JP3709253B2 - 樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車 - Google Patents

樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形品用樹脂組成物および樹脂製歯車に関し、とくに樹脂製歯車の成形用材料として好適な耐熱、耐摩耗性に優れた成形品用樹脂組成物およびこの樹脂組成物を用いた樹脂製歯車に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製歯車は、音響機器、複写機、自動車用部品等の様々な分野で使用されている。樹脂材料としては、寸法安定性や成形性に優れたポリアセタール樹脂やナイロン樹脂などが一般に使用され、また耐熱性や機械的強度が要求される分野において、ポリフェニレンスルフィド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリールエーテル樹脂またはポリアミドイミド樹脂等のエンジニアリングプラスチックが用いられている。たとえば、 1993 年の日本機械学会関西支部による「射出成形プラスチック歯車の精度・騒音・強度設計( 93 〜100 頁)」や 1996 年の日本能率協会による「'96 モーション・エンジニアリングシンポジウム( 4-3)」に、高温時における歯の曲げ強度ならびに摩耗破壊に優れた樹脂製歯車としてポリアミドイミド樹脂またはポリフェニレンスルフィド樹脂製歯車が開示されている。
【0003】
一方、ポリアミドイミド樹脂にポリフェニレンスルフィド樹脂および充填材類を配合したポリアミドイミド樹脂組成物が知られている(特公昭 57-9755)。また、成形性に優れたポリアミドイミド樹脂にポリフェニレンスルフィド樹脂を配合した樹脂組成物が知られている(特開平 6-306282 )
さらには、合成樹脂を主成分として、硫酸カルシウムウィスカなどのウィスカを 1〜 30 容量%、芳香族ポリアミド繊維を 1〜 30 容量%、固体潤滑剤を 3〜 30 容量%配合してなる摺動部材組成物(特開平 6-279689 )や、ポリフェニレンスルフィド樹脂 100重量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂 10 〜 50 重量部、芳香族ポリアミドパルプ 10 〜 30 重量部、酸化亜鉛ウィスカ 30 〜 80 重量部を配合してなる歯車用樹脂組成物(特開平 5-306371 )が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年事務機器などの分野においては、樹脂製歯車を使用する部品が増加する傾向にあり、従来の成形品用樹脂組成物では成形性や生産性に劣るという問題がある。たとえば、従来のポリアミドイミド樹脂組成物は高価であり、溶融流動性が悪いため成形性に劣り、またポストキュアが必要であるため生産性に劣るという問題がある。
【0005】
また、事務機器などの高速、高効率化のため、コピーや印刷速度が増す傾向にあり、樹脂製歯車にも高速、高伝達トルクが求められるとともに、より優れた耐摩耗性が要求されつつあり、従来の歯車用樹脂組成物では、樹脂製歯車として十分な特性が得られないという問題がある。
たとえば、従来のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は樹脂製歯車として高温強度が充分でないという問題がある。
さらに、ポリアミドイミド樹脂にポリフェニレンスルフィド樹脂などを配合した樹脂組成物では、生産性は改善されるものの樹脂製歯車として使用した場合、たとえば歯車同士の耐摩耗性に劣るなどの問題がある。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂などを主成分として、これにウィスカや固体潤滑剤を配合してなる樹脂組成物は、樹脂製歯車として高温強度などの耐熱性に劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、優れた成形精度、耐熱変形性、高温時の機械的強度および射出成形性を備えるとともに、樹脂製の相手歯車を損傷させることなく、しかも耐摩耗性があり、安定してトルク伝達を行い得る樹脂製歯車および事務機器用樹脂製歯車を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂製歯車は、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂と配合剤とからなる成形品用樹脂組成物を成形してなる樹脂製歯車であって、上記成形品用樹脂組成物における上記ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との配合割合は、容量比で 80:20 20:80 であり、上記配合剤として 5〜30 容量%の繊維系充填材および 3〜30 容量%の固体潤滑剤を少なくとも含有することを特徴とする。
【0008】
