JP2000111526A - 質量分析計 - Google Patents

質量分析計

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JP2000111526A
JP2000111526A JP10278472A JP27847298A JP2000111526A JP 2000111526 A JP2000111526 A JP 2000111526A JP 10278472 A JP10278472 A JP 10278472A JP 27847298 A JP27847298 A JP 27847298A JP 2000111526 A JP2000111526 A JP 2000111526A
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Yasuaki Takada
安章 高田
Takayuki Nabeshima
貴之 鍋島
Yuichiro Hashimoto
雄一郎 橋本
Minoru Sakairi
実 坂入
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Hitachi Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons
    • H01J49/4205Device types
    • H01J49/424Three-dimensional ion traps, i.e. comprising end-cap and ring electrodes

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 未知の混合物試料を、一連の測定操作により
高速で計測することが可能で、操作者の手間を低減する
ことの可能な質量分析計を提供する。 【解決手段】 混合物試料を液体クロマトグラフ1によ
り分離して導入する試料を分析する質量分析計であっ
て、分離された試料をイオン源7によりイオン化し、こ
の生成した試料のイオンをイオン導入細孔14a、14
bから取り込んで当該イオンを質量分析部により分析す
るが、この質量分析部をイオントラップ型の質量分析を
行うイオントラップ型質量分析部により構成すると共
に、さらに、制御装置41により、分離されて導入され
る試料を、前記イオントラップ型質量分析部により、正
イオン計測と負イオン計測との一連の測定操作により特
定する。または、計測の最初に行われる正イオン計測、
負イオン計測、判別により、試料の極性を自動的に選択
・設定し、高速で高精度の計測を可能とし、かつ、操作
者の手間を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液相中に混合物と
して存在する、様々な化学的性質を有する物質(試料)
を分析する質量分析計に関し、特に、その質量分析部に
四重極イオントラップ型の質量分析計を採用して試料を
一度に分析することが可能な質量分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、分析の分野では、混合物の分析技
術の確立が求められている。これは、例えば、環境中の
有害物質を分析する場合において、採取した試料(例え
ば、湖沼の水)の中には様々な物質が含まれている。ま
た、生体関連物質の分析においても同様である。さら
に、血液や尿といった生体由来の試料中には、様々な物
質が含まれている。このように、環境関連物質や生体関
連物質の分析には、混合物を扱える技術が必須であり、
かかる混合物試料を一度に分析することが可能な質量分
析計が求められている。
【0003】しかしながら、上記の混合物を直接分析す
ることは、一般に、困難である。このため、混合物を分
離する過程を経た後に、各々の成分を検出し、もって、
混合物の各成分を同定することが行われる。この様な状
況の中では、混合物の各成分への分離に優れた液体クロ
マトグラフと、物質の同定に優れた質量分析計とを結合
した装置である、所謂、液体クロマトグラフ/質量分析
計(以下、LC/MSと記載する)は、上述の環境や生
体関連物質である混合物試料の分析に大変有効である。
【0004】ところで、従来、静電噴霧法等を用いて試
料をイオン化し、生成したて試料イオンを、いわゆる、
イオントラップ型質量分析部と呼ばれる質量分析部によ
り分析する質量分析計は、例えばアナリティカル ケミ
ストリー、1991年、63巻、375頁に開示されて
いる。また、かかるイオントラップ質量分析部の動作原
理については、例えば米国特許第4,540,884号
等により、既に開示されている。
【0005】また、一方、液体クロマトグラフ/質量分
析計を用いて、例えば、有機物質などの試料を、一回の
分析で感度良く分析することは、例えば、特開平05−
275053号公報、「LC/API質量分析方法」等
により既に知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる分析
計では、測定する混合物試料により、イオン源において
正イオンあるいは負イオンに変換される効率(イオン化
効率)が異なる。例えば、酸性ペプチドは負イオンを生
成し易く、また、塩基性ペプチドは正イオンを生成し易
い。このため、酸性ペプチドを分析するためには、質量
分析計の動作を負イオン検出モードに、他方、塩基性ペ
プチドを分析するためには正イオン検出モードにするこ
とにより、感度良く分析することができる。
【0007】しかしながら、上記従来のLC/MSで
は、検出するイオンの極性は分析に先立って決定してお
かなければなず、そのため、未知の物質の分析を行う場
合には、操作者は、まず、正または負イオンの一方の極
