JP2009266396A - 二珪化モリブデン系セラミック発熱体 - Google Patents

二珪化モリブデン系セラミック発熱体 Download PDF

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    • H05B2203/018Heaters using heating elements comprising mosi2

Abstract

【課題】 1300℃以下の酸化雰囲気で加熱を行う熱処理炉に使用される二珪化モリブデン系セラミック発熱体は、ヒーターの端末部などの低温部で粉化して、断線などを起こす。また、かかる発熱体はコイル状、波形などに成形される。これらの要請に応える発熱体を提供する。
【解決手段】 3〜15vol%のNiと残部がMoSi系から成り、NiがMoSi結晶の粒界に網目状に分布している。接合部を有しない波形もしくはコイル形状を有する押出焼結材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程において1300℃以下で加熱を行う熱処理装置に使用される二珪化モリブデン系セラミックから成る電気抵抗発熱体に関する。一般に、半導体熱処理炉の加熱温度範囲は約300〜約1300℃である。高温加熱はRTP(Rapid Thermal Processing)において採用され、低温加熱は金属のシリサイド化などにおいて採用されている。
二珪化モリブデン系セラミック発熱体(以下「MoSi系発熱体」と呼ぶ)は一般に酸化性雰囲気で高温加熱炉用発熱体として用いられている。一般的なMoSi系発熱体の製造工程を概略すると、押出工程を経て焼結する方法と、ホットプレスなどにより焼結する方法がある。
先ず、前者の押出工程を経て焼結する方法によると、原料紛末に所定量のシリカ系酸化物を主体とする膨潤ベントナイトなどの粘土鉱物と水を加えて混練した後、作製した杯土を押出成形してグリーン体を作製する。尚、粘土鉱物は成形助剤および焼結助剤として機能し、発熱体中にシリカ系酸化物相が5〜20vol%含まれるように添加する。成形したグリーン体を所定の条件で乾燥・焼結することで発熱体素材を得る。その後、大気中で発熱体素材に電流を印加して自己発熱させて2次焼結を行う。この操作によって二珪化モリブデン系セラミックス中のシリコン(Si)が選択酸化され、発熱体表面にガラス質の緻密な酸化被膜が生成する。このようにして得られた素線を加工及び接合することで目的とする形状の発熱体が完成する。
MoSi系発熱体はU字型形状で使用されることが一般的であるが、最近では多様化する炉体構造やモジュール品などに対応するために、コイル状や波形状などのMoSi系発熱体も需要が高まっている。尚、コイル状や波形状のセラミックス製品を、接合工程を経ずに、作製するには、セラミックス粉末を有機材料と溶媒によりペースト状にして成形する技術が利用することが可能である。以下のような方法はその代表的方法である。
〔方法1〕
原料粉末にメチルセルロース、界面活性剤、多価アルコールおよび水を加えて混練・成形・乾燥し、グリーン体を型に填め込んで仮焼成を行い、その後に型から外して本焼結を行う方法(特許文献1:特開昭62-7659)。
〔方法2〕
原料粉末に、水溶性の第1の結合剤、有機溶剤に溶解する第2の結合剤、ポリエチレングリコールなどの可塑剤、第1の結合剤を溶解する溶媒を加えて混練・成形・乾燥し、第2の結合剤を溶解する溶媒に浸漬してグリーン体に可塑性を付与し、それを型に填め込んで仮焼成を行い、その後に型から外して本焼結を行う方法(特許文献2:特開平1-110909)。
特許文献3(特開2004−47282)は、MoSi系発熱体を押出工程を経て製作すると、不純物の混入が避けられないが、ホットプレスによる加圧焼結法では不純物の混入がないと述べており、例えば波型の発熱体は、板状焼結体を切削することにより製作している。この方法では、板状の波型発熱体を製造することができるが、棒状波型発熱体の製造は不可能である。
