JP4331291B2 - 低剛性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い曲げ弾性率であるにもかかわらず耐衝撃性、落錘衝撃強度、成形性および成形品外観に優れた低剛性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)に代表されるゴム強化スチレン系樹脂は、優れた耐衝撃性、成形加工性ならびに耐熱性等を有しており、また外観が良好であるため家庭電化製品のハウジングや自動車部品等幅広い分野で使用されている。
ところで、近年、曲げ弾性率が低く耐衝撃性、流動性に優れた材料で、特に車両用内外装部品として使用される低剛性材料が求められている。このような低剛性材料をゴム強化スチレン系樹脂で設計する場合には、通常樹脂中のゴム成分の含有量を増加させなければならないが、しかし、単に樹脂中のゴム成分の含有量を増加させると流動性が低下して成形性が悪化する。また、流動性を向上させるためにゴム強化スチレン系樹脂のマトリックスを形成する芳香族ビニル−シアン化ビニル系共重合体の分子量を低下させることも考えられるが、単に分子量を下げると耐衝撃性が低下してしまうため、問題の解決には到らない。
従って、低い曲げ弾性率でありながら耐衝撃性、落錘衝撃強度さらには成形性および成形品外観に優れた低剛性材料が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低い曲げ弾性率であっても優れた耐衝撃性、落錘衝撃強度、成形性および成形品外観を有する低剛性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題の解決について鋭意研究した結果、小粒子径のジエン系ゴムラテックスを凝集肥大化させた肥大化ジエン系ゴムを用いてなるグラフト共重合体と特定の固有粘度を有する共重合体および特定の共重合体からなる樹脂組成物を用いることにより、低い曲げ弾性率であっても優れた耐衝撃性、落錘衝撃強度、成形性および成形品外観を有する低剛性樹脂組成物が得られることを見いだし本発明に到達した。
【0005】
即ち、本発明は、重量平均粒子径0.05〜0.15μmの小粒子ジエン系ゴムラテックスを重量平均粒子径0.15〜0.8μmに凝集肥大化させた肥大化ジエン系ゴムラテックスと芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を重合してなるグラフト重合体(A)10〜80重量%、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を重合してなる固有粘度が0.3〜0.6dl/gの共重合体(B)80〜10重量%および炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体50〜90重量%、芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体10〜50重量%および炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体0〜40重量%を重合してなる共重合体(C)1〜20重量%からなる樹脂組成物あって、該樹脂組成物の曲げ弾性率が18000kg/cm2 以下であることを特徴とする低剛性樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明にて用いられるグラフト重合体(A)とは、重量平均粒子径0.05〜0.15μの小粒子ジエン系ゴムラテックスを重量平均粒子径0.15〜0.8μに凝集肥大化させたジエン系ゴムラテックス(固形分)と芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体である。
【0007】
グラフト重合体(A)を構成する小粒子ジエン系ゴムラテックスは、例えば1,3−ブタジエン等に代表されるジエン系単量体を50重量%以上含む単量体からなる重合体のラテックスであり、該ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体等が挙げられる。具体的には、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−メチルメタアクリレート共重合体である。また、使用される小粒子ジエンゴムラテックスのゲル含有量(溶媒:トルエン)には特に制限はないが、好ましくは60〜95重量%のものが好ましく使用できる。
【0008】
上記小粒子ジエン系ゴムラテックスの重量平均粒子径は0.05〜0.15μであるが、0.05μ未満のゴムラテックスの製造は困難であり、また0.15μを超えると凝集肥大化による効果が得られない。
【0009】
また、凝集肥大化後のジエン系ゴムラテックスの重量平均粒子径が0.15μ未満でも凝集肥大化による効果が得られず、また0.8μを超える凝集肥大化の操作も困難となる。好ましくは0.2〜0.6μである。
本発明においては、上記した特定の凝集肥大化したジエン系ゴムラテックスを使用することにより、耐衝撃性、落錘衝撃強度、成形性、さらには外観に優れた材料が得られるものである。
【0010】
上記の小粒子ジエン系ゴムラテックスを凝集肥大化する方法としては、従来公知の方法、例えば酸性物質を添加する方法(特公昭42−3112、特公昭55−19246、特公平2−9601、特開昭63−117005、特開昭63−132903、特開平7−157501、特開平8−259777)、酸基含有ラテックスを添加する方法(特開昭56−166201、特開昭59−93701、特開平1−126301、特開平8−59704)等を採用することができ、特に制限はない。
【0011】
グラフト重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
また、本発明においては、上記の一部を他の共重合可能な単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物等の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体等に置換することも可能である。
【0012】
本発明におけるグラフト重合体(A)を構成する肥大化ジエン系ゴム(a−1)と単量体(a−2)との組成比率は、最終的に得られる樹脂組成物の曲げ弾性率を考慮して適宜調整されるが、好ましくは肥大化ジエン系ゴム(a−1)25〜90重量%および単量体(a−2)75〜10重量%であり、さらに好ましくは肥大化ジエン系ゴム(a−1)30〜80重量%および単量体(a−2)70〜20重量%である。
また、単量体(a−2)を構成する芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成比率は、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体50〜10重量%であることが好ましく、さらにこれら単量体と共に他の共重合可能な単量体を使用する際には0〜40重量%の範囲で使用可能である。
【0013】
本発明において用いられる共重合体(B)とは、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を重合してなる固有粘度(30℃、ジメチルホルムアミド溶媒)が0.3〜0.6dl/gの共重合体である。