性による検出を試み、これにより満足できる結果が得ら
れない場合には、改めて逆の極性を試みるといった、二
重の手間が必要であった。
【0008】これに対して、試料の正イオンと負イオン
とを一度の測定操作で分析する方法については、上記特
開平05−275053号公報に記載されているが、し
かしながら、この従来技術では、その質量分析部とし
て、磁場型、あるいは、四重極型の質量分析計が用いら
れている。そのため、かかる従来技術には、以下のよう
な問題点があった。
【0009】すなわち、磁場型や四重極型の質量分析部
では、分析する質量範囲や要求される質量分解能などに
もよるが、一般に、1つの質量スペクトルを取得するの
に4〜5秒を要する。従って、上記の分析計で正イオン
計測と負イオン計測を切り替えて一度づつ行うと、少な
くとも10秒程度の時間が必要である。そのため、試料
の液体クロマトグラフから送られてくる時間幅が十分
(例えば、数分程度)である場合には、上記のような1
0秒ごとに計測する上記従来技術になる分析方法や装置
でも問題はなかった。
【0010】しかしながら、特に、上記の環境関連物質
や生体関連物質の分析では、混合物を分離する液体クロ
マトグラフから質量分析される試料が送られてくるこの
時間幅は、その分離条件等によっても異なるが、1分以
内になる場合も多い。そのため、かかる試料の場合、質
量分析により得られるマスクロマトグラムを用いて定量
分析を行う際に測定点が少な過ぎ、そのため、測定精度
が低下してしまうと言う課題が生じていた。かかる課題
は、キャピラリー電気泳動等、特に、液相の試料の分離
を高速で行うLCを備えた質量分析計では著しく、その
ため、上記従来技術の特開平05−275053号公報
に記載された質量分析方法や装置は、必ずしも、高速で
試料の計測を行うことの可能な質量分析装置には適して
いないという問題点があった。
【0011】そこで、本発明では、上記の従来技術にお
ける問題点に鑑み、上記のような高速で試料を分離が可
能な液体クロマトグラフ(LC)を用いた場合にも測定
精度の低下を生じることなく、もって、環境関連物質や
生体関連物質を含む様々な化学的性質を有する混合物試
料を、操作者の手間を低減すると共に、高速で計測する
ことが可能な質量分析計を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的を達成するため、まず、混合物試料を液相で分離す
る分離部において分離されて導入される試料を分析する
質量分析計であって、該分離部で分離された試料をイオ
ン化するためのイオン化手段と、該イオン化手段で生成
した該試料に関するイオンを真空中に取り込むためのイ
オン導入細孔と、該イオン導入細孔から導入された該イ
オンを分析するための質量分析部とを備えたものにおい
て、前記質量分析部をイオントラップ型の質量分析を行
うイオントラップ型質量分析部により構成すると共に、
さらに、前記分離部から導入される試料を、前記イオン
トラップ型質量分析部により、正イオン計測と負イオン
計測との一連の測定操作により特定する手段を備えた質
量分析計が提供される。
【0013】なお、本発明によれば、前記の質量分析計
において、前記イオントラップ型質量分析部は、該イオ
ン導入細孔から導入された該イオンを閉じ込める空間を
形成する電極を備えているものである。また、本発明に
よれば、前記イオン化手段に分離された試料を導入する
前記分離部は、分析対象である混合物試料を液相で分離
して送る時間幅が1分以下の高速分離手段であり、例え
ば、液体クロマトグラフ、又は、キャピラリー電気泳動
による分離手段である。
【0014】本発明によれば、上記の目的を達成するた
め、上記の発明に加え、さらに、分離されて導入される
混合物試料を分析する質量分析計であって、分離された
試料をイオン化するためのイオン化手段と、該イオン化
手段で生成した該試料に関するイオンを真空中に取り込
むためのイオン導入細孔と、該イオン導入細孔から導入
された該イオンを分析するための質量分析部とを備えた
ものにおいて、さらに、前記質量分析部による計測動作
の最初の部分において、正イオン計測と負イオン計測と
の計測を行ない、その計測結果に基づいて続くる計測動
作の極性を設定する制御装置を備えた質量分析計が提供
される。
【0015】そして、本発明によれば、前記制御装置
は、前記計測動作の最初の部分の正イオン計測と負イオ
ン計測との計測と、その計測結果に基づいて続くる計測
動作の極性を設定とを、所定の期間において、繰り返し
て行うものであってもよい。さらに、前記質量分析部を
イオントラップ型の質量分析を行うイオントラップ型質
量分析部により構成し、また、前記イオン化手段へ導入
される分離してイオン化された試料を供給する手段とし
て、液体クロマトグラフ、あるいは、キャピラリー電気
泳動による手段を使用することも可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付の図面を参照しながらその詳細を説明する。
【0017】まず、図4には、イオントラップ型の質量
分析部を有する質量分析計を用いた本発明の一実施の形
態になる質量分析装置が示されている。図において、液
体クロマトグラフ1は、送液ポンプ2、移動相溶媒槽
3、サンプルインジェクタ4、分離カラム5及び配管6
で構成される。また、移動相溶媒は、上記送液ポンプ2
により一定流量で分離カラム5に送られる。他方、混合
物試料は、送液ポンプ2と分離カラム5との間に配置さ
れたサンプルインジェクタ4より導入される。そして、
分離カラム5に到達した試料は、分離カラム5内に充填
された充填材との相互作用により分離される。なお、か
かる液体クロマトグラフ1により分離された試料は、上
記移動相溶媒と共に、以下に説明するイオン源7に導入