また、該配合剤として、さらにウィスカを 1〜 30 容量%含有することを特徴とし、そのウィスカが硫酸カルシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカおよびチタン酸バリウムウィスカから選ばれた少なくとも一つのウィスカであることを特徴とする。
【0009】
ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度が、せん断速度 1×103 s-1および温度 350℃の条件で 500Pa・s 以下であることを特徴とする。
【0010】
ポリアミドイミド樹脂がアミド結合間、イミド結合間またはアミド結合とイミド結合間に脂肪族残基および脂環族残基から選ばれた少なくとも一つの残基を有することを特徴とする。
【0011】
配合剤中の繊維系充填材がガラス繊維、炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維から選ばれた少なくとも一つの繊維系充填材であることを特徴とする。
【0012】
配合剤中の固体潤滑材がフッ素系化合物であり、そのフッ素系化合物がポリテトラフルオロエチレン樹脂であることを特徴とする。
【0013】
本発明の事務機器用樹脂製歯車は、上述の樹脂製歯車を事務機器の歯車として利用したものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の樹脂製歯車は、その成形品用樹脂組成物としてポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とを配合したもの、とくに溶融粘度の低いポリアミドイミド樹脂を配合したものを用いることにより、成形精度、耐熱変形性、高温時の機械的強度および射出成形性に優れた歯車となる。また、配合剤を上述のように所定量配合したので、機械的強度や摩擦係数、耐摩耗性に優れる。さらに、この樹脂製歯車は、上述の特性とともに樹脂製の相手歯車を損傷させない特性を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係るポリアミドイミド樹脂は、分子構造中にアミド結合とイミド結合とを有し、これらの結合間を芳香族残基、脂肪族残基などで結合している樹脂をいう。本発明において、残基とは官能基部分を除いた部分をいい、たとえば芳香族ジアミンのジアミン部分を除いた部分をいう。
【0016】
また、本発明に係るポリアミドイミド樹脂は、分子構造中にアミド結合とイミド結合とを有するポリアミドイミド樹脂に、さらに熱可塑性樹脂を配合したものも含む。好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などを挙げることができる。
【0017】
本発明に係るポリアミドイミド樹脂を構成することのできる構造部分の一例を化1に示す。
【0018】
【化1】
Figure 0003709253
【0019】
式(1)、(2)、(3)において、R1 は少なくとも炭素数 3個以上の脂肪族残基または炭素数 6個以上の芳香族残基を、R2 およびR4 は少なくとも炭素数 2個以上の脂肪族残基または炭素数 6個以上の芳香族残基を、R5 は少なくとも炭素数 4個以上の脂肪族残基または炭素数 6個以上の芳香族残基を表し、R3 は水素、メチル基またはフェニル基を表し、好ましくは水素である。なお、脂肪族残基には、脂環族残基も含むものとする。
式(1)におけるR1 を化2に例示する。
【0020】
【化2】
Figure 0003709253
【0021】
これらの中で好ましいR1 の例を化3に示す。
【0022】
【化3】
Figure 0003709253
【0023】
式(1)、(2)、(3)におけるR2 を化4に例示する。
【0024】
【化4】
Figure 0003709253
【0025】
これらの中で好ましいR2 の例を化5に示す。
【0026】
【化5】
Figure 0003709253
【0027】
式(2)におけるR4 を化6に例示する。
【0028】
【化6】
Figure 0003709253
【0029】
これらの中で好ましいR4 の例を化7に示す。
【0030】
【化7】
Figure 0003709253
【0031】
式(3)におけるR5 を化8に例示する。
【0032】
【化8】
Figure 0003709253
【0033】
本発明に係るポリアミドイミド樹脂は、式(1)のみ、式(1)および式(2)の組み合わせ、式(2)および式(3)の組み合わせ、式(1)および式(3)の組み合わせ、または、式(1)、式(2)および式(3)の組み合わせであってもよく、その組み合わせは、ランダム共重合体、ブロック共重合体または交互共重合体となる配列のいずれであってもよい。また、式(1)において、残基を除いた結合様式が(アミド結合−イミド結合)の繰り返しだけでなく、(アミド結合−イミド結合−イミド結合−アミド結合)の繰り返しを含むものであってもよい。さらに、イミド結合の一部がその前躯体としてのアミド酸結合の状態で留まっているものも含む。
【0034】
