JPH10188265A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH10188265A
JPH10188265A JP34423296A JP34423296A JPH10188265A JP H10188265 A JPH10188265 A JP H10188265A JP 34423296 A JP34423296 A JP 34423296A JP 34423296 A JP34423296 A JP 34423296A JP H10188265 A JPH10188265 A JP H10188265A
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JP
Japan
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magnetic
fatty acid
ferromagnetic powder
acid ester
recording medium
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Withdrawn
Application number
JP34423296A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kurihara
研一 栗原
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Haruo Watanabe
春夫 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間記録化を図るために、摺動時間を長
く、或いはスキャンスピードを速くしても、磁気ヘッド
に焼き付き物を発生させず、スペーシングロスによる出
力低下を抑え、エラーレートの上昇を防止できる磁気記
録媒体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性
塗料を調整するに際して、上記磁性塗料内に、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルを添加し、その後にビピリジン誘
導体、フェナントリン誘導体の少なくともいずれかを添
加することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。ま
た、これにより得られた磁性塗料が非磁性支持体上に塗
布されて磁性層が形成されてなる磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドに焼き
付き物が付着するのを防止する磁気記録媒体及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野、特にハードディスクの
バックアップ用のデータカートリッジやデジタルビデオ
レコーダー等においては、一層の高容量記録化に伴う長
時間記録化が要求されている。この長時間記録化は、従
来、テープの厚さを薄くすることによりテープの長さを
増加させる、或いはカセットシェルの変更等によりテー
プの長さを増加させることで対応してきた。
【0003】上記データカートリッジにおいては、一般
にヘリカルスキャン方式による記録再生が適用されてい
る。ところが、ヘリカルスキャン方式では、磁性層表面
と磁気ヘッドが高速で摺動するために、磁気テープ走行
時に磁気ヘッド表面は高温となり、磁気ヘッドの表面に
焼き付き物が生成しやすくなる傾向がある。そして、長
時間記録化に伴い、摺動時間を長く、或いはスキャンス
ピードを速くすると、より磁気ヘッドの表面上に焼き付
き物を生成しやすくなる。
【0004】特に、高温低湿のような環境下では磁気テ
ープの研磨力が減少するため、トライボロジカルに生成
した金属酸化物等が焼き付きを起こしたとき、この焼き
付き物等が研磨されずに磁気ヘッド表面に蓄積されてし
まう。そして、この蓄積された焼き付き物等によって、
磁気テープと磁気ヘッド間に隙間(スペーシング)が生
じ、所定の信号出力が得られなくなるという問題が発生
する。
【0005】現在、電磁変換特性を向上させ、スペーシ
ングロスを減少させるために、スーパーカレンダー処理
等によりテープ表面性を向上させることが行われてお
り、磁気テープと磁気ヘッドとの摩擦は一層高くなる傾
向にある。しかし、この傾向は、上述した磁気ヘッド表
面への焼き付き物の生成を促進するものである。
【0006】この磁気ヘッドへの焼き付き物を発生させ
ないために、アスコルビン酸誘導体のような還元剤を酸
化防止剤として磁気テープに添加する試みがなされた
り、摩擦を低減させるために、磁気テープに保持させる
潤滑剤の量を多くする試みがなされたりしてきた。一
方、いったん生成した焼き付き物を除去するために物理
的にヘッドを研磨するためのクリーニングテープが用い
られたり、磁気ヘッドを逐次研磨するためのクリーニン
グロールメカニズムをシステム内に取り付ける方法が検
討されてきた。
【0007】しかしながら、磁気テープに酸化防止剤や
潤滑剤を保持させても、いったん生成された焼き付き物
を除去することはできない。また、物理的に磁気ヘッド
を研磨する方法によっても、研磨力を高めすぎると必要
以上に磁気ヘッドを研磨し、特性を劣化させるという問
題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、か
かる従来の実情に鑑みてなされたものであり、長時間記
録化を図るために、摺動時間を長く、或いはスキャンス
ピードを速くしても、磁気ヘッドに焼き付き物を発生さ
せず、スペーシングロスによる出力低下を抑え、エラー
レートの上昇を防止できる磁気記録媒体及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達成せんものと鋭意検討を重ねた結果、ピリジン誘
導体、フェナントリン誘導体の少なくともいずれかとポ
リグリセリン脂肪酸エステルとを組み合わせて磁性層に
保持させることにより、磁気ヘッドに焼き付き物が生成
するのを抑制することを見い出し、本発明を完成させる
に至った。
【0010】すなわち、本発明に係る磁気記録媒体は、
非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁
性塗料が塗布されて磁性層が形成されてなり、上記磁性
