JPH10219079A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH10219079A
JPH10219079A JP3975597A JP3975597A JPH10219079A JP H10219079 A JPH10219079 A JP H10219079A JP 3975597 A JP3975597 A JP 3975597A JP 3975597 A JP3975597 A JP 3975597A JP H10219079 A JPH10219079 A JP H10219079A
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JP
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monomer
copolymer
weight
component
graft copolymer
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JP3975597A
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English (en)
Inventor
Shigeto Ishiga
成人 石賀
Terutaka Tanaka
輝隆 田中
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Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた艶消し性と表面外観を有し、かつ耐衝
撃性、耐熱変形性、および成形加工性に優れたABS樹
脂系の熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 分子内にエポキシ基を有する単量体を含
有したグラフト共重合体A1および分子内にエポキシ基
を有しないグラフト共重合体A2からなるグラフト共重
合体Aと、N−置換マレイミド単量体およびα,β−不
飽和ジカルボン酸無水物単量体を含有する共重合体B
と、ビニル系共重合体Cとを、特定割合で、均一に混合
してなる、熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた艶消し性と
表面外観を有し、かつ耐衝撃性、耐熱変形性、および成
形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂な
どのゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂は、その優れた耐
衝撃性、耐熱変形性、および良好な表面光沢を有するた
め、家電機器用、自動車内装用の分野など、種々の用途
に使用されている。近年、分野によっては、落ちつき
感、高級感を与えることを目的に、部品表面の光沢を抑
えたものに対する要求が高まってきている。一般的に、
艶消しをする方法としては、金型表面にシボ加工を施す
方法、成形表面に液状艶消し剤を塗布する方法、無機充
填剤を樹脂に混合する方法(特公昭49−44582号
公報)、ゴム質重合体を添加する方法(特公昭48−2
4034号公報、特公昭54−142259号公報、特
公昭62−59725号公報)、エチレン系不飽和カル
ボン酸系共重合体を添加する方法(特開昭60−177
01号公報、特開昭60−197713号公報、特開昭
60−202143号公報)、エポキシ基含有オレフィ
ン共重合体を添加する方法(特開昭63−137944
号公報、特開昭64−56762号公報、特開平1−1
01355号公報、特開平1−113452号公報)な
どが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術は、それなりの解決を与えるものとして有意義な
ものではあるが、本発明者らの知るかぎりでは、完全に
満足すべきものではない。すなわち、これらの方法のう
ち、金型面の改良による方法では、制作および保守管理
にコストがかかるうえ、成形条件によっては、充分な艶
消し効果が達成されず、一定の艶の成形品を得ることが
難しい。塗装による方法では、塗装工程にコストがかか
るうえ、溶剤による劣化の問題もある。無機充填剤の混
合では、耐衝撃性の低下が著しく、また成形品の外観が
悪いという欠点がある。ゴム質重合体の添加は、成形品
表面にフローマークなどの欠陥が発生するとともに、均
一な艶消し表面が得られない。エチレン系不飽和カルボ
ン酸系共重合体を添加する方法では、艶ムラが生じると
いう問題がある。エポキシ基含有オレフィン共重合体を
添加する方法は、比較的欠陥の少ない方法ではあるが、
やはり加工性の低下、耐衝撃性の低下を来す。
【0004】本発明は、上記従来技術の課題を背景にな
されたもので、優れた艶消し性と表面外観を有し、かつ
耐衝撃性、耐熱変形性、および成形加工性に優れた熱可
塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達
したものである。すなわち、分子内にエポキシ基を有す
る単量体を含有したグラフト共重合体A1、分子内にエ
ポキシ基を有しないグラフト共重合体A2と、N−置換
マレイミド単量体およびα,β−不飽和ジカルボン酸無
水物単量体を含有する共重合体B、ならびにビニル系共
重合体Cとを、特定割合で、均一に混合してなる樹脂組
成物が、従来の組成物では得られなかった優れた耐熱変
形性、耐衝撃性、成形加工性、および幅広い成形条件に
て優れた艶消し性を有することを見いだし、本発明に到
達したものである。
【0006】本発明は、下記に示すグラフト共重合体
A、共重合体Bおよび共重合体Cを、下記式(1)〜
(4)の組成比率(重量比)で含有することを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。グラフト共重合体A グラフト共重合体A1;ゴム質重合体100重量部(固
形分換算)の存在下に、分子内にエポキシ基を有する単
量体0.1〜30重量%、芳香族ビニル単量体50〜8
0重量%、シアン化ビニル単量体20〜50重量%およ
び共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重量%〔た
だし、上記エポキシ基を有する単量体+芳香族ビニル単
量体+シアン化ビニル単量体+他のビニル系単量体=1
00重量%〕からなる単量体成分45〜550重量部を
共重合して得られるグラフト共重合体。グラフト共重合
体A2;ゴム質重合体100重量部(固形分換算)の存
在下に、芳香族ビニル単量体50〜80重量%、シアン
化ビニル単量体20〜50重量%および分子内にエポキ
シ基を有する単量体以外の共重合可能な他のビニル系単
量体0〜20重量%〔ただし、芳香族ビニル単量体+シ
アン化ビニル単量体+上記他のビニル系単量体=100
重量%〕からなる単量体成分400〜900重量部を共
重合して得られるグラフト共重合体。共重合体B 芳香族ビニル単量体50〜80重量%、N−置換マレイ
ミド単量体5〜47重量%、α,β−不飽和ジカルボン
酸無水物単量体0.01〜30重量%およびシアン化ビ
ニル単量体0〜30重量%〔ただし、芳香族ビニル単量
体+N−置換マレイミド単量体+α,β−不飽和ジカル
ボン酸無水物単量体+シアン化ビニル単量体=100重
量%〕よりなる共重合体。共重合体C 芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シアン化ビニル
