JP3604200B2 - 複写機用分離爪の射出成形方法 - Google Patents

複写機用分離爪の射出成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、サーモトロピック液晶ポリマー製の射出成形体、複写機用分離爪及びその射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、サーモトロピック液晶ポリマーとしては、全芳香族ポリエステル等の芳香族系ポリエステル、ポリエステルアミド系、ポリアミドイミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリアゾメチン系などがあり、これらの射出成形体は、耐熱性、衝撃などの機械的強度などに優れた摺動部材として、軸受、スリーブ、ブッシュ、カラー、ワッシャ、カム、ピストンシール、ソケットなどに利用されている。
【0003】
また、乾式複写機等の電子写真装置には、文字または図形等に対応して感光ドラムの外縁に形成された静電荷潜像をトナー像に変換した後、このトナー像を給紙カセットから供給されて来る紙面に転写し、さらに転写されたトナー像を紙面に定着させるために加熱された定着ローラーによって外縁を加熱加圧し、トナー像と紙繊維とを融着させて両者が容易に離れないようにする機構が組み込まれている。
【0004】
そして、このような定着ローラーを通過した複写紙がローラーに巻き付くことなく確実に排出されるように、分離爪をその先端がローラーの外周面に密着させながら複写紙の端をすくい上げるように装着されている。
【0005】
このような複写機用分離爪は、通常、板状本体の一隅に、板状本体の隣合う辺が鋭角状に配置形成された爪先端部を有するものであり、板状本体の側面には厚さ方向に貫通する穴を1〜3個形成している。このような穴は、複写機へ取付けた際に軸を挿通したり、または製造段階で分離爪を所謂くし刺しの状態に保持して爪の先端部を保護しながら製造工程間の運搬に利用したりするものであって、射出成形時に金型にコア(中子)を装入して形成されたものである。
【0006】
そして、このような複写機用分離爪には、ローラーの外周面に対して摩擦抵抗が小さく外縁を損傷しないこと、充分な機械的強度、特に高温剛性を有し、刃先または特にその先端部形状に充分な精度が得られること、さらにはトナーが粘着されないことなどの諸特性が要求される。
【0007】
特に近年では、複写速度の高速化に伴い、定着ローラーによる加熱温度をより高温に設定する場合が多くなり、分離爪に対しても約250℃以上、ときには約300℃以上の耐熱性が要求されている。
【0008】
複写機用分離爪の成形材料のうち、射出成形可能なものとしては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリエステル(LCP)等が挙げられる。
【0009】
このうちLCPは、溶融した際に異方性のある液晶状態となって、分子が流動方向に著しく配向し、硬化時には分子が一定の方向に配列するため、自己補強効果があって高い機械的性質を示し、また衝撃強さ、耐熱性、低吸水性に優れた材料である。
【0010】
通常、このようなLCPの配向効果を最大限に活かして射出成形体、特に分離爪を射出成形するには、射出成形用ゲートを分離爪先端部から最も離れた位置に配置し、金型内の樹脂流動方向を爪先端部に向けるようにしていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、LCPからなる射出成形体、特に板状の複写機用分離爪は、射出成形した時に溶融樹脂先端が合流してウエルド(ライン)を形成するので、このウエルド部分の自己補強効果が望めないという欠点がある。
【0012】
特に、複写機用分離爪は、前記した板状本体の側面に板厚方向に貫通する穴を1〜3個有するものであるから、このような穴を形成するための金型内のコアの周りにウエルドが形成されることになる。
【0013】
このようなウエルドの強度を向上させる公知技術としては、LCPにガラス繊維や炭素繊維、またはウィスカなどの繊維状補強剤を充填して分子配向を適当に乱す方法があるが、これでは充分な強度を得ることはできない。
【0014】
また、金型にコアを装入せず、穴を後加工によって形成することも考えられるが、これでは射出成形後に煩雑な作業が必要となり、生産効率の低下および製造コストの上昇を招くことになる。
【0015】
そこで、この発明の第1の課題は、上記した問題点を解決して、支持軸が貫通する軸穴を有するサーモトロピック液晶ポリマー製の射出成形体のおいて、ウエルドによる機械的強度の低下の影響がなく、本来のLCPの自己補強効果を充分に発揮するLCP製射出成形体とすることである。
【0016】
また、この発明の第2の課題は、ウエルドによる機械的強度の低下の影響がなく、本来のLCPの自己補強効果を充分に発揮する複写機用分離爪とすると共に、このような複写機用分離爪を生産効率の低下および製造コストの上昇を招くことなく提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の課題を解決するため、この発明においては、角状部分を有し、かつ支持軸が貫通する軸穴を有するサーモトロピック液晶ポリマー製の射出成形体において、前記軸穴から成形体の外面に延びるウエルドを、前記角状部分の先端以外の外面に至るように配置したのである。
【0018】
また、前記の第2の課題を解決するために、この発明においては、サーモトロピック液晶ポリマー製の射出成形体からなる板状本体に鋭角状の爪先端部を形成すると共に、支持軸が貫通する軸穴を板厚方向に形成した複写機用分離爪において、前記軸穴から板状本体の外縁に延びるウエルドを、軸穴から最も近い本体外縁に至るように配置するか、または軸穴より爪先端部に対して反対側の外縁に至るように配置したのである。
【0019】
また、上記複写機用分離爪において、ウエルドが、爪先端部から軸穴の中心までの距離を100とした場合に、爪先端部を中心とする半径80の距離より外側の外縁に至るように配置されるようにしたのである。
【0020】
また、サーモトロピック液晶ポリマーを射出成形して成形体に鋭角状の端部を形成すると共に、成形体に貫通する軸穴を形成する射出成形方法において、前記端部と軸穴形成用のコアの間にゲートを配置して射出成形したのである。
【0021】
または、サーモトロピック液晶ポリマーを射出成形して分離爪の板状本体に鋭角状の爪先端部を形成すると共に、板状本体の板厚方向に貫通する軸穴を形成する複写機用分離爪の射出成形方法において、前記爪先端部と軸穴形成用のコアの間にゲートを配置して射出成形したのである。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明に係る射出成形体は、軸穴から成型体の外面に延びるウエルドを、角状の先端部以外の外縁に至るように配置したので、その使用状態で衝撃などの機械的または熱的な影響がウエルドに伝わり難くなり、先端部の欠けや割れも発生せず、LCP本来の特性を発揮する射出成形体となる。
