JPH10230506A - セメント系板材の製造方法 - Google Patents

セメント系板材の製造方法

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JPH10230506A
JPH10230506A JP3603997A JP3603997A JPH10230506A JP H10230506 A JPH10230506 A JP H10230506A JP 3603997 A JP3603997 A JP 3603997A JP 3603997 A JP3603997 A JP 3603997A JP H10230506 A JPH10230506 A JP H10230506A
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Japan
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cement
conveyor
suction
raw material
vacuum suction
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JP3603997A
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English (en)
Inventor
Norifumi Nagata
憲史 永田
Kenji Oomi
健志 太見
Shinkichi Tanabe
進吉 田辺
Yoshisono Nishino
嘉圃 西野
Junichi Haneda
準一 羽田
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CHIYODA UUT KK
Chichibu Onoda Cement Corp
Original Assignee
CHIYODA UUT KK
Chichibu Onoda Cement Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性に優れると共に製造コストが低廉
であって、しかも高品質な製品が得られるセメント系板
材の製造方法を提供することである。 【解決手段】 セメント、水およびフィラー材を混合し
て得られた原料をコンベア上に連続供給するか、もしく
は前記コンベア上に載置される型枠内に供給し、前記コ
ンベア上において吸引脱水処理を行いながら原料を硬化
させ、所定形状に成形するセメント系板材の製造方法で
あって、最初の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力
が100〜550mmHgであって、かつ、最後の吸引
脱水処理工程における真空吸引圧力が400〜720m
mHgであるセメント系板材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば建材として
用いられる、セメントを主原料としたセメント系板材の
製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】無機材料を主原料とす
る内外装用の建材は、建築物の高度化・多様化を背景と
して、さまざまなものが開発されている。なかでも、セ
メントを主原料としたセメント系板材は、耐久性や耐火
性に優れ、しかも安価であることから、内装・外装を問
わず広く利用されている。
【0003】こうしたセメント系板材にあっては、木片
やパルプ、各種の補強繊維、軽量骨材などをフィラー材
としたものが主流となっており、木毛セメント板、屋根
材、そして窯業系サイディング材として供されている。
特に、窯業系サイディング材は、モルタル系の外壁材な
どに比べて、施工性や防火性に優れており、かつ、さま
ざまな意匠に対応できるといった特長を有することから
急激にその需要を延ばしている。
【0004】さて、窯業系サイディング材は、一般に、
主原料となるセメント、木片、パルプ、補強繊維、更に
は軽量骨材などの原料をスラリー状態または湿潤状態で
混合した後、プレス法、押し出し法、あるいは抄造法を
用いて板状化することで製造されている。ところが、こ
の製造方法は、基本的にバッチプロセスであり、大量消
費される建材の製造に用いるには、生産効率が低いとい