単量体20〜60重量%および共重合可能な他のビニル
系単量体0〜20重量%〔ただし、芳香族ビニル単量体
+シアン化ビニル単量体+上記他のビニル系単量体=1
00重量%〕よるなる共重合体。式(1 ) 0.05<グラフト共重合体Aからのゴム質重合体/
(グラフト共重合体A+共重合体B+共重合体C)<
0.50式(2 ) 0.00≦グラフト共重合体A2からのゴム質重合体/
グラフト共重合体Aからのゴム質重合体<0.40式(3 ) 0.01<共重合体B/(グラフト共重合体A+共重合
体B+共重合体C)<0.70式(4 ) 0.01<共重合体C/(グラフト共重合体A+共重合
体B+共重合体C)<0.90
【0007】
【発明の実施の形態】1.グラフト共重合体A (1)一般的説明 グラフト共重合体の常として、「枝」となるべき単量体
がすべて「幹」であるゴム質重合体と結合して「枝」と
なっているとは限らないが、本発明でいう「グラフト共
重合体」も、慣用されているところに従って、そのよう
な「枝」となっていない「枝」用単量体由来の(共)重
合体の共存を許容するものである。
【0008】グラフト共重合;グラフト共重合条件は、
乳化重合法、塊状懸濁重合法など、ABS樹脂の製造に
慣用されているところと本質的には異ならない。また、
グラフト共重合体A1、グラフト共重合体A2の製造条
件は、同一である必要はなく、各々のゴム質重合体、粒
径などに最適の条件を選択することができる。
【0009】ゴム質重合体 グラフト共重合体Aで用いられるゴム質重合体とは、そ
のガラス転移温度が常温より低いものが対象となる。ゴ
ム質重合体を構成する単量体としては、ブタジエン、イ
ソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、シクロ
ペンタジエンなどの共役ジエン単量体、2,5−ノルボ
ルナジエン、1,4−シクロヘキサジエン、4−エチリ
デンノルボルネンなどの非共役ジエン単量体、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族
ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
などのシアン化ビニル単量体、メチルメタクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどの(メ
タ)アクリル酸エステル単量体、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテンなどのオレフィン単量体などがあり、こ
れらは単独あるいは共重合して用いられる。共重合体の
場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれで
あってもよい。また、架橋性単量体として、多官能性ビ
ニル単量体の共重合を行うこともできる。用いられる多
官能性ビニル単量体としては、ジビニルベンゼン、エチ
レングリコールジメタクリレート、シアヌル酸トリアリ
ル、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、グリ
シジルアクリレートなどが挙げられる。
【0010】単量体 本発明で用いられる芳香族ビニル単量体には、スチレ
ン、ならびに側鎖および/または核置換スチレン(置換
基は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオ
ロメチル基、ハロゲン原子など)、例えばα−メチルス
チレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、核ハロゲン化スチレン、ビニルナフ
タレンなどが挙げられる。これらは、群内または群間で
併用してもよい。本発明で用いられるシアン化ビニル単
量体には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α
−クロロアクリロニトリルなどが挙げられる。これら
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。単量体は、本発明の趣旨を
損なわない限り、これらと共重合可能な他のビニル系単
量体を少量併用してもよい。このような他のビニル系単
量体としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素
数1〜10のアルカノールとのエステル、特にメチルア
クリレート、メチルメタクリレート、ジエン系単量体、
ジビニルベンゼン、(ポリ)アルキレングリコールジ
(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0011】その他の条件 グラフト共重合は、重合開始剤の存在下で行う。使用し
得る開始剤(または、触媒)としては、過硫酸、過酢
酸、過フタル酸などの過酸触媒、過硫酸カリウムなどの
過硫酸塩触媒、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化
クロルベンゾイル、過酸化ナフチル、過酸化アセチル、
過酸化ベンゾイルアセチル、過酸化ラウリルなどの過酸
化物触媒、ヒドロ過酸化t−ブチルなどのヒドロ過酸化
アルキル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ触媒
などが挙げられ、これらは、1種単独で使用すること
も、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、これらは、還元剤と組み合わせてレドックス触媒
として使用することもできる。
【0012】グラフト共重合は、連鎖移動剤の存在下に
行うことができる。本発明で用いられる連鎖移動剤とし
ては特に制限はないが、例えばn−オクチルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タンなど、あるいはテルピノレン、α−メチルスチレン
リニアダイマーなどが用いられる。
【0013】その他のグラフト共重合条件は、ABS樹
脂の製造に慣用されているところとは本質的には異なら
ない。グラフト共重合用の単量体は、全量を一時に重合
系に導入してもよく、段階的に導入してもよい。また、
重合中の温度を、経時的に変化させることもできる。
【0014】(2)グラフト共重合体A1 本発明において使用するグラフト共重合体A1は、上記
した特定の条件を満たした限定されたグラフト共重合体
樹脂である。
【0015】ゴム質重合体 ゴム質重合体としては、上述のものが用いられるが、樹
脂組成物の耐衝撃性、流動性などへ影響を及ぼすラバー
粒径の調節が容易であり、また、グラフトポリマーの、
グラフト率、分子量などの調整などが容易な乳化グラフ
ト共重合に供するため、ラテックスであることが好まし
い。このようなゴム質重合体のラテックスは、所定の単
量体ないしその混合物を水性媒体中で一時にまたは段階
的に乳化重合させることによっても製造することがで
き、また、固形のラバーを溶解、ホモジナイザーなどを
用いて調製することもできる。
【0016】ゴム質重合体の粒径は、0.10〜0.6
5μm、好ましくは0.15〜0.45μmの範囲であ
る。0.10μm未満では、最終的に得られる樹脂の耐
衝撃性が著しく劣るものとなり、成形加工性も不足す
る。一方、0.65μmを超えると、耐衝撃性の低い樹
脂が得られず、また、乳化グラフト共重合の際、ラテッ