【0023】
この発明に係る複写機用分離爪は、板状本体に形成されるウエルドの外縁に延びる位置を爪先端部から離れた所定の配置にしたので、分離爪の使用状態で衝撃などの機械的または熱的な影響がウエルドに伝わり難くなり、また爪先端部にウエルドがないので、この部分の欠けや割れも発生せず、LCP本来の特性を発揮する分離爪となる。
【0024】
特に、ウエルドが、爪先端部から軸穴の中心までの距離を100とした場合に、爪先端部を中心とする半径80の距離範囲より外側の外縁に至るように配置されるようにした分離爪であれば、上記作用は特に顕著である。
【0025】
また、ウエルドの外縁に延びる位置を爪先端部から離れた所定の配置にするには、軸穴形成用のコアを金型内に配置し、前記爪先端部とコアの間にゲートを配置して射出成形するといった比較的簡易な手法を採用すればよいので、そのために生産効率の低下および製造コストの上昇を招かない。
【0026】
この発明に用いるサーモトロピック液晶ポリマーは、液晶状態で射出成形可能のものであって、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質を有している。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によって確認できる。液晶ポリマーの具体例としてはパラオキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシジフェニルおよびテレフタル酸を共重合させて得られる液晶性芳香族ポリエステルを挙げることができる。市販の液晶性芳香族ポリエステルとしては、日本石油化学社製のザイダー、住友化学工業社製のスミカスーパー及びポリプラスチックス社製のベクトラ等が挙げられる。
【0027】
また、この発明に用いる上記のサーモトロピック液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリエステル等が挙げられる。具体的には、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルカーボネート、ポリアゾメチン等である。
【0028】
サーモトロピック液晶ポリマーは、一般に細長く、偏平で、分子の長鎖に沿って、剛性が高く同軸または平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有しているようなモノマーから製造される。
【0029】
この発明で用いるサーモトロピック液晶ポリマーは、上記化合物を溶融アシドリシス法やスラリー重合法等の多様なエステル形成法により製造できる。
【0030】
この発明に用いるサーモトロピック液晶ポリマーは、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセグメントで構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂のセグメントから構成されるポリマーも含むものである。また、複数のサーモトロピック液晶ポリマーを複合したものも含む。
【0031】
上記のように光学的異方性溶融相を形成するポリマーとしては、たとえば全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミドなどが例示され、その構成成分としては、
(A)芳香族ジカルボン酸の少なくとも一種、
(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも1種、
(C)芳香族ジオール系化合物の少なくとも一種、
(D)(D1)芳香族ジチオール、(D2)芳香族チオフェノール、(D3)芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも1種、
(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合物の少なくとも1種等が挙げられる。
【0032】
これらは単独で構成される場合もあるが、多くの場合は(A)と(C)、(A)と(D)、(A)(B)と(C)、(A)(B)と(E)、または(A)(B)(C)と(E)などのように組み合わせて構成される。
【0033】
上記(A)の芳香族ジカルボン酸系化合物としては、テレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4´−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4´−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3´−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3´−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3´−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸など、上記芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0034】
(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0035】
(C)芳香族ジオールとしては、4,4´−ジヒドロキシジフェニル、3,3´−ジヒドロキシジフェニル、4,4´−ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4´−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3´−ジヒドロキシフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどの芳香族ジオールまたはクロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシンなどの芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0036】
(D1)芳香族ジチオールとしては、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレンジオール等が挙げられる。
【0037】
(D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
【0038】
(D3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0039】