される。
【0018】イオン源には様々なタイプがあるが、本実
施の形態では、その代表的な例として、静電噴霧法につ
いて説明する。この静電噴霧法によるイオン源7に到達
した試料は、コネクタ8を介して金属管9に導入され
る。この金属管9と、金属管9に対向して配置される電
極10との間に、例えば、高圧電源11により数キロボ
ルトの高電圧を印加すると、上記金属管9aの末端から
その対向電極10への方向に沿って静電噴霧が発生す
る。なお、これにより安定に静電噴霧を持続できる溶液
流量は、毎分数マイクロリットル程度である。しかしな
がら、一方、上記液体クロマトグラフ1から、このイオ
ン源7に送られてくる溶液流量は、毎分1ミリリットル
程度である。そこで、この金属管9の外部から、ガス供
給管12より供給される噴霧用ガス13を流し、このガ
スにより静電噴霧を補助する。
【0019】なお、上記の静電噴霧により生成された液
滴中には、試料分子に関するイオンが含まれている。そ
こで、この液滴を乾燥させることにより、ガス状のイオ
ンが得られる。この様にして生成されたイオンは、対向
電極10に開口するイオン導入細孔14a、排気系15
aにより排気された差動排気部16、イオン導入細孔1
4bを介して、排気系15bにより排気された真空部1
7に導入される。この真空部17に導入されたイオン
は、電極18a、18b、18cで構成されるイオン集
束レンズにより収束された後、所謂、イオントラップ型
の質量分析部に導入される。また、ゲート電極21は、
イオントラップ質量分析部へのイオンの入射を制御する
ために設けられる。
【0020】次に、イオントラップ質量分析部の動作原
理について説明する。所謂、イオントラップ質量分析部
は、エンドキャップ電極19a、19b及びリング電極
20により構成される。図5は、上記イオントラップ質
量分析部において、1回の質量スペクトルを取得する間
の、正イオンを計測する場合におけるリング電極20に
印加される高周波電圧の振幅、及び、ゲート電極21に
印加される電圧の時間的な変化(制御波形)を示す。
【0021】すなわち、イオントラップ質量分析計で
は、まず、イオン蓄積区間101において、リング電極
20に高周波電圧を印加し、リング電極20及びエンド
キャップ電極19a、19bで囲まれた空間に、イオン
閉じ込めのためのポテンシャルを形成する。例えば、正
イオンを分析する場合には、図に示した様に、イオンが
ゲート電圧21を通過できるよう、ゲート電極21に印
加する電圧を下げる。これにより真空部17に取り込ま
れたイオンは、その後、集束レンズにより収束され、エ
ンドキャップ電極19aの開口部から、上記リング電極
20及びエンドキャップ電極19a、19bで囲まれた
空間に入射する。なお、このリング電極20及びエンド
キャップ電極19a、19bで囲まれた空間には、例え
ばヘリウムなどの衝突ガスが導入されており、1ミリト
ール程度の圧力に保たれる。すなわち、イオンは衝突ガ
ス分子と衝突することでエネルギーを失い、リング電極
20及びエンドキャップ電極19a、19bで囲まれた
空間に形成された閉じ込めポテンシャルに閉じ込められ
る。
【0022】次に、スキャン区間102では、ゲート電
極21に印加する電圧を高くし、イオンがゲート電極2
1を通過できないように設定する(offの状態)。リ
ング電極20に印加する高周波電圧の振幅を徐々に高く
することにより、イオンの質量をイオンの電荷で割った
値(以下、これをm/zと記載する)の小さいものから
順に、順次その軌道が不安定になり、そして、エンドキ
ャップ電極19a、19bに設けられた開口部から質量
分析部の外部に排出される。なお、この排出されたイオ
ンはイオン検出器22により検出され、検出された信号
は、信号ライン23を介してデータ処理装置24に送ら
れ処理される。
【0023】その後、上記スキャン区間102終了後
は、リング電極20に印加する電圧を切り、イオン閉じ
込めポテンシャルを消失させることで、質量分析部内に
残留するイオンを除去する(残留イオン除去区間10
3)。そして、イオントラップ質量分析計では、このよ
うな一連の操作(イオン蓄積101、スキャン102、
残留イオン除去103)を繰り返し行うことにより、液
体クロマトグラフ1から順に送られてくる試料を、上記
m/zの小さいイオンから順に質量分析を行い、もって
高速で様々な物質が含まれる混合物試料の成分を同定す
ることができる。
【0024】さらに、添付の図1には、上記図4に示し
たイオントラップ型の質量分析部を有する質量分析計の
構成に加え、さらに、その制御系の構成をも含めた構成
を示す。すなわち、上記サンプルインジェクタ4には、
自動的に試料を導入するためのオートサンプラ25が接
続されている。なお、このオートサンプラ25にセット
された試料は、サンプルインジェクタ4から分離カラム
5に送られ、分離される。そして、この分離された試料
は、移動相溶媒と共にイオン源7に導入されることは、
上記と同様である。また、イオン源7に到達した試料
は、やはり、上記コネクタ8を介して金属管9に導入さ
れ、金属管9には、高圧電源11により高電圧を印加す
ることで、静電噴霧を発生させることも同様である。
【0025】そして、上記静電噴霧によるイオン化によ
り生成されたイオンは、対向電極10に開口する第1の
イオン導入細孔14a、排気系15により排気された差
動排気部16、細孔付電極26に開口する第二のイオン
導入細孔14bを介して、排気系15bにより排気され
た真空部17に導入される。なお、この対向電極10に
は、ドリフト電圧電源27により電圧を印加する。この
ドリフト電圧には、差動排気部16に取り込まれたイオ
ンを第二のイオン導入細孔14bの方向にドリフトさせ
ることで、イオン導入細孔14bのイオン透過率を向上