とくに好ましい組み合わせは、後述するポリフェニレンスルフィド樹脂と混合した場合、その混合樹脂の溶融粘度が、せん断速度が 1×102 〜 1×104 s-1好ましくは 1×103 s-1の条件および温度が 350℃の条件で 500Pa・s 以下、約 10 Pa・s 以上とすることのできるポリアミドイミド樹脂である。一例としては、式(1)および式(2)の組み合わせがあり、とくに式(2)において、芳香族成分と脂肪族成分とを含むR4 を用いた式(1)および式(2)の組み合わせが耐熱性と成形性とのバランスに優れているため好ましい。
【0035】
また、式(1)、式(2)および式(3)におけるR1 、R2 、R4 またはR5 の一部または全部を脂肪族成分としてもよい。
【0036】
本発明に係るポリアミドイミド樹脂は、芳香族、脂肪族または脂環族ジカルボン酸およびその誘導体、芳香族、脂肪族または脂環族トリカルボン酸およびその誘導体、芳香族、脂肪族または脂環族テトラカルボン酸およびその誘導体などのカルボン酸類と、芳香族、脂肪族または脂環族ジアミンおよびその誘導体などとの反応によって得られる。また、芳香族、脂肪族または脂環族アミノカルボン酸およびその誘導体などを併用することもできる。
【0037】
具体的な製造方法としては、(イ)トリメリット酸無水物モノクロライドなどの芳香族トリカルボン酸無水物ハライド、イソフタル酸ジクロライドなどの芳香族ジカルボン酸ジハライドおよびアジピン酸ジクロライドなどの脂肪族ジカルボン酸ジハライドとジアミノジフェニルメタンやトルイレンジアミンなどの芳香族ジアミンとを極性溶媒中で脱ハロゲン化を伴いながら反応させる方法、(ロ)トリメリット酸無水物などの芳香族トリカルボン酸無水物、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸とジフェニルメタンジイソシアネートやトルイレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートとを極性溶媒、好ましくは非プロトン系極性溶媒中で脱炭酸ガスを伴いながら反応させる方法、(ハ)トリメリット酸無水物などの芳香族トリカルボン酸無水物、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸とジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ジアミンとを極性溶媒、好ましくは非プロトン系極性溶媒中で触媒などの存在下に反応させてポリアミド酸として、その後、脱水閉環させる方法などがある。これらのなかで、処理の容易な脱炭酸ガスを伴いながら縮重合させる(ロ)の方法が閉環されたポリアミドイミドの状態で得られ、ポストキュアも必要ないため、好ましい方法である。
【0038】
本発明に係るポリフェニレンスルフィド樹脂は、芳香族基がチオエーテル結合で連結された構造を有する樹脂をいい、その繰り返し単位を化9に示す。
【0039】
【化9】
Figure 0003709253
【0040】
これらのうち、とくに典型的なものは化10で示されるものであり、米国フィリップス・ペトローリアム社から「ライトン」の商標で市販され、その製造方法は米国特許第 3,354,129号(対応日本特許「特公昭 45-3368」)等に開示されている。
【0041】
【化10】
Figure 0003709253
【0042】
それによると、「ライトン」は N- メチル-2- ピロリドン溶媒中、 160〜250 ℃、加圧条件下に p- ジクロルベンゼンと二硫化ソーダとを反応させることによって製造される。この場合、樹脂中に架橋構造が全くないものから部分的架橋構造を有するものに至るまで各種重合度のものを後熱処埋工程にかけて自由に製造することができるので、目的の溶融ブレンドに適正な溶融粘度特性を有するものを任意に選択使用することが可能である。また、上記した以外に架橋構造をとらない直鎖状のポリフェニレンスルフィド樹脂を採用してもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、せん断速度が 1×102 〜 1×104 s-1好ましくは 1×103 s-1の条件および温度が 300℃の条件で 10 〜10,000Pa・s 、好ましくは 30 〜3,000 Pa・s 、より好ましくは 30 〜1,000 Pa・s 、最も好ましくは 50 〜800 Pa・s である。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の末端にSH基を導入した樹脂であってもよい。
【0043】
ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との配合割合は、容量比で 80:20〜20:80 が好ましい。この比率の範囲内であると優れた成形精度、耐熱性を有する成形品用樹脂組成物が得られる。また、混合樹脂の溶融粘度を、せん断速度が 1×103 s-1の条件および温度が 350℃の条件で 500Pa・s 以下、約
10 Pa・s 以上とすることができる。