層は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するととも
に、ビピリジン誘導体、フェナントリン誘導体の少なく
ともいずれかを含有することを特徴とする。
【0011】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、
強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性塗料を調整する
に際して、上記磁性塗料内に、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルを添加し、その後にビピリジン誘導体、フェナン
トリン誘導体の少なくともいずれかを添加することを特
徴とする。
【0012】したがって、磁性塗料を調整するに際して
は、強磁性粉末にあらかじめポリグリセリン脂肪酸エス
テルにより表面処理を施し、その後に、表面処理を施さ
れた強磁性粉末と、結合剤とを、ビピリジン誘導体、フ
ェナントリン誘導体の少なくともいずれかとともに混
練、分散するとよい。あるいは、強磁性粉末と、結合剤
と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを混練、分散し、
その後に、ビピリジン誘導体、フェナントリン誘導体の
少なくともいずれかを添加してもよい。
【0013】本発明では、磁性粉末の分散剤であるポリ
グリセリン脂肪酸エステルと、金属と錯形成能を有する
ビピリジン誘導体或いはフェナントリン誘導体とを組み
合わせて磁性層内に保持させることにより、磁気ヘッド
に焼き付き物が付着するのを防止することができる。
【0014】すなわち、ここでは、ポリグリセリン脂肪
酸エステルが強磁性粉末に十分吸着することにより、強
磁性粉末の分散性を向上させ、かつビピリジン誘導体や
フェナントリン誘導体が強磁性粉末へ配位することを妨
げる。これにより、ビピリジン誘導体やフェナントリン
誘導体が単独で磁性層に分散、あるいは磁性層表面に付
着するようになる。そして、このビピリジン誘導体やフ
ェナントリン誘導体は、磁気ヘッド表面に生成した焼き
付き物と錯形成反応を行い、焼き付き物を磁気ヘッド表
面から容易に脱離する錯体とし、磁気ヘッド表面に焼き
付き物を蓄積させない。
【0015】このように、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルは、磁性粉末を分散させるのみならず、ビピリジン誘
導体やフェナントリン誘導体が強磁性粉末に配位するの
を抑え、ビピリジン誘導体やフェナントリン誘導体が焼
き付き物との錯形成反応に有効に寄与できるようにして
いる。
【0016】なお、上記ポリグリセリン脂肪酸エステル
には、下記の化7にて示される化合物を用いることが好
ましい。
【0017】
【化7】
【0018】また、上記ビピリジン誘導体には、下記の
化8にて示される化合物を用い、上記フェナントリン誘
導体には、下記の化9にて示される化合物を用いること
が好ましい。
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】さらに、上記磁性層は、ポリグリセリン脂
肪酸エステルを強磁性粉末100重量部に対して0.5
〜5重量部なる割合で含有することが好ましい。
【0022】ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が
上記下限より少ない場合には、ビピリジン誘導体やフェ
ナントリン誘導体が強磁性粉末に配位し、焼き付き防止
効果が低下するとともに、強磁性粉末の分散性が低下
し、良好な電磁変換特性を確保出来なくなる。また、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルの含有量が上記上限より多
い場合には、結合剤と未反応の官能基が磁性層中に多く
残存し、これらが相互作用を及ぼし合うために分散性が
低下する。
【0023】また、上記磁性層は、ビピリジン誘導体、
フェナントリン誘導体の少なくともいずれかを強磁性粉
末100重量部に対して0.3〜10重量部なる割合で
含有することが好ましい。
【0024】ビピリジン誘導体或いはフェナントリン誘
導体の含有量が上記下限より少ない場合には、焼き付き
防止効果が十分でない。また、ビピリジン誘導体或いは
フェナントリン誘導体の含有量が上記上限より多い場合
には、磁気ヘッドの走行性を阻害する、或いは磁性粉末
の分散性を低下させるため、良好な電磁変換特性を確保
できなくなる。
【0025】したがって、このように磁性層にポリグリ
セリン脂肪酸エステルを添加するとともに、ビピリジン
誘導体、フェナントリン誘導体の少なくともいずれかが
添加された磁気記録媒体においては、磁気ヘッドに焼き
付き物が蓄積することによるスペーシングロスの出力低
下が防止され、エラーレートを低く抑えることが可能と
なる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の具体的な実施の形態について説明する。
【0027】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性塗料が塗
布されて磁性層が形成されてなり、上記磁性層は、ポリ
グリセリン脂肪酸エステルを含有するとともに、ビピリ
ジン誘導体、フェナントリン誘導体の少なくともいずれ
かを含有することを特徴とする。以下、ここで、ビピリ
ジン誘導体或いはフェナントリン誘導体を配位子と称す
る。
【0028】この磁気記録媒体の製造方法は、強磁性粉
末と結合剤とを主体とする磁性塗料を調整するに際し
て、上記磁性塗料内に、ポリグリセリン脂肪酸エステル
を添加し、その後に配位子を添加することを特徴とす
る。
【0029】本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルは、配位子より先に磁性塗料内に添加しておく必
要がある。このため、磁性塗料を調整するに際しては、
強磁性粉末にあらかじめポリグリセリン脂肪酸エステル
により表面処理を施し、その後に、表面処理を施した強
磁性粉末と結合剤とを、配位子とともに混練、分散する
とよい。あるいは、強磁性粉末と、結合剤と、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルとを混練、分散し、その後に、配
