JPH10297972A - 高温用MoSi2 基複合セラミックスヒーターの発熱部素材とその製造方法 - Google Patents

高温用MoSi2 基複合セラミックスヒーターの発熱部素材とその製造方法

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JPH10297972A
JPH10297972A JP9123493A JP12349397A JPH10297972A JP H10297972 A JPH10297972 A JP H10297972A JP 9123493 A JP9123493 A JP 9123493A JP 12349397 A JP12349397 A JP 12349397A JP H10297972 A JPH10297972 A JP H10297972A
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JP
Japan
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temperature
degreasing
mosi
composite ceramic
mosi2
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Kan Ko
莞 江
Kenichi Tsuji
健一 辻
Tetsuo Uchiyama
哲夫 内山
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Riken Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MoSi2 基セラミックスヒーターを180
0℃以上で使用した場合の耐熱性及び耐酸化性を向上す
る。 【解決手段】 MoSi2 のMoの一部をWで置換し
た、W固溶MoSi2 型セラミックスにMoB粒子を5
〜30容量%で分散し、かつ複合セラミックスの相対密
度を98%以上、平均粒径を25μm以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MoSi2 基複合
セラミックスに関し、より詳しく述べるならば、W固溶
強化とMoBによる分散強化によってヒーター発熱部の
高温耐熱性と耐クリープ性を向上させ、長寿命を達成で
きるように改良したMoSi2 基複合セラミックスヒー
ターの発熱部素材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】MoSi2 はシリカ保護皮膜の生成能力
が高く優れた耐酸化性を示すので、大気雰囲気加熱炉用
高温ヒーターの中で利用されている。市販されているM
oSi2 系セラミックスヒーターとしては、カンタル・
ガデリウス社の技術資料(1989年10月)に製品名
がカンタルスーパー1900として記載されているもの
があり、このセラミックスヒーターは、約20%のガラ
ス相とWを固溶したMoSi2 からなり、発熱部温度が
1900℃まで使用できるものである。このセラミック
スヒーターは所定の最高温度まで昇温できるものの、比
較的多量のガラス相が含まれるため、高温での耐クリー
プ性に難があるので変形などによる短寿命に対し改善の
余地がある。
【0003】ところで、MoSi2 単独からなるセラミ
ックスヒーターは1000℃以上の温度域で使用する
と、クリープ変形し始め、特にこの種のヒーター使用温
度域である1500℃以上の温度になると、激しい高温
変形が起こる。このような状況に鑑み、本出願人はMo
B粒子の分散強化により、高温変形に強く、発熱部温度
が1800℃まで使用できるMoSi2 基セラミックス
ヒーターを開発した(資料:JITA NEWS N
o.4(1993),p16)。このMoB強化MoS
2 セラミックスヒーターは高温変形に対しては強いも
のの、発熱部温度が1800℃以上の温度域で使用する
と短寿命の問題がある。さらに本出願人は特願平7−2
91180号(平成7年11月9日出願、以下「先願」
と言う)において、粒子分散強化したMoSi2 セラミ
ックス材料の高温耐熱性と耐クリープ性を向上させるた
め、粒子分散強化と固溶強化を同時に利用した分散−固
溶型(Mo,W)Si2 基複合セラミックスを提案し
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】「先願」において提案
された粒子分散と固溶強化による(Mo,W)Si2
複合セラミックスを1800℃以上の温度域で使用する
と、材料の室温強度や高温クリープ性のみではなく、そ
の高温耐酸化性も直接にヒーターの寿命に影響すること
が分かった。さらに、新たな実験を行ったところ、本材
料の耐酸化性は材料組成の他、脱脂、焼成などの製造条
件と焼成後の組織に左右されるとの結果が得られたの
で、確実に本材料の超高温用ヒーターへの応用を実現す
るためには、如何に本材料の耐酸化性を安定して向上さ
せるかという課題が先願では解決されていなかった。従
って、本発明の目的は、強度、高温耐クリープ特性、お
よび高温耐酸化性に優れ、発熱部温度が1800℃以
上、最高1900℃で使用できるセラミックスヒーター
