JP2000306545A - 質量分析計および分析方法 - Google Patents

質量分析計および分析方法

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JP2000306545A
JP2000306545A JP11111816A JP11181699A JP2000306545A JP 2000306545 A JP2000306545 A JP 2000306545A JP 11111816 A JP11111816 A JP 11111816A JP 11181699 A JP11181699 A JP 11181699A JP 2000306545 A JP2000306545 A JP 2000306545A
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ions
signal
ion
mass
resonance
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JP11111816A
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English (en)
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Yasuaki Takada
安章 高田
Takayuki Nabeshima
貴之 鍋島
Minoru Sakairi
実 坂入
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオントラップ型質量分析器を有する質量分析
計によりタンデム質量分析法を行う場合において、プリ
カーサーイオンからのフラグメントイオン生成効率を高
める。 【解決手段】エンドキャップ電極に印加される共鳴信号
のパラメータ(振幅、周波数、位相)の少なくとも一つ
を、定められたタイミングにおいて変化させることで、
不必要な加速によりプリカーサーイオンが解裂する以前
に質量分析器の内部から失われる現象を防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオントラップ型の
質量分析器を有する質量分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】四重極イオントラップ型(以下では、単
にイオントラップ型と記載する)の質量分析器は、広く
利用されている四重極型や磁場型などの質量分析器に比
較し高感度で試料イオンの質量スペクトルを取得できる
などの幾つかの利点を有しているため、環境関連分野や
生体関連分野の分析においてよく用いられるようになっ
て来た。
【0003】図8に、イオントラップ型の質量分析器を
有する質量分析計の基本的な構成を示す。質量分析器は
2つのエンドキャップ電極1a、1bとリング電極2で
構成される。リング電極2には高周波電源3からの高周
波が印加され、質量分析器の内部(エンドキャップ電極
1a、1bとリング電極2で囲まれた部分)にイオン閉
じ込め用の電界が形成される。試料ガスは、ガス供給管
4を用いて、ガス供給器5により質量分析器の内部に導
入される。
【0004】試料のイオン化は、電子銃6からの電子線
を試料に衝突させることによってなされる。質量分析器
の内部で生成されたイオンは、イオン閉じ込め電界に捕
捉され、質量分析器の内部に閉じ込められる。一定時間
電子線を導入し、十分な量の試料イオンが質量分析器の
内部に閉じ込められた段階で、イオンのm/z(質量を
電荷で割った値)を分析する段階になる。一般には、リ
ング電極に印加する高周波の振幅を徐々に大きくするこ
とで、m/zが小さいイオンから順に質量分析器の外部
に排出する。質量分析器の外部に排出されたイオンは、
検出器7により検出され、信号は信号ライン60aによ
りデータ処理装置8に送られ、処理される。ここで、上
記の電子銃、イオントラップ型質量分析器および検出器
は、大気圧下で動作させるのは困難であるため、排気系
10で排気された真空領域11に配置される。
【0005】分析の途中で電子衝撃により新たなるイオ
ンが生成されると、分析結果として得られる質量スペク
トルの解釈が難しくなるので、電子線の入射のタイミン
グはゲート電極9により制御する。イオン蓄積のタイミ
ングにおいて、電源(図示せず)を用いてゲート電極9
に印加する電圧を調整し、電子線がゲート電極を通過し