位子を添加するとよい。
【0030】本発明では、磁性粉末の分散剤であるポリ
グリセリン脂肪酸エステルと、金属と錯形成能を有する
配位子(ビピリジン誘導体或いはフェナントリン誘導
体)とを組み合わせて、磁性層内に含有させることによ
り、磁気ヘッドに焼き付き物が付着するのを防止するこ
とができる。
【0031】すなわち、ここでは、ポリグリセリン脂肪
酸エステルが強磁性粉末に十分吸着することにより、強
磁性粉末の分散性を向上させ、かつ配位子が強磁性粉末
へ配位することを妨げる。これにより、配位子が単独で
磁性層に分散、あるいは磁性層表面に付着するようにな
る。そして、この配位子は、磁気ヘッド表面に生成した
焼き付き物と錯形成反応を行い、焼き付き物を磁気ヘッ
ド表面から容易に脱離する錯体とし、磁気ヘッド表面に
焼き付き物を蓄積させない。もし、ポリグリセリン脂肪
酸エステルが添加されない場合には、配位子が強磁性粉
末に配位して錯体となるため、磁気ヘッド表面の焼き付
き物(金属酸化物)と錯形成しなくなり、結果としてヘ
ッド表面の焼き付き物を除去できなくなる。
【0032】このように、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルは、強磁性粉末を分散させるのみならず、配位子が強
磁性粉末に配位するのを抑え、配位子が焼き付き物との
錯形成反応に有効に寄与出来るようにしている。
【0033】したがって、このように磁性層にポリグリ
セリン脂肪酸エステルを添加するとともに、配位子(ビ
ピリジン誘導体、フェナントリン誘導体の少なくともい
ずれか)が添加された磁気記録媒体においては、磁気ヘ
ッドに焼き付き物が蓄積することによるスペーシングロ
スの出力低下が防止され、エラーレートを低く抑えるこ
とが可能となる。
【0034】ところで、上記配位子と組み合わせて使用
するポリグリセリン脂肪酸エステルは、強磁性粉末に対
して強い吸着性を示す表面処理剤であれば、何等限定さ
れるものではないが、下記の化10にて示される化合物
が好ましく用いられる。
【0035】
【化10】
【0036】なお、化10式中、Cn2(n-m)+1COで
表されるアシル基は、直鎖であっても、分岐していても
よい。直鎖の場合には、nを11〜19程度の整数にす
るのが望ましい。また、アシル基は、Cn2(n-m)+1
Oで示されるとおり、単結合だけであっても2重結合或
いは3重結合が含まれていてもよい。
【0037】また、化10式中、xは、1以上の任意の
整数をとることが可能である。しかし、xの値が大きく
なると、一定重量内に含まれるポリグリセリン脂肪酸エ
ステルの分子数が減少する。したがって、xの値が大き
くなると、強磁性粉末に吸着できるポリグリセリン脂肪
酸の分子数が減少し、強磁性粉末の分散効果が低減す
る。さらには、配位子の強磁性粉末への吸着も生じ、磁
気ヘッドの焼き付き防止効果も低減する。このため、化
10式中、xは、10以下の整数にすることが好まし
い。
【0038】上述したポリグリセリン脂肪酸エステルの
含有量は、強磁性粉末100重量部に対して0.5〜5
重量部であることが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルの含有量が上記下限より少ない場合には、配位子
が強磁性粉末に配位し、焼き付き防止効果が低下すると
ともに、強磁性粉末の分散性が低下し、良好な電磁変換
特性を確保出来なくなる。また、ポリグリセリン脂肪酸
エステルの含有量が上記上限より多い場合には、結合剤
と未反応の官能基が磁性層中に多く残存し、これらが相
互作用を及ぼし合うために分散性が低下する。したがっ
て、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、強磁性
粉末の分散性を向上させ、磁気ヘッドに焼き付き物が生
成するのを抑制するために、強磁性粉末100重量部に
対して0.5〜5重量部が好ましい。
【0039】なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルとし
ては、2種類以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを使
用してもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルを他の添
加剤と組み合わせて使用してもよく、ポリグリセリン脂
肪酸エステルの含有量が上述した範囲内であればよい。
【0040】一方、ここで用いられる配位子としては、
下記の化11にて示されるビピリジン誘導体や、下記の
化12にて示されるフェナントリン誘導体が好ましい。
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】上記ビピリジン誘導体、フェナントリン誘
導体の少なくもいずれかからなる配位子の含有量は、強
磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部であ
ることが好ましい。配位子の含有量が上記下限より少な
い場合には、磁気ヘッドへ焼き付き物が生成するのを抑
制する効果が十分でない。また、配位子の含有量が上記
上限より多い場合には、磁気ヘッドの走行性を阻害す
る、或いは磁性粉末の分散性を低下させ良好な電磁変換
特性を確保できなくなる。したがって、配位子の含有量
は、強磁性粉末の分散性を向上させ、磁気ヘッドに焼き
付き物が生成するのを抑制する効果を十分に発揮するた
めに、強磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重
量部が好ましい。
【0044】なお、配位子としては、ビピリジン誘導体
或いはフェナントリン誘導体を1種単独で使用してもよ
く、これらを複数種組み合わせて使用してもよく、これ
らを併せた配位子の含有量が上述した範囲内であればよ
い。
【0045】また、上記磁性層を形成するために用いら
れる強磁性粉末としては、Fe、Co、Ni等の金属、
Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−A
l、Fe−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−
Ni−Si−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−N
