JP2946224B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2946224B2 JP10685090A JP10685090A JP2946224B2 JP 2946224 B2 JP2946224 B2 JP 2946224B2 JP 10685090 A JP10685090 A JP 10685090A JP 10685090 A JP10685090 A JP 10685090A JP 2946224 B2 JP2946224 B2 JP 2946224B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、サーモトロピック液晶ポリマーを基材と
し、耐熱性および機械強度に優れ、かつ外観やメッキ密
着性等のメッキ特性に優れた樹脂組成物に関するもので
ある。
[従来の技術] サーモトロピック液晶ポリマーは、溶融時に剪断力を
与えることにより剪断方向に分子鎖が配向して極めて良
好な流動性を示し、また優れた機械強度を有する。更
に、耐熱性においても従来の樹脂にない優れた性能を発
揮する。このため、近年射出成形用樹脂として、電気電
子部品、機械部品等に広く使用されているが、表面にメ
ッキを施して供される用途には、充分な性能を持ったも
のがない。すなわち、外観の良いものは、金属との密着
強度が低く、逆に金属との密着強度の良いものは外観が
不十分なためである。
従来、一般的にメッキ用樹脂組成物として、PES等の
樹脂に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のアルカリ
土類金属をフィラーとして用いたものが知られている
(特開平1−301756号公報)。特にサーモトロピック液
晶ポリマーに関する特許としては、特開平1−92241号
公報および特開平1−98637号公報に、液晶ポリエステ
ルと無機充填材の組成物を、アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の水酸化物を含むアルカリ性溶液または硫酸
を含む酸性溶液に接触処理してメッキする方法が開示さ
れている。しかし、特開平1−92241号公報の比較例に
述べられているように、メッキ用フィラーとして一般的
に用いられている特に表面処理を施してない炭酸カルシ
ウムを充填すると、メッキ界面の剥離強度が低く、組成
物の強度も不十分となり、メッキ用の組成物としては満
足なものが得られない。また、成形性においても射出成
形時にも鼻垂れ(射出成形時に成形機のノズルから樹脂
が自然に流れ出すこと、以下「鼻垂れ」という)が起こ
り、連続して安定に成形することは困難である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、炭酸カルシウムをフィラーとした場
合の上記従来技術における課題を解決することにあり、
特に耐熱性、機械強度および外観やメッキ密着性等のメ
ッキ特性の優れたサーモトロピック液晶ポリマーを基材
とする樹脂組成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記の課題を解決するために、本発明者らは、サーモ
トロピック液晶ポリマーに、リン酸で処理したカルシウ
ム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の
炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムを充填材として5〜60
重量%含む樹脂組成物を用いた。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明でいうサーモトロピック液晶ポリマーと
は、溶融時に光学的異方性を示す熱可塑性の溶融可能な
ポリマーである。このような溶融時に光学的異方性を示
すポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平
行配列をとる性質を有している。光学的異方性溶融相の
性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によっ
て確認することができる。
サーモトロピック液晶ポリマーは、一般に細長く、偏
平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く、同軸または平行
の何れかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有している
ようなモノマーから製造される。
本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリマーには、
1つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマ
ーのセグメントで構成され、残りの部分が異方性溶融相
を形成しない熱可塑性樹脂のセグメントから構成される
ポリマーも含まれる。また、複数のサーモトロピック液
晶ポリマーを複合したものも含まれる。
本発明においては、サーモトロピック液晶ポリマーの
内、前記式で表わされるオキシベンゾイル基をモノマー
単位として含む重合体または共重合体を用いる。このも
のは、耐熱性が特に高く摺動材として好ましい。
さらに好ましいものは、上記重合体または共重合体の
中でも、オキシベンゾイル基を含む全芳香族ポリエステ
ルである。上記のような光学的異方性溶融相を形成する
全芳香族ポリエステルの構成成分としては (A)芳香族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸系
化合物の少なくとも1種、 (B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくと
も1種、 (C)芳香族ジオール、脂環族ジオールおよび脂環族ジ
オール系化合物の少なくとの1種、 (D)芳香族ジチオール、芳香族チオフェノール、芳香
族チオールカルボン酸系化合物の少なくとも1種、およ
び (E)芳香族ヒドロキシアミンおよび芳香族ジアミン系
化合物の少なくとも1種等が挙げられる。
これ等は単独で構成される場合もあるが、多くは
(A)と(C)、(A)と(D)、(A)(B)と
(C)、(A)(B)と(E)、あるいは(A)(B)
(C)と(E)などのように組合せて構成される。
上記(A1)芳香族ジカルボン酸系化合物としては、テ
レフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−
トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジ
フェノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニル
エタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェ
ニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエ
タン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′
−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごと
き芳香族ジカルボン酸、またはクロロテレフタル酸、ジ
クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレ
フタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル
酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、
上記芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたは
ハロゲン置換体が挙げられる。
(A2)脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸またはトランス−1,4−(2−
メチル)シクロヘキサンジカルボン酸トランス−1,4−
(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等、上記脂
環族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲ
ン置換体等が挙げられる。
(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、
4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−
ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸または3−
メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメエチル−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−
ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロ
キシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安
息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5
−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、
6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の
芳香族ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシま
たはハロゲン置換体が挙げられる。
(C1)芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−
ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)
エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6
−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン等の芳香族ジオール、またはクロロハイドロキノ
ン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノ
ン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノ
ン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシ
ン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキ
ル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
(C2)脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シク
ロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオ
ール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、
シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−
1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキ
サンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタ
ノールのような脂環族ジオールまたはトランス−1,4−
(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,
4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオールのような脂
環族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置
換体が挙げられる。
(C3)脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール等の直鎖状または分岐状脂肪族ジオー
ルが挙げられる。
(D1)芳香族ジチオールとしては、ベンゼン−1,4−ジ
チオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレ
ン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙
げられる。
(D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプト
フェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプ
トフェノール等が挙げられる。
(D3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカ
プト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプ
ト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸
等が挙げられる。
(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−
アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メ
チル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,
4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−
メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミ
ノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミ
ノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−
ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒ
ドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロ
キシジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノフェニル
スルフィド(チオジアニリン)、4,4′−ジアミノジフ
ェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−エチ
レンジアニリン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジア
ニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(オキ
シジアニリン)等が挙げられる。
なお、全芳香族ポリエステルとは、芳香族カルボン酸
と芳香族アルコールとのエステルを一般に示すが、本発
明の全芳香族ポリエステルは、前述の異方性溶融相を形
成しないセグメント部分には脂肪族、脂環族の酸または
アルコールによるエステルで構成することができる。さ
らに、ポリエステルそれ自体または異方性溶融相を形成
するセグメントにおいても、これらが異方性溶融相を形
成する限り脂肪族あるいは脂環族の酸またはアルコール
とのエステルであってもよい。
具体的な全芳香族ポリエステルとしては、 等がある。
さらに本発明で用いる炭酸カルシウムは、一般に樹脂
充填用として市販されているものでよく、軽質炭酸カル
シウムおよび重質炭酸カルシウム等の種々の製法のもの
を使用できる。特に、平均粒径2〜10μmの炭酸カルシ
ウムが好ましい。平均粒径が小さい場合には、メッキ面
の表面粗さが良好で平滑な表面を持つ成形品を得ること
ができるが、平均粒径が2μm未満では密着強度が充分
ではなく、一方、平均粒径が10μmを越えると、密着強
度および表面粗さが充分ではない。
表面処理を行なう方法としては、リン酸自体を直接炭
酸カルシウムと混合しても良い。しかし、通常は、適宜
の濃度、例えば、1〜90重量%の濃度でリン酸を含む水
などの溶媒と炭酸カルシウムとを混合すれば良い。混合
の際には、特に加熱する必要はない。また、混合時間も
特に限定されず、数分から数時間で充分である。
リン酸を付着させる量は、炭酸カルシウムに対して0.