このような成形品用樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂ともに耐熱性に優れているため、 60 〜200 ℃の雰囲気下で連続使用される例えば高温歯車などの部品に好適である。
【0044】
本発明に係る繊維系充填材は、無機質繊維および有機質繊維いずれであっても使用できる。たとえば、ガラス繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、タングステン心線もしくは炭素繊維などにボロンもしくは炭化ケイ素などを蒸着したいわゆるボロン繊維もしくは炭化ケイ素繊維、芳香族ポリアミド繊維等を例示することができる。また、これらの繊維表面をエポキシ系やアミノ系のシランカップリング剤で処理した繊維であってもよい。
本発明に係る繊維系充填材としては、とくにガラス繊維、炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維から選ばれた少なくとも一つの繊維系充填材であることが好ましく、なかでも芳香族ポリアミド繊維が耐熱性と機械的特性に優れ、樹脂製の相手歯車を損傷させない特性を付与する上で最も好ましい。
芳香族ポリアミド繊維などの繊維系充填材の形状は、平均繊維径が 5〜25μm 、平均繊維長が 0.025〜5mm 好ましくは 0.25 〜3mm のものが好適であり、たとえば芳香族ポリアミド繊維の市販例としてはコーネックスチョップドファイバー(帝人社製商品名)を挙げることができる。
繊維系充填材の配合割合は、成形品用樹脂組成物全体量の 5〜 30 容量%である。 5容量%未満では、機械的強度が得られず、 30 容量%を越えると成形時の樹脂溶融粘度が高くなりすぎるので成形不良となり、また機械的強度もこれ以上向上しなくなる。
【0045】
本発明に係る固体潤滑剤は、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とをベースとする成形品用樹脂組成物によく分散して摺動性を付与するものであれば、とくに限定されるものでなく、たとえばポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系化合物、黒鉛、二硫化モリブデンなどを使用することができる。
【0046】
本発明に使用することのできる固体潤滑剤の一例であるフッ素系化合物は、低摩擦でトナー粉や他の摩耗粉、またゴミや埃、塵などに対する非粘着性を付与でき、かつ使用温度雰囲気に耐える耐熱性を有するものであれば使用することができる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(融点 327℃、連続使用温度 260℃、以下 PTFE と略称する)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(融点 270℃、連続使用温度 200℃)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(融点 310℃、連続使用温度 260℃)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(融点 270℃、連続使用温度 150℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(融点 210℃、連続使用温度 120℃)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体樹脂(融点 240℃、連続使用温度 150℃)などが挙げられる。これらは、それぞれ単独もしくは、 2種以上の共重合体や 3元共重合体等からなる樹脂であってもよい。
【0047】
このうち PTFE は、−CF2 −CF2 −の繰り返し単位より構成され、約 340〜 380℃で溶融粘度が約1010〜1011Pa・s と高く、融点を越えても流動し難く、フッ素系化合物の中では最も耐熱性に優れており、また、低温下でも優れた性質を示し、摺動性、非粘着性(接触角 104°(対水))にも優れており、また分散性や摺動性を付与する上で本発明に好適である。このような理由から、固体潤滑剤として PTFE を配合された本発明に係る成形品用樹脂組成物を利用できる用途部位は、たとえば -273 ℃〜 260℃の雰囲気下での使用部位はもとより、耐熱性を利用して常温(たとえば 20 ℃〜 25 ℃)以上、とくに 60 ℃〜 260℃の雰囲気下で連続使用される部位、たとえば画像形成装置の定着部用歯車などに適していると考えられる。
なお、 PTFE は、成形用の粉末であっても、またいわゆる滑剤級の粉末であってもよく、両者を併用してもよい。また、アルキルビニルエーテルで変性された
PTFE であってもよい。
【0048】