i−Zn、Co−Ni、Co−P、Fe−Co−Ni、
Fe−Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe
−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn
−Al、Fe−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等が
挙げられる。もちろん、還元時の焼結防止または形状維
持等の目的として、Al、Si、P、B等の軽金属元素
を適当量添加しても、本発明の効果を妨げるものではな
い。
【0046】さらに、強磁性粉末としては、γ−Fe2
3、Fe34、γ−Fe23とFe34とのベルトラ
イド化合物、Coを含有するγ−Fe23、Coを含有
するFe34、Coを含有するγ−Fe23とFe34
とのベルトライド化合物、CrO2に1種またはそれ以
上の金属元素、例えばTe、Sb、Fe、B等を含有さ
せた酸化物等が挙げられる。また、六方晶系板状フェラ
イトも使用可能であり、M型、W型、Y型、Z型のバリ
ウムフェライト、ストロンチウムフェライト、カルシウ
ムフェライト、鉛フェライト等が挙げられる。また、こ
れらに、保磁力を制御する目的で、Co−Ti、Co−
Ti−Zn、Co−Ti−Nb、Co−Ti−Zn−N
b、Cu−Zr、Ni−Ti等を添加したものも使用可
能である。
【0047】これら強磁性粉末は、それぞれ一種単独で
使用することも可能であるが、2種類以上を併用するこ
とも可能である。
【0048】また、本発明に用いられる強磁性粉末の比
表面積は、30〜80m2/g、好ましくは40〜70
2/gであることが望ましい。比表面積が、上記範囲
内にあると、強磁性粉末の形状の微粒子化に伴い、高密
度記録が可能となり、ノイズ特性に優れた磁気記録媒体
を得ることが可能である。
【0049】さらに、本発明に用いられる強磁性粉末
は、長軸長0.05〜0.50μm、軸比が2〜15で
あることが好ましい。長軸長が0.05μm未満である
場合には、磁性塗料中の分散が困難となり、長軸長が
0.50μmを越える場合には、ノイズ特性が劣化する
恐れがあり好ましくない。軸比が5未満である場合に
は、強磁性粉末の配向性が低下し出力が低下する。軸比
が15を越える場合には、短波長信号出力が低下する恐
れがあり好ましくない。板状フェライトの場合には、板
径0.01〜0.5μm、板厚0.001〜0.2μm
程度が好ましい。長軸長、軸比、板径、及び板厚は、透
過型電子顕微鏡写真から無作為に選んだ100サンプル
以上の平均値を採用する。
【0050】また、上記磁性層に含有させる結合剤に
は、従来より磁気記録媒体用の結合剤として使用される
公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が使
用可能であり、数平均分子量が5000〜100000
のものが好ましい。
【0051】熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、
酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロ
ニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化
ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共
重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メ
タクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エ
ステル−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニル
ブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテート
ブチレート、セルロースダイアセテート、セルロースト
リアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセル
ロース)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が
挙げられる。
【0052】熱硬化性樹脂または反応性樹脂の例として
は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シ
リコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド
樹脂などが挙げられる。
【0053】また、上記の全ての結合剤には、顔料の分
散性を向上させるために、−SO3M、−OSO3M、−
COOM、P=O(OM)2等の極性官能基を導入して
もよい。ここで、式中Mは、水素原子或いはリチウム、
カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。さら
に、上記極性官能基としては、−NR12、 −NR1
23 +-の末端基を有する側鎖型のもの、>NR12+
-の主鎖型のものが挙げられる。ここで、式中R1、R
2、R3は、水素原子或いは炭化水素基であり、Xは、フ
ッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオン或い
は無機・有機イオンである。また、−OH、−SH、−
CN、エポキシ基等の極性官能基もある。これら極性官
能基の含有量は、10-8〜10-1mol/gであり、好
ましくは10-6〜10-2mol/gである。
【0054】これら結合剤は、一種単独で用いることも
可能であるが、2種類以上を併用することも可能であ
る。磁性層における結合剤の含有量は、強磁性粉末また
は非磁性粉末100重量部に対して、1〜200重量
部、好ましくは10〜50重量部である。結合剤の含有
量が多すぎる場合には、相対的に強磁性粉末の磁性層に
占める割合が低下して出力が低下し、また、ドライブで
の繰り返し摺動等により塑性流動を起こしやすくなり、
磁気記録媒体の走行耐久性が低下する。一方、結合剤の
含有量が少なすぎる場合には、塗膜が脆くなり、磁気記
録媒体の走行耐久性が低下してしまう。
【0055】さらには、上記結合剤を架橋硬化させるポ
リイソシアネートを併用することも可能である。このポ
リイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート
並びにこれらの付加体、アルキレンジイソシアネート並
びにこれらの付加体が挙げられる。これらポリイソシア
ネートの上記結合剤への配合量は、上記結合剤100重
量部に対して、5〜80重量部、好ましくは、10〜5
0重量部である。
【0056】また、磁性層を形成するには、磁性塗料を
非磁性支持体上に塗布乾燥して形成するが、この塗料化
に用いられる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール
等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコー
ルアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メ
チレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、
クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
系溶媒等が挙げられる。
【0057】さらに、必要に応じて上記磁性層に潤滑剤
を含有させることが可能である。上記潤滑剤としては、
黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、シリコ
ーンオイル、炭素数が10〜22の脂肪酸、並びにこれ
と炭素数が2〜26のアルコールからなる脂肪酸エステ
ル、テルペン化合物、並びにこれらのオリゴマー等が挙
げられる。
【0058】また、必要に応じて上記磁性層に研磨剤粒
子を含有させることが可能である。上記研磨剤粒子とし
ては、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、
炭化硅素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化
ホウ素、チタンカーバイト、炭化硅素、炭化チタン、酸
化チタン(ルチル、アナターゼ)等が挙げられる。これ
らの研磨剤粒子は、強磁性粉末100重量部に対して、
20重量部以下、好ましくは10重量部以下が望まし
い。また、これらの研磨剤粒子は、モース硬度が4以
上、好ましくは5以上であり、比重が2〜6、好ましく
は、3〜5の範囲が望ましい。平均粒径は、0.5μm
以下、好ましくは、0.3μm以下が望ましい。研磨剤
粒子の平均粒径も、強磁性粉末の場合と同様に、透過型
電子顕微鏡写真から測定し、統計処理する。
【0059】以上、上述したポリグリセリン脂肪酸エス
テル、配位子、磁性粉末、結合剤、要すれば潤滑剤、研
磨剤等から磁性塗料を調整し、非磁性支持体上に塗布、
乾燥することによって磁性層を形成する。
【0060】上記非磁性支持体としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテ
ート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、
ポリカーボネート類に代表されるような高分子材料、或
いは、金属、ガラス、セラミックス等により形成される
支持体等が挙げられる。
【0061】なお、磁性塗料の調整は、混練工程、混合
工程、分散工程の各工程によって行われる。分散及び混
練には、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジタ
ー、ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超
音波分散機等が用いられる。磁性塗料の調整後は、この
磁性塗料を非磁性支持体上に吹き付け或いはロール塗布
等の任意の方法で塗布、乾燥させればよい。
【0062】ところで、本発明に係る磁気記録媒体の構
成は、特に限定されるものではなく、磁気記録媒体の走
行性の向上や帯電防止及び転写防止などを目的として、
非磁性支持体の磁性層形成面とは反対側の面にバックコ
ート層を設けてもよい。さらに、必要に応じて、磁性層
上に潤滑剤や防錆剤等からなるトップコート層を設けて
もよい。これらトップコート層やバックコート層は、磁
性塗料を塗布乾燥後、カレンダー装置に導き、巻取りロ
ールに巻取ってから塗布、乾燥させればよい。
【0063】以上が本発明の基本的な構成であるが、こ
の磁気記録媒体には、この他にも付加的な構成をもたせ
ることで、さらなる特性の向上を図るようにしてもよ
い。
【0064】たとえば、磁性層と非磁性支持体との間に
は、磁性層(上層)の平滑性を得る目的で、非磁性粉末
を結合剤中に分散させた非磁性層(下層)を設けること
も可能である。これは、一般に重層塗布型磁気記録媒体
と呼ばれるものである。重層塗布型磁気記録媒体の場合
に、非磁性層に用いられる非磁性粉末としては、例え
ば、α−Fe23等の非磁性酸化鉄、ゲータイト、ルチ
ル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸
化タングステン、酸化硅素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸
化セリウム、チタンカーバイト、BN,α−アルミナ、
β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン
酸バリウム等がある。
【0065】これらの非磁性粉末は、単独で用いること
も可能であるし、複数を混合して用いることも可能であ
る。また、これら非磁性粉末は、目的に応じて適当量の
不純物をドープすることも可能であるし、分散性の改
良、導電性の改良、導電性の付与、色調の改善等の目的
で、Al、Si、Ti、Sn、Sb、Zr等の化合物で
表面処理することも可能である。非磁性粉末の非表面積
は、30〜80m2/g、好ましくは40〜70m2/g
である。
【0066】また、非磁性層には、上述した非磁性粉末
の他に、必要に応じてゴム用ファーネス、熱分解カーボ
ン、カラー用ブラック、アセチレンブラック等のカーボ
ンブラックが含まれていてもよい。これらカーボンブラ
ックの比表面積は、100〜400m2/g、DBP
(Dibutyl phthalate)吸油量は、2
0〜200ml/100gであることが好ましい。
【0067】なお、非磁性粉末及びカーボンブラックの
比表面積を規定するのは、非磁性層(下層)を平滑な表
面で形成し、これによって磁性層(上層)が平滑な表面