続いて、MoSi系発熱体で起こるペスト現象について説明する。
MoSi系材料では、400℃〜600℃においてバルク体が酸化性ガスによる酸化によって粉化するペストと呼ばれる特有の現象が生じるため、MoSi系発熱体は低温での使用には適さないとされている。ペスト現象は、高温加熱炉用発熱体においても低温度域に曝される端子部で発生し易く、導通不良や破断といった不具合を引き起こすことがある。一般的には、MoSi系セラミックの欠陥部あるいは粒界におけるMoOの生成に伴う体積膨張と高い蒸気圧がペスト現象の原因であると言われている。そのため、ペストの防止には十分緻密な材料を作製し、クラックやポア等の欠陥を無くすことが有効と考えられる。また、高温に加熱して表面に予め酸化被膜を形成させておく方法(例えば、非特許文献1:E.Fitzer et al : Proc.Intl Symp.on Corros.Degration of Ceram.“J.Am.Ceram.Soc.,1990” など)も一般的ではあるが、被膜が剥離した場合にはその効果は無効となるために、ペスト防止の根本的な対策とは言い難い。
ペスト防止の根本的な対策として、材料設計の観点からも取組まれている。MoSiのMo或いはSiの一部を他の元素で置換することによってペストを抑制させる試みもある。特許文献4(特開平2001−240473)ではMoの一部をReで置換することで安定な酸化保護皮膜が形成されるとしているが、保護皮膜が剥離してしまうと効果は低減してしまう。
また、非特許文献2(まてりあ 第35巻 第10号 1996 p1108−1113)によると、Siの一部をAlで置換することで低温酸化速度が抑制されるとしているが、酸化は進行するために完全にペストを防ぐことにはならない。
特許文献5(特開平11−317282)では、粒界におけるMoOの形成による粒界剥離(分離)がペストの主原因であると考え、MoSi結晶粒子の粒界ができるだけ少なくなるようなMoSi系セラミックの材料設計を行っている。即ち、発熱体中のシリカ系酸化物の含有量が従来よりも多い30〜60vol%となるように粘土鉱物を加えている。これにより、MoSi結晶粒子の粒界にシリカ系酸化物相が存在するような組織に制御して、酸化保護皮膜が無い状態においてもペスト現象を抑制させることができるとしている。粘土鉱物には高温でシリカの粘性を低下させる成分を含んでいるため、粘土鉱物の添加量が多いほど発熱体の耐熱性も低下する。しかし、特許文献5が提案する粘土鉱物の添加量でも半導体熱処理装置のような1300℃以下での加熱炉用としては充分な耐熱性を発揮し得る。
続いて、耐ペスト性を有する、コイル状もしくは波形状のMoSi系発熱体について説明する。
粘土鉱物を配合して成形した成形グリーン体は乾燥収縮が大きく、乾燥グリーン体は可塑性を失い、水で膨潤した粘土鉱物の結合によって硬化してしまう。そのため、粘土鉱物を配合したグリーン体から棒状素材を作製し、これを曲げ加工し、接合によって繋ぎ合わせることでしているコイル状や波形状の発熱体を作製することが主流である。
一方、コイル状もしくは波形状のMoSi系発熱体を製造する方法1,2の方法では耐ペスト性は実現されない。
特開昭62−7659 特開平1−110659 特開2004−47282 特開平2001−240473 特開平11−317282 E.Fitzer et al : Proc.Intl Symp.on Corros.Degration of Ceram."J.Am.Ceram.Soc.,1990" まてりあ 第35巻 第10号 1996 p1108−1113
しかし、現在主流となっている方法では生産効率が悪く、接合箇所の信頼性も十分ではない。したがって、本発明は、従来採用されていた耐ペスト性向上手段とは異なる手段を採用したMoSi系発熱体を提供することを目的とし、特に、接合工程を経ない、コイル状や波形状のMoSi系発熱体を提供することを目的とする。
