JPH1021871A - イオントラップ質量分析装置 - Google Patents

イオントラップ質量分析装置

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JPH1021871A
JPH1021871A JP8172023A JP17202396A JPH1021871A JP H1021871 A JPH1021871 A JP H1021871A JP 8172023 A JP8172023 A JP 8172023A JP 17202396 A JP17202396 A JP 17202396A JP H1021871 A JPH1021871 A JP H1021871A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 質量分析装置に関し、線形イオントラップ用
いて高感度高分解能分析法を実現すること。 【解決手段】 高周波四重極線形イオントラップと、そ
の中心軸方向に調和ポテンシャルを形成するための手段
と、このポテンシャル内部でイオンを共鳴振動させるた
めの交流電圧印加手段と、電極構造から排出されてきた
イオンを検出するためのイオン検出器を含む装置群から
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は質量分析装置に関
し、線形イオントラップを有効に用いて高検出感度かつ
高質量分解能を実現する。そして、簡便かつ高感度の微
量分析を必要とする幅広い産業分野の基礎技術として利
用できる。
【0002】
【従来の技術】質量分析法とは試料分子の物質種を同定
するために、試料分子をイオン化して荷電粒子とし、そ
の質量電荷比m/e(mはイオンの質量、eはイオンの
電荷を表す)を測定することにより、試料分子の質量に
関する情報を得る技術である。その代表的な質量分析方
法には、イオンの飛行時間を測定する方法、磁場による
偏向方向を測定する方法、磁場によるサイクロトロン振
動数を測定する方法、高周波電場による安定蓄積条件を
利用する方法等がある。それぞれの方法は、測定可能な
質量範囲の広狭、質量分解能の高低、検出感度の高低、
装置形状の大小、操作性の易難、装置価格の高低などの
それぞれ利点と欠点を有するので、用途によって使い分
けられているのが現状である。
【0003】これらの技術のうち、高周波電場を用いた
質量分析法は以下の特長を持つ。すなわち質量電荷比m
/eが約1000以下の領域で質量電荷比の差1を区別
出来る質量分解能を有すること、装置構成が小型でかつ
操作が簡便であること、そして安価な製品が多数発売さ
れていることである。つまり、一つ乃至多数の質量分析
器を常時モニター用として利用するような利用分野、例
えば真空残留ガスの分析、飲料水等の残留有機分子の検
出等の産業分野での安価な微量分析手段として利用でき
る条件を備えている。
【0004】高周波電場を用いた質量分析方法のうち、
現在利用されている代表的な方法は、Qマスフィルタと
呼ばれる方法と、高周波四重極イオントラップ質量分析
法(以下ではイオントラップ質量分析法と呼ぶ)の二つ
である。このうちQマスフィルタは線形四重極高周波電
場と線形四重極静電場をそれぞれ適当な振幅や強さで組
み合わせて、特定の電荷質量比をもつイオンを選択的に
通過できるようにした装置である。その線形四重極高周
波電場の強さと線形四重極静電場の強さの比をある一定
値に保持して掃引することにより質量スペクトルを得る
ことができる。このQマスフィルタは、操作の簡便性と
その利用されてきた歴史の長さから高周波質量分析法の
うちでもっとも良く利用されている。
【0005】一方、イオントラップ質量分析法は、3次
元的にイオンを捕捉し、捕捉後に質量分析操作を行って
質量スペクトルを得る方法である。現在広く用いられて
いるイオンを捕捉する手段、すなわちイオントラップ
は、3次元高周波電場を用いて3次元的にイオンを捕捉
する方法である。一般にこのイオン捕捉手段は3DQも
しくはポールトラップと呼ばれている。
【0006】近年、イオントラップ質量分析法の操作方
法の研究が進み、Qマスフィルタ質量分析法に比べ高い
検出感度を実現する操作方法が開発されているので、利
用分野が拡大を続けている。
【0007】ポールトラップを質量分析に用いる方法
は、ポール氏とスタインヴェーデル氏によって米国特許
2,939,952(文献1)にはじめて開示された。
Qマスフィルタと同様に、特定イオン種のみを捕捉でき
る条件でイオントラップを動作させて質量分析を実施す
る方法である。ただし、操作の困難、十分な検出感度と
質量分解能を得ることが出来なかったことにより文献1
で開示されたそのままの形では、広く利用されることは
なかった。その後、さらに有効な質量分析の操作方法が
いくつか開示された。これらのうち現在広く用いられて
いる方法はイオンを質量選択しながらイオントラップ外
部に排出させてこれをイオン検出器で検出する原理であ
る。このうち基本となる二つの方法を示す。
【0008】第一の方法はイオントラップの不安定性を
利用する方法である。この方法は米国特許4,540,
884(文献2)において、開示された。特定の質量電
荷比を持つイオンが安定にイオントラップ内部に捕捉さ
れるかどうかの条件は、イオントラップ電極に印加する
高周波電圧の周波数と振幅により決まる。そこで、これ
らの周波数若しくは振幅のうちの一つを掃引することに
より質量電荷比の順に不安定となっていく。不安定とな
ったイオン種のイオンはイオントラップ電極に穿った穴
から順次、排出されていく。掃引している変数とこのイ
オン数を同期検出することにより、質量分析が可能とな
る。この操作方法は質量選択不安定操作モードと呼ばれ
ている。
【0009】第二の方法はイオントラップ内部でイオン
を共鳴振動させる方法である。イオントラップ内部で
は、イオンは高周波により力を受ける。この力は時間的
に平均すると、イオンが調和ポテンシャル内部に存在し
ているときに受ける力として近似できるのでイオンの基
本振動数はこの調和ポテンシャルによる振動モードであ
る。この振動は永年運動と一般に呼ばれている。永年運
動振動数は電荷質量比と逆比例関係にある。そこで、こ
の振動数を測定すれば質量分析が可能となる。永年運動
振動数を検出する代表的な方法は、イオンを交流電圧に
より共鳴振動させ、電極に穿った穴から排出させてこれ
を直接検出する方法で、この操作方法は質量選択共鳴放
出操作モードと呼ばれており、米国特許4,736,1
01(文献3)において開示されている。この原理に類
似の方法として、イオンをイオントラップ外部に取り出
すことなく、イオントラップ内部に保持したまま検出す
る方法も知られている。これは、イオントラップ内部で
振動しているイオンがイオントラップ電極に誘導する電
流を検出する方法である。
【0010】また、この原理に類似の別の方法として、
本出願人らは、試料イオンと同時に捕捉した試料イオン
とは別のイオン種の蛍光を検出する手段により、試料イ
オンを間接的に検出する質量分析法を開示している(特
願平7−77517:文献4)。
【0011】質量分析法に於いて、その性能を表す重要
なパラメータの一つは検出感度である。また別の性能を
表す重要なパラメータは質量分解能である。両者を向上
させることが、現状の利用分野での分析感度、分析確度
を向上させるだけでなく、新たな利用分野を生むための
重要な要素である。現状よりさらに検出感度を向上させ
るための一つの方法は、試料をイオン化してイオントラ
ップに導く効率を上げて試料イオンを大量に作り出し、
イオントラップ内部に多数のイオンを蓄積することであ
る。
【0012】しかし、ポールトラップを用いた方法で
は、イオンをトラップできる数に上限がある。それは、
多数のイオンを導入するとトラップしたイオン同士がお
互いにクーロン力を及ぼし合う効果、すなわち、空間電
荷効果により質量分解能が低下するという欠点による。
つまり、高い質量分解能を維持したまま蓄積できるイオ
ン数には上限があるのである。しかし質量分解能を低下
させることなく多数のイオンを捕捉する方法が提案、実
施されている。それは、ポールトラップに代えて高周波
四重極線形電極構造のイオントラップ(以下、線形イオ
ントラップと呼ぶ)を用いてイオンを捕捉する方法であ
