JP2000009693A - 唾液の分析方法及び装置 - Google Patents

唾液の分析方法及び装置

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JP2000009693A
JP2000009693A JP10174620A JP17462098A JP2000009693A JP 2000009693 A JP2000009693 A JP 2000009693A JP 10174620 A JP10174620 A JP 10174620A JP 17462098 A JP17462098 A JP 17462098A JP 2000009693 A JP2000009693 A JP 2000009693A
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ionization
capillary
ions
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Tsudoi Hirabayashi
集 平林
Yukiko Hirabayashi
由紀子 平林
Hideaki Koizumi
英明 小泉
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソニックスプレーイオン化及び質量分析法に
より、唾液中に含まれる物質の成分分析を高速に実行す
る。 【解決手段】 本発明の一実施形態による唾液の分析
は、ソニックスプレーイオン化法によるイオン化源1と
イオン蓄積型の質量分析計2とを使用して実行される。
イオン化源1のキャピラリー9には、金属管101を介
して流路6が接続され、流路6からキャピラリー9に分
析すべき唾液を含む液体である被検査液が導入される。
唾液を含む液体は、キャピラリー9の末端でキャピラリ
ー9と同軸状に流れる音速のガス流により噴霧され、噴
霧により生成される噴霧ガス中に液体中に含まれる物質
の気体状イオンが多量に生成され、生成されたイオン
は、質量分析計2に導入され質量分析が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、唾液の分析装置に
係り、特に、唾液中に含まれる神経伝達物質、ホルモン
等の物質を検出分析する唾液の分析方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ホルモン、神経伝達物質の分析
は、従来、血液、脊髄液を採取し血液、脊髄液を分析す
ることにより行われることが多く、血液、脊髄液の採取
が被検者に精神的、肉体的ストレスを与えていた。
【0003】ところで、唾液中には、消化酵素、ホルモ
ン、神経伝達物質が含まれていることが知られている。
このため、唾液を用いてホルモン、神経伝達物質の分析
を行うことが可能になると、血液の採取が不要となり、
被検者に精神的、肉体的ストレスを与えないようにする
ことができ、唾液を用いるホルモン、神経伝達物質の分
析方法が注目されている。
【0004】唾液を用いるホルモン、神経伝達物質の分
析方法に関する従来技術として、例えば、ジャーナル
オブ クロマトグラフィー ビー (Journal of Chromatog
raphyB) 第694巻(1997年)第305頁〜第31
6頁に記載された技術が知られている。この従来技術
は、液体クロマトグラフィーにより唾液に含まれる3種
の神経伝達物質(ノルエピネフリン、エピネフリン、ド
ーパミン)やストレスホルモンであるコーチゾールを分
離分析するというものである。
【0005】そして、この従来技術において、唾液の採
取は、綿を2分〜3分間口の中に含んで噛み、唾液を含
んだ綿から唾液を抽出することにより行われ、これによ
り、1mL程度の唾液が採取される。この採取された唾
液は、採取直後に、酸化防止剤であるグルタチオンや金
属除去剤であるEGTAが添加されて、−85℃で凍結
保存される。
【0006】この凍結保存された唾液は、測定直前に解
凍され、フィルターにより濾過された後に液体クロマト
グラフ装置に導入されて分析される。その際、唾液は、
分離カラムにより20分〜30分程度の間に内部に含ま
れる物質が分離され、それらの物質が蛍光標識されて蛍
光検出器により検出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術は、
分析に要する時間が長く、1つの唾液資料の分析に45
分程度の時間が必要であり、45分程度毎にしか1つの
唾液試料を分析装置に導入することができず、このた
め、スループットが低く、実時間分析や多サンプル分析
を行うことが困難であるという問題点を有している。ま
た、前述した従来技術は、蛍光標識することができる物
質しか検出することができず、分析対象物質の種類も限
定されるという問題点を有している。
【0008】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決し、短時間で唾液中に含まれる神経伝達物質、ホル
モン等の物質を検出分析することのできる唾液の分析方
法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ソニックスプ
レーイオン化法を用いるイオン化源が、被検査液の電気
伝導度の高低に関係なく、また、塩濃度の高い唾液等の
被検査液をイオン化することができるという新たな知見
を得、この知見と、短時間で質量分析を行うことができ