て質量分析器の内部に到達できるように設定する。閉じ
込められたイオンを分析するタイミングでは、ゲート電
圧9に印加する電圧を調整し、電子線が質量分析器に到
達することを妨げる。
【0006】上記の一連の過程において、エンドキャッ
プ電極1a、1bは、通常、電気的に接地されている。
【0007】また、データ処理装置8には、いわゆるパ
ーソナルコンピュータやワークステーションを用いる場
合が多い。これにより、データ処理装置8は、データ収
集や装置の制御に関するソフトウエアと組合せて、ユー
ザーインタフェースとしても利用される。すなわち、測
定者がデータ処理装置8に入力した分析に関するパラメ
ータや、データ処理装置8に付随して設置されるハード
ディスクなどの記録装置に入力されている装置制御プロ
グラムなどからの信号が、信号ライン60bにより電源
などに送られ、装置の制御に用いられる。
【0008】イオン生成法には、質量分析器の内部でイ
オンを生成する方法と、外部でイオンを生成した後に質
量分析器の内部に導入する方法とに大別できる。前者の
代表的な例として、図8に示した電子衝撃イオン化法が
挙げられる。試料ガスを質量分析器に導入し、質量分析
器の外部に配置された電子銃から電子ビームを質量分析
器に入射させ、電子と試料との衝突によりイオンを生成
する。また、後者は主に溶液中に含まれる試料を分析す
る場合に用いられ、大気圧下でイオンを生成する大気圧
イオン化法がその代表例である。生成されたイオンは、
質量分析器が配置される真空容器に細孔を介して導か
れ、さらに質量分析器の内部に導入される。
【0009】イオントラップ型の質量分析器は、タンデ
ム質量分析法を簡便に行うことができる利点を持つ。タ
ンデム質量分析法では、まずイオン源で生成された種々
のイオンの中で、特に興味の対象となるイオン(これを
プリカーサーイオンと呼ぶ)を選別する。その後、プリ
カーサーイオンを解裂させ、解裂で得られたイオン(こ
れをフラグメントイオンと呼ぶ)を質量分析する方法で
ある。タンデム質量分析法は有機高分子試料の構造解析
に有効であるほか、分析上問題となるクラスターイオン
などを除去する目的で用いられる。
【0010】上記タンデム質量分析法は、代表的には以
下の4つのステップを用いて実施される。
【0011】第1のステップでは、質量分析器の内部に
イオンを蓄積する。リング電極2に高周波電源3により
高周波を印加し、質量分析器の内部にイオン閉じ込め特
性を有する振動電界を形成する。イオン源で生成したイ
オンを、この電界により捕捉する。
【0012】第2のステップでは、蓄積したイオンの中
で測定対象とするイオンを選択する。このステップはア
イソレーションと呼ばれる。質量分析器のイオン閉じ込
め条件を変化させ、興味の対象となるプリカーサーイオ
ンを残して、他のイオン種を排出する。
【0013】第3のステップでは、プリカーサーイオン
を解裂させ、フラグメントイオンを生成する。イオン
は、そのm/zにより共鳴し易い周波数を有する。この
周波数と等しいか、あるいはごく近い周波数の共鳴信号
を、共鳴信号電源12によりエンドキャップ電極(1
a、1b)間に印加すると、イオンの運動エネルギは共
鳴現象により高くなる。質量分析器の内部にはあらかじ
めヘリウムなどのガスが導入されているので、プリカー
サーイオンはガスと衝突することで解裂し、フラグメン
トイオンが生成される。この現象は衝突誘起解離(以下
では、CIDと記載する)と呼ばれる。
【0014】図9は、エンドキャップ電極に印加される
信号14の波形を表している。図のように、典型的には
一定振幅(V0)、一定周波数(f0)の正弦波が用いら
れる。印加する周波数は、対象とするイオンのm/zに
よって異なる。
【0015】第4のステップでは、フラグメントイオン
のm/zを決定する。リング電極2に印加する高周波の
振幅を変化させ、質量分析器のイオン閉じ込め条件を調
整することで、フラグメントイオンを質量分析する。
【0016】従って、タンデム質量分析法では、上記の
(1)イオン閉じ込め、(2)アイソレーション、
(3)CID、(4)質量分析のステップを繰り返し行
うことで分析を行う。
【0017】上記のイオントラップ型質量分析器は、ガ
スクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、キャピラリー
電気泳動などの分離手段と組み合わせて用いられる場合
がある。また、プラズマイオン化質量分析計に組み込ま
