JPH10195725A - 複合仮撚糸およびその製造方法 - Google Patents

複合仮撚糸およびその製造方法

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JPH10195725A
JPH10195725A JP34797996A JP34797996A JPH10195725A JP H10195725 A JPH10195725 A JP H10195725A JP 34797996 A JP34797996 A JP 34797996A JP 34797996 A JP34797996 A JP 34797996A JP H10195725 A JPH10195725 A JP H10195725A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の複合仮撚糸の特徴であった夏向の清涼
感を保持した上で、更に、古くから夏の木綿織物で使わ
れてきたパフ、サッカー調の外観・風合を付加して表現
出来る複合仮撚糸の創出。 【解決手段】 少くとも2種のマルチフィラメント糸を
同時に仮撚加工して得られ、一方のマルチフィラメント
糸を芯糸とし、他方のマルチフィラメント糸を巻付糸と
して巻付糸が芯糸に対し1重に巻付いた部分と3重に巻
付いた部分とをその長手方向に沿って、交互に形成した
複合仮撚糸において、該芯糸および巻付糸の双方共に共
重合成分が5〜18モル%共重合された共重合ポリエス
テルから構成され、且つ複合仮撚糸全体の熱収縮率(9
8℃での熱水収縮+180℃での乾熱収縮の合計値)が
15〜30%の範囲にあり、しかも1重巻付部の熱収縮
率が3重巻付部の熱収縮率より7〜15%大きいことを
特徴とする複合仮撚糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻付糸が芯糸に対
し1重に巻付いた部分と3重に巻付いた部分とを交互に
形成した複合仮撚糸およびその製造方法に関し、更に詳
しくは、特殊な熱収縮挙動を呈する複合仮撚糸およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】巻付糸が芯糸に対し1重に巻付いた部分
と3重に巻いた部分とを交互に形成した複合仮撚糸は、
特公昭50―35147号公報、特公昭59―2968
9号公報等で、多数提案されている。
【0003】このような加工糸は、3重巻付によるスラ
ブ外観と、cm単位の長さのS方向又はZ方向の同方向
巻付撚による夏向清涼感風合を呈することに特長がある
が、その反面、強固な巻付のため染色仕上工程で収縮し
難く、またスラブヤーンであるため粗い組織でしか織れ
ず、結果的には麻ライクなガーゼ組織の織物が主流とな
っている。
【0004】そこで、前記の強固な巻付による不利益を
克服するため、芯糸と巻付糸との間に沸水収縮差を付与
することによって、熱収縮処理で巻付構造を緩めて嵩高
性を高めることが特開平2―242937号公報で提案
されている。
【0005】この仮撚複合糸は、従来この種の複合糸が
染色仕上工程で収縮し難いため織編物の多様化が困難で
あるという問題を解決しようとするものであり、嵩高性
に富む、秋冬向の暖かみのある布帛を提供するものでな
る。
【0006】ところが、市場で依然として強く希求され
ているのは、夏向の風合を保持しつつ、更に織編物を多
様化させて夏向の外観、風合を付加して新規な夏物布帛
を与える複合仮撚糸であるが、これまでその対応手段は
全く提案されていないのが実情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、巻付糸が芯
糸に対し1重に巻付いた部分と3重に巻付いた部分とを
交互に形成した複合仮撚糸の夏向の撚糸清涼感風合を保
持しつつ、更に、その熱収縮特性の改善によって新規な
夏向の外観風合効果を表現し得る複合仮撚糸およびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、従来の複合仮撚糸の特徴であった夏向
の清涼感を保持した上で、更に、古くから夏向の木綿織
物で使われてきたパフ、サッカー調の外観・風合を付加