(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノール−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N´−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4´−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4´−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4´−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4´−ジアミノフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4´−エチレンジアニリン、4,4´−ジアミノジフェノキシエタン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0040】
以上述べたサーモトロピック液晶ポリマーのうち、好ましい液晶ポリエステルとしては、下式の化1の式、すなわち(A)、(B)および(C)で表わされる繰り返し構造単位からなる液晶ポリエステルである。そして、このような液晶ポリエステルは、所定の方法で求めた流動温度が340℃以上であるものを採用して好ましい結果を得ている。そのような流動温度は、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100kgf/cmのもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出す時に、溶融粘度が48000ポイズを示す温度である。
【0041】
【化1】
Figure 0003604200
【0042】
(式中、nは0または1であり、(A):(B)のモル比は、1:1〜10:1の範囲にあり、(B):(C)のモル比は9:10〜10:9の範囲にある。また、式(B)、(C)中の芳香族の置換基は互いにパラまたはメタの位置にある。)
因みに、この発明では、射出成形体または複写機用分離爪の成形用組成物において、補強材や固形潤滑剤を添加してもよく、以下にこれらの詳細を説明する。
【0043】
この発明に用いることができる補強材は、特にその種類を限定するものではなく、チタン酸カリウムウィスカ、酸化チタンウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、グラファイトウィスカ、硫酸カルシウムウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、塩基性硫酸マグネシウムウィスカ、炭酸ケイ素ウィスカ、ウォラストナイト、ゾノライト、酸化マグネシウムウィスカなどのウィスカ類が細かく、爪の先端を効率よく補強することができるので、好ましいものとして挙げられる。
【0044】
これらのウィスカ類は、一般的な炭素繊維、ガラス繊維等と比べると、微細であり、一般に粉末状、繊維状のものである。また、相手ロールを攻撃しない程度を考慮すれば、炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維などを使用することもできる。
【0045】
前記したウィスカ類のなかで、チタン酸カリウムウィスカ、酸化チタンウィスカ、酸化亜鉛ウィスカは、耐摩耗性を良く向上させ、また、液晶特性を適度に抑制し、例えば射出金型から成形体を取り出す時に発生するねじれ等の強度も向上するので好ましい。
【0046】
チタン酸カリウムウィスカは、KO・6TiO、KO・6TiO・1/2HOを基本とする針状結晶を有し、代表的融点は1800〜1850℃で、一般的な繊維径は0.1〜1.0mm、繊維長は10〜120μmである。市販品としては、大塚化学社製:ティスモD,ティスモD101、チタン工業社製:HT200,HT300などが挙げられる。
【0047】
次に、酸化チタンウィスカは、化学式TiOで表わされるルチル型白色針状結晶で、平均繊維径0.05〜3μm、平均繊維長1〜100μmのものが好ましい。さらに好ましくは、平均繊維径0.05〜0.5μm、平均繊維長1〜30μmであってよい。
【0048】
このような酸化チタンウィスカは、その製造方法が特に限定されたものでなく、たとえば周知の硫酸法または塩素法により製造されたものであってよく、市販品としては石原産業社製:FTLシリーズがある。
【0049】
これらの酸化チタンウィスカの補強効果をさらに向上させるためには、カップリング剤による表面処理によって酸化チタンウィスカとマトリックスである液晶ポリエステルとの濡れ性、結合性を改良することが有効である。この時使用するカップリング剤は、シリコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロン系、リン系、アミノ酸系等である。
【0050】
液晶ポリエステルに対する酸化チタンウィスカの配合割合については、液晶ポリエステルと酸化チタンウィスカの合計量に対し5〜50wt%が適当であり、特に好ましい配合割合は10〜40wt%である。
【0051】
また、熱伝導性の向上により、トナーに対する非粘着性の向上効果のあるグラファイトを液晶ポリエステル組成物に5〜30重量%添加することも好ましい。なぜなら、グラファイトが5%未満の少量では非粘着性の向上がなく、30重量%を越える多量では溶融成形性に好ましくない影響を与えるからである。
【0052】
また、ホウ酸アルミニウムウィスカを同時に添加すれば、弾性率を向上させることができる。ホウ酸アルミニウムウィスカは、化学式9Al・2Bまたは2Al・Bで表わされる白色針状結晶で、平均繊維径0.05〜5μm、平均繊維長2〜100μmのものである。
【0053】
9Al・2Bで表わされるものは、真比重2.93〜2.95、融点1420〜1460℃であり、アルミニウム水酸化物およびアルミニウム無機塩の少なくとも一種と、ホウ素の酸化物、酸素酸およびアルカリ金属塩の少なくとも一種をアルカリ金属の硫酸塩、塩化物および炭酸塩の少なくとも一種からなる溶融剤の存在下900〜1200℃に加熱して、反応、育成させることによって製造する。一方、2Al・Bで表わされるものは真比重2.92〜2.94、融点1030〜1070℃で、9Al・2Bを製造するのと同じ成分で同じ溶融剤とを用いて、600〜1000℃の温度に加熱して反応、育成させることによって製造できる。
【0054】
これらのホウ酸アルミニウムウィスカの補強効果をさらに向上させるには、カップリング剤による表面処理によってホウ酸アルミニウムウィスカとマトリックスである液晶ポリエステルとの濡れ性、結合性を改良することが有効である。この時、使用するカップリング剤は、シリコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロン系、リン系、アミノ酸系などである。好ましいホウ酸アルミニウムウィスカは、化学式9Al・2Bで表わされるもので、市販品としては四国化成工業社製:アルボレックスGがあり、このものの平均繊維径は0.5〜1μm、平均繊維長は10〜30μmである。
【0055】
液晶ポリエステルに対するホウ酸アルミニウムウィスカの配合割合は、液晶ポリエステルとホウ酸アルミニウムウィスカの合計量に対して5〜50wt%が適当であり、特に好ましい配合割合は10〜40wt%である。
【0056】