るイオン蓄積型の質量分離器との組み合わせに着目して
前記課題を解決したものである。
【0010】なお、ソニックスプレーイオン化法を用い
る質量分析法に関する一般的な技術は、「トレンズ イ
ン アナリティカル ケミストリー (Trends in Analytic
al Chemistry) 第16巻(1997年)第45頁〜第5
2頁」、「ラピッド コミュニケーション イン マス ス
ペクトロメトリー (Rapid Communication in Mass Spec
trometry) 第10巻(1996年)第1703頁〜第1
705頁」に記載されている。
【0011】本発明によれば前記目的は、唾液の成分分
析を行う唾液の分析方法において、イオン化源として、
ソニックスプレーイオン化法によるイオン化源を用い、
質量分析計として、イオン蓄積型の三次元4重極質量分
析計、飛行時間型質量分析計、または、これらを組み合
わせて構成した質量分析計を用い、唾液を含む被検査液
を物質毎に分離することなく、直接前記イオン化源によ
りイオン化した後、イオンを質量分析計に導入すること
により、また、イオン化をより促進させるために、前記
被検査液に揮発性の有機溶媒が加えることにより達成さ
れる。
【0012】また、前記目的は、唾液の成分分析を行う
唾液の分析装置において、ソニックスプレーイオン化法
を用いるイオン化源と、イオン蓄積型の三次元4重極質
量分析計、飛行時間型質量分析計、または、これらを組
み合わせて構成した質量分析計とを備え、唾液を含む被
検査液を物質毎に分離することなく、前記イオン化源に
よりイオン化した後、イオンを質量分析計に導入するこ
とにより、また、前記イオン化源を構成するキャピラリ
ー付近に設けた電極と被検査液との間に電圧を印加する
ことにより、また、前記質量分析計のイオン導入孔の前
面に、被試験液内に含まれる不純物を除去する手段を設
けることにより達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明による唾液の分析方
法及び装置の一実施形態を図面により詳細に説明する。
【0014】図1は唾液に含まれている物質を検出する
本発明の一実施形態による唾液の分析方法を説明する
図、図2は唾液の採取方法を説明する図、図3は本発明
の一実施形態による分析装置により測定した唾液に含ま
れる物質の質量スペクトルを示す図、図4は図3の一部
を拡大した質量スペクトルを示す図、図5は多サンプル
を連続して分析装置に導入する場合のサンプル導入の概
念を説明する図、図6は本発明の一実施形態による質量
分析装置の構成を説明するブロック図、図7は三次元四
重極質量分析装置と四重極質量分析装置とによる測定の
タイムシークェンスを説明する図である。図1、図
2、、図5、図6において、1はイオン化源、2は質量
分析計、6は流路、7はサンプリング管、8はイオン化
源本体、9はキャピラリー、10はオリフィス、11は
ガス流路、101は金属管、102は板状部材、103
は細孔、104はフッ素樹脂系チューブ、105はガス
流量調整手段、106はガス供給手段、107はネジ、
108は碍子、109、109’はフランジ、111は
差動排気部、112はアインツェルレンズ、113はイ
オンガイド、114はゲート電極、115は3次元質量
分析部、116は検出器、117はケーブル、122、
123は排気ポンプ、124はデータ処理装置、125
は高真空部である。
【0015】本発明の一実施形態による唾液の分析は、
図1に示すように、ソニックスプレーイオン化法による
イオン化源1とイオン蓄積型の質量分析計2とを使用し
て実行される。イオン化源1は、イオン化源本体8と、
キャピラリー(毛細管)9と、ガス流路11とを備えて
構成される。また、イオン化源本体8には、ガス流路1
1から導入されるガスをイオン化源本体8の内部空間を
介して、キャピラリー10の先端部周辺から流出させる
オリフィス10が設けられている。ガス流路11から導
入される窒素ガス等の噴霧ガスは、キャピラリー9の末
端でキャピラリー9と同軸状に流れる音速のガス流とな
ってイオン化源本体8のオリフィス10から流出する。
【0016】キャピラリー9は、その外径が200μm
程度であり、キャピラリー9には金属管101を介して
流路6が接続され、流路6からキャピラリー9に分析す
べき唾液を含む液体である被検査液が導入される。この
結果、唾液を含む液体は、キャピラリー9の末端でキャ
ピラリー9と同軸状に流れる音速のガス流により噴霧さ
れ、噴霧により生成される噴霧ガス中に液体中に含まれ
る物質の気体状イオンが多量に生成される。このように
して生成されるイオンは、質量分析計2に導入され質量
分析が行われる。
【0017】なお、ソニックスプレーイオン化法の特徴
は、噴霧により生成されるイオンの量がガスの流速に依
存し、ガス流速が音速の場合にイオン量が最大になるこ
とである。また、ソニックスプレーイオン化法は、試料
液体の電気伝導度、表面張力、液体流量に依存せずに安
定してイオンの生成を行うことができるという、エレク
トロスプレー法(静電噴霧法)等の他のイオン化法には
ない特徴を有し、大気圧下に生成される帯電液滴から気
体状イオンを生成することができる。
【0018】本発明の実施形態に使用する質量分析計2
は、その詳細な構成を後述するが、イオン導入用の細穴
103を有する真空装置内に構成される。そして、質量
分析計2は、イオン蓄積型の三次元4重極質量分析計
