JPH10272679A - インジェクションブロー成形用金型構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ＣＶＪブーツなどのように部分的に寸法精度
を必要とする成形品をインジェクションブロー成形する
際に、ばりを生じさせず寸法精度も保つ。 【解決手段】 中子金型３と、この中子金型３との間で
パリソン１１をインジェクション成形するインジェクシ
ョン成形用外型４と、パリソン１１を中子金型３に被せ
た状態のまま収容させて最終製品形状にブロー成形する
ブロー成形用外型５とを備えるインジェクションブロー
成形用金型において、インジェクション成形用外型４に
収容されたときに中子金型３との間でパリソン１１の一
部を最終製品形状にまで形成するインジェクション成形
用外型４の一部を構成する一方、パリソン１１の最終製
品形状部分を保持したまま中子金型３と共にブロー成形
用外型５に収容されてブロー成形用外型５の一部を構成
してブロー成形時にパリソン１１の最終製品形状部分を
ブローされないように保持する共通外型６を型開き可能
に中子金型３に備え、パリソン１１の最終製品形状部分
の外型をインジェクション成形とブロー成形とで変えず
に連続的に成形するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インジェクション
ブロー成形用金型に関する。更に詳述すると、本発明
は、インジェクション成形においてパリソンの一部を最
終製品形状にまで成形し、残りの部分をブロー成形で完
成させるインジェクションブロー成形用金型の構造の改
良に関する。

【０００２】

【従来の技術】インジェクションブロー成形によって、
部分的に寸法精度を必要とする成形品、例えば自動車用
ＣＶＪブーツ（等速ジョイント用ブーツ）などを形成し
ようとする場合、図４（Ａ）に概略的に示すように、中
子金型１０１とインジェクション成形用外型１０２とで
パリソン１０３を射出成形する際に、寸法精度を必要と
する部位即ちブーツ端部のブーツ固定部を最終製品形状
にまで仕上げ、次のブロー成形工程（図４（Ｂ）参照）
で残りの蛇腹部分を完成させるようにされているものが
ある。蛇腹部分は、パリソン１０３を内側からブロー圧
で膨らませることによってブロー成形用外型１０４の内
面に押しつけて冷却することによって所望形状に形成さ
れている。

【０００３】ここで、寸法精度を必要とするブーツ固定
部１０６については、インジェクション成形により最終
製品形状に形成されているため、ブロー成形用外型１０
４との間に隙間が生ずると、ブロー成形の影響を受けて
寸法精度が損なわれてしまう虞がある。そこで、インジ
ェクション成形用外型１０２とブロー成形用外型１０４
との関係においては、ブーツ固定部１０６を形成する部
分の形状は互いに等しいものとされていることが望まれ
る。尚、図中の符号１０５は成形品を示す。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インジ
ェクション成形用外型１０２とブロー成形用外型１０４
の寸法精度を必要とする部位（例えばブーツ固定部１０
６）を形成する部分の形状を同じにすると、パリソンを
ブロー成形用外型１０４に収める際に、ブロー成形用外
型１０４がパリソンのブーツ固定部１０６の端部や外周
面を咬んでばりを生じさせてしまう虞がある。このばり
の発生を防止するためにはブーツ固定部１０６であって
もブロー成形用外型１０４の方をパリソンよりもある程
度大きく形成しなければならない。このため、ブロー成
形時にブーツ固定部１０６までもがブロー成形されてし
まい、ブーツ固定部１０６の内径・内周面形状が所望の
寸法・形状よりも大きくなったり内周面側に突起１０７
が完全に形成されない等、取付部１０６の寸法精度及び
形状が担保されず、相手側部材との間のシール性が確保
できなくなるという問題が生じる危険がある。