また、グラファイトを液晶ポリエステル組成物に5〜30重量%添加すれば、熱伝導性が向上し、トナーに対する非粘着性の向上効果があるので好ましい。この場合、グラファイトが5%未満の少量では非粘着性の向上がなく、30重量%を越える多量では溶融成形性に好ましくない影響を与える。
【0057】
なお、前記のホウ酸アルミニウムウィスカおよびグラファイトの配合に加え、耐熱性繊維として、液晶ポリエステルの成形温度(通常300〜400℃)に耐える繊維を一種または二種以上同時に添加してもよい。耐熱性繊維は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、セラミック繊維、ロックウール、スラグウール、チタン酸カリウムウィスカ、シリコンカーバイドウィスカ、サファイアウィスカ、ウォラストナイト、鋼線、銅線、ステンレス鋼線、炭化ケイ素繊維、芳香族ポリアミド繊維などを例示することができる。
【0058】
また、耐熱性繊維以外の充填剤として、通常の樹脂組成物に添加される酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、結晶化促進剤などのほかに、耐摩耗性向上剤(たとえば、カーボランダム、珪石粉、二硫化モリブデン、フッ素樹脂など)、耐トラッキング性向上剤(たとえば、シリカなど)、その他充填剤(たとえば、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、珪藻土、クレー、カオリン、石膏、亜硫酸カルシウム、マイカ、金属酸化物、無機質顔料など、300℃以上で安定な物質)等を、また、チクソトロピー性付与剤として、微粉末シリカ、微粉末タルク、珪藻土等を、そして液晶ポリエステル固有の配向性を助長して自己強化性を大きくかつ安定して発揮させるためのポリエーテルオイル、オルガノポリシロキサン等、これらの一種または二種以上を、また、耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂等を、前記の配合に加え、前述の耐熱性繊維と同時に添加してもよい。
【0059】
ZnO等の酸化亜鉛ウィスカは、金属亜鉛を蒸気化し、気相酸化して合成する過程で例えば約1000℃以上の高温酸化および約4%以上の高Zn濃度で粒径の増大に伴ってウィスカを生成する等して製造することができる。
【0060】
このような酸化亜鉛ウィスカは、4軸放射形で各軸が先端に向かうほど細径となるテーパ状であり、マトリックスである樹脂の混練および成形時に、殆どのものが折れてテーパ状の軸の状態で存在すると考えられる。テーパ状の軸は、摺動面に露出した際に樹脂中から抜け難く、また配向して爪先端に入りやすく、即ち爪先端を効率良く補強すると考えられる。このような理由から酸化亜鉛ウィスカは、各軸の長さが2〜50μmで、軸の直径0.2〜3μmのものが好ましい。
【0061】
このような酸化亜鉛ウィスカの市販されているものとしては、松下アムテック社製;パナテトラ等が挙げられる。
【0062】
このような繊維状補強剤のLCPへの配合量は、全組成物量の10〜50重量%である。なぜなら繊維状補強剤が10重量%未満の少量では、充分な補強効果が得られず、50重量%を越える多量では、LCPとの均一な混合ができず、樹脂の流動性が失われて成形が困難になるからである。
【0063】
この発明に用いることのできる固形充填剤は、爪基材となる成形体の表面の摩擦係数の低減効果のある公知の固体潤滑剤等を採用することができる。固体潤滑剤としては、黒鉛、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン、フッ化黒鉛、一酸化鉛などが挙げられる。このような固体潤滑剤のうち、特に、黒鉛、フッ素樹脂は、摩擦抵抗の低減効果と共に、ローラに対する非攻撃性を向上させるのでより好ましいものである。
【0064】
次に、上記した補強材と共にまたは単独でこの発明に用いることのできる固形潤滑剤について述べる。
固形潤滑材は、芳香族ポリエステル樹脂の融点以上の熱分解温度を有するものが好ましく、具体例としては、所定の熱分解温度を有する熱硬化製樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0065】
ここでいう熱分解温度は、重量分析等で測定できる。詳しくは熱分析(DSC、DTA、TGAなど)により、熱天秤減量曲線(TG)と、示差熱分析曲線(DTA)等で求められ、初期の試料片(例えば約15mg)を例えば昇温速度約10℃/分で空気中または窒素ガス中にて加熱し、試料片に例えば約5%の重量減が生じる温度、または例えば約5mgの重量減が生じた温度であるか、または各温度別の重量減少%を調べ、これが約50重量%に対応する温度を熱分解による50重量%減量温度などを目安として求めることができ、微分熱分解開始温度として評価することができる。
【0066】
そのような熱分解温度を満足しえる熱硬化製樹脂は、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ケイ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられ、また、ポリイミド系樹脂としては、縮合型ポリイミド樹脂やビスマレイミド系、末端ナジック酸系、アセチレン系等の付加型ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの中には溶融性を示すものもある。
【0067】
前述の熱硬化製樹脂のなかでも、特にフェノール系樹脂は、機械的性質、耐熱・耐寒性、寸法安定性、耐溶剤性、耐酸性、耐水性および価格などからみた総合的な諸物性において、これらが比較的バランス良く優れており、特に高温時の機械的強度の保持性に優秀であって、微分熱分解開始温度は約405℃である。
【0068】
フェノール系樹脂のうち、成形材料としては、比較的成形性に優れるノボラック系が用いられ、レゾール系のものは、ノボラック系のものよりも熱衝撃性に優れている。また、レゾール系の一段法成形材料は、二段法よりも製造に比較的時間を要し、硬化速度も遅いという特性をもっている。
【0069】
このようなフェノール樹脂以外にエポキシ系樹脂、ケイ素系樹脂、ポリイミド系樹脂の微分熱分解開始温度は、それぞれ約390℃、約505℃、約400〜550℃前後であり、これらも高温時の機械的強度に優れ、微分熱分解開始温度が約390℃以上、好ましくは約400℃以上の樹脂であればよい。なぜなら、成形材料は、二軸溶融押出機でのペレット造粒時における約210〜380℃前後以上の高温時や、射出成形時の約210〜約380℃前後以上のシリンダー温度、およびその後の約250〜340℃での熱処理時、そしてまた例えばPFA系樹脂ではコーティングに伴う約340〜350℃での焼成などの諸種の製造工程においても、熱分解の進行が比較的緩やかだからである。
【0070】
これらの熱硬化性樹脂を3〜10重量%、好ましくは5〜8重量%添加することで分離爪の刃先の耐衝撃性や、耐摩耗性を更に改善することができると考えられる。
【0071】