(3DQMS)であり、質量分析計2の細孔103の直
前には、板状部材102が配置されている。板状部材1
02は、細孔103の直前に細穴103との間に僅かな
隙間を隔てて、また、板状部材に設けたスリットを介し
てイオンのみが隙間に回り込んで細穴103から真空装
置内に導入されるように設けられる。
【0019】この板状部材102は、イオンを含む噴霧
ガスが直接に真空装置に導入された場合、唾液に含まれ
る多くの不揮発性物質が真空装置内部を著しく汚してし
まうことを防止するために設けらる。すなわち、不揮発
性物質が真空装置内部を汚した場合、真空装置内に設け
られる質量分析計2におけるイオン軌道制御が困難にな
り、質量分析の感度を低下させてしまうので、イオンの
真空装置取り込み口である細穴103の前に噴霧ガスが
直接当たらないような板状部材102が装着される。こ
の結果、この板状部材102の中心部に唾液由来の不揮
発性物質が堆積することになり、真空装置内部の汚染を
防止することができる。そして、気体状イオンや気体状
分子は、板状部材102の中心部を迂回して、細穴10
3から真空装置に導入され、真空装置内の質量分析計2
により分析される。
【0020】前述したような本発明の一実施形態による
唾液中に含まれる神経伝達物質、ホルモン等の物質を検
出分析する唾液の分析方法は、液体クロマトグラフィー
等により物質の分離を行う必要がなく、分析時間は主に
質量分析計2の分析時間で決定される。この分析時間
は、原理的にはms程度のオーダであるが、積算平均を
する必要を考慮しても、1秒程度を費やすだけでよい。
このため、本発明の実施形態による分析方法によれば、
ほぼ実時間分析を実現することができる。
【0021】前述した本発明の一実施形態による分析方
法は、ソニックスプレーイオン化法を用いているため、
ガス噴霧に従って試料となる唾液を含む被検査液がキャ
ピラリーに0.5μL/分以下の流量で自動的に導入さ
れる点も特徴的である。これは、キャピラリー末端にお
けるガス圧力が1気圧以下になり、圧力差により液体が
吸引されるためである。
【0022】また、前述した実施形態において、噴霧に
より生成される帯電液滴は、蒸発速度が速いほど、気体
状イオンの生成効率を高くすることができる。このた
め、予め試料液体に揮発性液体であるアルコールを添加
することにより分析感度を向上させることができる。
【0023】また、イオン源1の金属製ハウジングであ
るイオン源本体8に電圧を印加し、唾液試料に対し電界
を加えることにより分析感度が向上させることができ
る。この場合、試料液体の電位を金属管101により接
地電位に設定し、イオン源本体8にだけ、−1.2kV
程度の電圧を印加すると正イオン分析に便利である。ま
た、負イオン分析の場合、印加電圧の極性を反転させれ
ばよい。
【0024】さらに、試料液体に予め酢酸やトリフルオ
ロ酢酸(TFA)等の揮発性の電解質液体を微量添加し
て、試料液体中のイオン濃度を増加させておくと、分析
感度を向上させることができる。
【0025】なお、前述した実施形態は、ソニックスプ
レーイオン化法によるイオン化源以外のイオン化法、例
えば、エレクトロスプレーイオン化法、イオンスプレー
イオン化法、大気圧化学イオン化法を利用することも可
能である。
【0026】一般に、神経伝達物質は、脳内で生成さ
れ、様々な神経伝達物質の濃度バランスに従って脳機能
を司っており、これらの神経伝達物質が脳髄液中に放出
され、それらの一部が血液中や唾液中に放出される。唾
液中の神経伝達物質は、脳機能情報を反映するだけでな
く、消化器官の制御も司ると考えられている。人の口内
には、3種の唾液腺(舌下腺、顎下腺、耳下腺)があ
り、それぞれの唾液腺から放出される唾液の成分は異な
ると考えられる。綿を用いて唾液の採取を行うと、口内
の平均的な唾液しか採取することができない。しかし、
特定の唾液腺から分泌される唾液だけを採取することも
可能である。
【0027】以下、図2を参照して特定の唾液腺から分
泌される唾液だけを採取する方法を説明する。
【0028】図2に示すように、特定の唾液腺から分泌
される唾液の採取は、細いサンプリング管7の一端を被
検者の口内の所望の唾液腺の近くに設置し、ポンプで唾
液を吸引することにより行うことができる。このような
特定の唾液腺から分泌される唾液だけ採取して分析する
と、それぞれの唾液腺から放出される唾液の成分につい
て個々に検出することが可能となる。
【0029】前述したような唾液腺毎の唾液分析におい
ては、サンプリング管7やポンプ等に残留する唾液が次
にサンプリングする唾液の分析に悪影響を及ぼすことが
ある。そのため、サンプリング管7やポンプは測定終了
後に洗浄液を流し、洗浄する必要がある。充分な洗浄が
なされているか否かは、質量分析計の出力をモニターす
ることにより知ることができる。また、多数の人が使用
する可能性のあるサンプリング管7は衛生面から測定前
後に消毒することが望ましい。
【0030】前述したような本発明の一実施形態による
唾液の分析方法を用いると、平均的な唾液成分の唾液の
採取直後の実時間分析、特定の唾液腺から放出される唾
液の成分の分析を行うことができ、被検者のストレス状
態の計測のみならず、精神的な体質や健康状態の診断に
利用することができる。
【0031】次に、図3、図4を参照して、本発明の一
実施形態による分析方法により測定した唾液に含まれる
物質の質量スペクトルの例について説明する。図3、図
4に示す例は、綿を用いて採取した唾液に30%のメタ