させる効果に加え、さらに、上記差動排気部16に残留
しているガス分子とイオンとを衝突させることで、イオ
ンに付着している水などの溶媒分子を脱離させる効果を
有する。
【0026】また、上記細孔付電極26には、加速電圧
電源28により加速電圧を印加する。この加速電圧は、
イオンがエンドキャップ電極19aに設けられた開口部
を通過する際のエネルギー(入射エネルギー)に影響す
る。すなわち、イオントラップ質量分析部のイオン閉じ
込め効率は、このイオンの入射エネルギーに依存するの
で、閉じ込め効率が高くなるように加速電圧を設定す
る。
【0027】更に、真空部17に導入されたイオンは、
電極18a、18b、18cで構成きれるイオン集束レ
ンズにより収束された後、リング状のゲート電極21を
通って上記イオントラップ型の質量分析部に導入され
る。そして、上述したように、この質量分析部には、ガ
ス供給器29から、ガス導入管30を介して、ヘリウム
などの衝突ガスが導入されている。なお、エンドギャッ
プ電極19a、19bとリング電極20の間の絶縁は、
石英リング31により行う。なお、上記電極18a、1
8b、18cはイオン集束レンズ電源38に接続され、
また、上記ゲート電極21はゲート電極電源39に接続
されている。
【0028】そして、上記のようにして質量分析され、
質量分析部の外に排出されたイオンは、次に、変換電極
33、シンチレータ34、フォトマルチプライヤ35等
により構成される検出器により検出される。すなわち、
排出イオンは、変換電極電源32によりイオンを加速す
る電圧が印加された変換電極33に衝突する。このイオ
ンと変換電極33の衝突により、変換電極33の表面よ
り荷電粒子が放出される。そして、この荷電粒子をシン
チレータ34により検知し、その検知信号をフォトマル
チプライヤ35で増幅する。なお、これらのシンチレー
タ34とフォトマルチプライヤ35は、各々、シンチレ
ータ電源36とフォトマルチプライヤ電源37に接続さ
れている。そして、検出された信号は上記データ処理装
置24へ送られる。なお、上記の液体クロマトグラフ1
やイオントラップ型質量分析部は、制御部41(図示し
ないが、制御用電源、制御回路、制御ソフトなどを含
む)により制御される。すなわち、図示のように、上記
制御部41は、上記オートサンプラ25、高圧電源1
1、ドリフト電源27、加速電圧電源28、イオン収束
レンズ電源38、ゲート電極電源39、データ処理装置
24、変換電極電源32に接続されており、これらを制
御する。
【0029】次に、上記にその構成を詳述したイオント
ラップ型の質量分析部を有する質量分析計における制御
方法の一例を、添付の図2によって示す。なお、この計
測の制御方法では、正イオン測定と負イオン測定とを交
互に行う方法を採用している。すなわち、図示のよう
に、正イオン計測モードと負イオン計測モードとを交互
に用いることにより、一度の測定で正イオンに関する情
報と負イオンに関する情報とを取得し、もって、環境関
連物質や生体関連物質を含む様々な化学的性質を有する
混合物試料を、操作者の手間を低減すると共に、高速で
計測することを可能にする。
【0030】この制御方法では、図2に示すように、ま
ず、リング電極に印加する高周波の振幅(101から1
03)に同期させ、イオン源のイオン化モード(40
1、402)、イオン光学系のイオン透過モード(30
1、302)、及び、検出器のイオン検出モード(50
1、502)を切り替える。ゲート電極21に印加する
電圧についても、イオンを透過させる区間(201)
と、イオンを遮蔽する区間(202)を交互に設ける
が、印加する電圧の極性はイオン化のモードにより反転
させる。この様に、正イオン分析モードと負イオン分析
モードとを交互に用いることにより、一度の測定操作で
正イオン、負イオンの情報を得ることができるので、未
知試料の分析においても操作者はモードの設定などで煩
わされることなく装置を使うことができる。
【0031】また、その際、上記のイオントラップ型の
質量分析部の採用により、後にも具体的に述べるが、極
性を切り替えながら質量スペクトルを取得するための期
間を、上記従来技術の磁場型や四重極型の質量分析計に
比較して、著しく短くする(例えば、質量スペクトルを
1つ取得するのに、0.2秒程度)ことが可能となるこ
とから、質量分析部へ分離した試料を供給する上記液体
クロマトグラフ1が、例えばキャピラリー電気泳動によ
る、分離供給される試料の時間幅が数秒程度の、いわゆ
る高速分離手段であっても、十分な測定点による高い精
度による分析が可能になる。
【0032】なお、計測するイオンの極性を反転させる
ためには、イオン源、イオン軌道収束レンズなどのイオ
ン光学系、イオン検出器22などに印加される電圧の極
性を反転させなければならない。例えば、上記の静電噴
霧イオン源では、金属管9と対向電極10との間に高電
圧を印加するが、正イオン計測モードでは金属管9に正
の電位を、負イオン計測モードでは金属管9に負の電位
を印加する。同様に、イオン光学系や検出器に印加する
電圧の極性も、計測しようとするイオンの極性に合わせ
て反転しなければならない。
【0033】また、これらの極性を反転させる部分にお
いて、特に、注意が必要なのはイオン源のイオン化モー
ドの切り替えである。上記の静電噴霧イオン源を例に用
いると、正イオン計測モードにおいては金属管9に正の
数キロボルトを印加し、負イオン計測モードにおいて
は、負の数キロボルトを印加する。この金属管9に印加
する電圧の極性を反転した直後は、イオン生成が不安定
になる。なお、この極性を反転してからどの程度の時間
が経過すればイオン生成が安定になるかについては詳細
な研究はなされていないが、これまでの本発明者等の経
験から推測すると、0.05秒程度と思われる。従っ