った問題がある。
【0005】生産性を向上させる技術として、特開昭5
8−204855号公報に開示される木毛セメントの製
造法がある。この製造法は、11CaO・7Al2 3
・CaX2 (但しXはハロゲン原子)、3CaO・3A
2 3 ・CaX2 、3CaO・3Al2 3 ・CaS
4 、12CaO・7Al2 3 の群の中から選ばれた
少なくとも1種類の化合物に硫酸カルシウムを添加して
なる超速硬性セメントに木毛などを加えたものを用い、
これを加圧・圧縮状態で加熱することにより養生と乾燥
とを短時間で行うことを特徴とするものである。この方
法を用いれば、セメントの硬化時間が飛躍的に短縮され
るので、加圧・圧縮に要する時間は僅かであり、生産性
は大きく向上する。
【0006】しかし、上記製造法で用いられるカルシウ
ムアルミネート系鉱物は、組成が、一般的な普通ポルト
ランドセメントの組成と大きく異なり、調製に多大な手
間を必要とする。このため、普通ポルトランドセメント
に比べてコストが非常に高く付き、生産性の向上による
メリットが大きく減殺されてしまう。上述したバッチ式
プレス成形特有の欠点を持たないものとして、連続流し
込みによる製造方法がある。一例としては、特開昭54
−6007号公報に開示される急硬性セメントの連続成
型法が挙げられる。これは、コンベアによって搬送され
る受枠内に急硬性のセメントスラリーまたはペーストを
供給し、連続成形することを特徴とする。したがって、
バッチ式プレス成形に比べ、大量生産に適したものであ
ると言える。
【0007】ところで、この連続成型法に不可欠な急硬
性セメントとしては、アルミナセメントと石灰および/
またはケイ石粉との混合物、アルミナセメントとポルト
ランドセメントとの混合物、アルミナセメントとポルト
ランドセメントとケイ石粉との混合物、石膏とポルトラ
ンドセメントとの混合物、市販のジェットセメント、Q
Tセメント、石膏などが挙げられる。しかし、こうした
急硬性セメントは、いずれも普通ポルトランドセメント
より相当高価である。その上、アルミナセメント系のも
のでは、硬化時間の大幅な短縮は困難である。一方、ジ
ェットセメントなどは、硬化反応が急速に進行する点で
好ましいが、これは早期強度の急速な上昇を意味する。
よって、脱型後の切断・切削加工に支障を来すことがあ
る。
【0008】なお、特公昭52−33645号公報に開
示される高密度板状製品の製造法を用いれば、上述した
ような問題は解決できる。すなわち、この製造法では、
安価な普通ポルトランドセメントを使用し、セメントス
ラリーと短ガラス繊維とを噴霧分散により混合させて、
脱水可能な吸引コンベア上に供給し、セメントケーキを
形成する。そして、水和に必要のない余剰水分を真空脱
水しながらセメントケーキを硬化させ、連続的に所定の
形状に成形することを特徴とする。ゆえに、生産性に優
れると共に、製造コストは低廉である。
【0009】しかし、近年、セメント系板材は、ますま
す高品質なもの、つまり内部に亀裂などが存在せず、高
強度を有するものが求められており、この製造法では対
応できない状況が増えてきている。したがって、本発明
が解決しようとする課題は、生産性に優れると共に製造
コストが低廉であって、しかも高品質な製品が得られる
セメント系板材の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め鋭意研究を推し進めた結果、本発明者は、セメントと
して普通ポルトランドセメントのような安価なものを用
い、これを含む原料を連続流し込み法によって成形する
のが、生産効率やコストの点から最も好ましいであろう
との結論に到達した。なお、ここで言う連続流し込み法
とは、例えば石膏ボードなどの製造に利用されるもので
あって、ミキサーで混練された原料を連続的にコンベア
上に供給し、コンベアによって搬送される間に原料を硬
化させ、所定の形状に成形することを特徴とする。
【0011】しかし、上記連続流し込み法を用いても、
原料をコンベア上に供給してからハンドリング可能にな
るまでに長い時間を必要とするのであれば、従来技術に
比して、それほど生産性の向上は見込めない。そこで、
本発明者は、セメントを短時間で硬化させるために、特
公昭52−33645号公報に開示される高密度板状製
品の製造法と同様、水和に必要ない余剰水分を真空脱水