る。この方法の提案はチャーチ氏によってなされた(Jo
urnal of Applied Physics誌 第40巻 3127ページ(1969
年):文献5)。この方法で用いた電極構造はリング型
の線形イオントラップである。また、同様のイオンビー
ムを蓄積するリング型の高周波四重極線形イオントラッ
プの提案がドイチュ氏によりなされている(Physica Sc
ripta誌 第T22巻 248ページ (1998年):文献6)。また
直線形状の線形イオントラップ電極構造を用いた質量分
析方法がサイカ氏らにより、米国特許4,755,67
0(文献7)に開示されている。
【0013】ここで、四重極線形イオントラップの電極
構造とイオン蓄積の原理を説明する。その電極構造は、
Qマスフィルタと同構造で、4本のロッド電極を平行に
そして、断面においてその電極の相互位置が正方形とな
るように配置したものである。一般には各電極の表面は
断面において双曲線となるように形成される。この電極
構造の互いに対角位置にある2組の電極群の間に高周波
電圧を印加する。この結果、電極内部には四重極高周波
電場が形成される。3DQイオントラップと同じように
トラップされるべきイオンに対し、安定となる条件の高
周波電場を印加すると、イオンを電極構造の中心軸に対
し直角方向の面内でイオンを捕捉することができる。こ
の安定化は以下の二つのパラメータaおよびqで記述さ
れる。
【0014】 a=4eUdc/(mΩ20 2) (数1) q=2eUac/(mΩ20 2) (数2) ここで、m、eはそれぞれイオンの質量と電荷、Uac
Ωはそれぞれ四重極高周波電圧の電極間振幅と角周波
数、Udcは四重極静電圧、r0は電極中心軸と電極の距
離を表す。この二つのパラメータがマシュー方程式の安
定領域に位置すればイオンを安定に捕捉することができ
る。線形イオントラップの場合、静電圧Udcは0に設定
するので、安定条件はパラメータqのみで記述できる。
線形イオントラップで利用しやすい(a,q)=(0,
0)を含む安定領域は、(数3)で与えられる。
【0015】q < 0.908 (数3) また、高周波電場が作り出すイオンを捕捉するポテンシ
ャルは擬ポテンシャルと呼ばれており、その深さは(数
4)で与えられる。
【0016】D = qUac/8 (数4) 一方、線形イオントラップ電極構造では、以上で説明し
た中心軸に対し垂直方向にイオンを捕捉すると同時に中
心軸方向に沿った方向においてもイオンを捕捉すること
が必要となる。そのための方法には以下の二つがある。
一つは文献5と文献6の様に、電極をリング形状にし
て、線形電極構造の両端を無くしてしまう方法である。
また別の方法は文献7の様に電極構造の両端部分に静電
場を印加できる手段を追加して、これによりポテンシャ
ルの壁を作る方法である。この手段を以下では端電極と
呼ぶ。
【0017】以上の線形イオントラップを用いると空間
電荷効果を少なくしたままで蓄積できるイオンの量を増
大させることができる。すなわち、線形電極構造の長さ
を増大させることによりイオントラップの体積を任意に
取ることが出来る。このとき、イオントラップ条件を記
述するパラメータは変化しない。そして、ポールトラッ
プと同量のイオンを十分に長い線形イオントラップに蓄
積した場合、単位体積当たりのイオンの数すなわちイオ
ン密度を下げることが出来るので、空間電荷効果の影響
を低減することが出来る。結局、イオントラップを用い
ることにより、質量分解能を低下させることなくポール
トラップに比べ多くのイオンを捕捉することが出来る。
【0018】文献7では、以上の線形イオントラップ内
部に保持したイオンが永年運動したときに線形イオント
ラップ電極に誘導される電流を測定することにより永年
運動振動数を測定し、質量分析をおこなう方法を開示し
ている。しかし、文献7においても指摘しているよう
に、線形イオントラップ電極構造の両端に設置した端電
極電圧の影響で質量分解能が低下する。それは、端電極
に静電圧を印加することによる線形イオントラップ部分
への静電場のしみこみにより、永年運動振動の中心軸方
向での位置依存性が生じることによる。文献7では誘導
電流を測定する方法によっているので、永年運動振動の
中心軸方向のずれは、そのまま質量分解能の悪化をもた
らす。
【0019】端電極が原因となる、このような分解能の
低下の問題の解決策として提案されている公知の方法の
一つは、中心軸に垂直方向に電極を多数部分に切断し
て、この各部分に徐々に静電圧電場勾配をかけていく方
法であり、文献7に記載されている。しかし、この方法
にも欠点が指摘できる。すなわち求められる質量分解能
を得るために、線形四重極電極構造に高度な工作精度が
求められているうえに、さらに分割を行ってもその精度
を維持することは困難であると予想されるからである。
さらに、(文献7)においては、別の方法として電極表
面に抵抗体を塗布して、中心軸方向にイオンを捕捉する
ポテンシャルを形成して、端電極と同様の効果を実現す
る方法を示している。しかし、線形イオントラップ電極
にはこの静電圧に加え高周波電圧も印加される。抵抗体
塗布の方法で高周波に対し低いインピーダンス、静電圧
に対し高いインピーダンスを実現することは出来ないの
で、実施することは困難であると言わざるをえない。す
なわち、文献7で示された方法で高分解能かつ高感度の
質量分析を実施することは非現実的である。
【0020】一方、リング型形状の線形イオントラップ
を用いれば、端電極を必要としないので、端電極に起因
する質量分解能の低下は発生しない。
【0021】リング型線形イオントラップにおいて質量
分析操作と同等の操作を行った記述が I.Wakiら著、Ph
ysical Review Letters誌 第68巻 2007ページ (1992
年)(文献8)にみられる。すなわち、イオントラップ
内部に捕捉した質量24を持つマグネシウムイオンの濃
度を上げるために、質量選択不安定操作によって、リン
グ型線形イオントラップ電極の外側に中心軸と直行する
方向に、質量25以上の残留ガスイオン等の不要イオン
を質量選択して排出して、イオン検出器で検出してい
る。
【0022】また、リング型形状の線形イオントラップ
を用いて質量分析操作を実施する方法がビアー氏らによ
って特開平7−326321(文献9)において開示さ
れている。このなかにおいて、リング型イオントラップ
電極を用いて、従来よりポールトラップで実施されてい
た質量選択不安定操作モードもしくは質量選択共鳴放出
操作モードを実施する方法が提案されている。ここでは
電極構造の間隙、もしくはイオントラップ電極に開口し
たイオン取り出し穴から線形イオントラップ電極構造の
中心軸に対し垂直にイオンを取り出している。
【0023】しかし、これらのリング型イオントラップ
電極には曲率があるために、これが原因となる質量分解
能の低下が生じるので高質量分解能を得ることは困難で
ある。
【0024】なお、文献9において、リング型イオント
ラップ電極に加え、直線型線形イオントラップでも質量
選択不安定操作モードもしくは質量選択共鳴放出操作モ
ードによる質量分析法を提案している。しかし、端電極
の悪影響を有効に除去する方法は示されていない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】以上をまとめると、線
形イオントラップ構造を高感度高分解能質量分析器とし
て用いるためには、端電極の悪影響を有効に除去する工
夫をした直線形状の電極構造が望ましいことになる。こ
こで、いくつかのイオン検出原理について端電極があた
える悪影響を纏めると以下のようである。なお以下では
直線形状の線形イオントラップ構造を線形イオントラッ
プ電極構造と呼ぶ。
【0026】文献5や文献6のように、イオンを線形イ
オントラップ電極構造外部にイオンを取り出してそれを
検出する方法に関し、端電極により(数1)および(数
2)に示した二つのパラメータの値が、中心軸上で一定
にはならず、位置依存性を持つ。そこで、質量分析走査
を行うとき、同質量電荷比のイオンが異なるタイミング
で排出されてくることになる。これは明らかに質量分解
能を低下させる。
【0027】また、イオンをトラップ内部で検出する方
法、すなわち文献7に示されているようなイオンが線形
イオントラップ電極に誘導する電流を測定する方法や、
