JPH10268533A - 積層型電子写真感光体 - Google Patents

積層型電子写真感光体

Info

Publication number
JPH10268533A
JPH10268533A JP7121897A JP7121897A JPH10268533A JP H10268533 A JPH10268533 A JP H10268533A JP 7121897 A JP7121897 A JP 7121897A JP 7121897 A JP7121897 A JP 7121897A JP H10268533 A JPH10268533 A JP H10268533A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pigment
type semiconductor
charge generation
generation layer
pigments
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7121897A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Kuwana
康弘 桑名
Hiromichi Arakawa
博道 荒川
Masaki Hosaka
正喜 保坂
Motokazu Ishimori
元和 石森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP7121897A priority Critical patent/JPH10268533A/ja
Publication of JPH10268533A publication Critical patent/JPH10268533A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像特性の改良が十分で、しかも長期にわた
って容易に安定して製造できる積層型電子写真感光体を
提供することにある。 【解決手段】 導電性基体上に、n型半導体顔料、例え
ばペリレン顔料を含有する第1電荷発生層及びp型半導
体顔料、例えばチタニウムフタロシアニン顔料を含有す
る第2電荷発生層から成る電荷発生層と、電荷輸送層を
順次積層して成る積層型電子写真感光体において、n型
半導体顔料及び/又はp型半導体顔料が活性エネルギー
線及び/又は活性ガス処理、例えば酸素の存在下で紫外
線照射処理された顔料である積層型電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体に関
し、特に導電性基体上に、2層の電荷発生層と電荷輸送
層とを順次積層して成る積層型電子写真感光体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真感光体は、導電性基体
の上に光導電性材料からなる感光層を形成することによ
り構成されているが、感光層としては、電荷発生層と電
荷輸送層からなる機能分離型の積層型電子写真感光体が
用いられることが多い。このような積層型電子写真感光
体において、導電性基体と電荷発生層の間の電気的な接
合状態によって、その特性が大きく変化することが知ら
れている。
【0003】例えば、感光層と導電性基体の間に電気的
なバリヤー層を設け、導電性基体からの電荷の注入を阻
止し、帯電能を上げることができることは良く知られて
いる。また、導電性基体上に点在する欠陥、不純物の晶
出、塗膜中の不純物等が原因となり、局所的な電位の落
込みが生じ、特に反転現像方式において画像上に欠陥と
して現れ易いことが知られており、その対策としても、
バリヤー層を設けることが一般的である。
【0004】従来の技術において、バリヤー層を利用し
て機能向上を図った積層型電子写真感光体では、バリヤ
ー層に電気絶縁性の高分子重合体を用いたものでは、適
度のバリヤー性と接着性と共に、上層を塗布する際に溶
解しない等の条件を満足する必要性から、使用できる材
料がかなり限定されており、また、膜厚の設定が大きい
場合、感光層から導電性基体への電荷の注入が阻害さ
れ、感度低下や残留電位の増加をもたらしたり、吸水に
よるバリヤー性の変化による電子写真感光体特性の劣化
や、感光層との密着性の不足等がしばしば問題となって
いた。
【0005】また、特開平2−7070号公報、特開平
3−192265号公報等には、バリヤー層にAl
23、 SiO2 等の絶縁性無機化合物膜を用いる技術が
開示されているが、化成処理、或いは真空蒸着、スパッ
タリング等の手段を必要とするため、成膜に時間がかか
ったり、製造のコストが大きく上昇する等の問題があ
り、更に樹脂塗膜型のバリヤー層と同様に感度低下や残
留電位増加等の問題が未解決であった。
【0006】更に、特開昭57−81269号公報、特
開昭59−139967号公報等には、バリヤー層にT
iO2 やZnO等の白色無機粉末を樹脂分散させた層を
用いる技術が開示されているが、この方法も、基本的に
は樹脂塗膜型と同様な問題点を持つものであり、更に実
用的な電子写真感光体特性を得る為には、材料の純度、
粒径、表面状態、樹脂との配合比等の調整が非常に面倒
なものであった。
【0007】このように、従来、積層型電子写真感光体
においては、独立したバリヤー層によって、その機能、
特に画像特性を向上させることが一般的に行なわれてき
たが、感光層自体の構造から、これらの目的を達成しよ
うとする試みは殆どなされていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、特開平7−16
0010号公報、特開平9−15888号公報、特開平
9−15889号公報、特開平9−34147号公報等
には、有機顔料を樹脂分散させた層をバリヤー層として
導電性基体上に設ける技術が開示されており、画像特性
の改良がなされているがが、これらを形成するために用
いられる塗布液は、一般的には有機顔料の分散性が悪
く、不安定であるという欠点を有しているため、画像特
性の改良が十分でなく、しかもポットライフが短いため
に、長期にわたって同一の画像特性を有する積層型電子
写真感光体を得ることが困難であった。
【0009】本発明が解決しようとする課題は、従来の
技術における上記のような実状の上から、画像特性の改
良が十分で、しかも長期にわたって容易に安定して製造
できる積層型電子写真感光体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、導電性基体上に、n
型半導体顔料を含有する第1電荷発生層をバリヤー層と
して設け、更にp型半導体顔料を含有する第2電荷発生
層と、電荷輸送層とを順次積層してなる積層型電子写真
感光体において、n型半導体顔料が活性エネルギー線及