することを考えた。
【0012】そして、更なる研究の結果、コンベア下流
側に向かって真空吸引圧力を段階的に高めて吸引脱水処
理を行えば、特に、最初の吸引脱水処理工程における真
空吸引圧力が100〜550mmHgであって、かつ、
最後の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が400
〜720mmHgとなるよう、コンベア下流側に向かっ
て真空吸引圧力を段階的に高めて吸引脱水処理を行うよ
うにすれば、原料ケーキの内部に亀裂などが生じず、し
たがって製品強度を十分に高くできることを見出した。
【0013】本発明は、こうした知見に基づいてなされ
たものであり、上記の課題は、セメント、水およびフィ
ラー材を混合して得られた原料をコンベア上に連続供給
するか、もしくは前記コンベア上に載置される型枠内に
供給し、前記コンベア上において吸引脱水処理を行いな
がら原料を硬化させ、所定形状に成形するセメント系板
材の製造方法であって、最初の吸引脱水処理工程におけ
る真空吸引圧力が100〜550mmHgであって、か
つ、最後の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が4
00〜720mmHgであることを特徴とするセメント
系板材の製造方法によって解決される。
【0014】特に、セメント、水およびフィラー材を混
合して得られた原料をコンベア上に連続供給するか、も
しくは前記コンベア上に載置される型枠内に供給し、前
記コンベア上において吸引脱水処理を行いながら原料を
硬化させ、所定形状に成形するセメント系板材の製造方
法であって、最初の吸引脱水処理工程における真空吸引
圧力が100〜550mmHgであって、かつ、最後の
吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が400〜72
0mmHgとなるよう、コンベア下流側に向かって真空
吸引圧力を段階的に高めて吸引脱水処理を行うことを特
徴とするセメント系板材の製造方法によって解決され
る。
【0015】なお、このセメント系板材の製造方法にあ
っては、炭酸ガスをコンベア上の原料に供給しながら原
料を硬化させることが好ましい。これによって、更に短
時間でセメント系板材が得られる。特に、原料中に水酸
化カルシウムなどを添加しておけば、炭酸化硬化反応が
更に促進される。また、コンベア上、もしくはこのコン
ベア上に載置される型枠内に供給された原料を振動させ
ることが好ましい。これは、原料中に含まれる気泡を除
去するためであり、こうすることで一層の高品質化が図
れる。
【0016】ところで、連続流し込み法によって製造さ
れるセメント系板材の原料には、軽量化や補強、加工性
向上のために、木片や木質繊維などの木質フィラー材が
添加されるが、こうした木質フィラー材に含まれるリグ
ニンやタンニンなどはセメントの硬化を遅延させる。こ
のため、木質フィラー材を添加する場合、いかにして短
時間でセメントを硬化させるかが大きな課題となってい
る。しかし、上述した本発明の技術を用いれば、こうし
た課題も併せて解決できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下で本発明の第1実施形態とし
て説明するセメント系板材の製造方法は、セメント、水
およびフィラー材、更には必要に応じて混和剤を混合し
て得られた原料をコンベア上に連続供給し、前記コンベ
ア上において吸引脱水処理を繰り返し行いながら原料を
硬化させ、所定形状に成形するもので、最初の吸引脱水
処理工程における真空吸引圧力が100〜550mmH
gであって、かつ、最後の吸引脱水処理工程における真
空吸引圧力が400〜720mmHgであることを特徴
とする。特に、最初の吸引脱水処理工程における真空吸
引圧力が100〜550mmHgであって、かつ、最後
の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が400〜7
20mmHgとなるよう、コンベア下流側に向かって真
空吸引圧力を段階的に高めて吸引脱水処理を行うことを
特徴とする。なお、本実施形態では、炭酸ガスをコンベ
ア上の原料に供給しながら原料を硬化させるようにして
いる。そして、コンベア上に載置される型枠内に供給さ
れた原料を振動させるようにしている。