特許文献5において提案されているMoSi系発熱体のシリカ系酸化物相は、MoSi結晶粒子の粒界に網目状に存在し、且つ焼結助剤となっている。 通常のMoSi系発熱体の粘土鉱物に代わる添加物を選定することができるならば、耐ペスト性を兼備えたMoSi系発熱体を得ることができる。さらに、粘土鉱物がもっている可塑性の喪失を招くことも避けられる。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意研究を行った結果、MoSi系発熱体の粘土鉱物に代わる添加物としてNi粉末を選定すればよいことを見出した。また、Ni粉末を加えた場合は、方法1,2に示すように繋ぎ合せ工程を経ないで、コイル状や波形状の発熱体が製造可能であることを確認した。
即ち、本発明に係る二珪化モリブデン系セラミック発熱体は、3〜15vol%のNiと残部がMoSiから成り、NiがMoSi結晶の粒界に網目状に分布していることを特徴とする。
以下、本発明を詳しく説明する。
Niは比較的低融点(1453℃)であるため、グリーン体を1500〜1600℃で焼結する際には液相焼結助剤として働く機能があり、MoSi系結晶粒子の焼結の促進のみならずMoSi結晶粒子の粒界に網目状のNi相を形成し易くする。Niは耐酸化性が高く、このような金属がMoSi系結晶粒子の粒界に網目状に存在しているために、酸素がMoSi結晶の粒界を通って粒内に拡散する経路を遮断する。Ni粉末は膨潤性が低く、粘土鉱物のように水を加えて乾燥させても硬化しないので、方法1,2でもコイル状や波形状の発熱体が製造可能となる。
本発明のMoSi系発熱体において、Niの融点は1453℃であるため、3vol%のNi添加量でも1300℃以下の耐熱は充分満足できる。Ni添加量がこれより少なくてもグリーン体の焼結は促進されるが、MoSi結晶粒子の粒界におけるNi相が不連続となる。一方、Ni添加量が15vol%よりも多い場合は,Ni相の連続性は高まるが、MoSi結晶粒子の連続性が極端に低下し、MoSi系発熱体としての発熱効率を損ねてしまうばかりでなく、発熱体自身の耐熱性も低下する。
上記した範囲のNi−MoSi2 系ではMoSi結晶粒子(1個の結晶粒子、あるいは2個以上の結晶粒子が焼結により合体した結晶粒子を包含する)どうしが島と島がつながったような網目状構造が形成される。別の言葉で表現すれば、Niの配合量は、MoSi2 の結晶粒界に存在して、過共析炭素鋼の初析セメンタイトのように網状に連結している性質と、逆にMoSi結晶粒子の三次元的網目状構造の連結性に注目し、これら両相が絡み合ったネットワーク組織になるように決定されるということもできる。Niは、焼成時の溶融もしくは流動により、MoSi結晶粒子の周囲に網状に連結する傾向を示す。この組織の連結性についてはトポロジーの概念を用い、R.T.DeHoff and F.N.Rhiness の "Quantitative Microscopy" McGraw-Hill, New York(1968), 325 頁に示されるようにベッチ数 (Betti Number) を使って定量的に表現できる。ここでは詳細にふれないが、定義された Betti数はその体系内の領域にある島の数に等しいため、実際に測定するときは Betti数としてその島の数を測定する。MoSi結晶粒子に注目すれば、Niの容量%の増加に伴いそのBetti数が減少し,2容量%で Betti数がほぼゼロになりMoSi結晶粒子の連結性が消滅する。
尚、マトリックスが純粋なMoSi相から成る発熱体のみならず、MoB、MoB、MoB、Mo、WB、WB、W、HfB、ZrBの群の中から選択される1種もしくは2種以上の化合物から成る相を有するMoSi系発熱体にも適用可能である。これらの化合物はMoSi系発熱体の機械的強度の向上に作用し、その添加量としては全体に対して容量率で5〜40vol%が適当である。
