JPH0931727A - 特異なポリエステル系繊維およびそれを用いた製品 - Google Patents

特異なポリエステル系繊維およびそれを用いた製品

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Publication number
JPH0931727A
JPH0931727A JP8113623A JP11362396A JPH0931727A JP H0931727 A JPH0931727 A JP H0931727A JP 8113623 A JP8113623 A JP 8113623A JP 11362396 A JP11362396 A JP 11362396A JP H0931727 A JPH0931727 A JP H0931727A
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JP
Japan
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spun
yarn
stretching
fiber
subjected
Prior art date
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Application number
JP8113623A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyoshi Okamoto
三宜 岡本
Setsuo Taguchi
節男 田口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Publication of JPH0931727A publication Critical patent/JPH0931727A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2067/00Use of polyesters or derivatives thereof, as moulding material

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、良好な反発弾性と寸法安定性を兼ね
備えかつ優れた形状保持性を同時に満足するポリエステ
ル系繊維およびそれからなる製品を提供せんとするもの
である。 【解決手段】本発明のポリエステル系繊維およびそれか
らなる製品は、2500m/分〜3700m/分で紡糸
された、2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴
を受けていないポリエステル系繊維からなる繊維構造物
または繊維成形品を一定の形状に保って、140℃以上
で熱処理したことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた反発弾性と形
状安定性を有するポリエステル系繊維およびその二次製
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ナイロンやポリエステルなど
の合成繊維は、高性能を有することから衣料用あるいは
産業用分野に広く用いられている。
【0003】しかし、ナイロンは水分を吸うと伸び、乾
燥すると収縮するという乾湿時における寸法安定性が著
しく劣り、寸法安定性を重視される分野には使いずらい
素材である。そのため、近年、衣服用繊維をしては、ほ
とんどがポリエステル系に置替わりつつある。一方、ポ
リエステルは乾湿時の寸法安定性が良好である反面、反
発弾性が弱く繰り返し屈曲に対してヘタリやすい欠点を
有している。そのため、また、原料生産技術の進歩によ
り、ポリマコストがナイロン6やナイロン66に比し大
幅に安価にもかかわらず歯ブラシや人工芝生、カーペッ
トなどの用途には殆ど使用されていないことを見ても、
その限界が高いことに注目されねばならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、かかる従来
の繊維では、良好な反発弾性と寸法安定性を兼ね備えか
つ優れた形状保持性を有するポリエステル系繊維および
フイルムまたはポリエステル系繊維等二次製品は得難い
のが現状である。特に、立体形状を有するポリエステル
系繊維二次製品においてはなおさらであった。
【0005】洋服の芯地に例をとるならば、芯地は洋服
の形態保持と体の線を美しく表現するために、その曲面
形成に平面的に製造した多くの繊維シートを重ねて縫製
し曲面を有する立体的形状となしているが、縫製加工が
繁雑なことや繊維は元の形状を記憶しており強制的に変
形を起こさせたものは、時間に伴い元の形状に戻り耐久
的な形状付与は得難い。これが製品の型崩れとなって、
品位を大きく低下させる。しかしながら、その特性は縦
(以下経の代わりに縦という言葉を用いる)には従来な
みの糸特性でよいが、横方向(以下緯の代わりに横と言
う言葉をもちいる)には外方向に凸に湾曲した曲面が必
要であった。
【0006】また、最近、セルロースを架橋したり改質
して衣類、特にシャツの形態安定性を向上することがよ
く行われいるが、形状安定化処理薬品の残留(特にホル
マリンは肌に触れるものは適さない)、強度低下あるい
は形状安定化効果が小さいなどの問題を有していた。他
の目的は以下の説明で順次明らかにされるであろう。本
発明は、上記の欠点を解決し、良好な反発弾性と寸法安
定性を兼ね備えかつ優れた形状保持性を同時に満足する
ポリエステル系繊維およびその繊維二次製品を提供する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明は、それぞれ次の通りの構成を採るものである。す
なわち、本発明のポリエステル系繊維およびその繊維二
次製品は、2500m/分〜3700m/分で紡糸され
た2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受け
ていないポリエステル系繊維からなる繊維構造物または
繊維成形品を一定の形状に保って、140℃以上で熱処
理したことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明を項目順に順次説明す
る。
【0009】まず、第1の発明は、2500m/分〜3
700m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または
延伸の伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維か
らなる肩パットの周囲のカバー生地および/または肩パ
ット内部の繊維構造物を外向きに凸部を形成するように
一定の形状に保って、140℃以上で熱処理したことを
特徴とする肩パットである。
【0010】これは通常の方法により肩パットつまり内
部構造物をあらかじめつくって熱処理する。しかし、特
別な場合(縫製後)表生地とともに熱処理してもよい。
【0011】この発明は、ポリエステル系繊維であっ
て、2500m/分〜3700m/分で紡糸された糸を
2次転移点以上の温度で熱処理することなくして製造さ
れた繊維を用いるものであるが、それは、拘束熱処理を
施した後には、次の特性1および特性2を満足するもの
である。
【0012】本発明の一態様は、 特性1:小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像
が層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた
長周期のDm値(繊維の場合は繊維軸方向、フィルムの
場合は長手方向の結晶/非結晶格子の1単位周期)が8
nm〜15nmであり、好ましくは10nm〜13nm
であり、De値(繊維の場合は繊維断面方向、フィルム
の場合は幅あるいは厚み方向の結晶/非結晶格子の1単
位周期)が20nm〜40nmであり、好ましくは20
nm〜35nmである。
【0013】特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、好ましくは
1.360〜1.385である。
【0014】(2) 広角X線回折測定から得られた結晶サ
イズが、面指数(010)において2.0nm〜4.0
nm、好ましくは2.5nm〜3.8nmであり、面指
数(100)において2.3nm〜4.0nm、好まし
くは2.6nm〜4.0nmであり、面指数(105)
において1.5nm〜4.2nmであり、好ましくは
2.0nm〜3.8nmである。
【0015】(3) 広角X線回折測定から得られた結晶配
向度が58%〜85%であり、好ましくは65%〜87
%である。
【0016】(4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.0
88〜0.450であり、好ましくは0.120〜0.
420である。
【0017】(5) 複屈折が50×10-3〜120×10
-3、好ましくは65×10-3〜110×10-3である。
【0018】また、本発明の他の態様は、 特性1:小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像
が層線状または層線状二点散乱像を呈し、かつ該写真上
の子午線あるいは赤道から散乱像の中心までの距離rに
より下記式で求められるJ値が15nm以下、好ましく
12nm以下である。
【0019】 J=λ/2sin[{tan-1(r/R)}/2] ここで、R:カメラ半径、λ:X線の波長、J:長周期 特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、好ましくは
1.360〜1.385である。
【0020】(2) 広角X線回折測定から得られた結晶サ
イズが、面指数(010)において2.0nm〜4.0
nm、好ましくは2.5nm〜3.5nmであり、面指
数(100)において2.3nm〜4.0nm、好まし
くは2.3nm〜3.5nmであり、面指数(105)
において1.5nm〜4.2nmであり、好ましくは
2.5nm〜3.5nmである。
【0021】(3) 広角X線回折測定から得られた結晶配
向度が58%〜85%であり、好ましくは60%〜75
%である。
【0022】(4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.0
88〜0.450であり、好ましくは0.088〜0.
