、溶剤としてプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル20部を分散機
を用いて混練することにより、粘度が4,000cpで
ある本発明の組成物を調製した。
調製した本発明の組成物を、予め離型処理したポリエチ
レンテレフタレート(PET)よりなる支持フィルム
(幅400mm,長さ30m,厚さ38μm)上にブレ
ードコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100
℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これによ
り、厚さ50μmの膜形成材料層が支持フィルム上に形
成されてなる転写フィルムを製造した。この転写フィル
ムは柔軟性を有しており、容易に、ロール状に巻き取る
ことができた。また、この転写フィルムを折り曲げて
も、膜形成材料層の表面にひび割れ(屈曲亀裂)が生じ
ることはなく、当該膜形成材料層は良好な可撓性を有す
るものであった。
ネル用のガラス基板の表面(バス電極の固定面)に、膜
形成材料層の表面が当接されるよう、上記(2)で製造
した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加
熱ロールにより熱圧着した。ここで、圧着条件として
は、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3k
g/cm2 、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。
熱圧着処理の終了後、ガラス基板の表面に固定(加熱接
着)された膜形成材料層から支持フィルムを剥離除去
し、当該膜形成材料層の転写を完了した。この転写工程
において、支持フィルムを剥離するときに、膜形成材料
層が凝集破壊を起こすようなことはなく、当該膜形成材
料層は十分大きな膜強度を有するものであった。さら
に、転写された膜形成材料層は、ガラス基板の表面に対
して良好な接着性を有するものであった。
成):上記(3)により膜形成材料層を転写形成したガ
ラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から
10℃/分の昇温速度で550℃まで昇温し、550℃
の温度雰囲気下30分間にわたって焼成処理することに
より、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる無色
の誘電体層を形成した。この誘電体層の膜厚(平均膜厚
および公差)を測定したところ30μm±0.4μmの
範囲にあり、膜厚の均一性に優れているものであった。
また、このようにして、誘電体層を有するガラス基板よ
りなるパネル材料を5台分作製し、形成された誘電体層
の光透過率(測定波長600nm)を測定したところ9
5%であり、良好な透明性を有するものであることが認
められた。以上の結果を表1にまとめて示す。
て、実施例1に係るものとは重量平均分子量が異なるポ
リプロピレングリコールを添加剤として使用したこと以
外は実施例1と同様にして本発明のガラスペースト組成
物を調製した。次いで、得られたガラスペースト組成物
の各々を使用したこと以外は実施例1と同様にして転写
フィルムを製造した。その後、得られた転写フィルムの
各々を使用したこと以外は実施例1と同様にして、膜形
成材料層の転写および膜形成材料層の焼成処理を行っ
て、20インチパネル用のガラス基板の表面に無色の誘
電体層(厚さ30μm±0.5μm)を形成した。
成された膜形成材料層(転写フィルムを構成する膜形成
材料層)について、可撓性、膜強度およびガラス基板に
対する接着性について評価し、形成された誘電体層の光
透過率を測定した。ここに、可撓性の評価としては、転
写フィルムを折り曲げたときに、膜形成材料層の表面に
屈曲亀裂が発生しなかった場合を「良好」と判定した。
また、膜強度の評価としては、支持フィルムを剥離した
ときに、膜形成材料層が凝集破壊を起こさなかった場合
を「良好」と判定した。また、ガラス基板に対する接着
性の評価としては、支持フィルムを剥離したときに、ガ
ラス基板の表面と膜形成材料層との間に界面剥離が起き
なかった場合(誘電体層を形成すべき全領域において界
面剥離が発生しなかった場合)を「良好」と判定した。
これらの結果を表1に示す。
リプロピレングリコールを含有させなかったこと以外は
実施例1と同様にして、比較用のガラスペースト組成物
を調製し、当該組成物を使用して転写フィルムを製造
し、当該転写フィルムを使用して膜形成材料層の転写お
よびその焼成処理を行うことにより、20インチパネル
用のガラス基板の表面に無色の誘電体層(厚さ30μm
±1.0μm)を形成した。この比較例1に係る組成物
を使用して得られた転写フィルムは柔軟性に乏しく、こ
の転写フィルムを折り曲げたところ、膜形成材料層の表
面に屈曲亀裂が発生し、当該膜形成材料層は良好な可撓
性を有するものでなかった。なお、比較例1により得ら
れた転写フィルムによれば、これを構成する膜形成材料
層をガラス基板の表面に転写することができ、当該膜形
成材料層を焼成処理して形成された誘電体層の光透過率
は95%であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
リプロピレングリコールに代えてポリエチレングリコー
ル(重量平均分子量:1,000)3部を含有させたこ
と以外は実施例1と同様にして、比較用のガラスペース
ト組成物を調製し、当該組成物を使用して転写フィルム
を製造した。この転写フィルムは柔軟性を有しており、
この転写フィルムを折り曲げても、膜形成材料層の表面
に屈曲亀裂が発生することはなく、当該膜形成材料層は
良好な可撓性を有するものであった。この転写フィルム
を、20インチパネル用のガラス基板の表面に膜形成材
料層の表面が当接されるよう重ね合わせ、実施例1と同
一の圧着条件で熱圧着した。次いで、ガラス基板の表面
における膜形成材料層から支持フィルムを剥離しようと
したところ、ガラス基板の表面と膜形成材料層との間に
界面剥離が起こり、膜形成材料層を転写することができ
なかった。このことから、比較例2に係る組成物により
形成された膜形成材料層は、ガラス基板の表面に対して
十分な接着性を有するものでないことが理解される。以
上の結果を表1にまとめて示す。
リプロピレングリコールに代えてフタル酸ジオクチル
(DOP)1部を含有させたこと以外は実施例1と同様