また、文献4に記載されている光学的手段によってイオ
ンの永年運動振動を検出する方法に関し、端電極に印加
した静電圧によって同一イオン種についてその永年運動
振動数が電極構造の中心軸にそった位置依存性を示すこ
とになる。これが原因で質量分解能が低下する。
【0028】そのため、本発明では線形イオントラップ
を用いる質量分析方法において、端電極に印加された静
電圧の悪影響を排除し、高分解能質量分析を実現する有
効な手段と、その操作方法を示すことにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、分析段階では実質的に端電極が存在し
ないのと等価な構造を実現する手段を提案する
【0030】
【発明の実施の形態】まず、線形イオントラップ電極構
造の端部分からイオンを質量選択しながら取り出すタイ
プの質量分析装置の例を開示する。
【0031】はじめにこの質量分析装置の原理を示す。
この例に於いても、従来の線形イオントラップと同様に
線形電極構造の端部からイオンが不用意に失われないよ
うにすることが必要である。しかし、そのための手段と
して従来のように全面的に端電極に依存するのではな
く、線形イオントラップ電極の中心軸方向に形成するポ
テンシャルを、調和形、もしくは近似的に調和形となる
ようにする。このポテンシャルを用いてイオンを中心軸
方向に捕捉する。そして質量分析をおこなうために、こ
の中心軸上の調和型静電ポテンシャルを用いる。すなわ
ち、イオンはこのポテンシャルによって電荷質量比に依
存した調和振動モードを持つ。そこで、この調和振動数
を知ることが出来ればイオンの電荷質量比を知ることが
可能となる。つまり質量分析が可能となる。実際の質量
分析操作は中心軸上の調和形ポテンシャルによるイオン
の調和振動を励起する手段によって交流電場を印加する
ことによる。この交流電場と共鳴できるイオンは共鳴振
動を始め、時間と共に振動振幅が増大していく。すなわ
ち、イオンの持つエネルギーが増大していく。そして、
そのエネルギーが中心軸に沿ったポテンシャルの深さよ
りも大きくなると、イオンは軸方向より排出されること
になる。このイオンを荷電粒子検出器で検出する。質量
スペクトルを得るには、外部共鳴電場の振動数を固定し
た状態で、調和型静電ポテンシャルの深さを走査しなが
ら、排出されるイオンの量を計測してトラップされてい
るイオン群の電荷質量比とそれに対応するイオン数を測
定する。もしくは、調和ポテンシャルの深さを固定した
状態で外部共鳴電場の振動数を走査しながら、排出され
るイオンの量を計測して、トラップされているイオン群
の電荷質量比とそれに対応するイオン数を測定する。
【0032】さらに、このタイプの実施形態には別の長
所がある。それは、イオンが質量分析操作により排出さ
れるとき、線形電極構造の両端部から放出されるので、
物理的にイオンの排出を邪魔する電極構造がないことで
ある。そこで、イオンが電極構造に衝突して失われるこ
とがない。しかも、線形四重極トラップにはイオンが中
心軸に向かう集束効果があるために、さらに共鳴したイ
オンが線形電極構造へ衝突することを避けることができ
る。以上のように、イオンを排出させる際に問題となる
取り出し効率を大きくすることができる。すなわち検出
感度を増大させることができる。
【0033】続いて、上記中心軸に沿った方向に静電場
調和ポテンシャルを形成する方法とイオンを共鳴させる
交流電圧を印加する方法を開示する。ここでは便宜上二
つを別々に説明するが、本発明を実施するときには、両
者のうちのそれぞれ一つの方法を選んで、組み合わせる
ことになる。なお、線形イオントラップは線形電極が4
本以上偶数本が平行に並んだ電極構造をもつイオントラ
ップの総称である。以下の実施例では、4本の線形電極
からなる構造のイオントラップ、すなわち四重極線形イ
オントラップを代表して示していく。ただし、さらに本
数の多い多重極イオントラップの場合にもそのまま拡張
可能である。それは、本発明の原理から明らかなよう
に、線形電極構造はイオンを中心軸に向けて集束する効
果を与えているのみであるため、分析方法は多重極イオ
ントラップが作るイオントラップポテンシャルの形状に
は依存しないからである。また、以下の説明では、トラ
ップされているイオンの電荷は便宜上、正電荷とする。
負電荷イオンを分析対象とする場合は、適宜、静電圧極
性を反転させればよい。
【0034】中心軸上に静電場調和ポテンシャルを形成
するいくつかの手段を開示する。
【0035】四重極線形イオントラップ電極構造の場
合、隣り合う電極構造が為す合計4つの電極間隙が存在
する。この電極間隙(電極1のみ代表して参照符合を付
した)には平板電極を挿入することができる。この平板
電極形状17を、半円形様形状とする(図7)。そし
て、4つの電極間隙のうちの少なくとも一つに、円弧を
持った辺が中心軸を向き、しかも、中心軸とは交わらな
いように挿入する。この電極構造に負電圧を印加すれ
ば、正電荷のイオンを引きつけておくことができる。も
しくは、平板電極形状17を円弧様のくぼみをもった凹
形状とする(図8)。この電極を、4つの電極間隙(電
極1のみ代表して参照符合を付した)のうちの少なくと
も一つに、円弧を持った辺が中心軸を向き、しかも、中
心軸とは交わらないように挿入する。この電極構造に正
電圧を印加すれば、同じく正電荷のイオンを電極中心軸
上の長手方向中心付近に引きつけておくことができる。
ここで、これらの電極17が、少なくとも一つあればよ
い、と言う意味は、この電極は中心軸上に静電場調和ポ
テンシャルを形成することが目的であり、中心軸上にイ
オンを集める作用は四重極線形イオントラップ電極構造
が果たすから、中心軸に対して対称である必要はないと
いうことである。
【0036】以上の電極構造とこの電極構造に電位を与
える電源をもちいれば、イオンを軸方向に捕捉するポテ
ンシャルが形成できることになる。そして、このポテン
シャルが電極中心軸上で調和型若しくは近似的に調和型
となるように、電極形状を決定すれば軸方向の調和ポテ
ンシャルが実現できたことになる。電極形状決定のため
にはコンピュータによる数値解析を行うことが有効であ
る。
【0037】中心軸上に調和ポテンシャルを形成する別
の方法を示す(図9)。線形電極構造(電極51のみ代
表して参照符合を付した)が為す間隙に挿入する平板電
極構造63として、細い短冊型の電極を絶縁して、複数
枚並べ、並んだ外形が長方形の平板となるようにしたも
のを用いる。それぞれの短冊型電極に適当に静電圧を印
加し、中心軸上で調和ポテンシャルとなるようにする。
特に、各短冊型電極が実質的に等しい幅で且等間隔に並
べられた場合、それぞれの短冊型電極への印加電圧の配
分を二次関数の関係にすれば、中心軸上に作られるポテ
ンシャルは近似的に調和型ポテンシャルとなる。この例
によれば、電極形状を決定するための複雑な数値計算の
必要は無くなる。短冊電極群へ静電圧を印加するために
は、配列した短冊電極の中心に位置する短冊電極を接地
し、各短冊電極に所定の電圧が印加されるようにとなり
合う短冊電極間を適当な抵抗により結線し、その両端部
に静電圧を印加すれば良い。短冊電極は、中心軸上に近
似的に調和型ポテンシャルを作ることが目的であるか
ら、その幅と形は同じものでなければならいと言うもの
ではない。
【0038】また、中心軸上に調和ポテンシャルを形成
する別の方法を示す(図10)。この方法は線形電極の
線形イオントラップ電極構造(電極101のみ代表して
参照符合を付した)の中心軸に最近接する線上に電極表
面が露出するように、静電的に絶縁された電極列を埋め
込む。この電極列は高周波的には線形電極と短絡されて
いることが望ましい。この埋め込まれた複数の電極に適
当な静電圧を重畳して印加して、中心軸上に近似的に調
和型をしたポテンシャルを作り出す。特に等間隔に電極
を埋め込んだ場合は、抵抗分割により、各電極に印加さ
れる電位が2次関係になるようにすれば、簡便に中心軸
上に近似的に調和型をしたポテンシャルを作り出すこと
ができる。この場合も、先の例と同様、電極列の電極の
幅と間隔は等しいものである必要はなく、中心軸上に近
似的に調和型をしたポテンシャルを作り出すことができ
るものであればよい。
【0039】中心軸上に調和ポテンシャルを形成する、
さらに、別の方法を示す(図11)。この方法は、線形
電極の線形イオントラップ電極構造の中心軸に最近接す