250である。
【0023】また、本発明のさらに他の態様は、 特性1:小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像
が層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた
長周期のDm値が14nm未満、De値が18nm以
上、好ましくは20nm以上であり、Dm/Deが1.
0未満、好ましくは0.9未満である。
【0024】特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、好ましくは
1.360〜1.385である。
【0025】(2) 広角X線回折測定から得られた結晶サ
イズが、面指数(010)において2.0nm〜4.0
nm、好ましくは2.5nm〜3.5nmであり、面指
数(100)において2.3nm〜4.0nm、好まし
くは2.3nm〜3.5nmであり、面指数(105)
において1.5nm〜4.2nmであり、好ましくは
2.5nm〜3.5nmである。
【0026】(3) 広角X線回折測定から得られた結晶配
向度が58%〜85%であり、好ましくは60%〜75
%である。
【0027】(4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.0
88〜0.450であり、好ましくは0.088〜0.
250である。
【0028】(5) 複屈折が50×10-3〜120×10
-3、好ましくは65×10-3〜110×10-3である。
【0029】なお、拘束熱処理を施さない時はこの限り
ではない。
【0030】ポリエステル系繊維であって、2500m
/分〜3700m/分で紡糸された糸を2次転移点以上
の温度で熱処理することなく、肩パットの周囲のカバー
生地として用い、この部分は形態固定性と反発弾性に優
れているので、この部分のカバーに最適となるのであ
る。かかる試みはかつて例がない。包み込み方に、形態
固定性と反発弾性をもつためである。
【0031】第2の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を、経糸
緯糸の一方の糸に用い、他方に他の繊維を用いて襟芯を
形成し、前者の繊維に対し一方向に凸部を形成するよう
に曲面を形成し、140℃以上で熱処理したことを特徴
とする襟芯である。
【0032】この発明は、ポリエステル系繊維であっ
て、2500m/分〜3700m/分で紡糸された糸を
2次転移点以上の温度で熱処理することなく、経糸あう
りは緯糸の一方の糸に該繊維以外の繊維を用い、他方に
該繊維を用いて襟芯を形成し、一方向に凸部を形成する
ように曲面を形成し、しかる後外向きに凸部を形成する
ように一定の形状に保って、140℃以上で熱処理する
のである。かかる襟芯は横方向には外に湾曲した形状固
定性とそれをベースにした反発弾性の高いものが特に良
いことが判った。これにより、横方向の曲げに対しては
反発性が高く、縦方向の曲げに対しては極めて柔軟な対
応が可能となった。
【0033】第3の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を少なく
とも用いた芯地(身頃芯、胸芯も含む)またはインサイ
ドベルトを形成し、これらを一方向に凸部を形成するよ
うに曲面形状に保って、140℃以上で熱処理したこと
を特徴とする曲面を記憶した芯地またはインサイドベル
トである。
【0034】この発明は、ポリエステル系繊維であっ
て、2500m/分〜3700m/分で紡糸された糸を
2次転移点以上の温度で熱処理することなくして得た繊
維の使い方であるが、芯地(身頃芯、胸芯を含む)また
はインサイドベルトを形成し、その湾曲の方向と熱固定
に独特の方向が本課題を解決するための方法として不可
欠である。この構成により、胸が張って見え、またはベ
ルト部が外にまるみをおびて大変見良いものとなっこと
を見出したものである。
【0035】第4の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を、芯地
(身頃芯、胸芯も含む)のよこ糸に用い、たて糸には他
の繊維を用いて交織した芯地を形成し、よこ方向に凸部
を形成するように曲面を形成し、140℃以上で熱処理
したことを特徴とする芯地である。
【0036】この発明は、ポリエステル系繊維であっ
て、2500m/分〜3700m/分で紡糸された糸を
2次転移点以上の温度で熱処理することなく、芯地(身
頃芯、胸芯を含む)のよこ糸に用い、たて糸には羊毛ま
たは綿糸またはレーヨン・麻または、普通の合成繊維を
用いて交織した芯地を形成し、よこ方向に凸部を形成す
るように曲面を保って、140℃以上で熱処理したこと
を特徴とすることによって、縦の方向には落ちか良く、
横の方向には張りがあって膨らんでおり、非常によい芯
地を形成し、衣服の全体としての恰好を非常に向上する
ことを見出した。第5の発明は、2500m/分〜37
00m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延
伸の伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を少
なくとも一部に用いてなる織物、編物または不織布を、
皺加工を施し、しかる後140℃以上で熱処理したこと
を特徴とする皺加工ファブリックである。
【0037】この発明は、ポリエステル系繊維であっ
て、2500m/分〜3700m/分で紡糸された糸を
2次転移点以上の温度で熱処理することなく、それらを
一部または全部を用いて、ファブリックを形成し、皺加
工し、熱セットすることにより、固定され形状保持性と
その形状をベースとして反発性をもち、後で染色しても
それが失われ難く優れた皺加工ファブリックになること
を見出した。
【0038】第6の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、捲縮の付いた繊維を形成し、しか
る後140℃以上で熱処理を施したことを特徴とする捲
縮付の繊維である。
【0039】この発明は、ポリエステル系繊維であっ
て、2500m/分〜3700m/分で紡糸された糸を
2次転移点以上の温度で熱処理することなく、それらを
一部または全部を用いて、捲縮の付いた繊維を形成し、
たとえばナイロン6やナイロン66、ポリプピレンなど
を引き揃えて、捲縮機にかけると、捲縮を両方に付与す
ることができる。しかる後140℃以上で熱処理したこ
とにより、その状態が保持され、その対応の反発弾性を
もつので、優れた捲縮糸になることを見出した。これは
従来の仮撚り加工糸と一見似ているようであるが、本質
的に全く異なるものであるが理解されねばならない。
【0040】第7の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、延伸することなく、弛緩状態で1
40℃以上で一旦熱処理し、しかる後再度延伸したこと
を特徴とする収縮応力の高い繊維である。
【0041】この発明は、これにより、収縮率こそ低い
が、極めて収縮応力の高い繊維となる。一旦熱処理して
しまっているので、常識的には熱延伸え考えないのが普
通であるが、この繊維に限り、再延伸が可能であり、そ
の特性は収縮応力に富んでいる。なぜならば、その熱固
定した状態を非常によく覚えており、その方向に反発性
をもっているためである。
【0042】第8の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、延伸することなく、捲縮付与し、
更にステープル状にカットし、しかる後紡績し、織物ま
たは編物にした後、拘束または弛緩状態で140℃以上
で熱処理したことを特徴とする形態安定性及び反発弾性
の優れた紡績糸使いの織物または編物である。
【0043】この発明は、捲縮を施した状態を非常に良
く覚えており、その状態に反発弾性を発揮するから優れ
た捲縮繊維を与えることができるのである。
【0044】第9の発明は、2500m/分〜3700
m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の
伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、一部ま
たは全部を用いて、延伸することなく、捲縮付与し、更
にステープル状にカットしたことを特徴とするその後の
140℃以上の熱処理により形態安定性及び反発弾性の
優れた紡績糸使い織物または編物を得るのに適したステ
ープル繊維である。
【0045】この発明は、POYとよばれる糸を、非常
識にも、ステープルにしただけでは無く捲縮を付与しな
がらその捲縮をセットしないという非常識が加わり、さ
らに紡績糸にしただけで熱処理すると言うことをしない