で形成されるようにするためである。磁性層(上層)が
平滑化されることにより、変調ノイズ特性に優れ、スペ
ーシングロスの影響の少ない磁気記録媒体を得ることが
可能となる。
【0068】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明が本実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。
【0069】実験例a 以下、実験例1−a〜実験例19−aでは、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルと、化13で示される配位子(ビピ
リジン誘導体)とを、それぞれの添加量や種類を変えて
磁性層に保持させ、磁気テープを作製した。
【0070】<実験例1−a> 磁性塗料の調整及び磁気記録媒体の作製 磁性塗料の組成 Fe系メタル強磁性粉末 100重量部 (保磁力:160kA/m、飽和磁化量:145Am2/kg 比表面積:51m2/g、長軸長:0.08μm、針状比:3) ポリ塩化ビニル樹脂(商品名:MR−110、日本ゼオン社製) 14重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡社製) 3重量部 添加剤(Al23) 5重量部 下記の化14で示されるポリグリセリン脂肪酸エステル 3重量部 ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 先ず、上記の組成で示される強磁性粉末、結合剤、添加
剤、溶剤、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを混合
し、エクストルーダーにより混練した後、サンドミルで
6時間分散した。
【0071】次に、これにポリイソシアネートを3重量
部添加し、表1に示すように、化13における置換基R
4〜R11がHである配位子1(ビピリジン誘導体)を、
表2に示すように3重量部添加し、磁性塗料を調整し
た。そして、この磁性塗料を厚み7μmのベースフィル
ム(ポリエチレンテレフタレート)上に厚みが6.5μ
mとなるように塗布した。その後、ソレノイドコイルに
より配向処理を行い、乾燥、カレンダー処理、硬化処理
を行った。
【0072】 バック塗料組成 カーボンブラック(商品名:旭#50) 100重量部 ポリエステルポリウレタン 100重量部 (商品名:ニッポランN−2304) メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部 さらに、上記の組成によるバック塗料をベースフィルム
の上記塗布面とは反対側に塗布した。このようにして得
られたフィルムを8mm幅にスリットして8mmカセッ
トに組み込んで磁気テープを作製した。
【0073】
【化13】
【0074】
【化14】
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】<実験例2−a〜実験例7−a>表1に示
される配位子1(ビピリジン誘導体)の添加量を、表2
に示すような添加量に変えた以外は、実験例1−aと同
様にして磁性塗料を調整し、磁気テープを作製した。
【0078】<実験例8−a〜実験例11−a>化14
で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量を、
表2に示すような添加量に変えた以外は、実験例1−a
と同様にして磁性塗料を調整し、磁気テープを作製し
た。
【0079】<実験例12−a〜実験例13−a>配位
子1(ビピリジン誘導体)を、化13における置換基R
5,R7,R8,R1 0がHであり、置換基R4,R6,R9
11が表1に示す如く種々異なる配位子2(ビピリジン
誘導体)〜配位子3(ビピリジン誘導体)に変えた。な
お、表1中、Arは、アリール基を示す。これ以外は、
実験例1−aと同様にして磁性塗料を調整し、磁気テー
プを作製した。
【0080】<実験例14−a〜実験例18−a>化1
4で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを、下記の
化15〜化19で示されるポリグリセリン脂肪酸エステ
ルに変えた以外は、実験例1−aと同様にして磁性塗料
を調整し、磁気テープを作製した。
【0081】
【化15】
【0082】
【化16】
【0083】
【化17】
【0084】
【化18】
【0085】
【化19】
【0086】<実験例19−a>磁性塗料にポリグリセ
リン脂肪酸エステルを添加せずに、強磁性粉末にポリグ
リセリン脂肪酸エステルによる表面処理を施した。そし
て、この予め表面処理が施された強磁性粉末を結合剤及
び配位子1(ビピリジン誘導体)とともに混練、分散し
た。これ以外は、実験例1−aと同様にして磁性塗料を
調整し、磁気テープを作製した。
【0087】<比較例1−a>表1に示される配位子1
(ビピリジン誘導体)を磁性塗料に添加しなかった以外
は、実験例1−aと同様にして磁性塗料を調整し、磁気
テープを作製した。 <比較例2−a>表1に示される配位子1(ビピリジン
誘導体)を磁性塗料に添加しなかった以外は、実験例1
4−aと同様にして磁性塗料を調整し、磁気テープを作
製した。
【0088】<比較例3−a>化14で示されるポリグ
リセリン脂肪酸エステルを磁性塗料に添加しなかった以
外は、実験例1−aと同様にして磁性塗料を調整し、磁
気テープを作製した。
【0089】実験例b 次に、実験例1−b〜実験例19−bでは、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルと、化20で示される配位子(フェ
ナントリン誘導体)とを、それぞれの添加量や種類を変
えて磁性層に保持させ、磁気テープを作製した。
【0090】<実験例1−b>表1に示される配位子1
(ビピリジン誘導体)を、表3に示すように、化20に
おける置換基R12〜R19がHである配位子4(フェナン
トリン誘導体)に変えて、表4に示すように3重量部添
加した。これ以外は、実験例1−aと同様にして磁性塗
料を調整し、磁気テープを作製した。
【0091】
【化20】
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】<実験例2−b〜実験例7−b>表3に示
される配位子4(フェナントリン誘導体)の添加量を、
表4に示すような添加量に変えた以外は、実験例1−b
と同様にして磁性塗料を調整し、磁気テープを作製し
た。
【0095】<実験例8−b〜実験例11−b>化14
で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量を、
表4に示すような添加量に変えた以外は、実験例1−b
と同様にして磁性塗料を調整し、磁気テープを作製し
た。
【0096】<実験例12−b〜実験例13−b>表3
に示される配位子4(フェナントリン誘導体)を、化2
0における置換基R13,R15,R16,R18がHであり、
置換基R12,R14,R17,R19が表3に示す如く種々異
なる配位子5(フェナントリン誘導体)〜配位子6(フ
ェナントリン誘導体)に変えた。なお、表3中、Ar
は、アリール基を示す。これ以外は、実験例1−bと同
様にして磁性塗料を調整し、磁気テープを作製した。
【0097】<実験例14−b〜実験例18−b>化1
4で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを、上記化
15〜化19で示されるポリグリセリン脂肪酸エステル
に変えた以外は、実験例1−bと同様にして磁性塗料を
調整し、磁気テープを作製した。
【0098】<実験例19−b>磁性塗料にポリグリセ
リン脂肪酸エステルを添加せずに、化14で示されるポ
リグリセリン脂肪酸エステルにより強磁性粉末に予め表
面処理を施した。そして、この表面処理が施された強磁
性粉末を結合剤及び配位子4(フェナントリン誘導体)
とともに混練、分散し、実験例1−bと同様にして磁性
塗料を調整し、磁気テープを作製した。
【0099】<比較例1−b>表3に示される配位子4
(フェナントリン誘導体)を磁性塗料に添加しなかった
以外は、実験例1−bと同様にして磁性塗料を調整し、
磁気テープを作製した。<比較例2−b>表3に示され
る配位子4(フェナントリン誘導体)を磁性塗料に添加
しなかった以外は、実験例15−bと同様にして磁性塗
料を調整し、磁気テープを作製した。
【0100】<比較例3−b>化14で示されるポリグ
リセリン脂肪酸エステルを磁性塗料に添加しなかった以
外は、実験例1−bと同様にして磁性塗料を調整し、磁
気テープを作製した。
【0101】磁気テープの評価 以上、実験例1−a〜実験例19−a及び実験例1−b
〜実験例19−b(以下、これを実験例1〜実験例19
と称する。)、比較例1−a〜比較例3−a及び比較例
1−a〜比較例3−a(以下、これを比較例1〜比較例
3と称する。)で作製された磁気テープについて、電磁
変換特性を測定した。
【0102】電磁変換特性の測定は、固定ヘッド式電特
測定機を用いて行った。この測定機は、回転ドラムとこ
れに接触するヘッドから構成されており、磁気テープは
ドラムに巻き付けられる。実際の測定は、先ず各磁気テ
ープの最適記録電流で10MHzの矩形波信号を記録
し、スペクトクラムアナライザーにより10MHzの出
力レベルを検出するものである。磁気テープ−ヘッド間
の相対速度は、3.33m/sとした。なお、リファレ
ンス(0dB)には、ソニー社製の8mmHi8テープ
を用いた。
【0103】そして、この磁気テープについて、以下の
ようにビデオデッキで記録再生評価を行った。先ず、各
磁気テープに対して1分間の記録を行い、その再生出力
を測定し、これを0dBとした。その後、20分間記録
し、再生操作を10回繰り返してから再び再生出力を測
定し、初期の再生出力を基準とした出力低下(レベルダ
ウン)を求めた。その結果を表5及び表6に示す。
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】表5及び表6の結果から、配位子とポリグ
リセリン脂肪酸エステルとが添加された実験例1〜実験
例19の磁気テープは、配位子が添加されていない比較
例1及び比較例2に比べて、出力低下が少ないことがわ
かる。また、配位子とポリグリセリン脂肪酸エステルと
が添加された各実験例の磁気テープは、ポリグリセリン
脂肪酸エステルが添加されていない比較例3に比べて、
初期出力が大きく、出力低下が少ないことがわかる。こ
のことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルと配位子と
を組み合わせて使用することにより、磁気ヘッドに焼き
付き物が生成するのを抑制することがわかる。
【0107】また、実験例1及び実験例19の結果から
分かるように、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、配位
子よりも前に磁性層に添加されていればよく、磁性塗料
を調整するに際して、配位子よりも先にポリグリセリン
脂肪酸エステルを磁性塗料に添加しても、強磁性粉末に
予め表面処理を施して磁性塗料を調整しても同様の効果
が得られることがわかる。
【0108】なお、配位子として、表1及び表3に示さ
れるように、各種官能基を有する化合物を用いたが、特
に特性上大きく変化せず、いずれも大きな焼き付き防止
効果が得られた。
【0109】また、ポリグリセリン脂肪酸エステルとし
て、化14〜化19で示される各種構造を有するものを
用い、若干強磁性粉末への吸着性の違いにより初期出力
及び出力低下の値にもわずかながらの差がみられたが、
いずれも配位子と組み合わせることにより焼き付き防止
効果が得られた。
【0110】但し、配位子の添加量が0.1重量部であ
る実験例2では、焼き付き防止効果が小さい。また、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルの添加量が0.3重量部で
ある実験例8では、配位子が強磁性粉末に配位してしま
うため、磁気ヘッドの焼き付き物除去に余り寄与せず、
出力の低下が見られる。このことから、強磁性粉末の分
散性を向上させ、焼き付き物の生成を抑制するには、配
位子の添加量が0.3重量部以上、ポリグリセリン脂肪
酸エステルの添加量が0.5重量部以上であることが好
ましいことがわかる。
【0111】また、一般に、各実験例では、配位子の添
加量が多いほど出力低下が小さく、ポリグリセリン脂肪
酸エステルの添加量が多いほど初期出力が大きいが、実
験例7及び実験例11の結果から分かるように、いずれ
も多すぎると強磁性粉末の分散性を低下させ、初期出力
を低下させる。このことから、強磁性粉末の分散性を保
つためには、配位子の添加量が10重量部以下、ポリグ