さらに、上記した容量率の範囲内でシリカやシリカベースの酸化物(Al、Y、ZrOといった酸化物を含んだシリカ)を含有することもできる。上述してきたMoSi、Ni、MoB、MoB、MoB、Mo、WB、WB、W、HfB、ZrBの導電性はいずれも金属的である。熱処理装置の電源仕様によっては発熱体の線材径を変えずに電気抵抗を高くすることが要求される場合もある。そのような場合、電気的に絶縁相となるシリカベースの酸化物を必要量加えることで発熱体の電気抵抗を高めることができる。
また、MoSiのMoの一部をWで置換した一般式が(Mo1−X,W)Siで表され、Xの値が0.05〜0.45であるMoSi系発熱体の場合にも適用可能である。このような組成にすることでマトリックスの耐熱温度を上げる効果が期待できる。但し、MoSiとWSiは全率可溶固溶の関係にあり、Moと置換するWの量は10〜45mol%が好ましい。これ以上のW量がMoと置換した場合には耐高温酸化性を損ねてしまう。
本発明に係るMoSi系発熱体は、押出工程を経た焼結体でもよく、また押出工程を経ないホットプレス焼結体でもよいが、棒状など種々の形態を製作することができる押出工程を経る方法が好ましい。さらに、押出工程を経る場合は、粘土鉱物を使用せずに、有機材料とその溶媒によりMoSi結粉末をペースト状にし、成形する方法、例えば方法1,2を利用して、繋ぎ目がないコイル状もしくは波形状のMoSi系発熱体を成形することができる。
以下、方法1の場合の実施形態を説明する。MoSi粉末にNi粉末、メチルセルロース、界面活性剤、多価アルコールおよび水を所定量加えて混練する。Niの添加量は、MoSi粉末との合計容量に対して容量率で3〜15vol%となる。
メチルセルロースおよび界面活性剤の添加量は1〜5質量部(配合における質量部は配合剤全体を100重量部とした値である。以下、同じ。)が適切である。尚、界面活性剤としてはノニオン系、アニオン系およびカチオン系などの各種も使用可能である。多価アルコールとしてはグリコール系やグリセリン系が適しており、添加量としては1〜15質量部が適切である。但し、界面活性剤や可塑剤が含まれているメチルセルロースも市販されており、それらを使用した場合には界面活性剤や多価アルコールを意図的に添加しなくてもよい場合もある。
混練によって作製した杯土を押出成形・乾燥して所定の線径・長さのグリーン体を作製する。乾燥グリーン体を所定の冶具に取付け、水素雰囲気下で脱バインダー処理を行う。続いて、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下にて仮焼結を行う。この場合の温度は1000〜1300℃が適切である。その後、本焼結用に冶具に仮焼結体を取付け、本焼結を行う。Niの融点は1453℃であるため、液相焼結を考慮した本焼結温度は1500〜1600℃が好ましい。本焼結温度が1500℃以下であると、液相焼結は進まず、MoSi結晶粒子の粒界におけるNi相も連続性を持たない。また、本焼結温度が1600℃以上であるとMoSi結晶粒子の粒成長が顕著になると供にNi相は粒界に凝集され、網目状のNi相は形成し難くなると同時に、素材強度も大幅に低下してしまう。
次に方法2の場合の実施形態を説明する。MoSi粉末にNi粉末、メチルセルロース、ポリビニルブチラール、可塑剤および水を所定量加えて混練する。Niの添加量は方法1の場合と同じである。ここで、メチルセルロースは第1の結合剤として働き、添加量は1〜10質量部が適切である。ポリビニルブチラールは第2の結合剤として働き、添加量は1〜8質量部が適切である。可塑剤は方法1においての多価アルコールに相当し、グリコール系やグリセリン系が好ましく、添加量は1〜10質量部が適切である。尚、界面活性剤や可塑剤が含まれているメチルセルロースを使用した場合には可塑剤を意図的に添加しなくてもよいこともある。また、分散性が好ましくない場合にはポリカルボン酸アンモニウム塩などの分散剤を1質量部程度添加するとよい。
