JPH06197669A - 釣竿用ソリッド穂先 - Google Patents

釣竿用ソリッド穂先

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JPH06197669A
JPH06197669A JP35860692A JP35860692A JPH06197669A JP H06197669 A JPH06197669 A JP H06197669A JP 35860692 A JP35860692 A JP 35860692A JP 35860692 A JP35860692 A JP 35860692A JP H06197669 A JPH06197669 A JP H06197669A
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JP
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acid
resin
liquid crystal
thermotropic liquid
aromatic
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JP35860692A
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English (en)
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Masaaki Sedo
正昭 背戸
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度、高弾性率を図ると共に、制振性や耐
熱性をも兼ね備えた釣竿用ソリッド穂先を提供する。 【構成】 サーモトロピック液晶ポリマーからなること
を特徴とする釣竿用ソリッド穂先。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーモトロピック液晶
ポリマーからなる釣竿用ソリッド穂先に関する。
【0002】
【従来の技術】釣竿の先端である穂先は、高強度を必要
とする等の理由から、通常、中実構造であるソリッド構
造をなしている。従来、このようなソリッド構造をなし
ている釣竿用ソリッド穂先は、レゾール型フェノール樹
脂やエポキシ樹脂を補強材により補強し熱硬化して成形
されたものが使用されていた。
【0003】釣竿用ソリッド穂先には、釣り糸から正確
に魚信が伝わりこれを感知することが必要であるが、従
来の補強材で補強された熱硬化性樹脂によるものは高強
度、高弾性率ではあるものの振動の減衰率が低い、すな
わち、意識的な振動あるいは風等の外部因子による振動
等による振動の際に、その振動が容易に減衰し難いため
に、結果として正確な魚信を感知することが容易ではな
い。
【0004】さらに、汚れ防止や美観付与のために穂先
には塗装をすることがあるが、該塗装には、塗膜耐久性
等の点から好ましいとされる焼付け塗装があり、焼付け
塗装ではしばしば200℃以上の温度が必要である。し
かし、このような焼付け塗装の場合、従来の熱硬化性樹
脂では耐熱性が不足し、焼付け時に変形やブリスター
(火ぶくれ現象)等を起こすことがあり問題であった。
【0005】近年、炭素繊維製の穂先、あるいはアラミ
ド繊維製の穂先等も提案されているが、これらはいずれ
もマトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂を代表とする
熱硬化型樹脂を使用するものであり、例え制振性等の問
題が解決されても上記エポキシ樹脂の耐熱性不足の問題
は依然として残らざるを得ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術における釣竿用ソリッド穂先の欠点を解決するもので
あり、高強度、高弾性率を図ると共に、制振性や耐熱性
をも兼ね備えた釣竿用ソリッド穂先を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、サ
ーモトロピック液晶ポリマーを用いることによって達成
される。
【0008】すなわち、本発明はサーモトロピック液晶
ポリマーからなることを特徴とする釣竿用ソリッド穂先
を提供するものである。
【0009】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明で用いるサーモトロピック液晶ポリマーは、溶融状
態で光学的異方性を示す樹脂であって熱可塑性溶融可能
なポリマーである。このような溶融時に光学的異方性を
示すポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な
並行配列を採る性質を有している。光学的異方性溶融相
の性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によ
り確認できる。一般の溶融異方性を示さないポリマーで
は溶融状態で等方性となるが、溶融過程において異方性
を示す場合、固相から異方性の液晶相を経て等方相に変
化する。
【0010】また機械的異方性も確認できる。すなわち
射出成形した場合に成形品表面の剥離、フィブリル化が
著しくなり、また、樹脂の流れ方向とその方向に直角方
向との物性の差が大きいことにより確認できる。
【0011】この溶融状態で光学的異方性を示す樹脂
は、一般にはサーモトロピック液晶ポリマーとして知ら
れている。このサーモトロピック液晶ポリマーは、一般
に細長く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く同軸
または並行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合
を有しているようなモノマーから製造される。
【0012】溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、
溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列を採る性
質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を
利用した通常の偏光検査法により確認することができ
る。
【0013】上記サーモトロピック液晶ポリマーとし
て、好ましいものはサーモトロピック液晶ポリエステル
であって、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエ
ステルイミド等、具体的には(全)芳香族ポリエステ