して表現出来る複合仮撚糸を創出し、品位の高い夏向衣
服を提供しようとする着想に基づいている。
【0009】その為、本発明は、基本的に従来の複合仮
撚糸の特徴であった1重・3重巻付、cm単位のS・Z
同方向巻付撚および強固な巻付は具備した上で、芯糸も
巻付糸も含めて糸条全体に高い熱収縮性を付与すること
により、布帛生機を収縮リラックスする際に芯糸と巻付
糸の間で強固な巻付が緩むのを防止し、その際、1重巻
付部の熱収縮率を3重巻付部の熱収縮率より高くして、
その熱収縮差で糸条に部分的に引きつれを生ぜしめパ
フ、サッカー調の外観・風合効果を布帛に付加しようと
する発明思想に基づいている。
【0010】このような発明思想を具体化した、本発明
の課題の解決手段は、以下の通りである。
【0011】(1) 少くとも2重のマルチフィラメン
ト糸を同時に仮撚加工して得られ、一方のマルチフィラ
メント糸を芯糸とし、他方のマルチフィラメント糸を巻
付糸として巻付糸が芯糸に対し1重に巻付いた部分と3
重に巻付いた部分とを、その長手方向に沿って交互に形
成した複合仮撚糸において、該芯糸および巻付糸の双方
共に共重合成分が5〜18モル%共重合された共重合ポ
リエステルから構成され、且つ複合仮撚糸全体の熱収縮
率(98℃での熱水収縮+180℃での乾熱収縮の合計
値)が15〜30%の範囲にあり、しかも1重巻付部の
熱収縮率が3重巻付部の熱収縮率より7〜15%大きい
ことを特徴とする複合仮撚糸、および、(2) 芯糸と
なるマルチフィラメント糸に対して、巻付糸となるマル
チフィラメント糸を過剰供給しつつ同時に仮撚加工し、
芯糸に対して巻付糸が1重に巻付いた部分と3重に巻付
いた部分とを交互に形成させる複合仮撚加工において、
該芯糸および巻付糸となるマルチフィラメント糸とし
て、共重合成分が5〜18モル%の範囲で共重合され、
沸水収縮率が30〜100%の範囲にある共重合ポリエ
ステルマルチフィラメント糸を用い、且つ、仮撚加工温
度を110〜180℃の範囲に維持しながら複合仮撚加
工することを特徴とする複合仮撚糸の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、更に詳細に本発明の複合仮
撚糸およびその製造方法について説明する。
【0013】図1は、本発明の複合仮撚糸の構造を示す
側面模式図であり、芯糸1に対し、巻付糸2が1重に巻
付いた部分3と3重に巻付いた部分4とが、その長手方
向つまり複合仮撚糸の長手方向に沿って交互に形成され
ていて、糸条の巻付構造により夏向の撚糸清涼感風合が
表現できる。
【0014】これに加えて、糸条(複合仮撚糸)全体の
熱収縮率(90℃での熱水収縮と180℃での乾熱収縮
の合計値)が従来の複合仮撚糸では1〜2%であったの
に対して、本発明にあっては15〜30%と格段に高
い。そのため織編物の染色仕上工程で、常圧沸水中、高
圧120〜130℃熱水中および160〜180℃乾熱
熱風により熱処理されるとき、糸条は大巾に収縮し、そ
の収縮力によって、織編物の織物クリンプ率が増加し、
長さ方向、幅方向共に十分に収縮しながらリラックスさ
れる。
【0015】その際、1重巻付部3の熱収縮率が3重巻
付部4のそれよりも7〜15%も高いことから、1重巻
付部3と3重巻付部4の間にリラックス収縮率に差違を
生じ、織編物表面にパフ、サッカー調の外観・風合効果
を発現する。
【0016】糸条全体5の熱収縮率は、生機を収縮させ
る際、同時に1重巻付部3と3重巻付部4の収縮差によ
るパフ、サッカー調効果を十分に発揮させるきっかけを
作る役割を果す。それ故、熱収縮率が15%未満ではそ
のきっかけ作りとして不十分である。逆に、30%を越
える糸条を得るためには、複合仮撚加工の温度を100
℃以下にして加工せざるを得ず、その結果糸条形態の熱
セット性が不足する。また、1重巻付部3の熱収縮率
は、前述のように3重巻付部4の熱収縮率よりも7%以
上高いことが不可欠である。7%未満では、糸条全体の
熱収縮率が例え15%以上あったとしても、商品価値の
あるパフ、サッカー調の外観・風合効果が得られない。
逆に、15%を越える熱収縮率差を得るためには、芯糸
1に用いる共重合ポリエステルの共重合成分の共重合率
