JPH10183443A - メッシュ生地およびその製造方法 - Google Patents

メッシュ生地およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10183443A
JPH10183443A JP9285057A JP28505797A JPH10183443A JP H10183443 A JPH10183443 A JP H10183443A JP 9285057 A JP9285057 A JP 9285057A JP 28505797 A JP28505797 A JP 28505797A JP H10183443 A JPH10183443 A JP H10183443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
mesh fabric
mesh
fabric
interlining
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9285057A
Other languages
English (en)
Inventor
Setsuo Taguchi
節男 田口
Kazuko Yamane
和子 山根
Takashi Ota
隆司 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP9285057A priority Critical patent/JPH10183443A/ja
Publication of JPH10183443A publication Critical patent/JPH10183443A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】軽くて、高通気性を有し、かつ、反発性、ハ
リ、コシがあって形態保持性および耐洗濯性良好なメッ
シュ生地およびその製造方法を提供する。 【解決手段】織編物からなり、該織編物を構成する糸
が、少なくともA糸と、ポリエステル糸であって本文中
に記載の特性値イ、ロのいずれかを有するB糸とを原材
料とする撚り数300T/m以下の複合糸であり、開口
率が5〜50%であるメッシュ構造を有し、かつ組織点
間にA糸および/またはB糸のループが存在してなるこ
とを特徴とするメッシュ生地。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽くて、高通気性
を有し、かつ反発性、ハリ、コシがあって形態保持性良
好なメッシュ生地およびその製造方法に関する。特に、
スーツ、コート、ジャケットなどの芯地に好適なメッシ
ュ生地およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、衣服用芯地は、衣服のシルエ
ットを形成、保持するために、天然繊維や化学繊維から
なる織物、不織布などの比較的厚手の布帛や、これらを
多層に積層したものが用いられてきた。また、比較的嵩
が小さくても良好なハリ、コシを有する毛芯(羊毛、人
髪、馬毛などの獣毛)が好ましく適用されてきた。しか
し、これらは厚く、重たく、通気性の乏しく、また、そ
の色は獣毛色あるいはグレーやブラックなどに限られ、
他の部材と調和し難い欠点があった。
【0003】この問題を改良するために、薄地の芯地を
用いる試みがなされているが、薄地にすると保形性(形
態保持性)が乏しくなって衣服が形崩れしやすくなるこ
とは避けられず、また、逆に保形性を良くしようとする
と、厚く、重たく、通気性の乏しいものになってしまっ
ていた。これらの相反する性能を両立する好ましい方法
がこれまでなかった。特に、軽く、清涼性を要求される
夏季衣服用に向く芯地がなかった。
【0004】また、従来の衣服用芯地は、繊維布帛のみ
の構成では、衣服のシルエットを形成、保持することが
不十分であり、樹脂加工などによりハリ、コシの性能を
補っている。そのため、洗濯特に水洗濯により剛性(ハ
リ、コシを表す一特性)が著しく低下し、衣服の形態や
風合いが著しく変化する問題があった。そのため、従来
のスーツなどは、比較的剛性低下の小さいドライクリー
ニングによるしか洗濯する方法がなかった。しかし、国
際的に環境問題が重視されるようになり、石油系、塩素
系薬剤によるドライクリニーングを廃止する方向にあ
り、樹脂加工によらないで十分なハリ、コシを有する芯
地が求められている。
【0005】また、さらに、近年、衣服の表地(特にス
ーツ類)の裏面には、薄地の接着芯地を用いることが常
識となっており、また、その接着芯地は合繊加工糸(代
表的なものはポリエステル繊維の仮撚加工糸)織物が主
流となりつつある。ところが、従来の毛芯を使用した胸
芯地は、この合繊加工糸織物との間にファスナー現象と
いわれる引っかかり現象を発生し、これが衣服のシルエ
ット形成や着ごごちに悪影響を及ぼし、解決すべき重要
課題となっている。
【0006】
【課題が解決しようとする課題】本発明の目的は、軽く
て、高通気性を有し、かつ、反発性、ハリ、コシがあっ
て形態保持性および耐洗濯性良好なメッシュ生地および
その製造方法を提供せんとするものである。また、スー
ツ、コート、ジャケットなどの芯地、とりわけ夏季衣服
用の芯地において、水洗濯により、反発性、ハリ、コシ
が低下し難い、また、合繊加工糸接着芯地とファスナー
現象を発生し難いメッシュ生地およびその製造方法を提
供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明メッシュ芯地およびその製造方法は、次の通りの構
成をとるものである。すなわち、 [1]織編物からなり、該織編物を構成する糸が、少な
くともA糸と、ポリエステル糸であって下記特性値イ、
ロのいずれかを有するB糸とを原材料とする撚り数30
0T/m以下の複合糸であり、開口率が3〜50%であ
るメッシュ構造を有し、かつ組織点間にA糸および/ま
たはB糸のループが存在してなることを特徴とするメッ
シュ生地。
【0008】特性値(イ): (1)小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像が
層線状像を呈し、かつ該写真上の子午線あるいは赤道か
ら散乱像の中心までの距離rにより下記式で求められる
J値が5〜15nm J=λ/2sin[{tan-1(r/R)}/2] ここで、R:カメラ半径、λ:X線の波長、J:長周期 (2)比重が1.360〜1.395 (3)結晶サイズが、面指数(010)において2.5