れ、高感度元素分析装置としても利用されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術におい
て、タンデム質量分析法では、イオンと中性ガスとの多
数回衝突によりイオンの運動エネルギの一部が内部エネ
ルギに変換されて解裂する現象を用いている。従って、
結合エネルギの高いプリカーサーイオンを解裂させるた
めには、イオンの運動エネルギを高くすることが必要で
あるため、振幅の大きな共鳴信号をエンドキャップ電極
に印加する。イオンの運動エネルギは共鳴現象により時
間と共に高くなるので、質量分析器内でのイオンの軌道
は必然的に大きくなり、イオンは中性分子と衝突する機
会が少ないと解裂する以前に失われてしまう(エンドキ
ャップ電極に衝突して電荷が失われるか、またはエンド
キャップ電極に設けられた穴から質量分析器の外部へと
排出される)。従って、結合エネルギの高い試料をタン
デム質量分析法で分析すると、解裂して得られるフラグ
メントイオンの量が少なくなるため、高感度の検出が困
難だった。
【0019】本発明の目的は、イオントラップ型の質量
分析器を用いて結合エネルギの高い試料イオンをタンデ
ム質量分析法にて分析する際に、フラグメントイオンの
生成効率を高めることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の従来技術の問題点
を簡潔に記述すると、以下の様になる。結合エネルギが
高いプリカーサーイオンを解裂させるためには、ある程
度高い運動エネルギでイオンと中性ガスとを衝突させな
ければならないが、運動エネルギを高めるために振幅の
大きな共鳴信号(例えば0.1ボルト)を長時間(たと
えば10ミリ秒)印加し続けると、イオン軌道が大きく
なり過ぎてイオンを質量分析器の内部に保持することが
困難となる。従って、上記課題を解決するには、プリカ
ーサーイオンの運動エネルギが高くなりすぎないように
工夫すればよい。
【0021】本発明では、試料をイオン化する工程と、
生成されたイオンを四重極イオントラップ質量分析器の
内部に捕捉する工程と、捕捉された上記イオンの中から
分析対象イオンを選択する工程と、エンドキャップ電極
間に共鳴信号を印加し上記分析対象イオンを解裂させる
工程と、上記共鳴信号のパラメータ(振幅、周波数、位
相)の少なくとも一つを定められたタイミングで変化さ
せる工程と、上記分析対象イオンが解裂して得られたフ
ラグメントイオンの質量を分析する工程とからなる質量
分析法により、上記課題を解決した。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態を示し、CIDのステップにおいてプリカーサーイオ
ンを解裂させるためにエンドキャップ電極に印加する共
鳴信号14の波形を表す。まず公知例と同様、振幅
0、周波数f0の信号14を用い、プリカーサーイオン
の運動エネルギを共鳴現象により高める。次に、時間t
1において、信号14の位相を反転させる。位相を反転
させた直後においては、信号14はプリカーサーイオン
を減速させる効果を有する。従って、プリカーサーイオ
ンの運動エネルギは徐々に失われほぼゼロになるが、さ
らに時間が経過すると再び共鳴により加速される。プリ
カーサーイオンの運動エネルギが共鳴により高くなって
質量分析器から排出されるより前に、時刻t2において
信号の位相を再び反転させる。
【0023】この様に、あらかじめ定められたタイミン
グにエンドキャップ電極間に印加される共鳴信号14の
位相を反転させることで、プリカーサーイオンの運動エ
ネルギの上限を設定することができる。従って、プリカ
ーサーイオンの運動エネルギが共鳴により高くなりすぎ
て、イオントラップ質量分析器の内部から失われる現象
を防ぐことができる。プリカーサーイオンがイオントラ
ップ質量分析器の内部に留まれば、中性ガスとの衝突に
より解離する確率が高まり、結果としてフラグメントイ
オンの生成効率が高まる。これにより、高感度で分析す
ることができるようになった。
【0024】図1では共鳴信号の位相を反転させる方法
を記載したが、必ずしも反転させる必要はなく、図2に
示すように、信号14の位相を時刻t1やt2において任
意に変化させてもよい。位相が所定の値から変わること
で、プリカーサーイオンは共鳴条件から一時的に外れて
減速されるので、プリカーサーイオンの運動エネルギが
連続的に高くなることを防止できる。
【0025】図3は、本発明の第2の実施の形態を示す
