JP3996716B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質性、加熱時の形状保持性に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車分野、家電機器分野、OA機器分野等における軟質性樹脂として、PVC系、オレフィン系、ウレタン系等の樹脂が使用されている。なかでもPVC系の軟質性樹脂は広く使用されているが、可塑剤を多量に添加する必要があり、加熱減量等に問題があった。 また、PVC以外の軟質性樹脂は、例えばスチレン系の軟質樹脂では、軟質成分としてイソプレン、ブタジエン等のセグメントを持つ樹脂が提案されているが、ハードセグメントとソフトセグメントをブロック共重合体とするため、非水系での特殊な重合方法で合成する必要があり、設備、生産性等の点で特に経済性に劣るという欠点があった。
【0003】
また、スチレン系樹脂では、特開昭59−20346号にゴム強化スチレン系樹脂に特定の可塑剤を添加する方法が開示されているが、可塑剤の揮発があり満足できるものではない。また、ABS系樹脂とアクリル酸エステル系共重合体の組成物、特開昭58−179257号にゴム含有スチレン系樹脂とアクリル酸エステル系共重合体とからなる組成物、特開昭63−17954号にゴム含有マレイミド−スチレン系共重合体とABS樹脂とアクリル酸エステル系共重合体とからなる組成物について、いずれも耐薬品性を向上することが記載されているが、これらの組成物では軟質性に著しく劣り、本発明の目的とする軟質性に優れた樹脂は得られていない。
さらに、特開平8−027336号に記載されているゴム含有マレイミド−スチレン系共重合体とアクリル酸エステル系共重合体とからなる組成物においても、本発明に類するような軟質性に優れた樹脂は得られていない。また、ABS系樹脂(マトリックスがスチレン−アクリロニトリル系共重合体やスチレン−アクリロニトリル−マレイミド系共重合体)のグラフト共重合体(ゴム)に関する効果は、数多く提案されているが、スチレン−アクリロニトリル系共重合体とアクリル酸エステル系共重合体とからなる樹脂に適したグラフト共重合体(ゴム)の提案は見当たらない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題を解消し、軟質性、加熱時の形状保持性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、軟質性を維持させるためには、(メタ)アクリル酸エステル系体(イ)が必須と考えた。さらに、弾性を付与するためには、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)をスチレン系共重合体(ロ)に完全に相溶化させない必要があり、更に(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)とガラス転移温度あるいは融点が高いスチレン系共重合体(ロ)からなるマトリックスが(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)とスチレン系共重合体(ロ)と異なるDSC(示差走査型熱量分析)によるTg(ガラス転移温度)が存在するように制御した特殊なミクロ相分離構造を持つ必要があると考えた。更にグラフト共重合体(ハ)を使用することあるいは(メタ)アクリル酸エステル系体(イ)自体も緩やかに架橋することも考慮した。
【0006】
これらの観点から、本発明者らは、鋭意検討した結果、特定組成の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、特定組成のスチレン系共重合体(ロ)及び特定組成のグラフト共重合体からなる組成物が、軟質性に優れることを見出だし、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(イ).20℃以下のTgを有し、かつ(メタ)アクリル酸エステル45〜90重量%、シアン化ビニル化合物10〜35重量%、芳香族ビニル化合物50〜0重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜5dl/gである(メタ)アクリル酸エステル系重合体25〜90重量部、(ロ).50℃以上のTgをもち、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物10〜85重量%、及びこれらと共重合可能な単量体(但し、マレイミド系単量体を除く)0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜2dl/gであるスチレン系共重合体5〜75重量部及び(ハ).体積平均粒径50〜1000nmのジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体またはシリコン系ゴム重合体(A)10〜90重量部に、芳香族ビニル化合物5〜90重量%,(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物の1種以上10〜95重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)からなる単量体混合物10〜90重量部を重合してなり、ゴム重合体含量が樹脂中5〜50重量%であるグラフト共重合体10〜65重量部(合計100重量部)からなり、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)のTg(ガラス温度)、スチレン系共重合体(ロ)のTg及びグラフト共重合体(ハ)のTgとは異なるTgを−30〜100℃の範囲に少なくとも1つ持ち、かつJIS K6301法による20℃での表面硬度が30〜100である熱可塑性樹脂組成物(請求項1)、
