JP2007107721A - 樹脂製歯車 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度が高く、グリースの有無に関わらず耐摩耗性に優れ、鉄系の非軟質材はもとより軟質材に対しても攻撃性が低く、成形が容易な樹脂組成物を成形して得られる。
【解決手段】樹脂組成物の成形体からなる樹脂製歯車であって、その樹脂組成物が樹脂に少なくとも固体潤滑剤およびウィスカ材とを配合してなり、ウィスカ材は、モース硬度 5未満のウィスカ配合量がモース硬度 5以上のウィスカ配合量より多いことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂組成物の成形体からなる樹脂製歯車であって、その樹脂組成物が樹脂に少なくとも固体潤滑剤およびウィスカ材とを配合してなり、ウィスカ材は、モース硬度 5未満のウィスカ配合量がモース硬度 5以上のウィスカ配合量より多いことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、耐摩耗性の必要な部材に適用できる摺動材用樹脂組成物を成形して得られる樹脂製歯車に関する。
近年、音響機器、複写機などの事務機器、自動車部品その他の機械部品類に、摺動材用樹脂組成物を成形することにより得られる、樹脂製歯車が多用されている。金属製の歯車に比較して、極端な高荷重下や高温下では使用できない制約はあるものの、軽量化、低コスト化、グリースレス化、複合部品の一体化などが可能であり、樹脂製歯車は、その使用量が増加している。
樹脂製歯車として必要な特性に、自らの耐摩耗性や相手材への低攻撃性がある。すなわち、相手材との摺動による自らの摩耗量と、相手材の摩耗量を共に少なくすることが必要であるが、この二つの特性は相反する面を有している。たとえば、ポリフェニレンスルフィド樹脂を主とする摺動材用樹脂組成物では繊維状充填材を加えないと自らの摩耗量が著しく多くなるため、通常ガラス繊維を配合することが多い。しかし、この場合、相手材が軟質材、たとえばアルミニウムや合成樹脂材などの場合は、ガラス繊維が比較的硬いため、攻撃性が高くなり、相手材の摩耗量が多くなる傾向がある。一方、炭素繊維などの比較的柔らかい充填材を配合すると、相手材への攻撃性は少なくなるが、樹脂製歯車としての強度が弱くなるとともに自らの摩耗量が増加する。
このような相反する問題に対処する樹脂製歯車に使用できる摺動材用樹脂組成物として、特許文献1や特許文献2が知られている。たとえば、特許文献1は、ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリテトラフルオロエチレン樹脂と芳香族ポリアミドパルプと酸化亜鉛ウィスカとを構成要素とするものであり、特許文献2は、合成樹脂とウィスカと芳香族ポリアミド繊維と固体潤滑剤とを構成要素とするものである。
特開平5−306371号公報
特開平6−279689号公報
しかしながら、近年事務機器などにおいて、機器の小型軽量化や、機器作動時の騒音を極力少なくする静音化対策が重要となるにつれ、従来の摺動材用樹脂組成物では、機器の小型軽量化や静音化に十分対応できる樹脂製歯車が得られないという問題がある。たとえば、芳香族ポリアミドパルプや芳香族ポリアミド繊維は、見掛け比重が小さく嵩だかな充填材であるため、樹脂組成物の造粒工程や射出成形工程で工程条件が制限され、小型軽量化を目的とした複雑な製品形状によっては成形ができないものも生じるという問題があった。
また、芳香族ポリアミドパルプや芳香族ポリアミド繊維は、射出成形でガスが発生するため、金型を汚染しやすい。このため、所定回数毎に金型の洗浄をしなければならず、連続成形が困難であるという問題がある。
さらに、芳香族ポリアミドパルプや芳香族ポリアミド繊維は吸湿性の高い材料であり、射出成形前にペレットの乾燥工程を確実に行わないと、成形品に発泡等の不具合が発生する場合がある。このため、材料本来の高コストとともに、工程数が増えることによる生産コスト上昇となり、樹脂製歯車としての工業的有用性が制限されるという問題があった。
一方、静音化対策が要求される事務機器においては、高荷重や高温に曝される部位で使用される鉄系焼結歯車にグリース類を塗布し、歯車の噛み含わせ音を防ぐ場合が多い。この場合、このグリース類が樹脂製歯車に伝搬付着すると樹脂製歯車の摩耗により発生した樹脂摩耗粉や脱落した繊維状補強材がグリース類によって捕獲され摺動界面で研磨剤のように働き、自らも相手材も非常に大きな摩耗をおこすという問題があった。これは、とくにガラス繊維などを補強材とした場合に顕著に見られる問題であった。