非常識も加わり、最終の織物や、2次製品にしてから熱
を加えるという異常とも思えることをなすことによっ
て、非常に形態安定性の高いスパン織物製品をを初めて
可能した所にある。また、これを用いて、布団やマット
にした。これはその状態で熱処理したので、例えば、人
間が布団を被っている状態で熱セットするので、あたか
もトンネルの状態になっているが、その分非常に布団が
軽いのである。羽毛布団のように軽すぎて跳ね飛んでし
まうことは決してない。これは従来にない新しい軽量布
団のパラダイムであり、非常に合理的であり、また布団
乾燥機の投入にも最適である。
【0046】第10の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けていないポリエステル系繊維を、一
部または全部を用いて、延伸することなく、捲縮付与
し、更にステープル状にカットし、しかる後、必要に応
じ他の繊維と混合紡績し、織物または編物にした後、衣
料に縫製し、しかる後140℃以上で熱処理したことを
特徴とする形態安定性及び反発弾性の優れた衣料であ
る。衣料はワイシャツであることが好ましい。
【0047】この発明も同上な理由によって、初めて形
態安定性及び反発弾性の優れたワイシャツが可能となっ
たことは申すまでもない。
【0048】第11の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、延伸することなく、織物または編
物とし、しかる後、帽体に成型し、しかる後140℃以
上で熱処理したことを特徴とする形態安定性及び反発弾
性の優れた帽子またはそれを用いた帽体である。
【0049】この発明は、帽体として特に「深絞り」と
言う点に注目されねばならない。その形状がそのまま保
持され、その形状に反発弾性が保持されるのである。
【0050】第12の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、熱延伸することなく捲縮を付与
し、カーペットとし、しかる後140℃以上で熱処理し
たことを特徴とする形態安定性及び反発弾性の優れたカ
ーペットである。
【0051】この発明は、単に上記の特異な繊維をカー
ペットに用いるというだけのものではない。捲縮を付与
した糸を熱セットなしに、カーペットを形成すること、
また熱セットされないで捲縮を付与したのち熱セットを
ほどこしたものをカーペットにした点に注目されねばな
らない。
【0052】第13の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、熱延伸することなく、エアーバッ
グとし、しかる後140℃以上で熱処理したことを特徴
とする優れた膨らみ性と機密性の高いエアーバッグであ
る。
【0053】この発明は、エアーバッグは膨らむときの
形状を覚えておくことが瞬時の脹らみに好ましい。一刻
も速く乗員を保護する脹らみに達することが必要である
からである。この繊維からのエアーバッグはそう言う状
態で熱セットしておくことにより、非常に優れたエアー
バック脹らみ特性を発揮する。
【0054】第14の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、一部
または全部を用いて、熱延伸することなく、織物または
編物または組紐または不織布からカットした紐となし、
それを140℃以上に熱処理してなる、非常に硬い弾性
のある紐を得ることを特徴とする硬さと反発性の高い紐
である。
【0055】この発明は、この特定の繊維が、自己硬化
性と、一部相互融着性を持ったためである。人体にとっ
て最も異質な、形状記憶合金ワイヤーをブラジャーに用
いる必要はない。鞄などの周囲の部分にも用いられる。
【0056】第15の発明は、ポリエステル系繊維であ
って、熱処理後、次の特性1及び特性2を満足すること
を特徴とする、肩パット、襟芯、インサイドベルト、芯
地、皺加工ファブリック、捲縮つきの繊維、収縮応力の
高い繊維、紡績糸使いの織物または編物、ステープル繊
維、ワイシャツなどの衣料、帽体、カーペット、エアー
バッグ、紐などの製品である。
【0057】特性1:小角X線散乱写真撮影によって得
られた散乱像が層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真
上から求めた長周期のDm値が8nm〜15nmであ
り、De値(繊維の場合は繊維断面方向、フィルムの場
合は幅あるいは厚み方向の結晶/非結晶格子の1単位周
期)が20nm〜40nmである。
【0058】特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、(2) 広角X
線回折測定から得られた結晶サイズが、面指数(01
0)において2.0nm〜4.0nm、面指数(10
0)において2.3nm〜4.0nm、面指数(1バア
05以後105と記す)において1.5nm〜4.2n
mであり、(3) 広角X線回折測定から得られた結晶配向
度が58%〜85%であり、(4) 偏光蛍光法による非晶
配向度が0.088〜0.450であり、(5) 複屈折が
50×10-3〜120×10-3である。
【0059】第16の発明は、ポリエステル系繊維であ
って、熱処理後、次の特性1及び特性2を満足すること
を特徴とする、肩パット、襟芯、インサイドベルト、芯
地、皺加工ファブリック、捲縮つきの繊維、収縮応力の
高い繊維、紡績糸使いの織物または編物、ステープル繊
維、ワイシャツなどの衣料、帽体、カーペット、エアー
バッグ、紐などの製品である。
【0060】特性1:小角X線散乱写真撮影によって得
られた散乱像が層線状または層線状散乱像(層線状二点
散乱像を含む)を呈し、かつ該写真上の子午線あるいは
赤道から散乱像の中心までの距離rにより下記式で求め
られるJ値が15nm以下である。
【0061】 J=λ/2sin[{tan-1(r/R)}/2] ここで、R:カメラ半径、λ:X線の波長、J:長周期 特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、(2) 広角X
線回折測定から得られた結晶サイズが、面指数(01
0)において2.0nm〜4.0nm、面指数(10
0)において2.3nm〜4.0nm、面指数(10
5)において1.5nm〜4.2nmであり、(3) 広角
X線回折測定から得られた結晶配向度が58%〜85%
であり、(4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.088
〜0.450である。
【0062】第17の発明は、ポリエステル系繊維であ
って、熱処理後、次の特性1及び特性2を満足すること
を特徴とする、肩パット、襟芯、インサイドベルト、芯
地、皺加工ファブリック、捲縮つきの繊維、収縮応力の
高い繊維、紡績糸使いの織物または編物、ステープル繊
維、ワイシャツなどの衣料、帽体、カーペット、エアー
バッグ、紐などの製品である。
【0063】特性1:小角X線散乱写真撮影によって得
られた散乱像が層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真
上から求めた長周期のDm値が14nm未満、De値が
18nm以上、Dm/Deが1.0未満である。
【0064】特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、(2) 広角X
線回折測定から得られた結晶サイズが、面指数(01
0)において2.0nm〜4.0nm、面指数(10
0)において2.3nm〜4.0nm、面指数(10
5)において1.5nm〜4.2nmであり、(3) 広角
X線回折測定から得られた結晶配向度が58%〜85%
であり、(4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.088
〜0.450であり、(5) 複屈折が50×10-3〜12
0×10-3である。
【0065】以下、さらに内容を補充しながら本発明を
説明する。
【0066】本発明は次に述べる限られた特性値を有す
るポリエステル系繊維によってのみ良好な反発弾性と寸
法安定性を兼ね備えかつ優れた形状保持性を有するポリ
エステル系繊維およびその繊維二次製品を提供できるこ
とを見出したものである。この要件は従来のポリエステ
ル系繊維では取り得ない特定の値であることに本発明の
特徴がある。
【0067】本発明において、小角X線散乱写真撮影方
法および条件は、通常行われるX線散乱測定により行う
ものであるが、本発明者らが行った方法および条件は次
のとおりである。