nm〜4.5nm、面指数(100)において2.0n
m〜4.0nm、面指数(1バア05以下105と記述
する)において2.0nm〜4.5nm (4)結晶配向度が010面で50〜85%、105面
で20〜60% (5)非晶配向度が0.100〜0.350 (6)複屈折率が20〜80×10-3 (7)非晶密度が1.31〜1.37g/cm3 (8)非晶密度/非晶配向度が4.0以上 特性値(ロ): (1)小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像が
層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた長
周期のDm値が15nm未満、De値が15nm以上、
Dm/Deが1.0未満 (2)比重が1.370〜1.396 (3)結晶サイズが、面指数(010)において2.0
nm〜4.0nm、面指数(100)において2.0n
m〜4.2nm、面指数(105)において2.0nm
〜4.2nm (4)結晶配向度が010面で60〜90%、105面
で60〜90% (5)非晶配向度が0.150〜0.450 (6)複屈折が30〜120×10-3 (7)非晶密度が1.31〜1.37g/cm3 (8)非晶密度/非晶配向度が3.0以上 [2]織編物のヨコ方向剛軟度が20〜300mg、ヨ
コ方向剛軟度/タテ方向剛軟度=3〜20の異方性剛軟
度を有し、かつ、通気量が50cc/cm2 ・sec以
上であることを特徴とする前記[1]記載のメッシュ生
地。
【0009】[3]水洗濯(JIS−L−0844のA
−2法)によるヨコ方向剛軟度の低下率が20%以下
で、かつヨコ方向の寸法変化率が1.5%以下であるこ
とを特徴とする前記[1]記載のメッシュ生地。
【0010】[4]複合糸が、交撚糸、合撚糸、引き揃
え糸、または混紡糸であることを特徴とする前記[1]
〜[3]のいずれかに記載のメッシュ生地 [5]A糸が単糸5デニール以上のポリエステルマルチ
フィラメントであることを特徴とする前記[1]〜
[4]のいずれかに記載のメッシュ生地 [6]A糸が長短複合糸であることを特徴とする前記
[1]〜[5]のいずれかに記載のメッシュ生地。
【0011】[7]織組織が、からみ織りであることを
特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載のメッ
シュ生地。
【0012】[8]】織組織が、模紗織り、ハック織り
あるいはナシジ織りであることを特徴とする前記[1]
〜[7]のいずれかに記載のメッシュ生地。
【0013】[9]編組織が、トリコット編のヨコ糸挿
入であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
載のメッシュ生地。
【0014】[10]前記[7]〜[9]のいずれかの
織編物組織において、A糸とB糸の複合糸をヨコ糸に使
用してなることを特徴とするメッシュ生地。
【0015】[11]前記[7]〜[9]のいずれかの
織編物組織において、タテ糸が合成繊維の嵩高加工糸で
あり、ヨコ糸がA糸とB糸の複合糸であることを特徴と
するメッシュ生地。
【0016】[12]ループが不規則に存在することを
特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかに記載のメ
ッシュ生地。
【0017】[13]ループを形成する糸がB糸である
ことを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかに記
載のメッシュ生地。
【0018】[14]メッシュ生地が芯地用であること
を特徴とする前記[1]〜[13]のいずれかに記載の
メッシュ生地。
【0019】[15]前記[1]〜[14]のいずれか
に記載のメッシュ生地を胸芯地の台芯に用いてなること
を特徴とする胸増芯あるいはフロント芯。
【0020】[16]前記[1]〜[15]記載のメッ
シュ生地が3原色染料あるいはその混合染料により染色
された染色品であることを特徴とするメッシュ生地。
【0021】[17]前記[1]〜[16]のいずれか
に記載のメッシュ生地からなる台芯と、少なくともフェ
ルト芯および/またはバスケ芯が積層されてなることを
特徴とする胸増芯あるいはフロント芯。
【0022】[18]タテ糸および/またはヨコ糸に少
なくとも高配向未延伸ポリエステル糸を含む複合糸を配
したメッシュ生地を作製し、この生地を用いて加熱し、
1〜40%収縮させることを特徴とするメッシュ生地の
製造方法。
【0023】[19]タテ糸および/またはヨコ糸に少
なくとも高配向未延伸ポリエステル糸を含む複合糸を配
したメッシュ生地を作製し、この生地を用いて収縮率1
〜40%の熱収縮処理を施した後、120℃以上の熱処
理を施すことを特徴とするメッシュ生地の製造方法。
【0024】[20]収縮処理または熱処理が、湿熱処
理あるいは乾熱処理によるものであることを特徴とする
前記[18]または[19]記載のメッシュ生地の製造
方法。
【0025】[21]タテ糸および/またはヨコ糸に少
なくとも高配向未延伸ポリエステル糸を含む複合糸を配
したメッシュ生地を用いて、70〜140℃の乾熱で収
縮処理を行い、次いで120℃以上の乾熱で熱処理した
後、少なくとも分散染料を有する染料を用いて110℃
以上で、30分間以上染色加工処理することを特徴とす
るメッシュ生地の製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明につい
て説明をする。
【0027】本発明は、目の粗いメッシュ生地でありな
がら、良好な保形性とハリ、コシを有し、軽量で高通気
性を有するメッシュ生地に関するものである。本発明で
いうメッシュ生地とは、表面から裏面に貫通孔を有する
いわゆる目の空いた構造の生地のことであり、それを数
値で定義するならば、開口率において少なくとも3%以
上であり、好ましくは5%以上、特に好ましくは8%以
上の生地を対象とするものである。
【0028】本発明は、織編物を構成する糸が、少なく
ともA糸と、ポリエステル糸であって下記特性値イ、ロ
のいずれかを有するB糸とを原材料とする複合糸からな
るメッシュ構造の織編物であり、組織点間にA糸および
/またはB糸のループが存在してなることを骨子とする
メッシュ生地である。
【0029】特性値(イ): (1)小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像が