発熱部素材およびその製造法の提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高温MoS
2 複合セラミックスヒーターの発熱部素材は、MoS
2 のMoの一部をWで置換した、W固溶MoSi2
セラミックスにMoB粒子を5〜30容量%で分散した
複合セラミックスからなり、相対密度が98%以上、平
均粒径が25μm以下であることを特徴とするものであ
る。
【0006】以下本発明を詳細に説明する。WSi2
融点が2160℃であり、MoSi2 の融点(2030
℃)より130℃も高いため、1800℃以上の温度で
発熱するヒーターの使用条件からすると、WSi2 側に
位置することが有利であるが、耐酸化性を高めるために
はMoSi2 基とする複合材料が望ましい。そこで本発
明材はMoSi2 基とし、より好ましくは、(Mo1-X
X )Si2 で表されるセラミックスの組成式中のW固
溶量(x)は35〜45%であることが好ましい。x=
40にて最良の特性を得ることができる。
【0007】本発明では、強度、高温クリープ特性を改
善するために分散強化の手法を用いるが、分散粒子とし
ては使用温度範囲で(Mo1-xX )Si2 マトリック
スと反応しないMoBを利用し、第2相の複合により
(Mo1-XX )Si2 の粒成長が抑制され、緻密な組
織が得られ、機械的特性は向上するなどの効果を実現す
る。このために適正な第2相の添加量は5〜30容量%
である。さらに、好ましくはMoBの平均粒径が5μm
以下であると、緻密な焼結体が得られ高温耐クリープ特
性など機械的性質が良好になる。
【0008】さらに、耐酸化性と長寿命を得るために
は、後述の実施例、比較例により詳しく説明するよう
に、複合セラミックスの相対密度が98%以下でありか
つ、(Mo1-XX )Si2 とMoBの各粒子の平均粒
径が25μm以下であることが必要である。
【0009】続いて、本発明のMoB粒子分散強化−
(Mo,W)Si2 基複合セラミックスの製造方法につ
いて説明する。セラミックスヒーター素材の製造方法と
しては、まず長い棒材の成形に適する押出し成形法を利
用し、粘結材は焼成後にガラスになる慣用的粘土ではな
く、セルロース系の有機結合剤(バインダー)を用い
て、押出し成形後、乾燥、脱脂、焼成、皮膜付け処理等
工程を経てヒーター用の素材が得られる。粘度は多くの
不純物を含むため高温特性を低下させる。そのため不純
物を含まない有機結合剤を使用する。
【0010】ここで、ヒーター使用時の耐酸化性と長寿
命を得るために適正な脱脂条件と焼成条件によって高密
度かつ微細組織を有する素材を造る。即ち、80%以上
の脱脂率を有する脱脂条件と、ヒーター使用温度より低
い温度で緻密(相対密度>98%)に焼成する。
【0011】(Mo1-X ,WX )Si2 なる固溶体組成
を有し、平均粒径2〜5μmの混合粉末および平均粒径
5μm以下の第2相粉末を所定量秤量し、さらに必要に
応じて適当な有機結合剤と水を加えて混練する。混練は
ニーダーなどにより、例えば15分以上行うのがよい。
混練後、結合剤に水が十分吸収されるように、例えば4
8時間以上の一定の時間乾燥を防いだ密閉雰囲気内で養
生することが望ましい。
【0012】次に、得られた混練物を押出し法によって
所定サイズの棒材に成形する。その後、季節変化に伴う
乾燥遅速による乾燥不良が起こらないように温度と湿度
が制御された乾燥室内である程度に乾燥した後、最終的
にオーブン中で完全乾燥させる。
【0013】混練・成形時に有機結合剤を使用すると、
乾燥したグリーン素材を焼成する前にまず非酸化性雰囲
気中で脱脂を行う必要がある。ここで、素材の脱脂率が
75〜85%になるように、グリーン素材寸法に合わせ
て、保持温度400〜500℃、全脱脂時間18〜36
hの範囲内で脱脂条件を調整して脱脂を行う。この際、
素材の脱脂率が75%より低いとその後の焼成工程で緻
密化になり難く、脱脂率が85%より高いと焼成作業中
にグリーン素材が割れ易いことになる。
【0014】一方、高密度かつ微細組織を有する素材を
得るため、脱脂後の素材を最高使用温度より低い165
0〜1750℃の温度範囲で焼成するのが望ましい。焼
成部品はその使用温度より高い温度で焼成するのが一般
的であるが、本複合セラミックスのヒーターとしての最
高使用温度(1800〜1900℃)付近で焼成する
と、粗大粒などの原因により酸化皮膜付け処理で緻密な
皮膜ができにくい為、耐酸化性が悪く、短寿命につなが
る。これに対して、焼成温度が低過ぎると、十分な密度
が得られないため、焼成温度より高い温度域の使用中に
焼成がさらに進行するとともに、ヒーター寸法の変化や
表面皮膜の剥離など望ましくない現象が起こり、ヒータ
ーの短寿命につながる。したがって上記温度範囲内での
焼成が好ましい。
【0015】上述のように本発明方法では、適正な脱脂
率と、緻密化可能な最低焼成温度での焼成により、ヒー
ター材料として必要な良好な耐酸化性と高密度を同時に
有する素材の製造が実現できた。
【0016】
【実施例】実施例1〜2(J1〜2)および比較例1〜4(H1〜
4) 平均粒径3.2μmの(Mo0.60.4 )Si2 粉末と
平均粒径2.1μmのMoBを10容量%になるように
配合した混合粉末100部にセルロース系結合剤を7.