を20モル%以上にすることが必要となり、糸条の融点
降下が大きくなり、衣服のアイロンがけ時に繊維の膠着
をお越し、風合を損ねる等の問題を生じる。
【0017】本発明の複合仮撚糸は、芯糸、巻付糸共
に、共重合成分を5〜18モル%共重合した共重合ポリ
エステルから構成されるフィラメント糸の捲縮糸であ
る。
【0018】該ポリエステルを構成する主たる酸成分お
よび/またはグリコール成分を基準として共重合成分を
5〜18モル%共重合する。
【0019】この共重合成分としては、ジカルボン酸、
ジオールおよびビスフェノールからなる群より選ばれた
一種以上を用いる。
【0020】これら以外の共重合成分では、ポリマーコ
ストが高くついたり、製糸性が悪かったり、目的の熱収
縮性が得られない等の問題がある。
【0021】ここで、ジカルボン酸は、テレフタル酸以
外のジカルボン酸であって、セバシン酸、フタル酸、イ
ソフタル酸等である。ジオールはジエチレングリコー
ル、ブチレングリコール、プロピレングリコールなどで
ある。ビスフェノールはビスフェノールA、ビスフェノ
ールスルフォンまたはこれらのエチレンオキサイド付加
物である。
【0022】共重合量は、ポリエステルがポリエチレン
テレフタレートの場合、テレフタル酸を基準として5〜
18モル%の範囲とする。5モル%未満では必要な熱収
縮が得られず、18モル%を越えると、染色仕上工程で
収縮が完了せず、商品の寸法安定性が悪くなるなどの問
題が生じる。
【0023】上記共重合成分の中でもイソフタル酸はポ
リマーコスト、製糸性、糸加工性、製品品質上からみて
最も使い易い。またジオール成分としてのビスフェノー
ルAまたはそのエチレンオキサイド付加物を共重合した
ポリエステル繊維を用いると、織物組織の拘束力下でも
収縮力が高いという特徴がある。
【0024】ただ、この種の繊維は耐光堅牢度が問題と
なることがあるので、共重合割合は5モル%以下とする
ことが好ましい。またビスフェノールAを5モル%以下
とする場合、イソフタル酸を第四成分として共重合し、
トータルの共重合量として18モル%以下とすることに
よって収縮率を高くすることもできる。
【0025】通常、織編物は、その染色仕上工程でし常
圧沸水(100℃)中で収縮リラックス処理を受けた
後、高圧熱水(120〜130℃)中で追加の強リラッ
クス処理や染色処理を受け、更に、高温熱風(160〜
180℃)中でフリーセット処理や緊張セット処理を受
ける。その際、織編物は積極的に緊張されない場合で
も、循環・移動に伴う伸張力を高温下で受けることにな
り、収縮リラックスにより発現したパフ、サッカーが伸
張されて弱くなることがある。
【0026】このような現象に対して、本発明の複合仮
撚糸は、芯糸、巻付糸共に、共重合成分が5〜18モル
%共重合された共重合ポリエステルで構成されているの
で、染色仕上工程で受ける高温下の好ましくない伸張力
に抵抗して収縮する力があり、仕上工程中で発現したパ
フ、サッカー調の外観・風合効果は、最終仕上工程まで
保持されることが特徴的である。
【0027】本発明でいう熱収縮率は、沸水収縮と18
0℃乾熱収縮の合計値であり、熱収縮率FS(%)=
(1−l/l0 )×100により求める。ここで、l0
は熱処理前の試料に0.1g/deの荷重をかけて測定
した試料長、lは試料を98℃の熱水中で30分間フリ
ー処理を行い、次いで24時間フリー状態で風乾した
後、180℃熱風中で15分間フリー状態で処理し、室
温下1時間放置して冷却してから、0.1g/deの荷
重をかけて測定した試料長である。
【0028】また、1重巻付部と3重巻付部の熱収縮率
(FS′、FS″)は、糸条の長さ方向に沿って、1重
巻付部、3重巻付部のそれぞれn=20カ所に水不溶性
のインクで測定の為のマークを付け、前記の糸条全体の
熱収縮率の測定と同様に処理、測定を行う。
【0029】また、本発明の複合仮撚糸は、複合仮撚加
工時の仮撚方向とは逆の撚方向に600〜2500T/
mの範囲の実撚加撚を施すと、織編物の染色仕上工程
で、糸条が収縮するのをきっかけとして強い撚糸(解
撚)トルクが発現し、織編物が熱収縮と強いトルクとに
よって収縮し、強いシボや楊柳調の外観・風合効果を発