び/又は活性ガス処理された顔料であると、第1電荷発
生層を形成するために用いられる塗布液の顔料分散性を
安定化させることができ、画像特性の改良が十分で、し
かも長期にわたって同一の画像特性を有する積層型電子
写真感光体が容易に安定して製造できること、n型半導
体顔料及と共にp型半導体顔料が活性エネルギー線及び
/又は活性ガス処理された顔料であっても、画像特性の
良好な積層型電子写真感光体が得られること、更にp型
半導体顔料のみが活性エネルギー線及び/又は活性ガス
処理された顔料であっても画像特性の良好な積層型電子
写真感光体が得られること等を見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、(1)導電性基体上
に、n型半導体顔料を含有する第1電荷発生層及びp型
半導体顔料を含有する第2電荷発生層から成る電荷発生
層と、電荷輸送層を順次積層して成る積層型電子写真感
光体において、n型半導体顔料及び/又はp型半導体顔
料が活性エネルギー線及び/又は活性ガス処理された顔
料であることを特徴とする積層型電子写真感光体、
(2)n型半導体顔料及び/又はp型半導体顔料が、底
部に音波により振動可能な膜を有する容器に顔料を収容
し、容器の底部に機械的振動と音波による振動とを加え
て、顔料を撹拌しながら、顔料に活性エネルギー線及び
/又は活性ガス処理された顔料である上記(1)記載の
積層型電子写真感光体、
【0012】(3)n型半導体顔料がペリレン顔料であ
り、p型半導体顔料が無金属フタロシアニン顔料又はチ
タニウムフタロシアニン顔料である上記(1)又は
(2)記載の積層型電子写真感光体、(4)p型半導体
顔料が、オキシチタニウムフタロシアニン化合物と(2
R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3
S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物である上
記(3)記載の積層型電子写真感光体、
【0013】(5)オキシチタニウムフタロシアニン化
合物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は
(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成
物が、CuKα線に対するX線回折スペクトルにおい
て、ブラッグ角(2θ±0.2°)の9.5°に主たる
ピークを有するものである(4)記載の積層型電子写真
感光体、(6) オキシチタニウムフタロシアニン化合
物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2
S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物
が、CuKα線に対するX線回折スペクトルにおいて、
ブラッグ角(2θ±0.2°)の8.3°、24.7
°、25.1°にピークを有するものである請求項4記
載の積層型電子写真感光体、
【0014】(7)導電性基体に接する第1電荷発生層
の膜厚が1.0〜10μmの範囲にあり、かつ第2電荷
発生層の膜厚が0.1〜5.0μmの範囲にあって、第
1電荷発生層の膜厚よりも薄い上記(1)〜(6)のい
ずれか1つに記載の積層型電子写真感光体、及び(8)
n型半導体顔料及び/又はp型半導体顔料が、酸素の存
在下で紫外線照射処理された顔料である上記(1)〜
(7)のいずれか1つに記載の積層型電子写真感光体、
を提供するものである。
【0015】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真用感光体の感光
層の構造の一例を図1に示した。例示した電子写真用感
光体は、導電性基体1の上に、n型半導体顔料3を結着
樹脂5中に分散した第1電荷発生輸送層6、p型半導体
顔料4を結着樹脂5中に分散した第2電荷発生層7、電
荷発生物質と正孔輸送物質とを樹脂分散した電荷発生層
8の順に積層して成る感光層2を形成したものである。
n型半導体顔料3及び/又はp型半導体顔料4は活性エ
ネルギー線及び/又は活性ガス処理された顔料である。
第1電荷発生層6の膜厚は1〜10μmの範囲が好まし
く、第2電荷発生層7の膜厚は0.1〜5μmの範囲が
好ましい。特には第2電荷発生層7の膜厚が第1電荷発
生層6の膜厚より薄いことが好ましい。電荷輸送層8の
膜厚は、5〜50μmの範囲が好ましい。電荷発生層、
及び、電荷輸送層の膜厚は、浸漬塗工により形成する場
合、塗工速度、塗料の粘度、専断力等の諸物性を調節す
ることにより容易に所望の膜厚とすることができる。
【0017】なお、電荷発生層を浸漬塗工によって形成
する場合に、第1電荷発生層を形成する塗料の粘度は、
10〜100c.p.(センチポイズ)の範囲が好まし
く、第2電荷発生層或いはその上に積層する電荷発生層
を形成する塗料の粘度は、5〜50c.p.の範囲が好
ましい。
【0018】本発明の電子写真用感光体に用いられる導
電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜
鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナ
ジウムインジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた
金属板、金属ドラム、金属ベルト;あるいは導電性ポリ
マー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム
パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるい
はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等
が挙げられる。
【0019】第1電荷発生層に用いられるn型半導体顔
料としては、例えば、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリ
レン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビ
スベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料、キ
ノリン系顔料、レーキ顔料、アゾレーキ顔料、アントラ
キノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔
料、トリフェニルメタン系顔料等の種々の有機顔料、或
いは酸化チタン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化亜