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、機械的強度が高く、グリースの有無に関わらず耐摩耗性に優れ、鉄系の非軟質材はもとより軟質材に対しても攻撃性が低く、成形が容易であり、さらに工業的有用性の高い樹脂成形体が得られる摺動材用樹脂組成物を用いて成形した樹脂製歯車を提供することを目的とする。
本発明の樹脂製歯車は、樹脂組成物の成形体からなる樹脂製歯車であって、上記樹脂組成物が樹脂に少なくとも固体潤滑剤およびウィスカ材とを配合してなり、上記ウィスカ材はモース硬度 5未満のウィスカとモース硬度 5以上のウィスカとを含む摺動材用樹脂組成物であることを特徴とする。また、該ウィスカ材は、モース硬度 5未満のウィスカ配合量がモース硬度 5以上のウィスカより配合量が多いことを特徴とする。
モース硬度 5未満のウィスカがウオラストナイトウィスカおよび炭酸カルシウムウィスカから選ばれた少なくとも一つのウィスカであり、モース硬度 5以上のウィスカがホウ酸アルミニウムウィスカおよび鉱物繊維から選ばれた少なくとも一つのウィスカであることを特徴とする。
摺動材用樹脂組成物を構成する樹脂がポリアリーレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂および熱可塑性ポリイミド系樹脂の中から選ばれた少なくとも一つの樹脂であることを特徴とする。
また、摺動材用樹脂組成物を構成する固体潤滑剤がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする。
上記本発明の樹脂製歯車は画像形成装置に使用されることを特徴とする。
また、画像形成装置の定着部周辺部位に使用されることを特徴とする。
また、画像形成装置の定着部周辺部位に使用されることを特徴とする。
本発明の樹脂製歯車を成形する摺動材用樹脂組成物は、モース硬度の異なるウィスカを配合することにより、樹脂組成物の流動性を向上させるので、グリースの有無に関わらず摺動時に相手材を攻撃することが少なく、自身の耐摩耗性にも優れている。
その結果、その摺動材用樹脂組成物を成形することによって、優れた機械的強度や耐摩耗性、摺動時に相手材を攻撃し難い性質を有する樹脂製歯車が得られる。
その結果、その摺動材用樹脂組成物を成形することによって、優れた機械的強度や耐摩耗性、摺動時に相手材を攻撃し難い性質を有する樹脂製歯車が得られる。
本発明に係る樹脂は、摺動部材に必要とされる耐熱温度、雰囲気その他の条件によって任意に選択することができる。たとえば、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等を例示することができる。これらは、単独でも 2種以上の樹脂からなるポリマーアロイやポリマーブレンドであっても使用することができる。
これらの中でも、ポリフェニレンスルフィド樹脂等のポリアリーレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等のポリエーテルケトン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂が摺動部材としての耐熱性、機械的強度、成形性に優れているため好ましい。さらにポリフェニレンスルフィド樹脂がより成形性に優れるとともに低価格で工業的有用性に優れているため最も好ましい。
ポリアリーレンスルフィド系樹脂として、たとえばポリフェニレンスルフィド樹脂は、芳香族基がチオエーテル結合で連結された構造を有する樹脂をいい、その繰り返し単位を化1に示す。
これらのうち、とくに典型的なものは化2で示されるものであり、米国フィリップス・ペトローリアム社から「ライトン」の商標で市販され、その製造方法は米国特許第 3,354,129号(対応日本特許「特公昭 45-3368」)等に開示されている。
それによると、「ライトン」は N- メチル-2- ピロリドン溶媒中、 160〜250℃、加圧条件下に p- ジクロルベンゼンと二硫化ソーダとを反応させることによって製造される。この場合、樹脂中に架橋構造が全くないものから部分的架橋構造を有するものに至るまで各種重合度のものを後熱処埋工程にかけて自由に製造することができるので、目的の溶融ブレンドに適正な溶融粘度特性を有するものを任意に選択使用することが可能である。また、上記した以外に架橋構造をとらない直鎖状のポリフェニレンスルフィド樹脂を採用してもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、 300℃で 10 〜10,000Pa・s 、好ましくは 30 〜3,000 Pa・s 、より好ましくは 30 〜1,000 Pa・s 、最も好ましくは 50 〜800 Pa・s である。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の末端にSH基を導入した樹脂であってもよい。そのようなポリフェニレンスルフィド樹脂の市販品としては、T4AG(トープレン社、商品名)、B160(東ソー社、商品名)、KPS W214(呉羽化学工業社、商品名)等が挙げられる。