ル、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート等
が挙げられる。分子内にエステル結合を複数個含む限り
ポリエステルの範疇に含まれる。さらに好ましいポリエ
ステルは、芳香族ポリエステルである。
【0014】本発明において用いるサーモトロピック液
晶ポリエステルには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶
融相を形成するポリマーのセグメントで構成され、残り
の部分が異方性溶融相を形成しないポリマーのセグメン
トから構成されるポリマーも含まれる。また、複数のサ
ーモトロピック液晶ポリマーを複合したものも含まれ
る。
【0015】サーモトロピック液晶ポリエステルを構成
するモノマーの代表例としては、 (a)芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種、 (b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくと
も1種、 (c)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、 (d)(d1)芳香族ジチオール、(d2)芳香族チオフ
ェノ−ル、(d3)芳香族チオ−ルカルボン酸化合物の
少なくとも1種、 (e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物の少なくとも1種、 等が挙げられる。
【0016】これらは単独で構成される場合もあるが、
多くは(a)と(c)、(a)と(d)、(a),
(b)と(c)、(a),(b)と(e)、あるいは
(a),(b),(c)と(e)等の様に組合せて構成
される。
【0017】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボ
ン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,
4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジ
カルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエ−テル−3,
3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボ
ン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族
ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレ
フタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、
ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシ
テレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0018】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ
酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、
2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息
香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3
−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−
5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−ク
ロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジク
ロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸
のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げら
れる。
【0019】(c)芳香族ジオールとしては、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジ
フェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイ
ドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオー
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒ
ドロキシジフェニルエ−テル、1,6−ナフタレンジオ
−ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族
ジオ−ルまたはクロロハイドロキノン、メチルハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロ
キノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロ
キノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン
等の芳香族ジオ−ルのアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体が挙げられる。
【0020】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオ−ル、ベンゼン−1,3−ジチオ
−ル、2,6−ナフタレン−ジチオ−ル、2,7−ナフ
タレン−ジチオ−ル等が挙げられる。
【0021】(d2)芳香族チオフェノールとしては、
4−メルカプトフエノ−ル、3−メルカプトフェノ−
ル、6−メルカプトフェノ−ル等が挙げられる。
【0022】(d3)芳香族チオールカルボン酸として
は、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0023】(e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノ−ル、N−
メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3
−アミノフェノ−ル、3−メチル−4−アミノフェノ−
ル、2−クロロ−4−アミノフェノ−ル、4−アミノ−