鉛、炭化珪素等の無機顔料を用いることができるが、特
に、ペリレン系顔料が、分散性、電気特性の面から好ま
しい。
【0020】第1電荷発生層に用いる結着剤としては、
電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子重合体が好まし
い。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカ
ーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチ
レン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共
重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン
−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカル
バゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマ
ール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニル
アルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリ
アミド、カルボキシ−メチルセルロース塩化ビニリデン
系ポリマーラテックス、ポリウレタン等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。これらの結合剤
は、単独又は2種類以上混合して用いられる。
【0021】第2電荷発生層に用いるp型半導体顔料と
しては、例えば、フタロシアニン系顔料、キナクリドン
系顔料等が挙げられるが、これら顔料の代わりにアズレ
ニウム系染料、スクウェアリウム系染料、ピリリウム系
染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チ
アジン系染料、シアニン系染料等の染料や、アモルファ
スシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テ
ルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜
鉛、硫化亜鉛等の無機材料をp型半導体顔料として用い
ることもできる。これらp型半導体顔料の中でも、無金
属フタロシアニン顔料、チタニルフタロシアニン顔料、
チタニルフタロシアニン化合物と2,3−ブタンジオー
ルとの反応生成物が好ましく、特にチタニルフタロシア
ニン化合物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール
又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応
生成物が好ましい。
【0022】本発明で用いるチタニルフタロシアニン化
合物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は
(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成
物としては、チタニルフタロシアニン化合物と(2R,
3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−
2,3−ブタンジオールとの反応時の使用比率により、
CuKα線に対するX線回折スペクトルの異なるものが
得られるが、なかでも該X線回折スペクトルにおいて、
ブラッグ角(2θ±0.2°)で9.5゜に主たるピー
クを持つものや、8.3゜、24.7゜、25.1゜に
ピークを持つものが好適である。
【0023】なお、本願発明で使用する上記チタニルフ
タロシアニン化合物との反応生成物に類似したアイデア
として、特開平5−273775号公報が開示するチタ
ニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの付加体
が公知である。しかし同号証が開示するチタニルフタロ
シアニン化合物は、構造が特定されておらず、また本願
発明のような特定の層構成についても一切示唆するもの
ではない。
【0024】第2電荷発生層に用いられる結着剤として
は、前記第1電荷発生層に用いられる結着剤が用いられ
るが、これらに限定されるものではない。これらの結合
剤は、単独又は2種類以上混合して用いられる。
【0025】本発明の積層型電子写真感光体で使用する
n型半導体顔料、及び、p型半導体顔料は、上記したも
のに限定されるものではなく、その使用に際しては単
独、或いは2種類以上を混合して用いることができる。
これらの顔料は、結着剤に分散され塗布されることによ
り、それぞれの電荷発生層として成膜されて用いられ
る。
【0026】n型半導体顔料及び/又はp型半導体顔料
の活性エネルギー線及び/又は活性ガス処理としては、
顔料を活性ガスの存在下、例えば活性ガスの流通下で、
活性エネルギー線を照射させる処理方法が好ましい。こ
こで用いる活性ガスとしては、例えば、酸素、オゾン、
塩素、二酸化硫黄、アンモニア等のガス、または、塩
酸、硝酸等の気体となりうる化合物が挙げられ、これら
は1種類に限定されるものではなく、2種類以上の気体
を同時に使用してもよい。活性エネルギー線としては、
紫外線、電子線、α線、β線、γ線、可視光線、赤外線
等が挙げられる。これら処理方法の中でも、酸素の存在
下で紫外線照射する処理方法が好ましい。
【0027】活性ガスの量は、顔料表面が十分処理され
るだけの量であれば問題ないが、好ましくは毎分5〜1
00mlの流量である。
【0028】顔料の処理時間は、装置の大きさ、顔料の
量、活性エネルギー線の照射量等により大きく異なる
が、通常は1分間〜24時間、好ましくは5分間〜10
時間である。
【0029】上記の顔料処理としては、例えば、特願平
8−165882号に示される、底部に音波により振動
可能な膜を有する容器に顔料を収容し、容器の底部に機
械的振動と音波による振動とを加えて、顔料を攪拌しな
がら、活性ガスの存在下で顔料に活性エネルギー線を照
射する方法が挙げられる。この処理方法によれば、顔料
の造粒や容器内壁面への固着化が抑制されると共に、新
規な顔料表面を常に活性エネルギー線及び/又は活性ガ
ス側に曝し続ける状態で処理されるため、効率的で均一
な顔料表面の処理を行うことが可能となる。
【0030】上記の処理方法で使用される容器として
は、底部に音波により振動可能な膜を有する容器であれ
ばよく、形状に制限はないが、通常は底部が偏平で、底
部の中央に音波により振動可能な膜を有し、この膜の面
積が底部面積の80%以上を占める容器を用いる。なか
でも、装置がバッチ式の場合、底部が偏平で、円形、楕
円形、6角以上の多角形もしくはそれに類似する形状を
有し、かつ底部の全部が音波により振動可能な膜からな
る容器が、攪拌が効率的で均一に行われることから好ま
しい。また、容器の大きさは、処理を行う粉体の量によ
って異なる。容器底部の膜は、音波により振動するもの
であれば、その材質は特に限定されず、例えばステンレ
ス、銅、アルミ等の金属製の膜や、テフロン、シリコン
等の樹脂製の膜が使用可能である。膜の厚さは、音波の
振動を伝え易いようにできるだけ薄い方がよいが、音波
による振動により膜が破れるのを避けるため、0.01
〜3.0mm程度が良い。尚、容器には、必要に応じて
活性エネルギー線の透過が可能な蓋を設置してもよい。
【0031】容器の底部に対して音波による振動を付与
する機構としては、容器底部の膜を振動させることが可
能な音波を発生させる構造のものであればよいが、音波
の出力源としてスピーカーを使用したものが一般的であ
る。音波の出力源の数は一つに限定されるものではない
が、スピーカーを使用した場合、バッチ式の装置では、
通常1個であり、連続式の装置では、容器の形状により
大きく異なり、通常1個以上、好ましくは1〜20個で
ある。音波の出力源の設置位置は、容器底部の膜の下部
であればよいが、音波の出力源としてスピーカーを1個
用いた場合、スピーカーをその中心と容器底部の中心と
が膜に対して垂直方向同一線上となる位置に設置するの
が好ましく、更にスピーカーから発生した音波による膜
の振動により、粉体が舞い上がることなく、下から上へ
沸き上がるような流動状態を形成し、新規な粉体表面を
常に粉体の上部空間に曝しつつ容器底部の中心から外側
の内壁方向に移動するようにスピーカーの設置位置、出
力、音波の周波数等を調整すると特に好ましい。音波の
周波数は、通常10〜500Hz、好ましくは100〜
300Hzで、出力は通常0.5〜300W、好ましく
は3〜50Wである。尚、本発明の実施に際しては、必
要に応じてスピーカーの出力や音波の周波数を定期また
は不定期に変動させても良い。
【0032】容器の底部に対して機械的振動を付与する
機構としては、容器の底部に機械的振動を与える構造の
ものであればよく、例えば容器底部のみに機械的振動を
与えるもの、容器全体に機械的振動を与えることにより
容器底部も振動させるもの等が挙げられるが、なかでも
バランサーを備えた振動モーター等により容器全体に機
械的振動を与える機構のように、バランサーの調整によ
り容器内の粉体の動きを制御できるものが好ましい。ま
た、ここで用いる振動モーターとしては、振動を受けた
容器内の粉体が容器外側の内壁から中心方向に向かって
渦巻状に移動するようにバランサーの調整がなされたも
のが好ましい。この際の振動モーターの回転数は、通常
500〜10000rpm、好ましくは3000〜60
00rpmである。尚、本発明の実施に際しては、必要
に応じて振動モーターの回転数を定期または不定期に変
動させても良い。
【0033】更に、上記音波による振動と機械的振動と
しては、これらの振動が同時に複合的に容器底部に与え
られることにより、容器底部にある粉体が容器の底部に
広がった状態で振動し、新規な粉体表面を常に粉体の上
部空間に曝し続けるように調整されたものが望ましい。
例えば、容器底部の膜上にある粉体が、舞い上がること
なく、下から上へ沸き上がるような流動状態を形成し、
新規な粉体表面を常に粉体の上部空間に曝しつつ容器底
部の中心から外側の内壁方向に移動するよう音波による
振動を調整すると共に、これに反して容器底部の膜上に
ある粉体が容器外側の内壁から中心方向に向かって、好
ましくは渦巻状に移動するように機械的振動を調整し、
これら2種の振動による粉体の移動をバランスさせるこ
とにより、容器底部にある粉体が容器の底部に広がった
状態で振動し続けるように調整されたものが特に好まし
い。
【0034】電荷輸送層で用いる電荷輸送物質は、一般
に電子を輸送する物質と正孔を輸送する物質の2種類に
分類されるが、本発明の積層型電子写真感光体には正孔
輸送物質を使用することが望ましい。
【0035】本発明の積層型電子写真感光体に使用可能
な正孔輸送物質としては、低分子化合物では、例えば、
ピレン系、カルバゾール系、ヒドラゾン系、オキサゾー
ル系、オキサジアゾール系、ピラゾリン系、アリールア
ミン系、アリールメタン系、ベンジジン系、チアゾール
系、スチルベン系、ブタジエン系等の化合物が挙げられ
る。また、高分子化合物としては、例えば、ポリ−N−
ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカル
バゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセ
ン、ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド
樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、エ
チルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニ
ルメタンポリマー、ポリシラン等が挙げられる。
【0036】これらの電荷輸送物質は、それ自身を単独
か又は結着剤に分散された上で、浸漬塗工法等により塗
布されて、電荷輸送層に使用することができる。電荷輸
送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではな
く、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上混合
して用いることができる。
【0037】電荷輸送層の結着剤に用いられる材料とし
ては、前記第1電荷発生層の結着剤として挙げたものを
単独、あるいは2種類以上混合して用いることができ
る。
【0038】また、これらの結着剤とともに可塑剤、表
面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用
することもできる。
【0039】可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩
化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジ
エチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレー
ト、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェ
ノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0040】表面改質剤としては、例えば、シリコンオ
イル、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0041】酸化防止剤としては、例えば、フェノール
系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が
挙げられる。
【0042】光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾト
リアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダ
ードアミン系化合物等が挙げられる。
【0043】電荷発生層、或いは電荷輸送層を浸漬塗工
によって形成する場合、上記の電荷発生物質、或いは電
荷輸送物質を結着剤等に混合したものを溶剤に溶解した
塗料を用いる。結合剤を溶解する溶剤は、結合剤の種類
によって異なるが、下層を溶解しないものの中から選択
することが好ましい。具体的な有機溶剤としては、例え
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のア
ルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ等のエ
ーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジ
メチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及び
スルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭
素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、
ジクロルベンゼン等の芳香族類などが挙げられる。
【0044】
【実施例】以下に参考例、実施例及び比較例を挙げて本
発明を具体的に説明するが、これにより本発明が実施例
に限定されるものではない。尚、例中において「部」と
あるのは「重量部」を示す。
【0045】参考例1(顔料の合成) フタロジニトリル40g、四塩化チタン18g及びα−
クロルナフタレン500mlの混合物を窒素気流下24
0〜250℃で3時間加熱攪拌して反応を完結させた
後、濾過し、生成物であるジクロルチタニウムフタロシ
アニンを収得した。得られたジクロルチタニウムフタロ
シアニンを濃アンモニア水300ml及びピリジン30
0mlと共に1時間加熱還流し、オキシチタニウムフタ
ロシアニン顔料(a)を得た。
【0046】参考例2(同上) 参考例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン顔
料(a)20部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオ
ール4.4部を、α−クロロナフタレン240部中にお
いて200℃で攪拌して1.5時間反応させた。これを
室温に冷却後、濾別し、ベンゼン、メタノール、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、水の順で洗浄した後、減圧
乾燥することにより、オキシチタニウムフタロシアニン
化合物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの
反応生成物であるフタロシアニン化合物(b)を得た。
【0047】このフタロシアニン化合物(b)は、マス
スペクトルにおいて、m/Z=648にピークを示し、
下記の構造を有する化合物からなることが分かった。
【0048】
【化1】
【0049】また、フタロシアニン化合物(b)のCu
Kα線によるX線回折スペクトルを図2に示す。図2に
見られるように、フタロシアニン化合物(b)は、ブラ
ッグ角2θにおいて、9.5゜に特徴的な強いピークを
有するものであった。
【0050】参考例3(同上) (2R,3R)−2,3−ブタンジオールの使用量を
2.2部に変更した以外は参考例2と同様にして、オキ
シチタニウムフタロシアニン化合物と(2R,3R)−
2,3−ブタンジオールとの反応生成物であるフタロシ
アニン化合物(c)。
【0051】このフタロシアニン化合物(c)は、マス
スペクトルにおいて、m/Z=648及びm/Z=57
6にピークを示し、下記の構造を有する化合物とチタニ
ルフタロシアニンの混合組成物であることが分かった。
【0052】
【化2】
【0053】また、フタロシアニン化合物(c)のCu
Kα線によるX線回折スペクトルを図3に示す。図3に
見られるように、フタロシアニン化合物(c)は、参考
例2で得られたフタロシアニン化合物(b)とは全く異
なる結晶型を示し、ブラッグ角2θにおいて、8.3
゜、24.7゜、25.1゜に特徴的な強いピークを有
するものであった。
【0054】参考例4(顔料処理) 顔料処理には、特願平8−165882号明細書の実施
例1で用いた顔料処理装置を用いた。この顔料処理装置
は、底面に音波により振動する厚さ0.3mmのステン
レス膜を張った、直径30cm、高さ8cmの顔料処理
のための容器を有している。この容器は、側面に活性ガ
スの導入口と流出口、上部に透明なガラス製の蓋を有し
ており、バネにより保持されている。その底部は、容器
の下部にあるスピーカーからの音波による振動とバラン
サーを備えた振動モーターによる機械的振動とを受けら
れる構造であり、容器上部にある活性エネルギー線照射
ランプからの活性エネルギー線照射を透明なガラス製の
蓋を通して受けられるようになっている。
【0055】この顔料処理装置の容器内に、減圧下に8
0℃で48時間加熱乾燥を行った下記の構造
【0056】
【化3】
【0057】を有するペリレン顔料(d)30gを入
れ、容器内を窒素ガスで置換後、毎分50mlの酸素ガ
スの流通下で、バランサーを備えた振動モーターによる
機械的振動と、内径20cmのスピーカーによる音波の
振動を与えて顔料の攪拌を行いながら紫外線を照射し、
顔料の表面処理を行った。振動モーターの回転数は、毎
分6000回転、スピーカーによる音波は、周波数15
0Hz、出力10Wとした。紫外線光源としては、18
4.9nm、253.7nmの波長の紫外線を照射する
ことのできる低圧水銀ランプを使用した。また、処理顔
料までの照射距離は10cm、処理時間は60分間とし
た。処理後に100メッシュのふるいで粗大粒子を除去
し、処理ペリレン顔料(D)26gを得た。
【0058】上記条件による顔料処理では、処理の最
中、顔料の舞い上がり、造粒、容器内壁への固着がな
く、顔料が容器の底部に広がった状態で振動し、新規な
顔料表面が常に外雰囲気中に曝され続ける理想的で均一
な攪拌状態であった。
【0059】参考例5(同上) ペリレン顔料(d)30gの代わりに、下記の構造
【0060】
【化4】
【0061】を有するペリレン顔料(e)30gを用い
た以外は参考例4と同様にして、処理ペリレン顔料
(E)25gを得た。
【0062】参考例6(同上) ペリレン顔料(d)30gの代わりに、参考例1で得た
オキシチタニウムフタロシアニン顔料(a)30gを用
いた以外は参考例4と同様にして、改質オキシチタニウ
ムフタロシアニン顔料(A)27gを得た。
【0063】参考例7(第1電荷発生層用塗布液の作
製) n型半導体顔料として、参考例4で得た改質ペリレン顔
料(D)7部を、バインダー樹脂としてポリアミド樹脂
(商品名「アラミンCMー8000」(東レ株式会社
製)7部、メタノール35部、ジクロロメタン35部、
1−ブタノール16部で作製した樹脂溶液中にサンドミ
ルで6時間分散させて、第1電荷発生層用の塗布液(1
−D)を得た。
【0064】参考例8(同上) 改質ペリレン顔料(D)の代わりに、前記ペリレン顔料
(d)を用いた以外は参考例7と同様にして、第1電荷
発生層用の塗布液(1−d)を得た。
【0065】参考例9(同上) 改質ペリレン顔料(D)の代わりに、参考例5で得た改
質ペリレン顔料(E)を用いた以外は参考例7と同様に
して、第1電荷発生層用の塗布液(1−E)を得た。
【0066】参考例10(同上) 改質ペリレン顔料(D)の代わりに、前記ペリレン顔料
(e)を用いた以外は参考例7と同様にして、第1電荷
発生層用の塗布液(1−e)を得た。
【0067】参考例11(第2電荷発生層用塗布液の作
製) p型半導体顔料として、製造例6で得た改質オキシチタ
ニウムフタロシアニン顔料(A)を、バインダー樹脂と
してポリビニルブチラール樹脂(商品名「エスレックB
H−3」(積水化学株式会社製)1部、ジクロロメタン
40部、1,1,2−トリクロロエタン58部で作製し
た樹脂溶液中にサンドミルで3時間分散させて、第2電
荷発生層用の塗布液(2−A)を得た。
【0068】参考例12(同上) 改質オキシチタニウムフタロシアニン顔料(A)の代わ
りに、参考例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン
顔料(a)を用いた以外は参考例11と同様にして、第
2電荷発生層用の塗布液(2−a)得た。
【0069】参考例13(同上) 改質オキシチタニウムフタロシアニン顔料(A)の代わ
りに、X型無金属フタロシアニン顔料(x)を用いた以
外は参考例11と同様にして、第2電荷発生層用の塗布
液(2−x)を得た。
【0070】参考例14(同上) 改質オキシチタニウムフタロシアニン顔料(A)の代わ
りに、参考例2で得たフタロシアニン化合物(b)を用
いた以外は参考例11と同様にして、第2電荷発生層用
の塗布液(2−b)を得た。
【0071】参考例15(同上) 改質オキシチタニウムフタロシアニン顔料(A)の代わ
りに、参考例3で得たフタロシアニン化合物(c)を用
いた以外は参考例11と同様にして、第2電荷発生層用
の塗布液(2−c)を得た。
【0072】参考例16(電荷発生層用塗布液の分散安
定性テスト) 参考例7〜12で得た第1電荷発生層用の塗布液4種と
第2電荷発生層用の塗布液2種を、それぞれ内径10m
m、長さ25cmのガラス管に入れ、1ヶ月間室温で放
置した。その時に生じた上澄み部分(塗布液が透明に成
っている部分)の長さを測定したところ、表1に示す結
果が得られた。
【0073】
【表1】
【0074】表1より参考例7、9、11で用いた活性
エネルギー線と活性ガスで処理した顔料を用いて作製し
た電荷発生層用塗布液は、分散性が非常に良好で、安定
していることが分かる。
【0075】参考例17(電荷輸送層用塗布液の作製) 電荷輸送物質として下記の構造
【0076】
【化5】
【0077】を有する化合物9部と、バインダー樹脂と
してポリカーボネート樹脂(商品名「パンライトC−1
400」帝人化成株式会社製)10部を、ジクロロメタ
ン60部、クロロベンゼン21部から成る溶剤に室温で
24時間かけて溶解させて、電荷輸送層用の塗布液
(3)を得た。
【0078】実施例1〜2及び比較例1〜2 外径30mmの円筒状のアルミニウムシリンダーに、表
2に示す第1電荷発生層用の塗布液をディッピング法で
塗布乾燥し、膜厚5.0μmの第1電荷発生層を設け
た。次に、その上に、表2に示す第2電荷発生層用の塗
布液を同様に塗布乾燥し、膜厚0.3μmの第2電荷発
生層を設けた。更に、その上に、参考例17で得た電荷
輸送層用の塗布液(3)を同様に塗布乾燥し、膜厚2
3.5μmの電荷輸送層を設けることにより、積層型電
子写真感光体を得た。
【0079】
【表2】
【0080】(画像特性)実施例1〜2及び比較例1〜
2で得た電子写真感光体の画像特性の評価には、ドラム
状電子写真感光体を使用する市販のレーザープリンター
(商品名「レーザーショットA304EII」キヤノン株
式会社製)を用いて、得られたドラム状積層型電子写真
感光体を装着し、23℃、50%RHの環境下で印字試
験を行い、画像欠陥の評価を行った。その結果を表3に
示す。
【0081】なお、ドラム状積層型電子写真感光体は、
各実施例及び各比較例で得たものを10本づつ評価し、
その平均で示した。又、カブリ(未露光時画像におい
て、画像全体にわたるトナーの付着により地汚れを起こ
す現象)に関する評価は◎、○、△、×の4段階で程度
の評価を行い、画像欠陥数はA4用紙1枚の印字原稿中
の個数からドラム1本当たりの個数に換算して示した。
また、画像濃度は画像の黒地部の印字濃度を濃度計(マ
クベス社製RD918型)で測定した。
【0082】<カブリの評価基準>白地原稿をプリント
し、50倍のルーペを用いて観察し、10分割した原稿
の各々について2mm×2mmの正方形中におけるトナ
ーが付着した部分の面積比率を求め、その平均を以下の
評価基準で示した。 ◎:印字領域によらず、上記面積比率の最大値が0.1
%未満である。 ○:印字領域によらず、上記面積比率の最大値が0.1
%以上0.5%未満である。 △:印字領域によらず、上記面積比率の最大値が0.5
%以上1.0%未満である。 ×:印字領域によらず、上記面積比率の最大値が1.0
%以上である。
【0083】
【表3】
【0084】表3に示した結果から明らかなように、実
施例1〜2の積層型電子写真感光体は、同様の層構成を
有する比較例1〜2の積層型電子写真感光体と比較して
いずれも鮮明で、カブリと欠陥のない画像が得られた。
この結果から本発明の積層型電子写真感光体の画像特性
が優れていることが分かる。
【0085】(電気特性)実施例1〜2及び比較例1〜
2の積層型電子写真感光体の電気特性を評価するため