層線状像を呈し、かつ該写真上の子午線あるいは赤道か
ら散乱像の中心までの距離rにより下記式で求められる
J値が5〜15nm J=λ/2sin[{tan-1(r/R)}/2] ここで、R:カメラ半径、λ:X線の波長、J:長周期 (2)比重が1.360〜1.395 (3)結晶サイズが、面指数(010)において2.5
nm〜4.5nm、面指数(100)において2.0n
m〜4.0nm、面指数(1バア05以下105と記述
する)において2.0nm〜4.5nm (4)結晶配向度が010面で50〜85%、105面
で20〜60% (5)非晶配向度が0.100〜0.350 (6)複屈折率が20〜80×10-3 (7)非晶密度が1.31〜1.37g/cm3 (8)非晶密度/非晶配向度が4.0以上 特性値(ロ): (1)小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像が
層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた長
周期のDm値が15nm未満、De値が15nm以上、
Dm/Deが1.0未満 (2)比重が1.370〜1.396 (3)結晶サイズが、面指数(010)において2.0
nm〜4.0nm、面指数(100)において2.0n
m〜4.2nm、面指数(105)において2.0nm
〜4.2nm (4)結晶配向度が010面で60〜90%、105面
で60〜90% (5)非晶配向度が0.150〜0.450 (6)複屈折が30〜120×10-3 (7)非晶密度が1.31〜1.37g/cm3 (8)非晶密度/非晶配向度が3.0以上 本発明において、小角X線散乱写真撮影方法および条件
は、通常行われる小角X線散乱測定により行うものであ
るが、本発明者らが行った方法および条件は次のとおり
である。
【0030】 X線発生装置;理学電機社(株)製:RU−200型 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :50KV 200mA スリット径 :0.5mm径 撮影条件 ;カメラ半径 :400mm 露出時間 :120分 フイルム :Kodak DEF−5 また、各種特性の測定方法および条件は下記のとおりで
ある。
【0031】(1) 比重;JIS−L1013 7.1
4.2密度勾配管法に準じた。
【0032】 (2) 広角X線回折による結晶サイズ測定; (a) 広角X線回析(カウンター法) X線発生装置;理学電機社(株)製 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :35KV 15mA ゴニオメータ;理学電機社(株)製 スリット径:2mm径ピンホールコリメータ 検出器 :シンチレーションカウンター 計数記録装置;RAD−C、オンライン・データ処理システム 赤道線方向スキャン範囲:10〜35° 子午線方向スキャン範囲:30〜55° スキャン方法 ステップ:2θ/θ サンプリング間隔:0.05°/Step 積算時間 :2秒 円周方向(β)スキャン範囲:90〜270° サンプリング間隔:0.5°/Step 積算時間 :2秒 (b) 広角プレート写真撮影 X線発生装置;理学電機社(株)製:4036A2型 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :35KV 15mA スリット径:1mm径ピンホールコリメータ使用 撮影条件 ;カメラ半径 :40mm 露出時間 :20分 フイルム :Kodak DEF−5 結晶サイズ算出は面指数(010)、(100)および
(105)のピークの半値幅から下記のScherre
rの式を用い計算した。
【0033】L(hkl)=Kλ/β0 cosθB ただし、L(hkl):微結晶の(hkl)面に垂直な
方向の平均の大きさ K:1.0、λ:X線の波長、β0 =(βE2−βI2
1/2 、 βE :見掛けの半値幅(測定値) βI :1.05×10-2rad.、θB :ブラッグ角 (3) 広角X線回折測定による結晶配向度 各ピークを円周方向にスキャンして得られる強度分布の
半値幅Hから下記式により算出したもの。
【0034】結晶配向度(%)=[(180−H)/1
80]×100 (4) 複屈折:Na電球によりD線色光を用い、セナルモ
ン法およびコンペンセータ法で測定した。
【0035】(5) 偏光蛍光法による非晶配向度 装 置:日本分光工業製FOM−1 光学系:透過法(励起光波長:365nm、蛍光波長:
420nm) 測定系:偏光子‖検光子、および偏光子〓検光子で回転
して、面内の偏光蛍光強度(I‖、I〓)の角度分布を
得た。
【0036】ここで、‖は平行を示し、〓は垂直を示
す。
【0037】非晶配向度は下記式からの一軸配向係数f
2 で求めた。
【0038】f2 =3/2[{I‖(0)+2I〓
(0)}/K−1/3] 但し、K={I‖(0)+4I〓(0)+8/3I‖
(90)} I‖(0) :‖測定での軸方向の相対偏光蛍光強度 I‖(90):‖測定での上記と直交方向の相対偏光蛍
光強度 I〓(0) :〓測定での軸方向の相対偏光蛍光強度 (6) 非晶密度 次の式により非晶密度(da)を求めた。
【0039】da (g/cm3 )=[d-dc×{(Xc/100)/dc}×d]
/1-{(Xc/100)/dc} ×d] d:繊維密度(g/cm3 ) dc:1.501 Xc:結晶化度(%) なお、結晶化度はW.rulandの方法(W.Ruland、Acta Cr
yst .、14(1961)、1180-1185)により、下記広角X線回
析(ディフラクトメータ法)にて測定した。
【0040】 X線発生装置;理学電機社(株)製 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 湾曲結晶モノクロメーター(グラファイト使 用) 出力 :50KV 200mA ゴニオメータ;理学電機社(株)製 スリット径:1°-0.15mm-1° 検出器 :シンチレーションカウンター 計数記録装置;理学電機社(株)製RAD−B スキャン方式;2θ/θ:連続スキャン 測定範囲:2θ=5〜140° サンプリング:0.02° スキャン速度:3°/分 A糸成分は、特に限定されるものではなく、従来公知の
合成繊維、半合成繊維、天然繊維などが適用できる。好
ましくはループが発生しやすい素材としては長短複合
糸、紡績糸、異型断面糸、加工糸などが好ましく適用で
きる。また、メッシュ生地のハリ、コシを高める観点か
らは、剛性の高い繊維を用いるのが好ましく、単糸が5
デニール以上の太いマルチフィラメントであることが好
ましく、8デニール以上がより好ましく、10デニール
以上のマルチフィラメントであることが特に好ましい。
ポリマー素材としては、剛性が高く、水分の影響の少な
いポリエステルが好ましい。
【0041】一方、B糸とは、ポリエステル糸であっ
て、前記特性値イ、ロのいずれかを有するものであり、
従来のポリエステル未延伸糸、延伸糸、POY、引取速
度が5000m/分を超える高速で得た高速紡糸繊維な
どとは異なる微細構造のものであり、前述した測定方法
による (a)非晶配向度が低いこと、 (b)非晶密度が高い
こと、 (c)結晶が等方性であるなど特徴を有するするも
のである。さらに、本発明を特徴づけるもう一つの重要
なパラメータとしては、 (d)非晶密度/非晶配向度の値
が大きいことであり、特性値イにおいて、4.0以上、
好ましくは5.0以上であり、特性値ロにおいては、
3.0以上、好ましくは3.5以上である。この特性値
は従来のポリエステル繊維では決して得られないもので
ある。
【0042】この特異な微細構造が、メッシュ生地を構
成する一繊維として使用した場合、目の空いたメッシュ
構造でありながら反発性が良好でハリ、コシの優れた性
能を付与することができ、本発明の目的を達成すること
ができる。
【0043】本発明は、少なくとも上記A糸およびB糸
の2成分の糸が、交撚糸、合撚糸、引き揃え糸、混紡糸
などの複合糸の形態で織編物を形成し、例えば両成分糸
の収縮あるいは伸長挙動の差などによりA糸あるいはB
糸のいずれか、または両方の糸がループを形成し、A糸
の剛性とB糸の高反発性の相乗効果により本発明メッシ
ュ生地の性能を発現するものである。この好ましい具体
例としては、A糸として5デニール以上のポリエステル
マルチフィラメントを用い、B糸と300T/m以下好
ましくは200T/m以下の甘撚を付与した交撚あるい
は合撚した複合糸とすることにより、ループが発現しや
すく、反発性やハリ、コシを高めるのに好ましい方法で
ある。
【0044】織物の組織点間に多数のループを有するこ
ととは、メッシュ生地にあって、例えば、上記した複合
糸をタテ糸に用いれば組織点のヨコ糸間にタテ糸のルー
プが、ヨコ糸に用いれば組織点のタテ糸間にヨコ糸のル
ープが存在するものである。これが従来メッシュ生地の
欠点であるモアレの発生、アイロンアタリ、裁断時のス
ベリ、ゴアゴア感触を解消することができるのである。
【0045】また、このループの存在が他の生地と重ね
合わせて使用する場合、密着することなく生地間をあた
かも点接触のように積層され膨らみをもった構造とする
ことができ、柔らかさや良好な断熱性や保温性を付与す
ることができる。もちろん、人間の皮膚との接触におい
ても快い感触を与えることができる。
【0046】ループの大きさ(高さあるいは幅長さ)
は、 (A)メッシュ生地厚さの20〜200%であること
が好ましく、 (B)ループの密度は10〜200個/cm
2 の範囲が好ましい。あるいは、 (C)直線部分の糸の長
さ(L0)とループ部分の糸の長さ(L)の長さ比(α
=L/L0)が、α=1.2〜3.0であることが好ま
しい。また、ループは不規則に存在することが自然感の
ある品位を呈し好ましい。これらは、メッシュ生地の厚
さを測定すること、図1に示すように、拡大装置でメッ
シュ生地表面を50〜200倍程度に拡大し、ループの
高さあるいは幅(H)を測定すること、ループの密度を
カウントすること、L0とLの長さを測定することによ
り求められる。
【0047】本発明のメッシュ生地を好ましく製造する
方法について説明を加える。先ず、少なくとも高配向未
延伸ポリエステル糸を含む他の糸との複合糸を配したメ
ッシュ生地を織編成し、この生地を用いて収縮率1〜4
0%の熱収縮処理および/または120℃以上の熱処理
を施すことにより達成される。上記の高配向未延伸ポリ
エステル糸とは、通常ポリエステルPOYを呼ばれるも
のを含むものであり、引き取り速度が2500〜350
0m/分で得られたポリエステル糸が好ましく適用され
る。この高配向未延伸ポリエステル糸と少なくとも他の
種類の糸(A糸)を複合糸としてメッシュ生地を作り、
タテおよび/またはヨコ方向において、一旦収縮率1〜
40%、好ましくは5〜30%収縮させ、一方の糸が直
線状となり、一方の糸がループを形成し本発明の構造の
メッシュ生地を作ることができる。この複合糸形態にお
いて、A糸が直線状となり、B糸がループとなるのが、
A糸の剛性とB糸の反発性が有効に発揮でき好ましく、
B糸がループとなってメッシュ生地の表面に露出するこ
とが、B糸の柔軟性が生地表面にタッチの良い感触をも
たらし好ましい。
【0048】この加工は、収縮に加えて120℃以上の
乾熱あるいは湿熱により熱処理し、高配向未延伸ポリエ
ステル糸が溶融紡糸時に受けた応力を十分に緩和した状
態で、結晶化せしめ、B糸と変化して前述したイ、ロの
いずれかの特性を有する特異な微細構造とすることによ
り達成される。高配向未延伸ポリエステル糸をB糸に変
化せしめるには、A糸との複合糸形態による拘束がメッ
シュ生地の収縮時に高配向未延伸ポリエステル糸に緊張
状態をもたらし、この状態がB糸への変化を効果的にな
らしめる。熱処理温度は120℃以上で目的を達成する
ことが可能であるが、好ましくは140℃以上、特に好
ましくは160℃以上であり、当然ながら処理温度が高
い程短時間で性能を発現することができる。例えば、乾
熱で180℃×5分間とか湿熱で130℃×30分間は
好ましい条件である。湿熱処理方法は液流処理機を用い
て緩やかに昇温することが皺の発生が少なく、均一に処
理でき好ましい手段である。特に、複数段処理が好まし
く、具体的には、1段目が張力を極力負荷しない乾熱処
理、2段目が湿熱処理を行う方法が、本発明のように目
の粗いメッシュ生地には好ましいことである。
【0049】また、好ましい具体的な一例としては、か
かる生地を70〜140℃の乾熱で収縮処理を行い、次
いで120℃以上の乾熱で熱処理した後、少なくとも分
散染料を有する染料を用いて110℃以上で染色する方
法が挙げられる。
【0050】かかる染色により、あらゆる種類の色にま
た鮮やか色に着色することができる。従来の胸芯地はそ
の原料の色である獣毛色や染色してもグレーや黒色に限
定される。そのため、他の部材の色あるは素材との組合
せは、おのずと制限されていた。特に、薄地や目の開い
た表地との組合せにおいては、内部に用いる芯地を色が
外観に影響するため、表地素材の選択が制限されてい
た。本発明のメッシュ芯地あるいは胸芯地は、3原色染
料から得られるあらゆる色すなわちフルカラーに着色す
ることが可能である。また、毛芯に比べるとはるかに鮮
やかなで深い色とすることも可能である。これは、毛芯
において制限されていた他部材とのコンビネーションの
課題を解消することができ、本発明の大きな効果であ
る。
【0051】かかる処理によって高配向未延伸ポリエス
テル糸を特殊微細構造と変化せしめて好ましい反発性を
発現させ、皺になりにくいメッシュ生地とすることがで
きる。また、織物のタテ糸、ヨコ糸に異なる糸使い(単
糸デニール、糸デニール)や高配向未延伸ポリエステル
糸を含む複合糸を一方のみに使用するなどにより反発性
や剛性において異方性を有するメッシュ生地とすること
ができる。この異方性は、ヨコ方向剛軟度が20〜30
0mgであって、ヨコ方向剛軟度/タテ方向剛軟度=2
〜20となることが好ましく、これを達成するには。B
糸を含む複合糸をヨコ糸に配置するのが好ましい。特
に、軽量・高通気性を要求される芯地用途においては、
この性能は重要である。
【0052】メッシュ生地の開口率は、3〜50%であ
ることが好ましく、10〜40%が特に好ましい。この
特性は衣服素材として使用する場合、衣服内に溜まる熱
気や湿気を外部へ放出し、外部から新鮮な空気を取り入
れて良好な清涼性を得ることができる。前者の範囲未満
であると通気性が低下し清涼効果は得がたい。前者の範
囲を越えると、目が粗すぎて保形性が得がたい。通気量
は50cc/cm2 ・sec以上であることが好まし
く、特に200cc/cm2 ・sec以上であることが
好ましい。
【0053】加えて本発明の特筆すべき性能の一つは、
樹脂加工によらないで十分な反発性やハリ、コシを有す
ることであり、これは洗濯特に水洗濯による反発性や剛
性の低下が小さいことと寸法変化が小さいことであり、
下述する規定の洗濯により、ヨコ方向の剛軟度において
低下率が20%以下であり、好ましくは15%以下であ
る。また、寸法変化は収縮率において1.5%以下であ
り、好ましくは1.0以下である。樹脂加工によらない
で十分な反発性やハリ、コシを有する。
【0054】このように水洗濯が実質的に可能であるこ
とは、従来の衣服用芯地が、繊維布帛のみの構成では、
衣服のシルエットを形成、保持することが不十分であ
り、樹脂加工などによりハリ、コシの性能を補っている
ため、洗濯特に水洗濯により反発性や剛性(ハリ、コシ
を表す一特性)が著しく低下し、衣服の形態や風合いが
著しく変化し、従来のスーツなどは、比較的剛性低下の
小さいドライクリーニングによるしか洗濯する方法がな
かったが、近年、国際的に環境問題が重視されるように
なり、石油系、塩素系薬剤によるドライクリニーングが
廃止される方向にあることから、この点で樹脂加工によ
らないで十分な反発性やハリ、コシを有する本発明のメ
ッシュ生地の意義は極めて大きい。
【0055】特筆すべき性能のもう一つは、合繊加工糸
接着芯地に対してファスナー現象が発生し難いことがあ
げられる。従来の毛芯は、獣毛の硬く太い糸端が織物の
表面に露出しているため、合繊加工糸接着芯地の加工糸
の単糸と絡まりファスナー現象といわれる引っかかりが
発生し、洋服の着心地や形態保持性を大きく阻害してい
た。近年、洋服の接着芯地は合繊加工糸接着芯地が主流
となっており、本発明のメッシュ生地がその問題がない
ことは、極めて大きな意義がある。
【0056】織り組織は特に限定がなく、平織、斜文
織、朱子織など従来公知の組織が適用できるが、からみ
織り、模紗織り、ハック織り、ナシジ織りなど目の粗い
構造でも目ずれがし難い組織が好ましく適用される。特
に、本発明の目的からは紗織や絽織などのからみ織は、
組織点で強固にヨコ糸を把持することができ、目ずれが
し難い性能に加えて、組織間に強固なループを効果的に
発現することから好ましく適用される。また、かかる織
り組織において、ヨコ方向に反発性や剛性が大きい異方
性を付与すること、あるいは耐目ずれ性、伸縮性付与の
観点から、タテ糸としてはナイロンやポリエステルなど
の合成繊維の仮撚り加工糸、エアー加工糸、押し込み加
工糸に代表される嵩高加工糸を用い、ヨコ糸としてB糸
を含む複合糸を用いるのが好ましい。
【0057】編物においても、その組織は特に限定がな
く、絹人絹特報社(金沢市博労町74番地)発行寺崎正
雄著者「経メリヤスの技術」(昭和37年7月1日発
行)の76〜91ページに記載の網目編や、繊維研究会
出版局(大阪市東住吉区西鷹合町1−17)発行岡本恒
彦著者「新しいメリヤス学」(昭和4年2月1日発行)
の272〜287ページに記載のラッセルレースが好ま
しく適用される。具体的な組織名としてはチュール、亀
甲紗、チコール・メッシュ、変わり亀甲紗、スケア・ネ
ット、サンドフライ・ネットなどのうち、本発明の規定
に合致するものが好ましく適用できる。特に、トリコッ
トのヨコ糸挿入組織において、ヨコ糸挿入糸にB糸を有
する複合糸を適用するのは、好ましい方法である。
【0058】本発明のメッシュ生地は、紳士、婦人のス
ーツ、コート、制服、ワーキングウエアなどの衣料芯地
や帽子の芯地、インサイドベルト、ネクタイ芯、衿芯、
カフス芯、前立て芯などや、保形性や高通気性が要求さ
れる部材として好ましく適用される。特に、スーツやコ
ートなどの胸芯地の台芯として好ましく適用できる。な
お、本発明の胸芯地とは、業界用語で言う胸増芯とフロ
ント芯を含むものである(これらを総称してつくり芯と
も言う)。胸増芯とは胸上部の部分の胸芯地のことであ
り、フロンと芯とはラペルを含み裾まである胸芯地のこ
とである。
【0059】本発明の台芯の効果を高める胸芯地の構成
の一例を図2に示す。1が本発明台芯、2がフェルト
芯、3がバスケ芯である。この台芯の部分に本発明のメ
ッシュ生地を用いることにより、胸芯地としてのシルエ
ット形成とその形態保持に加えて、反発性、ハリ・コ
シ、寸法安定性、軽量性、高通気性、耐洗濯性に優れた
性能が発揮することができる。
【0060】なお、本発明メッシュ生地の物性における
測定方法は、次のとおりである。
【0061】1)剛軟度:JIS−L−1018(19
90)P15〜16に規定された曲げ反発性試験法A法
(ガーレ)法により測定されるもので、試料の長さ1.
5インチ、幅1.0インチの試験片をタテ、ヨコ方向に
採取し、ガーレ試験機を用いて測定された値である。
【0062】2)開口率:拡大装置で50〜100倍程
度(真上からの陰影と、陰影のない部分)に拡大して開
孔部分の面積すなわち開孔率=(繊維の存在しない部分
の面積/生地の面積)の値を測定することにより行われ
る。具体例を挙げれば、スカラ株式会社製ビデオマイク
ロスコープ(VMS−1000S型)を用いて写真にと
り、拡大写真の開孔部分、非開孔部分の面積を測定する
ことにより求められる。また、開孔部分の寸法は上記同
様に拡大装置で10〜100倍程度に拡大して写真より
求められる。
【0063】3)通気量:JIS−L1096(フラジ
ール法)に基づき測定される。
【0064】4)洗濯試験:JIS−L−0844のA
−2法において洗濯される。
【0065】5)反発性:正方形サンプル(10cm×
10cm)を作製し、手で強く握って放し、その回復性
を定性的に判定した。
【0066】6)耐ファスナー性:通常のポリエステル
仮撚り加工接着芯地とテスト生地の面を合わして摩擦し
そのひっかかりの有無を調べる。
【0067】本発明の構成を知った後の者にとっては、
本発明におけるメッシュ生地を他の物に展開することは
容易なことであろう。
【0068】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。
【0069】実施例1 タテ糸としてポリエステル延伸糸150デニール(48
フィラメント)、ヨコ糸としてB糸が255デニール
(30フィラメント)のポリエステルPOY(引取速度
3000m/分)とA糸がポリエステル延伸糸300デ
ニール(10フィラメント)との撚数100T/m交撚
糸を用い、織組織が紗織(からみ織)、タテ密度が34
本/インチ、ヨコ密度が52本/インチの織物(生機)
を製織した。
【0070】この生機をネットコンベア式熱風乾燥機を
用いてタテ、ヨコとも張力負荷の小さい状態で通し、1
00℃×60秒間処理し幅方向に15%収縮させた。次
いでピンテンターで180℃×2分間乾熱処理しながら
5%幅を出した。引き続き130℃で30分間液流染色
機を用い分散染料でブルー色に染色した。
【0071】得られた織物は組織点間に不規則な配置で
ループが多数存在(ループの大部分はB糸)する膨らみ
のあるメッシュ生地であった。表1に示すように、ヨコ
方向剛軟度/タテ方向剛軟度の比は8.1であり、ヨコ
張りの良好なものであった。また、開口率は21%、通
気量は301cc/cm2 ・sec、目付は203g/
2 であった。前述の方法にて洗濯試験を行ったとこ
ろ、剛軟度はほとんど低下せず、洗濯収縮の極めて小さ
いものであった。ポリエステル仮撚加工糸接着芯地との
ファスナー現象も発生しなかった。
【0072】かかるメッシュ生地をほぐしてB糸を取り
出し特性値を測定した。その結果を表2に示した。いず
れも本発明の請求項1のイの特性を満たすものであっ
た。
【0073】組織点間に多数のループが存在するため、
他の素材との接触あるいは肌との接触は点接触となり、
他の生地と積層しても通気性を低下が少ない利点を有し
ていた。
【0074】メンズの夏季用スーツの胸増芯の台芯とし
て用いたところ、スーツの形態がしっかりしており、軽
く、高通気性を有し、皺が寄り難く、保形性が良好であ
った。表地に用いたブルー色の生地ともよくマッチし
た。また、160℃でアイロン掛けをしても表地にアイ
ロンアタリは認められなかった。また、この芯地を20
枚重ねて裁断する作業において、布スベリ(裁断スベ
リ)がなく容易に作業できた。
【0075】実施例2 タテ糸としてポリエステル延伸糸150デニール(48
フィラメント)の仮撚り加工糸、ヨコ糸としてB糸が2
55デニール(30フィラメント)のポリエステルPO
Y(引取速度3000m/分)とA糸がポリエステル延
伸糸300デニール(10フィラメント)との撚数10
0T/m交撚糸を用い、織組織が紗織り、タテ密度が3
6本/インチ、ヨコ密度が54本/インチの織物(生
機)を製織した。
【0076】この生機をピンテンターを用いてヨコ方向
に7%弛めるようにセットして120℃で60秒間通
し、次いでピンテンターで180℃×2分間乾熱処理し
ながら3%幅を出した。引き続き液流染色機を用いて、
130℃で30分間ピンク色に染色した。
【0077】得られた織物は、組織点間に不規則な配置
でループが存在する膨らみのあるメッシュ生地であり、
反発性に優れるものであった。表1に示すように、ヨコ
方向剛軟度/タテ方向剛軟度の比は8.6であり、ヨコ
張りの良好なものであった。また、開口率は21%、通
気量は305cc/cm2 ・sec、目付は208g/
2 であった。規定の洗濯試験を行ったところ、剛軟度
はタテ、ヨコともほとんど低下せず、洗濯収縮率も極め
て小さいものであった。ポリエステル仮撚加工糸接着芯
地との間でファスナー現象が発生しなかった。
【0078】かかるメッシュ芯地をほぐしてB糸のみを
取り出し特性値を測定した。その結果を表2に示した。
いずれも本発明の請求項1のロの特性を満たすものであ
った。
【0079】組織点間に多数のループが存在するため、
他の素材との接触あるいは肌との接触は点接触となり、
他の生地と積層しても通気性を低下が少ない利点を有し
ていた。レディースの夏季用スーツの胸増芯の台芯とし
て用いたところ、軽く、高通気性を有し、皺が寄り難
く、保形性も良好であった。表地とピンク色ともよくマ
ッチした。スーツの形態で水洗濯を行ったところ、胸部
分において、皺や型くずれは認められなかった。
【0080】比較例1 タテ糸としてポリエステル延伸糸150デニール(48
フィラメント)、ヨコ糸としてポリエステル延伸糸15
0デニール(48フィラメント)とポリエステル延伸糸
300デニール(10フィラメント)の交撚糸を用い、
タテ密度が38本/インチ、ヨコ密度が52本/インチ
の織物(生機)を製織した。
【0081】この生機をピンテンターを用いて有り幅で
120℃×60秒間通し、次いでピンテンターで180
℃×2分間乾熱処理しながら3%幅を出した。引き続き
実施例1と同様130℃で30分間液流染色を行った。
【0082】得られた生地は、実施例1および実施例2
に比べて明らかに低剛軟度であり、ヨコ剛軟度/タテ剛
軟度の値も2.8と小さく、ヨコ張りは不十分であっ
た。
【0083】また、皺が寄りやすく、保形性も不十分で
あった。
【0084】比較例2 従来市販の毛芯(タテ密度66本/インチ、ヨコ密度5
3本/インチ)について、実施例1および実施例2と同
様の項目で特性を測定した。その結果、表1に示したよ
うに剛軟度は高いレベルにあるが、水洗濯によりヨコ剛
軟度が著しく低下した。洗濯での収縮率がヨコ方向にお
いて2.0%と大きい。また、ポリエステル仮撚加工糸
接着芯地との間の耐ファスナー性は著しく不良であっ
た。
【0085】
【表1】
【表2】
【0086】
【発明の効果】本発明のメッシュ生地は次の効果を有す
る。
【0087】(イ)反発性が良好であり、皺が発生し難
い。
【0088】(ロ)良好な保形性を有する。
【0089】(ハ)軽量で高通気性を有する。
【0090】(ニ)良好なハリ・コシを有する。
【0091】(ホ)上記は芯地に好適であり、かつアイ
ロンアタリが少なく、裁断時スベリ難く作業がしやす
い。
【0092】(ヘ)洗濯による剛性低下や寸法変化が小
さい。
【0093】(ト)合繊加工糸接着芯地との間でファス
ナー現象が発生し難い。
【0094】(チ)フルカラー化が可能であり、他部材
とよくマッチする。
【図面の簡単な説明】
【図1】ループの大きさを測定するための説明図であ
る。
【図2】本発明のメッシュ生地を用いた胸増芯の一例を
示す構成説明図である。
【符号の説明】
1:台芯(本発明メッシュ生地) 2:フェルト芯 3:バスケ芯
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D04B 21/12 D04B 21/12

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】織編物からなり、該織編物を構成する糸
    が、少なくともA糸と、ポリエステル糸であって下記特
    性値イ、ロのいずれかを有するB糸とを原材料とする撚
    り数300T/m以下の複合糸であり、開口率が3〜5
    0%であるメッシュ構造を有し、かつ組織点間にA糸お
    よび/またはB糸のループが存在してなることを特徴と
    するメッシュ生地。 特性値(イ): (1)小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像が
    層線状像を呈し、かつ該写真上の子午線あるいは赤道か
    ら散乱像の中心までの距離rにより下記式で求められる
    J値が5〜15nm J=λ/2sin[{tan-1(r/R)}/2] ここで、R:カメラ半径、λ:X線の波長、J:長周期 (2)比重が1.360〜1.395 (3)結晶サイズが、面指数(010)において2.5
    nm〜4.5nm、面指数(100)において2.0n
    m〜4.0nm、面指数(1バア05以下105と記述
    する)において2.0nm〜4.5nm (4)結晶配向度が010面で50〜85%、105面
    で20〜60% (5)非晶配向度が0.100〜0.350 (6)複屈折率が20〜80×10-3 (7)非晶密度が1.31〜1.37g/cm3 (8)非晶密度/非晶配向度が4.0以上 特性値(ロ): (1)小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像が
    層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた長
    周期のDm値が15nm未満、De値が15nm以上、
    Dm/Deが1.0未満 (2)比重が1.370〜1.396 (3)結晶サイズが、面指数(010)において2.0
    nm〜4.0nm、面指数(100)において2.0n
    m〜4.2nm、面指数(105)において2.0nm
    〜4.2nm (4)結晶配向度が010面で60〜90%、105面
    で60〜90% (5)非晶配向度が0.150〜0.450 (6)複屈折が30〜120×10-3 (7)非晶密度が1.31〜1.37g/cm3 (8)非晶密度/非晶配向度が3.0以上
  2. 【請求項2】織編物のヨコ方向剛軟度が20〜300m
    g、ヨコ方向剛軟度/タテ方向剛軟度=3〜20の異方
    性剛軟度を有し、かつ、通気量が50cc/cm2 ・s
    ec以上であることを特徴とする請求項1記載のメッシ
    ュ生地。
  3. 【請求項3】水洗濯(JIS−L−0844のA−2
    法)によるヨコ方向剛軟度の低下率が20%以下で、か
    つヨコ方向の寸法変化率が1.5%以下であることを特
    徴とする請求項1記載のメッシュ生地。
  4. 【請求項4】複合糸が、交撚糸、合撚糸、引き揃え糸、
    または混紡糸であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載のメッシュ生地
  5. 【請求項5】A糸が単糸5デニール以上のポリエステル
    マルチフィラメントであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載のメッシュ生地
  6. 【請求項6】A糸が長短複合糸であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載のメッシュ生地。
  7. 【請求項7】織組織が、からみ織りであることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載のメッシュ生地。
  8. 【請求項8】織組織が、模紗織り、ハック織りあるいは
    ナシジ織りであることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れかに記載のメッシュ生地。
  9. 【請求項9】編組織が、トリコット編のヨコ糸挿入であ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のメ
    ッシュ生地。
  10. 【請求項10】請求項7〜9のいずれかの織編物組織に
    おいて、A糸とB糸の複合糸がヨコ糸に使用されてなる
    ことを特徴とするメッシュ生地。
  11. 【請求項11】請求項7〜9のいずれかの織編物組織に
    おいて、タテ糸が合成繊維の嵩高加工糸であり、ヨコ糸
    がA糸とB糸の複合糸であることを特徴とするメッシュ
    生地。
  12. 【請求項12】ループが不規則に存在することを特徴と
    する請求項1〜11のいずれかに記載のメッシュ生地。
  13. 【請求項13】ループを形成する糸がB糸であることを
    特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のメッシュ
    生地。
  14. 【請求項14】メッシュ生地が芯地用であることを特徴
    とする請求項1〜13のいずれかに記載のメッシュ生
    地。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれかに記載のメッ
    シュ生地を胸芯地の台芯に用いてなることを特徴とする
    胸増芯あるいはフロント芯。
  16. 【請求項16】請求項1〜15のいずれかに記載のメッ
    シュ生地が3原色染料あるいはその混合染料により染色
    された染色品であることを特徴とするメッシュ生地。