【0018】図1(セメント系板材の製造に用いられる
装置の概略図)を用いて、本発明の第1実施形態を更に
詳しく説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定
されるものではない。まず、セメント系板材の製造に用
いられる装置(以下、セメント板製造装置と呼ぶ)の概
略構造について説明する。
【0019】セメント板製造装置は、概して、原料スラ
リー供給部、コンベア部、吸引脱水部、炭酸ガス供給部
に大別される。このうち原料スラリー供給部は、水タン
ク1、セメントタンク2、フィラー材や混和剤などがそ
れぞれ収納された複数の副原料タンク3、そしてこれら
のタンク1〜3に接続されたミキサー4からなる。ミキ
サー4は、タンク1〜3より供給された各種原料を均一
に混練する役割を果たし、これによって原料スラリーが
得られる。こうして得られた原料スラリーは、ミキサー
4から連続的に一定量ずつ排出される。
【0020】コンベア部は、ベルトコンベア部と、この
ベルトコンベア部の下流側に設けられたローラコンベア
部とからなる。ベルトコンベア部は、所定の間隔で配置
されたローラ5a,5bと、このローラ5aとローラ5
bとの間に掛け渡されたベルト6と、ローラ5aあるい
はローラ5bを回転させる駆動手段(図示せず)とを有
する。なお、本実施形態ではベルト6としてサラン樹脂
製のメッシュからなるものを用いたが、このベルト6は
金属材料から構成されていてもよい。すなわち、吸引に
よって除去された水分や供給される炭酸ガスがスムーズ
に透過でき、しかもセメントが目詰まりし難く、あるい
は目詰まりが容易に解消するような特性を有するもので
あればよい。具体的には、上記樹脂製あるいは金属製メ
ッシュの他に、多孔質ゴム、繊維質マットなどが挙げら
れる。なお、特に図示していないが、ベルト6に原料ス
ラリーが供給されるポイントの直前には、ベルト6に離
型剤を塗布する装置が設けられている。この離型剤塗布
装置の作用によって、原料ケーキは損傷することなくベ
ルト6から分離できる。
【0021】一方、ローラコンベア部は、搬送面がベル
ト6の表面と面一になるよう設けられた複数のローラ7
と、このローラ7を回転させる駆動手段(図示せず)と
を具備する。ベルトコンベア部において原料スラリーが
供給される部分、および後述する真空吸引ボックスのう
ち第1番目のものには、ベルト6の上に供給された硬化
過程にある原料スラリー(以下、原料ケーキと呼ぶ)に
振動を与えるためのバイブレータ8が設けられている。
このバイブレータ8は原料ケーキ中の気泡を除去するた
めのものであり、これによって製品を更に高強度なもの
とすることができる。但し、図1には、第1番目の真空
吸引ボックスに対応して設けられたバイブレータを示し
ていない。
【0022】ベルトコンベア部は、ベルト6の洗浄機構
を備える。この洗浄機構は、ベルト6の裏面側と向き合
うよう配置された散水ノズル9とポンプ10とからな
る。これによって、ベルト6において原料ケーキの搬送
を終えた部分は洗浄され、付着物などが洗い落とされ
る。また、ローラコンベア部の上方にはカッター11が
設けられている。このカッター11は、原料ケーキを所
定の長さに粗切断するために用いられる。
【0023】吸引脱水部は、真空吸引ボックス12a〜
12dと、真空ポンプ13とを有する。ベルト6は、真
空吸引ボックス12a〜12dの内部を通って循環動す
るようになっており、したがってベルト6によって搬送
される原料ケーキには、真空吸引ボックス12a〜12
d内において吸引脱水処理が施される。真空吸引ボック
ス12a〜12dは、それぞれ空気弁14a〜14d、
真空弁15a〜15dおよび濾過槽16a〜16dを介
して、真空ポンプ13に接続されている。更に、濾過槽
16a〜16dは、それぞれ濾液排水弁17a〜17d
を介して、濾液排水ポンプ18に接続されている。
【0024】炭酸ガス供給部は、真空吸引ボックス12
a〜12dのそれぞれに対応した炭酸ガス調整弁19a
〜19dおよび空気弁20a〜20dと、これら2種類
の弁を介して、真空吸引ボックス12a〜12dに接続
された炭酸ガスボンベ21とからなる。なお、炭酸ガス
ボンベ21に充填された炭酸ガスは精製された純粋なも
のであるが、場合によっては、セメント系板材製造プラ
ントの燃焼ガスに含まれる炭酸ガスを、直接、真空吸引