る線上を中心として、線形電極表面に、電極と静電的に
絶縁された薄い電極膜を形成(あるいは張り付ける)す
る。この電極膜は高周波的には線形電極と短絡されてい
ることが望ましい。この電極膜を先の例のように適当な
形状にして適当な静電圧を重畳して印加したり、あるい
は適当に分割して複数の電極膜に適当な静電圧を重畳し
て印加して、中心軸上に近似的に調和型をしたポテンシ
ャルを作り出す。
【0040】上記調和型をしたポテンシャルを作り出す
ための電極構造を有効に動作させるためには、線形イオ
ントラップ電極には、中心軸上で高周波電位が常に接地
電位となるように高周波を印加する方法が好ましい。こ
のようにすると、線形イオントラップの隣り合う構成電
極が為す等距離面は接地電位となる。そこで、この面上
に電極構造が位置するようにすれば、高周波電場に電極
構造を挿入したことによる高周波電場への影響をなくす
ることができる。
【0041】つづいて、イオンを共鳴させる交流電圧を
印加する方法を開示する。
【0042】これを実現するためには、平板電極によっ
て調和型静電ポテンシャルを作る構造の場合、平板電極
を複数に分割して、これらに交流電圧を重畳する。もっ
とも簡単な方法は平板電極を二つに分割し、ここに交流
電圧を重畳する方法である。さらに効率のよい交流電圧
印加方法は、調和型若しくは近似的に調和型の静電ポテ
ンシャルが印加されている領域全体にわたって交流電圧
が作用させる方法である。これにより、イオンの振動が
大きくなって中心部分を離れても分析交流電位が印加さ
れるので、二つに分割した場合よりもより速く振動振幅
を大きくすることができる。これを実現するためには、
図7、図8に示した凸型、凹型平板電極に於いても、こ
れを図9に示した短冊電極を組み合わせた電極構造とす
る。そして、隣り合った短冊電極を抵抗器で結合する。
図9のように、すでに短冊電極を組み合わせた平板電極
の場合は、これをそのまま利用して隣り合った短冊電極
を抵抗器で結合する。これらに同相交流電圧を印加する
方法は、両端の短冊電極間に交流電圧を印加する。図1
0の電極を埋め込んだ方式の場合は、図9と同様にその
両端の電極間に交流電圧を重畳して印加すればよい。図
11に示した電極膜の場合、上記の対応するタイプと同
様に交流電圧を重畳して印加すれば良い。
【0043】以上の線形イオントラップ電極構造の端部
分からイオンを質量選択しながら取り出す質量分析手の
具体的実施例は、以下の実施例1から3に示した。
【0044】つぎに、線形イオントラップ電極構造の中
心軸に対し垂直方向にイオンを取り出す質量分析装置の
例について説明する。質量選択不安定操作モード、もし
くは質量選択共鳴放出モードによってイオントラップ外
部に射出されたイオンのうち、端電極付近から射出され
たイオンがイオン検出手段に到達しないように遮蔽する
ことにより質量分解能の低下を避け、上記課題を解決す
る。質量分解能を向上させるためには、端電極付近で遮
蔽する部分を長くすればよい。しかし、このとき、検出
されるイオンの収量は減少し、検出感度を低下させるこ
とになる。そこで、実現したい質量分解能に合わせて最
短の遮蔽部分の長さを決定することが有効となる。
【0045】端電極に印加された静電圧がイオントラッ
プポテンシャルに与える影響は、イオントラップポテン
シャルの深さが浅くなることであると近似できる。そこ
で、線形イオントラップ部分のポテンシャルの深さの中
心軸方向の位置依存性を、D−φ(z)とし、ポテンシャ
ルの形状は調和型であると近似する。ここで、Dは高周
波電場が作り出した擬ポテンシャルの深さ、φ(z)は、
端電極に印加した静電圧電位による中心軸上での静電位
である。
【0046】φ(z)の厳密な計算は困難なので、以下の
様に電極形状を簡略化して、その量を見積もることにす
る。すなわち、線形イオントラップ電極と端電極の形状
を円筒であると近似する。つまり、半無限の長さを持
つ、半径の等しい二つの金属円筒が無限小の距離で同軸
上に配置しているとした形状近似でその中心軸上での電
位変化φ(z)を計算する。電極の半径をr0,二つの電極
間の電位差をV、二つの円筒電極の接合位置を中心軸方
向の原点としたとき、φ(z)は、(数5)で与えられ
る。
【0047】φ(z)=Ve/(e+1) λ=1.318z/r0 (数5) この計算は、文献8:M. Szilogyi著, Electron and Io
n Optics, Plenum Press (1988), ページ72から75
に記載されている。特に、zが接合面(z=0)より十
分離れた場合、(数5)は近似的に(数6)で与えられ
る。
【0048】φ(z)=Ve (数6) つぎに、イオントラップポテンシャルと永年運動角振動
数ωの関係を導く。これは、半径r0でのポテンシャル
の深さがDである調和ポテンシャル内部での質量m、電
荷eの荷電粒子の調和振動数を求める問題と同値であ
る。そこで、簡単な計算により、以上のパラメータの関
係は(数7)で与えられる。
【0049】ω2=2eD/(mr0) (数7) (数7)の様にポテンシャルの深さDと、質量は正比例
する。そこで、調和ポテンシャルの深さの微少変化φ
(z)と質量分解能Δm/mの関係は(数8)となる。
【0050】Δm/m=φ(z)/D (数8) 以上の(数6)と(数8)を用いれば、実現したい質量
分解能に対し、遮蔽すべき端電極の長さが計算出来る。
つまり、(数6)のφ(z)を(数8)に代入して、(数
9)を得る。
【0051】 Δm/m=(V/D)exp(2.636z/r0) (数9) 以上の方法は、イオンの射出方向が線形電極に向かう方
向である場合、イオン取り出し穴をイオントラップの端
電極付近を避けて穿つことにより実施する。開口を避け
る端電極付近の長さは、上記計算を参考にして決定す
る。もしくは、線形イオントラップ電極とは独立に電極
外部に遮蔽板を設置して、端電極付近から射出されるイ
オンがイオン検出器に到達することを阻止する。また、
イオンの射出方向が線形イオントラップ電極の間隙方向
の場合は、線形イオントラップ電極とは独立に電極外部
に遮蔽板を設置して、端電極付近から射出されるイオン
がイオン検出器に到達することを阻止する手段を採用す
る。
【0052】以上の実施例は以下の実施例5に示した。
【0053】つぎに、イオントラップの内部に保持した
イオンの光学的手段による質量分析手装置の例について
説明する。この場合は、質量分解能が悪化する原因であ
る端電極付近から放出される光が光検出器に到達しない
ように光路を遮蔽し、線形電極の長手方向中央付近の端
電極の影響が無視出来る領域から放出される光を検出す
ることにより実現できる。端電極付近の永年運動振動数
の変移の量は第一の方法、すなわち線形イオントラップ
電極構造の中心軸に対し垂直方向にイオンを取り出す質
量分析手法の場合と同様であるので、実現したい質量分
解能に合わせて、光を遮蔽する領域を(数9)により決
定すればよい。また、光学的手段による質量分析手法の
場合の別の高分解能化の方法は、蛍光を励起する励起光
を端電極付近を避けて線形イオントラップ電極構造の長
手方向中央付近に照射することによっても実現すること
が出来る。
【0054】以上の実施例は以下の実施例6に示した。
【0055】実施例1:(2分割凹形平板電極の実施
例) 実施例1は、図1に全体構成を、図2に質量分析部の詳
細構成を示すように、中心軸方向にイオンを取り出すタ
イプの線形イオントラップ質量分析装置の最も単純な例
である。装置サイズが小さいことと簡便な操作手順が特
長となる。その質量分析手段は、凹形平板電極によって
中心軸方向のイオン捕捉と、この平板電極を二つに分割
することにより質量分析機能を実現した線形イオントラ
ップ質量分析装置である。なお、図1、図2では、図の
左側に線形イオントラップ質量分析部の4本の電極を対
角上に、及び4つの平板電極をこの間隙に配置して示す
部分は、線形イオントラップ質量分析部の断面構造を示
すものである。ガスクロマトグラフィーや液体クロマト
グラフィー等により外部から導入された試料や試料とし
ての真空の残留ガスをイオン源部においてイオン化して
上記線形イオントラップ質量分析部に導く。イオン化手
段は、もっとも簡便な電子線照射法を用いた。イオン源
部と線形イオントラップ質量分析部を別の部分に分離し