【0068】 X線発生装置;理学電機社(株)製:RU−200型 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :50KV 200mA スリット径 :0.5mm径 撮影条件 カメラ半径 :400mm 露出時間 :120分 フイルム :Kodak DEF−5 また、各種特性の測定方法および条件は下記のとおりで
ある。
【0069】(1) 比重;JIS−L1013 7.1
4.2密度勾配管法に準じた。
【0070】(2) 広角X線回折による結晶サイズ測定; (a) 広角X線回析(カウンター法) X線発生装置;理学電機社(株)製 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :35KV 15mA ゴニオメータ;理学電機社(株)製 スリット径:2mm径ピンホールコリメータ 検出器 :シンチレーションカウンター 計数記録装置;RAD−C、オンライン・データ処理システム 赤道線方向スキャン範囲:10〜35° 子午線方向スキャン範囲:30〜55° スキャン方法 ステップ:2θ/θ サンプリング間隔:0.05°/Step 積算時間 :2秒 円周方向(β)スキャン範囲:90〜270° サンプリング間隔:0.5°/Step 積算時間 :2秒 (b) 広角プレート写真撮影 X線発生装置;理学電機社(株)製:4036A2型 X線源 :CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :35KV 15mA スリット径:1mm径ピンホールコリメータ使用 撮影条件 カメラ半径 :40mm 露出時間 :20分 フイルム :Kodak DEF−5 結晶サイズ算出は面指数(010)、(100)および
(105)のピークの半値幅から下記のScherre
rの式を用い計算した。
【0071】L(hkl)=Kλ/β0 cosθB ただし、L(hkl):微結晶の(hkl)面に垂直な
方向の平均の大きさ K:1.0、λ:X線の波長、β0 =(βE2−βI2
1/2 、βE :見掛けの半値幅(測定値) βI :1.05×10-2rad.、θB :ブラッグ角 (3) 広角X線回折測定による結晶配向度 2θ=17.5付近に観察される(010)面及び2θ
=25.7付近に観察される(100)面を円周方向に
スキャンして得られる強度分布の半値幅Hから下記式に
より算出したもの。
【0072】結晶配向度(%)=[(180−H)/1
80]×100 (4) 複屈折:Na電球によりD線色光を用い、セナルモ
ン法およびコンペンセータ法で測定した。
【0073】(5) 偏光蛍光法による非晶配向度 装 置:日本分光工業製FOM−1 光学系:透過法(励起光波長:365nm、蛍光波長:
420nm) 測定系:偏光子‖検光子、および偏光子〓検光子で回転
して、面内の偏光蛍光強度(I‖、I〓)の角度分布を
得た。
【0074】ここで、‖は平行を示し、〓は垂直を示
す。
【0075】非晶配向度は下記式からの一軸配向係数f
2 で求めた。
【0076】f2 =3/2[{I‖(0)+2I〓
(0)}/K−1/3] 但し、K={I‖(0)+4I〓(0)+8/3I‖
(90)} I‖(0):‖測定での軸方向の相対偏光蛍光強度 I‖(90):‖測定での上記と直交方向の相対偏光蛍
光強度 I〓(0):〓測定での軸方向の相対偏光蛍光強度 前記した本発明にかかる特性値は従来のポリエステル系
繊維およびその2次製品では決して取り得ないものであ
り、これが本発明が特徴ある効果を発現する理由であ
る。本発明を実現するには、特定の条件で溶融紡糸され
た制御された範囲にある繊維(第一特定領域と定義す
る)とし、従来のように熱処理をしつつ撚りを掛けたり
(仮撚)、あるいは熱を付与する追加延伸したりするこ
となく、繊維の結晶や配向に変化をもたらす加熱条件で
熱処理し、本発明の要件である特定値となるように制御
された配向および結晶化の領域となる繊維(第二次特定
領域)となすことによって、本発明の目的である良好な
反発弾性と寸法安定性を兼ね備え、かつ優れた保形性と
耐久形状保持性(以下形状保持性)を有することができ
る。
【0077】かかる製造方法の例を挙げると、第一次特
定領域を有する繊維を得るには、繊維重合体はポリエス
テル系繊維であり、特に、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエス
テルまたはそれを主体とした共重合体が好ましく用いら
れる。加えて溶融紡糸における引取速度は2500〜3
700m/分の条件という限定された条件での特定のP
OYで得られるのである。この引取速度より低速度であ
っても高速度であっても本発明でいう第一次特定領域を
得ることはできず効果も得られない。例えば、引取速度
1500m/分のポリエチレンテレフタレート繊維は、
実質未延伸糸といわれるものであり、延伸を加えないで
熱処理を施すと、第二次特定領域にシフトすることがで
きず、また、極めて脆弱なものとなり、産業上の利用価
値を失ってしまうこと。さらには、形状保持性は有する
ものの圧縮作用を受けると容易にヘッタってしまう難点
がある。また、引取速度5000m/分のポリエチレン
テレフタレート繊維は熱処理によって第二次特定領域に
シフトすることができず、反発弾性や形状保持性を発現
が著しく劣ったものとなる。また、1500m/分や3
000m/分の引取速度で得られた繊維をさらに熱延伸
されたもの、すなわち延伸糸といわれる従来公知の高配
向が行われた繊維においても、上記した第二次特定領域
の特性値を得ることはできない。
【0078】また、本発明はポリエステル系繊維におい
て実現できるものであり、ナイロンでは決して達成する
ことはできない。特に、注意を要するのは2500〜4
000m/分で引取られたこの種の繊維はPOY(Pr
e−Oriented Yarn)として仮撚り加工
(一種の熱延伸)や追加熱延伸が加えられ、すでに実質
的に延伸が加えられた場合のみ活用されていた。本発明
は、従来用いられていない繊維構造(用い方)の盲点を
新しく切り開いた点に注目されねばならない。
【0079】また、本発明は、ポリエステル系繊維を含
むことを要件とするが、他の成分、例えばナイロンやポ
リオレフィンなどが複合された従来公知の複合繊維とい
われるもの、たとえば分割型、菊花型、海島型などの繊
維も適用可能であり、また0.3〜0.4デニールとい
う極細繊維は、用途に応じてその方が好ましい。
【0080】本発明は第一次特定領域にある繊維をその
形態のままで熱処理し第二次特定領域にシフトせしめる
こともでき、従来にない反発弾性に富むポリエステル系
繊維を得ることもできる。また、該繊維を一部または全
部を用いて織物、編物、不織布、ネット類などのポリエ
ステル系繊維二次製品とし、シートあるいは肩パット、
襟芯、身頃芯、胸芯などの芯地、皺加工ファブリック、
ワイシャツ、カーペット、エアーバック、紐などの任意
の形状に拘束し、その後その2次転移点以上の雰囲気で
処理することにより、良好な反発弾性と寸法安定性を兼
ね備えかつ優れた形状保持性を付与することができる。
【0081】繊維が第一次特定領域から第二次特定領域
にシフトすることにより、従来繊維にはない特定値を示
し、ポリエステルでありながら、ナイロンのごとき高弾
性と繰り返しの屈曲に対する耐屈曲性が抜群に良好とな
り、ポリエステル系繊維本来の長所である乾湿における
寸法安定性も兼ね備えることができる。すなわち、本発
明のポリエステル系繊維はナイロンとポリエステルの長
所を主なポイントで同時に有するというこれまでにない
画期的な効果と実用的な物性を有するものとして産業上
極めて活用できるものとなることを発明した。
【0082】第一次特定領域から第二次特定領域にシフ
トさせるための処理は、該重合体の2次転移点以上で熱
雰囲気で処理することにより達成されるが、好ましくは
2次転移点より20℃以上、特に好ましくは40℃以上
の雰囲気で行うのがよい。ポリエチレンテレフタレート
の2次転移点は約72℃であるので、92℃以上雰囲気
で処理で可能となるが、好ましくは140℃以上であ
る。従って、処理の温度領域は140〜230℃が好ま
しく、1600〜210℃が特に好ましい。更に好まし
くは、170℃〜200℃である。また、加熱手段は乾
熱および/または湿熱のいずれでもかまわないし、雰囲
気に曝す速度および冷却速度は急激であっても緩やかで
あってもかまわないが、前者が好ましい。
【0083】また、重合体繊維の太さは特に限定されな
いが、一般的には単糸において0.1〜200デニー
ル、トータル繊度において20〜1000デニールの糸
として用いるのが好ましい。勿論、紐のように20〜1
000デニールの糸を数十本あるいは数百本合わせて作
られるものもある。衣服用芯地は、つくり芯と言われる
ような芯地部材となした後、あるいは衣服として縫製し
た後、加熱処理を行うことにより形状保持性を付与する
ことができる。
【0084】また、当然ながら、本発明で得られた繊維