この場合、熱硬化性樹脂の配合量が3重量%未満の少量では、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性などの向上にあまり効果がなく、10重量%を越える多量では、シリンダー温度約210℃以上、高いものでは約280〜340℃以上のような比較的高温で芳香族ポリエステル樹脂を溶融して射出成形などをする場合に、シリンダー内での熱硬化の進行などの不都合により、安定した造粒性、射出成形性および寸法精度などが期待できないからである。
【0072】
一方、前記した熱可塑性樹脂の代表例として、下記に列挙したようなフッ素系樹脂が挙げられる。なお、〔 〕内には熱分解温度を示した。
【0073】
▲1▼ ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、〔約508〜538℃〕
▲2▼ テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、〔約464℃以上〕
▲3▼ テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、〔約419℃以上〕
▲4▼ ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)〔約347〜418℃〕▲5▼ テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、〔約347℃以上〕
▲6▼ クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、〔約330℃以上〕
▲7▼ ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、〔約400〜475℃〕
▲8▼ ポリビニルフルオライド(PVF)、〔約372〜480℃〕
▲9▼ テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)〔約440℃以上〕。
【0074】
また、フッ素系樹脂は、上記したフッ素樹脂の単量体が例えば約1:10から10:1の重合量で2種類以上の共重合体や、3元共重合体などのフッ素化ポリオレフィンなどであってもよく、これらは、固体潤滑剤としての特性も示す。このなかでもPTFE、PFA、FEP等のパーフロロ系フッ素樹脂は、骨格である炭素原子の周囲を全てフッ素原子または微量の酸素原子で取り囲んだ形態であり、C−F間の強固な結合により、耐熱性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦係数などの諸特性に優れており好ましいものであるといえる。
【0075】
これらのフッ素系樹脂群も微分熱分解開始温度が比較的高いので好ましい。例えば、PTFE、PVDFの分解点は、それぞれ約490℃、約350℃であって、これらの微分熱分解開始温度は、それぞれ約555℃、約460℃を示し、フッ素系樹脂のなかでもPTFE、PFA、FEP等のパーフロロ系フッ素樹脂は、高温特性に優れており、好ましい。そのため、芳香族ポリエステル樹脂からなる分離爪を溶融などして製造する過程での前記した様な数々の熱履歴にも比較的耐え得る。特に、PTFEの分解点は、芳香族ポリエステル樹脂の融点よりも高いので好ましい。これらの熱可塑性樹脂を3〜10重量%、好ましくは5〜8重量%添加することで、分離爪の刃先の定着ローラ表面への攻撃性を少なくできると共に、耐衝撃性、耐疲労性、耐摩耗性を向上することができると考えられる。
【0076】
添加量が3重量%未満の少量では、これらの効果が期待できず、10重量%を越える多量では、これらの溶融粘度などにより、前記したように造粒時や射出成形時に溶融成形機などのシリンダーにかかる負荷が大きく、安定した造粒性、射出成形性および寸法精度が期待できないからである。
【0077】
因みに、PFA、FEPの溶融粘度は、約380℃にてそれぞれ約10〜10ポイズ、約4×10〜10ポイズであり、特にPTFEでは約340〜380℃にて約1011〜1012ポイズにもなり、このような高温下でも約10〜1012ポイズ程度の粘度特性を有する熱可塑性樹脂であるものは、高粘度特性を有するので、耐熱性が優れており好ましい。
【0078】
その他に固体潤滑剤として黒鉛等が挙げられるが、黒鉛の熱分解温度は非常に高く、昇華温度は約3300〜3600℃以上である。
【0079】
なお、上記した以外の固体潤滑剤として、芳香族ポリアミド樹脂(以下、アラミド樹脂という)粉末が挙げられる。このものは3〜5重量%の添加量で組成物の耐摩耗性をさらに向上させることができる。粉末状のアラミドの市販品としては、旭化成社製:アラミカ ARP−P(平均粒径20μm)が挙げられる。
【0080】
その他のアラミド樹脂粉末は、下記の化5の式で示される一般式を繰り返し単位とする樹脂からなり、このような樹脂のうちメタ系の分子構造を有するアラミド樹脂の代表例として、米国デュポン社製:ノーメックス(紙状)、帝人社製:コーネックスが挙げられ、パラ系の分子構造を有する樹脂の代表例として米国デュポン社製:ケブラー(繊維状)、帝人社製:テクノーラがある。
【0081】
【化2】
Figure 0003604200
【0082】
このような組成物に添加されるパラ系アラミド樹脂は、軸方向に分子鎖が配列しているので、軸方向に高弾性・高強度であるが、直角方向には分子間力が弱いものである。このようにパラ系アラミド樹脂は軸方向の強度によって、配合された樹脂組成物の耐摩耗性をよく向上させることができ、一方、分子鎖の直角方向に圧縮力を受けると分子鎖が座屈しまたは破壊され易いので、軟質の摺動相手材を損傷しないと考えられる。
【0083】
また、パラ系以外のアラミド樹脂を採用する場合は、前記したフッ素樹脂として四フッ化エチレン樹脂などの所定量を含むものを添加することによって、前記組成物と同様に軟質の摺動相手材を損傷せず、耐摩耗性に優れた組成物となる。
【0084】
この場合さらに、他のフッ素系樹脂を併用することもできる。このようなアラミド樹脂のうち、繊維の形態は、繊維長約0.15〜3mm、アスペクト比約1〜230程度のものとなっている。
【0085】
この発明においては、上記したアラミド樹脂のうち、粉末状のもの、または粉末化したものを採用する。繊維状のアラミド樹脂を含有する樹脂組成物では、摺動面に配向した繊維がブラシのように現れ、摺動相手材が損傷され易くなって好ましくない。
【0086】
そして、このようなアラミド樹脂粉末は、その平均粒径が約5〜50μmであるものを採用することが好ましい。なぜなら、平均粒径が約5μm未満の小粒子では、樹脂組成物が充分な耐摩耗性を獲得できず、約50μmを越える大粒子では摺動相手材を損傷する恐れがあるからである。このような条件を全て満足する粉末状のアラミドの市販品としては、旭化成社製:アラミカ ARP−P(平均粒径20μm)が挙げられる。
【0087】