PTFE の中でも使用に際しては、滑剤級の粉末 PTFE を用いるのがとくに好ましい。滑剤級の粉末 PTFE の市販品としては、フルオンL169、同170、同171(以上、英国アイ・シー・アイ社製商品名)、ポリフロンM12、M15、ルブロンL−2、同L−5、同LD−1(以上、ダイキン工業社製商品名)、テフロン7J、同TLP−10、同TLP−10F−1(以上、デュポン社製商品名)、フルオンG163(旭硝子社製商品名)、ホスタフロンTF9205(ヘキスト社製商品名)等を挙げることができる。ここで滑剤級の粉末 PTFE とは、一度焼成した PTFE を粉砕した再生 PTFE や、 PTFE にγ線照射処理をして低分子量化した PTFE 粉末をいう。γ線照射処理をした市販の潤滑剤用 PTFE としては、KT400H(喜多村社製商品名)を例示することができる。
【0049】
PTFE の平均粒径は 0.1〜70μm 、好ましくは 10 〜50μm 、より好ましくは 15 〜30μm の範囲である。平均粒径がこの範囲内にあると、所定の組成物中で溶融・混合するときに凝集などを起こし難いので、射出成形時等で組成物の溶融粘度が異常に高くなり難く、また歯車等の射出成形体表面の平滑性が維持されるものと考えられる。
【0050】
固体潤滑剤の配合割合は、成形品用樹脂組成物全体量の 3〜 30 容量%である。 3容量%未満では摩擦係数が低下せず、 30 容量%を越えると機械的強度が損なわれ、また温度による寸法変化が大きくなり好ましくない。
【0051】
本発明に係るウィスカは、たとえば平均繊維径が 0.01 μm 以上、5 μm 未満、好ましくは 0.05 〜3 μm 、平均繊維長が 1〜300 μm 、好ましくは 1〜 50 μm のウィスカであれば、いかなるウィスカであってもよい。このような短繊維は、たとえば歯車の歯先先端部分の角部を良好に補強するものと考えられる。本発明で使用できるウィスカとしては、硫酸カルシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカおよびチタン酸バリウムウィスカから選ばれた少なくとも一つのウィスカを挙げることができる。すなわち、これらのウィスカ単独あるいは 2種以上混合したウィスカ類であってもよい。各種ウィスカについて以下に説明する。
【0052】
本発明に係る硫酸カルシウムウィスカは、硫酸カルシウムの無水塩または水和物の柱状結晶からなるものであれば、天然鉱物または人造のものをとくに限定することなく使用でき、とくに天然に産するものであればCaSO4 ・2H2 O の化学組成の繊維状のもの(いわゆる繊維セッコウ)を用いることができる。
【0053】
本発明に係るホウ酸アルミニウムウィスカは、化学式 9Al2 O3 ・2B2 O3 、または 2Al2 O3 ・ B2 O3 で表される白色針状結晶であって、平均繊維径は 0.5〜 1μm 、平均繊維長は 10 〜 30 μm のものが好ましい。
9Al2 O3 ・2B2 O3 で表されるものは、真比重 2.93 〜 2.95 、融点 1420 〜 1460 ℃であり、アルミニウム水酸化物およびアルミニウム無機塩の少なくとも1種と、ホウ素の酸化物、酸素酸およびアルカリ金属塩の少なくとも1種とを、アルカリ金属の硫酸塩、塩化物および炭酸塩の少なくとも1種からなる溶融剤の存在下 900〜1200℃に加熱して、反応、育成させることによって製造できる。上記したホウ酸アルミニウムウィスカの補強効果をさらに向上させるためには、カップリング剤による表面処理によってホウ酸アルミニウムウィスカとマトリックスである樹脂との濡れ性、結合性を改良することが有効である。このとき使用するカップリング剤は、シリコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロン系、リン系、アミノ酸系などである。市販品としては、 9Al2 O3 ・2B2 O3 で表されるものでアルボレックスG(四国化成工業社製商品名)があり、このものの平均繊維径は 0.5〜 1μm 、平均繊維長は 10 〜 30 μm である。
【0054】
本発明に係る硫酸マグネシウムウィスカは、化学式 MgSO4 ・5MgO・8H2 O で表わされる白色針状結晶繊維で、平均繊維径は 1μm 未満、平均繊維長は 10 〜100 μm のものが好ましい。
【0055】
本発明に係る短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカは、化学式 6CaO ・6SiO2 ・ H2 O で表わされる白色針状微粉末であり、そのアスペクト比は、 15 程度のものが好ましい。このような合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカは、ケイ酸質原料と石灰質原料とを水と共に混合し、オートクレーブ処理による石灰とケイ酸系の水熱合成で得られる。結晶相としては、ゾノトライト( 6CaO ・6SiO2 ・ H2 O )を主体とするものが耐熱性に優れているので好ましい。
【0056】
本発明に係るチタン酸バリウムウィスカは、化学式 BaTiO3 で表わされる針状結晶繊維であって、平均繊維径は0.2 〜0.5 μm 、平均繊維長は 10 〜20μm のものが好ましい。
【0057】