構造体に対してシワ加工、プリーツ加工、起毛加工、染
色や撥水加工あるいはラミネートやコーチングなどの各
種の仕上げ加工を施すことは本発明をさらに有効し好ま
しいことである。
【0085】また、本発明でいう弛緩熱処理とは20m
g/デニール未満の極めて小さい張力下で熱処理を施し
たものである。一方、拘束熱処理とは20mg/デニー
ル以上の張力下での熱処理のことであり、繊維を織物、
編物、不織布、紐など繊維相互の拘束を受けるものはほ
とんど拘束熱処理といえる。
【0086】第18の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、捲
縮付与、収縮と結晶化を含む熱処理、カット処理、
カット後の紡績を含む工程を経させてなることを特徴
とする反撥弾性の高い糸またはそれからなる編織物であ
る。
【0087】例えば、具体的に例示すると、 クリンプ→熱処理→カット→紡績 熱処理→クリンプ→カット→紡績 クリンプ→カット→紡績→熱処理 などである。
【0088】第19の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を、捲
縮付与、収縮熱処理、結晶化熱処理、カット処
理、カット後の紡績を含む工程を経させてなることを
特徴とする反撥弾性の高い糸またはそれからなる編織物
である。
【0089】例えば、具体的に例示すると、 収縮→クリンプ→熱処理→カット→紡績 クリンプ→収縮→カット→紡績→熱処理 収縮→クリンプ→カット→熱処理→紡績 収縮→クリンプ→カット→紡績→熱処理 などである。
【0090】紡績には、2500m/分〜3700m/
分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う
熱履歴を受けてないポリエステル系フィラメント糸を、
2.5デニール以下で紡糸し、収縮させ、熱処理して4
デニール以下の糸、特に好ましくは3デニール以下の糸
を短繊維として用いることが好ましい。
【0091】なお、紡績には、短繊維の紡績だけではな
く、長繊維(フィラメント)と短繊維からなる紡績糸も
含む。
【0092】また、クリンプには、押込型、歯車型、仮
撚型などがある。
【0093】第20の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系フィラメント
糸を、収縮と結晶化を含む熱処理、他のフィラメン
トとの引揃え、交撚、仮撚、または交編織を含む工程を
経させてなることを特徴とする反撥弾性の高いフィラメ
ント糸またはそれからなる編織物である。
【0094】第21の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系フィラメント
糸を、収縮熱処理、結晶化熱処理、他のフィラメ
ントとの引揃え、交撚、仮撚、または交編織を含むこと
を特徴とする反撥弾性の高いフィラメント糸またはそれ
からなる編織物である。
【0095】例えば、具体的に例示すると、 収縮熱処理→他の糸との合糸→仮撚捲縮加工→熱処理 収縮熱処理→熱処理→他の糸との合糸→仮撚捲縮加工 などである。
【0096】他の糸としては、通常の延伸処理されたポ
リエステルなどの糸、あるいはポリエステル以外の糸、
たとえばナイロン糸、レーヨン糸、溶媒を用いてつくら
れたセルロース繊維、アセテート繊維、弾性繊維、絹
糸、木綿糸などが用いられる。第22の発明は、染色を
含むことを特徴とする前記第18〜21の発明のいずれ
かに記載の反撥弾性の高い糸またはそれからなる編織物
である。
【0097】例えば、第18の発明において具体的に例
示すると、 クリンプ→熱処理→カット→紡績→(織編物化)→染色 熱処理→クリンプ→カット→紡績→(織編物化)→染色 クリンプ→カット→紡績→熱処理→(織編物化)→染色 などである。
【0098】また、例えば、第19の発明において具体
的に例示すると、 収縮→クリンプ→熱処理→カット→紡績→染色 クリンプ→収縮→カット→紡績→熱処理→染色 収縮→クリンプ→カット→熱処理→紡績→染色 収縮→クリンプ→カット→紡績→熱処理→染色 などである。
【0099】これまでのテストによると、かかる高反撥
弾性の糸は、例えば分散染料による染色では、一見した
ところ非常に染まりやすく、その反面染色堅牢度が非常
に悪いと予想されたが、実際に染色テストしたところ、
十分結晶化を済ませた後の糸については、おどろくべき
ことに染色性が非常に高い訳でもなく、また染色堅牢度
が非常に悪い訳でもなく、従来のポリエステル延伸糸と
非常に似た挙動であることが判明した。
【0100】第23の発明は、熱処理が染色を兼ね備え
ているものであることを特徴とする前記第18〜21の
発明のいずれかに記載の反撥弾性の高い糸またはそれか
らなる編織物である。
【0101】上記の熱処理は、収縮熱処理及び/または
結晶化熱処理を含み、これらの熱処理が染色を兼ね備え
ているものである。
【0102】前記第18、19の発明の場合、カットす
る前のトウ染色で染めと熱処理を兼用してもよい。
【0103】また、カットした後染色してもよい。
【0104】収縮処理には、常温から高温に上げ、再び
常温または低温に戻すタイプの液流染色機を用いること
が好ましい。
【0105】第24の発明は、収縮熱処理が、熱雰囲気
ゾーンにオーバーフィード状態に供給されて行なわれも
のであることを特徴とする前記第20または21の発明
に記載の反撥弾性の高い糸またはそれからなる編織物で
ある。
【0106】熱雰囲気ゾーンの筒内部、あるいは熱風の
中にオーバーフィード状態に供給して収縮させ、しかる
のち熱処理することによって得られる反撥弾性に富むフ
ィラメント糸またはそれからなる編織物である。
【0107】第25の発明は、収縮処理後に巻き取った
後、巻取体または糸の状態で熱処理することを特徴とす
る前記第24の発明に記載の反撥弾性の高い糸またはそ
れからなる編織物である。
【0108】第26の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸された2次転移点以上の緊張または延伸
の伴う熱履歴を受けてないポリエステル系繊維を含む編
織物を収縮処理した後、熱処理し、他の繊維素材と重ね
合わせ、または相互融着し、または縫製し、しかるのち
熱プレス処理することを特徴とする反撥弾性の高いシー
ト状物である。
【0109】例えば、具体的に例示すると、 織編物→収縮処理→熱処理→縫製→プレス熱処理 織編物→収縮処理→緊張熱処理→縫製→プレス熱処理 などである。
【0110】プレス熱処理の好ましい例としては、アイ
ロン熱処理、スチームアイロン熱処理、加熱された曲面
の台の上に縫製品または重ね布をおき、その上から布ま
たはバンド状物を押し付けて熱処理するプレス熱処理を
含む。
【0111】第27の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸されたポリエステル系繊維に代えて、3
700m/分以上で紡糸され、応力−伸長曲線を測定し
たとき、降伏点を経過後の低応力伸長領域を示す、一成
分としてポリエチレンテレフタレート系(過半成分)の
ポリエステルを用いた複合繊維を用いたことを特徴とす
る前記第1〜26の発明のいずれかに記載の製品。
【0112】ポリエチレンテレフタレートを2500〜
3700m/分で紡糸した糸は、POYとも呼ばれ、そ
の応力(縦軸)−伸度(横軸)の曲線を通常のS−S曲
線といわれる方法で測定すると、伸長とともに急に応力
が立上り、降伏点を越えると、応力が低下し、低応力伸
長領域(ナチュラルドロー領域ともいわれる)を越え、
おおよそ20〜100%の近辺でその現象を示し、それ
を過ぎると伸長で再び立ち上がる現象を示す。紡糸速度
が低い方が、この領域が長く、逆に紡糸速度が高くなる
と、この領域が少なくなる。7000m/分の超高速紡
糸になると、この領域を示さないことも知られている。
しかし、特殊な複合紡糸では、この領域が3700m/
2分を越えても、表すことがすでに明らかにされてお
り、その様な糸も本発明には、使用可能である。
【0113】第28の発明は、2500m/分〜370
0m/分で紡糸されたポリエステル系フィラメント糸、
または、伸度30〜100%の範囲内で低応力伸長領域
を示すポリエステル系フィラメント糸を用いて、150
cm幅以上〜200cm幅以下のウオータージェットル
ームに、毎分500〜650回の緯糸の打ち込みを行う
ことを特徴とするその後の収縮と熱処理により高い反発
弾性を示す織物の製造方法である。
【0114】POYと呼ばれるポリエステル繊維は、そ
の極めて容易に伸びることによる扱い難さがあって、こ
れまで、織物や編み物には適さないとされていた。たと
え可能であっても、シャットルを使用した織機やレピア
織機が限界であろうと予想された。