ポリエーテルケトン系樹脂は、下記化3で示される繰り返し単位を有する樹脂、またはこのような繰り返し単位とともに下記化4で示される繰り返し単位をポリエーテルケトン系樹脂本来の特性が失われない程度に共存させている樹脂をいう。
このようなポリエーテルケトン系樹脂の市販品としては、下記化5で表されるPEEK150P(ビクトレックス (VICTREX)社、商品名)、下記化6で表されるPEK220G(ICI社、商品名)、下記化7で表されるUltrapekA2000(BASF社、商品名)が挙げられる。これらの製法は、たとえば特開昭 54-90265 号公報等に記載されている。
熱可塑性ポリイミド樹脂は、分子構造の繰り返し単位中に、熱的特性、機械的強度等に優れたイミド基が芳香族基を取り囲みながらも、熱などのエネルギーが加えられることにより適度な溶融特性を示すエーテル結合部分を複数個有する構造のイミド系樹脂がよく、機械的特性、剛性、耐熱性、射出成形性を満足させるため、エーテル結合部を繰り返し単位中に 2個有する熱可塑性ポリイミド樹脂が好ましい。たとえば、芳香族エーテルジアミン類や芳香族エーテルジイソシアネート類等と、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の 1種以上の酸無水物またはその誘導体との反応により得られる樹脂を挙げることができる。
具体的に、イミド基と芳香族基とを有する重合体の一例を化8に示す。
(式中、Xは直結または炭素数 1〜 10 の炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基およびスルホン基からなる群より選ばれた基を表わし、R1〜R4は水素、低級アルキル基(好ましくは炭素数 1〜5 )、低級アルコキシ基(好ましくは炭素数 1〜5 )、塩素または臭素を表わし、互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは炭素数 2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群から選ばれた 4価の基を表わす。)
化8で示される熱可塑性ポリイミド樹脂は、たとえば、下記化9で示される芳香族エーテルジアミンと 1種以上の芳香族テトラカルボン酸二無水物の反応によって得られるポリアミド酸を脱水環化して得られる。
(式中、Xは直結または炭素数 1〜 10 の炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基およびスルホン基からなる群より選ばれた基を表わし、R1〜R4は水素、低級アルキル基(好ましくは炭素数 1〜5 )、低級アルコキシ基(好ましくは炭素数 1〜5 )、塩素または臭素を表わし、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
このような熱可塑性ポリイミド樹脂のうち、市販品としては化8におけるR1〜R4が全て水素である三井化学社製の商品名オーラム(AURUM)などを挙げることができる。
このような熱可塑性ポリイミド樹脂のうち、市販品としては化8におけるR1〜R4が全て水素である三井化学社製の商品名オーラム(AURUM)などを挙げることができる。
固体潤滑剤としてはポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する)等のフッ素樹脂やグラファイト、二硫化モリブデン等を挙げることができ、これらを単独で、または混合して用いることができる。とくにPTFEは最も潤滑性に優れており好適に使用できる。PTFEは懸濁重合法によるモールディングパウダ、乳化重合法によるファインパウダのいずれも使用することができる(以下、モールディングパウダおよびファインパウダをバージンPTFEと略称する)。また、このバージンPTFEを加圧・加熱した後粉砕したものや、加圧・加熱した後粉砕しさらにγ線照射したもの(以下、これらを再生PTFEと略称する)を使用することができる。