ノールと2%の酢酸とを添加して分析した例である。な
お、メタノールを添加しなくても分析を行うことができ
るが、メタノールを添加することにより分析感度を著し
く向上させることができる。また、メタノールの添加量
が50%程度を超えると、唾液が白濁し沈殿物が形成さ
れる。この沈殿物の多くは消化酵素であるタンパクであ
ると考えられるが、図3、図4の例は、沈殿物を形成さ
せないようにメタノールの添加量30%とした。
【0032】図3には、物質の分子量m、その荷電量を
zとしたとき、m/z=0〜1200の質量スペクトル
が示されている。この図から判るように、イオンの質量
数(m/z)が400以下の範囲に多くのイオンがピー
クとして検出されており、また、質量数が1000近辺
にも、多くのイオンが検出されている。このことは、唾
液を直接分析することにより、未知物質を含めた様々な
物質の分析が可能であることを意味している。
【0033】図3の一部を拡大した質量スペクトルを示
す図4において、質量範囲がm/z=50〜300に、
GABA、ドーパミン、エピネフリン、セロトニン、ウ
リジンなど多くの神経伝達物質(カテコールアミン類)
が検出されている。より高感度な質量分析計を使用する
ことにより、より多くの物質を検出することが可能であ
る。
【0034】本発明の実施形態による分析方法は、蛍光
標識法と異なり、イオン化することが可能な全ての物質
を検出することができるため、分析対象物質が特に制限
されることがなく、また、検出物質の濃度を予め校正し
ておくことにより、定量的な濃度をも検出することがで
きる。この場合、唾液に試薬を添加して一定濃度の試料
を作成し、それより得られる質量スペクトルのイオン強
度との対応を予め決定しておけばよい。
【0035】次に、図5を参照して、多サンプルを連続
して分析装置に導入する場合のサンプル導入の概念を説
明する。
【0036】図5に示すように、前述までに説明した本
発明の一実施形態による分析方法を実施する分析装置に
は、キャピラリー9への流路6に連結されるサンプル導
入用の孔3’を持ったサンプル導入部3が設けられてお
り、制御されてサンプル導入用の孔3’に試料である被
検査液を注入する複数のチップ4と、規則的に配列され
た複数の容器5とが配置されている。
【0037】図2により説明した方法により、あるい
は、綿を用いて抽出された唾液は、規則的に配列された
容器5に入れられ、配列されたチップ6によりメタノー
ルを10%程度添加して混合する。さらに、揮発性の電
解質液体を添加することも可能である。その後、容器5
内に作られた唾液を含む被検査液は、チップ6により吸
引されて順次サンプル導入用の孔3’に供給される。サ
ンプル導入用の孔3’に供給された被検査液は、イオン
化源1を構成するキャピラリーに自動的に吸引されてイ
オン化され、質量分析が行われることにより分析され
る。
【0038】1つの被検査液は、1秒以内に分析が終了
するので、ほぼ1秒毎に被検査液を分析装置に導入する
ことができる。チップ6は、洗浄することにより繰り返
し利用することがでる。また、1つの被検査液の分析に
続く次の被検査液の分析との間に、僅かな時間が空け
ば、キャピラリー9内の前後の被検査液の間に気体(空
気)が入ることになり、前後の被検査液が混ざり合うこ
となく各被検査液を連続して分析することができる。
【0039】前述したような多数の唾液試料を高速で分
析することにより、唾液を採取した多数の被検者の唾液
内に含まれる物質を検出して、前述したように、各被検
者のストレス状態の計測のみならず、精神的な体質や健
康状態の診断に利用することができ、また、統計処理を
行うことにより個体差を排除した性別、年齢別等の唾液
成分に含まれる物質の特徴を知ることもできる。
【0040】次に、本発明の一実施形態による唾液の分
析装置の具体的な構成を図6を参照して説明する。この
実施形態は、ソニックスプレーイオン化源と3DQMS
とを結合して構成したものである。
【0041】ソニックスプレーイオン化源は、図1によ
り説明したように、イオン化源本体8、キャピラリー
9、オリフィス10、ガス流路11を備えて構成される
が、図5には、ガス流路11の途中に設けられるガス流
量調整手段105及びガス供給手段106を備えること
を示している。そして、このソニックスプレーイオン化
源と図1にも示している板状部材102とは、ネジ10
7により3DQMS12の細孔103が設けられる第1
フランジ109に固定されている。イオン化源本体8、
板状部材102、第1フランジ109の間には、碍子1
08が配置されて相互に絶縁されている。
【0042】3DQMS12は、第1フランジ109と
第2細孔111を有する第2フランジ109’との間に
形成され、排気ポンプ122により排気されている差動
排気部110と、質量分析部等が配置される第2排気ポ
ンプ123により排気されている高真空部125により
構成される。そして、高真空部125内に、アインツェ
ルレンズ112、イオンガイド113、ゲート電極11
4、3次元質量分析部115、検出器116が設置され
ている。検出器116の出力は、ケーブル117を介し
てパソコン等によるデータ処理装置124に送られて処
理されることにより、スペクトル分布を表すグラフ等に
されて表示され、あるいは、印刷出力される。
【0043】前述のように構成される本発明の一実施形
態において、唾液を含んだ被検査液は、流路6と金属管
101とを通ってイオン化源本体8に入れられる。金属