【0115】本発明者らは、このような極めて扱い難い
と予想されたフィラメントの織りについて鋭意検討し、
撚掛けはもちろん、整経すなわち経糸としてのビームが
作り得るのみならず、特にウオータージェットルームに
よる織りが、驚くべきことに毎分500〜650回の速
度で可能であることを見出した。しかもそれは、その後
の高い収縮にも十分対応できる150〜195cm幅の
織機で可能であることを見出だしたのである。これら
は、これまでの常識を完全に覆したものである。しか
も、よく用いる、POYの糸である150〜350デニ
ールのフィラメントで十分可能であったのである。
【0116】第29の発明は、経糸にも、2500m/
分〜3700m/分で紡糸されたポリエステル系フィラ
メント糸、または、伸度30〜100%の範囲内で低応
力伸長領域を示すポリエステル系フィラメント糸を用
い、かつ該経糸が無撚または加撚されたものであること
を特徴とする前記第28の発明に記載のその後の収縮と
熱処理により高い反発弾性を示す織物の製造方法であ
る。
【0117】第30の発明は、織組織が、平織または斜
子織であることを特徴とする前記第28または29の発
明に記載のその後の収縮と熱処理により高い反発弾性を
示す織物の製造方法である。
【0118】第31の発明は、幅が150〜195cm
であり、経および/または緯糸に、2500m/分〜3
700m/分で紡糸されたポリエステル系フィラメント
糸、または、伸度30〜100%の範囲内で低応力伸長
領域を示すポリエステル系フィラメント糸が用いられて
なることを特徴とするその後の収縮と熱処理により高い
反発弾性を示す織物である。
【0119】次に実施例を示すが、これによって本発明
を限定解釈されることはなく、むしろ本発明の構成を知
った後の者にとっては、本発明における他のものに展開
することは容易なことであろう。
【0120】
【実施例】
実施例1〜15 以下の実施例、比較例において使用する原料としてポリ
エチレンテレフタレートを用い、溶融紡糸して下記原糸
を得た。
【0121】(1)引取速度1500m/分の未延伸
糸、275デニール、96フィラメント (2)引取速度3100m/分のPOY、187デニー
ル、24フィラメント (3)引取速度3100m/分のPOYを1.8倍加熱
延伸した延伸糸、98デニール、24フィラメント なお、(1)(3)の原糸は比較例である。
【0122】実施例1:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸されたそれぞれの糸を
2次転移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理する
ことなく、肩パットの周囲のカバー生地として用い、更
に衣類の縫製に用いる肩パットとし、しかる後外向きに
凸部を形成するように一定の形状に保って、185℃で
熱処理したところ、(1)(3)に比べ、格段によい肩
パットが(2)のサンプルで得られた。
【0123】実施例2:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
経糸緯糸の一方の糸に40番羊毛紡績糸を用い、他方に
該繊維を用いて襟芯を形成し、一方向に凸部を形成する
ように曲面を形成し、しかる後外向きに凸部を形成する
ように一定の形状に保って、185℃で熱処理したとこ
ろ(1)(3)に比べ、格段によい襟芯が(2)のサン
プルで得られた。
【0124】実施例3:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
身頃芯(胸芯も含む)を形成し、一方向に凸部を形成す
るように曲面を形成し、しかる後外向きに凸部を形成す
るように一定の形状に保って185℃で熱処理したとこ
ろ(1)(3)に比べ、格段によい身頃芯が(2)のサ
ンプルで得られた。
【0125】実施例4:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
胸芯のよこ糸に用い、たて糸には40番綿糸を用いて交
織した芯地を形成し、よこ方向に凸部を形成するように
曲面を形成し、しかる後外向きに凸部を形成するように
一定の形状に保って、180℃以上で熱処理したとこ
ろ、(1)(3)に比べ、格段によい胸芯が(2)のサ
ンプルで得られた。
【0126】実施例5:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
それらを一部または全部を用いて、織物または編物また
は不織布を形成し、皺加工を施ししかる後185℃で熱
処理したところ、(1)(3)に比べ、格段によい皺加
工ファブリックが(2)のサンプルで得られた。
【0127】実施例6:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
それらを一部または全部を用いて、捲縮の付いた繊維を
形成し、しかる後175℃で熱処理したところ、(1)
(3)に比べ、格段によい捲縮付の繊維が(2)のサン
プルで得られた。
【0128】実施例7:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
それらを一部または全部を用いて、延伸することなく、
拘束または弛緩状態で180℃以上で一旦熱処理し、し
かる後再度延伸したところ、(1)(3)に比べ、格段
によい収縮応力の高い繊維が(2)のサンプルで得られ
た。
【0129】実施例8:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
それらを一部または全部を用いて、延伸することなく、
捲縮付与し、更にステープル状にカットし、しかるのち
紡績し、織物または編物にした後、拘束または弛緩状態
で180℃で熱処理したところ、(1)(3)に比べ、
格段によい形態安定性及び反発弾性の優れた紡績糸使い
織物または編物が(2)のサンプルで得られた。
【0130】実施例9:ポリエステル系繊維であって、
(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転移点
以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することなく、
それらを一部または全部を用いて、延伸することなく、
捲縮付与し、更にステープル状にカットしたところ、
(1)(3)に比べ、格段によい形態安定性及び反発弾
性の優れた紡績糸使い織物または編物を得るのに適した
ステープルが(2)のサンプルで得られた。
【0131】実施例10:ポリエステル系繊維であっ
て、(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転
移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することな
く、それらを一部または全部を用いて、延伸することな
く、捲縮付与し、更にステープル状にカットし、しかる
後、木綿40%と混合紡績し、織物または編物にした
後、シャツに縫製し、しかる後180℃で熱処理したと
ころ、(1)(3)に比べ、格段によい形態安定性及び
反発弾性の優れたワイシャツが(2)のサンプルで得ら
れた。
【0132】実施例11:ポリエステル系繊維であっ
て、(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転
移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することな
く、それらを一部または全部を用いて、延伸することな
く、編物とししかる後、帽体に成型ししかる後180℃
以上で熱処理したところ、(1)(3)に比べ格段によ
い形態安定性及び反発弾性の優れた帽子またはそれを用
いた帽体が(2)のサンプルで得られた。
【0133】実施例12:ポリエステル系繊維であっ
て、(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転
移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することな
く、それらを一部または全部を用いて、熱延伸すること
なく捲縮を付与し、カーペットとし、しかる後140℃
以上で熱処理したところ、(1)(3)に比べ、格段に
よい形態安定性及び反発弾性の優れたカーペットが
(2)のサンプルで得られた。
【0134】実施例13:ポリエステル系繊維であっ
て、(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転
移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することな
く、それらを一部または全部を用いて、熱延伸すること