て、質量スペクトルを取得する一連の操作(イオン蓄積
区間101、スキャン区間102)が終了した後の残留
イオン除去区間103で、上記イオン化モードを切り替
えると、次のイオン蓄積区間101まで、しばらく待た
なければならない。この待ち時間を減らすため、図2に
示すように、スキャン区間102においてイオン源のモ
ードを切り替えても良い。
【0034】さらに、イオン光学系の切り替え、及び、
ゲート電圧の極性反転は、イオン源のイオン化モードの
切り替えと同期させることが好ましいが、しかしなが
ら、前述のように、イオン源のイオン化モードはすぐに
は切り替わらない。そこで、イオン源のイオン化モード
を変換する際には、イオン生成停止区間403を設け、
このイオン生成停止区間403においてイオン光学系の
切り替えやゲート電圧の極性反転を行うことが好まし
い。
【0035】さらに、上記イオン検出器22の電圧は、
イオン蓄積区間101または残留イオン除去区間103
において反転させればよい。これは、イオンの検出は、
上記スキャン区間102において行うためである。な
お、本実施の形態では、上記図2に示したように、イオ
ン検出器22における正イオン検出区間501と負イオ
ン検出区間502とを、交互に設ける。
【0036】以上整理すると、イオン源のモード切り替
え、ゲート電圧やイオン光学系の極性反転は、スキャン
区間102または残留イオン除去区間103で行うこと
ができるが、しかし、これらの切り替えは、同期してい
ることが望ましい。また、イオン検出器22のモード切
り替えは、イオン蓄積区間または残留イオン除去区間1
03で行うことができる。
【0037】ここで、参考のため、正イオン計測モード
と負イオン計測モードにおいて、各々の部分に印加する
電圧の一例を以下に記載する。 (1)正イオン計測モード 金属管(9):3kV 第一細孔の開口する電極(10):60V 第二細孔の開口する電極(26):10V イオン収束レンズ(静電レンズ)の第一の電極(18a):−120V イオン収束レンズ(静電レンズ)の第二の電極(18b):−30V イオン収束レンズ(静電レンズ)の第三の電極(18c):−120V ゲート電極(21、イオン透過時、すなわちonの状態):−60V ゲート電極(21、イオン遮蔽時、すなわちoffの状態):60V 変換電極(33):−5kV シンチレータ(34):10kV フォトマルチプライヤ(35):500V
【0038】 (2)負イオン計測モード 金属管(9):−3kV 第一細孔の開口する電極(10):−60V 第二細孔の開口する電極(26):−10V イオン収束レンズ(静電レンズ)の第一の電極(18a):120V イオン収束レンズ(静電レンズ)の第二の電極(18b):30V イオン収束レンズ(静電レンズ)の第三の電極(18c):120V ゲート電極(21、イオン透過時、すなわちonの状態):60V ゲート電極(21、イオン遮蔽時、すなわちoffの状態):−60V 変換電極(33):2.5kV シンチレータ(34):10kV フォトマルチプライヤ(35):500V
【0039】なお、上記の本実施の形態では、シンチレ
ータ34とフォトマルチプライヤ35には、計測するイ
オンの極性によらずに、同符号の電圧を用いている。何
故なら、シンチレータが主に変換電極33から放出され
た電子を検出しているためである。なお、シンチレータ
34とフォトマルチプライヤ35以外の部分には、基本
的には、極性を反転し絶対値の等しい電圧を印加するこ
とが望ましいが、しかしながら、変換電極33に印加す
る電圧は正・負の計測モードで異なる絶対値の電圧を用
いると良い。
【0040】これは、負イオン計測において、変換電極
33により高い電圧(例えば5kV)を印加すると、変
換電極33とシンチレータとの間の電位差が少なくな
り、変換電極33から放出された電子が効率良くシンチ
レータ34に到達しなくなることによる。そして、この
様な状態では、変換電極33に印加する電圧を高くして
いくと、実効的な検出感度が低下するという現象が起き
る。そこで、このような現象を防ぐためには、上記実施
の形態に記載したように、正・負の計測モードで異なる
絶対値の電圧(最適電圧は電極の形状や配置関係などの
影響を受けるので、印加電圧を決定する際には、実験に
より最適値を求めると良い)を変換電極33に印加する
か、または、変換電極33とシンチレータ34との間の
電位差が小さくならないよう、変換電極33に印加する
電圧に応じてシンチレータ34の電圧も変えればよい。
【0041】ところで、一般に、イオントラップ質量分
析部による計測時間は、イオン蓄積区間101が0.1
秒程度、質量分析区間102は0.1秒程度、そして、
残留イオン除去区間103は0.01秒程度である。こ
のため、イオントラップ質量分析部によって、質量スペ
クトルを1つ取得するのに要する時間は、約0.2秒程
度である。そのため、イオントラップ質量分析部からな
る質量分析部により正イオン計測と負イオン計測とを交
互に行ったとしても、約0.4秒あれば、正・負の両方
の極性のスペクトルを得ることができる。これは、高速
の液体クロマトグラフなどの分離手段から試料が送られ
てくる時間幅(一般的には、液体クロマトグラフの場合
で約1分、キヤピラリー電気泳動の場合で約数秒)に比
べて十分に短い。そのため、正・負の両極性を計測した
としても、実用上十分な時間間隔で質量スペクトルを収
集することができる。
【0042】また、正イオン計測・負イオン計測の切り
替えは、上述のように1つの質量スペクトルを取得する
毎に行うだけではなく、2つあるいはそれ以上のスペク
トルを取得してから切り替えるようにしても良い。例え
ば、正イオン計測モードにおいて5つのスペクトルを取
得し、その後、これを切り替えて、負イオン計測モード