により形成されるイオン化源本体8と金属管101との
間には、プラスのイオンをより効果的に取り出すために
被検査液との間に電界を発生させるため、イオン化源本
体8側に−1.2KV程度の高電圧を印加することも可
能とされている。なお、金属管101を接地してもしな
くてもく、試料溶液に電界が掛かるように電圧が印加さ
れればよい。
【0044】第1フランジ109には、+150Vの電
圧が印加されている。また、この第1フランジ109の
形状は、細孔103の部分が板状部材102側に突起し
ている形状でも、平面状であってもよい。イオン化源本
体8、板状部材102、第一フランジの間は、碍子10
8により絶縁されているが、これらに別々の電圧を印加
してもよい。板状部材102には、ヒーターを配置して
加熱してもよい。
【0045】金属管101を通過した試料溶液は、フッ
素系樹脂チューブ104に通したキャピラリー9に導入
される。キャピラリー9の先端部は、オリフィス10に
挿入されている。イオン化源本体8には、ガス供給手段
106からガス流量調整手段105、ガス流路11を通
って窒素ガス、空気等のガスが導入される。このガス
は、ガス流路11の途中に設置されたガス流量調整手段
105によりその流量が調節され、オリフィス10から
ほぼ音速度で大気中に流出し、キャピラリー9から流出
した試料溶液を噴霧し、溶液中に含まれる唾液物質を大
気圧下でイオン化する。
【0046】生成されたイオンは、板状部材102の穴
を通って、細孔103を通過し、排気ポンプ122で排
気されている差動排気部110に導入され、第2細孔1
11を通して排気ポンプ123で排気されている高真空
部125に導入される。第2細孔111が設けられる第
2フランジ109’は、イオン導くために第1フランジ
109より電圧が10V程度若干高い+160V程度の
電圧が印加されている。第2細孔111を通ったイオン
は、アインツェルレンズ112、イオンガイド113、
ゲート電極114を通って、三次元質量分析部115に
導入される。
【0047】ゲート電極114は、この電極に印加され
る電圧によって、イオン蓄積時に、イオントラップ部に
外部からのイオンの入射を許可し、測定時に、イオント
ラップ部から外部へのイオンの出射を許可し、イオンを
3次元質量分析部115に導く。3次元質量分析部11
5に導入されたイオンは、導入された方向と反対側に質
量分離されながら排出され、検出器116に当たり検出
される。この場合、イオンの導入方向と排出方向とを同
一として構成してもよい。検出器116の検出信号は、
ケーブル117を介してパソコン等によるデータ処理装
置124に送られて処理され、スペクトル分布を表すグ
ラフ等にされて表示、あるいは、印刷出力される。
【0048】本発明の実施形態は、前述のように、イオ
ントラップを有する3次元質量分析部を持つ質量分析計
を用いることにより、短時間で少ない試料溶液について
高感度に質量分析を行うことができる。
【0049】次に、図7を参照して、本発明で用いてい
る三次元質量分析計(3DQMS)と、従来技術の四重
極質量分析計(QMS)の分析のタイムシークェンスに
ついて説明する。
【0050】3DQMSは、蓄積型の分析装置であり、
質量スペクトルの1回の測定(1スキャン)が、イオン
を蓄積する過程(閉じ込め)と測定を行う過程とにより
行われる。この測定において、質量スペクトルのレンジ
幅は、ある特定の範囲内で自由に設定することができ、
また、また、閉じ込め時間もある特定の範囲内で自由に
設定することができる。閉じ込め時間は、長いほど、蓄
積イオン量を増加させることができ測定されるイオン強
度を高いものとすることができる。また、測定時間は、
設定した質量スペクトルのレンジ幅に依存して変化す
る。
【0051】3DQMSは、ある特定の範囲内の質量の
イオンを設定した閉じ込め時間内に溜め込み、次に、溜
め込んだイオンを質量の小さい順、または、大きい順に
イオン閉じ込め部から追い出して、検出器に送り込んで
質量の測定を行うものであり、その1スキャンの時間は
短く、数ミリ秒から数百ミリ秒の範囲である。
【0052】一方、従来技術のQMSは、イオンを溜め
込む過程が不要で測定の過程だけで1回の測定(1スキ
ャン)を行うことができる。そして、QMSは、ある特
定の質量のイオンのみを通過させ、検出器に送って測定
することによりイオンを分離するものであり、QMSを
通過することができるイオンの質量を小さい順、また
は、大きい順に変えていくこと(従来技術により説明し
た物質の分離)により、質量スペクトルを得るものであ
る。QMSの質量スペクトルのレンジ幅は、ある特定の
範囲内で自由に設定することができる。また、1スキャ
ンの時間は、設定した質量スペクトルのレンジ幅に依存
し、数百ミリ秒から数秒の範囲である。また、QMS
は、イオンの溜め込みを行わないため、1スキャンにお
けるイオン量(信号量)が3DQMSに比べて少なく、
このため3DQMSの場合に比べて長時間の測定を行わ
なければならず、何スキャンも質量スペクトルを積算す
る必要がある。
【0053】前述したように、従来技術によるQMS
は、長時間の測定を行わなければならず、しかも、3D
QMSを用いる場合よりも多くの試料量を必要とする。
本発明の実施形態が測定の対象としている唾液は、大量
に採取できるものではなく、試料の量に限界があり、Q
MSによる測定を行うことが困難である。
【0054】これに対して、前述した本発明の実施形態
は、僅かな量の試料を用いて短時間に分析を行うことが
