JPH10251512A - 成形品用樹脂組成物および樹脂製歯車 - Google Patents

成形品用樹脂組成物および樹脂製歯車

Info

Publication number
JPH10251512A
JPH10251512A JP9081918A JP8191897A JPH10251512A JP H10251512 A JPH10251512 A JP H10251512A JP 9081918 A JP9081918 A JP 9081918A JP 8191897 A JP8191897 A JP 8191897A JP H10251512 A JPH10251512 A JP H10251512A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
resin composition
whisker
gear
molded article
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9081918A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3709253B2 (ja
Inventor
Kazuo Hirose
和夫 廣瀬
Mari Kataoka
真理 片岡
Masakazu Hirata
正和 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP08191897A priority Critical patent/JP3709253B2/ja
Publication of JPH10251512A publication Critical patent/JPH10251512A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3709253B2 publication Critical patent/JP3709253B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた成形精度、耐熱変形性、高温時の機械
的強度および射出成形性を備え、相手歯車を損傷させる
ことなく、しかも耐摩耗性があり、安定してトルク伝達
を行える歯車を得る。 【解決手段】 ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレン
スルフィド樹脂と配合剤とからなる成形品用樹脂組成物
であって、該配合剤として 5〜 30 容量%の繊維系充填
材および 3〜 30 容量%の固体潤滑剤を少なくとも含有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品用樹脂組成
物および樹脂製歯車に関し、とくに樹脂製歯車の成形用
材料として好適な耐熱、耐摩耗性に優れた成形品用樹脂
組成物およびこの樹脂組成物を用いた樹脂製歯車に関す
る。
【0002】
【従来の技術】樹脂製歯車は、音響機器、複写機、自動
車用部品等の様々な分野で使用されている。樹脂材料と
しては、寸法安定性や成形性に優れたポリアセタール樹
脂やナイロン樹脂などが一般に使用され、また耐熱性や
機械的強度が要求される分野において、ポリフェニレン
スルフィド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリ
アリールエーテル樹脂またはポリアミドイミド樹脂等の
エンジニアリングプラスチックが用いられている。たと
えば、 1993 年の日本機械学会関西支部による「射出成
形プラスチック歯車の精度・騒音・強度設計( 93 〜10
0 頁)」や 1996年の日本能率協会による「'96 モーシ
ョン・エンジニアリングシンポジウム( 4-3)」に、高
温時における歯の曲げ強度ならびに摩耗破壊に優れた樹
脂製歯車としてポリアミドイミド樹脂またはポリフェニ
レンスルフィド樹脂製歯車が開示されている。
【0003】一方、ポリアミドイミド樹脂にポリフェニ
レンスルフィド樹脂および充填材類を配合したポリアミ
ドイミド樹脂組成物が知られている(特公昭 57-975
5)。また、成形性に優れたポリアミドイミド樹脂にポ
リフェニレンスルフィド樹脂を配合した樹脂組成物が知
られている(特開平 6-306282 ) さらには、合成樹脂を主成分として、硫酸カルシウムウ
ィスカなどのウィスカを 1〜 30 容量%、芳香族ポリア
ミド繊維を 1〜 30 容量%、固体潤滑剤を 3〜30 容量
%配合してなる摺動部材組成物(特開平 6-279689 )
や、ポリフェニレンスルフィド樹脂 100重量部に対し、
ポリテトラフルオロエチレン樹脂 10 〜 50 重量部、芳
香族ポリアミドパルプ 10 〜 30 重量部、酸化亜鉛ウィ
スカ 30 〜80 重量部を配合してなる歯車用樹脂組成物
(特開平 5-306371 )が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年事
務機器などの分野においては、樹脂製歯車を使用する部
品が増加する傾向にあり、従来の成形品用樹脂組成物で
は成形性や生産性に劣るという問題がある。たとえば、
従来のポリアミドイミド樹脂組成物は高価であり、溶融
流動性が悪いため成形性に劣り、またポストキュアが必
要であるため生産性に劣るという問題がある。
【0005】また、事務機器などの高速、高効率化のた
め、コピーや印刷速度が増す傾向にあり、樹脂製歯車に
も高速、高伝達トルクが求められるとともに、より優れ
た耐摩耗性が要求されつつあり、従来の歯車用樹脂組成
物では、樹脂製歯車として十分な特性が得られないとい
う問題がある。たとえば、従来のポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物は樹脂製歯車として高温強度が充分でな
いという問題がある。さらに、ポリアミドイミド樹脂に
ポリフェニレンスルフィド樹脂などを配合した樹脂組成
物では、生産性は改善されるものの樹脂製歯車として使
用した場合、たとえば歯車同士の耐摩耗性に劣るなどの
問題がある。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂など
を主成分として、これにウィスカや固体潤滑剤を配合し
てなる樹脂組成物は、樹脂製歯車として高温強度などの
耐熱性に劣るという問題がある。
【0006】本発明は、このような問題に対処するため
になされたもので、優れた成形精度、耐熱変形性、高温
時の機械的強度および射出成形性を備えるとともに、樹
脂製の相手歯車を損傷させることなく、しかも耐摩耗性