バージンPTFEは、樹脂組成物を造粒する際、繊維化するため造粒化に悪影響を及ぼすが、少量であれば補強効果を有するため再生PTFEや他の固体潤滑剤と併用して使用することが好ましい。これらの固体潤滑剤の摺動材用樹脂組成物における配合割合は、樹脂 100重量部に対して、 5〜100 重量部であり、好ましくは 5〜 80 重量部である。この範囲であると他の特性を維持して潤滑性を向上させることができる。
本発明に係るウィスカ材は、平均アスペクト比 10 以上で繊維長 100μm 以下の短繊維材をあらわし、本発明にあっては、モース硬度 5未満のウィスカとモース硬度 5以上のウィスカとを 2種以上混合して用いる。モース硬度 5未満のウィスカは、たとえば樹脂製歯車への補強効果は小さいが、グリースを介在してもその柔らかさゆえに異常摩耗を起こしにくい。一方、モース硬度5以上のウィスカは、補強効果は大きいが、異常摩耗を起こしやすくする。本発明の摺動材用樹脂組成物は、モース硬度 5未満のウィスカとモース硬度 5以上のウィスカとを混合して用いることにより、樹脂製歯車等への補強効果と耐摩耗性とのバランスをとるものである。なお、本願で説明するモース硬度は、モース硬度 5を基準としているので、新モース硬度、旧モース硬度のいずれの評価基準を採用してもよいが、本願で説明するモース硬度については旧モース硬度を基準にして評価する。
モース硬度 5未満のウィスカとしては、ウォラストナイトウィスカ(モース硬度 4.5)、硫酸カルシウムウィスカ(モース硬度 3)、炭酸カルシウムウィスカ(モース硬度 3.5〜4 )、チタン酸カリウムウィスカ(モース硬度 3.5)などを挙げることができる。これらのなかで、補強効果が高く比較的安価なため、ウォラストナイトウィスカおよび/または炭酸カルシウムウィスカが好ましい。
モース硬度 5以上のウィスカとしては、ホウ酸アルミニウムウィスカ(モース硬度 7〜 7.5)、ホウ酸マグネシウムウィスカ(モース硬度 5.5)、酸化チタンウィスカ(モース硬度 7〜7.5 )、窒化ケイ素ウィスカ(モース硬度 9)、炭化ケイ素ウィスカ(モース硬度 9)、アルミナウィスカ(モース硬度 9)、火成岩を溶融し加工精製した鉱物繊維(モース硬度 6)などを挙げることができる。これらのなかで、比較的長形であり補強効果が高いため、ホウ酸アルミニウムウィスカおよび鉱物繊維が好ましい。
これらのモース硬度の異なる 2種以上のウィスカは、モース硬度 5未満のウィスカをモース硬度 5以上のウィスカより多量に配合すると、補強効果が大きいままで、グリースを使用した場合においても異常摩耗が起こり難くなる。モース硬度の異なる 2種以上のウィスカの好ましい配合割合は、モース硬度 5以上のウィスカの総量を 100重量部とした場合に、モース硬度 5未満のウィスカの総量が 100〜1000重量部である。より好ましくは、モース硬度 5以上のウィスカの総量を 100重量部とした場合に、モース硬度 5未満のウィスカの総量は 150〜500 重量部である。
これらのウィスカの摺動材用樹脂組成物における配合割合は、樹脂 100重量部に対して、 5〜250 重量部であり、好ましくは 10 〜150 重量部、さらに好ましくは 20 〜100 重量部である。 5〜250 重量部の範囲にあると補強効果や成形体自身の耐摩耗性が向上する。また、本発明の摺動材用樹脂組成物は、ウィスカ材と芳香族ポリアミド繊維材とを併用した樹脂組成物に比較して成形性が向上する。
このような組成物は、具体的には、歯車の内径部分が回転摺動するアイドラギア用の組成物として好適である。そして、そのような機構部品の用途部位としては、たとえば、トナー像転写式の湿式静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリンタ(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンタ、ファクシミリ(FAX)用プリンタ、発光ダイオード(LED)、銀塩写真方式によるプリンタ(CRT)等、プリンタ、印刷機などといった画像形成装置全般を適用可能なものとして挙げることができる。また、本発明の樹脂組成物からなる滑り軸受、歯車、滑り軸受を有する歯車(たとえばアイドラギア)等の機構部品は、感光部、現像部、定着部など、画像形成装置内のいかなる配置部位にも用いることができる。しかし、たとえばポリアリーレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂等の優れた耐熱性を考慮すれば、感光部や現像部よりも高温で使用される定着部周辺部位に用いられる機構部品として好適である。