できる。
【0055】図8は本発明の他の実施形態による唾液の
分析方法及び装置を説明する図である。図8において、
81〜83はサンプリング管、84〜86はポンプ、8
7〜89は混合部、90は切り換え部、91は質量分析
部である。図8に示す実施形態は、3種類の唾液腺から
の唾液を同時に測定する例である。
【0056】3本のサンプリング管81〜83は、被検
者の口の中に挿入されその先端が異なる唾液腺の位置に
挿入される。唾液は、ポンプ84〜86により吸引され
て、サンプリング管81〜83を通って水またはアルコ
ールの液と混合する混合部87〜89に導かれる。混合
された唾液を含む唾液試料は、唾液試料を1つ選択する
切り換え部90を経由し、図示しないソニックスプレー
によるイオン源部に供給されイオン化され、質量分析部
91に供給されて分析される。
【0057】前述した図8に示す本発明の他の実施形態
によれば、リアルタイムに3箇所の唾液腺から取り出し
た唾液を分析することが可能となる。
【0058】図9は本発明のさらに他の実施形態による
唾液の分析方法及び装置を説明する図である。図9にお
いて、92は流路、93は試料投入口、94はガス流
路、95はイオン源、96はオリフィス、97は試料導
入装置、98はリザーバー、99はキャピラリー、91
2〜915は細管、915〜917はバルブである。図
9に示す実施形態は、3種類の唾液腺からの唾液を切り
替える部分において発生するコンタミネーションの影響
受けることなく試料をイオン源に導入することを可能に
したものである。
【0059】図9に示す実施形態は、ガス流路94と、
キャピラー99と、オリフィス96とを備える図1によ
り説明したと同様なイオン源95にのキャピラリー99
に唾液試料を導く試料導入装置97を結合して構成した
ものである。試料導入装置97は、流路92の端部に設
けられた水またはアルコールの溶液を蓄えるリザーバー
98と、流路92の途中に設けられた試料投入口93と
が設けられて構成され、流路92の他方の端部がキャピ
ラリー99に接続されている。
【0060】流路92内の溶液は、流路92に接続され
るキャピラリー99の出口側を減圧されることにより、
キャピラリー99に向けて吸引される。また、図8に示
す場合と同様に採取された唾液は、バルブ915〜91
7を有する細管912〜914に導かれ、バルブ915
〜917が制御されて、細管912〜914の1つの先
端部から糸状になって試料投入口93に流し込まれて流
路92に流れる溶液に混合される。
【0061】試料導入装置97は、前述したような構成
を有しているため、装置自身に3種類の試料を分岐する
管及び開閉バブルが不要である。そして、試料は、細管
912〜914に設けられるバルブ915〜917によ
り、1つの試料が順番に試料投入口93から投入されれ
ばよい。
【0062】この結果、投入された試料は、流路92中
を圧力差に従って低圧側に流れ、キャピラリー99を通
ってキャピラリー99の先端のオリフィス96から噴霧
され、ガスの高速流速によって試料がイオン化されるイ
オン源95によりイオン化され、前述までに説明したと
同様に質量分析が行われる。
【0063】前述した図9に示す本発明の実施形態によ
れば、採取した複数の唾液腺からの唾液の相互間でのコ
ンタミネーションが起こることを防止することができ
る。すなわち、流路92には、各唾液試料が間欠的に供
給され、また、試料と試料との間が水またはアルコール
により区切られることになるため、この液により流路内
の汚れを取り除きクリーニングが行われるため、唾液試
料のコンタミネーションが発生することがない。
【0064】図10は図9により説明した試料導入装置
を用いた本発明のさらに他の実施形態による唾液分析装
置の構成を示すブロック図である。図10において、2
01はメッシュ電極、202はリフレクタ電極、203
は検出器、205は発光源、206は受光器であり、他
の符号は他の図面の場合と同一である。
【0065】図10に示す実施形態は、質量分析装置と
して飛行時間型質量分析計(TOF−MS)を用い、こ
れに、図9により説明した試料導入装置を組み合わせた
ものである。飛行時間型質量分析計は、真空室内に、メ
ッシュ電極201、リフレクタ電極202、検出器20
3を図10に示すように配置して構成され、他のイオン
を導入する部分の構成は、図6により説明した3DQM
Sと同一である。
【0066】図10に示す唾液分析装置は、リアルタイ
ムに近い短時間(1秒〜5分/サンプル)で唾液の分析
を行うことができるものである。図10において、複数
の細管912〜914の末端から唾液試料が試料導入装
置97の試料投入口93に順次導入され、石英製のキャ
ピラリー9に導入される。試料導入装置97には洗浄用
の溶媒が満たされ、唾液試料が導入されない場合にはキ
ャピラリー9に導入されてキャピラリー9の洗浄が行わ
れる。
【0067】ガス流路11から3気圧程度の窒素ガスが
イオン化源本体内部8に導入され、キャピラリー9の末
端近傍でガス流の流速がほぼ音速に達する。このほぼ音
速に達したガス流により唾液試料は噴霧され、生成され
る微細液滴より気体状イオンが生成される。キャピラリ
ー9の末端近傍のガス圧力は1気圧以下であり、試料投
入口93におけるガス圧力(1気圧)より低いため、唾
液試料はポンプを使用することなく送液される。キャピ
ラリー9の中の唾液試料の電位は、金属管101より接
地され、金属製のイオン化源本体8には典型的に−1.