があり、安定してトルク伝達を行い得る歯車を成形でき
る成形品用樹脂組成物およびこの成形品用樹脂組成物を
用いて成形された樹脂製歯車を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の成形品用樹脂組
成物は、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフ
ィド樹脂と配合剤とからなる成形品用樹脂組成物であっ
て、該配合剤として 5〜 30 容量%の繊維系充填材およ
び 3〜 30 容量%の固体潤滑剤を少なくとも含有するこ
とを特徴とする。
【0008】また、該配合剤として、さらにウィスカを
1〜 30 容量%含有することを特徴とし、そのウィスカ
が硫酸カルシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィス
カ、硫酸マグネシウムウィスカ、短繊維状合成ケイ酸カ
ルシウム水和物ウィスカおよびチタン酸バリウムウィス
カから選ばれた少なくとも一つのウィスカであることを
特徴とする。
【0009】ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンス
ルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度が、せん断速度 1
×103 s-1および温度 350℃の条件で 500Pa・s 以下で
あることを特徴とする。
【0010】ポリアミドイミド樹脂がアミド結合間、イ
ミド結合間またはアミド結合とイミド結合間に脂肪族残
基および脂環族残基から選ばれた少なくとも一つの残基
を有することを特徴とする。
【0011】配合剤中の繊維系充填材がガラス繊維、炭
素繊維および芳香族ポリアミド繊維から選ばれた少なく
とも一つの繊維系充填材であることを特徴とする。
【0012】配合剤中の固体潤滑材がフッ素系化合物で
あり、そのフッ素系化合物がポリテトラフルオロエチレ
ン樹脂であることを特徴とする。
【0013】本発明の樹脂製歯車は、上述の成形品用樹
脂組成物を成形してなる樹脂製歯車であることを特徴と
する。
【0014】本発明の成形品用樹脂組成物は、ポリアミ
ドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とを配合
することにより、とくに溶融粘度の低いポリアミドイミ
ド樹脂を配合することにより、成形精度、耐熱変形性、
高温時の機械的強度および射出成形性に優れた成形品が
得られる。また、配合剤を上述のように所定量配合した
ので、機械的強度や摩擦係数、耐摩耗性に優れた成形品
が得られる。さらに、この成形品用樹脂組成物から得ら
れた樹脂製歯車は、上述の特性とともに樹脂製の相手歯
車を損傷させない特性を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係るポリアミドイミド樹
脂は、分子構造中にアミド結合とイミド結合とを有し、
これらの結合間を芳香族残基、脂肪族残基などで結合し
ている樹脂をいう。本発明において、残基とは官能基部
分を除いた部分をいい、たとえば芳香族ジアミンのジア
ミン部分を除いた部分をいう。
【0016】また、本発明に係るポリアミドイミド樹脂
は、分子構造中にアミド結合とイミド結合とを有するポ
リアミドイミド樹脂に、さらに熱可塑性樹脂を配合した
ものも含む。好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリエス
テル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステルアミ
ド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテ
ル樹脂などを挙げることができる。
【0017】本発明に係るポリアミドイミド樹脂を構成
することのできる構造部分の一例を化1に示す。
【0018】
【化1】
【0019】式(1)、(2)、(3)において、R1
は少なくとも炭素数 3個以上の脂肪族残基または炭素数
6個以上の芳香族残基を、R2 およびR4 は少なくとも
炭素数 2個以上の脂肪族残基または炭素数 6個以上の芳
香族残基を、R5 は少なくとも炭素数 4個以上の脂肪族
残基または炭素数 6個以上の芳香族残基を表し、R3
水素、メチル基またはフェニル基を表し、好ましくは水
素である。なお、脂肪族残基には、脂環族残基も含むも
のとする。式(1)におけるR1 を化2に例示する。
【0020】
【化2】
【0021】これらの中で好ましいR1 の例を化3に示
す。
【0022】
【化3】
【0023】式(1)、(2)、(3)におけるR2
化4に例示する。
【0024】
【化4】
【0025】これらの中で好ましいR2 の例を化5に示
す。
【0026】
【化5】
【0027】式(2)におけるR4 を化6に例示する。
【0028】
【化6】
【0029】これらの中で好ましいR4 の例を化7に示
す。
【0030】
【化7】
【0031】式(3)におけるR5 を化8に例示する。
【0032】
【化8】
【0033】本発明に係るポリアミドイミド樹脂は、式
(1)のみ、式(1)および式(2)の組み合わせ、式
(2)および式(3)の組み合わせ、式(1)および式
(3)の組み合わせ、または、式(1)、式(2)およ
び式(3)の組み合わせであってもよく、その組み合わ
せは、ランダム共重合体、ブロック共重合体または交互
共重合体となる配列のいずれであってもよい。また、式
(1)において、残基を除いた結合様式が(アミド結合
−イミド結合)の繰り返しだけでなく、(アミド結合−
イミド結合−イミド結合−アミド結合)の繰り返しを含
むものであってもよい。さらに、イミド結合の一部がそ
の前躯体としてのアミド酸結合の状態で留まっているも
のも含む。
【0034】とくに好ましい組み合わせは、後述するポ
リフェニレンスルフィド樹脂と混合した場合、その混合
樹脂の溶融粘度が、せん断速度が 1×102 〜 1×104 s
-1好ましくは 1×103 s-1の条件および温度が 350℃の
条件で 500Pa・s 以下、約 10 Pa・s 以上とすることの
できるポリアミドイミド樹脂である。一例としては、式
(1)および式(2)の組み合わせがあり、とくに式
(2)において、芳香族成分と脂肪族成分とを含むR4
を用いた式(1)および式(2)の組み合わせが耐熱性
と成形性とのバランスに優れているため好ましい。
【0035】また、式(1)、式(2)および式(3)
におけるR1 、R2 、R4 またはR5 の一部または全部