図である。本実施例においては、時刻t1において共鳴
信号14の振幅をV0からV1へと小さくする。V1はゼ
ロでもよい。プリカーサーイオンは中性ガスとの衝突に
より運動エネルギが失われるので、再び共鳴信号14の
振幅が大きくなる時刻t2までの間は減速される。
【0026】共鳴信号の振幅は、必ずしも強弱を交互に
繰り返さなくともよい。図4に示すように、ある時刻t
1までは大きな振幅(V0)の共鳴信号14を印加してプ
リカーサーイオンのエネルギを高めた後、次第に振幅を
小さく(V1)なるように設定する。時刻t2以降、プリ
カーサーイオンは共鳴信号14により弱く加速されるの
と同時に、衝突ガスとの衝突により減速されるので、振
幅V1の値を調節することで、プリカーサーイオンのエ
ネルギをある平衡状態に保つことができる。この様にす
ることで、プリカーサーイオンが不必要に加速され質量
分析器の内部に保持できなくなる現象を防止できる。
【0027】図5は、本発明の第3の実施の形態を示す
図である。本実施例では、共鳴信号14の周波数を時刻
1においてf0からf1へと変化させる。このように、
共鳴信号14の周波数をプリカーサーイオンの共鳴条件
から一時的にずらすことにより、時刻t1とt2の間はプ
リカーサーイオンが加速されないようにできる。同時
に、時刻t1とt2の間では、プリカーサーイオンは衝突
ガスとの衝突により運動エネルギが減少するので、時刻
2において再び信号14の周波数を共鳴条件のf0に戻
すことで加速する。
【0028】上記をまとめると、本発明はV=V0co
s(ωt+φ)で記述されるCID用の共鳴信号におい
て、信号を特徴づけるパラメータ(振幅V0、角周波数
ω、位相φ)の少なくとも一つを、定められたタイミン
グにおいて変化させることを特徴とする。上記の実施例
では共鳴信号として正弦波を用いたが、三角波やノコギ
リ波、矩形波など、正弦波とは異なる一定周期で振動す
る波形を用いた場合でも同様で、信号の振幅、繰り返し
周期、位相の少なくとも一つを定められたタイミングに
おいて変化させればよい。
【0029】このようにすることで、プリカーサーイオ
ンの運動エネルギが高くなりすぎて質量分析器から失わ
れる現象を防止でき、ひいてはフラグメントイオンの生
成効率を高めることができるため、結合エネルギの高い
試料でも高感度で分析できるようになった。
【0030】共鳴信号の初期振幅V0やパラメータを変
化させるタイミング(t1、t2)などは、質量分析器に
導入される衝突ガスの圧力等の分析条件により大きく変
わるため一概に規定できないが、一例としてはV0
0.3ボルト、パラメータを変化させるタイミングを2
ミリ秒毎とすることで効率よくフラグメントイオンを生
成することができた。
【0031】本発明は、液体クトマトグラフ/質量分析
計(以下では、LC/MSと記載する)やプラズマイオ
ン源質量分析計(以下では、プラズマMSと記載する)
においても有効である。参考のために、LC/MSやプ
ラズマMSの代表的な装置構成を以下に示す。
【0032】LC/MSは分離に優れた液体クロマトグ
ラフと物質の同定に優れた質量分析計とを結合した装置
で、液相の混合物の分析が必要な環境や生体関連分野に
おいてよく用いられている。
【0033】図6は、LC/MSにおいて本発明を実施
するための装置の構成を示す図である。移動相溶媒槽1
5の移動相は液体クロマトグラフポンプ16により、配
管17を介して分離カラム18へと送られる。混合物試
料は、インジェクタ19から導入され、移動相とともに
分離カラム18へと送られる。混合物試料は、分離カラ
ムに充填された充填材との相互作用により、成分別に分
離された後、イオン源に導入される。
【0034】イオン源には様々なタイプがあるが、代表
的な例として静電噴霧法について説明する。分離された
試料は、金属管20に導入される。金属管20と、金属
管20に対向して配置される対向電極21との間に、高
圧電源22により数キロボルトの高電圧を印加すると、
金属管20の末端から対向電極21方向に静電噴霧が発
生する。安定に静電噴霧を持続できる溶液流量は毎分数
マイクロリットル程度であるが、液体クロマトグラフの
溶液流量は毎分1ミリリットル程度である。
【0035】そこで、金属管20の外部から、噴霧用ガ
ス供給管23を用いて噴霧用ガスを流し、ガスにより静
電噴霧を補助する。静電噴霧により生成された液滴中に
は試料分子に関するイオンが含まれているので、この液