【０００５】そこで、本発明は、ＣＶＪブーツなどのよ
うに部分的に寸法精度を必要とする成形品をインジェク
ションブロー成形する際に、ばりを生じさせず寸法精度
も保つことができるインジェクションブロー成形用金型
構造を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、中子金型と、この中子金型
との間でパリソンをインジェクション成形するインジェ
クション成形用外型と、パリソンを中子金型に被せた状
態のまま収容させて最終製品形状にブロー成形するブロ
ー成形用外型とを備えるインジェクションブロー成形用
金型において、インジェクション成形用外型に収容され
たときに中子金型との間でパリソンの一部を最終製品形
状にまで形成するインジェクション成形用外型の一部を
構成する一方、パリソンの最終製品形状部分を保持した
まま中子金型と共にブロー成形用外型に収容されて前記
ブロー成形用外型の一部を構成してブロー成形時にパリ
ソンの最終製品形状部分をブローされないように保持す
る共通外型を型開き可能に備え、パリソンの最終製品形
状部分の外型をインジェクション成形とブロー成形とで
変えずに連続的に成形するようにしている。

【０００７】したがって、インジェクション成形時に
は、成形品の寸法精度を必要とする部位即ちパリソン状
態で最終製品形状となる部分が、共通外型と中子金型と
の間のキャビティで形成される。そして、ブロー成形時
にはパリソンの最終製品形状部分を共通外型で保持した
状態のまま中子金型ともどもブロー成形用外型に収容さ
れて、共通外型がブロー成形用外型の一部として使用さ
れる。このため、共通外型と中子金型との間で保持され
ているパリソンの最終製品形状部分はブロー成形用外型
に咬まれることもなければブローされることもない。

【０００８】請求項２記載の発明においては、共通外型
は周方向に分割されたセグメントから成り、各セグメン
トが中子金型と一体に型開き可能に設けられると共にア
クチュエータ駆動によって開閉可能に設けられている。
したがって、ブロー成形後の成形品を容易に取り外すこ
とができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。

【００１０】図１〜図３に、本発明のインジェクション
ブロー成形用金型構造の一実施形態を示す。このインジ
ェクションブロー成形用金型は、ブロー装置（図示省
略）を備えた中子金型３と、この中子金型３との間でパ
リソン１１をインジェクション成形するインジェクショ
ン成形用外型４と、パリソン１１を中子金型３に被せた
状態のまま収容して最終製品形状にブロー成形するブロ
ー成形用外型５及び中子金型３と共に各外型４，５に収
められて各外型４，５の一部を構成する共通外型６とを
備えて成る。

【００１１】共通外型６は、インジェクション成形用外
型４に収容されたときに中子金型３との間でパリソン１
１の一部を最終製品形状（ＣＶＪブーツを例にする本実
施形態ではブーツ固定部１３の形状）にまで形成するイ
ンジェクション成形用外型４の一部を構成する一方、パ
リソン１１の最終製品形状部分を保持したまま中子金型
３と共にブロー成形用外型５に収容されてブロー成形用
外型５の一部を構成してブロー成形時にパリソン１１の
最終製品形状部分・ブーツ固定部１３をブローされない
ように保持するもので、その内周面１６が中子金型３の
表面１５との間で所望の最終製品形状に対応するキャビ
ティ２を形成するように対向して設けられる分割可能な
中空筒体であり、型開き可能に中子金型３と一体に備え
られている。例えば、図１及び図２に示すように、共通
外型６は、周方向に分割可能な複数のセグメント７，
…，７で構成され、例えば連結ピン１０，…，１０によ
ってそれぞれ中子金型３に型開き自在に連結されて中子
金型３と一体化されている。そして、各セグメント７，
…，７は、アクチュエータ例えばエアシリンダのピスト
ンロッド９，…，９により開閉可能に設けられている。
このセグメント７，…，７の個数は特に限定されない
が、本実施形態においては共通外型６は放射状に４分割
され、この分割された複数のセグメント７，…，７の夫
々は分割面に埋設されたスプリング８，…，８の弾発力
によって常時型が開かれる方向に付勢されている。この
スプリング８，…，８は、各セグメント７，…，７を互
いに接線方向に押すように付勢している。なお、各セグ
メント７，…，７の分割面は放射方向に沿って形成され
ているが、放射方向に対して斜め方向に分割させたり、
あるいは放射方向に対して斜めでかつ曲面とすること等
が密着性を向上させばりを少なくする上で好ましい。
尚、共通外型６の内周面１６及び中子金型３の表面部分
１５の形状は、要求される成形品形状に応じて様々であ
るが、ＣＶＪブーツを想定した本実施形態においては両
面に夫々シールのための突条部１７，１８が設けられて
いる。