なく、エアーバッグとし、しかる後140℃以上で熱処
理したところ、(1)(3)に比べ、格段によい膨らみ
性と機密性の高いエアーバッグが(2)のサンプルで得
られた。
【0135】実施例14:ポリエステル系繊維であっ
て、(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転
移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することな
く、それらを一部または全部を用いて、熱延伸すること
なく、織物、編物と組紐からカットした紐となし、それ
を連続的に熱処理したところ、直径5mm(1)(3)
に比べ、格段によい非常に硬い弾性のある紐が(2)の
サンプルで得られた。
【0136】実施例15:ポリエステル系繊維であっ
て、(1)(2)(3)の条件で紡糸された糸を2次転
移点以上の温度で延伸や緊張を加えて熱処理することな
く、それらを一部または全部を用いて、延伸することな
く、捲縮付与し、更にステープル状にカットしたとこ
ろ、(1)(3)に比べ、格段によい形態安定性及び反
発弾性の優れた紡績糸使い織物または編物を得るのに適
したステープルが(2)のサンブルで得られた。
【0137】上記の繊維および2次製品の熱処理後の特
性を調べたところ、各特性は特許請求の範囲の範囲に入
っていた。
【0138】
【発明の効果】本発明は次の効果を有する。
【0139】(1) 良好な反発弾性と寸法安定性を兼ね備
えかつ優れた形状保持性を有する繊維2次製品を提供す
ることができた。
【0140】(2) 特に、立体形状を有する反撥弾性に富
む繊維2次製品が得られ易く、その形状耐久性が良好で
ある。
【0141】(3) 従来の形状保持加工に比べて薬品を使
用しないため、有毒な薬品が残留することなく、また、
強度も低下しない。
【0142】(3) 本応用製品においては、本発明指定の
繊維使用部分の繊維の耐屈曲性が良好でありヘタリ難
い。
【0143】(4) 本発明品を構成するポリエステル繊維
は、一定伸度内においては、適度の伸縮性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A41D 31/00 503 A41D 31/00 503G A42B 1/00 A42B 1/00 J B60R 21/16 B60R 21/16 D01F 6/62 301 D01F 6/62 301H D02G 1/00 D02G 1/00 Z 3/02 3/02 3/04 3/04 D03D 15/00 D03D 15/00 A D04C 1/02 D04C 1/02 D06C 7/00 D06C 7/00 Z

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維からなる肩パットの周囲
    のカバー生地および/または肩パット内部の繊維構造物
    を外向きに凸部を形成するように一定の形状に保って、
    140℃以上で熱処理したことを特徴とする肩パット。
  2. 【請求項2】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を、経糸緯糸の少なくと
    も一方の糸に用い、他方に他の繊維を用いて襟芯を形成
    し、前者の繊維に対し一方向に凸部を形成するように曲
    面を形成し、140℃以上で熱処理したことを特徴とす
    る襟芯。
  3. 【請求項3】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を少なくとも用いた芯地
    (身頃芯、胸芯も含む)またはインサイドベルトを形成
    し、これらを一方向に凸部を形成するように曲面形状に
    保って、140℃以上で熱処理したことを特徴とする曲
    面を記憶した芯地またはインサイドベルト。
  4. 【請求項4】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を、芯地(身頃芯、胸芯
    も含む)のよこ糸に用い、たて糸には他の繊維を用いて
    交織した芯地を形成し、よこ方向に凸部を形成するよう
    に曲面を形成し、140℃以上で熱処理したことを特徴
    とする芯地。
  5. 【請求項5】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を少なくとも一部に用い
    てなる織物、編物または不織布を、皺加工を施し、しか
    る後140℃以上で熱処理したことを特徴とする皺加工
    ファブリック。
  6. 【請求項6】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、捲縮の付いた繊維を形成し、しかる後140℃以
    上で熱処理を施したことを特徴とする捲縮付の繊維。
  7. 【請求項7】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、延伸することなく、弛緩状態で140℃以上で一
    旦熱処理し、しかる後再度延伸したことを特徴とする収
    縮応力の高い繊維。
  8. 【請求項8】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けていないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、延伸することなく、捲縮付与し、更にステープル
    状にカットし、しかる後紡績し、織物または編物にした
    後、拘束または弛緩状態で140℃以上で熱処理したこ
    とを特徴とする形態安定性及び反発弾性の優れた紡績糸
    使いの織物または編物。
  9. 【請求項9】2500m/分〜3700m/分で紡糸さ
    れた2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を受
    けてないポリエステル系繊維を、一部または全部を用い
    て、延伸することなく、捲縮付与し、更にステープル状
    にカットしたことを特徴とするその後の140℃以上の
    熱処理により形態安定性及び反発弾性の優れた紡績糸使
    い織物または編物を得るのに適したステープル繊維。
  10. 【請求項10】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けていないポリエステル系繊維を、一部または全部を
    用いて、延伸することなく、捲縮付与し、更にステープ
    ル状にカットし、しかる後、必要に応じ他の繊維と混合
    紡績し、織物または編物にした後、衣料に縫製し、しか
    る後140℃以上で熱処理したことを特徴とする形態安
    定性及び反発弾性の優れた衣料。
  11. 【請求項11】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、延伸することなく、織物または編物とし、しかる
    後、帽体に成型し、しかる後140℃以上で熱処理した
    ことを特徴とする形態安定性及び反発弾性の優れた帽子
    またはそれを用いた帽体。
  12. 【請求項12】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、熱延伸することなく捲縮を付与し、カーペットと
    し、しかる後140℃以上で熱処理したことを特徴とす
    る形態安定性及び反発弾性の優れたカーペット。
  13. 【請求項13】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、熱延伸することなく、エアーバッグとし、しかる
    後140℃以上で熱処理したことを特徴とする優れた膨
    らみ性と機密性の高いエアーバッグ。
  14. 【請求項14】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を、一部または全部を用
    いて、熱延伸することなく、織物または編物または組紐
    または不織布からカットした紐となし、それを140℃
    以上に熱処理してなる、非常に硬い弾性のある紐を得る
    ことを特徴とする硬さと反発性の高い紐。
  15. 【請求項15】ポリエステル系繊維であって、熱処理
    後、次の特性1及び特性2を満足することを特徴とする
    請求項1〜14のいずれかに記載の製品。 特性1:小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像
    が層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた
    長周期のDm値が8nm〜15nmであり、De値(繊
    維の場合は繊維断面方向、フィルムの場合は幅あるいは
    厚み方向の結晶/非結晶格子の1単位周期)が20nm
    〜40nmである。 特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、 (2) 広角X線回折測定から得られた結晶サイズが、面指
    数(010)において2.0nm〜4.0nm、面指数
    (100)において2.3nm〜4.0nm、面指数
    (1バア05以後105と記す)において1.5nm〜
    4.2nmであり、 (3) 広角X線回折測定から得られた結晶配向度が58%
    〜85%であり、 (4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.088〜0.4
    50であり、 (5) 複屈折が50×10-3〜120×10-3である。
  16. 【請求項16】ポリエステル系繊維であって、熱処理
    後、次の特性1及び特性2を満足することを特徴とする
    請求項1〜14のいずれかに記載の製品。 特性1:小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像
    が層線状または層線状二点散乱像を呈し、かつ該写真上
    の子午線あるいは赤道から散乱像の中心までの距離rに
    より下記式で求められるJ値が15nm以下である。 J=λ/2sin[{tan-1(r/R)}/2] ここで、R:カメラ半径、λ:X線の波長、J:長周期 特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、 (2) 広角X線回折測定から得られた結晶サイズが、面指
    数(010)において2.0nm〜4.0nm、面指数
    (100)において2.3nm〜4.0nm、面指数
    (105)において1.5nm〜4.2nmであり、 (3) 広角X線回折測定から得られた結晶配向度が58%
    〜85%であり、 (4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.088〜0.4
    50である。
  17. 【請求項17】ポリエステル系繊維であって、熱処理
    後、次の特性1及び特性2を満足することを特徴とする
    請求項1〜14のいずれかに記載の製品。 特性1:小角X線散乱写真撮影によって得られた散乱像
    が層線状四点散乱像を呈し、かつ、該写真上から求めた
    長周期のDm値が14nm未満、De値が18nm以
    上、Dm/Deが1.0未満である。 特性2: (1) 比重が1.350〜1.385であり、 (2) 広角X線回折測定から得られた結晶サイズが、面指
    数(010)において2.0nm〜4.0nm、面指数
    (100)において2.3nm〜4.0nm、面指数
    (105)において1.5nm〜4.2nmであり、 (3) 広角X線回折測定から得られた結晶配向度が58%
    〜85%であり、 (4) 偏光蛍光法による非晶配向度が0.088〜0.4
    50であり、 (5) 複屈折が50×10-3〜120×10-3である。
  18. 【請求項18】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を、捲縮付与、収縮
    と結晶化を含む熱処理、カット処理、カット後の紡
    績を含む工程を経させてなることを特徴とする反撥弾性
    の高い糸またはそれからなる編織物。
  19. 【請求項19】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を、捲縮付与、収縮
    熱処理、結晶化熱処理、カット処理、カット後の
    紡績を含む工程を経させてなることを特徴とする反撥弾
    性の高い糸またはそれからなる編織物。
  20. 【請求項20】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系フィラメント糸を、 収縮と結晶化を含む熱処理、他のフィラメントとの
    引揃え、交撚、仮撚、または交編織を含む工程を経させ
    てなることを特徴とする反撥弾性の高いフィラメント糸
    またはそれからなる編織物。
  21. 【請求項21】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系フィラメント糸を、 収縮熱処理、結晶化熱処理、他のフィラメントと
    の引揃え、交撚、仮撚、または交編織を含むことを特徴
    とする反撥弾性の高いフィラメント糸またはそれからな
    る編織物。
  22. 【請求項22】染色を含むことを特徴とする請求項18
    〜21のいずれかに記載の反撥弾性の高い糸またはそれ
    からなる編織物。
  23. 【請求項23】熱処理が染色を兼ね備えているものであ
    ることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載
    の反撥弾性の高い糸またはそれからなる編織物。
  24. 【請求項24】収縮熱処理が、熱雰囲気ゾーンにオーバ
    ーフィード状態に供給されて行なわれものであることを
    特徴とする請求項20または21に記載の反撥弾性の高
    い糸またはそれからなる編織物。
  25. 【請求項25】収縮処理後に巻き取った後、巻取体また
    は糸の状態で熱処理することを特徴とする請求項24に
    記載の反撥弾性の高い糸またはそれからなる編織物。
  26. 【請求項26】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    された2次転移点以上の緊張または延伸の伴う熱履歴を
    受けてないポリエステル系繊維を含む編織物を収縮処理
    した後、熱処理し、他の繊維素材と重ね合わせ、または
    相互融着し、または縫製し、しかるのち熱プレス処理す
    ることを特徴とする反撥弾性の高いシート状物。
  27. 【請求項27】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    されたポリエステル系繊維に代えて、3700m/分以
    上で紡糸され、応力−伸長曲線を測定したとき、降伏点
    を経過後の低応力伸長領域を示す、一成分としてポリエ
    チレンテレフタレート系(過半成分)のポリエステルを
    用いた複合繊維を用いたことを特徴とする請求項1〜2
    6のいずれかに記載の製品。
  28. 【請求項28】2500m/分〜3700m/分で紡糸
    されたポリエステル系フィラメント糸、または、伸度3
    0〜100%の範囲内で低応力伸長領域を示すポリエス
    テル系フィラメント糸を用いて、150cm幅以上〜2
    00cm幅以下のウオータージェットルームに、毎分5
    00〜650回の緯糸の打ち込みを行うことを特徴とす
    るその後の収縮と熱処理により高い反発弾性を示す織物
    の製造方法。
  29. 【請求項29】経糸にも、2500m/分〜3700m
    /分で紡糸されたポリエステル系フィラメント糸、また
    は、伸度30〜100%の範囲内で低応力伸長領域を示
    すポリエステル系フィラメント糸を用い、かつ該経糸が
    無撚または加撚されたものであることを特徴とする請求
    項28に記載のその後の収縮と熱処理により高い反発弾
    性を示す織物の製造方法。
  30. 【請求項30】織組織が、平織または斜子織であること
    を特徴とする請求項28または29に記載のその後の収
    縮と熱処理により高い反発弾性を示す織物の製造方法。
  31. 【請求項31】幅が150〜195cmであり、経およ
    び/または緯糸に、2500m/分〜3700m/分で
    紡糸されたポリエステル系フィラメント糸、または、伸
    度30〜100%の範囲内で低応力伸長領域を示すポリ
    エステル系フィラメント糸が用いられてなることを特徴
    とするその後の収縮と熱処理により高い反発弾性を示す
    織物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008071714A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Nishihara Orimono Kk 面状発熱体用基材及びその製造方法

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