において5つのスペクトルを取得したとしても、正イオ
ン計測・負イオン計測を1シリーズ行うのに要する時間
は約2秒程度であり、上記した液体クロマトグラフ1か
ら試料が送られてくる時間幅から判断しても、十分に高
精度の分析が可能である。
【0043】また、試料によっては、正イオン計測モー
ドにおいてプロトン付加した正イオン((M+H)+、 M
は試料分子、Hはプロトンを表す)として検出され、ま
た、負イオン計測モードにおいては、プロトン脱離した
負イオン((M−H)-)として検出されるものがある。
従って、試料の分子量を決定する場合において、両方の
極性の質量スペクトルを比較することは有用である。す
なわち、正イオン計測で得られた質量スペクトルと、負
イオン計測で得られた質量スペクトルとを比較し、イオ
ンの分子量が2原子質量単位だけずれて測定された場合
には、正イオン計測と負イオン計測とで測定された分子
量の中間が試料の真の分子量である。
【0044】なお、上記の本実施の形態では、その一例
として静電噴霧イオン化を用いた方法を記載したが、本
発明はかかるイオン化法によらずに有効である。例え
ば、いわゆる大気圧化学イオン化(コロナ放電利用タイ
プ)、大気圧スプレーイオン化(加熱噴霧利用タイ
プ)、ソニックスプレーイオン化(高速ガス流利用タイ
プ)を用いることができる。これは、これらのイオン化
方法を用いると、静電噴霧イオン化と同様に、生体物質
のプロトン付加した正イオンや、プロトン脱離した負イ
オンを生成できるので、試料の性質によって正イオン計
測を行う場合と負イオン計測を行う場合があるためであ
る。
【0045】上記の静電噴霧イオン化、大気圧化学イオ
ン化、大気圧スプレーイオン化、ソニックスプレーイオ
ン化は、当該技術分野では大気圧イオン化として総称さ
れる。しかしながら、このイオン源の配置される部分の
圧力は、必ずしも、大気圧でなくとも良い。例えば、静
電噴霧イオン化の例では、金属管9に高電圧を印如した
際に、金属管9と対向電極10との間に静電噴霧イオン
化現象を妨げる放電現象が起きない程度の圧力の範囲で
用いることができる。すなわち、イオン源は、各々のイ
オン化法におけるイオン生成のメカニスムが損なわれな
い範囲の圧力になるような位置に配置すればよい。
【0046】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、添付の図3を用いて説明する。上記第1の実施の形
態では、その質量分析部において、正イオン計測と負イ
オン計測とを交互に行うことで、正イオンの質量スペク
トルと負イオンの質量スペクトルとを、一度の測定操作
で取得する方法を実現する質量分析装置について述べ
た。しかしながら、本発明では、必ずしも、常に正イオ
ン計測と負イオン計測とを交互に行う必要はない。
【0047】すなわち、この未知試料の分析において試
料の特性が分からない場合、分析開始時の所定の期間だ
け、上記の第2の実施の形態では、第1の実施の形態に
示したと同様に、正イオン計測と負イオン計測とを交互
に行うことで、どちらの極性による計測が適しているか
を判断するものである。すなわち、この正イオン計測と
負イオン計測を実施して得られた結果を比較することに
より、目的とする試料に対し正・負イオン計測のどちら
が適しているかを判定し、これが判明した場合に、その
後の測定を、上記目的の試料の分析ができる適切な極性
に選択して設定するものである。
【0048】図3(a)は、上記の第2の実施の形態に
おけるイオン極性を選択する方法を示すタイミングを示
しており、まず、試料を導入し、測定を開始した後、正
イオン計測区間601と負イオン計測区間602とを設
け、正イオンの質量スペクトルと負イオンの質量スペク
トルとを取得する。なお、この第2の実施の形態では、
上記に説明した液体クロマトグラフやキャピラリー電気
泳動などの分離手段を用いずに、これに代え、試料溶液
をシリンジポンプなどで常にイオン源に導入する、いわ
ゆるフローインジェクション分析を用いた例について説
明する。また、上記正イオン計測区間601における正
イオンの計測、上記負イオン計測区間602における負
イオンの計測、及び、計測するイオンの極性変換の手段
は、上記図2に示した実施の形態と同様の構成によって
実現することが可能である。
【0049】そして、上記正・負イオン計測区間(60
1、602)に続いて、次の判定区間603において、
上記双方の計測区間で得られた質量スペクトルを比較す
る。これにより、どちらの計測区間で得られた質量スペ
クトルの方が試料に由来するイオンを明確に捉えている
かを判定する。なお、この判定方法としては、種々の方
法が考えられるが、簡単には、例えば、試料由来のイオ
ンの強度を比較し、より強度の強い方を選択するよう、
上記のデータ処理装置24や制御装置41等をプログラ
ムすれば良い。なお、本実施の形態では、この判定は、
データ処理装置24により自動的に行い、その判定の結
果が制御装置41に送られる。その後は、判定区間60
3で選択された極性で計測を行う(上記図3(a)の例
では正イオンであり、正イオン計測区間(601)が続
いている)。
【0050】図3(b)は、本発明の第2の実施の形態
を、LC/MS等の分離手段と質量分析計とを結合した
分析装置において実施するための方法手順を示す。な
お、上記の分離手段を用いると、(1)溶媒、(2)正
イオン計測で分析できる試料、(3)負イオン計測で分
析できる試料、あるいは、(4)正・負イオン計測のど
ちらでも分析できる試料が、時間的に差を持って順次イ
オン源に送られてくる。しかしながら、未知試料の分析
では、どの様なタイミングで、どの様な試料が送られて
くるかは予測できない。そこで、図3(b)に示すよう
に、動作シーケンスの最初には、正イオン計測区間60