【００１２】ピストンロッド９，…，９は、セグメント
７，…，７の外周面の傾斜した楔面１９に夫々ロッド先
端部２０が摺接するように設けられ、セグメント７，
…，７に摺接しながら中子金型３の軸方向に往復動する
ことによって、スプリング８，…，８により付勢されて
いるセグメント７，…，７を連結ピン１０周りに径方向
に回動させて型開閉させる。ただしアクチュエータとし
ては、エアないし油圧シリンダに限定されず、カムやリ
ニアモータなどのその他のアクチュエータでセグメント
７，…，７を駆動させるようにしてもよい。また、各セ
グメント７，…，７毎にアクチュエータを備えずに、単
一のアクチュエータで例えばリングをスライドさせるこ
とによって複数のセグメント７，…，７の開閉を行うよ
うにしても構わない。

【００１３】以上のように構成されたインジェクション
ブロー成形用金型によると、インジェクションブロー成
形が以下のようにして行われる。なお、以下の説明にお
いては寸法精度を要する部位を端部に設けたＣＶＪブー
ツを成形する場合について説明する。

【００１４】まず、図３の（Ａ）に示すように、熱可塑
性樹脂が中子金型３、インジェクション成形用外型４及
び共通外型６が形成するキャビティ内へ射出され、その
キャビティの形状にパリソン１１が成形される。そして
図３の（Ｂ）のように、パリソン１１が中子金型３に被
せられた状態でブロー成形用外型５に移し変えられ、中
子金型３に備えられた図示されない噴射口よりブロー噴
射されてブロー成形が行われる。このとき、共通外型６
は引き続きインジェクション成形されたブーツ固定部１
３を保持しているので、ブロー成形用外型５の型締め時
にブーツ固定部１３が咬まれることがないし、パリソン
１１のブーツ固定部１３と中子金型３との隙間に気体が
入り込まず、ブーツ固定部１３はブローされることがな
い。

【００１５】即ち、図３の（Ｂ）に示すようにブロー成
形が行われる際にシール性が必要なブーツ固定部１３の
周囲が共通外型６によって保持されていると共に、この
共通外型６を形成する各セグメント７，…，７がピスト
ンロッド９，…，９によって径方向内部へと押圧されて
いる。更にセグメント７，…，７は、ブロー成形用外型
５によっても包囲されて内側へ押圧されている。したが
って、大きなブロー圧により蛇腹部１４がブロー成形さ
れても、パリソン１１のブーツ固定部１３と中子金型３
との間に気体が入り込むことはなく、ブーツ固定部１３
はインジェクション成形によって得られた所望の形状を
維持する。

【００１６】ブロー成形終了後は図３の（Ｃ）に示すよ
うにブロー成形用外型５を外し、ピストンロッド９，
…，９を移動させて共通外型６を分割させることによっ
て、ブーツ１２を傷つけることなく容易に離型させるこ
とができる。

【００１７】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能
である。例えば、本実施形態ではＣＶＪブーツのインジ
ェクションブロー成形金型の構造について主に説明した
が、これに特に限定されずステアリング用ブーツ、スト
ラッドサスペンション用ダストカバー、各種産業機械用
シリンダーカバーなどのインジェクションブロー成形用
金型に適用できることは言うまでもない。