クスの不安定化を招き、重合中のスケール量の増加など
の問題が生じるので好ましくない。
【0017】このような比較的大粒径のゴムラテックス
は、小粒径のラテックスについて目的粒径を得るために
粒径肥大という操作を行って得たものでもよい。粒径肥
大は、公知の方法、例えばラテックスを一度凍結させて
から再溶解する方法、ラテックスに鉱酸、有機酸などを
添加して、ラテックスのpHを一時的に低下させる方
法、ラテックスに剪断力を加える方法など(特開昭54
−133588号公報、特開昭59−202211号公
報)によって、行うことができる。特に、ラテックス
に、リン酸または無水酢酸を添加する方法が、粒径の調
整が容易であるので、好ましい。ゴム質重合体の粒径
は、必ずしも単峰性である必要はなく、多峰性、すなわ
ち、各種粒径の混合物であってもよい。
【0018】グラフト共重合 本発明のグラフト共重合体A1は、上述のゴム質重合体
の存在下に、分子内にエポキシ基を有する単量体、芳香
族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、および必要に
応じて共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体
成分をグラフト共重合して得られるものである。
【0019】ゴム質重合体と単量体成分の使用割合は、
ゴム質重合体100重量部(固形分換算)に対し、上記
単量体成分45〜550重量部、好ましくは55〜40
0重量部である。ゴム質重合体の含量がこの範囲より少
ないと、本発明の組成物は充分な耐衝撃性を持たず、一
方、この範囲より高いと、充分な剛性が得られない。
【0020】本発明で用いられる分子内にエポキシ基を
有する単量体としては、ラジカル重合可能なビニル基と
エポキシ基の両者を有する化合物であり、具体例として
は、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、
エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどの
不飽和有機酸のグリシジルエステル類、アクリルグリシ
ジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、2−メチル
グリシジルメタクリレートなどの上記の誘導体類が挙げ
られ、なかでも、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸
グリシジルが好ましく使用される。これらのエポキシ基
を有する単量体は、1種単独で使用することも、あるい
は2種以上を混合して用いることもできる。エポキシ基
を有する単量体の共重合量は、0.1〜30重量%、好
ましくは0.5〜20重量%である。0.1重量%未満
では、艶消し効果が不充分であり、一方、30重量%を
超えると、成形加工性、耐衝撃性が低下する。
【0021】本発明で用いられる芳香族ビニル単量体、
シアン化ビニル単量体、および共重合可能な他のビニル
系単量体としては、上述のものが用いられる。これら
「枝」用単量体の重量比率は、芳香族ビニル単量体50
〜80重量%、好ましくは55〜80重量%、シアン化
ビニル単量体20〜50重量%、好ましくは20〜45
重量%、共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重量
%である。これらの重量比率範囲より、シアン化ビニル
単量体が多くなると、加工性、色調が低下し、一方、少
なくなると、耐薬品性が低下し好ましくない。
【0022】グラフト共重合体A1の製造を乳化グラフ
ト共重合で行う場合には、まず上述の範囲に特定したグ
ラフト共重合体ラテックスを製造し、芳香族ビニル単量
体、シアン化ビニル単量体および必要に応じて共重合可
能な他のビニル系単量体を共重合して得られた硬質重合
体ラテックスを混合してもよいし、上記硬質重合体ラテ
ックスを混合することなく、直接、グラフト共重合体を
製造してもよい。このとき、混合するグラフト共重合体
ラテックスの「枝」用単量体の重量比率と上記硬質重合
体ラテックスの単量体の重量比率は、同一でもよいし、
異なっていてもよい。
【0023】グラフト共重合での重合温度条件は、50
〜85℃、好ましくは55〜75℃の範囲が適当であ
る。50℃未満では、重合反応速度が小さく実用的でな
く、一方、85℃を超えると、一度に凝固物あるいは付
着物の発生量が多くなり、重合比率の低下および最終製
品の品質低下をきたすので好ましくない。
【0024】(3)グラフト共重合体A2 ゴム質重合体 グラフト共重合体A2の製造に用いられるゴム質重合体
は、上述のものである。このとき、グラフト共重合体A
1の製造に用いられるゴム質重合体と同種のゴム質重合
体であってもよいし、異なっていてもよい。なお、グラ
フト共重合体A2は大粒径ラバー含有グラフト共重合体
であることが好ましい。このため、グラフト共重合体A
2を得るには、塊状懸濁重合法が適しており、ゴム質重
合体としては、固形状のものが好ましい。大粒径ラバー
含有グラフト共重合体は、樹脂組成物の耐衝撃性、流動
性、艶消し外観を得るのに好ましい。
【0025】グラフト共重合 本発明のグラフト共重合体A2は、上述のゴム質重合体
を用い、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、
および必要に応じて分子内にエポキシ基を有する単量体
以外の共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体
成分を共重合して得られるものであり、上述のように、
塊状懸濁重合法が好ましく、特に塊状懸濁2段重合して
得られるものが好ましい。塊状懸濁重合を行う際、ゴム
質重合体と単量体成分の使用割合は、ゴム質重合体10
0重量部(固形分換算)に対し、上記単量体成分400
〜900重量部、好ましくは450〜800重量部であ
る。ゴム質重合体の含量がこの範囲より少ないと、本発
明の組成物は充分な耐衝撃性を持たず、一方、この範囲
より多いと、塊状重合時の粘度が極めて高くなり、工業
的操作が困難となり好ましくない。
【0026】グラフト共重合体A2中の「枝」用単量体
の重量比率は、芳香族ビニル単量体50〜80重量%、
好ましくは45〜80重量%、シアン化ビニル単量体2
0〜50重量%、好ましくは20〜55重量%、上記他
のビニル系単量体0〜20重量%である。これらの重量
比率範囲より、シアン化ビニル単量体が多くなると、加
工性、色調が低下し、一方、少なくなると、耐薬品性が
低下し好ましくない。
【0027】グラフト共重合体A2を製造するに際して
は、上記ゴム質重合体を上記単量体成分に溶解し、これ
にラジカル発生型重合開始剤を加えて、モノマーの15
〜45重量%が重合体へ転化するまで塊状重合を行い、
懸濁剤を含有する水溶液中に懸濁させて重合が実質的に
完結するまで重合する。
【0028】ここで、塊状重合から懸濁重合への転換期
を、重合系のモノマーの重合体への転化率が15重量%
未満とすると、溶解したゴム質重合体のミクロ分散が好
ましく行われず、最終樹脂組成物より得られる成形品表
面のきめなどの外観を損ない、一方、転化率が45重量
%を超えると、塊状重合の粘度が著しく高くなり、工業
的操作が困難となるだけでなく、ミクロ分散が進みすぎ
て最終樹脂組成物の衝撃強度が劣るなどの欠点を有す
る。
【0029】グラフト共重合体A2中にミクロ分散した
ゴム質重合体の平均粒径は、好ましくは0.80〜2.
5μm、さらに好ましくは1.0〜2.0μmの範囲で
ある。0.80μm未満では、最終的に得られる樹脂の
耐衝撃性が著しく劣るものとなり、一方、2.5μmを
超えると、耐衝撃性の低い樹脂しか得られない。上記単
量体成分の重合体への転化率が低い段階で懸濁重合系に
移すと、ゴム質重合体の粒径は大きくなり、逆に、高い
転化率の段階で懸濁重合系に移すと、粒径は小さくなる
傾向にある。
【0030】2.共重合体B 本発明の組成物を構成する共重合体Bは、芳香族ビニル
単量体50〜80重量%、N−置換マレイミド単量体5
〜47重量%、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物単量
体0.01〜30重量%、およびシアン化ビニル単量体
0〜30重量%(ただし、芳香族ビニル単量体+N−置
換マレイミド単量体+α,β−不飽和ジカルボン酸無水
物単量体+シアン化ビニル単量体=100重量%)より
なる共重合体である。共重合体Bは、N−置換マレイミ
ド単量体、およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物単
量体を含むので、優れた耐熱性を持つ熱可塑性の硬質樹
脂である。
【0031】上記共重合体Bの構成成分である芳香族ビ
ニル単量体、およびシアン化ビニル単量体は、上記グラ
フト共重合体Aの構成成分として例示したものと同様で
ある。ここで、芳香族ビニル単量体の共重合体B中に占
める比率は、50〜80重量%、好ましくは55〜75
重量%である。この範囲を外れると、耐熱性や他の樹脂
への混和性などの性質が変化し、物性の優れた樹脂組成
物を製造することができない。シアン化ビニル単量体の
共重合体B中に占める比率は、0〜30重量%、好まし
くは0〜20重量%である。30重量%を超えると、得
られる共重合体の物性が変化し、目的とする樹脂組成物
を得ることができない。
【0032】上記共重合体Bの構成成分であるN−置換
マレイミド単量体の具体例としては、マレイミド、N−
フェニルマレイミド、N−(o−メチルフェニル)マレ
イミド、N−(m−メチルフェニル)マレイミド、N−
(p−メチルフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレ
イミドなどのN−芳香族マレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミドなどの脂環式アルキルマレイミド、炭素数
1〜10のアルキル基を有するN−脂肪族アルキルマレ
イミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で、ある
いは2種以上を併用することができる。このなかでも、
N−フェニルマレイミドとマレイミドの併用系が、共重
合体Bの耐熱性などの観点から特に好ましい。N−置換
マレイミド単量体の共重合体Bに占める比率は、5〜4
7重量%、好ましくは8〜40重量%である。この範囲
を外れると、得られる樹脂組成物の耐熱性や樹脂相互間
の混和性が低下するので好ましくない。
【0033】上記共重合体Bの構成成分であるα,β−
不飽和ジカルボン酸無水物単量体としては、無水マレイ
ン酸などが挙げられる。α,β−不飽和ジカルボン酸無
水物単量体の共重合体Bに占める比率は、0.01〜3
0重量%、好ましくは0.1〜25重量%の範囲であ
る。この範囲内にα,β−不飽和ジカルボン酸無水物単
量体を含む共重合体Bは、優れた耐熱変形性、耐衝撃
性、成形加工性、および幅広い成形条件で優れた艶消し
性を備えた熱可塑性樹脂組成物を与える。
【0034】上記共重合体Bの製造方法としては、次に
示す2つの方法があり、いずれの方法によってもよい。 共重合体Bの構成成分をそのまま重合原料として、芳
香族ビニル単量体50〜80重量%、N−置換マレイミ
ド単量体5〜47重量%、α,β−不飽和ジカルボン酸
無水物単量体0.01〜30重量%、およびシアン化ビ
ニル単量体0〜30重量%よりなる単量体成分を共重合
することにより、目的の組成の共重合体Bを製造する方
法。 共重合体Bの構成成分のうち、N−置換マレイミド単
量体の全部または大部分を無水マレイン酸に置き換え、
この単量体成分を共重合する。次いで、得られる共重合
体とアンモニア、炭素数1〜10のモノアルキルアミン
またはモノシクロアルキルアミンなどの脂肪族系第1級
アミン、アニリン、トルイジンなどの芳香族第1級アミ
ンの1種または2種以上の混合物とを、高分子イミド化
反応させることによる、目的の組成の共重合体Bを製造
する方法(例えば、特開昭57−131213号公
報)。
【0035】上記またはのいずれの方法によるにし
ても、具体的な操作としては、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、および/または乳化重合法などの方法
によることができ、回分方法または連続方法のいずれの
方法であってもよい。上記重合法と方式を適宜組み合わ
せることができる。また、共重合操作を終了した後の処
理方法としては、公知の抽出、析出、蒸留、凝集、ろ
別、洗浄、乾燥、およびペレット化などの諸単位操作を
適宜組み合わせ採用することができる。さらに、共重合
体Bは、この製造方法、で得られるものを、それぞ
れ単独にまたは併用したものであってもよい。
【0036】3.共重合体C 本発明の組成物を構成する共重合体Cは、芳香族ビニル
単量体40〜80重量%、好ましくは45〜75重量
%、シアン化ビニル単量体20〜60重量%、好ましく
は25〜55重量%、および共重合可能な他のビニル系
単量体0〜20重量%〔ただし、芳香族ビニル単量体+
シアン化ビニル単量体+上記他のビニル系単量体=10
0重量%〕からなる単量体成分の共重合体である。これ
らの重量比率範囲より、シアン化ビニル単量体が多くな
ると、加工性、色調が低下し、一方、少なくなると、耐
薬品性が低下し好ましくない。上記共重合体Cの構成成
分である芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、
および共重合可能な他のビニル系単量体は、上述したグ
ラフト共重合体の構成成分として例示したものと同様で
ある。上記共重合体Cの重合方法および重合条件は、溶
液重合法、塊状重合法、懸濁重合法などの方法を、回分
または連続方法から適宜選択することができる(製造方
法の詳細は、例えば特開昭62−1720号公報参
照)。
【0037】なお、本発明におけるグラフト共重合体
A、共重合体B、および共重合体Cを構成する単量体成
分の組成は、各々上記で限定された範囲内であればよ
く、各単量体成分のの組成比が全く同一であることを必
ずしも意味するものではない。しかしながら、各単量体
成分の組成比が上記範囲内で選択され、組み合わされた
としても、各単量体成分の組成比を著しく相違させる
と、各樹脂の相溶性が劣り、物性が低下するので好まし
くない。また、各共重合体のゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン
換算の重量平均分子量は、グラフト共重合体A1、A2
が5万〜50万、好ましくは5万〜300万、共重合体
Bが20万〜30万、共重合体Cが5万〜30万、好ま
しくは6万〜20万である。
【0038】4.熱可塑性樹脂組成物 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上に説明したグラフ
ト共重合体A、共重合体B、および共重合体Cから構成
されるものであり、その組成比率(重量比)は、下記式
(1)〜(4)に示される範囲内にある。各々の共重合
体の配合量が、式(1)〜(4)の範囲を外れると、目
的とする物性が得られず、また耐薬品性の良好な熱可塑
性樹脂組成物とすることができない。
【0039】式(1) 0.05<グラフト共重合体Aからのゴム質重合体/
(グラフト共重合体A+共重合体B+共重合体C)<
0.50式(2 ) 0.00≦グラフト共重合体A2からのゴム質重合体/
グラフト共重合体Aからのゴム質重合体<0.40式(3 ) 0.01<共重合体B/(グラフト共重合体A+共重合
体B+共重合体C)<0.70式(4) 0.01<共重合体C/(グラフト共重合体A+共重合
体B+共重合体C)<0.90
【0040】式(1)に示されるとおり、本発明の熱可
塑性樹脂組成物中に含有されるゴム質重合体は、グラフ
ト共重合体A中に含まれるゴム質重合体がグラフト共重
合体A、共重合体B、および共重合体Cの合計量あた
り、5〜50重量%、好ましくは8〜45重量%でなけ
ればならない。5重量%未満では、耐衝撃性が劣り、一
方、50重量%を超えると、耐熱変形性、成形加工性が
劣る。
【0041】式(2)に示されるとおり、本発明の熱可
塑性樹脂組成物中に含有されるゴム質重合体は、グラフ
ト共重合体A2中に含まれるゴム質重合体がグラフト共
重合体Aに含まれるゴム質重合体の合計量あたり、0〜
40重量%、好ましくは3〜30重量%でなければなら
ない。40重量%を超えると、耐衝撃性が劣る。
【0042】式(3)に示されるとおり、本発明の熱可
塑性樹脂組成物中に含有される共重合体Bは、グラフト
共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの合計量あ
たり、1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%でな
ければならない。1重量%未満では、耐熱変形性、艶消
し性、表面外観が劣り、一方、70重量%を超えると、
耐衝撃性が劣る。
【0043】式(4)に示されるとおり、本発明の熱可
塑性樹脂組成物中に含有される共重合体Cは、グラフト
共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの合計量あ
たり、1〜90重量%、好ましくは5〜70重量%でな
ければならない。1重量%未満では、艶消し性、表面外
観が劣り、一方、90重量%を超えると、耐衝撃性が劣
る。
【0044】グラフト共重合体Aおよび共重合体B〜C
を配合し、混合・混練りするには、公知の混合・混練り
方法によればよい。この際、混練りする温度は、組成物
が樹脂焼けを起こさない範囲で選択するのがよい。粉
末、ビード、フレーク、またはペレットとなった(グラ
フト)共重合体の1種または2種以上の混合物は、一軸
押し出し機、二軸押し出し機、または、バンバリーミキ
サー、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練り機などに
より組成物とすることができる。また、場合によって
は、重合を終えたこれらの(グラフト)共重合体の1種
または2種以上のものを未乾燥のまま混合し、析出し、
洗浄し、乾燥して、混練りする方法を採用することもで
きる。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、樹脂と
しての性質を阻害しない種類および量の潤滑剤、離型
剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃化剤、紫外線吸
収剤、耐光性安定剤、耐熱性安定剤、充填剤などの各種
樹脂添加剤を、適宜、組み合わせて添加することができ
る。
【0046】本発明の組成物は、射出成形法、押し出し
成形法、プレス成形法などの各種加工方法によって、成
形品とし、優れた艶消し性と表面外観を有し、かつ優れ
た耐薬品性、加工性、耐衝撃性、耐熱変形性が要求され
る用途に使用することができる。
【0047】
【実施例】下記の実施例および比較例は、本発明をさら
に具体的に説明するためのものであるが、本発明は、そ
の要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中、部および%は、特に断わらない
限り重量基準である。また、実施例中の各物性は、下記
のようにして測定した。
【0048】(1)ラテックスの平均粒径 ラテックスの平均粒径は、米国コールター社製「ナノナ
イザー」によって、測定した。 (2)式(1)〜(2)における組成比率 式(1)の測定方法;射出成形法によって成形された試
験片を、NMRにより分析、ゴム質重合体の含有量を定
量し、式(1)の値とした。 式(2)の測定方法;射出成形法によって成形された試
験片を、電子顕微鏡写真に撮り、該写真で観察されるゴ
ム粒子200個の最大径を測定し、粒子径分布を求め
た。粒径分布曲線上で、大粒径側(0.80〜2.5μ
m)と小粒径側(0.10〜0.65μm)に分布を分
け、それぞれの重量比を求め、式(2)の値とした。 (3)引張強度 JIS K7113に従って測定した。単位は、kg/
cm2 である。 (4)アイゾット(IZ)衝撃強度 JIS K7110に従って測定した。単位は、kg・
cm/cmである。 (5)VICAT軟化点 JIS K7206に従って測定した。単位は、℃であ
る。 (6)メルトフローレート(MFR) JIS K7210に従って、220℃、10kgの条
件で測定し、10分間の流出g数で表示した。 (7)表面外観 射出成形試験片(厚さ2.5mm、幅75mm、長さ1
60mm)のフローマーク、艶ムラ、ウエルドラインの
程度を、下記のように目視判定した。 ○;フローマーク、艶ムラ、ウエルドラインが認められ
ない。 △;フローマーク、艶ムラ、ウエルドラインが少し認め
られる。 ×;フローマーク、艶ムラ、ウエルドラインがかなり認
められる。 (8)光沢 射出成形試験片(厚さ2.5mm、幅75mm、長さ1
60mm)につき、その表面の光沢値を日本電色工業
(株)製の変角光沢計(VGS−300A型)を用い
て、入射角60度で各5点測定し、その平均値を算出
し、光沢とした。単位は、%である。
【0049】参考例1(グラフト共重合体Aの製造)グラフト共重合体A1の製造 A1−1;攪拌装置、加熱冷却装置、および各原料、助
剤仕込み装置を備えた容量5Lの反応器に、表1に示す
ゴム質重合体ラテックスを固形分として100部、およ
び脱イオン水300部(ラテックス中の水分を含む)を
仕込み、70℃に昇温した。昇温途中60℃で、水20
部に溶解したピロリン酸ナトリウム1部、デキストロー
ズ0.5部、および硫酸第一鉄0.01部を添加した。
70℃に達した時点で、表1に示す単量体成分、t−ド
デシルメルカプタン1.1部およびクメンハイドロパー
オキサイド0.5部、不均化ロジン酸カリウムセッケン
1.8部、水酸化カリウム0.37部、および脱イオン
水35部を、2時間30分かけて添加した。添加終了
後、さらに30分間反応を続け、冷却して、反応を終了
した。このグラフト共重合体ラテックスに、老化防止剤
5部を添加したのち、95℃に加熱した硫酸マグネシウ
ム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水
洗乾燥して、白色粉末状の樹脂組成物を得た。
【0050】A1−2;攪拌装置、加熱冷却装置、およ
び各原料、助剤仕込み装置を備えた容量5Lの反応器
に、表1に示すゴム質重合体ラテックスを固形分として
100部、炭酸水素ナトリウム1部、および脱イオン水
300部(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、80
℃に昇温した。80℃に達した時点で、表1に示す単量
体成分、t−ドデシルメルカプタン0.44部、過硫酸
カリウム1.1部、不均化ロジン酸カリウムセッケン
4.0部、および脱イオン水88部を、3時間30分か
けて添加した。添加終了後、さらに30分間反応を続
け、冷却して、反応を終了した。このグラフト共重合体
ラテックスに、老化防止剤5部を添加したのち、95℃
に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加
えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して、白色粉末状の樹
脂組成物を得た。
【0051】A1−3;A1−1と同様に反応を行い、
白色粉末状の樹脂組成物を得た。 A1−4;ピロリン酸ナトリウムを1.2部、デキスト
ローズを0.8部、硫酸第一鉄を0.015部、t−ド
デシルメルカプタン1.2部、およびクメンハイドロパ
ーオキサイド0.75部、不均化ロジン酸カリウムセッ
ケン2.2部、水酸化カリウム0.42部、および脱イ
オン水40部とし、連続添加時間を3時間とした以外
は、A1−1と同様に反応を行い、白色粉末状の樹脂組
成物を得た。 A1−5;A1−1と同様に反応を行い、白色粉末状の
樹脂組成物を得た。 A1−6;ゴム質重合体ラテックスとともに添加する脱
イオン水を200部、ピロリン酸ナトリウムを0.3
部、デキストローズを0.2部、硫酸第一鉄を0.00
3部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、クメンハイ
ドロパーオキサイド0.3部、不均化ロジン酸カリウム
セッケン0.6部、水酸化カリウム0.25部、および
脱イオン水25部とし、連続添加時間を2時間とした以
外は、A1−1と同様に反応を行い、白色粉末状の樹脂
組成物を得た。
【0052】グラフト共重合体A2の製造 オートクレーブに、スチレン225.0部、アクリロニ
トリル81.0部、およびポリブタジエンゴム51.0
部を仕込んで、チッ素気流下、内温を60℃に昇温して
攪拌しつつ、この温度に3時間保持し、ゴムを単量体成
分中に充分に分散させた。続いて、この溶液に、ジ−t
−ブチルパーオキサイド0.19部、およびt−ブチル
パーアセテート0.06部、テルペン混合物2.5部を
加え、100℃で攪拌しつつ、チッ素雰囲気下で、単量
体の約30%が重合するまで塊状重合を行った。次い
で、この部分的に重合したシロップ状物285部を、無
水硫酸ナトリウム1.7部を溶解した脱イオン水313
部、β−ナフタレンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合
物ナトリウム塩0.9部、および2−エチルヘキシルア
クリレートとアクリル酸との共重合体からなる懸濁剤の
5%水溶液18.5部と混合した。懸濁物を、約2時間
にわたって攪拌し、約135℃まで加熱した。その後、
約3時間で内温を140℃まで昇温した。重合系に消泡
剤を添加し、オートクレーブの内圧6.5kg/cm2
で凝縮器を経てゆっくり排気し、内温が140℃になっ
たときから、未反応単量体のストリッピングを開始し、
約3時間続けた。この間、水約49部、単量体27.5
部が回収された。重合を終了したのち、懸濁物を冷却
し、脱水、洗浄、乾燥して、小球形状のビーズを回収し
た。得られたグラフト共重合体は、電子顕微鏡法によっ
て測定したゴムの平均粒径が1.5μmであり、ゴム質
重合体の含有率は15.5%であった。また、得られた
グラフト共重合体A2のNMR分析結果による組成は、
スチレン成分63%、アクリロニトリル成分21.5%
であった。
【0053】参考例2(共重合体Bの製造) B−1;冷却器、攪拌装置、および原料助剤供給装置を
備えた耐圧重合槽に、スチレン690部、無水マレイン
酸19部を仕込んで、重合系内をチッ素ガスで置換し
た。攪拌しながら、重合槽温度を95℃に昇温し、塊状
の重合反応を開始した。70℃に加熱した無水マレイン
酸溶融液100部を、重合反応を開始してから460分
の間、95℃の重合系内に一定の速度で連続的に添加し
た。重合を開始してから460分後に、重合率が44%
の粘ちょう液を得た。この粘ちょう液を、大過剰のメタ
ノール中に注ぎ、未反応の単量体を除去し、乾燥して、
スチレン・無水マレイン酸共重合体を得た。攪拌装置お
よび原料供給装置を備えたオートクレーブに、得られた
スチレン・無水マレイン酸共重合体300部、およびキ
シレン600部を仕込み、攪拌しながら反応系内をチッ
素ガスで置換した。均一溶液となった反応系内を155
℃に昇温し、アニリン93部およびトリエチルアミン
0.9部をオートクレーブ中に添加して、高分子イミド
化反応を開始した。反応を開始してから240分間、同
温度で高分子イミド化反応を続けた。得られたポリマー
溶液をメタノール中に注ぎ、沈殿、洗浄、ろ過、乾燥さ
せ、共重合体B−1を得た。得られた共重合体B−1の
NMR分析結果による組成は、スチレン成分57.6
%、N−フェニルマレイミド成分41.6%、および無
水マレイン酸成分0.8%であった。
【0054】B−2;冷却器、攪拌装置、および原料助
剤供給装置を備えた耐圧重合槽に、スチレン690部、
無水マレイン酸19部を仕込んで、重合系内をチッ素ガ
スで置換した。攪拌しながら、重合槽温度を95℃に昇
温し、塊状の重合反応を開始した。70℃に加熱した無
水マレイン酸溶融液100部を、重合反応を開始してか
ら460分の間、95℃の重合系内に一定の速度で連続
的に添加した。重合を開始してから460分後に、重合
率が44%の粘ちょう液を得た。この重合系に、さらに
アクリロニトリル210部を、重合を開始してから46
0分の間、連続して添加した。重合系の温度を95℃か
ら90℃に降下させ、さらに20分間、塊状で重合反応
を続けた。未反応単量体中の無水マレイン酸はほとんど
無くなり、重合反応で消費された。この重合系に、ポバ
ール系懸濁安定剤0.03部とアクリル酸・オクチルア
クリレート共重合体系懸濁安定剤0.03部とを溶解し
た水溶液700部、およびジ−t−ブチルパーオキサイ
ド2部を添加して、重合系を塊状重合系から懸濁重合系
に移行させた。この懸濁重合系を、110℃に加温し、
同温度で120分間、未反応単量体をストリッピングに
より除去した。次いで、アクリロニトリル80部を添加
し、懸濁系の温度を60分を要して、110℃から15
0℃まで昇温した。懸濁系の温度を150℃に保ちなが
ら、再び、120分間ストリッピングを行った。このス
トリッピングを終えた懸濁系を155℃に昇温し、アニ
リン90部および25%のアンモニア水10部を添加
し、懸濁系を同温度で120分間攪拌して、高分子イミ
ド化反応を行った。懸濁系を降温し、ろ別、水洗、乾燥
して、ビーズ状共重合体を得た。一軸押し出し機によ
り、ビーズ状共重合体をペレット化した。このペレット
を分析した結果、スチレン成分58%、N−フェニルマ
レイミド成分38.2%、および無水マレイン酸成分
1.6%よりなる共重合体B−2と、スチレン成分7
3.8%およびアクリロニトリル成分26.2%よりな
る共重合体Cとの混合物であり、その組成は、共重合体
B−2が76%、共重合体Cが24%であった。
【0055】参考例3(共重合体Cの調製) テクノポリマー(株)製、SAN−F(スチレン成分=
70.5%、アクリロニトリル29.5%からなる共重
合体)をそのまま用いた。
【0056】実施例1〜5 上記グラフト共重合体A1、グラフト共重合体A2、共
重合体B、および共重合体Cを、表2に記載した割合で
混合し、バンバリーミキサーで混練りし、ペレット化し
た。このペレットを用い、射出成形機によって物性測定
用および外観評価用のテストピースを成形した。結果を
表2に示す。