6部と水12部加え、20分混練し、得られた混練物を
3日以上に養生し、押出し機を用いて焼成後φ6mmの
棒状素材になるようなグリーン成形体を成形し、その後
室温で乾燥した。
【0017】乾燥後のグリーン成形体をそれぞれ脱脂条
件A(全脱脂時間36h、保持温度380℃)、脱脂条
件B(全脱脂時間24h、保持温度420℃)、脱脂条
件C(全脱脂時間18h、保持温度450℃)、脱脂条
件D(全脱脂時間12h、保持温度520℃)と、焼成
条件A(保持温度1600℃、保持時間1h)、焼成条
件B(保持温度1700℃、保持時間1h)、焼成条件
C(保持温度1800℃、保持時間1h)で処理を行っ
た。その結果を表1に示す。また、比較例1、2と実施
例2の焼結組織を図1に示す。
【0018】
【表1】 *は本発明外の値である。
【0019】表1の結果により、400℃以下の温度で
長時間の脱脂(A)を行った比較例1および500℃以
上の温度で短時間の脱脂(D)を行った比較例4はいず
れもいずれも望ましい脱脂率の範囲内で入らない例であ
る。このうち比較例1は焼結体の相対密度が低い。比較
例4のように89%の高脱脂率(D)になると、脱脂さ
れたグリーン素材が脆くなり、微少の振動でも割れてし
まうため、焼成工程への移行作業は難しくなる。比較例
2では、低い脱脂率でも高温で焼成すれば緻密化になる
が、図1(写真1)に示したように焼成中の粒成長によ
って平均粒径が50μm以上にもなることがわかる。比
較例3の結果から、脱脂率が高く(C)とも焼成温度が
低いと緻密な焼結体が得られないことがわかる。
【0020】比較例5(H5) 次に各種性能を比較するために、約20%のガラス相と
(Mo,W)Si2 固溶体セラミックスから成り、最高
発熱温度は1900℃の市販品を比較例(H5)として
実施例1、2と比較例1、2、5における組織サイズ、
破壊強度、クリープ特性の評価を行った。
【0021】実施例1、2と比較例1、2、5について
画像解析と3点曲げ試験法を用いて組織の平均粒径、室
温曲げ強度、および1300℃、50MPaの負荷応力
で時間までのクリープ速度(定常状態クリープひずみ速
度)を測定した。ここで強度試験片は鏡面仕上げした四
角断面試験ではなく、直接に棒状素材を試験片として使
用した。その測定結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】比較例1では、平均粒径が小さいにも拘ら
ず緻密化してない(相対密度91.4%)ため、平均強
度も低く、クリープ変形が激しい。比較例2では、高密
度と比較的高強度と小さいクリープ速度を有するが、ク
リープ試験中に粒成長が起こったため、平均粒径が実施
例2より4倍以上も大きくなった。これは後述のヒータ
ーとしての耐酸化性や寿命などに悪影響を与える。ま
た、市販品の比較例5は、結晶粒径、室温曲げ強度およ
びクリープ速度など特性がいずれも実施例に及ばないこ
とがわかる。
【0024】実施例1、2と比較例1、2における酸化
皮膜付け処理 実施例1、2と比較例1、2について、図2に示したよ
うな温度−時間変化をもたらす通電加熱による酸化皮膜
付け処理を行い、その酸化皮膜の生成状態を調べた。表
3にその結果を示す。
【0025】
【表3】
【0028】表2で示した粗大粒の比較例2では、形成
された皮膜は多孔質のため、研磨など作業中で剥がれや
すく、組織観察が不可能であった。比較例1では、緻密
な皮膜が得られたが、焼成密度が低いため、1800℃
以上の高温で使用すると、形成された皮膜が剥離し易い
傾向を示す。
【0029】比較例6(H6) 1800℃以上の高温で使用する時のヒーターの耐久性
を市販のMoB粒子強化MoSi2 ヒーターを比較例6
として実施例と同様に寿命評価を行う。実施例1、2と比較例1、2、5、6におけるヒーター
としての評価試験 実施例1、2と比較例1、2、5、6で製作したヒータ
ー発熱部(図3参照)を最高温度が1800℃まで使用
できる高温炉内にセットし、昇温−保持−降温のサイク
ルで寿命試験を行う。図3において、1は端子部、4は
発熱部、5は導電性金属接続部であり、dφは発熱部直
径6mm,Aeは発熱部長さ300mm,Dは端子部直
径12mm,Auは端子部長さ200mm,SはU字状