ボックス12a〜12dに供給するようにしてもよい。
【0025】セメント系板材は上記構成の装置を使用し
て、以下のように製造される。まず、水タンク1から水
をミキサー4に供給する。これと共に、セメントタンク
2および副原料タンク3から、ぞれぞれセメントと副原
料とをミキサー4に供給する。なお、本実施形態では、
セメントとして普通ポルトランドセメントを使用した
が、これ以外にも早強セメントや速硬性セメントなどを
用いることができる。
【0026】また、副原料であるフィラー材としては、
ガラス繊維を用いた。但し、フィラー材は、周知のよう
に、補強や加工性の向上、軽量化あるいは増量などを目
的として添加されるものであって、ガラス繊維以外に
も、例えば木片や木質繊維などの木質フィラー、パルプ
繊維、ガラス以外の無機質補強用繊維、有機質補強用繊
維、無機・有機質軽量骨材などが挙げられる。
【0027】更に、副原料として、フィラー材と共に用
いられる混和剤としては、スラリー流動化剤、スラリー
粘性調整剤、各種分散剤、凝結促進剤などが挙げられ
る。このうち凝結促進剤については、通常、セメントの
凝結コントロールに用いられる添加剤、例えば消石灰な
どのカルシウム化合物が利用できる。但し、本実施形態
では、吸引脱水によってセメントの硬化時間短縮を図っ
ているので、凝結促進剤はかならずしも必要なわけでは
ない。
【0028】上記原料をミキサー4によって混練したな
らば、それをベルト6の上に一定量ずつ連続供給する。
そして、これによってベルト6上に、所定厚みの原料ケ
ーキを形成する。なお、この際、バイブレータ8によっ
て原料ケーキに振動を与え、その内部に存在する気泡を
除去する。これは、原料ケーキを緻密化するためであ
る。
【0029】次に、ベルト6上に形成された未硬化の原
料ケーキに、それが真空吸引ボックス12a〜12dを
通過する際に吸引脱水処理を施す。すなわち、第1番目
の真空吸引ボックス12aでは、真空吸引圧力を250
mmHgとして吸引脱水を行う。第2番目の真空吸引ボ
ックス12bでは、真空吸引圧力を400mmHgとし
て、また、第3番目の真空吸引ボックス12cでは、真
空吸引圧力を600mmHgとして、更に第4番目の真
空吸引ボックス12dでは、真空吸引圧力を700mm
Hgとして吸引脱水を行う。こうして、コンベア下流側
に向かって真空吸引圧力を段階的に高めて吸引脱水処理
を施すことで、セメントの水和反応に関与しない余剰水
分が原料ケーキ中から取り除かれる。なお、本発明にお
いて、真空吸引圧力が250mmHgとは、例えば76
0mmHg(大気圧)から250mmHgの圧力が差し
引かれること、つまり真空吸引ボックス内が510mm
Hg(760mmHg−250mmHg)の圧力の真空
度になることを意味する。
【0030】そして、上述したように第1番目の真空吸
引ボックス12aにもバイブレータが設けられているの
で、原料ケーキには、それが真空吸引ボックス12aを
通過する際にも振動が与えられ、内部に存在する気泡が
取り除かれる。また、吸引脱水処理と同時に、原料ケー
キに炭酸ガスを吹き付け、炭酸化硬化反応を起こさせ
る。この炭酸化硬化反応と吸引脱水処理とによって、原
料ケーキは短時間で硬化し、ハンドリングが可能であっ
て、かつ、後の切断・切削加工や研削加工に支障を来さ
ない程度の強度(圧縮強さで10kgf/cm2 程度)
となる。
【0031】この後、原料ケーキは、ローラコンベア部
に移され、カッター11によって所定の寸法に粗切断さ
れる。そして、寸法合わせのための切断・切削加工や表
面意匠を付与するための研削加工が施される。こうして
一通りの処理が済んだセメント系板材は、蒸気養生や湿
空養生処理が施され、完成品となる。上述したように、
本実施形態のセメント系板材の製造方法では、セメント
として普通ポルトランドセメントを使用した連続流し込
み成形法に、余剰水分の真空脱水処理を組み合わせ、更
に最初の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が10
0〜550mmHgであって、かつ、最後の吸引脱水処
理工程における真空吸引圧力が400〜720mmHg
となるよう、コンベア下流側に向かって真空吸引圧力を
段階的に高めて吸引脱水処理を行うようにしている。し
たがって、生産性に優れると共に、製造コストは低廉で