上記した固体潤滑剤の配合量は、全組成物中の3〜15重量%である。なぜなら、3重量%未満の少量では、摩擦抵抗の低減効果や相手ローラーの外周面に対する非攻撃性の効果が充分でなく、15重量%を越える多量では組成物の流動性は著しく低下し、得られた成形品の耐熱変形性も同様に著しく低下するので好ましくないからである。このような傾向からみて、より好ましい配合量は、5〜8重量%である。
【0088】
また、この固体潤滑剤と前記した繊維状補強材との合計量は、全組成の50重量%以下、好ましくは10〜50重量%である。なぜなら、前記合計量が全組成の50重量%を越えると、混合が充分にできずに均質な組成物が得られず、また樹脂の溶融流動性が失われて成形が困難になる。また、前記合計量が全組成の10重量%未満では、組成物に充分な補強効果が得られない。
【0089】
これらの固体潤滑剤は、射出成形時に分離爪等の成形体を射出金型より取り出す時に、その優れた低摩擦特性、離型性等により射出金型より分離爪に無理な力をかけたり、また分離爪先端が金型等にひっかかったりする等して分離爪先端の不具体発生を極力防ぐことができるとも推定できる。
【0090】
また、この発明における射出成形体および複写機用分離爪には、上記以外の添加材として、ガラス状炭素を添加することも好ましい。このようなガラス状炭素を添加すると、耐摩耗性が向上し、また比較的軟質な摺動相手材を損傷し難くなるので好ましい。
【0091】
ガラス状炭素は、結晶寸法のきわめて小さい乱層構造を基本構造としており、微細組織で無配向である。このようなガラス状炭素は、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、キシレン樹脂などの熱硬化性樹脂を高温条件で炭素化させて得られる。
【0092】
このようなガラス状炭素は、その破断面がガラス状の光沢を有することによって特徴付けられるが、他の物性としては、通常のX線回折法におけるスペクトルの回折角(2θ)23〜25度付近に幅広いピークを有することによっても確認される。なお、X線回折法は常法に従い、Cu−Kα線(二重線)により測定される。
【0093】
この発明に用いるガラス状炭素は、黒鉛に特徴的なピーク(回折角2θ=26.4℃における鋭いd002 ピーク)を実質的に有しないものが好ましい。なお、単なる有機物の炭素化物は、その破断面にガラス状光沢がなく、通常のX線回折法におけるスペクトルにおいて、ガラス状炭素または黒鉛に特徴的な特定回折角のピークも有しない。
【0094】
ところで、ガラス状炭素は、上記したX線回折スペクトルにおける特定回折角での特徴によって確認されたものであっても、熱硬化性樹脂の炭素化による製造方法に起因して不完全炭化物または未炭化物を含む場合があるが、熱可塑性樹脂の成形加工工程、または成形加工品それ自体には問題にならないことが多い。
【0095】
一方、前記したサーモトロピック液晶ポリマーは、その特徴の一つがポリマーのなかでは異常ともいえる高融点であるために、その成形加工温度はきわめて高い。このような場合には、ガラス状炭素に含まれる上記の不完全炭素化物または未炭素化物は分解し、ガス発生の原因となりやすい。
【0096】
高温において、特に圧縮、または射出成形などの高圧下の成形ではガスの発生は、たとえ微量であっても、加工工程または成形品に致命的な欠陥となる。たとえば、極端な場合では、ガス発生により、成形それ自体が困難であったり、成形品の表面にブリスター、フローマークの発生が認められ、商品価値が損なわれることになる。
【0097】
ここで、破断面がガラス状光沢を有することによって特徴付けられるガラス状炭素であっても、原料樹脂の種類、その調整法、原料粒子形状、炭素化温度、炭素化時間、雰囲気ガス種類、炭素化時の圧力その他の炭素化条件により、異なる性状のものが製造できる。すなわち、製造されたガラス状炭素中の不完全炭素化物または未炭素化物の含有量およびその性質が相違するのである。
【0098】
この発明の複写機用分離爪においては、前記のように高融点のサーモトロピック液晶ポリマーに配合することに鑑み、液晶ポリマー特有の条件における減量が5重量%以下の球状のガラス状炭素を使用することが好ましい。
【0099】
ここで、減量の測定は、測定機器としてたとえば熱天秤を用い、室温から10℃/分の加熱速度で350℃まで加熱し、その温度で30分間保持した時の減量として定義される。通常は、800℃を越える炭素化温度において製造されたガラス状炭素は、その減量が5重量%以下である。
【0100】
上記条件での減量が5重量%より大きいガラス状炭素は、高融点であるサーモトロピック液晶ポリマーとの組合わせでは、成形する際の加熱によりガスが発生し、成形が困難になったり、成形品の外観の悪化、ブリスター(膨れ)などを生じ、生産性、商品価値が低下する。
【0101】
一方、ガラス状炭素の形状としては、球状が好ましく、真球に近いものがより好ましい。不定形などの非球状のものを配合した成形体のうち、複写機用分離爪としたものは、摺動相手材の金属や樹脂を損傷するので好ましくない。
【0102】
樹脂組成物中の球状のガラス状炭素の添加量は、10〜70重量%であり、好ましくは25〜40重量%である。この範囲であれば、複写機用分離爪の耐摩耗性が充分になる。すなわち、10重量%未満では、耐摩耗性が不充分であり、70重量%を越える量を配合してもそれ以上の耐磨耗性の向上は望めず、成形品の強度も低下する。
【0103】
また、この発明においては、サーモトロピック液晶ポリマーにポリエーテルオイルを添加混合して成形してもよい。
ポリエーテルオイルは、エーテル結合(−O−)もしくはチオエーテル結合(−S−)または両結合によって、ベンゼン核を結んだ基本構造をもつ物質であり、たとえばベンゼン核とエーテル結合とで構成される構造異性体を含むポリフェニルエーテルオイルからなる米国モンサント社製:ポリフェニルエーテルオイルOS−124などを具体例として挙げることができる。
【0104】
サーモトロピック液晶ポリマーにポリエーテルオイルを配合するにあたっては、ポリエーテルオイルを0.05〜3.0重量%配合することが好ましい。なぜなら、ポリエーテルオイルが3.0重量%を越えると、分離爪として使用条件で成形体の表面にポリエーテルオイルがブリードアウトして分離した紙面に付着したり、塵埃が表面に付着しやすくなって分離不良の原因となり、また高温でポリエーテルオイルが内部潤滑剤的な働きをして、成形体の耐熱性を低下させるからである。また、逆に0.05重量%未満の少量の配合では、溶融時の液晶ポリマーの異方性の発現に対する寄与が少ない結果、爪先端の自己補強性が不充分になるからである。
【0105】
このように、サーモトロピック液晶ポリマーにポリエーテルオイルを配合した成形品および複写機用分離爪は、液晶ポリマー固有の配向性が助長されて自己強化性が大きくなって、分離爪先端の耐熱変形性は著しく向上し、爪先端の形状についても、配向性のバラツキによる寸法精度の変化を小さく抑えることができるようになる。
【0106】
以上述べた成形材料を混合するには、これらを個別に溶融混合機に供給してもよく、また、予めヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、リボンブレンダーなどの汎用の混合機で乾式混合した後、溶融混合機に供給すればよい。