た理由は、噴霧された試料分子が電極に付着することに
より汚染が生じる部分を線形イオントラップ質量分析部
分から隔離するためである。以下では、外部より導入さ
れた試料分子をイオン化し、その質量スペクトルを得る
実施例を示す。
【0056】はじめに本実施例の線形イオントラップ質
量分析部を説明する。線形イオントラップ質量分析部分
は、4本の電極棒1〜4を中心軸に対し、平行にかつ中
心軸に垂直な面内で各電極の相対位置が正方形と成るよ
うに配列した構造から成る。その断面形状の中心軸に面
した部分は双曲面、もしくは近似的に双曲面につくる。
中心軸から線形電極構造の最近接面までの距離をr0
すると、この距離は2.5mmから10mm程度に取
る。本実施例では5mmとした。さらに、電極棒1−4
の長さLはr0にくらべ、大きく取る。本実施例では5
0mmとする。
【0057】そして、本実施例では、二つの絶縁された
部分から構成された円弧様に窪んだ辺を持つ4枚の平板
電極17〜20をもちいて、中心軸方向のイオンの捕捉
と質量分析を行う。その電極形状は、上記線形イオント
ラップ電極構造の形状にあわせて、最適化する必要があ
る。そのためには、コンピュータを用いた静電場計算を
行う。すなわち、線形イオントラップ電極を接地電位と
し、4枚の平板電極に静電圧を印加したとき、中心軸上
にそって2次関数で表される静電場が形成されるよう
に、平板電極の形状を決定する。そして、本平板電極は
中心部分で二つに分割する。その電極間幅は1mm以下
に取る。このように分断を狭くすることにより、分割に
起因する静電圧の変形の実質的な悪影響を避けることが
出来る。合計8枚の平板電極のうち中心軸方向で同じ位
置に位置する4枚の組からなる2組の電極の組はそれぞ
れ短絡し、同電位とする。以上の平板電極群に交流電圧
31と、静電圧32を印加する。この二つの電圧源を図
1では符合26で代表させた。すなわち、電極群全体に
等しい静電圧が印加され、また二つの電極の組の間に交
流電圧が印加されるようにする。この電圧印加の具体的
な構成の例は、出願人の先願にかかわるPCT/JP9
5/01322に示されているが、任意の方法が採用で
きるので、説明は省略する。
【0058】つづいて、本実施例のイオン源部を説明す
る。イオン源部の電極構造は線形イオントラップ部と断
面形状が等しい線形電極構造である。その長さは、r0
よりも十分大きくする。本実施例では30mmとした。
そして、この部分は試料分子線発生器23と電子銃21
を備えている。試料分子線発生器23は、ガスクロマト
グラフィや液体クロマトグラフィ等の前処理装置で処理
された試料を含むガスを噴霧する原理である。常時、試
料ガスが噴霧されている状態でよい。図1においては、
以上の試料分子線発生器23への試料前処理装置、試料
導入器及び駆動装置をまとめて24で示した。電子銃2
1はフィラメントに通電した際発生する熱電子線を加速
して、電子線を発生させる原理である。加速電圧はほぼ
100ボルトである。加速電圧を印加する、しないによ
り、電子線の発生を制御する。図1においては電子銃を
駆動する電源類をまとめて22で示した。以上の試料ガ
ス、電子線をイオン源部分の四重極電極内部に入射す
る。そして、分子を電子線により衝撃して、電極構造内
部でイオンを作り出す。電子線の照射時間の制御によ
り、発生させる試料イオン量を調節することができる。
【0059】また、本実施例では、直列に配置されたイ
オン源部と線形イオントラップ部の線形電極の両端にさ
らに端電極9、10、および13、14(図1ではそれ
ぞれ4本からなる端電極のうちの2本ずつのみを示し
た)を設置している。その端電極の電極構造は線形イオ
ントラップ部と断面形状が等しい線形電極構造である。
その長さは、r0よりも十分大きくする。本実施例では
10mmとした。 イオン検出器27は上記線形電極構
造のイオントラップ質量分析部の端電極を見込む位置に
設置してある。このイオン検出器で、質量分析操作時に
排出されてくるイオンを検出する。本実施例では、質量
分析操作時に排出されるイオンはイオントラップ質量分
析部の両側に排出されるから、イオン検出器を両側に配
置して検出するのが良いが、イオン源部の端部に設けら
れる端電極9、10のポテンシャルを利用してイオン検
出器27側にのみ排出されるようにすることができる。
【0060】以上の電極構造、電子銃、試料源、イオン
検出器は真空槽30内部に置かれる。この真空槽内部
は、マイナス6乗トールから1トール程度のヘリウムガ
スが適宜導入でき、このヘリウムガスはイオンとの衝突
によりイオンの運動エネルギーを奪う冷却剤として作用
させられる。
【0061】中心軸に対し垂直方向にイオンを捕捉する
ために、本イオントラップ電極構造のイオントラップ質
量分析部、イオン源部、および両側の端電極部の各電極
構造には、電源25により、高周波電圧が印加できるよ
うにする。電極中心部分に四重極高周波電場が形成され
るようにするために、中心軸を挟んで相対する位置関係
にある電極の組には同位相の高周波が印加されるように
配線する。この配線についても、一例が、出願人の先願
にかかわるPCT/JP95/01322に示されてい
るが、任意の方法が採用できるので、説明は省略する。
そして高周波電圧の振幅は、試料イオンに対して(数
2)、(数3)に示した安定条件を満たすように決定す
る。さらに印加される高周波電圧は電極中心軸上で高周
波電位0となるようにする。つまり、中心軸を挟んで相
対する位置関係にある電極の組の間には、それぞれ振幅
が等しく、しかし、位相が180度異なる高周波電圧を
印加する。
【0062】また、イオン源部、二つの端電極部にはそ
れぞれ独立に4本の電極に任意の値の静電圧を重畳して
印加する。これは、メガオーム程度の高抵抗器を介して
線形電極と可変静電圧電源とを結線することで実現でき
る。その最大静電圧値はイオントラップ高周波が作り出
すポテンシャルの深さの数倍程度である。具体的には1
0V程度である。また、線形イオントラップ質量分析部
の静電位は接地電位とする。
【0063】以上の高周波電圧および静電圧を印加する
ための高周波電源および静電圧電源を図1ではまとめて
電源25として記載した。
【0064】以上の装置は、コンピュータ29により、
制御できるようになっている。図1におけるコンピュー
タ29に入力する矢印、コンピュータ29から出力する
矢印は制御信号、測定信号の流れを表す。
【0065】つづいて、本実施例の操作方法を示す。
【0066】はじめにイオンを蓄積する前準備を行う。
試料イオンを中心軸に対して垂直方向に捕捉するため
に、各電極構造には(数2)、(数3)より求めた試料
イオンが安定に捕獲できる高周波電圧を印加しておく。
そして、イオン源において生成されたイオンがイオン源
部から線形イオントラップ質量分析部に移動するよう
に、両者の間には電位差を付ける。その電位差は(数
4)から計算される高周波電圧が作るイオントラップポ
テンシャルの深さDよりも小さい正の有限の値とする。
これにより、両者の電位差により加速されたイオンが端
電極13、14の持つイオントラップポテンシャルを乗
り越えて失われる悪影響を抑制することができる。この
電位差はイオン源部の電極に正の静電圧を印加して発生
させる。そして、端電極にはイオン源部以上の静電圧を
重畳しておく。これにより試料イオンは線形イオントラ
ップ電極構造の中心軸方向にほぼ完全に捕捉される。そ
して、真空槽内部は0.01トール程度のヘリウムガス
で充満しておく。このヘリウムガスはイオンとの衝突に
より運動エネルギーを奪う冷却剤として作用する。ま
た、平板電極17〜20にも正の静電圧を印加してお
く。
【0067】つづいて、試料イオンを蓄積する。電子銃
23を駆動させてイオン源部の電極5〜8内部でイオン
を発生する。電子銃23の駆動時間を調整することによ
り、蓄積されるイオン数を制御することができる。発生
したイオンはイオン源部よりも電位の低い線形イオント
ラップ質量分析部に移動する。一定時間放置すると、試
料イオンはヘリウムガスとの衝突でエネルギーを失い冷
却されて、線形イオントラップ質量分析部に蓄積され
る。さらに、冷却が進むと、試料イオンは平板電極17
−20に印加された電圧が電極構造の中心軸上に作った
ポテンシャルの底に溜まってくる。以上の試料イオン蓄
積操作が終了したら、電子銃を停止する。蓄積時間は、