現する。そして、更に、1重巻付部と3重巻付部の熱収
縮率の差および仮撚方向とは逆の撚方向の実撚加撚によ
る、1重巻付部と3重巻付部との収縮発現トルクの差違
により、シボ、楊柳の発現の微妙な変化を起し、自然な
シボ、楊柳効果を表現できる。
【0030】上述の実撚加撚が600T/m未満ではシ
ボ、楊柳効果は無撚の場合と差別化できず、一方250
0T/mを越える場合は、シボ、楊柳による布帛縮みが
過大となり、したがって必要な長さと幅を確保するため
の生機の長さと幅が過大となり特殊な織機が必要となっ
てしまう。また該実撚加撚数は品位と織機の対応の点か
ら特に1500〜2300T/mの範囲がより好まし
い。
【0031】次に、本発明の複合仮撚糸の製造方法につ
いて説明する。図2は、本発明の方法を実施するための
工程を例示したものである。
【0032】芯糸となるマルチフィラメント糸5は供給
ローラ7によって仮撚加工域へ供給され、仮撚具によっ
て施撚される。他方、巻付糸となるマルチフィラメント
糸6は供給ローラ8によって供給され、ガイド9を巻付
スラブ形成の支点として施撚中のマルチフィラメント糸
5に巻付けられる。その際、芯糸となる糸5に対して、
巻付糸となる糸6を該糸5に巻付いてなお余る程に過剰
に供給すると、巻付域10で巻付となる糸6が振れて
(矢印で示すようにトラバースして)、芯糸に対して巻
付糸が間歇的に3重に巻付いた部分4が形成される。
【0033】次いで、その1重巻付部と3重巻付部から
なる糸条はヒーター11で熱固定され、仮撚具12を通
過するとき解撚されて、引取ローラ13で引取られ、巻
取り装置14に巻取られる。
【0034】本発明の製造方法の特徴は、使用する原糸
5、6の熱収縮特性と複合仮撚加工条件の組合せによっ
て、目的の複合仮撚糸を得る点にある。
【0035】先ず、原糸5、6に関して、必要な熱収縮
特性について説明する。芯糸となる原糸5は、複合仮撚
加工されて複合仮撚糸の芯糸となった後も高い熱収縮率
を維持していることが必要である。
【0036】そのため、原糸として沸水収縮率が30〜
100%のポリエステルマルチフィラメント糸を用い、
かつ、そのマルチフィラメント糸は複合仮撚糸が染色仕
上工程で常圧沸水中で収縮し、続いて高圧120〜13
0℃熱水中および160〜180℃乾熱熱風中で熱処理
されても、その収縮を保持し、また更に熱収縮するとい
う特性を付与し得るものでなければならない。従って、
そのような特性を付与しうる原糸として、共重合成分が
5〜18モル%共重合された共重合ポリエステルのマル
チフィラメントを用いる。このような特性を有するマル
チフィラメント糸は、例えば、該共重合ポリエステルを
紡糸速度2500〜3500m/minで紡糸すること
によって、加熱することなく延伸しても均一に延伸でき
る高配向未延伸糸を得、これを室温で延伸し、熱セット
しないで、また低温でセットして巻き取ることによって
製造される。
【0037】芯糸となるべき原糸5の沸水収縮率が30
%未満の場合には、低温で複合仮撚加工しても熱収縮率
が15%以上の複合仮撚糸を得ることができない。ま
た、沸水収縮率が30%以上あっても共重合量が0〜5
モル%未満のポリエステルのフィラメント糸では、複合
仮撚糸の染色仕上工程で、常圧沸水中で収縮しても、そ
の後の高圧130℃処理や乾熱180℃処理によって自
己伸長を起し、一旦発生したパフ、サッカー、シボ、楊
柳等の効果が伸びる懸念がある。このような、本発明に
適さない原糸には、例えばポリエチレンテレフタレート
からなるポリエステルを3300m/minで紡糸して
得た高配向未延伸糸を室温で延伸して熱セットすること
なく巻取った沸水収縮率35%のマルチフィラメントが
あるが、このフィラメントを使った複合仮撚糸では、沸
水処理では収縮してもそれ以上の温度で自己伸長を起す
ので、芯糸と巻付糸の間で緩み嵩高となり、またパフ、
サッカーも消えてしまう。
【0038】また、巻付糸となるべき原糸6は複合仮撚
加工され複合、仮撚糸の巻付糸となったとき、1重巻付
部、3重巻付部共に、その後の染色仕上げ加工の熱処理
で芯糸に対して巻付糸の巻付状態が緩むことのないよう
に、また3重巻付部は1重巻付部より強固に芯糸に巻付