以上述べた 5種類のウィスカの配合量は、それぞれ単独または併用した場合に成形品用樹脂組成物全体量の 1〜 30 容量%である。 1容量%未満では、耐摩耗性の改善効果がみられず、 30 容量%を越えると相手材の損傷度合いが大きくなり、逆に耐摩耗性も低下するからである。
【0058】
上述のポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂と配合剤との混合方法はとくに限定するものではなく、たとえばヘンシェルミキサー、ボールミル、タンブラミキサー等の混合機を用いて乾式混合した後に、熱ロール、ニーダ、バンバリミキサー、溶融押出し機などで溶融混合(たとえば造粒)することができる。
そして、このようなペレットの造粒時や、射出成形時等の溶融混合成形時にウィスカをはじめとする各種繊維類は折れるので成形体中の繊維類の平均繊維長さは、繊維径が 5〜 25 μm の繊維類のものでは、およそ 0.3mm以下、繊維径が 5μm 未満のようなウィスカでは、およそ 10 μm 未満、種類によっては約 1〜 5μm になるものと考えられる。
なお、本発明の成形品用樹脂組成物は、必要に応じて顔料、滑剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの他の配合剤やエラストマー成分を配合してもよい。
【0059】
本発明の成形品用樹脂組成物は、音響機器、複写機、自動車用部品等に所定の形状に成形して用いることができる。とくに複雑な形状を有する樹脂製歯車に好適に使用することができる。
たとえばこの発明に係る樹脂製歯車は、外部から与えられた電気信号によって記録パターンを感光体等の媒体上に形成し、この媒体上に形成された電気量のパターンを可視的なパターンに変換する種々の方式を採用したプリンタにも適用できる。
そのようなプリンタの方式としては、電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式、光プリンタ方式、電子記録方式などが挙げられる。これらの中で電子写真方式の種類としては、カールソン法、光・電荷注入法、光分極法、光起電力法、電荷移動法、電解電子写真法、静電潜像写真法、光電気泳動法、サーモプラスチック法が挙げられる。また、光プリンタとしては、レーザプリンタ、LED(発光ダイオード)プリンタ、液晶シャッタプリンタ、CRTプリンタが挙げられる。また、電子記録方式としては、静電記録方式、通電記録方式、電解記録方式、放電記録方式が挙げられる。
【0060】
本発明の成形品用樹脂組成物は回転体駆動用歯車や、また歯車の内径部分が回転摺動するアイドラギア用として好適である。そして、そのような機構部品の用途部位としては、たとえば、トナー像転写式の湿式静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリンタ(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンタ、ファクシミリ(FAX)用プリンタ、発光ダイオード(LED)、銀塩写真方式によるプリンタ(CRT)等、プリンタ、印刷機などといった画像形成装置全般を適用可能なものとして挙げることができる。
また、本発明の樹脂組成物からなる回転体駆動用負荷歯車、滑り軸受を有する歯車(たとえばアイドラギア)等の機構部品は、感光部、現像部、定着部など、画像形成装置内のいかなる配置部位にも用いることができる。しかし、たとえばポリアミドイミド系樹脂やポリアリーレン(フェニレン)スルフィド系樹脂等の優れた耐熱性を考慮すれば、感光部や現像部よりも高温で使用される定着部周辺部位に用いられる機構部品、たとえば定着ローラ用歯車として好適である。
【0061】
本発明の樹脂製歯車は上述の成形品用樹脂組成物を成形して得られるが、成形方法は射出成形、押し出し成形、圧縮成形等種々の成形方法を用いることができる。本発明の成形品用樹脂組成物は流動性に優れており、とくに射出成形法が好ましい成形方法である。射出成形法により得られた本発明の樹脂製歯車は、耐熱性や機械的強度、摩擦係数、耐摩耗性、生産性に優れるとともに、樹脂製の相手歯車を損傷させない特性を有する。
【0062】
このような歯車等の射出成形体を製造する場合、組成物の溶融温度をポリアミドイミド樹脂(溶融温度、約 300℃)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(溶融温度、 280〜 290℃)の溶融温度よりも高い温度、具体的には 300〜 400℃に設定し、射出圧力を、たとえば 500〜2500kgf/cm2 ( 5〜25kgf/mm2 )、添加剤等の組成配合によっては 800〜2000kgf/cm2 ( 8〜20kgf/mm2 )、組成物の種類によっては1000kgf/cm2 を越え1600kgf/cm2 以下(10kgf/mm2 を越え16kgf/mm2 以下)、保圧(射出保持圧力)を 500〜1200kgf/cm2 ( 5〜12kgf/mm2 )、組成物の種類によっては 700〜1000kgf/cm2 ( 7〜10kgf/mm2 )のように適度な射出圧力条件により成形する。このような適度な粘度の組成物を適度な圧力下において成形することで、機械的強度、寸法精度に優れ、ボイドの少ない歯車等の射出成形体とすることができるため、歯部分の摩耗や折損のない歯車等の射出成形体を得ることができる。