を脂肪族成分としてもよい。
【0036】本発明に係るポリアミドイミド樹脂は、芳
香族、脂肪族または脂環族ジカルボン酸およびその誘導
体、芳香族、脂肪族または脂環族トリカルボン酸および
その誘導体、芳香族、脂肪族または脂環族テトラカルボ
ン酸およびその誘導体などのカルボン酸類と、芳香族、
脂肪族または脂環族ジアミンおよびその誘導体などとの
反応によって得られる。また、芳香族、脂肪族または脂
環族アミノカルボン酸およびその誘導体などを併用する
こともできる。
【0037】具体的な製造方法としては、(イ)トリメ
リット酸無水物モノクロライドなどの芳香族トリカルボ
ン酸無水物ハライド、イソフタル酸ジクロライドなどの
芳香族ジカルボン酸ジハライドおよびアジピン酸ジクロ
ライドなどの脂肪族ジカルボン酸ジハライドとジアミノ
ジフェニルメタンやトルイレンジアミンなどの芳香族ジ
アミンとを極性溶媒中で脱ハロゲン化を伴いながら反応
させる方法、(ロ)トリメリット酸無水物などの芳香族
トリカルボン酸無水物、イソフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸およびアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸と
ジフェニルメタンジイソシアネートやトルイレンジイソ
シアネートなどの芳香族ジイソシアネートとを極性溶
媒、好ましくは非プロトン系極性溶媒中で脱炭酸ガスを
伴いながら反応させる方法、(ハ)トリメリット酸無水
物などの芳香族トリカルボン酸無水物、イソフタル酸な
どの芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸などの脂肪族
ジカルボン酸とジアミノジフェニルメタンなどの芳香族
ジアミンとを極性溶媒、好ましくは非プロトン系極性溶
媒中で触媒などの存在下に反応させてポリアミド酸とし
て、その後、脱水閉環させる方法などがある。これらの
なかで、処理の容易な脱炭酸ガスを伴いながら縮重合さ
せる(ロ)の方法が閉環されたポリアミドイミドの状態
で得られ、ポストキュアも必要ないため、好ましい方法
である。
【0038】本発明に係るポリフェニレンスルフィド樹
脂は、芳香族基がチオエーテル結合で連結された構造を
有する樹脂をいい、その繰り返し単位を化9に示す。
【0039】
【化9】
【0040】これらのうち、とくに典型的なものは化1
0で示されるものであり、米国フィリップス・ペトロー
リアム社から「ライトン」の商標で市販され、その製造
方法は米国特許第 3,354,129号(対応日本特許「特公昭
45-3368」)等に開示されている。
【0041】
【化10】
【0042】それによると、「ライトン」は N- メチル
-2- ピロリドン溶媒中、 160〜250℃、加圧条件下に p-
ジクロルベンゼンと二硫化ソーダとを反応させること
によって製造される。この場合、樹脂中に架橋構造が全
くないものから部分的架橋構造を有するものに至るまで
各種重合度のものを後熱処埋工程にかけて自由に製造す
ることができるので、目的の溶融ブレンドに適正な溶融
粘度特性を有するものを任意に選択使用することが可能
である。また、上記した以外に架橋構造をとらない直鎖
状のポリフェニレンスルフィド樹脂を採用してもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、せん断速
度が 1×102 〜 1×104 s-1好ましくは 1×103 s-1
条件および温度が 300℃の条件で 10 〜10,000Pa・s 、
好ましくは 30 〜3,000 Pa・s 、より好ましくは 30 〜
1,000 Pa・s 、最も好ましくは 50 〜800 Pa・s であ
る。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の末端にSH
基を導入した樹脂であってもよい。
【0043】ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンス
ルフィド樹脂との配合割合は、容量比で 80:20〜20:80
が好ましい。この比率の範囲内であると優れた成形精
度、耐熱性を有する成形品用樹脂組成物が得られる。ま
た、混合樹脂の溶融粘度を、せん断速度が 1×103 s-1
の条件および温度が 350℃の条件で 500Pa・s 以下、約
10 Pa・s 以上とすることができる。このような成形品
用樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂ともに耐熱性に優れているため、 60
〜200 ℃の雰囲気下で連続使用される例えば高温歯車な
どの部品に好適である。
【0044】本発明に係る繊維系充填材は、無機質繊維
および有機質繊維いずれであっても使用できる。たとえ
ば、ガラス繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、タング
ステン心線もしくは炭素繊維などにボロンもしくは炭化
ケイ素などを蒸着したいわゆるボロン繊維もしくは炭化
ケイ素繊維、芳香族ポリアミド繊維等を例示することが
できる。また、これらの繊維表面をエポキシ系やアミノ
系のシランカップリング剤で処理した繊維であってもよ
い。本発明に係る繊維系充填材としては、とくにガラス
繊維、炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維から選ばれ
た少なくとも一つの繊維系充填材であることが好まし
く、なかでも芳香族ポリアミド繊維が耐熱性と機械的特
性に優れ、樹脂製の相手歯車を損傷させない特性を付与
する上で最も好ましい。芳香族ポリアミド繊維などの繊
維系充填材の形状は、平均繊維径が 5〜25μm、平均繊
維長が 0.025〜5mm 好ましくは 0.25 〜3mm のものが好
適であり、たとえば芳香族ポリアミド繊維の市販例とし
てはコーネックスチョップドファイバー(帝人社製商品
名)を挙げることができる。繊維系充填材の配合割合
は、成形品用樹脂組成物全体量の 5〜 30 容量%であ
る。 5容量%未満では、機械的強度が得られず、 30 容
量%を越えると成形時の樹脂溶融粘度が高くなりすぎる
ので成形不良となり、また機械的強度もこれ以上向上し
なくなる。
【0045】本発明に係る固体潤滑剤は、ポリアミドイ
ミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とをベースと
する成形品用樹脂組成物によく分散して摺動性を付与す
るものであれば、とくに限定されるものでなく、たとえ
ばポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系化合
物、黒鉛、二硫化モリブデンなどを使用することができ
る。
【0046】本発明に使用することのできる固体潤滑剤
の一例であるフッ素系化合物は、低摩擦でトナー粉や他
の摩耗粉、またゴミや埃、塵などに対する非粘着性を付
与でき、かつ使用温度雰囲気に耐える耐熱性を有するも
のであれば使用することができる。具体的には、ポリテ
トラフルオロエチレン樹脂(融点 327℃、連続使用温度
260℃、以下 PTFE と略称する)、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(融点 2
70℃、連続使用温度 200℃)、テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂
(融点 310℃、連続使用温度 260℃)、エチレン−テト
ラフルオロエチレン共重合体樹脂(融点 270℃、連続使
用温度 150℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂
(融点 210℃、連続使用温度 120℃)、エチレン−クロ
ロトリフルオロエチレン共重合体樹脂(融点 240℃、連
続使用温度 150℃)などが挙げられる。これらは、それ
ぞれ単独もしくは、 2種以上の共重合体や 3元共重合体
等からなる樹脂であってもよい。
【0047】このうち PTFE は、−CF2 −CF2 −の
繰り返し単位より構成され、約 340〜 380℃で溶融粘度
が約1010〜1011Pa・s と高く、融点を越えても流動し難
く、フッ素系化合物の中では最も耐熱性に優れており、
また、低温下でも優れた性質を示し、摺動性、非粘着性
(接触角 104°(対水))にも優れており、また分散性
や摺動性を付与する上で本発明に好適である。このよう
な理由から、固体潤滑剤として PTFE を配合された本発
明に係る成形品用樹脂組成物を利用できる用途部位は、
たとえば -273 ℃〜 260℃の雰囲気下での使用部位はも
とより、耐熱性を利用して常温(たとえば 20 ℃〜 25
℃)以上、とくに 60 ℃〜 260℃の雰囲気下で連続使用
される部位、たとえば画像形成装置の定着部用歯車など
に適していると考えられる。なお、 PTFE は、成形用の
粉末であっても、またいわゆる滑剤級の粉末であっても
よく、両者を併用してもよい。また、アルキルビニルエ
ーテルで変性されたPTFE であってもよい。
【0048】PTFE の中でも使用に際しては、滑剤級の
粉末 PTFE を用いるのがとくに好ましい。滑剤級の粉末
PTFE の市販品としては、フルオンL169、同17
0、同171(以上、英国アイ・シー・アイ社製商品
名)、ポリフロンM12、M15、ルブロンL−2、同
L−5、同LD−1(以上、ダイキン工業社製商品
名)、テフロン7J、同TLP−10、同TLP−10
F−1(以上、デュポン社製商品名)、フルオンG16
3(旭硝子社製商品名)、ホスタフロンTF9205
(ヘキスト社製商品名)等を挙げることができる。ここ
で滑剤級の粉末 PTFE とは、一度焼成した PTFE を粉砕
した再生 PTFE や、 PTFE にγ線照射処理をして低分子
量化した PTFE 粉末をいう。γ線照射処理をした市販の
潤滑剤用 PTFE としては、KT400H(喜多村社製商
品名)を例示することができる。
【0049】PTFE の平均粒径は 0.1〜70μm 、好まし
くは 10 〜50μm 、より好ましくは15 〜30μm の範囲
である。平均粒径がこの範囲内にあると、所定の組成物
中で溶融・混合するときに凝集などを起こし難いので、
射出成形時等で組成物の溶融粘度が異常に高くなり難
く、また歯車等の射出成形体表面の平滑性が維持される
ものと考えられる。
【0050】固体潤滑剤の配合割合は、成形品用樹脂組
成物全体量の 3〜 30 容量%である。 3容量%未満では
摩擦係数が低下せず、 30 容量%を越えると機械的強度
が損なわれ、また温度による寸法変化が大きくなり好ま
しくない。
【0051】本発明に係るウィスカは、たとえば平均繊
維径が 0.01 μm 以上、5 μm 未満、好ましくは 0.05
〜3 μm 、平均繊維長が 1〜300 μm 、好ましくは 1〜
50μm のウィスカであれば、いかなるウィスカであっ
てもよい。このような短繊維は、たとえば歯車の歯先先
端部分の角部を良好に補強するものと考えられる。本発
明で使用できるウィスカとしては、硫酸カルシウムウィ
スカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸マグネシウム
ウィスカ、短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィス
カおよびチタン酸バリウムウィスカから選ばれた少なく
とも一つのウィスカを挙げることができる。すなわち、
これらのウィスカ単独あるいは 2種以上混合したウィス
カ類であってもよい。各種ウィスカについて以下に説明
する。
【0052】本発明に係る硫酸カルシウムウィスカは、
硫酸カルシウムの無水塩または水和物の柱状結晶からな
るものであれば、天然鉱物または人造のものをとくに限
定することなく使用でき、とくに天然に産するものであ
ればCaSO4 ・2H2 O の化学組成の繊維状のもの(いわゆ
る繊維セッコウ)を用いることができる。
【0053】本発明に係るホウ酸アルミニウムウィスカ
は、化学式 9Al2 O3 ・2B2 O3 、または 2Al2 O3
B2 O3 で表される白色針状結晶であって、平均繊維径
は 0.5〜 1μm 、平均繊維長は 10 〜 30 μm のものが
好ましい。9Al2 O3 ・2B2 O3 で表されるものは、真
比重 2.93 〜 2.95 、融点 1420〜 1460 ℃であり、ア
ルミニウム水酸化物およびアルミニウム無機塩の少なく
とも1種と、ホウ素の酸化物、酸素酸およびアルカリ金
属塩の少なくとも1種とを、アルカリ金属の硫酸塩、塩
化物および炭酸塩の少なくとも1種からなる溶融剤の存
在下 900〜1200℃に加熱して、反応、育成させることに
よって製造できる。上記したホウ酸アルミニウムウィス
カの補強効果をさらに向上させるためには、カップリン
グ剤による表面処理によってホウ酸アルミニウムウィス
カとマトリックスである樹脂との濡れ性、結合性を改良
することが有効である。このとき使用するカップリング
剤は、シリコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロン
系、リン系、アミノ酸系などである。市販品としては、
9Al2 O3 ・2B2 O3 で表されるものでアルボレックス
G(四国化成工業社製商品名)があり、このものの平均
繊維径は 0.5〜 1μm 、平均繊維長は 10 〜 30 μm で
ある。
【0054】本発明に係る硫酸マグネシウムウィスカ
は、化学式 MgSO4 ・5MgO・8H2 O で表わされる白色針
状結晶繊維で、平均繊維径は 1μm 未満、平均繊維長は
10 〜100 μm のものが好ましい。
【0055】本発明に係る短繊維状合成ケイ酸カルシウ
ム水和物ウィスカは、化学式 6CaO・6SiO2 ・ H2 O で
表わされる白色針状微粉末であり、そのアスペクト比
は、 15 程度のものが好ましい。このような合成ケイ酸
カルシウム水和物ウィスカは、ケイ酸質原料と石灰質原
料とを水と共に混合し、オートクレーブ処理による石灰
とケイ酸系の水熱合成で得られる。結晶相としては、ゾ
ノトライト( 6CaO ・6SiO2 ・ H2 O )を主体とするも
のが耐熱性に優れているので好ましい。
【0056】本発明に係るチタン酸バリウムウィスカ
は、化学式 BaTiO3 で表わされる針状結晶繊維であっ
て、平均繊維径は0.2 〜0.5 μm 、平均繊維長は 10 〜
20μm のものが好ましい。
【0057】以上述べた 5種類のウィスカの配合量は、
それぞれ単独または併用した場合に成形品用樹脂組成物
全体量の 1〜 30 容量%である。 1容量%未満では、耐
摩耗性の改善効果がみられず、 30 容量%を越えると相
手材の損傷度合いが大きくなり、逆に耐摩耗性も低下す
るからである。
【0058】上述のポリアミドイミド樹脂とポリフェニ
レンスルフィド樹脂と配合剤との混合方法はとくに限定
するものではなく、たとえばヘンシェルミキサー、ボー
ルミル、タンブラミキサー等の混合機を用いて乾式混合
した後に、熱ロール、ニーダ、バンバリミキサー、溶融
押出し機などで溶融混合(たとえば造粒)することがで
きる。そして、このようなペレットの造粒時や、射出成
形時等の溶融混合成形時にウィスカをはじめとする各種
繊維類は折れるので成形体中の繊維類の平均繊維長さ
は、繊維径が 5〜 25 μm の繊維類のものでは、およそ
0.3mm以下、繊維径が 5μm 未満のようなウィスカで
は、およそ 10 μm 未満、種類によっては約 1〜 5μm
になるものと考えられる。なお、本発明の成形品用樹脂
組成物は、必要に応じて顔料、滑剤、可塑剤、安定剤、
紫外線吸収剤、難燃剤などの他の配合剤やエラストマー
成分を配合してもよい。
【0059】本発明の成形品用樹脂組成物は、音響機
器、複写機、自動車用部品等に所定の形状に成形して用
いることができる。とくに複雑な形状を有する樹脂製歯
車に好適に使用することができる。たとえばこの発明に
係る樹脂製歯車は、外部から与えられた電気信号によっ
て記録パターンを感光体等の媒体上に形成し、この媒体
上に形成された電気量のパターンを可視的なパターンに
変換する種々の方式を採用したプリンタにも適用でき
る。そのようなプリンタの方式としては、電子写真方
式、インクジェット方式、感熱方式、光プリンタ方式、
電子記録方式などが挙げられる。これらの中で電子写真
方式の種類としては、カールソン法、光・電荷注入法、
光分極法、光起電力法、電荷移動法、電解電子写真法、
静電潜像写真法、光電気泳動法、サーモプラスチック法
が挙げられる。また、光プリンタとしては、レーザプリ
ンタ、LED(発光ダイオード)プリンタ、液晶シャッ
タプリンタ、CRTプリンタが挙げられる。また、電子
記録方式としては、静電記録方式、通電記録方式、電解
記録方式、放電記録方式が挙げられる。
【0060】本発明の成形品用樹脂組成物は回転体駆動
用歯車や、また歯車の内径部分が回転摺動するアイドラ
ギア用として好適である。そして、そのような機構部品
の用途部位としては、たとえば、トナー像転写式の湿式
静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービー
ムプリンタ(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリン
タ、ファクシミリ(FAX)用プリンタ、発光ダイオー
ド(LED)、銀塩写真方式によるプリンタ(CRT)
等、プリンタ、印刷機などといった画像形成装置全般を
適用可能なものとして挙げることができる。また、本発
明の樹脂組成物からなる回転体駆動用負荷歯車、滑り軸
受を有する歯車(たとえばアイドラギア)等の機構部品
は、感光部、現像部、定着部など、画像形成装置内のい
かなる配置部位にも用いることができる。しかし、たと
えばポリアミドイミド系樹脂やポリアリーレン(フェニ
レン)スルフィド系樹脂等の優れた耐熱性を考慮すれ
ば、感光部や現像部よりも高温で使用される定着部周辺
部位に用いられる機構部品、たとえば定着ローラ用歯車
として好適である。
【0061】本発明の樹脂製歯車は上述の成形品用樹脂
組成物を成形して得られるが、成形方法は射出成形、押
し出し成形、圧縮成形等種々の成形方法を用いることが
できる。本発明の成形品用樹脂組成物は流動性に優れて
おり、とくに射出成形法が好ましい成形方法である。射
出成形法により得られた本発明の樹脂製歯車は、耐熱性
や機械的強度、摩擦係数、耐摩耗性、生産性に優れると
ともに、樹脂製の相手歯車を損傷させない特性を有す
る。
【0062】このような歯車等の射出成形体を製造する
場合、組成物の溶融温度をポリアミドイミド樹脂(溶融
温度、約 300℃)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(溶
融温度、 280〜 290℃)の溶融温度よりも高い温度、具
体的には 300〜 400℃に設定し、射出圧力を、たとえば
500〜2500kgf/cm2 ( 5〜25kgf/mm2 )、添加剤等の組
成配合によっては 800〜2000kgf/cm2 ( 8〜20kgf/m
m2 )、組成物の種類によっては1000kgf/cm2 を越え160
0kgf/cm2 以下(10kgf/mm2 を越え16kgf/mm2 以下)、
保圧(射出保持圧力)を 500〜1200kgf/cm2 ( 5〜12kg
f/mm2 )、組成物の種類によっては 700〜1000kgf/cm2
( 7〜10kgf/mm2 )のように適度な射出圧力条件により
成形する。このような適度な粘度の組成物を適度な圧力
下において成形することで、機械的強度、寸法精度に優
れ、ボイドの少ない歯車等の射出成形体とすることがで