1、負イオン計測区間602、判別区間603とを順に
設ける。なお、これにより得られた信号が溶媒由来のイ
オンであると場合には、これらの操作を繰り返しなが
ら、試料が送られてくるのを待つ。その後、試料由来の
イオンが検出された段階で、その試料を分析するするの
に適した極性を判別して選択し、測定を行う。
【0051】一般に、上記のような分離手段からは、一
つの試料は、数秒〜数分の時間幅でイオン源に導入さ
れ、その後は、これとは異なる物質がイオン源に導入さ
れる。そこで、上記最初の正イオン計測区間601、負
イオン計測区間602、判別区間603の後、ある程度
の期間は(この期間は、分離手段にもよるが、LC/M
Sの場合には、例えば5秒程度)、上記判別区間603
により判別された片方の極性で計測を行う。この片方の
極性での計測を行った後は、再び、上記と同様に、正イ
オン計測区間601、負イオン計測区間、判別区間60
3を順に設け、再度、正イオン計測が適しているか負イ
オン計測が適しているかを確認する。その後、この判別
区間603により判別された極性に従って計測を行い、
これを所定の回数繰り返す。このように、本第2の実施
の形態では、計測の最初に行われる正イオン計測、負イ
オン計測、判別により、試料に適切な極性が自動的に選
択されて設定されることから、未知の物質の計測におい
ても、正イオン計測と負イオン計測を繰り返すことな
く、より高速な測定が可能になる。
【0052】なお、上記の判別や分析装置の必要な各部
の極性の切り替え制御は、上記制御装置41により行わ
れ、また、正・負のどちらでも計測できる試料であると
判別された場合には、どちらの極性を用いても良いが、
なお、上述のように、正・負の計測で得られる分子量の
違いから試料の真の分子量を推定できる場合があるの
で、その場合には、正・負両方の極性を交互に計測して
も良い。さらに、上記では、分離されてイオン化された
混合物試料を質量分析する質量分析部を、高速の計測動
作を達成するためには、上記のイオントラップ質量分析
計により構成することが好適であり、そのように説明し
たが、しかしながら、本発明では、これに限らず、導入
される混合物試料の導入速度によっは、所望の速度が得
られる範囲で、上記分離手段として、その他の一般の質
量分析計を採用することも可能であろう。
【0053】このように、本発明の上記の実施の形態に
よれば、操作者はオートサンプラ(またはシリンジポン
プ)に試料をセットし、分析開始の操作をすれば、その
後は、質量分析計の制御装置41により、装置自体が自
動的に正・負の計測モードを交互に実施するか、あるい
は、試料に適した極性の計測モードを自動的に選択して
分析データを取得する。従って、操作者は、試料の特
性、特に、正・負の計測モードを試料によって選択・考
慮することなしに、高い精度での高速な計測が可能とな
り、かつ、一度の操作で分析を完了でき、もって、操作
者の負担を軽減することができる。
【0054】
【発明の効果】以上の詳細な説明からも明らかなよう
に、上記の第一の発明によれば、高速で試料を分離が可
能な分離手段を用いた場合にも、その測定精度の低下を
生じることなく、環境関連物質や生体関連物質を含む様
々な化学的性質を有する混合物試料を、イオントラップ
型の質量分析部の採用と正イオン計測と負イオン計測と
の一連の測定操作により、未知の物質を高速で計測する
ことが可能でとなり、かつ、操作者の手間を低減するこ
との可能な質量分析計を提供することが可能になるとい
う優れた効果を達成する。
【0055】さらに、上記の第二の発明によれば、計測
の最初に行われる正イオン計測、負イオン計測、判別に
より、試料に適切な極性が自動的に選択されて設定され
ることから、未知の物質の計測においても、正イオン計
測と負イオン計測を繰り返すことなく、より高速な測定
が可能で、かつ、操作者の手間を低減することの可能な
質量分析計を提供することが可能になるという優れた効
果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になるイオントラップ型の
質量分析部を備えた質量分析計の、制御部をも含む全体
構成を示す図である。
【図2】上記本発明の質量分析計における各部の電圧を
印加するタイミングやモードを変換するタイミングを示
す図である。
【図4】上記本発明の質量分析計における液体クロマト
グラフ/質量分析計の構成を示す図である。
【図5】上記液体クロマトグラフ/質量分析計における
イオントラップ型の質量分析部へ電圧を印加するタイミ
ングを示す図である。
【符号の説明】
1…液体クロマトグラフ、2…送液ポンプ、3…移動相
溶媒槽、4…サンプルインジェクタ、5…分離カラム、
6…配管、7…イオン源、8…コネクタ、9…金属管、
10…対向電極、11…電源、12…ガス供給管、13
…噴霧用ガス、14a、14b…イオン導入細孔、15
a、15b…排気系、16…差動排気部、17…高真空
部、18a、18b、18c…電極、19a、19b…
エンドキャップ電極、20…リング電極、21…リング
状ゲート電極、22…検出器、23…信号ライン、24
…データ処理装置、101…イオン蓄積区間、102…
スキャン区間、103…残留イオン除去区間、201…
ゲート電極によるイオン遮蔽区間、202…ゲート電極
によるイオン透過区間、301…質量分析計の正イオン
計測区間、302…質量分析計の負イオン計測区間、4
01…イオン源における正イオン生成区間、402…イ
オン源の負イオン生成区間、403…イオン生成停止区
間、501…検出器における正イオン検出区間、502
…検出器における負イオン検出区間。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月2日(1998.12.