いて芯糸の熱収縮を阻止し1重巻付部との間に熱収縮差
を発生する。
【0039】また、複合仮撚糸の巻付糸として、染色仕
上工程で芯糸が熱収縮するとき、その挙動を助長し、か
つ1重巻付部と3重巻付部との熱収縮差を確実に確保す
る為には、巻付糸となる原糸も5〜18モル%の共重合
成分を共重合した、沸水収縮率が30〜100%の範囲
の共重合ポリエステルフィラメント糸を採用することが
必要である。
【0040】巻付糸となるべき原糸6が沸水収縮率30
%未満の場合は、染色仕上工程で複合仮撚糸の芯糸と巻
付糸との間に緩みができ、1重巻付部と3重巻付部との
間に収縮差が生ぜず従って、パフ、サッカー、シボ、楊
柳の効果を奏することがない。
【0041】逆に、沸水収縮率が100%を越える場合
は、そのような原糸は共重合成分を18モル%を越えて
共重合した共重合ポリエステルの未延伸糸を室温で延伸
し、熱セットすることなく巻取って製造することが必要
で、共重合成分が多い為、衣服にアイロンがけしたとき
糸条が膠着し、風合を損ねる等の問題が生じる。
【0042】なお、沸水収縮率が30%以上であって
も、その後100℃を越える熱処理を受けたとき自己伸
長するような原糸は、染色仕上工程の熱処理で芯糸と巻
付糸との間に緩みができてしまうので、使用することは
できない。このような原糸には、ポリエチレンテレフタ
レートからなる低配向未延伸糸、高配向未延伸糸があ
る。
【0043】なお、芯糸なるべき原糸5と巻付糸となる
べき原糸6の沸水収縮率は、沸水収縮率BWS(%)=
(1−l2 /l1 )×100により求める。ここで、l
1 は沸水処理前の試料に0.1g/deの荷重をかけて
測定した試料長、l2 は試料を98℃の熱水中で30分
間フリー処理を行い、風乾後、0.1g/deの荷重を
かけて測定した試料長である。
【0044】そして、前記の熱収縮特性の原糸を組み合
わせて下記のヒーター温度で複合仮撚加工する。ヒータ
ー11による熱処理温度は、110〜180℃の範囲に
設定する。110℃未満では、複合仮撚糸の熱収縮率を
高くできるが、1重巻付部と3重巻付部との熱収縮率に
7%以上の差を付けることができない。110℃〜16
0℃範囲では、温度上昇に伴う糸条全体の熱収縮率と1
重巻付部の熱収縮率の低下は僅かであるのに対し、3重
巻付部の熱収縮率は低下していくので、1重巻付部と3
重巻付部の熱収縮差を大きくすることができる。そし
て、160℃から180℃の間は平衡状態に達し、18
0℃を越えると、芯糸が共重合ポリエステルからなるた
め加工中の糸条が溶断し易くなる。また温度が高い程、
得られる複合仮撚糸のトルクが大きくなる傾向があり、
110〜160℃の範囲で大きくなり160〜180℃
の範囲で略平衡状態にある。このような挙動から、ヒー
ター11による熱処理温度は110〜180℃の範囲の
加工が必要で、120〜160℃の範囲が好ましく、1
40〜160℃の範囲が最も好ましい。
【0045】
【実施例】
[実施例1、2および比較例1、2]本発明に使用する
原糸として、イソフタル酸を12モル%共重合したポリ
エステルポリマーを紡糸速度3300m/minで紡糸
して得た高配向未延伸糸(50デニール12フィラメン
ト、伸度115%)を用いて、沸水収縮率の異なる2種
のフィラメント糸を準備した。その1は、該高配向未延
伸糸を室温で延伸倍率1.6倍で延伸した、30デニー
ル12フィラメント、伸度35%、沸水収縮率78%の
延伸糸(A)、その2は、温度80℃で同様に延伸した
30デニール12フィラメント、伸度34%、沸水収縮
率33%の延伸糸(B)である。
【0046】また、比較用の原糸として、従来技術とし
て挙げた特開平2―242937号公報の実施例に使用
されている原糸の作り方に従って、略同程度の沸水収縮
率の糸条を2種類準備した。その1つは、イソフタル酸
7.0モル%共重合した共重合ポリエステルからなる沸
水収縮率20%、30デニール12フィラメント
(C)、その2は、ポリエチレンテレフタレートポリマ
ーからなる沸水収縮率7%、30デニール12フィラメ
ント(D)である。
【0047】実施例1として芯糸用、巻付糸用原糸共に
(A)に用い、実施例2として芯糸用、巻付糸用原糸共