混練によって作製した杯土を押出成形・乾燥して所定の線径・長さのグリーン体を作製し、乾燥収縮が飽和するまで充分に乾燥させる。次に、第2の結合であるポリビニルブチラールを溶解するため、乾燥グリーンをトリクロロエチレンに浸漬する。この際、超音波を加えながら浸漬することでポリビニルブチラールの溶解を促進することもできる。この処理を行うことでグリーン体に可塑性が付与される。以降は方法1と同じく、脱バインダー処理、仮焼結、本焼結を行うことでコイル状や波形状の発熱体を作製する。
以下に、比較例を参照して具体的な実施例を説明するが、これらは一例であって全てではない。
(比較例1)
平均粒径が 2.9μmのMoSi粉末に粘土鉱物を添加した材料系において、方法1で提案されている成形剤を配合する方法で、棒状MoSi系発熱体を製作した。先ず、MoSi粉末に粘土鉱物、メチルセルロースを2質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレン脂肪酸エステルを2質量部、多価アルコールとしてグリセリンを5質量部、イオン交換水を16質量部加えてニーダで混練を行った。尚、粘土鉱物添加量はMoSi粉末との合計量に対して20vol%とした。作製した杯土をφ3.7mmの棒状に押出成形して乾燥させたが、乾燥グリーン体は硬化して可塑性を失っていた。そのため、乾燥グリーン体を任意形状の冶具へ取り付けすることはできなかった。
(比較例2)
比較例1と同じMoSi粉末に、比較例1と同じ粘土鉱物を添加した材料系において、方法2にて提案されている成形剤を添加する方法で棒状MoSi系発熱体を製造した。MoSi粉末に粘土鉱物、第1の結合剤としてメチルセルロースを2質量部、第2の結合剤としてポリビニルブチラールを2質量部、可塑剤としてグリセリンを5質量部、イオン交換水を16.5質量部加えてニーダで混練を行った。尚、粘土鉱物添加量はMoSi粉末との合計量に対して20vol%とした。作製した杯土をφ3.7mmの棒状に押出成形後、乾燥収縮が完了するまで充分に乾燥させた。次に、第2の結合剤であるポリビニルブチラールを溶解するために乾燥グリーンをトリクロロエチレンに浸漬したが、乾燥グリーン体は硬化して可塑性を失っていた。そのため、乾燥グリーン体を任意形状の冶具へ取り付けすることはできなかった。
(実施例1〜4及び比較例3〜4)
平均粒径が2.7μmのMoSi粉末に平均粒径が2.1μmのNi粉末、メチルセルロースを4質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレン脂肪酸エステルを4質量部、多価アルコールとしてグリセリンを10質量部、イオン交換水を16質量部加えてニーダで混練を行った。尚、Ni粉末添加量はMoSi粉末との合計量に対して3,5,10,15vol%(実施例1,2,3,4)および1,20vol%(比較例3,4)とした。
作製した杯土をφ3.7mmの棒状に押出成形した。成形体はコイリング可能な状態となるまで乾燥させて所定の冶具に取付け、水素雰囲気下500℃-10時間の条件で脱バインダー処理を行った。その後、アルゴン雰囲気下にて1200℃-0.5時間の仮焼結を行い、冶具から取り外してアルゴン雰囲気下にて1500℃-2時間の本焼結を行った。このようにして、線径φ3mm、コイル径180mm、巻き数10のコイル状発熱体を作製した。
このコイル状発熱体を電気炉体に組込み、大気中にて炉内温度350℃で1000時間、続いて450℃で1000時間の通電加熱を行い、低温寿命評価を実施した。この場合、発熱素線自身の表面温度は各々400℃、500℃程度となり、MoSiセラミックスが低温酸化を起こし易い温度域となる。結果、実施例1〜4および比較例4の発熱体は問題なく評価時間を通電することができ、ペストも確認されなかった。一方、比較例3の発熱体においては発熱素線のペストが進行しており、これによって発熱素線の径の細りによる過熱が生じ、評価途中でスパーク断線した。