きるため、歯部分の摩耗や折損のない歯車等の射出成形
体を得ることができる。このようにして得られた成形体
は、たとえば曲げ強度(ASTM D790に準拠)が
100MPa を越え 200MPa 未満、好ましくは 110〜150MPa
の機械的強度を有する成形体より得られた歯車であれ
ば、歯元の曲げ応力や繰り返しの疲労性に優れた歯車を
提供することができるものと考えられる。
【0063】
【実施例】実施例および比較例に使用した原材料を一括
して示すと以下の通りである。なお、[ ]内に表lに
用いた略号または化学記号を示し、配合割合は全て容量
%で示した。 (1)ポリアミドイミド樹脂[PAI] イ)三菱化成工業社製:トーロン4203L[PAI−
1] ロ)下記参考例により得られたポリアミドイミド樹脂
[PAI−2] (2)ポリフェニレンスルフィド樹脂[PPS] 東ソ−サスティール社製:#160 (3)芳香族ポリアミド繊維[ARF] 帝人社製:コーネックス(平均繊維長 1mm) (4)ガラス繊維[GF] 旭ファイバーグラス社製:チョップドガラス繊維CS0
3DE404 (5)炭素繊維[CF] (6)ポリテトラフルオロエチレン樹脂[PTEE] 喜多村社製:KT400H(平均粒径 25 μm ) (7)硫酸カルシウムウィスカ[CaSO4 ウィスカ] 大日精化社製:フランクリンファイバー (8)ホウ酸アルミニウムウィスカ[AlBO3 ] 四国化成工業杜製:アルボレックス (9)硫酸マグネシウムウィスカ[MgSO4 ウィスカ] 宇部興産社製:モスハイジ[MgSO4 ・5MgO・8H2 O ] (10)短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカ
[ケイ酸カルシウム] 河合石灰工業社製:ケイ酸カルシウム (11)チタン酸バリウムウィスカ[ BaTiO3 ウィスカ] 大塚化学社製:チタン酸バリウムウィスカ
【0064】参考例 ポリアミドイミド樹脂の作製 反応容器に以下の材料を仕込んだ。 無水トリメリット酸 96.06g(0.5mol) イソフタル酸 66.45g(0.4mol) アジピン酸 14.61g(0.1mol) 2,4-トルイレンジイソシアネ−ト 174.16g(1.0mol) N-メチル-2- ピロリドン 1055.00g 内容物を攪拌し、発生する炭酸ガスを除去しながら 180
℃まで約 1.5時間かけて昇温した。その後、 180℃で約
5時間攪拌し反応を停止した。得られたポリアミドイミ
ドの対数粘度は 0.90 であった。ポリマー溶液を多量の
メタノール液中に強力な攪拌下に少量ずつ滴下してポリ
アミドイミド樹脂を析出させた。さらにメタノールで十
分洗浄後濾過して、200 ℃で 10 時間減圧乾燥すること
によりポリアミドイミド樹脂を得た。
【0065】実施例l〜実施例7および比較例l〜比較
例3 以上の原材料を表1に示した割合で配合し、ヘンシェル
ミキサーで混合した後、混練押出し機により押出して成
形用ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機に
よりシリンダー温度 340℃、射出圧力 1200kg/cm2 の条
件で成形して試験片および歯車Aを作製し、以下の試験
を行って評価した。その結果を表lに併記した。なお、
ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂
との混合樹脂の溶融粘度は、実施例l〜7において、い
ずれも、せん断速度 1×103 s-1および温度 350℃の条
件で 500Pa・s 以下であった。 (a)成形性 歯車Aにて成形性を評価した。歯車Aを射出圧力 1200k
g/cm2 の条件で正常に成形できた場合を二重丸で、射出
圧力を 1200kg/cm2 に上げて成形できた場合を一重丸で
表した。 (b)高温曲げ強度 ASTM D790に準拠し、試験片の大きさ(幅×長
さ×厚さ; 12mm ×128mm × 3mm)、支点間距離( 50
mm)、速度( 1.4mm/min. )、 3点曲げ(支点3.2R)
にて測定した。 (c)歯車耐久試験 動力吸収型の歯車耐久試験機を用いて、実施例または比
較例で得られた歯車Aの摩耗量(mm3 )を複写機の定着
部位の仕様に準ずるように下記条件で測定した。なお、
相手歯車となる歯車Bは、ガラス繊維強化のポリアミド
イミド樹脂/ポリエーテルイミド樹脂製の歯車である。 歯車A :モジュール=1、歯数=35、歯幅=8 歯車B :モジュール=1、歯数=47、歯幅=8 負荷トルク: 5kgf-cm、 回転数 :300rpm 試験時間 :160 時間 雰囲気温度:室温( 20 〜 25 ℃)および 150℃
【0066】
【表1】
【0067】表1より、比較例1〜比較例3のポリアミ
ドイミド樹脂やポリフェニレンスルフィド樹脂単体に比
較して、実施例1〜実施例7は高温での強度が高く成形
性も優れており、ポリアミドイミド樹脂やポリフェニレ
ンスルフィド樹脂単体が有する欠点が改善されている。
また、樹脂製歯車として、自身および相手歯車を損傷し
ない耐摩耗性が優れており、とくに高温での特性に優れ
ている。
【0068】また、PAI−1をPAI−2に変更する
以外は実施例2および実施例3と同一の条件で試験片、
歯車を作製して評価したところ、実施例2および実施例
3と同様の特性を示した。
【0069】
【発明の効果】本発明の成形品用樹脂組成物は、ポリア
ミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂に 5〜
30 容量%の繊維系充填材および 3〜 30 容量%の固体
潤滑剤を配合してなるので、優れた成形精度、耐熱変形
性、高温時の機械的強度および射出成形性を有する。
【0070】とくに、硫酸カルシウムウィスカ、ホウ酸
アルミニウムウィスカなどのウィスカを 1〜 30 容量%
さらに配合すると、樹脂製歯車として用いたとき、樹脂
製の相手歯車を損傷させることなく、しかも耐摩耗性が
あり、安定してトルク伝達を行い得る歯車を成形でき
る。
【0071】また、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニ
レンスルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度をせん断速
度 1×103 s-1および温度 350℃の条件で 500Pa・s 以
下とし、または、分子構造中に脂肪族基等を含むことに
より、射出成形性および耐熱性により優れた成形品用樹
脂組成物が得られる。
【0072】さらに、芳香族ポリアミド繊維等の繊維類
やポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系化合物
を用いることにより、機械的特性に優れた樹脂製歯車用
樹脂組成物が得られる。
【0073】本発明の樹脂製歯車は、上述の成形品用樹
脂組成物を用いて成形するので、耐熱変形性、高温時の
機械的強度に優れるとともに、樹脂製の相手歯車を損傷
させることなく、しかも耐摩耗性があり、安定してトル
ク伝達を行い得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 79:08 27:18)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレン
    スルフィド樹脂と配合剤とからなる成形品用樹脂組成物
    であって、 前記配合剤として、 5〜 30 容量%の繊維系充填材およ
    び 3〜 30 容量%の固体潤滑剤を少なくとも含有するこ
    とを特徴とする成形品用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記配合剤として、さらにウィスカを 1
    〜 30 容量%含有することを特徴とする請求項1記載の
    成形品用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記ウィスカが、硫酸カルシウムウィス
    カ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸マグネシウムウ
    ィスカ、短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカ
    およびチタン酸バリウムウィスカから選ばれた少なくと
    も一つのウィスカであることを特徴とする請求項2記載
    の成形品用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリアミドイミド樹脂と前記ポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度が、せ
    ん断速度 1×103 s-1および温度 350℃の条件で 500Pa
    ・s 以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれか1項記載の成形品用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記ポリアミドイミド樹脂がアミド結合
    間、イミド結合間またはアミド結合とイミド結合間に脂
    肪族残基および脂環族残基から選ばれた少なくとも一つ
    の残基を有することを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれか1項記載の成形品用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記繊維系充填材がガラス繊維、炭素繊
    維および芳香族ポリアミド繊維から選ばれた少なくとも
    一つの繊維系充填材であることを特徴とする請求項1な
    いし請求項5のいずれか1項記載の成形品用樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記固体潤滑材がフッ素系化合物である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1
    項記載の成形品用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記フッ素系化合物がポリテトラフルオ
    ロエチレン樹脂であることを特徴とする請求項7記載の
    成形品用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 成形品用樹脂組成物を成形してなる樹脂
    製歯車であって、前記成形品用樹脂組成物が請求項1な
    いし請求項8のいずれか1項記載の成形品用樹脂組成物
    であることを特徴とする樹脂製歯車。
JP08191897A 1997-03-13 1997-03-13 樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車 Expired - Fee Related JP3709253B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08191897A JP3709253B2 (ja) 1997-03-13 1997-03-13 樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08191897A JP3709253B2 (ja) 1997-03-13 1997-03-13 樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10251512A true JPH10251512A (ja) 1998-09-22
JP3709253B2 JP3709253B2 (ja) 2005-10-26

Family

ID=13759845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08191897A Expired - Fee Related JP3709253B2 (ja) 1997-03-13 1997-03-13 樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3709253B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131427A (ja) * 1999-11-02 2001-05-15 Daicel Chem Ind Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2001226588A (ja) * 2000-02-18 2001-08-21 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 樹脂組成物
JP2002327829A (ja) * 2001-05-01 2002-11-15 Koyo Seiko Co Ltd 歯車およびこれを備えた電動パワーステアリング装置
JP2003055550A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 歯車用樹脂組成物およびそれを用いた歯車