に(B)を用い、比較例1として芯糸用に(A)、巻付
糸用に(C)を用い、比較例2として芯糸用に(C)、
巻付糸用に(D)を用いた。
【0048】そして、これら原糸の組合せで、図2の工
程により、仮撚数2500T/M、巻付糸OF85%、
巻付糸を芯糸に供給する距離35cm、ヒーター温度1
60℃、加工速度100m/minで加工し、87デニ
ール24フィラメントの複合仮撚糸を得た。
【0049】夫々得られた複合仮撚糸を経118本/鯨
寸、緯118本/鯨寸の密度で平織で製織し、リラック
ス、染色、セットして仕上げた。
【0050】得られた複合仮撚糸の熱収縮特性と織物の
風合外観を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】実施例1と2は、本発明の複合仮撚糸の熱
収縮特性を有し、織物も清涼感とパフ、サッカー効果が
得られ夏向の織物として好適のものであった。
【0053】それに対し、比較例1、2は複合仮撚糸の
熱収縮特性も本発明の範囲外にあり、織物も仕上工程で
巻付構造が緩み清涼感はなくむしろ嵩高で暖かみのある
ものであり、パフ、サッカー効果もなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、複合仮撚糸の1重・3
重巻付、cm単位のS・Z同方向巻付撚および強固な巻
付によって夏向の清涼感風合を維持しながら、複合仮撚
糸全体の高い熱収縮率および1重巻付部の熱収縮率を3
重巻付部の熱収縮率より高く設計したことによりパフ、
サッカー調の夏向の外観・風合効果を表現できる。
【0055】さらに、複合仮撚糸に実撚加撚を施すこと
によって、強いシボや楊柳調の外観・風合効果を表現す
ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合仮撚糸の構造を示す側面模式図。
【図2】本発明の製造方法を実施するための工程を例示
した略線図。
【符号の説明】
1 芯糸 2 巻付糸 3 1重巻付部 4 3重巻付部 5 芯糸となるべきマルチフィラメント糸 6 巻付糸となるべきマルチフィラメント糸 7 供給ローラ 8 供給ローラ 9 ガイド 10 巻付域 11 ヒーター 12 仮撚具 13 引取ローラ 14 巻取装置
フロントページの続き (72)発明者 山下 幹雄 石川県小松市今江町6丁目349番地 帝人 加工糸株式会社内 (72)発明者 谷 正幸 石川県小松市今江町6丁目349番地 帝人 加工糸株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少くとも2種のマルチフィラメント糸を
    同時に仮撚加工して得られ、一方のマルチフィラメント
    糸を芯糸とし、他方のマルチフィラメント糸を巻付糸と
    して巻付糸が芯糸に対し1重に巻付いた部分と3重に巻
    付いた部分とを、その長手方向に沿って交互に形成した
    複合仮撚糸において、該芯糸および巻付糸の双方共に共
    重合成分が5〜18モル%共重合された共重合ポリエス
    テルから構成され、且つ複合仮撚糸全体の熱収縮率(9
    8℃での熱水収縮+180℃での乾熱収縮の合計値)が
    15〜30%の範囲にあり、しかも1重巻付部の熱収縮
    率が3重巻付部の熱収縮率より7〜15%大きいことを
    特徴とする複合仮撚糸。
  2. 【請求項2】 芯糸となるマルチフィラメント糸に対し
    て、巻付糸となるマルチフィラメント糸を過剰供給しつ
    つ同時に仮撚加工し、芯糸に対して巻付糸が1重に巻付
    いた部分と3重に巻付いた部分とを交互に形成させる複
    合仮撚加工において、該芯糸および巻付糸となるマルチ
    フィラメント糸として、共重合成分が5〜18モル%の
    範囲で共重合され、沸水収縮率が30〜100%の範囲
    にある共重合ポリエステルマルチフィラメント糸を用
    い、且つ、仮撚加工温度を110〜180℃の範囲に維
    持しながら複合仮撚加工することを特徴とする複合仮撚
    糸の製造方法。
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