共重合体(B)の固有粘度が0.3dl/g未満では耐衝撃性に劣り、また0.6dl/gを超えると成形性および成形品外観に劣るため好ましくない。
【0014】
共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
また、本発明においては、上記の一部を他の共重合可能な単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物等の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体等に置換することも可能である。
また、共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成比率は、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体50〜10重量%であることが好ましく、さらにこれら単量体と共に他の共重合可能な単量体を使用する際には0〜40重量%の範囲で使用可能である。
【0015】
本発明にて用いられる共重合体(C)とは、炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体50〜90重量%、芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体10〜50重量%および炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体0〜40重量%を重合してなる共重合体である。
炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が50重量%未満では耐光性および耐衝撃性に劣り、また90重量%を超えると加工性に劣り好ましくない。また炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が40重量%を超えると耐衝撃性に劣るため好ましくない。
【0016】
炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニルなどが挙げられ、一種または二種以上用いることができる。これらのうち特にアクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0017】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、一種または二種以上用いることができる。これらのうち特にアクリロニトリルが好ましい。
【0018】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ο−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどが挙げられ、一種または二種以上用いることができる。これらのうち特にスチレンが好ましい。
【0019】
炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピルが挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。これらのうち特にメタクリル酸メチルが好ましい。
【0020】
上記の共重合体(C)は、過酸化物を触媒として、公知の乳化重合、溶液重合によって重合することができる。
【0021】
特に、上記共重合体(C)として、相互侵入高分子網目構造を有する共重合体であることが好ましく、特に炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体50〜89重量%、芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体10〜49重量%および炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体1〜40重量%を重合してなる相互侵入高分子網目構造を有する共重合体であることが好ましい。
該相互侵入高分子網目構造を有する共重合体とは、従来のポリマーブレンド、グラフト共重合体とは異なり、それぞれの成分ポリマーが橋かけしていて、その網目鎖が互いにからみあった構造を有しているものである(1981年4月1日社団法人高分子学会発行 ポリマーアロイ−基礎と応用−、第338〜341頁参照)。
このような構造を有する共重合体を製造する方法としては、一般にポリマー、プレポリマー、モノマーを架橋剤、触媒と共に、乳化状態、溶液状態または塊状状態で混合し、これを重合・硬化させることにより架橋剤と共に絡み合いを形成させるという方法により得ることができる。
【0022】
具体的には、炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体およびシアン化ビニル系単量体を架橋剤と共に乳化重合して第1段重合を行った後、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を追加の架橋剤と共に乳化重合する2段重合工程により得ることができる。
特に、炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体50〜89重量%、炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体1〜40重量%およびシアン化ビニル系単量体1〜30重量%を架橋剤と共に乳化重合して第1段重合を行った後、芳香族ビニル系単量体5〜30重量%およびシアン化ビニル系単量体1〜30重量%を追加の架橋剤と共に乳化重合する2段重合工程により得ることが好ましい。
【0023】
上記架橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
【0024】
本発明における樹脂組成物は、上述のグラフト重合体(A)10〜80重量%および共重合体(B)80〜10重量%および共重合体(C)1〜20重量%からなり、該範囲外では本発明の目的とする樹脂組成物が得られ難いため好ましくない。
【0025】
本発明における樹脂組成物の曲げ弾性率は18000kg/cm2 以下であることが必須である。曲げ弾性率が18000kg/cm2 を超えると耐衝撃性および落錘衝撃強度に劣るため好ましくない。好ましくは15000kg/cm2 以下である。また、その特性上、曲げ弾性率の下限は5000kg/cm2 である。
【0026】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、離型剤、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、金属フレーク等の公知の添加剤、補強材、充填材等を添加することができ、さらに混合に際しては、通常の押出機、ロール等公知の方法を採用することができる。
【0027】
本発明における低剛性樹脂組成物は、車両用内外装部品、例えばサイドモール、ピラー、ドアトリム、グリルガード、フロントグリル、リアーガーニッシュ、クラクションホール、コンソールパネル、センターコンソール、シフトノブ、エアダクト等に使用されるが、これらに何ら限定されるものではなく、これら以外の各種の部品にも使用することができる。
【0028】
〔実施例〕