このようにして得られた成形体は、たとえば曲げ強度(ASTM D790に準拠)が 100MPa を越え 200MPa 未満、好ましくは 110〜150MPaの機械的強度を有する成形体より得られた歯車であれば、歯元の曲げ応力や繰り返しの疲労性に優れた歯車を提供することができるものと考えられる。
【0063】
【実施例】
実施例および比較例に使用した原材料を一括して示すと以下の通りである。なお、[ ]内に表lに用いた略号または化学記号を示し、配合割合は全て容量%で示した。
(1)ポリアミドイミド樹脂[PAI]
イ)三菱化成工業社製:トーロン4203L[PAI−1]
ロ)下記参考例により得られたポリアミドイミド樹脂[PAI−2]
(2)ポリフェニレンスルフィド樹脂[PPS]
東ソ−サスティール社製:#160
(3)芳香族ポリアミド繊維[ARF]
帝人社製:コーネックス(平均繊維長 1mm)
(4)ガラス繊維[GF]
旭ファイバーグラス社製:チョップドガラス繊維CS03DE404
(5)炭素繊維[CF]
(6)ポリテトラフルオロエチレン樹脂[PTEE]
喜多村社製:KT400H(平均粒径 25 μm )
(7)硫酸カルシウムウィスカ[CaSO4 ウィスカ]
大日精化社製:フランクリンファイバー
(8)ホウ酸アルミニウムウィスカ[AlBO3
四国化成工業杜製:アルボレックス
(9)硫酸マグネシウムウィスカ[MgSO4 ウィスカ]
宇部興産社製:モスハイジ[MgSO4 ・5MgO・8H2 O ]
(10)短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカ[ケイ酸カルシウム]
河合石灰工業社製:ケイ酸カルシウム
(11)チタン酸バリウムウィスカ[ BaTiO3 ウィスカ]
大塚化学社製:チタン酸バリウムウィスカ
【0064】
参考例 ポリアミドイミド樹脂の作製
反応容器に以下の材料を仕込んだ。
無水トリメリット酸 96.06g(0.5mol)
イソフタル酸 66.45g(0.4mol)
アジピン酸 14.61g(0.1mol)
2,4-トルイレンジイソシアネ−ト 174.16g(1.0mol)
N-メチル-2- ピロリドン 1055.00g
内容物を攪拌し、発生する炭酸ガスを除去しながら 180℃まで約 1.5時間かけて昇温した。その後、 180℃で約 5時間攪拌し反応を停止した。得られたポリアミドイミドの対数粘度は 0.90 であった。ポリマー溶液を多量のメタノール液中に強力な攪拌下に少量ずつ滴下してポリアミドイミド樹脂を析出させた。さらにメタノールで十分洗浄後濾過して、200 ℃で 10 時間減圧乾燥することによりポリアミドイミド樹脂を得た。
【0065】
実施例l〜実施例7および比較例l〜比較例3
以上の原材料を表1に示した割合で配合し、ヘンシェルミキサーで混合した後、混練押出し機により押出して成形用ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機によりシリンダー温度 340℃、射出圧力 1200kg/cm2 の条件で成形して試験片および歯車Aを作製し、以下の試験を行って評価した。その結果を表lに併記した。なお、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度は、実施例l〜7において、いずれも、せん断速度 1×103 s-1および温度 350℃の条件で 500Pa・s 以下であった。
(a)成形性
歯車Aにて成形性を評価した。歯車Aを射出圧力 1200kg/cm2 の条件で正常に成形できた場合を二重丸で、射出圧力を 1200kg/cm2 に上げて成形できた場合を一重丸で表した。
(b)高温曲げ強度
ASTM D790に準拠し、試験片の大きさ(幅×長さ×厚さ; 12mm ×128mm × 3mm)、支点間距離( 50 mm)、速度( 1.4mm/min. )、 3点曲げ(支点
3.2R)にて測定した。
(c)歯車耐久試験
動力吸収型の歯車耐久試験機を用いて、実施例または比較例で得られた歯車Aの摩耗量(mm3 )を複写機の定着部位の仕様に準ずるように下記条件で測定した。なお、相手歯車となる歯車Bは、ガラス繊維強化のポリアミドイミド樹脂/ポリエーテルイミド樹脂製の歯車である。
歯車A :モジュール=1、歯数=35、歯幅=8
歯車B :モジュール=1、歯数=47、歯幅=8
負荷トルク: 5kgf-cm、
回転数 :300rpm
試験時間 :160 時間
雰囲気温度:室温( 20 〜 25 ℃)および 150℃
【0066】
【表1】
Figure 0003709253
【0067】
表1より、比較例1〜比較例3のポリアミドイミド樹脂やポリフェニレンスルフィド樹脂単体に比較して、実施例1〜実施例7は高温での強度が高く成形性も優れており、ポリアミドイミド樹脂やポリフェニレンスルフィド樹脂単体が有する欠点が改善されている。また、樹脂製歯車として、自身および相手歯車を損傷しない耐摩耗性が優れており、とくに高温での特性に優れている。
【0068】
また、PAI−1をPAI−2に変更する以外は実施例2および実施例3と同一の条件で試験片、歯車を作製して評価したところ、実施例2および実施例3と同様の特性を示した。
【0069】
【発明の効果】
本発明の樹脂製歯車は、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂と配合剤とからなる成形品用樹脂組成物を成形してなる樹脂製歯車であって、この成形品用樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との配合割合は、容量比で 80:20 20:80 であり、配合剤として 5〜30 容量%の繊維系充填材および 3〜30 容量%の固体潤滑剤を配合してなるので、優れた成形精度、耐熱変形性、高温時の機械的強度および射出成形性を有する。
【0070】
とくに、硫酸カルシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどのウィスカを 1〜 30 容量%さらに配合すると、上記樹脂製歯車は、樹脂製の相手歯車を損傷させることなく、しかも耐摩耗性があり、安定してトルク伝達を行い得る。
【0071】
また、ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度をせん断速度 1×103 s-1および温度 350℃の条件で 500Pa・s 以下とし、または、分子構造中に脂肪族基等を含むことにより、射出成形性および耐熱性により優れる。
【0072】
さらに、芳香族ポリアミド繊維等の繊維類やポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系化合物を用いることにより、機械的特性に優れる。
【0073】
本発明の事務機器用樹脂製歯車は、上述の樹脂製歯車を事務機器の歯車として利用したものであるので、耐熱変形性、高温時の機械的強度に優れるとともに、樹脂製の相手歯車を損傷させることなく、しかも耐摩耗性があり、安定してトルク伝達を行い得る。

Claims (9)

  1. ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂と配合剤とからなる成形品用樹脂組成物を成形してなる樹脂製歯車であって、前記成形品用樹脂組成物における前記ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との配合割合は、容量比で 80:20 20:80 であり、前記配合剤として、 5〜30 容量%の繊維系充填材および 3〜30 容量%の固体潤滑剤を少なくとも含有することを特徴とする樹脂製歯車。
  2. 前記配合剤として、さらにウィスカを 1〜30 容量%含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂製歯車。
  3. 前記ウィスカが、硫酸カルシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、短繊維状合成ケイ酸カルシウム水和物ウィスカおよびチタン酸バリウムウィスカから選ばれた少なくとも一つのウィスカであることを特徴とする請求項2記載の樹脂製歯車。
  4. 前記ポリアミドイミド樹脂と前記ポリフェニレンスルフィド樹脂との混合樹脂の溶融粘度が、せん断速度 1×103 s-1 および温度 350℃の条件で 500 Pa・s 以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
  5. 前記ポリアミドイミド樹脂がアミド結合間、イミド結合間またはアミド結合とイミド結合間に脂肪族残基および脂環族残基から選ばれた少なくとも一つの残基を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
  6. 前記繊維系充填材がガラス繊維、炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維から選ばれた少なくとも一つの繊維系充填材であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
  7. 前記固体潤滑材がフッ素系化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
  8. 前記フッ素系化合物がポリテトラフルオロエチレン樹脂であることを特徴とする請求項7記載の樹脂製歯車。
  9. 事務機器用樹脂製歯車であって、該歯車が請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載の樹脂製歯車であることを特徴とする事務機器用樹脂製歯車。
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