1−ナフト−ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエ−テ
ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4、4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4′ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、4,4′−エチレンジアニリン、
4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4′−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0024】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステルは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やス
ラリー重合法等の多様なエステル形成法等により製造す
ることができる。
【0025】分子量としては、本発明に用いるに好適な
サーモトロピック液晶ポリエステルのそれは、約200
0〜200000、好ましくは約4000〜10000
0である。かかる分子量の測定は、例えば圧縮フィルム
について赤外分光法により末端基を測定して求めること
ができる。また溶液形成を伴う一般的な測定法であるG
PCによることもできる。
【0026】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリマーのうち下記一般式(1)で表わされ
るモノマー単位を必須成分として含む(共)重合体であ
る芳香族ポリエステルが好ましい。該モノマー単位は約
50モル%以上含むものが好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】本発明の特に好ましい芳香族ポリエステル
は、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェノ
ールの3種の化合物からそれぞれ誘導される構造の繰返
し単位を有する下記式(2)で表わされるポリエステル
である。この下記式(2)で表されるポリエステルのビ
フェノールから誘導される構造の繰り返し単位は、その
一部または全部をジヒドロキシベンゼンから誘導される
繰り返し単位で置換されたポリエステルであることもで
きる。p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフタ
リンカルボン酸の2種の化合物からそれぞれ誘導される
構造の繰返し単位を有する下記式(3)で表わされるポ
リエステルである。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは単独でもかまわないが、それら2種以上を混合し
て使用することができる。
【0032】また、サーモトロピック液晶ポリマーには
非液晶性の樹脂を配合して使用することもできる。配合
することができる樹脂は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の
いずれでもよいが、好ましくはポリアミド樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂,ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフ
ォン樹脂ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテ
ルケトン樹脂などのいわゆる熱可塑性のエンジニアリン
グプラスチックが例示される。上記熱可塑性樹脂の配合
量は、本発明におけるサーモトロピック液晶ポリマー1
00重量部あたり1〜200重量部、好ましくは1〜1
00重量部、さらに好ましくは1〜50重量部である。
【0033】なお、本発明で用いるサーモトロピツク液
晶ポリマーに対して、さらに耐熱性、機械的性質を向上
させるため強化剤または充填剤を添加することができ
る。強化剤または充填剤の具体例としては、繊維状、粉
粒状および両者の混合物が挙げられる。繊維状の強化剤
としてはガラス繊維、シラスガラス繊維、アルミナ繊
維、炭化ケイ素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊
維、石こう繊維、金属繊維(例えばステンレス繊維等)
等の無機質繊維および炭素繊維等が挙げられる。また粉
粒状の強化剤としては、ワラステナイト、セリサイト、
カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベス
ト、タルク、アルミナシリケート等のケイ酸塩、アルミ
ナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニア、
酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、ピ
ロリン酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ガラス
ビーズ、窒化ほう素、炭化ケイ素、サロヤン等が挙げら
れ、これらは中空であってもよい(例えば、中空ガラス
繊維、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、カー
ボンバルーン等)。上記強化剤は必要ならばシラン系ま
たはチタン系カップリング剤で予備処理して使用するこ
ともできる。
【0034】また、本発明で用いるサーモトロピツク液
晶ポリマーには、本発明の目的を損なわない範囲で、酸
化防止剤および熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノー
ル、ヒドロキノン、フォスファイト類およびこれらの置
換体等)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サ
リシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン
等)、滑剤および離型剤、染料(例えばニトロシン
等)、および顔料(例えば、硫化カドミウム、フタロシ
アニン、カーボンブラック等)を含む着色剤、難燃剤、
可塑剤、帯電防止剤等の通常の添加剤を添加し、所定の
特性を付与することができる。強化剤および充填剤等
は、樹脂全体に対して80重量%以下、好ましくは70
重量%以下配合することができる。
【0035】本発明の穂先は、前述のように中実構造で
あるソリッド構造をなしている。中空構造をなす場合に