あって、しかも原料ケーキの内部に亀裂などが生じず、
高強度を有する製品が得られる。
【0032】続いて、本発明の第2実施形態を説明す
る。この第2実施形態のセメント系板材の製造方法は、
原料スラリーをベルトの上に直接供給するのではなく、
ベルト上に、その搬送方向に沿って型枠を配置してお
き、この型枠内に原料スラリーを供給することを特徴と
する。すなわち、原料ケーキは、型枠に収納された状態
で吸引脱水処理、および炭酸ガスによる炭酸化硬化処理
が施される。なお、ここで用いられる型枠も、先の第1
実施形態で用いた製造装置のベルトと同様、通気性を有
する材料、例えば金属製メッシュや多孔質ゴム、あるい
は繊維質マットから構成されたものである。
【0033】この第2実施形態の製造方法も、型枠を用
いる以外は第1実施形態とほぼ同様の工程を有し、型枠
内の原料ケーキがハンドリング可能な強度に達したなら
ば、それを型枠から取り出し、所定の加工を施した後、
養生する。これによって、第1実施形態同様の高品質な
製品が得られる。
【0034】
【実施例1】普通ポルトランドセメント(秩父小野田社
製)を100重量部、平均長さが6mmの耐アルカリガ
ラス繊維(日本電気硝子社製)を1.5重量部、フライ
アッシュ(秩父小野田社製)を30重量部、水を75重
量部、メチルセルロース(信越化学社製)を0.3重量
部を混合して、原料スラリーを得た。そして、第1実施
形態で説明した装置を用い、炭酸ガスを吹き付けず、ラ
イン速度2m/min(養生6時間)で、セメント系板
材を製造した。得られた製品の特性を表1に示す。
【0035】
【実施例2】実施例1で使用した原料に軽量骨材(三機
工業社製)を5重量部追加すると共に、水を75重量部
から90重量部に変更し、炭酸ガスを原料ケーキに吹き
付けた以外は、実施例1とほぼ同様にしてセメント系板
材を製造した。但し、養生時間は30分間とした。得ら
れた製品の特性を表1に示す。
【0036】
【実施例3】実施例1で使用した原料に奈良式粉砕機に
より乾式粉砕してなる木質チップを5重量部追加すると
共に、水を75重量部から90重量部に変更し、炭酸ガ
スを原料ケーキに吹き付けた以外は、実施例1とほぼ同
様にしてセメント系板材を製造した。但し、養生時間は
30分間とした。得られた製品の特性を表1に示す。
【0037】
【比較例1】原料スラリー、製造装置として実施例1と
同じものを用い、吸引脱水処理および炭酸ガスの吹き付
けを省略して、セメント系板材を製造した。得られた製
品の特性を表1に示す。
【0038】
【比較例2】原料スラリー、製造装置として実施例2と
同じものを用い、吸引脱水処理および炭酸ガスの吹き付
けを省略して、セメント系板材を製造した。得られた製
品の特性を表1に示す。
【0039】
【比較例3】セメントをジェットセメント(秩父小野田
社製)に変更すると共に、奈良式粉砕機により乾式粉砕
してなる木質チップを5重量部追加した以外は、比較例
2とほぼ同様にしてセメント系板材を製造した。得られ
た製品の特性を表1に示す。
【0040】
【比較例4】実施例1において、第1〜4番目の真空吸
引ボックス12a〜12dでの真空吸引圧力を全て70
0mmHgに設定した。それ以外は、実施例1とほぼ同
様にしてセメント系板材を製造した。得られた製品の特
性を表1に示す。
【0041】
【比較例5】実施例1において、第1番目の真空吸引ボ
ックス12aでの真空吸引圧力を700mmHgに、第
2番目の真空吸引ボックス12bでの真空吸引圧力を6
00mmHgに、第3番目の真空吸引ボックス12cで
の真空吸引圧力を400mmHgに、そして第4番目の
真空吸引ボックス12dでの真空吸引圧力を250mm
Hgに設定した。それ以外は、実施例1とほぼ同様にし
てセメント系板材を製造した。得られた製品の特性を表
1に示す。 〔表1〕 ハンドリングの可否 比重 曲げ強度(kg/cm2 ) 実施例1 可 1.5 71 実施例2 可 1.2 49 実施例3 可 1.4 40 比較例1 不可 * * 比較例2 不可 * * 比較例3 不可 * * 比較例4 可 1.5 32 比較例5 可 1.4 25 但し、ハンドリングの可否は製造ライン末端での試験結
果である。また、*は強度不足のため計測不能であった
ことを示す。表1から判るように、本発明の製造方法を