にして、比較用のガラスペースト組成物を調製し、当該
組成物を使用して転写フィルムを製造し、当該転写フィ
ルムを使用して膜形成材料層の転写およびその焼成処理
を行うことにより、20インチパネル用のガラス基板の
表面に誘電体層(厚さ30μm±0.5μm)を形成し
た。この比較例3に係る組成物を使用して得られた転写
フィルムは柔軟性を有しており、この転写フィルムを折
り曲げても、膜形成材料層の表面に屈曲亀裂が発生する
ことはなく、当該膜形成材料層は良好な可撓性を有する
ものであった。この転写フィルムを、20インチパネル
用のガラス基板の表面に膜形成材料層の表面が当接され
るよう重ね合わせ、実施例1と同一の圧着条件で熱圧着
した。次いで、ガラス基板の表面における膜形成材料層
から支持フィルムを剥離しようとしたところ、当該膜形
成材料層に凝集破壊が起こり、その一部が支持フィルム
側に付着していた。このことから、比較例3に係る組成
物により形成された膜形成材料層は、十分な膜強度を有
するものではないことが理解される。また、ガラス基板
の表面における転写された膜形成材料層の残部を焼成処
理して形成された誘電体層の光透過率は70%であり、
透明性にも劣るものであった。以上の結果を表1にまと
めて示す。
0重量%、酸化ホウ素10重量%、酸化ケイ素20重量
%の組成を有するPbO−B2 O3 −SiO2 系の混合
物(軟化点500℃)100部、結着樹脂としてエチル
セルロース(重量平均分子量:300,000)5部、
溶剤としてαテルピネオール20部を分散機を用いて混
練することにより、粘度が50,000cpである比較
用のガラスペースト組成物を調製し、当該組成物を使用
して転写フィルムを製造した。この転写フィルムは柔軟
性に乏しく、この転写フィルムを折り曲げたところ、膜
形成材料層の表面に屈曲亀裂が発生し、当該膜形成材料
層は良好な可撓性を有するものでなかった。この転写フ
ィルムを、20インチパネル用のガラス基板の表面に膜
形成材料層の表面が当接されるよう重ね合わせ、実施例
1と同一の圧着条件で熱圧着した。次いで、ガラス基板
の表面における膜形成材料層から支持フィルムを剥離し
ようとしたところ、ガラス基板の表面と膜形成材料層と
の間に界面剥離が起こり、膜形成材料層を転写すること
ができなかった。このことから、比較例4に係る組成物
により形成された膜形成材料層は、ガラス基板の表面に
対して良好な接着性を有するものでないことが理解され
る。以上の結果を表1にまとめて示す。
果が奏される。 (1)転写フィルムを製造するために好適に用いること
ができる。 (2)ポリプロピレングリコールが含有されていること
により、可撓性に優れた膜形成材料層を支持フィルム上
に形成することができ、柔軟性に優れた転写フィルムを
製造することができる。 (3)ガラス基板との加熱接着性に優れた膜形成材料層
を支持フィルム上に形成することができる。 (4)膜強度の大きい膜形成材料層を支持フィルム上に
形成することができる。 (5)膜形成材料層の転写性に優れた転写フィルムを製
造することができる。 (6)高い光透過率を有する無色のガラス焼結体(例え
ばPDPの誘電体層)を形成することができる。
状を示す模式図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 (A)ガラス粉末、(B)結着樹脂およ
び(C)ポリプロピレングリコールが含有されているこ
とを特徴とするガラスペースト組成物。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
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EP98108170A EP0877003B1 (en) | 1997-05-09 | 1998-05-05 | Glass paste composition |
DE69807976T DE69807976T2 (de) | 1997-05-09 | 1998-05-05 | Zusammensetzung einer Glaspaste |
US09/073,909 US6046121A (en) | 1997-05-09 | 1998-05-07 | Glass paste composition |
KR10-1998-0016421A KR100448430B1 (ko) | 1997-05-09 | 1998-05-08 | 유리페이스트조성물 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002170485A (ja) * | 2000-11-30 | 2002-06-14 | Jsr Corp | プラズマディスプレイパネル用転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネル |
JP2005179178A (ja) * | 2003-11-27 | 2005-07-07 | Toray Ind Inc | 無機粉末含有ペーストおよびそれを用いたディスプレイパネル用部材の製造方法 |
JP2007123223A (ja) * | 2005-10-25 | 2007-05-17 | Lg Electronics Inc | 誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法 |
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USRE40967E1 (en) | 1998-12-23 | 2009-11-10 | 3M Innovative Properties Company | Curable slurry for forming ceramic microstructures on a substrate using a mold |
KR101125654B1 (ko) | 2009-10-19 | 2012-03-27 | 삼성에스디아이 주식회사 | 유리 페이스트 조성물, 이를 사용하여 제조된 전극기판, 전극기판의 제조 방법 및 전극기판을 포함하는 색소 증감 태양 전지 |
-
1997
- 1997-05-09 JP JP11979397A patent/JP3852155B2/ja not_active Expired - Fee Related
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