EP1528290A1 (en) * 2002-08-09 2005-05-04 Koyo Seiko Co., Ltd. Resin gear
JP2007512995A (ja) * 2003-11-11 2007-05-24 デュラ アオトモティーフ ズュステームス ライヒェ ゲーエムベーハー 伸縮式操舵軸
JP2009236136A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Bando Chem Ind Ltd 射出成形歯車
CN107118556A (zh) * 2017-06-21 2017-09-01 安徽江淮汽车集团股份有限公司 一种pps复合材料及其制备方法
JP2019217678A (ja) * 2018-06-19 2019-12-26 スターライト工業株式会社 樹脂成型品、及び、樹脂成型品の製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131427A (ja) * 1999-11-02 2001-05-15 Daicel Chem Ind Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2001226588A (ja) * 2000-02-18 2001-08-21 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 樹脂組成物
JP2002327829A (ja) * 2001-05-01 2002-11-15 Koyo Seiko Co Ltd 歯車およびこれを備えた電動パワーステアリング装置
JP2003055550A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 歯車用樹脂組成物およびそれを用いた歯車
EP1528290A1 (en) * 2002-08-09 2005-05-04 Koyo Seiko Co., Ltd. Resin gear
EP1528290A4 (en) * 2002-08-09 2010-07-07 Jtekt Corp GEAR WHEEL
JP2007512995A (ja) * 2003-11-11 2007-05-24 デュラ アオトモティーフ ズュステームス ライヒェ ゲーエムベーハー 伸縮式操舵軸
JP2009236136A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Bando Chem Ind Ltd 射出成形歯車
CN107118556A (zh) * 2017-06-21 2017-09-01 安徽江淮汽车集团股份有限公司 一种pps复合材料及其制备方法
JP2019217678A (ja) * 2018-06-19 2019-12-26 スターライト工業株式会社 樹脂成型品、及び、樹脂成型品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3709253B2 (ja) 2005-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7449523B2 (en) Fluorocarbon elastomer compositions containing wear reducing additives
US9644080B2 (en) Light-resistant resin composition, and moulded body thereof
US20060004126A1 (en) Thermoplastic vulcanizate with functional fillers
JP2007326925A (ja) 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JPH10251512A (ja) 成形品用樹脂組成物および樹脂製歯車
JP5564986B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JPH11293109A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3282505B2 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物
JP2004149564A (ja) 樹脂組成物
JP2006226464A (ja) 高耐熱熱可塑性樹脂製歯車
JPH06194988A (ja) 分離爪
TWI628267B (zh) 液晶聚酯組成物
JP4041206B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる電子写真方式の画像形成装置における摺動部材
JP3961103B2 (ja) 摺動材用樹脂組成物および樹脂製歯車
JP3604200B2 (ja) 複写機用分離爪の射出成形方法
JPH0987533A (ja) 摺動部材組成物
JP2010281348A (ja) 樹脂製軸受
JP2007107721A (ja) 樹脂製歯車
JPH11209616A (ja) ポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物、射出成形品 及びギア
JP6019752B2 (ja) 導電性樹脂組成物、電子写真用転写ベルトおよび画像形成装置
JPH05142965A (ja) 分離爪
JPH01168758A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP4209974B2 (ja) 搬送装置用摺動部材
JP2007046064A (ja) 摺動材用樹脂組成物および樹脂製歯車
JP2003268234A (ja) 軸受け用樹脂組成物およびそれを用いた軸受け

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050322

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050808

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080812

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090812

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees