JPH10186695A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JPH10186695A
JPH10186695A JP33961396A JP33961396A JPH10186695A JP H10186695 A JPH10186695 A JP H10186695A JP 33961396 A JP33961396 A JP 33961396A JP 33961396 A JP33961396 A JP 33961396A JP H10186695 A JPH10186695 A JP H10186695A
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JP
Japan
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adduct
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electrophotographic photoreceptor
diol
charge
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JP33961396A
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Inventor
Saburo Yokota
三郎 横田
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的、画像特性的に好ましい性能を有する
電子写真用感光体、例えば、電荷発生物質の分散が良好
で、帯電性に優れ、初期感度や繰り返し特性の安定性も
良好な電子写真用感光体を提供すること。 【解決手段】 導電性支持体上の同一の感光層内に電荷
発生物質、電荷輸送物質及び結着樹脂を含有する電子写
真用感光体において、電荷発生物質としてチタニウムフ
タロシアニン系化合物とジオールとの付加体、例えばチ
タニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールとの付
加体を含有し、かつその粒子径が最大頻度径において
0.02〜0.1μmの範囲内にある電子写真用感光
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用感光体に
関し、更に詳しくは、生産性に優れ、かつ感度、帯電性
が良好な、実用上好ましい特性の電子写真用感光体に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真用感光体は、導電性の
支持体の上に光導電性の材料からなる感光層を形成する
ことにより構成されているが、感光層としては、電荷発
生層と電荷輸送層からなる機能分離型の積層型電子写真
用感光体が用いられることが多い。
【0003】しかしながら、一般の積層型の電子写真用
感光体の層構成は、通常1μm以下の薄層の電荷発生層
の上に比較的厚い層からなる電荷輸送層を積層したもの
であり、電荷発生層の薄膜形成の難しさが収率を落とす
要因となっている。また、電荷輸送層に用いる電荷輸送
物質としては正孔輸送性の物質を用いることが、その化
合物群の豊富さ、電気的な安定性、物質としての安全性
等の理由から一般的であるので、このような積層型電子
写真用感光体は必然的に負帯電でしか感度を発現できな
いものである。
【0004】近年、電子写真プロセスにおけるマイナス
コロナ放電から生ずる有害なオゾンが環境上問題とな
り、オゾンの発生量の少ないプラスコロナで使用可能な
正帯電型電子写真用感光体の実用化が望まれている。ま
た正帯電型電子写真用感光体は、従来から用いられてい
るa−Se、a−Si等の無機感光体と極性が同じた
め、多くの周辺部材を共用できる利点も存在する。
【0005】このような実用的な正帯電型電子写真用感
光体の実現に対する要求に対して、例えば、旧来の単層
型電子写真用感光体の改良、或いは新規な電子輸送性物
質の開発、更には、層構成そのものを見直す努力等によ
って実現の検討が図られてきたが、要求に充分応え得る
ものではなかった。
【0006】例えば、特開昭54−1633号公報に
は、フタロシアニンの如き電荷発生材料を、オキサジア
ゾールの如き正孔輸送材料とジニトロフルオレノンの如
き電子輸送材料と一緒に結着樹脂中に分散してなる感光
層を導電性支持体の上に設けた単層型の電子写真用感光
体が開示されている。この種の電子写真用感光体は、従
来のフタロシアニン/樹脂分散系の単層型感光体のよう
に電荷発生と電荷輸送を同一の材料が行なう構成とは異
なり、電荷輸送と電荷発生をそれぞれ異なる材料に受け
負わせるものであるから、電荷発生材料の濃度を従来に
比べて大幅に低減することができる利点があった。
【0007】しかし、この構成による電子写真用感光体
の製造においては、電荷発生、注入、輸送といった光電
プロセスが従来の感光体と全く異なることから、電荷発
生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等に従来の素材をその
まま適用しても、所期の特性が得られないことが多かっ
た。従って、製造した感光体においては感度が不十分で
あったり、残留電位が増加しやすいといった電気特性的
な欠点が生じ易かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来提案されてきた単層型電子写真用感光
体の実用化において問題となった諸点を改善し、かつ電
気的、画像特性的に好ましい性能を有する電子写真用感
光体、例えば、電荷発生物質の分散が良好で、帯電性に
優れ、初期感度や繰り返し特性の安定性も良好な電子写
真用感光体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため、導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸
送物質及び結着樹脂を含有する単層構造の感光層を有す
る電子写真用感光体について鋭意研究した結果、チタニ
ウムフタロシアニン系化合物とジオールとの付加体、好
ましくはチタニウムフタロシアニン系化合物と隣接ジオ
ールとの付加体であって、かつその粒子径が最大頻度径
において0.02〜0.1μm、好ましくは0.04〜
0.1μmの範囲内にあるものを、電荷発生物質として
含有させた感光層用塗料は、電荷発生物質の分散安定性
が良好で、これを用いて得られる単層型電子写真用感光
体は、電荷発生物質の分散が良好で、帯電性に優れ、初
期感度や繰り返し特性の安定性も改善されていることを
見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、(1) 導電性支持体上
の同一の感光層内に電荷発生物質、電荷輸送物質及び結
着樹脂を含有する電子写真用感光体において、電荷発生
物質としてチタニウムフタロシアニン系化合物とジオー
ルとの付加体を含有し、かつその粒子径が最大頻度径に
おいて0.02〜0.1μmの範囲内にあることを特徴
とする電子写真用感光体、(2) チタニウムフタロシ
アニン系化合物とジオールとの付加体が、チタニウムフ
タロシアニン系化合物と隣接ジオールとの付加体である
上記(1)記載の電子写真用感光体、(3) チタニウ
ムフタロシアニン系化合物とジオールとの付加体の粒子
径が、最大頻度径において0.04〜0.1μmの範囲
内にある上記(1)又は(2)記載の電子写真用感光
体、及び(4) 感光層中の電荷発生物質の割合が、
0.2〜5重量%の範囲内にある上記(1)、(2)又
は(3)記載の電子写真用感光体、を提供するものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真用感光体の感光
層の構造の例を図1に示した。1は導電性支持体、2は
電荷発生物質、3は電荷輸送物質を含有する結着材、4
は感光層である。感光層の膜厚は、特に限定されない
が、通常は5〜50μmの範囲が好ましい。浸漬塗工に
より感光層を形成する場合、感光層は、塗工速度、塗料
の粘度、専断力等の諸物性を調節することにより容易に
所望の膜厚とすることができる。なお、この単層構成の
感光層に付加して、中間層或いは表面保護層等の機能層
を適宜合わせて用いることも可能である。
【0012】本発明の電子写真用感光体に用いられる導
電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜
鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナ
ジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用い
た金属板、金属ドラム、金属ベルト等;あるいは導電性
ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニ
ウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、
あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベ
ルト等が挙げられる。
【0013】感光層に用いる電荷発生物質には、粒子径
が最大頻度径において0.02〜0.1μmの範囲内に
あるチタニウムフタロシアニン系化合物とジオールとの
付加体が必須成分として含有される。なかでも、粒子径
が最大頻度径において0.04〜0.1μmの範囲内に
あるチタニウムフタロシアニン系化合物とジオールとの
付加体は、生産性が良好で、凝集しにくいことから好ま
しい。
【0014】ここで、チタニウムフタロシアニン系化合
物とジオールとの付加体としては、チタニウムフタロシ
アニン系化合物とジオールとが付加した構造を有するも
のであればよく、製造方法に限定されない。具体的に
は、下記一般式(1)
【0015】
【化1】
【0016】(式中、Rは任意の炭化水素基を表し、P
cは置換もしくは未置換のフタロシアニン残基を表
す。)で表される化合物等が挙げられる。このような化
合物は、例えば、チタニルフタロシアニンやクロロチタ
ニウムフタロシアニン等のチタニウムフタロシアニン系
化合物をジオール類と共に、溶媒中に混合して加熱する
ことにより、縮合反応させて得ることができるが、「イ
ンオーガニック・ケミストリー(Inorganic Chemistr
y)」、第24巻、第7号(1985年)、第991〜
995頁の論文に、ジクロロチタニウムフタロシアニン
とカテコールの反応から新規な化合物が得られることが
開示されていることから公知であり、また特開平8−8
2942号公報では、このような化合物が電荷発生物質
として有用であることが開示されている。
【0017】ここで、フタロシアニン残基としては、式
(2)
【0018】
【化2】
【0019】で表される無置換のフタロシアニン残基、
及びこの残基のベンゼン環の水素原子がハロゲン原子、
アルキル基、アルコキシル基、アリール基、ニトロ基、
シアノ基、水酸基、アミノ基等で置換されているフタロ
シアニン残基等が挙げられる。
【0020】なお、チタニウムフタロシアニン系化合物
との反応に用いるジオールとしては、隣接ジオール、な
かでも隣接アルカンジオールが好ましく、例えば無置換
及び/又は置換の2,3−ブタンジオール系化合物、特
に2,3−ブタンジオール、1,4−ビス(ベンジロキ
シ)−2,3−ブタンジオールが好ましい。
【0021】2,3−ブタンジオールとしては、トレオ
型立体構造であることが好ましく、(2R,3R)−
(−)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3
S)−(+)−2,3−ブタンジオールであることがよ
り好ましい。また、1,4−ビス(ベンジロキシ)−
2,3−ブタンジオールとしては、トレオ型立体構造で
あることが好ましく、(2R,3R)−(+)−1,4
−ビス(ベンジロキシ)−2,3−ブタンジオール及び
/または(2S,3S)−(−)−1,4−ビス(ベン
ジロキシ)−2,3−ブタンジオールであることがより
好ましい。尚、これらは純品であることが好ましいが、
これらを含む混合物、例えばトレオ型立体構造の2,3
−ブタンジオール及び/又は1,4−ビス(ベンジロキ
シ)−2,3−ブタンジオールを30重量%以上含む混
合物であってもよい。
【0022】電荷発生物質の最大頻度径を本発明の規定
する範囲内にするためには、通常は粒子に微細化の処理
を施すことが必要である。微細化処理の方法としては、
ボールミル、サンドミル、アトライターミル、ジェット
ミル、ニーダー等の粉砕、磨砕装置を用いて、乾式或い
は湿式の粉砕工程を電荷発生物質の原体に施す方法が一
般的である。なお、一般のフタロシアニン系化合物で
は、その濃硫酸溶液から、純水中で再結晶化して得られ
るいわゆるアシッドペースト処理によって、微細化され
た原体が得られる方法が知られているが、本発明で用い
るチタニウムフタロシアニン系化合物とジオールとの付
加体では、通常、ジオール基と中心金属のチタニウムと
の結合力が弱いため、このような処理によると分解が生
じ易い。
【0023】感光層に用いる電荷発生物質は、その使用
に際しては、チタニウムフタロシアニン系化合物とジオ
ールとの付加体を単独で用いることもできるが、他の電
荷発生物質と一緒に2種類以上の電荷発生物質を混合し
て用いることもできる。他の電荷発生物質と一緒に用い
る場合、他の電荷発生物質の粒径も最大頻度径において
0.02〜0.1μmの範囲内にあることが好ましく、
またチタニウムフタロシアニン系化合物とジオールとの
付加体の含有率は、20重量%以上であることが好まし
い。
【0024】上記他の電荷発生物質としては、本発明の
特徴となるチタニウムフタロシアニン系化合物とジオー
ルとの付加体以外のフタロシアニン系化合物等が挙げら
れ、例えば、無金属フタロシアニン系化合物、金属フタ
ロシアニン系化合物、或いは結晶型もしくは非晶質型の
チタニルフタロシアニン系化合物、アゾ系顔料、アント
ラキノ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ス
クエアリウム系顔料等を挙げることができ、なかでもチ
タニルフタロシアニン系化合物が好ましい。尚、チタニ
ウムフタロシアニン系化合物とジオールとの付加体とチ
タニルフタロシアニン系化合物との併用の場合は混晶物
であってもよい。
【0025】本発明の電子写真用感光体では感光層中の
電荷発生物質の割合は、感光層の総重量に対して、0.
2〜5重量%の範囲であると、感度が良好で耐久性に優
れる電子写真用感光体が得られることから好ましく、な
かでも0.5〜5重量%の範囲が特に好ましい。
【0026】本発明の電子写真用感光体における電荷輸
送物質は、正孔輸送物質及び/又は電子輸送物質を用い
て構成される。
【0027】感光層に使用可能な正孔輸送物質として
は、低分子化合物では、例えば、ピレン系、カルバゾー
ル系、ヒドラゾン系、オキサゾール系、オキサジアゾー
ル系、ピラゾリン系、アリールアミン系、アリールメタ
ン系、ベンジジン系、チアゾール系、スチルベン系、ブ
タジエン系等の化合物が挙げられる。また、高分子化合
物では、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロ
ゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、
ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−
ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムア
ルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリシラ
ン等が挙げられる。
【0028】電子輸送物質としては、例えば、ベンゾキ
ノン系、テトラシアノエチレン系、テトラシアノキノジ
メタン系、フルオレノン系、キサントン系、フェナント
ラキノン系、無水フタール酸系、ジフェノキノン系等の
有機化合物や、アモルファスシリコン、アモルファスセ
レン、テルル、セレンーテルル合金、硫化カドミウム、
硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料等が
挙げられる。
【0029】本発明の電子写真用感光体で使用する電荷
輸送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではな
く、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上混合
して用いることができる。
【0030】感光層中の電荷輸送物質の割合は、使用す
る電荷輸送物質の輸送能によって異なるが、低分子化合
物の場合、感光層の機械的強度の低下がなく、低下電荷
輸送能が十分で感度が良好となり、残留電位が大きくな
らないことから、感光層の総重量に対して、10〜60
重量%の範囲が好ましい。但し、電荷輸送物質としてポ
リ−N−ビニルカルバゾールの如き高分子化合物を用い
る場合、電荷輸送物質自体が結着材としての機能を有す
るため、電荷発生物質を除く全量を電荷輸送物質とする
こともできる。
【0031】感光層に用いる結着材としては、電気絶縁
性のフィルム形成可能な高分子重合体が好ましい。この
ような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポ
リビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、
塩化ビニリデン−アクリロニトリル重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水
マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキ
ッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレ
ン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、
ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリ
スルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコー
ル、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、
カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリ
マーラテックス、ポリウレタン等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。これらの結着材は、単独
又は2種類以上混合して用いられる。
【0032】また、これらの結着材とともに、分散安定
剤、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等
の添加剤を使用することもできる。
【0033】可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩
化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジ
エチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレー
ト、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェ
ノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0034】表面改質剤としては、例えば、シリコンオ
イル、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0035】酸化防止剤としては、例えば、フェノール
系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が
挙げられる。
【0036】光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾト
リアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダ
ードアミン系化合物等が挙げられる。
【0037】感光層を浸漬塗工によって形成する場合、
上記の電荷発生物質、電荷輸送物質等を結着材等に混合
したものを溶剤に溶解ないしは分散した塗料を用いる。
結着材を溶解する溶剤は、結着材の種類によって異な
り、最適なものを選択して用いることが好ましい。その
ような有機溶剤の例としては、例えば、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、メチルセロソルブ等のエーテル類;酢酸メチ
ル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;塩化
メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタ
ン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン
等の芳香族類などが挙げられる。
【0038】
【作用】一般に電荷発生物質のような粉体からなる材料
の粒子は、その大きさが有限の幅を持って分布している
ため、粒子径はその決定方法により様々な代表値が定義
されている。例えば、数平均径、重量平均径、体積平均
径、メジアン径(中央径)、最大頻度径(モード径)等
の定義が比較的良く用いられる代表径である。これらは
何れも統計的処理を必要とするものであって、その値は
粒子の形状、分布状態等によりそれぞれが一致すること
もあるが、一般には異なる値を取ることが通常である。
なかでも、最大頻度径は、粒度分布曲線において最大ピ
ーク位置での粒子径に相当し、存在確率の最も大きい粒
子径を示すから、嵩的な大きさよりも頻度そのものがそ
の機能を支配するような系においては、特性を決定する
最も重要な因子であると言える。
【0039】本発明の電子写真用感光体の構成において
は、電荷発生物質は電荷輸送物質を含有する結着材に分
散されて用いられるため、一般的な電荷発生層と電荷輸
送層の積層構成からなる電子写真用感光体とは電荷発
生、輸送の形態が大いに異なっている。即ち、電荷発生
物質と電荷輸送物質の接触界面が、積層感光体の場合の
層の界面から、電荷発生物質の一次粒子表面レベルでの
接触に置き換わるため、実質的に感光体としての特性を
左右するものは最大頻度で存在する粒子の挙動であると
考えられる。検討の結果によれば、後述する実施例に示
したように、本発明で使用するチタニウムフタロシアニ
ン系化合物とジオールとの付加体は、本発明で規定する
最大頻度径の範囲内において、単層構成の電子感光体と
しての性能を最大限に発揮できることが分かった。これ
は、光励起により生成されたイオンペアーの解離、電荷
発生物質から電荷輸送物質への電荷注入等の各過程にお
ける総合的な効率がこの粒子径の範囲において最適化さ
れるためであると考えられるが、その理論的な機構解明
には、なお多くの検討を要す。
【0040】また、本発明の規定する最大頻度径の範囲
内においては、チタニウムフタロシアニン系化合物とジ
オールとの付加体の分散安定性が特に良好となる。
【0041】このように本発明の電子写真用感光体で
は、電荷発生物質と粒子径の組み合わせを最適化するこ
とにより、従来の単層構成の感光体において問題となっ
た、電荷発生物質の分散安定性、及び感度、残留電位等
の特性を改善して、実用性に優れた感光体を実現する。
【0042】
【実施例】以下、合成例、実施例、比較例および試験例
を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、これにより
本発明が実施例に限定されるものではない。なお、以下
の例中における「部」は「重量部」を示す。
【0043】合成例1 β型チタニルフタロシアニン20部と(2R,3R)−
(−)−2,3−ブタンジオール4.4部とを、α−ク
ロロナフタレン240部中で攪拌しながら、200℃で
1.5時間反応させてた。反応混合物を室温まで冷却し
た後、反応生成物を濾別し、ベンゼン、メタノール、ジ
メチルホルムアミド及び水の順に洗浄した後、減圧乾燥
させることによりチタニルフタロシアニンと2,3−ブ
タンジオールとの付加体を得た。
【0044】このようにして得た付加体は、マススペク
トルにおいて、m/Z=648に単一ピークを示したの
で、下記構造式(3)で表わされる化合物であることが
分かった。
【0045】
【化3】
【0046】この付加体のCu−KαのX線回折スペク
トルを図2に示した。図2に見られるように、この付加
体はブラッグ角2θにおいて、9.5゜に特徴的な強い
ピークを有するものであった。
【0047】実施例1 合成例1で得たチタニルフタロシアニンと2,3−ブタ
ンジオールとの付加体を、アトライターミルを用いて6
時間乾式粉砕した。粉砕前と粉砕後の付加体の粒径分布
をレーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製の
「LA−910」)を用いて測定した。その結果、粉砕
前の粒子径は最大頻度径で0.7μmであったのに対
し、粉砕後は0.08μmとなっていることが分かっ
た。
【0048】この粉砕処理を施した付加体0.3部、下
記構造式(4)
【0049】
【化4】
【0050】で表わされるアリールアミン化合物9部、
下記構造式(5)
【0051】
【化5】
【0052】で表されるジフェノキノン系化合物3部、
及びポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製の「ユー
ピロンZ−200」)14部をクロロホルム76部に溶
解し、振動ミルを用いて分散させて、感光層用の塗料を
作成した。
【0053】この塗料を用いて、厚さ0.3mmのアル
ミニウム板の上に、乾燥後の膜厚が20μmと成るよう
に塗布した後、乾燥させて、感光層を形成し、板状の電
子写真用感光体を得た。
【0054】実施例2 実施例1で得た粉砕後のチタニルフタロシアニンと2,
3−ブタンジオールとの付加体を、ニーダーで更に2時
間磨砕処理を施し、得られた粉末の最大頻度径を測定し
たところ、0.05μmであった。この微細化した付加
体を電荷発生物質として用いた以外は、実施例1と同様
にして電子写真用感光体を得た。
【0055】合成例2 (2R,3R)−(−)−2,3−ブタンジオール4.
4部に代えて、(2R,3R)−(−)−2,3−ブタ
ンジオール2.2部を用いた以外は、合成例1と同様に
して、チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオー
ルとの付加体を含むチタニルフタロシアニン混合物を得
た。
【0056】このようにして得たチタニルフタロシアニ
ン混合物は、マススペクトルにおいて、m/Z=648
及びm/Z=576にピークを示したので、式(3)で
表わされる化合物と未反応のチタニルフタロシアニンの
混合物であることが分かった。
【0057】この混合物のCu−KαのX線回折スペク
トルを図3に示した。図3に見られるように、この混合
物はブラッグ角2θにおいて、8.3゜、24.7゜及
び25.1゜に特徴的な強いピークを有するものであっ
た。
【0058】実施例3 合成例2で得たチタニルフタロシアニン混合物を実施例
1と同様にアトライターミルで乾式粉砕を施した。粒度
分布を測定したところ、粉砕前が0.5μmであるのに
対して、粉砕後は0.06μmとなっていることが分か
った。この粉砕後のチタニルフタロシアニン混合物を電
荷発生物質としてを用いた以外は、実施例1と同様にし
て電子写真用感光体を得た。
【0059】比較例1 合成例1で得たチタニルフタロシアニンと2,3−ブタ
ンジオールとの付加体を粉砕処理を施さずに用いた以外
は、実施例1と同様にして、電子写真用感光体を得た。
【0060】比較例2 合成例2で得たチタニルフタロシアニン混合物を粉砕処
理を施さずに用いた以外は、実施例3と同様にして、電
子写真用感光体を得た。
【0061】比較例3 X型メタルフリーフタロシアニン(最大頻度径0.05
μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写
真用感光体を得た。
【0062】比較例4 チタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液を純水中に注ぎ、
析出した微結晶を濾別し、洗浄、乾燥してチタニルフタ
ロシアニン微粉末を得た。これによって得られた粉末粒
子の最大頻度径は0.04μmであった。このチタニル
フタロシアニンを電荷発生物質として用いた以外は、実
施例1と同様にして、電子写真用感光体を得た。
【0063】試験例1(塗料の分散安定性試験) 各実施例及び比較例で作製した、感光層用塗料の分散安
定性を評価するため、それぞれの塗料を20mlのスク
リュー管に密封して、暗所に1週間静置し、塗料状態の
変化を観測した。
【0064】その結果、各実施例及び比較例3で得た感
光層用塗料は静置後も殆ど状態に変化が見られなかった
のに対して、最大頻度径の大きいフタロシアニン化合物
を用いた比較例1及び2で得た感光層用塗料は、電荷発
生物質が多量に沈降していた。また、比較例4で得たア
シッドペースト処理によるフタロシアニンを用いた感光
層用塗料は、電荷発生物質の凝集が見られ、塗料が不均
一化している状態が観測された。
【0065】試験例2(電子写真用感光体の電気特性試
験) 各実施例及び各比較例で得た電子写真用感光体の電気特
性を評価するために、各感光体を静電複写紙試験装置
(川口電機社製の「EPA−8100」)を用いて、静
電特性を測定した。測定方法は、まず電子写真用感光体
を暗所で印加電圧+6kVのコロナ放電により帯電さ
せ、この直後の表面電位を初期電位V0 として、帯電能
の評価に用いた。次に、暗所に10秒間放置した後の電
位を測定し、V10とした。ここで、V10/V0 によって
電位保持能を評価した。次いで、780nmの単色光
で、その表面における露光強度が1μW/cm2 になる
ように設定し、感光層に光照射を15秒間行い、表面電
位の減衰曲線を記録した。ここで15秒後の表面電位を
測定し、それを残留電位VR とした。また、光照射によ
り表面電位がV10の1/2に減少するまでの露光量を求
め、半減露光量E1/2 として感度を評価した。更に、帯
電後3000ルクスの白色光を0.1秒照射して除電す
る工程を1秒ごとに100回繰り返した直後に、同じ測
定を行って、繰り返し特性の評価を行った。なお、同一
の測定を、印加電圧−6kVの負帯電の条件でも行っ
た。これらの結果を表1及び表2にまとめて示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】表1及び表2に示した結果から明らかなよ
うに、本発明の実施例1〜3で得た電子写真用感光体
は、最大頻度径が大きいチタニルフタロシアニンと2,
3−ブタンジオールとの付加体を用いた比較例1及び2
の感光体と比較して、正負何れの極性においても、帯電
性に優れ、初期感度及び繰り返し特性の安定性において
改善効果が見られた。一方、比較例3で得た電荷発生物
質として一般的な無金属フタロシアニンを用いた電子写
真用感光体は、最大頻度径が本発明の付加体と同等の範
囲内にあっても、各実施例で得た電子写真用感光体と比
較して、大幅に特性が劣るものであった。また、比較例
4で得たアシッドペースト処理を施したチタニルフタロ
シアニンを電荷発生物質として用いた電子写真用感光体
も最大頻度径が本発明の付加体と同等の範囲内であるに
も拘わらず、各実施例で得た電子写真用感光体に比較し
て、感度、残留電位が劣っていた。
【0069】
【発明の効果】本発明の電子写真用感光体は、電荷発生
物質の分散安定性が良好で、電気特性と繰り返し特性が
良好な、実用上好ましい電子写真用感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示
す模式断面図である。
【図2】合成例1で得たチタニルフタロシアニンと2,
3−ブタンジオールとの付加体のX線回折スペクトルで
ある。
【図3】合成例2で得たチタニルフタロシアニン混合物
のX線回折スペクトルである。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生物質 3 電荷輸送物質を含有する結着材 4 感光層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上の同一の感光層内に電荷
    発生物質、電荷輸送物質及び結着樹脂を含有する電子写
    真用感光体において、電荷発生物質としてチタニウムフ
    タロシアニン系化合物とジオールとの付加体を含有し、
    かつその粒子径が最大頻度径において0.02〜0.1
    μmの範囲内にあることを特徴とする電子写真用感光
    体。
  2. 【請求項2】 チタニウムフタロシアニン系化合物とジ
    オールとの付加体が、チタニウムフタロシアニン系化合
    物と隣接ジオールとの付加体である請求項1記載の電子
    写真用感光体。
  3. 【請求項3】 チタニウムフタロシアニン系化合物とジ
    オールとの付加体の粒子径が、最大頻度径において0.
    04〜0.1μmの範囲内にある請求項1又は2記載の
    電子写真用感光体。
  4. 【請求項4】 感光層中の電荷発生物質の割合が、0.
    2〜5重量%の範囲内にある請求項1、2又は3記載の
    電子写真用感光体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015094839A (ja) * 2013-11-12 2015-05-18 株式会社パーマケム・アジア 電子写真感光体
JP2021096303A (ja) * 2019-12-13 2021-06-24 株式会社リコー 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ、アルカンジオール付加チタンポルフィラジン誘導体、及びその組成物

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JP2021096303A (ja) * 2019-12-13 2021-06-24 株式会社リコー 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ、アルカンジオール付加チタンポルフィラジン誘導体、及びその組成物

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