【0107】
そして、混合した成形材料は、約210℃以上、高いものでは約280〜340℃以上の温度に加熱し可塑化した後、金型中に充填し固化および離型することにより目的の成形体からなる複写機用分離爪を得ることができる。
【0108】
このように高温にする理由は、芳香族ポリエステル樹脂の流動温度が、分子構造より、約230℃〜250℃以上、高いものは約280〜300℃以上、更に高いものでは約340〜360℃以上と高温であるからである。さらに、分離爪に所定の熱処理を施すことにより、耐熱変形性、寸法安定性、耐摩耗性に優れた長寿命の複写機用分離爪とすることもできる。
【0109】
例えば、分離爪の使用にあたっては、成形時の歪みを取り除き高温使用時の寸法安定性をよくするため、約60〜340℃で15時間程度のアニール熱処理をするのが好ましい。また、例えばPFA樹脂の分離爪への塗布後の焼成時に、同時にアニール熱処理を行なってもよい。
【0110】
具体的には上記所定の熱処理は、約60〜340℃、好ましくは約150〜330℃で約0.5〜24時間以上、好ましくは約0.5〜8時間以上の範囲で行ってもよい。なぜなら、約340℃を越える温度では、分離爪に著しい熱変形が生じるので実用的なものが得られず、約180℃未満の温度、特に約160℃未満の温度では、荷重たわみ温度よりも低いために、成形性、耐熱変形性等が向上し難いと推定されるからである。
【0111】
なお、この発明における複写機用分離爪は、外部から与えられた電気信号によって記録パターンを感光体等の媒体上に形成し、この媒体上に形成された電気量のパターンを可視的なパターンに変換する種々の方式を採用したプリンタにも適用できることは勿論である。そのようなプリンタの方式としては、電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式、光プリンタ方式、電子記録方式などが挙げられる。前記した電子写真方式の種類としては、カールソン法、光・電荷注入法、光分極法、光起電力法、電荷移動法、電解電子写真法、静電潜像写真法、光電気泳動法、サーモプラスチック法が挙げられる。また、光プリンタとしては、レーザプリンタ、LED(発光ダイオード)プリンタ、液晶シャッタプリンタ、CRTプリンタが挙げられる。また、電子記録方式としては、静電記録方式、通電記録方式、電解記録方式、放電記録方式が挙げられ、更に直接法、間接法等がある。またこれら静電記録方法等で、油等を塗布する湿式、これに対する乾式等の方式がある。
【0112】
具体的には、トナー像転写式の乾式静電複写機や湿式静電複写機、レーザービームプリンター(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンター、ファクシミリ用プリンター等、PPC、発光ダイオード(LED)、銀塩写真方式によるプリンタ(CRT)等のプリンター等の印刷機などといった画像形成装置の全般を指す概念である。
【0113】
また、この発明でいう複写機用の分離爪は、給紙部、感光部、定着部、排紙部など、その用途部位は特に限定されないが、サーモトロピック液晶ポリマーの優れた耐熱性を適用すれば、定着部なかでも加圧ローラよりも高温で使用される定着ローラに適用できるものである。
【0114】
【実施例】
この発明の実施例を、さらに添付図面に基づいて説明する。
〔実施例1〜3〕
図1(a)、(b)、(c)に示すように、実施例1〜3は、前記化1の式で表わされる液晶ポリエステル樹脂(住友化学工業社製:スミカスーパーE4000)を射出成形して四角形の板状本体10に直角状の角状部分11を形成し、板状本体10には板厚方向に貫通する軸穴3を形成したものである。そして、ゲートGを図中の矢印に示すように配置して、軸穴3から板状本体10の外縁に延びるウエルドWを、軸穴3より1つの角状部分11に対して反対側の外縁に至るように形成し(実施例1:図1(a)、実施例2:図1(b)、実施例3:図1(c))ものである。
【0115】
〔実施例4〜6〕
図2(a)、(b)、(c)に示すように、実施例4〜6は、前記化1の式で表わされる液晶ポリエステル樹脂(住友化学工業社製:スミカスーパーE4000)を射出成形して紡錘形の板状本体20に鋭角状の角状部分21を形成し、板状本体20には板厚方向に貫通する軸穴3を形成したものである。そして、軸穴3から板状本体20の外縁に延びるウエルドWを、軸穴3より角状部分21に対して反対側の外縁に至るように形成し(実施例4:図2(a)、実施例5:図2(b)、実施例6:図2(c))ものである。
【0116】
なお、上記したようにウエルドを配置した成形体を製造するために、射出成形は以下の実施例1〜3と同様の条件で行なった。
〔実施例7〜9〕
図3(a)、(b)、(c)に示すように、実施例7〜9は、前記化1の式で表わされる液晶ポリエステル樹脂(住友化学工業社製:スミカスーパーE4000)を射出成形して三角形板状本体1に鋭角状の爪先端部2を形成し、板状本体1には板厚方向に貫通する軸穴3を形成したものである。そして、軸穴3から板状本体1の外縁に延びるウエルドWを、軸穴3より爪先端部2に対して反対側の外縁に至るように形成し(実施例7:図3(a)、実施例8:図3(b))、または軸穴3から最も近い本体外縁に至るように配置した(実施例9:図3(c))ものである。
【0117】
また、分離爪先端部等の成形体の角状部分の角度は、特に限定しないが、角状部分の角度が、約90°以下のもの、または約60°以下または、約45°以下のもの、さらに約30°以下で、例えば下限が約5〜10°以上のような鋭利な角状部分を有するようなサーモトロピック液晶ポリマー成形体に有用である。また、角端部の先端R等は、約R0.005〜0.1mm、好ましくは約R0.01〜0.06mm、さらに好ましくは0.01〜0.04mmであれば分離爪等の先端形状を満足する。
【0118】
上記したようにウエルドを配置した分離爪を製造するために、射出成形は以下のようにして行なった。
すなわち、図5に示すように、三角形板状のキャビティを形成した金型4内に軸穴形成用のコアピン5をキャビティを貫通するように配置し、爪先端部2とコアピン5の間にゲートa(実施例7)、ゲートb(実施例8)、ゲートc(実施例9)をそれぞれ図示した位置に設け、それぞれのゲートから分離爪の先端に向けない方向に液晶ポリエステル樹脂を射出成形した。
【0119】
射出成形の条件は、液晶ポリエステル樹脂(住友化学工業社製:スミカスーパーE4000)と、添加剤として酸化チタンウィスカとを予め乾式混合した後、混練押出ししてペレット化し、これを射出成形機に供給してシリンダー温度約380℃、射出圧力約600kg/cm、金型温度約180℃の条件のもとに射出成形した。
【0120】
得られた分離爪について、▲1▼耐摩耗性、▲2▼耐衝撃性、▲3▼耐疲労性を以下の試験方法で調べ、評価してこの結果を表1にまとめて示した。
【0121】
▲1▼耐摩耗性