1〜5重量程度である。あまり多量のリン酸を付着させ
ると装置の腐食などの原因となり好ましくない。
混合の後、溶媒を使用した場合にはこれを除去するた
めに、適宜の温度、例えば、溶媒が水のときは100〜150
℃で1〜10時間乾燥する。
このようにして得られた表面処理炭酸カルシウムは、
例えば、数百度の温度で更に焼成しても、特に効果は変
らないので、通常はそのまま使用する。
なお、本発明のリン酸処理に係る作用機構は詳らかで
はないが、リン酸と炭酸カルシウムとが必ずしも反応す
る必要はなく、リン酸が炭酸カルシウム表面に存在する
ことが肝要であると推測される。
リン酸による炭酸カルシウムの具体的な処理方法とし
ては、充填材と処理剤をヘンシェルミキサー等で撹拌混
合して吸着させる方法、炭酸カルシウムをスラリー状に
してリン酸と撹拌混合する方法、更に、リン酸と混合し
た炭酸カルシウムに熱を加える方法などが挙げられる。
このときに用いるリン酸としては、メタリン酸、オルト
リン酸およびポリリン酸等が挙げられる。
リン酸で表面処理した炭酸カルシウムの充填量は5〜
60重量%、好ましくは30〜50重量%である。充填量が5
重量%未満の場合にはメッキ密着強度が不充分であり、
また、60重量%を越えると成形加工性が悪くなり、平滑
な表面の成形品を得ることができない。
更に本発明の組成物には、種々の添加物を本発明の機
能を損なわない範囲で添加することもできる。
添加物としては、有機充填材、安定剤、紫外線吸収
剤、顔料、染料、改質剤等が挙げられる。また、有機充
填材として各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂など、サ
ーモトロピック液晶ポリマー以外の樹脂を添加しても良
い。
更に、グラスファイバー、カーボンファイバー、各種
のウィスカー等の強化材を適当量充填することもでき
る。ファイバーの充填量が樹脂組成物の30wt%を越える
と、平滑な表面の成形品を得ることが困難であり、更に
炭酸カルシウムとの合計で70wt%を越えると成形性が悪
くなる。
サーモトロピック液晶ポリマーと無機充填材、あるい
はこれに添加される上記充填材の混合方法は、特に制限
されることはなく、種々の手段が適用できる。例えば、
別々に押出機に供給して溶融混合してもよく、また、あ
らかじめヘンシェルミキサーやタンブラー等の混合機で
予備混合した後に押出機に供給してもよい。
更に、このようにして得られた本発明の組成物は、一
般には射出成形によって成形されるが、それ以外に、押
出成形または圧縮成形などの方法によっても成形するこ
とが可能である。
本発明の組成物からなる成形体にメッキを施すには、
常法に従い前処理として酸またはアルカリ処理によるエ
ッチング処理を行なう。エッチング処理の前には適宜に
成形体の脱脂処理をすることもできる。
エッチング処理としての酸処理は、高濃度に酸を含む
水溶液、例えば、70重量%以上の濃度の硫酸、重クロム
酸、無水クロム酸、リン酸、ピロリン酸、p−トルエン
スルホン酸、過マンガン酸などの単独酸または混合酸を
含む水溶液により、一般的には40〜80℃で1〜120分処
理する。
また、アルカリ処理は、ナトリウム、カリウム、リチ
ウムなどのアルカリ金属またはストロンチウム、バリウ
ムなどのアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物などの10
〜70重量%濃度の水溶液を用い、30〜80℃で1〜120分
処理する。
アルカリ処理に際しては、有機溶媒、例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、イソブチルアルコールなどのアルコール、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル、エチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、アニリン、
ピリジン、ホルムアミドなどの含窒素化合物、クロロベ
ンゼン、o、mまたはp−ジクロロベンゼンなどのハロ
ゲン化芳香族炭化水素の1種または2種以上を混合して
エッチング処理をすることができる。更に、適宜の界面
活性剤をアルカリエッチング液に加えることもできる。
エッチング処理方法としては、上記アルカリ処理、と
りわけ水酸化カリウムを用いるアルカリ処理が特に好ま
しい効果をもたらす。
エッチング処理の後、適宜に水洗を行なった後、酸ま
たはアルカリによって中和し、更に水洗し、その後のメ
ッキ工程に供する。メッキ処理は常法に従って行なう
が、通常の化学メッキ、蒸着、溶射などのプラスチック
用メッキ方法として従来から知られている方法を採用す
ればよい。
なお、本発明の樹脂組成物から得られる成形品はメッ
キを施して使用する場合に特に好適であるが、その他、
成形物に印刷や塗装を施し、あるいは成形物を接着する
場合などにも好適である。
[発明の効果] 本発明のリン酸処理した炭酸カルシウムを用いた組成
物は、特に耐熱性、機械強度および外観やメッキ密着性
等のメッキ特性に優れた性質を有し、成形時に鼻垂れを
生じることなく安定な成形ができるため、表面組織が良
好で、流れの安定した成形品を得ることができる。また
成形品は電気・電子機器、自動者用品、事務機器などの
メッキ処理や塗装、印刷、接着などが必要な部材を製造
するために使用することができる。
[実施例] 以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、
これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではな
く、本発明の好適な態様を示すものである。
<実施例1> 平均粒径4μmの重質炭酸カルシウム(同和カルファ
イン(株)製:KS−500)に、75%オルトリン酸(日本化
学(株)製)水溶液1重量%を、ヘンシェルミキサーに
て1000rpmで撹拌しながら滴下した。ミキサーから取り
出した後110℃で2時間乾燥してリン酸処理炭酸カルシ
ウムを得た。更にフルイで平均粒径を5μmに調整し
た。この処理炭酸カルシウムを充填材として用いた。
サーモトロピック液晶ポリマーとしてテレフタル酸、
イソフタル酸、4ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルから合成された下記式に示す4元
コポリエステル(商品名:ザイダー、米国アモコパフォ
ーマンスプロダクツ社製、DSCによる融点300℃以上)を
用いた (ただし、数字はモル比を表わす。) ヘンシェルミキサーを用いて、リン酸で処理した炭酸
カルシウムをサーモトロピック液晶ポリマーに50重量%
混合した後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製:PCM−30
型)で、温度350℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混
練し、ペレット状に造粒した。次にこのペレットを射出
成形機(東芝機械(株)製:IS80型)で、バレル温度380
℃、射出圧力1000kgf/cm2、金型温度150℃の条件で、10
0mm×100mm×2mmの平板を成形した。
上記の平板を50mm×100mm×2mmに切断し、以下に述べ
るイからチの方法で順に処理し、銅メッキを行なった。
硫酸銅/硫酸浴を用い、プラスチックメッキの通常の
方法で、メッキ厚50μmになるまで電解メッキを行なっ
た。
得られたメッキ成形品に、幅10mmの切れ目をいれ、切
れ目の一端をメッキ面に対して90度の方向に引っ張り、
メッキ剥離強度を測定した。また、その外観も観察し
た。
また、このペレットを射出成形機(住友重機械工業
(株)製:ネスタールSG25型)で、バレル温度380℃、
射出圧力1000kgf/cm2、金型温度150℃の条件で、ASTM−
D 638に規定された曲げ試験片を成形し、得られた試験
片を用いて曲げ強度および熱変形温度を測定した。
<実施例2> 実施例1の表面処理炭酸カルシウムの量を50重量%か
ら30重量%に変え、その他の条件は同一にして組成物の
製造および各測定を行なった。
<実施例3> 実施例1のリン酸をポリリン酸(日本化学(株))に
変えて表面処理を行なった他は同様にして、組成物の製
造および各測定を行なった。
<比較例> 無機充填材として実施例1の未処理の重質炭酸カルシ
ウムを用い、実施例と同様にヘンシェルミキサーで樹脂
と混合して、二軸押出機にて混練し、未処理の炭酸カル
シウムを用いたペレット(炭酸カルシウム50重量%)を
得た。このペレットを使って実施例1と同様に評価を行
なった。
それらの結果を第1表にまとめて示す。
実施例1〜3と比較例の結果を比べると、各実施例で
は、リン酸で処理した炭酸カルシウムを充填することに
より、メッキ剥離強度、外観、機械強度の全てにおいて
良好な結果が得られた。また各種の試験用サンプルも問
題なく、何れも射出成形を行なうことができた。
比較例では、メッキ剥離強度はある程度得られるが、
全ての物性が不充分な値であった。また、射出成形によ
る平板や強度試験用試験片の成形において、ノズルから
樹脂の鼻垂れが起こり易く、成形が安定しなかった。
以上の結果から、リン酸処理をした炭酸カルシウムを
無機充填材として用いることが非常に有効であることが
認められ、安価な炭酸カルシウムを配合した樹脂組成物
を得ることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−261417(JP,A) 特開 昭54−35897(JP,A) 特開 平3−281565(JP,A) 特開 昭62−232431(JP,A) 特開 平2−155947(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 67/00 - 67/08 C08K 3/00 - 3/40 C08K 9/00 - 9/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも下記式で表わされるモノマー単
    位を含むサーモトロピック液晶ポリマーに、リン酸で表
    面処理したアルカリ土類金属の炭酸塩からなる無機充填
    材を5〜60重量%含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】サーモトロピック液晶ポリマーが全芳香族
    ポリエステルである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】アルカリ土類金属の炭酸塩が炭酸カルシウ
    ムである請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】無機充填材の粒径が2〜10μmである請求
    項1に記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】樹脂組成物がメッキ用樹脂組成物である請
    求項1に記載の樹脂組成物。
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