滴を乾燥させることによりガス状のイオンが得られる。
この様にして生成されたイオンは、対向電極21に開口
するイオン導入細孔24a、排気系10aにより排気さ
れた差動排気部25、イオン導入細孔24bを介して排
気系10bにより排気された真空部11に導入される。
対向電極21には、ドリフト電圧電源26により電圧を
印加する。
【0036】ドリフト電圧には、差動排気部25に取り
込まれたイオンを第2のイオン導入細孔24bの方向に
ドリフトさせることでイオン導入細孔24bのイオン透
過率を向上させる効果のほかに、差動排気部25に残留
しているガス分子とイオンとを衝突させることでイオン
に付着している水などの溶媒分子を脱離させる効果があ
る。細孔付電極27には加速電圧電源28により加速電
圧を印加する。この加速電圧は、イオンがエンドキャッ
プ電極1aに設けられた開口部を通過する際のエネルギ
(入射エネルギ)に影響する。
【0037】イオントラップ質量分析部のイオン閉じ込
め効率は、イオンの入射エネルギに依存するので、閉じ
込め効率が高くなるように加速電圧を設定する。真空部
11に導入されたイオンは、イオン集束レンズ29によ
り収束された後、イオントラップ型の質量分析部に導入
される。イオン収束レンズ29を構成する電極には、電
源(図示せず)により、それぞれ所定の電圧が印加され
る。質量分析部には、ガス供給器5からガス導入管4を
介してヘリウムなどの衝突ガスが導入される。
【0038】質量分析されて質量分析部の外に排出され
たイオンは、変換電極30、シンチレータ31、フォト
マルチプライヤ32で構成される検出器により検出され
る。イオンは、変換電極電源33によりイオンを加速す
る電圧が印加された変換電極30に衝突する。イオンと
変換電極30の衝突により、変換電極30の表面より荷
電粒子が放出される。この荷電粒子をシンチレータ31
により検知し、信号をフォトマルチプライヤ32で増幅
する。検出された信号は、信号ライン60aを介してデ
ータ処理装置8に送られる。
【0039】図7は、元素分析に用いられるプラズマM
Sにおいて本発明を実施するための構成を示す図であ
る。プラズマ発生手段としてマイクロ波誘導結合を用い
る例を示す。試料溶液は霧化部において細かい霧になっ
た後、噴霧用ガスとともにトーチ35に送られる。イオ
ン源は内導体36と外導体37で構成され、トーチ35
は保持部38を用いて内導体36に取り付けられる。イ
オン源にはトーチ35を介して、プラズマ発生用のプラ
ズマガスが導入される。イオン源には、さらに、マイク
ロ波発生部からマイクロ波伝送回路(導波管など)を介
してマイクロ波電力が送られる。このマイクロ波電力に
より、内導体36と外導体37とのギャップに強い電界
が生じ、プラズマガスが電離してプラズマ39が生成さ
れる。
【0040】試料溶液から生成された細かい液滴は、プ
ラズマ39に導入され、プラズマの高温に曝される。液
滴は短時間に気化し、液滴中に含まれていた物質は原子
化されて、さらにイオン化される。この様にして生成さ
れた試料物質に関するイオンは、イオン導入細孔24
a、排気系10aで排気された差動排気部25、イオン
導入細孔24bを介して、排気系10bで排気された高
真空部11に取り込まれる。高真空部11に取り込まれ
たイオンは、イオン収束レンズ29で軌道収束された
後、偏向器40により軌道を偏向された後、質量分析器
に送られる。
【0041】イオン収束レンズ29や偏向器40を構成
する電極には、電源(図示せず)によりそれぞれ所定の
電圧が印加される。質量別に選択されたイオンは、検出
器7で検出され、検出された信号は、信号ライン60a
を介してデータ処理装置8に送られ処理される。
【0042】LC/MSでは有機高分子の構造解析を行
う際にタンデム質量分析法を用いる。また、プラズマM
Sでは測定の妨害となる酸化物イオン(BaO+など)
や水酸化物イオン(BaOH+など)を解裂させる手段
としてタンデム質量分析法を用いる。
【0043】図6に示したLC/MSや図7に示したプ
ラズマMSにおいても、図1から図5に示した本発明は
有効である。プリカーサーイオンが不必要に加速されイ
オントラップ質量分析器から失われる現象を防ぐことが
でき、フラグメントイオンの生成効率を高めることがで
きる。
【0044】図1から図5に示した様な複雑な波形を発
生させるためには、データ処理装置8に付随する制御ソ
フトウエアにおいて計算により波形を決定すると処理が
遅くなる恐れがある。そこで、図6や図7に示したよう