イオン化能力等実験の経験を基礎に決めるのが良い。
【0068】つづいて質量分析操作の前準備を行う。ま
ず、端電極部分13〜16、イオン源部分電極5〜8に
印加している静電圧が線形イオントラップ質量分析部の
質量分解能に与える影響を避けるために端電極部分、イ
オン源部分に印加している静電圧値をイオントラップ部
分と等しい電位、すなわち本実施例では接地電位とす
る。この状態では、イオンは平板電極17A、17B〜
20A、20Bに印加される静電圧32がつくっている
ポテンシャルによって中心軸方向に捕捉されている。な
お、イオンの放出される方向をイオン検出器に向かった
方向のみとするために、イオン源部に質量分解能を悪化
させない程度の極微小の静電圧を印加しておいても良
い。
【0069】つぎに質量スペクトルを得るための質量分
析操作を行う。分析用の交流電圧31を平板電極に印加
し周波数掃引を行う。これにより共鳴条件を満たしたイ
オンは共鳴振動を始め、エネルギーを得る。このエネル
ギーが平板電極17A、17B〜20A、20Bが作り
出すポテンシャルの深さ以上になるとそのイオンは中心
軸に沿った方向に線形電極構造の端部より排出されるの
で、イオン検出器27で検出する。
【0070】以上の操作で、ある試料イオンについて、
その共鳴振動数とイオン数を測定できたことになる。共
鳴振動数と質量電荷比との間には関数関係があるので、
測定された共鳴振動数から質量電荷比をもとめることが
出来る。
【0071】ここで調和型静電ポテンシャルの内部に存
在するイオンの共鳴振動数を導出する。中心軸上での静
電調和ポテンシャルの形状を(数10)で記述すると、
分析交流の周波数と質量電荷比の関係は、(数11)と
なる。ここで、Wは調和ポテンシャルの深さ、Lは調和
ポテンシャルの印加されている長さ、m/eは電荷質量
比、ωは分析交流の周波数を表す。
【0072】Φ(z) =4Wz2/L2 (数10) ω2 =8eW/(mL2) (数11) (数11)により、イオンの共鳴振動数から電荷質量比
m/eを求めることが出来る。ここで、他のパラメータ
(W/L2)を実験的に求めることが有効である。その
ためには、電荷質量比が既知であるイオンを試料イオン
としてイオントラップ内部に導入してこのイオンについ
て質量分析操作をする。これにより実験的に測定された
既知のm/eに対するωの値から(数11)を校正する
ことが出来る。
【0073】実施例2:(大気圧イオン化法と短冊平板
電極の実施例) 本実施例は、短冊形平板電極を用いた線形イオントラッ
プ質量分析部と、イオン源として大気圧イオン化手段を
組み合わせた実施形態である。大気圧イオン化法は先の
実施例1の電子線衝突によるイオン化法よりも分子に対
する衝撃が少ない方法なので、有機分子分析等で問題と
なる分子が破壊される影響を抑えることが出来る。
【0074】本実施例の装置構成を図3及び図4に示
す。図3に示すように、真空槽74内部に置かれた曲率
を持つイオン導入路55、56、線形イオントラップ質
量分析部電極51〜54、端電極部59から62、そし
てイオン検出器68、真空槽外部におかれた大気圧イオ
ン源70、イオントラップ高周波電源71、分析交流電
源72、そしてイオン量計数系69、そして、これらを
制御するコンピュータ73からなる。本実施例において
も、図4では、図の左側に線形イオントラップ質量分析
部の4本の電極を対角上に、及び4つの短冊形状電極を
この間隙に配置して示す部分は、線形イオントラップ質
量分析部の断面構造を示すものである。
【0075】はじめに本実施例の線形イオントラップ質
量分析部の説明を図4によって行う。本実施例では、図
1、2で示す実施例1の2分割平板形状電極17〜20
に代え、複数の短冊形状の小電極を並べた4枚の平板電
極63〜66でイオンの中心軸方向の捕捉と質量分析を
行う。線形イオントラップ部分の電極構造と印加する高
周波電圧は実施例1と同様である。イオンを中心軸方向
に捕捉し、さらに質量分析操作するための平板電極は、
合同の短冊形状の小電極からなり、これらを絶縁して並
べて平板を構成している。そして、4枚の平板電極が中
心軸から等距離になるようにそして、相対するように設
置されている。4枚の平板電極を構成する小電極は、中
心軸に沿って同じ位置に位置する4枚の組がそれぞれ短
絡されている。各小電極には中心軸上に近似的な調和ポ
テンシャルが形成されるようにそれぞれ適当な値の静電
圧が印加される。この際、一つの静電圧電源72を用い
て、この電源が発生する静電圧を抵抗分割して、各小電
極に所定の電圧が印加されるようにすることが有効であ
る。すなわち、中央部分に位置する電極を接地し、そこ
から、隣り合う電極同士を電気抵抗器67(参照符合は
代表一つのみに付した)で結線していく。このときの抵
抗値をちょうど各小電極への印加電圧が電極構造の長手
方向に沿って二次関係になるようにすれば良い。そし
て、イオンを電極構造の中心軸方向に沿って振動させる
ために、周波数掃引可能な交流電源81を用いて抵抗群
の両端に分析交流電圧を印加する。
【0076】本実施例では、曲率をもったイオン導入路
55〜56(図3では4本の電極の内2本55、56の
みを示している)を用いている。これは、イオン源から
入射してくるイオン化していない分子がイオントラップ
質量分析部に衝突し電極に付着して汚染され、質量分解
能を低下させることを避けるためである。
【0077】本実施例において、その操作方法は実施例
1とほとんど等しい。
【0078】測定前に全四重極部分に高周波電圧を印加
しておく。そして、イオン導入路および端電極部分には
イオントラップ質量分析部のイオントラップポテンシャ
ルD以下の静電圧を印加しておく。また、平板電極には
調和型静電ポテンシャルを形成するための静電圧を印加
しておく。続いて試料イオンを導入する。導入されたイ
オンはヘリウムガスとの衝突により冷却されてイオント
ラップ質量分析部の中央部分付近に蓄積される。イオン
蓄積操作が終了したら、端電極部分、イオン導入路部分
に重畳して印加していた静電圧をイオントラップと同電
位とする。このときイオンの中心軸方向の蓄積は平板電
極による静電ポテンシャルによって行われている。
【0079】つづいて、質量分析操作を行う。分析交流
電圧を周波数掃引しながら印加すると、共鳴条件を満た
したイオンは軸方向に振動しながら徐々に振幅を大きく
し、電極構造の端から放出される。共鳴振動数から質量
数への変換は実施例1と等しい。
【0080】実施例3:(Qマスを備えた、埋め込み電
極による実施例) 本実施例は、本発明の線形イオントラップ質量分析とQ
マス質量分析器を組み合わせた高感度質量分析装置の実
施形態である。図5に全体のブロック構成を、図6に質
量分析部の詳細構成を示す。Qマス質量分析器を前段分
析装置として用いることにより侠雑イオンを除去し高感
度の質量分析を実現する。この実施例での線形イオント
ラップ質量分析部は複数の電極を線形イオントラップ電
極構造に絶縁して埋め込み、ここに静電圧を印加するこ
とにより、中心軸上に調和ポテンシャルをつくる方法に
よる。
【0081】イオン源は、実施例2と同様に、大気圧イ
オン化源122を用いている。そこで、電極構造には曲
率を持ったイオン導入路105、106を用いている。
そして、このイオン導入路に直結してQマスフィルタ1
09、110、線形イオントラップ質量分析部101〜
104、そして端電極113、114を配置している。
また、端電極の端部を見込むようにイオン検出器121
を配置している。
【0082】なお、本実施例でも図6では、図の左側に
線形イオントラップ質量分析部の4本の電極を対角上
に、及び4つの細棒電極をこの電極内に埋め込んで示す
部分は、線形イオントラップ質量分析部の断面構造を示
すものである。
【0083】本実施例の線形イオントラップ部の説明を
する。イオントラップ電極101〜104には同数の細
棒電極117(参照符合は代表一つのみに付した)を、
イオントラップ電極の中心軸に最近接する直線上に等距
離に埋め込んでいる。4本のイオントラップ電極とも、
中心軸方向に同じ位置に埋め込む。この細棒電極はイオ
ントラップ電極とは静電圧的に絶縁されている。つま
り、細棒電極は、絶縁体の鞘につつまれて、埋め込まれ
ている。ただし、この電極関係は高周波帯域ではコンデ
ンサーとして動作するので、イオントラップ高周波に関