  17. 【請求項17】請求項1〜16のいずれかに記載のメッ
    シュ生地からなる台芯と、少なくともフェルト芯および
    /またはバスケ芯が積層されてなることを特徴とする胸
    増芯あるいはフロント芯。
  18. 【請求項18】タテ糸および/またはヨコ糸に少なくと
    も高配向未延伸ポリエステル糸を含む複合糸を配したメ
    ッシュ生地を作製し、この生地を用いて加熱し、1〜4
    0%収縮させることを特徴とするメッシュ生地の製造方
    法。
  19. 【請求項19】タテ糸および/またはヨコ糸に少なくと
    も高配向未延伸ポリエステル糸を含む複合糸を配したメ
    ッシュ生地を作製し、この生地を用いて収縮率1〜40
    %の熱収縮処理を施した後、120℃以上の熱処理を施
    すことを特徴とするメッシュ生地の製造方法。
  20. 【請求項20】収縮処理または熱処理が、湿熱処理ある
    いは乾熱処理によるものであることを特徴とする請求項
    18または19記載のメッシュ生地の製造方法。
  21. 【請求項21】タテ糸および/またはヨコ糸に少なくと
    も高配向未延伸ポリエステル糸を含む複合糸を配したメ
    ッシュ生地を用いて、70〜140℃の乾熱で収縮処理
    を行い、次いで120℃以上の乾熱で熱処理した後、少
    なくとも分散染料を有する染料を用いて110℃以上
    で、30分間以上染色加工処理することを特徴とするメ
    ッシュ生地の製造方法。
JP9285057A 1996-10-24 1997-10-17 メッシュ生地およびその製造方法 Pending JPH10183443A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9285057A JPH10183443A (ja) 1996-10-24 1997-10-17 メッシュ生地およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28236796 1996-10-24
JP8-282367 1996-10-24
JP9285057A JPH10183443A (ja) 1996-10-24 1997-10-17 メッシュ生地およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10183443A true JPH10183443A (ja) 1998-07-14

Family

ID=26554580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9285057A Pending JPH10183443A (ja) 1996-10-24 1997-10-17 メッシュ生地およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10183443A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007217853A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Toshiharu Hara 夏物衣料の襟芯
JP2009092369A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Asahi Kasei Fibers Corp 空調システム用表面材
JP2015172258A (ja) * 2014-03-11 2015-10-01 株式会社たまき ウォッシャブルネクタイ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007217853A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Toshiharu Hara 夏物衣料の襟芯
JP4501878B2 (ja) * 2006-02-16 2010-07-14 俊治 原 夏物衣料の襟芯
JP2009092369A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Asahi Kasei Fibers Corp 空調システム用表面材
JP2015172258A (ja) * 2014-03-11 2015-10-01 株式会社たまき ウォッシャブルネクタイ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE69628237T2 (de) Polyestergegenstand und verfahren zu seiner herstellung
JP6279845B2 (ja) 遮熱性および放熱性に優れた織編物および繊維製品
JPWO2020162624A1 (ja) 織物及びその製造方法並びに該織物を含む繊維製品
US7309667B2 (en) Woven fabric and a method for the production thereof
JPH10183443A (ja) メッシュ生地およびその製造方法
JP2007270358A (ja) 着用快適性に優れる厚地織物およびデニム商品
KR20030036445A (ko) 장섬유 코듀로이 직물의 제조방법
JP2002105796A (ja) 遮光性織物
JP2000160416A (ja) 胸芯地およびその製造方法
JP4228112B2 (ja) 吸放湿性に優れた布帛及び繊維製品
JP2005171427A (ja) 交織織物
JPH1161595A (ja) 清涼薄地複合織物及びその製造方法
JP2004060066A (ja) 染色織物およびその製造方法
JPH1072722A (ja) 芯 地
JPH08158115A (ja) 衣 服
JP3713845B2 (ja) アセテート・ポリエステル混繊交絡複合糸条、及びそれを用いた織編物
JPH0931727A (ja) 特異なポリエステル系繊維およびそれを用いた製品
JPH1136179A (ja) 接着芯地
JP2004060065A (ja) 染色布帛およびその製造方法
JP2002020943A (ja) 凹凸加工布帛およびその製造方法
JP4214626B2 (ja) 強撚織物
JPH08337922A (ja) ポリエステル製品
JP2019099925A (ja) ポリエステル混繊糸布帛
JPH10317239A (ja) 複合加工糸条
JP2019116691A (ja) 中空繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040727

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041130