続いて、低温加熱評価をクリアした実施例1〜4および比較例4の発熱体を組込んだ電気炉を大気中にて炉内温度1200℃で1000時間の通電加熱を行い、高温寿命評価を実施した。結果、実施例1〜4の発熱体は問題なく評価時間を通電することができ、発熱素線の変形も見られなかった。一方、比較例4の発熱体には通電評価途中で過剰Ni相による耐熱性の低下に伴ったクリープ変形が生じて発熱素線同士が接触してしまい、その部分においてスパーク断線を起こした。
なお、実施例1のMoSi焼結体の顕微鏡組織写真を図1に示す。白部がNi相であり、黒部がMoSi結晶である。
(実施例5〜8)
(Mo0.05,W0.05)Si-15vol%MoB-10vol%シリカ混合粉末にNi粉末、第1の結合剤としてメチルセルロースを4質量部、第2の結合剤としてポリビニルブチラールを4質量部、可塑剤としてグリセリンを10質量部、イオン交換水を15質量部加えてニーダで混練を行った。尚、Ni粉末添加量は3,5,10,15vol%(実施例5,6,7,8)とした。
作製した杯土をφ3.7mmの棒状に押出成形後、乾燥収縮が完了するまで充分に乾燥させた。次に、第2の結合剤であるポリビニルブチラールを溶解するために乾燥グリーンをトリクロロエチレンに浸漬した。可塑性が付与されたグリーン体を所定の冶具に取付け、水素雰囲気下500℃-10時間の条件で脱バインダー処理を行った。その後、アルゴン雰囲気下にて1200℃-0.5時間の仮焼結後、冶具から取り外してアルゴン雰囲気下にて1500℃-2時間の本焼結を行った。このようにして、線径φ3mm、ピッチ20mm、高さ100mm、振幅数10の波形状発熱体を作製した。この波形状発熱体を電気炉体に組込み、大気中にて炉内温度350℃で1000時間、続いて450℃で1000時間の通電加熱を行い、低温寿命評価を実施した。結果、実施例5〜8のいずれの発熱体も問題なく評価時間を通電することができ、発熱素線のペストも確認されなかった。
続いて、大気中にて炉内温度1300℃で1000時間の通電加熱を行い、高温寿命評価を実施した。結果、実施例5〜8のいずれの発熱体も問題なく評価時間を通電することができ、発熱素線の変形も見られなかった。
Figure 2009266396

以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形、変更が可能である。
以上説明した通り、本発明では1300℃以下の酸化性雰囲気で使用されるコイル状や波形状のMoSi系発熱体を作製可能とし、且つ耐ペスト性を有するMoSi系発熱体を提供することができる。
実施例3のMoSi系焼結体の顕微鏡組織写真である(白部がNi相)。

Claims (5)

  1. 3〜15vol%のNiと残部がMoSi系から成り、NiがMoSi結晶の粒界に網目状に分布していることを特徴とする二珪化モリブデン系セラミック発熱体。
  2. さらに、全体に対して5〜40vol%のMoB、MoB、MoB、Mo、WB、WB、W、HfB、ZrBの群の中から選択される1種もしくは2種以上の化合物を含有することを特徴とした請求項1記載の二珪化モリブデン系セラミック発熱体。
  3. シリカベースの酸化物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の二珪化モリブデン系セラミック発熱体。
  4. 前記MoSi結晶が一般式が(Mo1−X,W)Siで(但し、Xの値が0.05〜0.45である)で表される組成を有することを特徴とする請求項1又は2記載の二珪化モリブデン系セラミック発熱体。
  5. 接合部を有しない波形もしくはコイル形状を有する押出焼結材である請求項1から4までの何れか1項記載の二珪化モリブデン系セラミック発熱体。
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