してはほぼ導通である。中心軸方向に同位置に位置する
各イオントラップ電極に埋め込まれた4本の細棒電極は
静電圧的に導通させ、高周波帯域で絶縁しておく。これ
は、各細棒電極を高抵抗で結線することで実施できる。
細棒電極群には実施例2に記述した短冊細棒電極と同様
に抵抗分割119(参照符合は代表一つのみに付した)
により、二次関係にある静電圧を印加できるようにして
ある。
【0084】つづいて本実施例の操作方法を示す。
【0085】はじめに全電極構造に高周波を印加してお
く。特にQマスフィルタは、試料イオンを通過し、バッ
クグランドとなるイオン群が通過しないようなパラメー
タで動作させるように設定する。そして、Qマスフィル
タにはイオントラップ質量分析部のイオントラップポテ
ンシャル以下の有限静電圧を重畳して印加し、端電極部
とイオン導入路にはQマスフィルタ部分よりも高い静電
圧を印加しておく。また、細棒電極群にも中心軸乗に調
和型ポテンシャルを形成するための静電圧を印加してお
く。
【0086】ここで、試料イオンを導入する。イオン導
入路を通過したイオン群はQマス質量分析部に導入され
る。ここで、明らかにバックグランドと考えられるイオ
ンを除去する。そしてバックグランドが除去されたイオ
ン群はイオントラップ質量分析部に蓄積される。
【0087】イオン蓄積後に、Qマスフィルター部と端
電極部の静電圧値を接地電圧とする。そして、イオン導
入路部分の静電圧を大きく負電位とするか、若しくはイ
オン導入路部分の高周波電圧を切って、Qマスフィルタ
ー部分に新たなイオンが送り込まれることを避ける。そ
して、細棒電極群に質量分析交流電圧を周波数掃引しな
がら印加してイオンを共鳴させる。そして、排出されて
きたイオンをイオン検出器で検出して質量スペクトルを
得る。
【0088】実施例4(静電場調和ポテンシャルを形成
するための電極を、四重極線形電極の表面に張り付けた
膜電極で形成した場合の実施例) ここで、前述の各実施例の、静電場調和ポテンシャルを
形成するための電極を、四重極線形電極の表面に張り付
けて形成した場合の実施例を図11、図12に示す。図
11は図4に示す実施例に対応した形で示す実施例であ
り、図11(a)に二つの四重極線形電極51’、5
2’の表面に多数の静電場調和ポテンシャルを形成する
ための膜電極63’を等間隔で配置した状態を平面図
で、図11(b)に四重極線形電極をA−Aの位置で矢
印方向に見た断面図で、それぞれ示す。等間隔で配置さ
れた膜電極63’は、絶縁体膜80を介して四重極線形
電極表面上に張り付けられている。また、図では表示が
省略されているが、各膜電極63’の間は図4と同様に
抵抗で接続されており、両端に与えられる静電圧を抵抗
比に応じて配分して加えられるようになっている。図4
と図11(a)、(b)とを対照して明らかなように、
両者の実施例は、静電場調和ポテンシャルを形成するた
めの電極が四重極線形電極間に独立の構造の電極63と
して備えられたか、四重極線形電極表面に張り付けられ
た膜電極63’かの相違でしかない。
【0089】図12は、この実施例により静電場調和ポ
テンシャルを形成するための電気回路の等価回路を示
す。Rは上述した抵抗器、Cは上述した絶縁体膜80に
より、電極51’、52’と膜電極63’との間に存在
する静電容量である。81’は図4における交流電源8
1に対応する交流電源であり、V1、V2、−−−、V6
は図4における静電圧電源82に対応する静電圧電源
(図示しない)が上述した抵抗器で分割されて膜電極6
3’に配分された静電圧である。図から明らかなよう
に、本実施例では、交流電圧は静電容量Cを介して、静
電圧は抵抗器Rを介して、それぞれの膜電極63’に与
えられることになる。
【0090】実施例5(イオントラップの中心軸に対し
て垂直方向にイオンを排出させる場合の実施例) 本実施例は、従来の技術の項に示した質量選択不安定モ
ードもしくは質量選択共鳴放出モードを線形イオントラ
ップにおいて実施する際に問題となる質量分解能の低下
を低減する実施例である。課題を解決するための手段の
項の前半部で説明したように、線形イオントラップの両
端部分から放出されてくるイオンがイオン検出器に到達
しないように遮蔽することにより、本実施例が実施でき
る。
【0091】本実施例を用いた質量分析装置の全体は、
例えばいままで示してきた実施例1から4までの線形イ
オントラップ質量分析部を本実施例で説明する線形イオ
ントラップ質量分析部と交換すればよい。
【0092】質量選択不安定モードにおいては、線形電
極に開けたイオン取り出し穴から、線形イオントラップ
電極構造の中心軸と垂直方向にイオンが放出される。ま
た、質量選択共鳴放出モードにおいては、線形電極に開
けたイオン取り出し穴もしくは電極間の間隙から、線形
イオントラップ電極構造の中心軸と垂直方向にイオンが
放出される。これらの放出されたイオンを検出できる場
所にイオン検出器が設置される。ある質量分解能Δm/
mを実現したい場合には、(数9)で計算される領域か
ら放出されるイオンを、遮蔽板、若しくは電極に開けた
穴の形状を小さくすることにより遮蔽することは容易で
ある。遮蔽板を用いる場合は線形電極の近傍にこれを設
置することが望ましい。
【0093】図13では、質量選択共鳴放出モードにお
いて電極間隙からイオンを排出させる場合の、線形電極
構造131とイオン遮蔽板132、133、そしてイオ
ン検出器134の位置関係を示した。図11で示した端
電極と線形イオントラップ質量分析部の接続位置から線
形イオントラップ質量分析部へ張り出したイオン遮蔽板
の長さdは(数8)により決定する。具体的には、現在
3次元イオントラップで実現されている質量分解能Δm
/m〜10-3と同等の質量分解能を得るには、イオント
ラップポテンシャルの深さD=1[V]、端電極にV=
1[V]が印加されている場合、端電極との接合部分か
ら2.6r0までの部分から射出されているイオンを遮
蔽すればよいことになる。
【0094】実施例6(光学的にイオンを検出する実施
例) 光学的に試料イオンを検出するイオントラップ質量分析
方法(文献4)において、端電極付近部分から放出され
る蛍光を遮蔽することにより質量分解能を改善できる。
光学的に試料イオンを検出するイオントラップ質量分析
方法の詳しい説明、装置構成、および操作方法は文献4
に記載されているので、ここでは、蛍光を観察する際の
遮蔽板について説明する。図14は線形イオントラップ
質量分析部分141、光遮蔽板142、143、対物レ
ンズ144、光検出器145、そして蛍光を発するイオ
ンを励起するレーザー光束146を示す。
【0095】図14で示した端電極と線形イオントラッ
プ質量分析部の接続位置から線形イオントラップ質量分
析部へ張り出したイオン遮蔽板の長さdは、実施例4と
同様に(数8)により決定する。具体的には、現在3次
元イオントラップで実現されている質量分解能Δm/m
〜10-3と同等の質量分解能を得るには、イオントラッ
プポテンシャルの深さD=1[V]、端電極にV=1
[V]が印加されている場合、端電極との接合部分から
2.6r0までの部分から放出されている蛍光を遮蔽す
ればよいことになる。
【0096】
【発明の効果】本発明を実施すれば、従来のイオントラ
ップ質量分析法の分析感度と質量分解能を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2分割凹形平板電極の実施例の全体構
成を示すブロック図。
【図2】図1に示した実施例の質量分析部分の詳細構成
を示すブロック図。
【図3】本発明の大気圧イオン化法と短冊平板電極によ
る実施例の全体構成を示すブロック図。
【図4】図3に示した実施例の質量分析部分の詳細構成
を示すブロック図。
【図5】本発明のQマスを備えた、埋め込み電極による
実施例の全体構成を示すブロック図。
【図6】図5に示した実施例の質量分析部分の詳細構成
を示すブロック図。
【図7】本発明で採用しうる平板電極と線形イオントラ
ップ電極構造の関係の一つを説明する図。
【図8】本発明で採用しうる他の平板電極と線形イオン
トラップ電極構造の関係の一つを説明する図。
【図9】本発明で採用しうる他の平板電極と線形イオン
トラップ電極構造の関係の一つを説明する図。
【図10】本発明で採用しうる埋め込み電極のと線形イ