【００１８】また本実施形態では共通外型６を中子金型
３に一体的に設けているが別体としても良い。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
１記載の発明は、インジェクション成形用外型に収容さ
れたときに中子金型との間でパリソンの一部を最終製品
形状にまで形成するインジェクション成形用外型の一部
を構成する一方、パリソンの最終製品形状部分を保持し
たまま中子金型と共にブロー成形用外型に収容されてブ
ロー成形用外型の一部を構成してブロー成形時にパリソ
ンの最終製品形状部分をブローされないように保持する
共通外型を型開き可能に備え、パリソンの最終製品形状
部分の外型をインジェクション成形とブロー成形とで変
えずに連続的に成形するようにしているので、成形品の
寸法精度を必要とする部位をインジェクション成形時に
共通外型と中子金型との間のキャビティで形成すると共
にその部分を共通外型と中子金型とで保持したままブロ
ー成形用外型に収めてブロー成形することができる。こ
のため、ブロー成形の際にブロー成形用外型でパリソン
の最終製品形状部分が咬まれることもなく、かつブロー
されることもない。

【００２０】したがって、インジェクション成形により
成形された最終製品形状部分はブロー成形後にもその形
状が保たれる。そこで、ＣＶＪブーツなどの金型に適用
した場合、相手側部材に取り付けられるブーツ固定部に
要求されるシール性を確保するに十分な寸法精度が担保
される。

【００２１】また、請求項２記載の本発明のインジェク
ションブロー成形用金型構造においては、共通外型は周
方向に分割されたセグメントから成り、各セグメントが
中子金型と一体に型開き可能に設けられると共にアクチ
ュエータ駆動によって開閉可能に設けられているので、
ブロー成形されたブーツ等の成形品を容易に取り外すこ
とができる。これにより、成形品の取り出し時に傷付い
たり変形して精度を失うこともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインジェクションブロー成形用金型構
造に使用される中子金型と共通外型との一実施形態を共
通外型が閉じられた状態で示す図で、（Ａ）は共通金型
部分の横断面図、（Ｂ）は縦断面図である。

【図２】本発明のインジェクションブロー成形用金型構
造に使用される中子金型と共通外型との一実施形態を共
通外型が開いた状態で示す図で、（Ａ）は共通金型部分
の横断面図、（Ｂ）は縦断面図である。

【図３】図１及び図２の中子金型と共通外型を使ったイ
ンジェクションブロー成形用金型によるインジェクショ
ンブロー成形作業の概略説明図で、（Ａ）はインジェク
ション成形工程を、（Ｂ）はブロー成形工程を、（Ｃ）
は取り外し工程を示す。

【図４】従来のインジェクションブロー成形用金型構造
を示す縦断面図で、（Ａ）はインジェクション成形工程
を、（Ｂ）はブロー成形工程を示す。

【符号の説明】

３ 中子金型 ４ インジェクション成形用外型 ５ ブロー成形用外型 ６ 共通外型 １１ パリソン １３ ブーツ固定部（パリソンの最終製品形状部分）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中子金型と、この中子金型との間でパリ
   ソンをインジェクション成形するインジェクション成形
   用外型と、前記パリソンを前記中子金型に被せた状態の
   まま収容させて最終製品形状にブロー成形するブロー成
   形用外型とを備えるインジェクションブロー成形用金型
   において、前記インジェクション成形用外型に収容され
   たときに前記中子金型との間で前記パリソンの一部を最
   終製品形状にまで形成するインジェクション成形用外型
   の一部を構成する一方、前記パリソンの最終製品形状部
   分を保持したまま前記中子金型と共に前記ブロー成形用
   外型に収容されて前記ブロー成形用外型の一部を構成し
   てブロー成形時に前記パリソンの最終製品形状部分をブ
   ローされないように保持する共通外型を型開き可能に備
   え、前記パリソンの最終製品形状部分の外型をインジェ
   クション成形とブロー成形とで変えずに連続的に成形す
   ることを特徴とするインジェクションブロー成形用金型
   構造。
2. 【請求項２】 前記共通外型は周方向に分割されたセグ
   メントから成り、各セグメントが前記中子金型と一体に
   型開き可能に設けられると共にアクチュエータ駆動によ
   って開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項
   １記載のインジェクションブロー成形用金型構造。