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)のゲル含有量が40重量%以下である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物(請求項2)に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で特に重要なのは(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)である。(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)は(メタ)アクリル酸エステルとシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、マレイミド系単量体あるいは(メタ)アクリル酸等との共重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル系体(イ)は、ガラス転移温度が20℃以下、好ましくは−80℃〜10℃、更に好ましくは−70℃〜−15℃である。ガラス転移温度が20℃を越えると軟質性が低下する傾向がある。
(メタ)アクリル酸エステル系体(イ)は、軟質性、加工性の点から、(メタ)アクリル酸エステル4590重量%(以下%)、好ましくは50〜85%、シアン化ビニル化合物が10〜35%、ましくは15〜33%、芳香族ビニル化合物が5〜0、好ましくは40〜0%、更に好ましくは2〜32%、及びこれらと共重合可能な単量体が0〜30重量%、ましくは0〜20%、更に好ましくは0〜15%(合計100%)を重合してなる体である。
【0009】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)は、軟質性の点から、ゲル含有量が好ましくは40%以下、成形加工性の点からより好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。ゲル含有量があまり多くなると成形加工性、外観性が低下する傾向がある。ゲル含有量とは、メチルエチルケトン、2%溶液を23℃で24時間放置し、100メッシュの金網で濾過して濾過残査を乾燥し、(濾過残査重量/元の重量)×100%で表した値である。
【0010】
また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)は、引張強度、加工性の点から好ましくは0.3〜5dl/g、より好ましくは0.4〜4dl/g、更に好ましくは0.45〜3dl/gである。
【0011】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちでは、ブチル(メタ)アクリレートが工業的見地から好ましい。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0012】
シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらのうちではアクリロニトリルが工業的見地から好ましい。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0013】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、これらのうちではスチレンが工業的見地から好ましい。
共重合可能な単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミドN−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体、及び(メタ)アクリル酸およびその2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0014】
本発明のスチレン系共重合体(ロ)は、ガラス転移温度が50℃以上、ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上の共重合体である。ガラス転移温度が50℃未満であると樹脂組成物から有られる成形体の加熱時形状保持性、軟質性が低下する傾向がある。スチレン系共重合体(ロ)は、更に、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂またはオレフィン系樹脂と併用することができる。これらは2種以上であってもよい。
【0015】
スチレン系共重合体(ロ)としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。耐衝撃性、加工性の点から、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物の単量体混合物を重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜2dl/g、更に0.4〜1.5dl/g、特に0.45〜1.2dl/gが好ましい。
特にスチレン系共重合体(ロ)は、機械的特性、加工性の点から、シアン化ビニル化合物10〜40%、芳香族ビニル化合物10〜85%、及びこれらと共重合可能な単量体(但し、マレイミド系単量体を除く)0〜30%(合計100%)を重合してなるスチレン系共重合体が用いられる。この場合、スチレン系重合体のシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレンが特に好ましい。これらは、単独または2種以上組み合わせて用いられる。共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸およびそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシルエチル、2−エチルヘキシル、グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体等が挙げられる。これらは、単独または2種以上あっても良い。
【0016】
塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル80%以上とエチレン等の他の共重合可能なビニル系単量体20%以下の共重合体、後塩素化塩化ビニル樹脂等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂の重合度は、機械的特性、加工性の点から、好ましくは300〜2000、より好ましくは400〜1500、更に好ましくは450〜1300である。
【0017】
ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールA系ポリカーボネート等が挙げられる。機械的特性、加工性の点から、好ましくは数平均分子量で1,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
【0018】
エステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。機械的特性、加工性の点から、好ましくは数平均分子量で1,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
【0019】
アミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12等が挙げられる。機械的特性、加工性の点から、好ましくは数平均分子量で1,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
【0020】
オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィンあるいはこれらの共重合体等が挙げられる。
【0021】
グラフト共重合体(ハ)はゴム重合体(A)の存在下にビニル系単量体を重合して得られる。ゴム重合体(A)としてはジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、シリコン系ゴム重合体等が例示できる。ゴム重合体(A)の体積平均粒径としては、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは60〜900nm、更に好ましくは70〜800nmである。ゴム重合体(A)の体積平均粒径が50nm未満、あるいは1000nmを越えるばあいには機械的特性が低下する傾向にある。ゴム重合体(A)は、体積平均粒径の異なる2種以上を混合したものであっても構わない。
【0022】
ゴム重合体(A)の具体例としては、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル酸エステルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のオレフィン系重合体、ポリアクリル酸エステルゴム、エチレン−アクリル酸エステルゴム等のアクリル系ゴム重合体、ポリジメチルシロキサンゴム、ポリジメチルシロキサン−アクリル複合ゴム等のシリコン系ゴム重合体が挙げられ、単独または2種以上組み合わせて用いられる。ゴム重合体(A)は、酸基含有ラテックス(S)を使用する肥大法により製造されたものがより好ましい。
【0023】
ゴム重合体(A)は、ゴムラテックスに対して、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸のうちの少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜50%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種の(メタ)アルキルアクリレート(d)50〜95%、及び(c)、(d)と共重合可能な単量体0〜40%を重合させることにより調整した酸基含有ラテックスを使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体が好ましい。
【0024】
グラフト重合するビニル系単量体としてはシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、マレイミド系単量体等があげられる。
【0025】
グラフト共重合体(ハ)は、ゴム重合体(A)10〜90部、好ましくは20〜85、更に好ましくは30〜80にビニル単量体10〜90部、好ましくは15〜80、更に好ましくは20〜70を重合してなる。ビニル単量体としては、芳香族ビニル化合物5〜90%、好ましくは10〜85%、更に好ましくは15〜80%、(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物の1種以上10〜95%、好ましくは15〜90%、更に好ましくは20〜85%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30%、好ましくは0〜20%、更に好ましくは0〜15%(合計100%)からなる単量体混合物である。上述の範囲外では、機械的特性、加工性が低下する傾向にある。
【0026】
グラフト共重合体(ハ)に用いるシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。工業的見地から、上記シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、上記芳香族ビニル化合物としてはスチレンが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちでは、メチルメタアクリレートが工業的見地から好ましい。マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド等が挙げられる。これらは、単独または2種以上あっても良い。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系体(イ)25〜90部、軟質性の点から好ましくは30〜85部、更に好ましくは35〜80部とスチレン系共重合体(ロ)5〜75部、好ましくは10〜70部、更に好ましくは15〜65部、及びグラフト共重合体(ハ)10〜65部、好ましくは15〜60部からなる。上述の範囲外では、軟質性あるいは加熱時形状保持性が低下する傾向がある。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物で重要なのは、DSC(示差走査型熱量分析)によるガラス転移温度と得られる成形体のJIS K6301法による20℃での表面硬度である。
【0029】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)のTg、スチレン系共重合体(ロ)のガラス転移温度Tg及びグラフト共重合体(ハ)のTgと異なるTgを−30℃〜100℃、軟質性の点から好ましくは−25〜80℃、更に好ましくは−20〜60℃の範囲に少なくとも1つ熱可塑性樹脂がもつものである。
【0030】
ここで、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)のTgとは(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)単独で観察されるガラス転移温度、スチレン系共重合体(ロ)のTgとはスチレン系共重合体(ロ)単独で観察されるガラス転移温度、グラフト共重合体(ハ)のTgとはグラフト共重合体(ハ)単独で観察されるガラス転移温度であり、熱可塑性樹脂のTgとは本発明の(イ)、(ロ)、(ハ)からなる熱可塑性樹脂組成物で観察されるガラス転移温度である。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形体におけるJIS K6301法による20℃での表面硬度は30〜100であり、軟質性の点から好ましくは40〜98、更に好ましくは45〜97である。
【0032】
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、軟質性の点からASTM D638規格、23℃、試験速度200mm/ 分における引張強度が好ましくは200kg/cm 2 以下、更に好ましくは170kg/cm 2 以下、特に好ましくは150kg/cm 2 以下である。
【0033】
本発明の範囲の組成が得られれば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)はいかなる重合法、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製造したものでもかまわない。例えば、公知の塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法等、本発明の範囲内の組成に制御できればどの重合法よって製造したものでもよい。グラフト共重合体(ハ)は、グラフト率を制御しやすい点から、乳化重合法が好ましい。更に、ミクロ構造制御及び工業的見地から、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)は、いずれも乳化重合法が好ましい。
【0034】
また、本発明の範囲であれば、いかなる開始剤、連鎖移動剤、乳化剤を用いて製造したものでもかまわない。開始剤は、過硫酸カリウム等の熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイド等のレドックス系開始剤等公知の開始剤が使用できる。また、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレン等公知の連鎖移動剤が使用できる。乳化剤としてはオレイン酸ソーダ、パルミチン酸ソーダ、ロジン酸ソーダ等の脂肪酸金属塩系乳化剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、炭素数12〜20のアルキルスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等のスルホン酸金属塩系乳化剤等公知の乳化剤が使用できる。
【0035】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)以外の重合体、例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)等の汎用のゴム重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等の公知の熱可塑性エラストマーやポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリイミド等の他の熱可塑性樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等を目的に応じて添加して使用できる。
【0036】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物は、通常よく知られた酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤を必要に応じて適宜使用できる。特に、スチレン系共重合体に用いられるフェノール系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系の安定剤、抗酸化剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びオルガノポリシロキサン、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、高級脂肪酸のアミドまたはビスアミドおよびその変性体、オリゴアミド、高級脂肪酸の金属塩類等の内部滑剤、外滑剤等は成形用樹脂として、より高性能なものとするために用いることができる。
これらの安定剤は、単独でもまた2種以上混合して使用することもできる。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)の樹脂混合物は、その製造方法によって異なるが、例えば、これらをラテックス、スラリー、溶液、粉末、ペレット等の状態あるいはこれらの組合わせにて混合して、製造できる。重合後の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)のラテックス、スチレン系共重合体(ロ)のラテックスおよび又はグラフト共重合体(ハ)のラテックスからポリマー粉末を回収する場合には通常の方法、例えばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類金属の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムのようなアルカリ金属の塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸のような無機酸及び有機酸を添加することでラテックスを凝固した後、脱水乾燥する方法で実施できる。またスプレー乾燥法も使用できる。
【0038】
安定剤使用量の一部を分散液の状態でこれら樹脂のラテックスあるいはスラリーに添加することもできる。
【0039】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)の単独あるいはこれら2種以上の混合物からなる粉末、ペレットに対し、上記の安定剤、必要ならば滑剤、顔料等を配合し、バンバリミキサー、ロールミル、1軸押出し機、2軸押出し機等公知の溶融混練機にて混練することができる。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形(フィルム成形、シート成形、異型品等の成形、共押出し、多層押出し)、ブロー成形、真空成形、カレンダー成形、圧縮成形、トランスファー成形、熱成形、流動成形、積層成形等公知の成形加工法にて成形できる。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、自動車、家電、建材、家具、日用雑貨等の幅広い分野で軟質性樹脂が従来使用される用途に幅広く使用出来る。特に、従来軟質PVCが使用されている分野に好適である。
【0042】
例えば、自動車分野では、インパネ表皮、ピラー表皮、コンソールボックス表皮、ウエルト、シフトレバーブーツ、シフトレバーノブ、チェンジノブ、オートマチックノブ、ステアリングホイール、ホーンパッド、アームレストカバー、ヘッドレストカバー、アシストグリップ、ドアグリップ、パーキンググリップ、コントロールケーブル被覆、天井材表皮等の内装部品の表皮材や外装モール、サイドモール、マッドガード、ウエザーストリップ、グラスランチャンネル、バンパー、エアダムスカート、泥よけ等の外装部品、ルーフパッキン、ドアミラーパッキン、水切り、窓枠パッキン等シール材、ドレンチューブ、グロメット、クランクカバー、ハーネス部品等が挙げられる。家電分野では、コードシース材、ケーブルシース材、ボックスカバー、掃除機のパッキン、エアコンホース、冷蔵庫のガスケット、 自動皿洗い機のホース等が挙げられる。建材分野では、手摺りカバー、ガラスシーリングパッキン、戸あたりパッキン、バスユニットパッキン、クーラー配管カバー、工業用パッキン、戸のシール材、タイルの目地材、防水シート、各種ガスケット等が挙げられる。また、園芸用ホース、工業用ホース、シャワーのホース等のホース、チューブ類、文具、スポーツ用品、グリップ等が挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例で示すが、これら実施例は本発明を限定するものではない。実施例中の「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。
【0044】
(1)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)とスチレン系共重合体(ロ)の製造
・(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ−1)
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水 250部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(以下DSNと略す) 1.0部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部、EDTA 0.01部、硫酸第一鉄 0.0025部を仕込んだ。
【0045】
反応器を撹拌しながら窒素気流下に65℃まで昇温させた。65℃、到達後、表1に示す一段目の単量体混合物(比率BA75%、AN23%、St2%)の76重量部とtDM、CHPを連続的に5.6時間で滴下した。また、DSNを単量体滴下2時間目に0.5部、4時間目に0.5部追加した。滴下終了後、65℃で1時間攪拌を続け、一段目(重合体(イ−1))の重合を終了した。
【0046】
スチレン系共重合体(ロ)の製造
続いて、表2に示す二段目(重合体(ロ−1))の単量体混合物(比率PMI28%、AN22%、St45%、αMSt5%、)24重量部とtDM、CHPを連続的に2.4時間で滴下した。滴下終了後、65℃で1時間攪拌を続け、二段目の重合を終了し(イ−1)と(ロ−1)の重合反応混合物を得た。重合転化率、還元粘度、Tgをそれぞれ測定し重合処方とともに表1と表2に示した。
【0047】
・(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ−2)〜(イ−8)とスチレン系共重合体(ロ−2)〜(ロ−4)の製造
上記の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ−1)、スチレン系共重合体(ロ−1)と同様の方法で表1、表2に示す処方にて製造した。但し、重合体(イ)と重合体(ロ)の比率は、表4に示す比率とした。単量体の滴下時間は、重合体(イ)と重合体(ロ)と同様に、一段目と二段目の合計8 時間(時間当たり12.5部の滴下速度)とし、一段目単量体の滴下終了後と二段目単量体の滴下終了後には各1時間の攪拌時間を設けた。
表1、表2に結果を示す。
【0048】
表1
Figure 0003996716
【0049】
表2
Figure 0003996716
【0050】
(2)グラフト共重合体(ハ)に用いられるゴム重合体(A)の製造
・ゴム重合体(A)の製造
・ゴム重合体(A−1)
100L重合機に、純水 230部、過硫酸カリウム 0.2部、tDM 0.2部を仕込んだ。
【0051】
重合機内の空気を真空ポンプで除いた後、オレイン酸ナトリウム 0.6部、ロジン酸ナトリウム 2部、ブタジエン 100部を仕込んだ。
【0052】
系の温度60℃まで昇温し、重合を開始した。重合は25時間で終了した。重合転化率は96%、ゴム重合体(A−1)の粒径は85nmであった。
【0053】
・ゴム重合体(A−2)
ゴム重合体(A−1)からゴム重合体(A−2)に肥大化させるために必要な酸基含有ラテックス(S)を以下のように製造した。
【0054】
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水 200部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.01部、硫酸第一鉄 0.0025部を仕込んだ。
【0055】
反応器を撹拌しながら窒素気流下に70℃まで昇温させた。70℃に到達後、BMA 25部、BA 5部、tDM 0.1部、CHP 0.15部の単量体混合物を2時間かけて滴下後、更にBMA 50部、BA 4部、MAA 16部、tDM 0.5部、CHP 0.15部を4時間かけて滴下し、滴下終了後、70℃で1時間攪拌を続け重合を終了し、酸基含有ラテックス(S)を得た。
【0056】
ゴム重合体(A−1)のラテックス100部(固形分)に酸基含有ラテックス(S)3.5部(固形分)を60℃で添加後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−2)の製造を行った。ゴム重合体(A−2)の粒径は、450nmであった。
【0057】
・ゴム重合体(A−3)
ゴム重合体(A−3)は、酸基含有ラテックス(S)を2.0部(固形分)使用する以外は、ゴム重合体(A−2)と同様の方法にて、製造した。ゴム重合体(A−2)の粒径は、610nmであった。
【0058】
・ゴム重合体(A−4)
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水 200部、パルミチン酸ナトリウム0.55部を仕込んだ。反応器を撹拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。昇温後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだ。更に、BA98.5部、TAC 1.5部、CHP 0.3部の単量体混合物を6時間かけて滴下し、滴下終了後、60℃で1時間攪拌を続け重合を終了した。単量体混合物滴下1.5時間目にパルミチン酸ナトリウム0.3部を、滴下4時間目にパルミチン酸ナトリウム0.35部を添加した。重合転化率は98%、ゴム重合体(A−4)の粒径は92nmであった。
【0059】
・ゴム重合体(A−5)
ゴム重合体(A−4)のラテックス100部(固形分)に酸基含有ラテックス(S)3.5部(固形分)を60℃で添加後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−5)を製造した。ゴム重合体(A−5)の粒径は、350nmであった。
【0060】
(3)グラフト共重合体(ハ)の製造
・グラフト共重合体(ハ−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水 280部、ゴム重合体(A−2)(固形分) 65部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部、EDTA 0.01部、硫酸第一鉄 0.0025部を仕込んだ。
【0061】
反応器を撹拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。60℃到達後にAN 11部、St 24部、CHP 0.2部の混合物を連続的に5時間で滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌を続け、重合を終了し、グラフト重合体(ハ−1)を得た。表3に結果を示す。
・グラフト共重合体(ハ−2)〜(ハ−4)の製造
グラフト共重合体(ハ−1)と同様の方法で、表3に示す構成で製造した。
結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
Figure 0003996716
【0063】
(4)熱可塑性樹脂組成物の製造
(1)で製造した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、()で製造したグラフト共重合体(ハ)のラテックスを表4に示す所定量の割合で混合し、フェノール系抗酸化剤を加えた後、塩化カルシウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥して、(イ),(ロ),(ハ)混合の樹脂組成物の粉末を得た。エチレンビスステアリルアミド1部を配合し、(株)タバタ製20Lブレンダーで均一にブレンドした。更に(株)タバタ製40m/m・1軸押出機で、240℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造した。(実施例1〜2、比較例1〜6、参考例1〜2
熱可塑性樹脂組成物の特性を評価し表に結果を示した。
[Tg(ガラス転移温度)の測定]
アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ) 及び本発明の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度は、DSC(セイコー電子工業(株)製SSC5200型)にて測定した。
【0064】
表1、表2、表3に示すTg(A)、Tg(B)、Tg(C)は、実施例1と同様の方法で、アクリル酸エステル重合体(イ)の単独品、あるいはスチレン系共重合体(ロ)の単独品、あるいはグラフト共重合体( ハ) の単独品をそれぞれ製造し、塩化カルシウムを加えて凝固、熱処理、脱水乾燥した各単独品のパウダーについてTgを測定した。
【0065】
4に示すTg(Z)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品について測定した。
【0066】
[ゲル含有量の測定]
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、グラフト共重合体(ハ)ラテックスに塩化カルシウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥して得た樹脂粉末を、2%のメチルエチルケトン溶液とし、23℃で24時間放置し、100メッシュの金網で濾過して濾過残査を乾燥し、測定した。(濾過残査重量/元の重量)×100%で表す。
[還元粘度の測定]
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)のラテックスに塩化カルシウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥して得た樹脂粉末を、0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液として、30℃で還元粘度を測定した。
【0067】
[グラフト共重合体のグラフト率]
グラフト共重合体(ハ)のパウダーを、メチルエチルケトンに溶解して、遠心分離し、メチルエチルケトン可溶分と不溶分を得た。この不溶分と可溶分との比率から、グラフト率を特定した。
【0068】
[ゴム重合体の粒径]
ゴム重合体(A)ラテックスについて、パシフイックサイエンス社製のナイコンプ粒径測定機を用いて測定した。
【0069】
[重合時の転化率]
重合時の転化率は、固形分濃度より、計算した。
【0070】
[熱可塑性樹脂組成物の特性]
硬度は、JIS K6301規格にもとづき20℃で評価した。
圧縮永久歪み(単位:%)は、JIS K6301規格にもとづき12mm厚みのサンプルを使用し、70℃、22時間の条件で評価した。
【0071】
引張強度(単位:kg/cm 2 )、引張伸び(単位:%)は、ASTM D638規格にて1号ダンベルを使用し、23℃で評価した。
加熱時形状保持性は、ダンベルを80℃の乾燥機に8時間静置し、形状の変化を観察した。○:変化無し、×:明らかに形状変化ありで評価した。
成形加工性は射出成形時の充填の容易性で判断した。
○:充填比較的容易、×:充填し難いで評価した。
【0072】
上述の硬度、圧縮永久歪み、引張強度、引張伸び、加熱時形状保持性に使用する試験片は、(株)ファナック製FAS100B射出成形機にて成形した平板を更にプレス成形し、規定の形状に打ち抜いて作成した。射出成形温度は押出し温度と同等、プレス温度は押出し温度より20℃低くした。
【0073】
表4
Figure 0003996716
【0074】
[略称の説明]
BA:ブチルアクリレート 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AN:アクリロニトリル St:スチレン
tDM:t−ドデシルメルカプタン CHP:クメンハイドロパーオキサイド
PMI:N−フェニルマレイミド αMSt:α−メチルスチレン
BMA:ブチルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
【0075】
【発明の効果】
4の結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に軟質性(硬度が低く)、引張強度、引張伸び、加熱時形状保持性に優れ、成形も容易である。特に、硬度が低い中でも比較的高硬度で、引張強度に優れている。

Claims (2)

  1. (イ).20℃以下のTgを有し、かつ(メタ)アクリル酸エステル45〜90重量%、シアン化ビニル化合物10〜35重量%、芳香族ビニル化合物50〜0重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜5dl/gである(メタ)アクリル酸エステル系重合体25〜90重量部、(ロ).50℃以上のTgをもち、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物10〜85重量%、及びこれらと共重合可能な単量体(但し、マレイミド系単量体を除く)0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜2dl/gであるスチレン系共重合体5〜75重量部及び(ハ).体積平均粒径50〜1000nmのジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体またはシリコン系ゴム重合体(A)10〜90重量部に、芳香族ビニル化合物5〜90重量%,(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物の1種以上10〜95重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)からなる単量体混合物10〜90重量部を重合してなり、ゴム重合体含量が樹脂中5〜50重量%であるグラフト共重合体10〜65重量部(合計100重量部)からなり、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)のTg(ガラス温度)、スチレン系共重合体(ロ)のTg及びグラフト共重合体(ハ)のTgとは異なるTgを−30〜100℃の範囲に少なくとも1つ持ち、かつJIS K6301法による20℃での表面硬度が30〜100である熱可塑性樹脂組成物。
  2. (メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)のゲル含有量が40重量%以下である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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