に、円筒状のアルミニウムシリンダーのかわりにアルミ
ニウム板を用いて、アルミニウム板上に各実施例及び比
較例の積層型電子写真感光体と同一の感光層を作製し、
板状の積層型電子写真感光体を得た。これを静電複写試
験装置Model EPA−8100(川口電機製作所
社製)を用いて電子写真特性を測定した。測定方法は、
まず電子写真感光体を暗所で印加電圧−6kVのコロナ
放電により帯電させ、この直後の表面電位を初期電位V
0として、帯電能の評価に用いた。次に暗所に10秒間
放置した後の電位を測定し、V10とした。ここでV0
10 によって電位保持能を評価した。次いで、780
nmの単色光で、その表面における露光強度が1μW/
cm2 になるように設定し、感光層に光照射を15秒間
行い、表面電位の減衰曲線を記録した。ここで15秒後
の表面電位を測定し、それを残留電位VR とした。また
光照射により表面電位がV10の1/2に減少するまでの
露光量を求め、半減露光量E1/2 として感度を評価し
た。また帯電後3000ルクスの白色光を0.1秒照射
して除電する工程を1秒ごとに100回繰り返した後、
同じ測定を行い、繰り返し後の特性変化を評価した。そ
の結果を表4に示した。
【0086】
【表4】
【0087】表4に示した結果から明らかなように、第
1電荷発生層に活性エネルギー線と活性ガスで処理した
顔料を用いた実施例1〜2の電子写真感光体は、無処理
の比較例1〜2の電子写真感光体と同程度の値を示すこ
とから、顔料処理による電気特性上の影響はないことが
分かる。
【0088】実施例3〜12及び比較例3〜10 第1及び第2電荷発生層用の塗布液として、表5に示す
作製してから1ヶ月間室温で放置した塗布液を用いた以
外は、実施例1と同様にして、積層型電子写真感光体を
得た。
【0089】
【表5】
【0090】(画像特性)実施例3〜6、11〜12及
び比較例3〜6で得た電子写真感光体の画像特性の評価
を、実施例1と同様に行った。その結果を表6に示す。
また、実施例7〜10及び比較例7〜10で得た電子写
真感光体の画像特性の評価は、市販のレーザープリンタ
ーとして商品名「Laser Jet 4」(横河ヒュ
ーレットパッカード社製)を用いた以外は実施例1と同
様に行った。その結果を表7に示す。
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】表6及び表7に示した結果から明らかなよ
うに、実施例3〜10の積層型電子写真感光体は、同様
の層構成を有する比較例3〜10の積層型電子写真感光
体と比較していずれも鮮明で、カブリと欠陥のない画像
が得られた。実施例11〜12の積層型電子写真感光体
も同様の層構成を有する比較例3の積層型電子写真感光
体と比較して鮮明で、カブリと欠陥のない画像が得られ
た。この結果から本発明の積層型電子写真感光体の画像
特性が優れていることが分かる。
【0094】(電気特性)実施例1と同様にして、実施
例3〜12及び比較例3〜10の積層型電子写真感光体
の電気特性を評価を行った。その結果を表8、表9及び
表10に示す。
【0095】
【表8】
【0096】
【表9】
【0097】
【表10】
【0098】表8、表9及び表10に示した結果から明
らかなように、第1電荷発生層に活性エネルギー線と活
性ガスで処理した顔料を用いた実施例3〜10の電子写
真感光体、第2電荷発生層に活性エネルギー線と活性ガ
スで処理した顔料を用いた実施例9の電子写真感光体、
及び第1電荷発生層と第2電荷発生層に活性エネルギー
線と活性ガスで処理した顔料を用いた実施例12の電子
写真感光体は、無処理の比較例3〜10の電子写真感光
体と同程度の値を示すことから、顔料処理による電気特
性上の影響はないことが分かる。
【0099】
【発明の効果】本発明の積層型電子写真感光体は、画像
特性の改良が十分で、しかも長期にわたって容易に安定
して製造できるという利点を有する、実用上好ましい電
子写真感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示
す模式断面図である。
【図2】参考例2で得られたフタロシアニン化合物
(b)のCuKα線によるX線回折スペクトルである。
【図3】参考例3で得られたフタロシアニン化合物
(c)のCuKα線によるX線回折スペクトルである。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 感光層 3 n型半導体顔料 4 p型半導体顔料 5 結着樹脂 6 第1電荷発生層 7 第2電荷発生層 8 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石森 元和 千葉県印旛郡栄町安食台4−36−15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、n型半導体顔料を含有
    する第1電荷発生層及びp型半導体顔料を含有する第2
    電荷発生層から成る電荷発生層と、電荷輸送層を順次積
    層して成る積層型電子写真感光体において、n型半導体
    顔料及び/又はp型半導体顔料が活性エネルギー線及び
    /又は活性ガス処理された顔料であることを特徴とする
    積層型電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 n型半導体顔料及び/又はp型半導体顔
    料が、底部に音波により振動可能な膜を有する容器に顔
    料を収容し、容器の底部に機械的振動と音波による振動
    とを加えて、顔料を撹拌しながら、顔料に活性エネルギ
    ー線及び/又は活性ガス処理された顔料である請求項1
    記載の積層型電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 n型半導体顔料がペリレン顔料であり、
    p型半導体顔料が無金属フタロシアニン顔料又はチタニ
    ウムフタロシアニン顔料である請求項1又は2記載の積
    層型電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 p型半導体顔料が、オキシチタニウムフ
    タロシアニン化合物と(2R,3R)−2,3−ブタン
    ジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオール
    との反応生成物である請求項3記載の積層型電子写真感
    光体。
  5. 【請求項5】 オキシチタニウムフタロシアニン化合物
    と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2
    S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物
    が、CuKα線に対するX線回折スペクトルにおいて、
    ブラッグ角(2θ±0.2°)の9.5°に主たるピー
    クを有するものである請求項4記載の積層型電子写真感
    光体。
  6. 【請求項6】 オキシチタニウムフタロシアニン化合物
    と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2
    S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物
    が、CuKα線に対するX線回折スペクトルにおいて、
    ブラッグ角(2θ±0.2°)の8.3°、24.7
    °、25.1°にピークを有するものである請求項4記
    載の積層型電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性基体に接する第1電荷発生層の膜
    厚が1.0〜10μmの範囲にあり、かつ第2電荷発生
    層の膜厚が0.1〜5.0μmの範囲にあって、第1電
    荷発生層の膜厚よりも薄い請求項1〜6のいずれか1つ
    に記載の積層型電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 n型半導体顔料及び/又はp型半導体顔
    料が、酸素の存在下で紫外線照射処理された顔料である
    請求項1〜7のいずれか1つに記載の積層型電子写真感
    光体。
JP7121897A 1997-03-25 1997-03-25 積層型電子写真感光体 Pending JPH10268533A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7121897A JPH10268533A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 積層型電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7121897A JPH10268533A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 積層型電子写真感光体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10268533A true JPH10268533A (ja) 1998-10-09

Family

ID=13454329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7121897A Pending JPH10268533A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 積層型電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10268533A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004354575A (ja) * 2003-05-28 2004-12-16 Konica Minolta Business Technologies Inc 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004354575A (ja) * 2003-05-28 2004-12-16 Konica Minolta Business Technologies Inc 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5522128B2 (ja) フタロシアニン組成物並びにそれを用いた光導電性材料、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP2008052105A (ja) 電子写真感光体及び画像形成装置
JP2008189937A (ja) ポルフィリナト亜鉛化合物の結晶
JP2004038168A (ja) 画像形成部材
JP2007219522A (ja) 電子写真感光体及び電子写真画像形成装置
JP5181410B2 (ja) フタロシアニン組成物並びにそれを用いた光導電性材料、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP3601626B2 (ja) 電子写真用感光体
JPH10268533A (ja) 積層型電子写真感光体
JP3903552B2 (ja) 電子写真用感光体
EP0449565A1 (en) Photosensitive material for electrophotography
JP3883338B2 (ja) 電子写真感光体
JP6515878B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2000122318A (ja) 電子写真用感光体
JP2003228183A (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP2002356627A (ja) 有機顔料の製造方法、及び該有機顔料を含有する電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP3707192B2 (ja) 電子写真用感光体
JP2000281931A (ja) 分散液の作製方法、電子写真感光体用分散液、電子写真感光体、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ
JP4809688B2 (ja) 積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法
JPH10186695A (ja) 電子写真用感光体
JPH09325508A (ja) 電子写真感光体
JP2000126638A (ja) 分散液の作製方法、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ
JP2007316097A (ja) 積層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2008250086A (ja) アゾ顔料を含有する電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP2019101290A (ja) 電子写真感光体及びそれを備える画像形成装置
JPH07319182A (ja) 電子写真用感光体