図6(a)、(b)に示すように、分離爪Aを相手材S45CP製のローラ6に対して、温度196±3℃、回転数148rpm、荷重20gf、350時間の条件で摺接させ、試験前後の穴径の中心から爪先端部2までの距離L’の差(mm)を測定した。これは、主に定着装置の定着ローラに使用され、比較的仕様条件の厳しい乾式静電式複写機を対象とした試験内容であるが、この発明はこの方式に限定されるものではない。
【0122】
▲2▼耐衝撃性
分離爪の刃先先端部の高衝撃試験機(図7に概略図を示す)を用いて測定した。すなわち、レバー(長さL=85mm)の一端に分離爪Aおよび重り7を装着すると共に、このレバーの他端を回転自在に支持し、これを直立状態から水平状態に自然回転させた際に、分離爪Aの爪先端部2がローラー6に、荷重(J)20gf、接触角度(θ)100°の条件で衝突するようにして、爪先端部2に欠損が生じるまでの衝突回数を測定した。なお、衝突回数は20回を上限とした。
【0123】
▲3▼耐疲労性
分離爪Aの刃先先端部の衝撃疲労試験機(図8(a)、(b)に概略図を示す)を用いて測定した。すなわち、レバーの一端に分離爪Aを装着すると共に、このレバーの他端を回転自在に支持し、レバーの下面にはカム軸8aを中心に回転駆動されるカム8を接触させた。このとき図(a)の状態では、分離爪Aはローラー6から高さh=1mmの高さにあり、カム8の矢印方向の回転で分離爪Aは図8(b)に示す状態となって繰り返し自然落下することになる。測定条件は、ローラー6をヒーター9で表面温度200℃に加熱し、分離爪Aの爪先端部2にかかる荷重(J)20gf、接触角度(θ)100°とし、衝突回数10万回(試料数n=10)の変形量t(μm:図9に変形した爪の外形と変形量tを示す)の平均値を求めた。
【0124】
【表1】
Figure 0003604200
【0125】
〔比較例1〜3〕
図4(d)、(e)、(f)に示すように、比較例1〜3は、ウエルドWを、軸孔3より爪先端部2に近い本体外縁に至るように形成(比較例1:図4(d)、比較例2:図4(e)、比較例3:図4(f))したこと以外は、実施例7〜9と全く同じように射出成形した複写機用分離爪である。
【0126】
上記した位置にウエルドWを配置した分離爪を製造するために、図5に示すゲートの位置をd(比較例1)、e(比較例2)、f(比較例3)に配置し、分離爪の先端に向かう方向に樹脂を射出成形したこと以外の製造条件は、実施例1〜3と全く同様にして液晶ポリエステル樹脂を射出成形した。
【0127】
〔比較例4〕
図5に示した金型4において、コアピン5を装着しないこと以外は実施例7と全く同様にして(同じ材料で)分離爪を射出成形し、後加工によって軸穴3を穿設した。
【0128】
比較例1〜4の分離爪についても、実施例7〜9と全く同様にして試験▲1▼〜▲3▼を行ない、結果を表1中に併記した。
【0129】
表1の結果から明らかなように、ウエルドWが軸穴3の中心より本体前方の外縁に至り、爪先端部から10mm未満の位置に配置され、すなわちウエルドが、爪先端部から軸穴中心までの距離を100とした場合に爪先端部を中心とする50〜80の距離範囲内に形成されている比較例1〜3は、耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性の全てに劣っていた。
【0130】
これに対して、全ての条件を満足する実施例7〜9は、成形性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性といった全ての試験項目において、ウエルドの無い比較例4と同様に優れた結果が得られた。
【0131】
また、実施例1〜6についても、実施例7〜9と同様に成形性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性に優れた成形体であることから、これらを軸受、スリーブ、ブッシュ、カラー、ワッシャ、カム、ピストンシール、ソケットなどに用いた場合に極めて好ましい結果が得られることがわかる。また、耐熱性サーモトロピック液晶ポリマーであれば、約200℃以上で使用される部位や摺動部材として使用してもよい。
【0132】
【効果】
以上説明したように、この発明のサーモトロピック液晶ポリマーからなる射出成形体は、軸穴から射出成形体の外面に延びるウエルドを角状部分の先端以外の外面に至るように配置したので、衝撃などの機械的または熱的な影響がウエルドに伝わり難くなり、先端部の欠けや割れも発生し難くなり、サーモトロピック液晶ポリマー本来の特性を発揮する利点がある。
【0133】
また、分離爪の板状本体の外縁に延びるウエルドを、爪先端部から離れた所定の位置に配置形成したので、爪先端部にウエルドによる機械的強度の低下の影響がなく、耐摩耗性、耐衝撃性および耐疲労性といった本来のLCPの自己補強効果を充分に発揮する複写機用分離爪となる利点がある。
【0134】
また、このような複写機用分離爪を製造するには、射出成形するときに爪先端部とコアの間にゲートを配置するといった比較的簡易な手法を採用すればよいので、生産効率の低下および製造コストの上昇を招くことがない利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施例1の側面図
(b)実施例2の側面図
(c)実施例3の側面図
【図2】(a)実施例4の側面図
(b)実施例5の側面図
(c)実施例6の側面図
【図3】(a)実施例7の側面図
(b)実施例8の側面図
(c)実施例9の側面図
【図4】(d)比較例1の側面図
(e)比較例2の側面図
(f)比較例3の側面図
【図5】分離爪の射出成形を説明する金型の断面図
【図6】(a)耐摩耗試験に用いる複写機用分離爪の側面図
(b)耐摩耗性試験の測定状態を説明する概略側面図
【図7】耐衝撃性試験機の概略側面図
【図8】(a)耐疲労性試験機の分離爪とローラの衝突前の状態を示す概略側面図
(b)耐疲労性試験機の分離爪とローラの衝突時の状態を示す概略側面図
【図9】分離爪の爪先端部の変形量tを示す側面図
【符号の説明】
1 本体
2 爪先端部
3 軸穴
4 金型
5 コアピン
6 ローラ
7 重り
8 カム
8a カム軸
9 ヒーター
A 分離爪
R 爪先端部角度
L’ 距離
L レバー長さ
θ 接触角
J 荷重
h 衝撃高さ
t 変形量

Claims (3)

  1. サーモトロピック液晶ポリマーを射出成形して分離爪の板状本体に鋭角状の爪先端部を形成すると共に、板状本体の板厚方向に貫通する軸穴を形成する複写機用分離爪の射出成形方法において、
    前記爪先端部と軸穴形成用のコアの間にゲートを配置して射出成形し、この射出成形により形成されるウエルドが、爪先端部から軸穴の中心までの距離を100とした場合に、爪先端部を中心とする半径80の距離より外側の外縁に至るようにすることを特徴とする複写機用分離爪の射出成形方法。
  2. サーモトロピック液晶ポリマーには、ウィスカからなる補強剤が添加されている請求項1記載の複写機用分離爪の射出成形方法。
  3. ウィスカが、酸化チタンウィスカである請求項1または2に記載の複写機用分離爪の射出成形方法。
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