端子間隙50mmである。ここで昇温、降温速度が10
℃/min、炉内保持温度が1750〜1800℃、保
持時間が10時間のプログラムを用いた。また、ヒータ
ー発熱部の標準寸法に対する変形量をサイクルごとに測
定した。表4に変形、寿命評価の結果を示す。
【0030】
【表4】
【0031】表4により、使用中の変形量が小さく、し
かも通電サイクル回数が60回以上の長寿命を示すのは
実施例1、2である。比較例5は一応長寿命を示すが、
使用中の変形が大きいため、焼結部品が炉内充満されて
使用するときヒーターと接触する恐れがある。現実的に
接触によるヒーター断線事故などのため、品質に影響す
るケースがある。比較例2は寸法安定性を有するが、皮
膜の緻密性を欠けたため、皮膜が変質しやすく、寿命が
短い原因となる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したとおり、MoB分散粒子と
(Mo1-X ,WX )Si2 固溶セラミックスから成る材
料組成を用いて、本発明で提案した製造方法で造られた
ヒーター発熱部素材は優れた耐熱性、耐酸化性を有し、
ヒーター発熱温度が1800℃以上に要求される高温用
ヒーター材料として十分に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2、比較例1と2の焼結後の断面組織を
示す顕微鏡写真である。
【図2】MoB−(Mo,W)Si2 複合セラミックス
ヒーター素材の酸化皮膜付け通電条件を示す。
【図3】寿命評価用セラミックスヒーターの正面図であ
る。
【符号の説明】
1.端子部 2.発熱部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MoSi2 のMoの一部をWで置換し
    た、W固溶MoSi2型セラミックスにMoB粒子を5
    〜30容量%で分散した複合セラミックスからなり、か
    つ相対密度が98%以上、平均粒径が25μm以下であ
    ることを特徴とする高温用MoSi2 基複合セラミック
    スヒーターの発熱部素材。
  2. 【請求項2】 前記W固溶MoSi2 型セラミックスが
    一般式:(Mo1-XX )Si2 (但し、x=0.35
    〜0.45)で表される組成を有する請求項1記載の高
    温用MoSi2 基複合セラミックスヒーターの発熱部素
    材。
  3. 【請求項3】 通電自己発熱により1800℃以上の温
    度に加熱される請求項1又は2記載の高温用複合セラミ
    ックスヒーターの発熱部素材。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の前記複合セラミックスの
    粉末混合物と有機バインダーを押出法によって成形し、
    さらに押出成形物の乾燥、脱脂、焼成ならびに酸化雰囲
    気中加熱による皮膜付け処理を順次行うことを特徴とす
    る請求項1から3までの何れか1項記載の高温用MoS
    2 基複合セラミックスヒーターの発熱部素材の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 75〜85%の脱脂率で前記脱脂を行う
    請求項4記載の高温用MoSi2 基複合セラミックスヒ
    ーターの発熱部素材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記焼成をセラミックスヒーター使用温
    度より低い温度で行う請求項4又は5記載の高温用セラ
    ミックスヒーターの発熱部素材の製造方法。
JP9123493A 1997-04-25 1997-04-25 高温用MoSi2 基複合セラミックスヒーターの発熱部素材とその製造方法 Pending JPH10297972A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003500812A (ja) * 1999-05-20 2003-01-07 サンドビック アクティエボラーグ 抵抗加熱素子

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