用いて得られたセメント系板材は、短時間で十分な強度
に達しており、本発明の製造方法は従来技術に比べ、生
産性に優れたものであると言える。
【0042】
【発明の効果】本発明のセメント系板材の製造方法は、
生産性に優れると共に製造コストが低廉であって、しか
も高品質な製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメント系板材の製造に用いられる装置の概略
【符号の説明】
1 水タンク 2 セメントタンク 3 副原料タンク 4 ミキサー 5a,5b ローラ 6 ベルト 7 ローラ 8 バイブレータ 9 散水ノズル 10 ポンプ 11 カッター 12a〜12d 真空吸引ボックス 13 真空ポンプ 14a〜14d 空気弁 15a〜15d 真空弁 16a〜16d 濾過槽 17a〜17d 濾液排水弁 18 濾液排水ポンプ 19a〜19d 炭酸ガス調整弁 20a〜20d 空気弁 21 炭酸ガスボンベ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 進吉 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 株式会 社建材テクノ研究所内 (72)発明者 西野 嘉圃 三重県四日市市住吉町15番2号 チヨダウ ーテ株式会社内 (72)発明者 羽田 準一 三重県三重郡川越町高松928番地 チヨダ ウーテ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント、水およびフィラー材を混合し
    て得られた原料をコンベア上に連続供給するか、もしく
    は前記コンベア上に載置される型枠内に供給し、前記コ
    ンベア上において吸引脱水処理を行いながら原料を硬化
    させ、所定形状に成形するセメント系板材の製造方法で
    あって、 最初の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が100
    〜550mmHgであって、かつ、最後の吸引脱水処理
    工程における真空吸引圧力が400〜720mmHgで
    あることを特徴とするセメント系板材の製造方法。
  2. 【請求項2】 セメント、水およびフィラー材を混合し
    て得られた原料をコンベア上に連続供給するか、もしく
    は前記コンベア上に載置される型枠内に供給し、前記コ
    ンベア上において吸引脱水処理を行いながら原料を硬化
    させ、所定形状に成形するセメント系板材の製造方法で
    あって、 最初の吸引脱水処理工程における真空吸引圧力が100
    〜550mmHgであって、かつ、最後の吸引脱水処理
    工程における真空吸引圧力が400〜720mmHgと
    なるよう、コンベア下流側に向かって真空吸引圧力を段
    階的に高めて吸引脱水処理を行うことを特徴とするセメ
    ント系板材の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭酸ガスをコンベア上の原料に供給しな
    がら、原料を硬化させることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載のセメント系板材の製造方法。
  4. 【請求項4】 コンベア上、もしくはこのコンベア上に
    載置される型枠内に供給された原料を振動させることを
    特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のセメン
    ト系板材の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006088408A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Sekisui Chem Co Ltd 無機成形体の製造方法
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CN108505402A (zh) * 2018-04-08 2018-09-07 胡建农 硅钙板板坯的生产工艺、生产装置、硅钙板的生产工艺及硅钙板
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