2kVの電圧が印加される。この負の電圧が印加される
ことにより、正イオン生成効率を増大させることができ
る。なお、負イオンの分析を行う場合、逆の極性の電圧
を印加するとよい。
【0068】図10に示す実施形態は、イオン化源とし
てソニックスプレーイオン化法によるイオン化源を用い
ているが、イオン化源として、エレクトロスプレー(静
電噴霧)イオン化法、ガス噴霧を併用したエレクトロス
プレーイオン化法(イオンスプレーイオン化法)、大気
圧化学イオン化法(APCI法)等の他のイオン化法に
よるものも原理的に利用することが可能である。
【0069】唾液試料のように多種類の物質が混合され
ている試料を質量分析する場合、質量分析計として、図
6により説明した3DQMSの使用が適さない場合もあ
る。すなわち、3DQMSを用いて広い質量分析範囲を
設定して質量分析を行う場合、得られる質量スペクトル
のピーク位置(m/z)が質量分析計の空間電荷効果に
よりシフトすることがあるからである。これを避けるた
めには、細かく区切った質量分析範囲を複数設定し、分
析結果を統合する等の工夫が必要である。このことは、
3DQMS等のイオン濃縮(蓄積)型のイオントラップ
質量分析計に固有の課題である。
【0070】そこで、図10に示す本発明の実施形態
は、飛行時間型質量分析計を使用して構成しており、以
下、飛行時間型質量分析計による分析の動作を説明す
る。
【0071】図10において、大気中に生成されたイオ
ンは、板状部材102の周辺部にあいた穴を通り、細孔
103より二段の作動排気部111を経て、真空装置に
導入される。アインツエルレンズ112により収束され
たイオンは、2枚のメッシュ電極201に導入される。
2枚のメッシュ電極間には5ナノ秒程度の時間軸幅のパ
ルス電圧(3〜10kV程度)が印加され、メッシュ電
極内のイオンは、パルス的に加速される。このパルス電
圧は、1kHz程度以下の周期で印加することができ
る。
【0072】このパルス電圧の印加により加速されたイ
オンは、リフレクター電極202に印加された逆電圧に
よりイオン軌道が逆向きに変更されると共に、エネルギ
ー収束を受け、高時間分解分析が可能なマイクロチャン
ネルプレート(MCP)等の検出器203に到達して検
出される。
【0073】リフレクター電極202は、多数のメッシ
ュ電極から構成され、最も手前のメッシュ極が接地電位
に設定され、最も奥のメッシュ電極にパルス電圧以上の
電圧が印加されている。リフレクター電極202の多数
のメッシュ電極には、比較的均一な電界が発生するよう
に印加電圧の配分を行われる。検出器203は、メッシ
ュ電極201に電圧印加されるタイミングと同期してイ
オン検出を行う。検出器203の出力は、デジタルオシ
ロスコープやデジタルトランジェスタレコーダーなどへ
転送され、その出力がコンピューターによりデータ処理
される。
【0074】飛行時間型質量分析計は、軽いイオンをメ
ッシュ電極201で高速度に加速し、検出器203へ時
間的に早く到達させる。一方、質量の高い(重い)イオ
ンは、検出器203への到達時間が遅れる。このよう
に、飛行時間型質量分析計は、検出器203で検出され
るイオンの到達時間により質量分析を行うものである。
飛行時間型質量分析計は、質量分析範囲の上限が原理的
に存在せず、高感度分析が可能である。
【0075】また、図10に示す実施形態において、唾
液試料を試料導入装置97の試料投入口93に導入する
タイミングに基づいて、メッシュ電極201に印加する
パルス電圧を制御し、さらに、検出器203による検出
タイミングをも制御するようにすることができる。この
ため、図10に示す実施形態は、発光源205と受光器
206とによる光学式センサが備えられている。
【0076】受光器206は、発光源205からの光線
の透過、散乱状態を検出することにより唾液試料が滴下
されことを検出してタイミング信号T1 を作る。図示し
ない制御部は、この信号に基づいてメッシュ電極201
に印加するパルス電圧を制御し、さらに、検出器203
の検出タイミングT2 を作成する。すなわち、図10に
示す実施形態は、タイミング信号T1 に応じてメッシュ
電極201へのパルス電圧の印加や、検出器203の制
御を行うことができる。
【0077】また、図10に示す実施形態は、唾液試料
の体積に応じて、タイミング信号T2 を制御することが
可能であり、唾液試料由来のイオンが生成され続ける
間、例えば、1kHzの周期で、質量分析を繰り返すよ
うにさせることができる。この場合、分析結果の積算平
均を行うことにより、S/N(シグナル/ノイズ)比の
高い質量スペクトルを得ることができる。
【0078】なお、図10に示す実施形態において、発
光源205と受光器206とによる光学式センサは、複
数の複数の細管912〜914の末端と試料投入口93
との間に設けられてもよい。
【0079】図11は本発明のさらに他の実施形態によ
る唾液分析装置の構成を示すブロック図である。図11
において、204は電極であり、他の符号は図10の場
合と同一である。
【0080】図10により説明した実施形態において、
アインツェルレンズ112の中心軸とメッシュ電極20
1の面とは直交しない関係にあり、メッシュ電極201
に電圧が印加されない場合、大気中から導入されるイオ
ンは検出器203に到達しない。すなわち、メッシュ電
極201に電圧が印加されない場合、イオンは、メッシ
ュ電極201を直進して通過し、真空容器の壁面に衝突
し電荷を失う。メッシュ電極201の部分に加速電極を
有する3DQやオクタポールを用いたリニアートラップ
などのイオン蓄積機構を設けると、イオンの検出感度を
一桁以上向上させることができる。
【0081】図11に示す実施形態は、前述した考察に