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になるイオントラップ型の
質量分析部を備えた質量分析計の、制御部をも含む全体
構成を示す図である。
【図2】上記本発明の質量分析計における各部の電圧を
印加するタイミングやモードを変換するタイミングを示
す図である。
【図3】図3は本発明の第2の実施の形態におけるイオ
ン極性を選択する方法を示す図である。
【図4】上記本発明の質量分析計における液体クロマト
グラフ/質量分析計の構成を示す図である。
【図5】上記液体クロマトグラフ/質量分析計における
イオントラップ型の質量分析部へ電圧を印加するタイミ
ングを示す図である。
【符号の説明】 1…液体クロマトグラフ、2…送液ポンプ、3…移動相
溶媒槽、4…サンプルインジェクタ、5…分離カラム、
6…配管、7…イオン源、8…コネクタ、9…金属管、
10…対向電極、11…電源、12…ガス供給管、13
…噴霧用ガス、14a、14b…イオン導入細孔、15
a、15b…排気系、16…差動排気部、17…高真空
部、18a、18b、18c…電極、19a、19b…
エンドキャップ電極、20…リング電極、21…リング
状ゲート電極、22…検出器、23…信号ライン、24
…データ処理装置、101…イオン蓄積区間、102…
スキャン区間、103…残留イオン除去区間、201…
ゲート電極によるイオン遮蔽区間、202…ゲート電極
によるイオン透過区間、301…質量分析計の正イオン
計測区間、302…質量分析計の負イオン計測区間、4
01…イオン源における正イオン生成区間、402…イ
オン源の負イオン生成区間、403…イオン生成停止区
間、501…検出器における正イオン検出区間、502
…検出器における負イオン検出区間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 雄一郎 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 坂入 実 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合物試料を液相で分離する分離部にお
    いて分離されて導入される試料を分析する質量分析計で
    あって、該分離部で分離された試料をイオン化するため
    のイオン化手段と、該イオン化手段で生成した該試料に
    関するイオンを真空中に取り込むためのイオン導入細孔
    と、該イオン導入細孔から導入された該イオンを分析す
    るための質量分析部とを備えたものにおいて、前記質量
    分析部をイオントラップ型の質量分析を行うイオントラ
    ップ型質量分析部により構成すると共に、さらに、前記
    分離部から導入される試料を、前記イオントラップ型質
    量分析部により、正イオン計測と負イオン計測との一連
    の測定操作により特定する手段を備えたことを特徴とす
    る質量分析計。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載した質量分析計にお
    いて、前記イオントラップ型質量分析部は、該イオン導
    入細孔から導入された該イオンを閉じ込める空間を形成
    する電極を備えていることを特徴とする質量分析計。
  3. 【請求項3】 前記請求項1に記載した質量分析計にお
    いて、前記イオン化手段に分離された試料を導入する前
    記分離部は、分析対象である混合物試料を液相で分離し
    て送る時間幅が1分以下の高速分離手段であることを特
    徴とする質量分析計。
  4. 【請求項4】 前記請求項3に記載した質量分析計にお
    いて、前記混合物試料を液相で分離して送る前記高速分
    離手段は、液体クロマトグラフであることを特徴とする
    質量分析計。
  5. 【請求項5】 前記請求項3に記載した質量分析計にお
    いて、前記混合物試料を液相で分離して送る前記高速分
    離手段は、キャピラリー電気泳動による分離手段である
    ことを特徴とする質量分析計。
  6. 【請求項6】 分離されて導入される混合物試料を分析
    する質量分析計であって、分離された試料をイオン化す
    るためのイオン化手段と、該イオン化手段で生成した該
    試料に関するイオンを真空中に取り込むためのイオン導
    入細孔と、該イオン導入細孔から導入された該イオンを
    分析するための質量分析部とを備えたものにおいて、さ
    らに、前記質量分析部による計測動作の最初の部分にお
    いて、正イオン計測と負イオン計測との計測を行ない、
    その計測結果に基づいて続くる計測動作の極性を設定す
    る制御装置を備えたことを特徴とする質量分析計。
  7. 【請求項7】 前記請求項6に記載した質量分析計にお
    いて、前記制御装置は、前記計測動作の最初の部分の正
    イオン計測と負イオン計測との計測と、その計測結果に
    基づいて、続く計測動作における計測極性を設定とを、
    所定の期間により、繰り返して行うことを特徴とする質
    量分析計。
  8. 【請求項8】 前記請求項6に記載した質量分析計にお
    いて、前記質量分析部をイオントラップ型の質量分析部
    により構成したことを特徴とする質量分析計。
  9. 【請求項9】 前記請求項6に記載した質量分析計にお
    いて、さらに、前記イオン化手段へ導入される分離して
    イオン化された試料を供給する手段として、液体クロマ
    トグラフ、あるいは、キャピラリー電気泳動による手段
    を使用したことを特徴とする質量分析計。
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