オントラップ電極構造の関係の一つを説明する図。
【図11】本発明で採用しうる平板電極あるいは埋込電
極に代わる膜電極の例と線形イオントラップ電極構造の
関係の一例を説明する図。
【図12】図11の実施例における電気回路の等価回路
の例を示す図。
【図13】本発明のイオン遮蔽板を採用した実施例の線
形イオントラップ電極構造部とイオン検出部の関係を示
す示すブロック図。
【図14】本発明の光遮蔽板を採用した実施例の線形イ
オントラップ電極構造部とイオン検出部の関係を示す示
すブロック図。
【符号の説明】
1〜4:線形イオントラップ質量分析部電極、5、6:
イオン生成部電極、9、10、13、14:端電極、1
7〜20:凹型平板電極、21:電子銃、22:電子銃
電源、23:試料源、24:試料源駆動装置および前処
理装置、25:イオントラップ高周波電源及び静電圧電
源、26:分析交流電源、27:イオン検出器、28:
イオン量計数装置、29:コンピュータ、30:真空槽 51〜54:線形イオントラップ質量分析部電極、5
5、56:イオン導入路電極、59、60:端電極、6
3〜66:平板電極、63’:膜電極、67:抵抗分割
用抵抗群、68:イオン検出器、69:イオン量計数装
置、70:大気下イオン源、71:イオントラップ高周
波電源および静電圧電源、72:分析交流電源、73:
コンピュータ、74:真空槽、101〜104:線形イ
オントラップ質量分析部電極、105、106:イオン
生成部電極、109〜110:Qマスフィルタ部電極、
113、114:端電極、117、118:細棒電極
群、119:抵抗分割用抵抗群、121:イオン検出
器、122:大気下イオン源、123:高周波電源およ
び静電圧電源、124:分析交流電源、125イオン量
計数装置、126:コンピュータ、127:真空槽、1
31:線形イオントラップ質量分析部電極、132、1
33:イオン遮蔽板、134:イオン検出器、141:
線形イオントラップ質量分析部電極、142、143:
光遮蔽板、144:対物レンズ、145:光検出器、1
46:レーザー光束。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】線形イオントラップ電極構造と、該線形イ
    オントラップ電極構造内にイオンを捕捉するための駆動
    電源と、前記線形イオントラップ電極構造の中心軸方向
    で電極構造外へのイオンの移動を抑制するために前記線
    形イオントラップ電極構造端部または中心軸方向の延長
    部に設けられた中心軸を共有する端電極、該端電極に所
    定の静電圧を与える電源、前記線形イオントラップ電極
    構造に試料をイオン化して導入するイオン化手段と、前
    記線形イオントラップ電極構造内でイオンを共鳴振動さ
    せ電極構造外に排出するための手段と、該排出されたイ
    オンを検出するイオン検出手段とからなるイオントラッ
    プ質量分析装置において、前記線形イオントラップ電極
    構造から質量選択しながらイオンを排出させる際、前記
    端電極の持つ静電圧の影響を除去する手段を付加したこ
    とを特徴とする質量分析装置。
  2. 【請求項2】前記端電極の持つ静電圧の影響を除去する
    手段が、線形イオントラップ電極構造の中心軸上に調和
    型静電ポテンシャル若しくは近似的に調和型静電ポテン
    シャルを作る手段と、中心軸上に作られたポテンシャル
    内部で中心軸方向にイオンを共鳴振動させるための交流
    電場を印加する手段である請求項1記載の質量分析装
    置。
  3. 【請求項3】前記線形イオントラップ電極構造の中心軸
    上に調和型静電ポテンシャル若しくは近似的な調和型静
    電ポテンシャルを作る手段が、前記線形イオントラップ
    電極構造のとなりあう電極対がなす間隙の一つ乃至複数
    箇所に挿入された適当な形状に形成されるとともに、前
    記中心軸方向に複数に分割されかつこれら分割された平
    板の組に所定の静電圧が印加された平板電極である請求
    項2記載の質量分析装置。
  4. 【請求項4】前記平板が棒形状の複数の導体をそれぞれ
    絶縁して並べて形成されたものであり、かつ該導体にそ
    れぞれ適当な静電圧を印加されたものである請求項3記
    載の質量分析装置。
  5. 【請求項5】前記線形イオントラップ電極の中心軸上に
    調和型静電ポテンシャル若しくは近似的な調和型静電ポ
    テンシャルを作る手段が、前記線形イオントラップ電極
    構造のうちの一つ乃至複数の電極に、前記平板に代わる
    導体線の先端部が前記電極構造の中心軸に向いた面に露
    出するように、複数の導体線を絶縁して埋め込まれると
    ともに、上記導体線にそれぞれ適当な静電圧を印加され
    たものである請求項3記載の質量分析装置。
  6. 【請求項6】線形イオントラップ電極の中心軸上に調和
    型静電ポテンシャル若しくは近似的な調和型静電ポテン
    シャルを作る手段が、前記線形イオントラップ電極構造
    のうちの一つ乃至複数の電極の中心軸に向かう面上に該
    電極と静電的には絶縁されて設けられた膜構造である請
    求項3記載の質量分析装置。
  7. 【請求項7】前記線形イオントラップ電極構造の中心軸
    上に調和型静電ポテンシャル若しくは近似的な調和型静
    電ポテンシャルを作る手段が前記線形イオントラップ電
    極の一つ乃至複数の電極表面に絶縁膜を介して張り付け
    られ適当な形状に成形されるとともに前記中心軸方向に
    複数に分割されかつこれら分割された膜電極の組に所定
    の静電圧が印加された膜電極である請求項2記載の質量
    分析装置。
  8. 【請求項8】線形イオントラップ電極構造と、該線形イ
    オントラップ電極構造内にイオンを捕捉するための駆動
    電源と、前記線形イオントラップ電極構造の中心軸方向
    で電極構造外へのイオンの移動を抑制するために前記線
    形イオントラップ電極構造端部または中心軸方向の延長
    部に設けら中心軸を共有する端電極、該端電極に所定の
    静電圧を与える電源、前記線形イオントラップ電極構造
    に試料をイオン化して導入するイオン化手段と、前記線
    形イオントラップ電極構造内でイオンを共鳴振動させ電
    極構造外に排出するための手段と、該排出されたイオン
    を検出するイオン検出手段とからなるイオントラップ質
    量分析装置において、前記イオンの排出は前記線形イオ
    ントラップ電極の中心軸に対し垂直方向にイオンを共鳴
    振動させるように前記線形イオントラップ電極に加える
    高周波電圧によりおこなうものであるとともに、前記端
    電極の近傍の所定の部分に排出されたイオンが前記イオ
    ン検出手段に到達するのを防止する手段を付加したこと
    を特徴とする質量分析装置。
  9. 【請求項9】線形イオントラップ電極構造と、該線形イ
    オントラップ電極構造内にイオンを捕捉するための駆動
    電源と、前記線形イオントラップ電極構造の中心軸方向
    で電極構造外へのイオンの移動を抑制するために前記線
    形イオントラップ電極構造端部または中心軸方向の延長
    部に設けら中心軸を共有する端電極、該端電極に所定の
    静電圧を与える電源、前記線形イオントラップ電極構造
    に試料をイオン化して導入するイオン化手段と、前記線
    形イオントラップ電極構造内でイオンを共鳴振動させる
    ための手段と、該共鳴振動させられたイオンを検出する
    イオン検出手段とからなるイオントラップ質量分析装置
    において、前記イオンの検出は励起光の照射により試料
    イオンが直接放射する蛍光、もしくは励起光照射により
    試料イオンと同時にイオントラップ内部に捕捉されてい
    る他のイオン種が放射する蛍光を検出する等の光学的手
    段によるものであるとともに、前記端電極の近傍の所定
    の部分からの蛍光が前記イオン検出手段に到達するのを
    防止する手段を付加したことを特徴とする質量分析装
    置。
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