基づいて、質量分析計として3DQと飛行時間型質量分
析計とを結合させた3DQ−TOFMSを用いたもので
ある。この実施形態において、3DQの電極204は、
4枚の円盤状の電極により構成され、RF電圧の印加に
よりイオンの濃縮を行い、さらに、高電圧のパルス電圧
の印加により濃縮されたイオンをパルス的に加速して空
間に放出している。そして、検出器203に到達するイ
オンの到達時間により質量分析が行われる。
【0082】なお、本発明は、質量分析計として、前述
以外に、TOF−MAや3DQMSの他に、四重極質量
分析計や二重収束質量分析計等も使用することができ
る。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、唾
液中に含まれる様々な神経伝達物質やホルモン類、タン
パク等の未知物質を含む物質を極めて短時間で分析する
ことができ、また、多数の唾液試料を高速で分析するこ
とができ、特定の唾液腺から分泌される唾液だけを分析
することもできる。本発明は、これにより、被検者のス
トレス状態の計測のみならず、精神的な体質や健康状態
の診断を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】唾液に含まれている物質を検出する本発明の一
実施形態による唾液の分析方法を説明する図である。
【図2】唾液の採取方法を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態による分析装置により測定
した唾液に含まれる物質の質量スペクトルを示す図であ
る。
【図4】図3の一部を拡大した質量スペクトルを示す図
である。
【図5】多サンプルを連続して分析装置に導入する場合
のサンプル導入の概念を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態による質量分析装置の構成
を説明するブロック図である。
【図7】三次元四重極質量分析装置と四重極質量分析装
置とによる測定のタイムシークェンスを説明する図であ
る。
【図8】本発明の他の実施形態による唾液の分析方法及
び装置を説明する図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態による唾液の分析
方法及び装置を説明する図である。
【図10】図9により説明した試料導入装置を用いた本
発明のさらに他の実施形態による唾液分析装置の構成を
示すブロック図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態による唾液分析
装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 イオン化源 2 質量分析計 6 流路 8 イオン化源本体 9 キャピラリー 10 オリフィス 11 ガス流路 101 金属管 102 板状部材 103 細孔 104 フッ素樹脂系チューブ 105 ガス流量調整手段 106 ガス供給手段 107 ネジ 108 碍子 109、109’ フランジ 111 差動排気部 112 アインツェルレンズ 113 イオンガイド 114 ゲート電極 115 3次元質量分析部 116 検出器 117 ケーブル 122、123 排気ポンプ 124 データ処理装置 125 高真空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小泉 英明 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA25 BA01 BA11 BB02 CB07 DA54 DA80 FB05 FB20 HA06 HA14 JA07 5C038 GG08 GG13 GH05 HH28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 唾液の成分分析を行う唾液の分析方法に
    おいて、イオン化源として、ソニックスプレーイオン化
    法によるイオン化源を用い、質量分析計として、イオン
    蓄積型の三次元4重極質量分析計、飛行時間型質量分析
    計、または、これらを組み合わせて構成した質量分析計
    を用い、唾液を含む被検査液を物質毎に分離することな
    く、直接前記イオン化源によりイオン化した後、イオン
    を質量分析計に導入することを特徴とする唾液の分析方
    法。
  2. 【請求項2】 前記被検査液は、イオン化をより促進さ
    せるために揮発性の有機溶媒が加えられることを特徴と
    する請求項1記載の唾液の分析方法。
  3. 【請求項3】 唾液の成分分析を行う唾液の分析装置に
    おいて、ソニックスプレーイオン化法を用いるイオン化
    源と、イオン蓄積型の三次元4重極質量分析計、飛行時
    間型質量分析計、または、これらを組み合わせて構成し
    た質量分析計とを備え、唾液を含む被検査液を物質毎に
    分離することなく、前記イオン化源によりイオン化した
    後、イオンを質量分析計に導入することを特徴とする唾
    液の分析装置。
  4. 【請求項4】 前記イオン化源を構成するキャピラリー
    付近に設けた電極と被検査液との間に電圧を印加し、被
    検査液に電界を与えることにより、被検査液のイオン化
    を促進する構成を備えたことを特徴とする請求項3記載
    の唾液の分析装置。
  5. 【請求項5】 前記質量分析計のイオン導入孔の前面
    に、被試験液内に含まれる不純物を除去する手段を設け
    たことを特徴とする請求項3または4記載の唾液の分析
    装置。
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