樹脂製歯車の一例を図1に示す。図1は画像形成装置における定着部周辺の部分拡大斜視図である。図1において、1は駆動ギアを、2は定着ローラギアを、3はアイドラギアを、4は排紙ローラギアを、5はヒータを、6は排紙ローラを、7は定着ローラをそれぞれ示す。本発明の樹脂製歯車をこのような定着部周辺に用いると現像部周辺等よりも高温で使用されても優れた機械的強度や耐摩耗性、摺動時に相手材を攻撃し難い性質を維持することができる。
実施例および比較例に使用した原材料を一括して以下に示す。なお、[ ]内に表1での略号または化学記号を示し、配合割合は全て重量部である。
(1)樹脂1:ポリフェニレンスルフィド樹脂[PPS]:#B160(東ソー社製商品名)
(2)樹脂2:ポリイミド樹脂[PI]:オーラム450(三井化学社製商品名)
(3)樹脂3:ポリエーテルエーテルケトン樹脂[PEEK]:PEEK150P(ビクトレックス社製商品名)
(4)ウィスカ1:ウォラストナイトウィスカ[CaSiO3];モース硬度 4.5:ケモリットASB8(丸和バイオケミカル社製商品名)
(5)ウィスカ2:炭酸カルシウムウィスカ[CaCO3];モース硬度 4:ウィスカルAS3(丸尾カルシウム社製商品名)
(6)ウィスカ3:硫酸カルシウムウィスカ[CaSO4];モース硬度 3:フランクリンファイバーA30(大日精化社製商品名)
(7)ウィスカ4:ホウ酸アルミニウムウィスカ[9Al2O3・2B2O3];モース硬度 7:アルボレックスY(四国化成工業社製商品名)
(8)ウィスカ5:鉱物繊維[SiO、Al2O3];モース硬度 6:ラピナスロックフィルRF5104(ラピナスファイバーズ社製商品名)
(9)固体潤滑剤1:再生PTFE[PTFE−1]:KT400H(喜多村社製商品名)
(10)固体潤滑剤2:バージンPTFE[PTFE−2]:TEFLON−7J(デュポン社製商品名)
(11)芳香族ポリアミド繊維:[ARPA]:コーネックスカットファイバー1mm(帝人社製商品名)
(12)炭素繊維:[CF]:クレカチョップM104T(呉羽化学工業社製商品名)
(1)樹脂1:ポリフェニレンスルフィド樹脂[PPS]:#B160(東ソー社製商品名)
(2)樹脂2:ポリイミド樹脂[PI]:オーラム450(三井化学社製商品名)
(3)樹脂3:ポリエーテルエーテルケトン樹脂[PEEK]:PEEK150P(ビクトレックス社製商品名)
(4)ウィスカ1:ウォラストナイトウィスカ[CaSiO3];モース硬度 4.5:ケモリットASB8(丸和バイオケミカル社製商品名)
(5)ウィスカ2:炭酸カルシウムウィスカ[CaCO3];モース硬度 4:ウィスカルAS3(丸尾カルシウム社製商品名)
(6)ウィスカ3:硫酸カルシウムウィスカ[CaSO4];モース硬度 3:フランクリンファイバーA30(大日精化社製商品名)
(7)ウィスカ4:ホウ酸アルミニウムウィスカ[9Al2O3・2B2O3];モース硬度 7:アルボレックスY(四国化成工業社製商品名)
(8)ウィスカ5:鉱物繊維[SiO、Al2O3];モース硬度 6:ラピナスロックフィルRF5104(ラピナスファイバーズ社製商品名)
(9)固体潤滑剤1:再生PTFE[PTFE−1]:KT400H(喜多村社製商品名)
(10)固体潤滑剤2:バージンPTFE[PTFE−2]:TEFLON−7J(デュポン社製商品名)
(11)芳香族ポリアミド繊維:[ARPA]:コーネックスカットファイバー1mm(帝人社製商品名)
(12)炭素繊維:[CF]:クレカチョップM104T(呉羽化学工業社製商品名)
実施例1〜6および比較例1〜4
以上の原料を表1に示す割合で配合し、ヘンシェルミキサーで充分混合した後、二軸溶融押出機に供給しペレットを造粒した。得られたペレットを射出成形機に供給し、所定の金型を用い各試験片を成形し下記の評価を行った。
以上の原料を表1に示す割合で配合し、ヘンシェルミキサーで充分混合した後、二軸溶融押出機に供給しペレットを造粒した。得られたペレットを射出成形機に供給し、所定の金型を用い各試験片を成形し下記の評価を行った。
a.摩擦摩耗試験摩擦摩耗試験機を用い、外径φ 21 mm、内径φ 17 mm、高さ 10 mmの試験片により、摩擦係数と摩耗係数を測定した。試験条件は、滑り速度 6m/min.、面圧 5kgf/cm2、雰囲気温度 120℃、試験時間 100hとし、相手材として圧延鋼(SS41)を用い、無潤滑にて行った。