【0057】比較例1〜4 上記グラフト共重合体A1、グラフト共重合体A2、共
重合体B、および共重合体Cを、表3に記載した割合で
混合し、バンバリーミキサーで混練りし、ペレット化し
た。このペレットを用い、射出成形機によって物性測定
用および外観評価用のテストピースを成形した。結果を
表3に示す。
【0058】表2〜3より、次のことが分かる。 (1)本発明の熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強度、加工
性、および耐熱変形温度のバランスに優れている(実施
例1〜5、比較例1〜4参照)。 (2)本発明の熱可塑性樹脂組成物は、艶消し性に優れ
ている(実施例1〜5、比較例1〜4とを参照)。 (3)本発明の熱可塑性樹脂組成物は、外観が優れてい
る(実施例1〜5、比較例1〜4とを参照)。
【0059】
【表1】
【0060】SBR;スチレンブタジエンゴムラテック
ス AR;ポリブチルアクリレート系ゴムラテックス EPDM;エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴムラ
テックス GMA;メタクリル酸グリシジル St;スチレン AN;アクリロニトリル
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた
艶消し性と表面外観を有し、かつ耐衝撃性、耐熱変形
性、および成形加工性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 51/04 C08L 51/04 //(C08F 212/02 222:40 222:04 220:44)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示すグラフト共重合体A、共重合
    体Bおよび共重合体Cを、下記式(1)〜(4)の組成
    比率(重量比)で含有することを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。グラフト共重合体A グラフト共重合体A1;ゴム質重合体100重量部(固
    形分換算)の存在下に、分子内にエポキシ基を有する単
    量体0.1〜30重量%、芳香族ビニル単量体50〜8
    0重量%、シアン化ビニル単量体20〜50重量%およ
    び共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重量%〔た
    だし、上記エポキシ基を有する単量体+芳香族ビニル単
    量体+シアン化ビニル単量体+他のビニル系単量体=1
    00重量%〕からなる単量体成分45〜550重量部を
    共重合して得られるグラフト共重合体。 グラフト共重合体A2;ゴム質重合体100重量部(固
    形分換算)の存在下に、芳香族ビニル単量体50〜80
    重量%、シアン化ビニル単量体20〜50重量%および
    分子内にエポキシ基を有する単量体以外の共重合可能な
    他のビニル系単量体0〜20重量%〔ただし、芳香族ビ
    ニル単量体+シアン化ビニル単量体+上記他のビニル系
    単量体=100重量%〕からなる単量体成分400〜9
    00重量部を共重合して得られるグラフト共重合体。共重合体B 芳香族ビニル単量体50〜80重量%、N−置換マレイ
    ミド単量体5〜47重量%、α,β−不飽和ジカルボン
    酸無水物単量体0.01〜30重量%およびシアン化ビ
    ニル単量体0〜30重量%〔ただし、芳香族ビニル単量
    体+N−置換マレイミド単量体+α,β−不飽和ジカル
    ボン酸無水物単量体+シアン化ビニル単量体=100重
    量%〕よりなる共重合体。共重合体C 芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シアン化ビニル
    単量体20〜60重量%および共重合可能な他のビニル
    系単量体0〜20重量%〔ただし、芳香族ビニル単量体
    +シアン化ビニル単量体+上記他のビニル系単量体=1
    00重量%〕よるなる共重合体。式(1 ) 0.05<グラフト共重合体Aからのゴム質重合体/
    (グラフト共重合体A+共重合体B+共重合体C)<
    0.50式(2 ) 0.00≦グラフト共重合体A2からのゴム質重合体/
    グラフト共重合体Aからのゴム質重合体<0.40式(3 ) 0.01<共重合体B/(グラフト共重合体A+共重合
    体B+共重合体C)<0.70式(4 ) 0.01<共重合体C/(グラフト共重合体A+共重合
    体B+共重合体C)<0.90
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009025334A1 (ja) 2007-08-21 2009-02-26 Umg Abs, Ltd. 肥大化ゴムの製造方法、グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2010505022A (ja) * 2006-09-28 2010-02-18 錦湖石油化學 株式會▲社▼ 低溶融粘度のマレイミド−α−アルキルスチレン系四元共重合体およびこれを製造する連続塊状重合工程

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JP2010505022A (ja) * 2006-09-28 2010-02-18 錦湖石油化學 株式會▲社▼ 低溶融粘度のマレイミド−α−アルキルスチレン系四元共重合体およびこれを製造する連続塊状重合工程
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