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す部および%は重量に基づくものである。
【0029】
〔参考例−1〕
耐圧容器に1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.25部、ロジン酸ナトリウム2.5部、水酸化ナトリウム0.1部、純水170部を仕込み、80℃に昇温したのち重合を開始した。重合は10時間で終了させた。得られたジエン系ゴムラテックス(a−i)は、固形分37%、重量平均粒子径0.1μ、ゲル含有量90%であった。
なお、ゲル含有量は、ラテックスを乾燥させてフィルムを作製し、約1gを秤量した後、トルエンに23℃で48時間浸漬させた後、不溶分を100メッシュ金網で濾別・乾燥し、その重量%を測定した。
【0030】
〔参考例−2〕
耐圧容器に1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.25部、ロジン酸ナトリウム0.5部、水酸化ナトリウム0.1部、純水200部を仕込み、80℃に昇温したのち、ロジン酸ナトリウム1.0部を15時間かけて連続的に添加し重合を行い、さらに10時間重合を継続し、重合を終了させた。得られたジエン系ゴムラテックス(a−ii)は、固形分33%、重量平均粒子径0.3μ、ゲル含有量90%であった。
【0031】
〔参考例−3〕
耐圧容器に、参考例−1で得られたジエン系ゴムラテックス(a−i)270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10部を添加し、固形分34%、重量平均粒子径0.3μの肥大化ジエン系ゴムラテックス(a−1)を得た。
【0032】
〔参考例−4〕
耐圧容器に、表1に示すジエン系ゴムラテックス(固形分)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム、0.3部を仕込み、70℃に昇温した後、表1に示すスチレンおよびアクリロニトリルからなる単量体混合物を5時間に亘って連続添加し、グラフト重合体ラテックス(A−i〜ii、A−1)を得た。得られた各々ラテックス100重量部(固形分)当たり酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(住友化学工業社製:スミライザーBBM)1部およびトリスノニルフェニルホスファイト2部を添加した後、硫酸マグネシウムを用いて塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−i〜ii、A−1)を得た。
【0033】
〔参考例−5〕
耐圧容器に、純水130部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル30部、スチレン70部およびt−ドデシルメルカプタン0.38部からなる混合モノマー溶液および不均化ロジン酸カリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々4時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、2時間熟成を行ない重合を終了した。塩析、脱水、乾燥後、固有粘度0.4dl/gの共重合体(B−1)を得た。
また、t−ドデシルメルカプタンの使用量を0.22部とする以外は(B−1)と同様の操作を行い、固有粘度0.7dl/gの共重合体(B−i)を得た。
【0034】
−共重合体(C)−
容量100リットルの重合反応器に、純水244部、炭素数16の脂肪族アルコールから合成されたマレイン酸のハーフエステル石鹸3.0部、50%の水酸化カリウム溶液1.0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、アクリル酸n−ブチル58.9部、アクリロニトリル8.5部、アクリル酸メチル16.7部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート1.2部、t−ドデシルメルカプタン0.26部、過硫酸カリウム0.19部を添加し、60℃にて重合を開始した。全固形分含有量が25%になった時点で、追加の過硫酸カリウム0.08部を添加し、この第1段の重合を2.5時間継続し、重合体ラテックスを得た。
次いで、第2段として、この第1段の重合体ラテックスが入っている重合反応器に、アクリロニトリル4.8部、スチレン11.1部、ジビニルベンゼン0.16部およびt−ドデシルメルカプタン0.03部を添加し、全固形分含有量が30%になるまで重合を継続した。得られた重合体ラテックスにつき、凝固・乾燥させ、共重合体(C)を得た。
【0035】
〔実施例1〜2および比較例1〜6〕
参考例で製造したグラフト共重合体(A−i〜ii、A−1)、共重合体(B−1、B−i)および共重合体(C)を表2に示す配合割合で混合し、40mm二軸押出機を用いて230℃で溶融混合、ペレットとした後、射出成形機にて各種試験片を作成し物性を評価した。結果を表2に示す。
【0036】
o曲げ弾性率:ASTM D−790に準拠。23℃。
o耐衝撃性:ASTM D−256に準拠。1/4インチ、23℃。
o成形性 :ASTM D−1238に準拠。220℃、10kg。
o落錘衝撃強度:60×60×3mmの試験片を射出成形機にて成形し、直径12.7mmのダートを試験片上部に設置し、ダート上部より荷重を自然落下させ、試験片を破壊するために要する最小エネルギー(kg・cm)を測定する。なお、試験は常温(23℃)、低温(−30℃)の2種類の条件にて測定した。
o成形品外観:60×60×3mmの試験片を射出成形機にて成形し、得られた成形品表面のフローマークの有無を目視にて判定した。○:良好、×不良
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明における低剛性樹脂組成物は、低い曲げ弾性率であっても優れた耐衝撃性、落錘衝撃強度、成形性および成形品外観を有するものであり、特に車両用内外装部品として好適に使用することができる。
Claims (1)
- 重量平均粒子径0.05〜0.15μmの小粒子ジエン系ゴムラテックスを重量平均粒子径0.15〜0.8μmに凝集肥大化させた肥大化ジエン系ゴムラテックスと芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を重合してなるグラフト重合体(A)40〜55重量%、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を重合してなる固有粘度が0.3〜0.6dl/gの共重合体(B)50〜35重量%および炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体50〜89重量%、芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体10〜49重量%および炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体1〜40重量%を重合してなる相互侵入高分子網目構造を有する共重合体(C)1〜10重量%からなる樹脂組成物あって、該樹脂組成物の曲げ弾性率が5000〜18000kg/cm2であることを特徴とする低剛性樹脂組成物。
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