に、共鳴信号電源12に付随して、波形発生回路50を
用いるとよい。波形発生機能を有する半導体チップ(I
CまたはLSI)が市販されているので、このような半
導体チップを用いると波形発生回路50を容易に構築で
きる。波形発生回路50を用いれば、データ処理装置8
から信号ライン60bを介して送られてくる、操作者の
入力情報や制御プログラムに基づく信号に応じて、共鳴
信号として用いる複雑な波形を、測定上問題の無い程度
の時間で発生させることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、プリカーサーイオンが
質量分析器から失われるのを防ぐことができるので、フ
ラグメントイオンの生成効率を高めることができる。従
って、四重極イオントラップ型の質量分析器を有する質
量分析計を用いてタンデム質量分析法を実施する際に高
感度で質量スペクトルを取得することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、位相を反転させる実施例の共
鳴信号の波形図。
【図2】本発明において、位相を変化させる実施例の共
鳴信号の波形図。
【図3】本発明において、振幅を変化させる実施例の共
鳴信号の波形図。
【図4】本発明において、振幅を小さくさせる実施例の
共鳴信号の波形図。
【図5】本発明において、周波数を変化させる実施例の
共鳴信号の波形図。
【図6】本発明の一実施例の液体クロマトグラフ/質量
分析計を示す概略断面図。
【図7】本発明の一実施例のプラズマイオン源質量分析
計を示す概略断面図。
【図8】従来のイオントラップ型質量分析器を有する質
量分析計の概略断面図。
【図9】従来例におけるエンドキャップ電極に印加する
共鳴電圧の波形図。
【符号の説明】
1a、1b…エンドキャップ電極、2…リング電極、3
…高周波電源、4…ガス供給管、5…ガス供給器、6…
電子銃、7…検出器、8…データ処理装置、9…ゲート
電極、10…排気系、11…真空領域、12…共鳴信号
電源、13…絶縁リング、14…信号、15…移動相溶
媒槽、16…液体クロマトグラフポンプ、17…配管、
18…分離カラム、19…インジェクタ、20…金属
管、21…対向電極、22…高圧電源、23…噴霧用ガ
ス供給管、24a、24b…イオン導入細孔、25…差
動排気部、26…ドリフト電圧電源、27…細孔付電
極、28…加速電圧電源、29…イオン収束レンズ、3
0…変換電極、31…シンチレータ、32…フォトマル
チプライヤ、33…変換電極電源、34…絶縁部、35
…トーチ、36…内導体、37…外導体、38…保持
部、39…プラズマ、40…偏向器、50…波形発生回
路、60a、60b…信号ライン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂入 実 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5C038 JJ06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料をイオン化するイオン化手段と、上記
    イオン化手段で生成されたイオンの質量を分析する四重
    極イオントラップ質量分析器と、前記四重極質量分析器
    を構成するエンドキャップ電極に信号を印加するための
    信号印加手段と、前記信号印加手段が発生する前記信号
    の波形を定める波形発生手段とからなる質量分析計であ
    って、前記波形発生手段により前記信号のパラメータ
    (振幅、周波数、位相)の少なくとも一つを定められた
    タイミングで変化させることを特徴とする質量分析計。
  2. 【請求項2】試料をイオン化する工程と、リング状電極
    と2つのエンドキャップ電極とで構成される四重極イオ
    ントラップ質量分析器にイオンを捕捉する工程と、捕捉
    された上記イオンの中から着目するイオンを選択する工
    程と、前記2枚のエンドキャップ電極の間に共鳴信号を
    印加し前記着目するイオンを解裂させる工程と、前記信
    号のパラメータ(振幅、周波数、位相)の少なくとも一
    つを定められたタイミングで変化させる工程と、前記着
    目するイオンが解裂して得られたフラグメントイオンを
    分析する工程からなることを特徴とする分析法。
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