は、高強度、高弾性率、良好な制振性等の物性を発現す
ることが難しい。穂先として好ましい強度、弾性率の範
囲は1000〜3000kgf/cm2の強度範囲、8
×104〜25× 104kgf/cm2の弾性率範囲であ
る。
【0036】穂先には、正確な魚信を関知するために制
振性が要求され、該制振性は穂先を構成する物質の内部
損失(η)の値により判別できる。すなわち、内部損失
の値が大であるほど、制振性は良好となる。この点か
ら、穂先を構成する樹脂には内部損失(η)の値として
0.04以上が好ましく、本発明のソリッド穂先は、サ
ーモトロピック液晶ポリマーにより構成され、スキン・
コアという独特な構造を有することに起因して、本発明
の穂先は、穂先に必要な制振性を有する。
【0037】ソリッド穂先を製造する方法は、従来公知
の方法が採用され、例えば押出成形、射出成形、粉末の
圧縮成形等の成形法が例示される。好ましい方法は、サ
ーモトロピック液晶ポリマーをスキン・コア構造を形成
し易い射出成形法である。なお、穂先は、均一な同一径
の棒状形状あるいは適宜に先細のテーパー形状に形成す
ることもできる。
【0038】本発明の穂先は耐熱性が優れているため
に、通常の塗装のほか焼付け塗装をすることができる。
焼付け塗装としては、表面に撥水性付与のためのフッ素
樹脂塗装、表面硬度向上のためのセラミック塗装および
美観付与のためのレゾール樹脂塗装等が例示される。こ
れらの焼付け塗装は、通常200℃以上、例えば200
〜400℃の範囲の焼付け温度が採用され、焼付け時間
は10秒〜1時間の範囲から選択される。
【0039】フッ素樹脂塗装に使用されるフッ素樹脂は
各種のフッ素樹脂、例えばテトラフルオロエチレン・ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体等が使用されるが、好
ましいフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレンであ
る。これらのフッ素樹脂のエマルジョン重合物を界面活
性剤でエナメル化したフッ素系塗料、あるいはフッ素樹
脂とポリアミドイミド、ポリイミド前駆体、ポリサルフ
ォン等のフィルム形成性樹脂とからなる塗料を利用でき
る。
【0040】塗装の塗膜密着強度を向上するためには、
塗装の前処理として公知の方法により粗面化処理をする
ことが好ましい。粗面化処理には、サンドブラスト等の
物理的な粗面化処理のほか、適宜に酸、アルカリ処理を
する化学的な粗面化処理であるエッチング処理をするこ
ともできる。エッチング処理による効果を上げるために
は、サーモトロピック液晶ポリマーに、予め酸またはア
ルカリに可溶な充填材、例えばカルシウム等のアルカリ
土類金属の塩を配合する方法も採用できる。
【0041】配合される充填材または補強材の種類によ
っては、塗膜の密着強度を阻害する場合がある。かかる
場合には適宜に公知のプライマー処理をした上で、塗装
をすることができる。プライマーとしては、焼付け塗装
に耐え得るものを選択すべきで、例えばフッ素系プライ
マーが例示される。
【0042】
【実施例】以下、実施例等により本発明をさらに詳述す
る。
【0043】実施例1 サーモトロピック液晶ポリマー(LCP;フタル酸、イ
ソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸および4,4−ジ
ヒドロキシジフェニルから合成された四元コポリエステ
ルの粉状物:ホットステージを装着した偏光顕微鏡を用
いて光学的異方性を観察したところ340℃以上の溶融
状態で光学的異方性を示した)70重量部、充填材とし
てガラス繊維30重量部からなる組成物を常法に従い射
出成形により先細テーパー形状のソリッド穂先を成形し
た。
【0044】得られた穂先の形状は、先端細径2mm、
後端太径6mm×長さ800mmであった。
【0045】この穂先に、表1に記載の条件でポリテト
ラフルオロエチレンからなるフッ素系樹脂塗料(PTF
Eエナメル)、セラミック塗料(住友化学工業(株)製
完全不燃セラミック系耐熱塗料;スミセラムP−10
0)およびレゾール樹脂の焼付け塗装をそれぞれ施し
た。結果は表1に示すが、塗装後は、外観状の変形等の
異常は全く認められず、物性上の変化も特に認められな
かった。
【0045】別に、同じ組成物を同様に射出成形により
サンプル(長さ100mm×幅10mm×厚み3mm)
を得て、これについて引張強度、曲げ弾性率を測定し
た。それぞれ、2200kgf/cm2、10×104
gf/cm2であった。
【0046】さらに複素弾性係数測定装置を用いて振動
吸収性能を示す内部損失係数(η)を測定したところ
0.05であった。
【0047】同一形状のサンプルを、フェノール樹脂お
よびポリフェニレンスルフィッド樹脂で成形し、その損
失係数を測定したところいずれも0.02であった。
【0048】比較例1〜3 エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を金型内で硬化させ
ることにより、実施例と同一形状のソリッド穂先を得た
(比較例1〜2)。
【0049】また、ポリフェニレンスルフィッド樹脂
(PPS)を用いて射出成形により同じく実施例と同一
形状のソリッド穂先を得た(比較例3)。
【0050】これらの穂先に、実施例と同一条件でフッ
素樹脂、セラミックおよびレゾール樹脂塗装をそれぞれ
施した。結果は、いずれも表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】◎:良好 △:フクレ発生 ×:反り等の極めて大きい変形発生
【0053】
【発明の効果】本発明の釣竿用ソリッド穂先は、高強
度、高弾性率、良好な制振性を兼ね備えているために正
確な魚信を得ることができる。また、サーモトロピック
液晶ポリマーを使用するため寸法安定性、成形性に優れ
る。さらに、耐熱性にも優れるために耐久性のある焼付
け塗装が可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモトロピック液晶ポリマーからなる
    ことを特徴とする釣竿用ソリッド穂先。
  2. 【請求項2】 前記サーモトロピック液晶ポリマーが、
    p−オキシ安息香酸から誘導される繰返単位を含むポリ
    エステルである請求項1に記載の釣竿用ソリッド穂先。
JP35860692A 1992-12-28 1992-12-28 釣竿用ソリッド穂先 Pending JPH06197669A (ja)

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