b.歯車耐久試験自社製の動力吸収型の歯車耐久試験機を用いて、内径部分が回転摺動するアイドラギヤ(モジュール= 1、歯数= 35 、歯幅= 8)に実施例および比較例の摺動材用樹脂組成物からなる歯車を採用し、駆動ギヤ(モジュール= 1、歯数= 35 、歯幅= 8)にガラス繊維強化PPSからなる歯車を、負荷ギヤ(モジュール= 1、歯数= 35 、歯幅= 8)にポリアセタール樹脂からなる歯車を採用した。試験条件は、複写機用の定着部位での仕様に準ずるように、駆動軸回転数 125rpm 、負荷トルク 2.5kgf-cm、雰囲気温度 150℃で 500時問連続運転した。なお、試験開始時にグリースを駆動ギヤ表面に塗布しグリース潤滑とした。試験後のアイドラギヤ、駆動ギヤおよび負荷ギヤの摩耗量(mg)を測定した。
c.成形性表1に示す配合による摺動材用樹脂組成物の前述の試験片を射出成形する際に観察し、試験片の成形が容易か否かを評価した。 1000 ショットの連続成形を行い、連続成形可能であれば○で、連続成形が不可能であれば×で評価した。
表1の試験結果から明らかなように、モース硬度 5以上とモース硬度 5未満のウィスカを適量配合した実施例1、2は、摩耗が少なくかつ相手攻撃性も良好であった。さらに成形性に優れている。モース硬度 5以上とモース硬度 5未満のウィスカを適量配合しているものの、芳香族ポリアミド繊維を添加した比較例1は、成形性が悪く、また製造コストが実施例1に比較して約 30 %高価となった。モース硬度 5未満のウィスカだけを配合した比較例2は、補強効果が小さいため、歯車の歯の一部が破壊されていた。モース硬度 5以上のウィスカだけを配合した比較例3は、ポリアセタール樹脂からなる相手歯車の攻撃性が高かった。ウィスカーの代わりに炭素繊維を配合した比較例4は、自身および相手の耐摩耗性が極端に低下した。
本発明の樹脂製歯車は、優れた機械的強度や耐摩耗性、摺動時に相手材を攻撃し難い性質を有するので、感光部や現像部よりも高温で使用される定着部周辺部位に用いられる機構部品として好適である。
1 駆動ギア
2 定着ローラギア
3 アイドラギア
4 ローラギア
5 ヒータ
6 排紙ローラ
7 定着ローラ
2 定着ローラギア
3 アイドラギア
4 ローラギア
5 ヒータ
6 排紙ローラ
7 定着ローラ
Claims (8)
- 樹脂組成物の成形体からなる樹脂製歯車であって、前記樹脂組成物が樹脂に少なくとも固体潤滑剤およびウィスカ材とを配合してなり、前記ウィスカ材はモース硬度 5未満のウィスカとモース硬度 5以上のウィスカとを含む摺動材用樹脂組成物であることを特徴とする樹脂製歯車。
- 前記ウィスカ材は、モース硬度 5未満のウィスカ配合量がモース硬度 5以上のウィスカ配合量より多いことを特徴とする請求項1記載の樹脂製歯車。
- 前記モース硬度 5未満のウィスカがウォラストナイトウィスカおよび炭酸カルシウムウィスカから選ばれた少なくとも一つのウィスカであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の樹脂製歯車。
- 前記モース硬度 5以上のウィスカがホウ酸アルミニウムウィスカおよび鉱物繊維から選ばれた少なくとも一つのウィスカであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
- 前記樹脂がポリアリーレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂および熱可塑性ポリイミド系樹脂の中から選ばれた少なくとも一つの樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
- 前記固体潤滑剤はポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
- 前記樹脂製歯車は画像形成装置に使用されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の樹脂製歯車。
- 前記樹脂製歯車は画像形成装置の定着部周辺部位に使用されることを特徴とする請求項7記載の樹脂製歯車。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007146129A (ja) * | 2005-11-07 | 2007-06-14 | Toray Ind Inc | 樹脂組成物、それからなる錠剤の製造方法、および成形品 |
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-
2006
- 2006-10-30 JP JP2006294736A patent/JP2007107721A/ja active Pending
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