リセリン脂肪酸エステルの添加量が5重量部以下である
ことが好ましいことがわかる。
【0112】以上の結果から、配位子とポリグリセリン
脂肪酸エステルとを組み合わせて使用することにより、
優れた電磁変換特性を確保し、かつ出力低下を抑えられ
ることがわかる。さらに、配位子とポリグリセリン脂肪
酸エステルの添加量に適正な範囲が存在し、配位子の添
加量が強磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重
量部であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が
強磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量部であ
ることがより好ましいことがわかる。
【0113】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、磁性層にポリグリセリン脂肪酸エステル
と、金属と錯形成能を有するビピリジン誘導体、フェナ
ントリン誘導体の少なくともいずれかとを保持させるこ
とにより、磁気ヘッドに焼き付き物が生成するのを抑制
する。
【0114】したがって、本発明によれば、長時間記録
化を図るために、摺動時間を長く、或いはスキャンスピ
ードを速くしても、スペーシングロスによる出力低下を
抑えられ、エラーレートの上昇を防止できる磁気記録媒
体及びその製造方法を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 春夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤と
    を主体とする磁性塗料が塗布され、磁性層が形成されて
    なる磁気記録媒体において、 上記磁性層は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有す
    るとともに、ビピリジン誘導体、フェナントリン誘導体
    の少なくともいずれかを含有することを特徴とする磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 ポリグリセリン脂肪酸エステルが、下記
    の化1にて示される化合物であることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体。 【化1】
  3. 【請求項3】 ビピリジン誘導体が、下記の化2にて示
    される化合物であることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。 【化2】
  4. 【請求項4】 フェナントリン誘導体が、下記の化3に
    て示される化合物であることを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体。 【化3】
  5. 【請求項5】 磁性層は、ポリグリセリン脂肪酸エステ
    ルを強磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量部
    なる割合で含有することを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性層は、ビピリジン誘導体、フェナン
    トリン誘導体の少なくともいずれかを強磁性粉末100
    重量部に対して0.3〜10重量部なる割合で含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性
    塗料を調整するに際して、 上記磁性塗料内に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添
    加し、その後にビピリジン誘導体、フェナントリン誘導
    体の少なくともいずれかを添加することを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 強磁性粉末にあらかじめポリグリセリン
    脂肪酸エステルにより表面処理を施し、その後に、表面
    処理を施した強磁性粉末と結合剤とを、ビピリジン誘導
    体、フェナントリン誘導体の少なくともいずれかととも
    に、混練、分散することを特徴とする請求項7記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 強磁性粉末と、結合剤と、ポリグリセリ
    ン脂肪酸エステルとを混練、分散し、その後に、ビピリ
    ジン誘導体、フェナントリン誘導体の少なくともいずれ
    かを添加することを特徴とする請求項7記載の磁気記録
    媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリグリセリン脂肪酸エステルとし
    て、下記の化4にて示される化合物を用いることを特徴
    とする請求項7記載の磁気記録媒体の製造方法。 【化4】
  11. 【請求項11】 ビピリジン誘導体として、下記の化5
    にて示される化合物を用いることを特徴とする請求項7
    記載の磁気記録媒体の製造方法。 【化5】
  12. 【請求項12】 フェナントリン誘導体として、下記の
    化6にて示される化合物を用いることを特徴とする請求
    項7記載の磁気記録媒体の製造方法。 【化6】
  13. 【請求項13】 ポリグリセリン脂肪酸エステルを、強
    磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量部なる割
    合で磁性層内に添加することを特徴とする請求項7記載
    の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 ビピリジン誘導体、フェナントリン誘
    導体の少なくともいずれかを、強磁性粉末100重量部
    に対して0.3〜10重量部なる割合で磁性層内に添加
    することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000076640A (ja) * 1998-08-31 2000-03-14 Sony Corp 磁気記録再生装置

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